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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1330331 
異議申立番号 異議2016-900379 
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-11-29 
確定日 2017-07-21 
異議申立件数
事件の表示 登録第5878006号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5878006号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5878006号商標(以下「本件商標」という。)は、「SISLOY」の欧文字を標準文字により表してなり、平成28年3月11日に登録出願、第3類「化粧品,ヘアーリンス,ヘアートリートメント,おしろい,化粧水,クリーム,紅,頭髪用化粧品,香水類,アイシャドウ,あぶらとり紙,身体用防臭剤,脱毛剤,タルカムパウダー,ネイルエナメル,ネイルエナメル除去液,バスオイル,バスソルト,パック用化粧料,ベビーオイル,ベビーパウダー,マスカラ,まゆ墨,毛髪脱色剤,せっけん類,シャンプー,香料,歯磨き,口臭用消臭剤,薫料,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同28年8月3日に登録査定、同年9月2日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものであると主張し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 引用商標
(1)申立人が、「化粧品」について使用している商標は、「sisley」の欧文字を横書きした構成からなる商標(以下「引用商標1」という。)及び「シスレー」の片仮名を横書きした構成からなる商標(以下「引用商標2」という。)である。
(2)登録第1873095号商標(以下「引用商標3」という。)は、「シスレー」の片仮名及び「SISLEY」の欧文字を二段に横書きしてなり、昭和58年9月21日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同61年6月27日に設定登録され、平成18年11月1日に指定商品を第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
以下、引用商標1ないし引用商標3をまとめて「引用商標」という。
2 具体的理由
(1)引用商標の著名性
申立人であり、引用商標3の商標権者であるセー エフ ウー ベー シスレーは、1976年にウベール・ドルナノが設立し、化粧品の製造販売を行っている、フランス国の法人である。そして、申立人は、全世界において、引用商標1を、我が国においては、引用商標2及び引用商標3を使用している。
「sisley」は、わずか四半世紀の間に、美容とラグジュアリーブランドの業界で最もプレステージのあるブランドの一つに成長し、高級化粧品という分野でリーダー的役割を担っている。ハイグレードな化粧品であるsisley商品は、需要者が満足できるカウンセリングが行われる超高級販売店のみ、すなわち、大手百貨店、化粧品専門店等で販売されている。各国市場において、sisleyは、しばしば最もよく売れるブランドであり、常にトップブランドとして名乗りを上げている。現在世界80か国以上で、sisleyブランドの化粧品が販売されている(甲3)。
我が国では、子会社のシスレージャパン有限会社が、sisleyブランドの化粧品の輸入、販売を事業内容として、平成5年(1993年)に設立され、同12年(2000年)に株式会社に組織変更された。同8年(1996年)に日本橋高島屋に出店した(甲4)のを皮切りに、本件商標が登録出願されるより前の同27年(2015年)8月27日に印刷された申立人のウェブページによると、北海道から九州に至るまで約40の店舗を展開し(甲5)、売り場で「sisley」の商標を使用している(甲6)。また、同27年(2015年)9月14日に印刷されたウェブページによると、伊勢丹及び阪急百貨店において、オンラインでも販売している(甲7、甲8)。
平成27年(2015年)7月に発行された「シスレースキンケアシート」(甲9)、同26年(2014年)5月29日現在の「製品リスト」(甲10)及び同27年(2015年)9月14日に印刷された申立人のウェブページ(甲11)によると、取扱商品は、スキンケア用・ボディケア用・ヘアケア用化粧品、シャンプー、香水等、多種多様である。
日本における、引用商標を使用した商品の売上げは、毎年、約20億円と安定している(甲12)。デパートにおける、引用商標を使用したスキンケア用化粧品、香水の売上げは、甲第13号証に示すとおりであって、ブランドランキングでは15位前後、市場占有率では1%前後である。
また、本件商標の登録出願前、多くの雑誌において、引用商標を使用した商品の広告が掲載されている(甲14の1?21)。
引用商標を使用した商品の広告宣伝費は、フリーパブリシティを換算した額を含めると、2013年(平成25年)で約4億円である(甲15)。
以上のとおり、引用商標を使用した商品について、申立人が大規模に広告宣伝を行った結果、引用商標には、高品質、高級感等の信用が形成されている。
したがって、引用商標は、本件商標の登録出願の時には既に、申立人の業務に係る商品である化粧品を表示するものとして、我が国においてはもちろんのこと、世界的に極めて高い信用が形成され著名に至っており、それは登録査定時においても継続していたということができる。
なお、引用商標が、スキンケア化粧品について使用する商標として、平成19年(2007年)11月には既に、我が国における化粧品の取引者、需要者の間において広く知られており、その著名性が同20年(2008年)4月においても継続していたことは、特許庁において認められている(異議2008-900335、甲16)。申立人は、その後も引き続き引用商標を使用した商品を販売し、広告宣伝してきたのであるから、引用商標の著名性は、現在まで継続しているとみるのが自然である。
(2)本件商標と引用商標との類否
本件商標は、前記のとおり、「SISLOY」の欧文字を標準文字で書してなるものである。他方、我が国で使用されている引用商標の欧文字部分は、「SISLEY」の文字を書してなるものである。
本件商標と引用商標とで共通する指定商品である「化粧品」の取引においては、取引者、需要者は、店頭販売、通信販売及びインターネットを介した販売において、商品の外観を見て購入するのが通常であり、その際に、商品、値札、カタログ等に付された商標の外観を見て商品の出所を識別して購入することが多いと考えられる。
そこで、本件商標と引用商標の外観についてみると、両者は、いずれも、短いとはいえない欧文字6文字を書してなり、前半の「SISL」の4文字と、語尾の「Y」の文字を共通とし、比較的注意が逸れがちになる、語中間の5番目において、「O」と「E」の文字の差異を有するにすぎないから、需要者が両商標を見誤るおそれがある。
また、両商標は、いずれも特定の意味合いを有しない造語よりなるものと認められるから、観念上の明瞭な差異により区別されるとはいえない。
さらに、本件商標から生ずる「シスロイ」の称呼は、「シス」と「ロイ」、引用商標から生ずる「シスレー」の称呼は、「シス」と「レー」と、いずれも二音節風に区切って発音され、両者の前半部分は共通であるから、両商標を一連に称呼するときは、全体の語調、語感が極めて近似するものである。
以上のとおり、本件商標と引用商標は、看者に近似した印象を与え、相紛れるおそれが十分にあるものである。
(3)本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る商品の関連性の程度
引用商標は、スキンケア用・ボディケア用・ヘアケア用化粧品、シャンプー、香水等について使用されている。他方、本件商標の指定商品には、引用商標に係る商品が含まれているほか、これら以外の指定商品も、当該使用に係る商品とは目的、用途、需要者等を共通にする場合が少なくないものといえる。したがって、本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る商品とは、同一又は類似のものを含め、関連性が高いというのが相当である。
特許庁においても、著名商標がせっけん類、浴用化粧品、スキンケア用・ボディケア用・ヘアケア用・消臭用化粧品、香水等について使用されているものであるところ、これらの商品は、指定商品のすべてである「かつら装着用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つけまつ毛用接着剤,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料」と関連性の高いものと判断されている(異議2013-900321、甲17)。
(4)混同を生ずるおそれ
以上を総合勘案すると、本件商標を指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、引用商標を使用している申立人を連想、想起し、該商品が申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものというべきである。

第3 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1)申立人提出の甲各号証、同人の主張によれば、以下アないしコの事実を認めることができる。
ア 申立人は、1976年に設立された化粧品の製造販売を行うフランス国の法人であり、世界80ヶ国以上で引用商標1を付した高級化粧品を販売している(甲3)。
イ 申立人は、平成5年(1993年)に申立人の化粧品の輸入、販売を事業内容とするシスレージャパン有限会社を子会社として設立し(平成12年(2000年)にシスレージャパン株式会社となる。)、我が国においては平成8年(1996年)に日本橋高島屋に出店して以来(甲4)、同27年(2015年)8月時点では、全国の大手百貨店に40店舗を展開し(甲5)、大手百貨店の化粧品売り場で引用商標1を使用している(甲6)。
ウ 甲第8号証は、平成27年(2015年)9月14日に印刷された阪急オンラインショッピングのウェブページであり、引用商標1が付された「リップライナー」が掲載されている。
エ 甲第9号証は、平成27年(2015年)7月14日に発行された「SISLEY Skin Care Sheet/sisley/PARIS/シスレー スキンケア シート」であり、「ボディケア&ヘアケア」、「クレンジング」、「洗顔」及び「トリートメントローション」等の商品が掲載されている。
オ 甲第10号証は、平成26年(2014年)5月29日時点の「シスレー販売製品リスト」であり、「クレンジングミルク」、「ナイトクリーム」及び「フェイシャルパック」といった製品名とその価格が記載されており、その価格は、10,000円前後の商品を中心に最低価格が4,500円、最高価格が75,000円である。
カ 甲第11号証は、平成27年(2015年)9月14日に印刷された申立人のウェブページであり、「頭皮ケア用シャンプー」、「ヘアトリートメント」及び「頭皮ケア用エッセンス」等の商品が記載されている。
キ 甲第12号証は、シスレージャパン株式会社が百貨店に対して卸売りをしたシスレー製品の年間小売売上であり、2000年(平成12年)には約8億4千万円、2005年(平成17年)には約16億5千万円、2006年(平成18年)ないし2013年(平成25年)には各年約20億円との記載がある。
ク 甲第13号証は、2015年(平成27年)2月25日に公開された「SELL-IN REPORT-JAPAN-CY 2007-2014」と題する英語の報告書と認められるところ、日本の百貨店の「FRAGRANCES AND COSMETICS」部門において「Sisley」は、2014年(平成26年)の「Net sales」では17位であり、2011年(平成23年)ないし2014年(平成26年)の市場シェアは0.7%ないし0.8%であり、また、同じく「SKINCARE」部門において「Sisley」は、2014年(平成26年)の「Net sales」では15位であり、2011年(平成23年)ないし2014年(平成26年)の市場シェアは1.0%ないし1.1%である。
ケ 甲第14号証の1ないし21は、2010年(平成22年)10月から2014年(平成26年)5月までに発行されたファッション、美容関連の複数の雑誌の写しであるところ、甲第14号証の2ないし5及び甲第14号証の7ないし21には、引用商標1が表示された申立人の化粧品が掲載されている。
コ 甲第15号証は、「シスレー 広告費支出額およびフリーパブリシティの推移」と題する資料であり、純広告は、2010年(平成22年)及び2011年(平成23年)はそれぞれ約5千4百万円、2012年(平成24年)は約5千5百万円、2013年(平成25年)は約6千万円、フリーパブリシティは、2010年(平成22年)及び2011年(平成23年)はそれぞれ約3億円、2012年(平成24年)は約3億5百万円、2013年(平成25年)は約3億1千8百万円と記載されている。
(2)以上によれば、申立人は、1976年に設立された高級化粧品を主とする化粧品の製造販売を行うフランス国の法人であり、我が国においては、平成5年(1993年)に子会社を設立し、平成8年(1996年)に日本橋高島屋に出店して以来、大手百貨店40店舗に出店し、その売り場で引用商標1を使用していることがうかがわれる。そして、引用商標1が表示された化粧品が、大手百貨店のオンラインショップにおいて販売され、ファッション、美容関連の複数の雑誌に掲載され、申立人が取り扱う化粧品の価格が高額であることから、高級化粧品の需要者の間では、引用商標1が表示された申立人の化粧品がある程度知られていたことはうかがえる。
しかしながら、上記(1)キ及びコによる我が国における取引実績及び広告宣伝活動等については、その詳細が不明なため、客観的な資料に基づいて立証しているとは認められないものであり、さらに、上記(1)クによる2011年(平成23年)ないし2014年(平成26年)の我が国の百貨店における化粧品関連部門での申立人の市場シェアもわずかであり、しかも、これらが引用商標を使用した商品に関する証左であることも明らかでない。
その他、申立人が提出した全ての証拠からは、引用商標を使用した商品の売上高、引用商標に係る宣伝広告の回数や期間、広告費などを具体的に立証するものがなく、引用商標が使用された事実を客観的に把握することができない。
なお、申立人の提出に係る甲第16号証によれば、申立人が「スキンケア化粧品」について使用する引用商標1と同一の「sisley」の文字よりなる商標は、別件、登録第5139346号商標の登録出願時(平成19年11月13日)には既に、我が国における化粧品の取引者、需要者の間において広く知られていたものであり、その周知性はその登録査定時(平成20年4月10日)においても継続していたことをうかがい知ることができる。
しかしながら、申立人が「スキンケア化粧品」について使用する引用商標1と同一の「sisley」の文字よりなる商標の周知性が、登録第5139346号商標の登録査定時において継続していたとしても、本件登録異議の申立てにおいて提出された甲各号証によっては、本件商標の登録出願時(平成28年3月11日)及び登録査定時(平成28年8月3日)における引用商標の周知性の度合いを客観的に判断するための引用商標を使用した商品の売上高、引用商標に係る宣伝広告の回数や期間、広告費などが明らかでないことから、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、申立人の業務に係る「化粧品」を表示するものとして、その需要者の間に広く認識されるに至っていた商標であると認めることができない。
2 本件商標と引用商標の類否について
本件商標は、前記第1のとおり、「SISLOY」の欧文字を標準文字により表してなるところ、これよりは「シスロイ」の称呼を生じるものである。また、該文字は、一般の辞書等に掲載されておらず、特定の意味合いを有しない造語よりなるものと認められるから、特定の観念を生じないものである。
一方、前記第2のとおり、引用商標1は、「sisley」の欧文字を横書きした構成からなり、引用商標2は、「シスレー」の片仮名を横書きした構成からなり、また、引用商標3は、「シスレー」の片仮名及び「SISLEY」の欧文字を二段に横書きした構成からなるところ、いずれもその構成文字に相応して「シスレー」の称呼を生じるものである。
また、「sisley」、「シスレー」及び「SISLEY」の各文字は、いずれも特定の意味合いを有しない造語よりなるものと認められるから、引用商標は、特定の観念を生じないものである。
そこで、本件商標と引用商標を外観において比較すると、本件商標と引用商標1とは、構成文字が大文字と小文字である点と、5番目の文字が「O」と「e」である点に相違があり、また、本件商標と引用商標2とは、構成文字が欧文字と片仮名である点に相違があり、さらに、本件商標と引用商標3とは、構成文字が欧文字の一段書きと片仮名及び欧文字の二段書きである点で明らかに相違することから、外観上、相紛れるおそれはない。
次に、本件商標から生じる「シスロイ」の称呼と引用商標から生じる「シスレー」の称呼とを比較すると、語頭の「シス」の音を共通にするものの、語尾における「ロイ」と「レー」の音に差異を有するものであり、該差異音が、いずれも4音という短い音構成からなる両称呼において全体に与える影響は決して小さいものとはいえず、それぞれを称呼したときは、その語調、語感が相違し、称呼上、相紛れるおそれはない。
さらに、観念においては、本願商標及び引用商標からは、いずれも特定の観念が生じないものであるから、比較することができず、両商標は、観念上相紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されていたものとは認められないものであり、また、上記2のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
してみると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じるおそれはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-07-12 
出願番号 商願2016-26879(T2016-26879) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W03)
最終処分 維持 
前審関与審査官 白鳥 幹周 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 小松 里美
松浦 裕紀子
登録日 2016-09-02 
登録番号 商標登録第5878006号(T5878006) 
権利者 U STYLE株式会社
商標の称呼 シスロイ 
代理人 坂上 正明 
代理人 曾我 道治 
代理人 鈴木 昇 
代理人 岡田 稔 
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