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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W3043
管理番号 1330312 
異議申立番号 異議2017-900079 
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-03-14 
確定日 2017-06-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第5904808号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5904808号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5904808号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成24年5月30日に登録出願、第30類及び第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同28年11月15日に登録査定、同年12月9日に設定登録されたものである。

2 前提となる事実
(1)本件商標権者の事業等
ア 本件商標権者の代表者であるAは、平成8年8月に、個人事業として、大阪府岸和田市に、うどん専門店の飲食店「のらや」1号店を開業し、その後、大阪府内に複数開店した。
平成12年8月18日に、本件商標権者が設立され、Aの上記事業を承継した。
本件商標権者は、平成13年頃から、直営店のほか、フランチャイズ方式によりうどん専門の飲食店チェーンを運営するようになり、平成21年11月の時点においては、関西圏に25店舗を、同26年3月の時点においては、関西圏に19店舗、東京都に3店舗を展開している。
イ 本件商標権者の直営店及びチェーン店に属する各店舗においては、「のらや」の屋号が使用され、店舗の看板、店舗内の暖簾、座布団、メニュー、箸袋、持ち帰り用商品の包装箱・包装袋等に、毛筆風の「のらや」の文字からなる商標及び猫の図形からなる商標(これらを併せて、以下「本件商標権者使用商標」という。)が、併記又は単独で表示されている。
なお、上記事実は、知的財産高等裁判所(以下「知財高裁」という。)における確定判決(平成27年(行ケ)第10022号及び同年(行ケ)第10023号 平成27年6月10日口頭弁論終結 同年8月3日判決言渡)において認定され、各事件の当事者間に争いがないところをまとめたものである。
(2)本件に関連する商標登録出願等
ア Aの出願に係る商標
Aは、「のらや」の標準文字からなる商標(乙1の2)及び別掲2のとおりの猫の図形からなる商標(乙1の1。これらを併せて、以下「A商標」という。)を、平成12年12月25日に登録出願、いずれも第30類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同13年9月21日にそれぞれ登録第4508388号、同第4508389号として設定登録された。その後、A商標は、商標権の存続期間の更新がされず、平成23年9月21日の存続期間満了を原因として、同24年5月30日に抹消登録された。
イ Bの出願に係る商標
Bは、「のらや」の標準文字からなる商標(乙2の2)及び別掲3のとおりの猫の図形からなる商標(乙2の1。これらを併せて、以下「B商標」という。)を、平成23年9月21日に登録出願、いずれも第30類及び第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同25年2月8日にそれぞれ登録第5556037号、同第5556038号として設定登録された。
ウ B商標の抹消登録
本件商標権者は、特許庁に対し、平成26年3月17日に、B商標は商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に該当するとして、B商標の登録を無効とすることを求める審判を請求した(無効2014-890015、無効2014-890016)ところ、特許庁は、同年12月26日に、B商標の登録は前記規定のいずれにも違反してされたものではないとして、請求不成立とする審決をした。
これに対して、本件商標権者は、平成27年2月4日に、当該審決を取り消す旨の訴えを知財高裁に提起した(平成27年(行ケ)第10022号、平成27年(行ケ)第10023号)ところ、知財高裁は、同年8月3日に、概略以下のように判示し、B商標は商標法第4条第1項第7号に該当するから、同26年12月26日付け審決を取り消す旨の判決を言い渡した。
「被告(審決注:B、以下同じ。)による本件出願(審決注:B商標の出願、以下判決引用部分において同じ。)は、原告(審決注:本件商標権者、以下同じ。)チェーン店のフランチャイジーである夢の郷社の実質的経営者として、旧A商標(審決注:A商標)に係る商標権を尊重し、原告による当該商標権の保有・管理を妨げてはならない信義則上の義務を負う立場にある被告が、旧A商標に係る商標権が存続期間満了により消滅することを奇貨として本件出願を行い、原告使用商標(審決注:本件商標権者使用商標)に係る商標権を自ら取得し、その事実を利用して原告との金銭的な交渉を自己に有利に進めることによって不当な利益を得ることを目的として行われたものということができる。
そして、このような本件出願の目的及び経緯に鑑みれば、被告による本件出願は、原告との間の契約上の義務違反となるのみならず、適正な商道徳に反し、著しく社会的妥当性を欠く行為というべきであり、これに基づいて被告を権利者とする商標登録を認めることは、公正な取引秩序の維持の観点からみても不相当であって、『商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護する』という商標法の目的(同法1条)にも反するというべきである。
してみると、本件出願に係る本件商標(審決注:B商標)は、本件出願の目的及び経緯に照らし、商標法4条1項7号所定の『公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標』に該当するものといえる。」
Bは、最高裁判所(以下「最高裁」という。)に対し、平成27年8月19日に、当該判決の上告受理の申立てをした(平成27年(行ノ)第10037号、平成27年(行ノ)第10038号)ところ、最高裁は、同28年4月15日に、上告受理申立不受理の決定(平成27年(行ヒ)第459号、平成27年(行ヒ)第460号)をした。
その後、特許庁は、B商標について再度審理をした結果、平成28年8月5日に、B商標は商標法第4条第1項第7号に該当するとして、その登録を無効にする旨の審決をした。当該審決は、平成28年9月16日に確定し、B商標の抹消登録が同年10月14日にされた。

3 登録異議申立ての理由
(1)平成29年3月14日差出の商標登録異議申立書
本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであって、登録を取り消されるべきである。
(2)平成29年4月11日付け手続補正書
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の主張を要約すると、以下のとおりである。
ア 本件商標及び「のらや」の標準文字からなる登録第5904809号商標(以下「別件登録商標」という。)は、B商標が登録無効審判を経て、知財高裁で逆転判決され消滅したことにより繰り上がって登録されたものである。
イ 知財高裁での逆転無効判決の論拠は、いわば、主家に弓引く悪者を懲らしめる勧善懲悪的先入観に基づき、一方に加担したものであり、B商標を「悪意の出願」と一方的に決めつけ、それまでの「私的争いには商標法第4条第1項第7号公序良俗違反の規定を適用すべきでない」との正常な判断基準に立つ種々判例を覆し、本来は当事者間により決定すべき分野にまで立ち入り、商標法第4条第1項第7号を不当に拡大解釈して、公序良俗に反するとの判断に拠るものであり、極めて公平性に欠ける判断であるといえる。
そして、上記知財高裁判決に対して、上告書が受理されたにも関わらず、上告棄却となった経緯があることから、知財高裁の判決は、最高裁の判決により支持されたものでなく、単なる下級審判断の一つが出されたにすぎず、議論の余地が残った消化不良の状態であり、状況によっては再審請求の対象となる可能性があり、別途案件では正常に判断された公平な判断が出される可能性が残るといえる。
ウ 更新されずに消失したA商標は、いずれも形式的には、Aの個人名義になっていたが、本来、その出願等を真に企画して推し進めたのは、本件商標権者と共に「のらや」を立ち上げたもう一人の経営者であるCであって、Aは、Cが決めた仮の名義人で、真の出願人・権利者ではない。形式的に捺印をした以外は、Aは商標登録手続きには何ら関与しておらず、この手続きの核心的な手続きは、Cが自身の意思により遂行したのである(乙5、乙6)。
この点につき、登録無効審判の段階で、Aは、「その後、Aは、平成12年8月に法人化した頃から、『のらや』の屋号や猫の図形を商標登録することを考え、弁理士に相談し、平成12年12月25日に商標登録の出願を行い」と明言している(乙4)。しかし、A商標の出願は、弁理士の代理人が付かずに出願されているので、自身が手続きを行ったことになるが、その主張は何らの証拠にも裏付けされていなかった。すなわち、Aの主張が真実であれば、客観的に頷ける証拠方法を提示すべきである。これが証明されなければ、消滅した商標権の真の出願人であることは頷けず、まして、商標の更新の期限についてさえ無知なAが特許事務所に依頼せずに自身で処理できるとは疑義があり、到底信ずるに足りない(乙7)。
Aは、消失した商標権の出願人であると主張しているが、真の出願人であることが客観的に証明されない限り、逆にその経緯に虚偽があり、Aの行為こそ剽窃的であり、断罪されるべき筋合いのものである。AがA商標を、自身の手続により行ったのかどうか、それが真である場合のみ、B商標の出願行為が「悪の出願」と帰結される可能性に結び付くのであり、これが偽証であるのであれば、そもそものスタートでのステータス、各人の立ち位置の判断に極めて大きな影響を与える事項であり、避けては通れない事項であると思料する。
知財高裁では、この重要事項に関し、本件商標権者に証明を求めることもせず、更には、Bに悪の権化との決めつけに対する反証の機会も与えず、偽証に関する証拠調べも行われず、本件商標権者の主張を鵜呑みにし、Bを先入観で、反旗を翻す反乱軍であって、その行為は一方的に「悪意のある出願」と決めつけ、Bに商標法第4条第1項第7号公序良俗違反の汚名を着せての判決に至ったものである。その結果、経時的に、その出願時には何ら絡まない、後発的な金銭的な問題と絡めて推定的に判断したものであるところ、これは明らかに出発点の評価が欠落された状態での判断であるので、そのAの偽証を鵜呑みにしてのBが「悪意の出願」を行ったとの先入観に基づく判断は、極めて公平を欠く偏った判断といわざるを得ない。そこで、そもそもの出発点に立ち返り、いずれが剽窃的行動であったのか、判断を賜りたく、異議申立てに及んだ次第である。
エ 以上のとおり、B商標は、「悪意の出願」と決めつけられて無効とされた結果、本件商標及び別件登録商標が繰り上がって登録されたのであるが、その発端となったA商標こそ、その名義人自身の手続きによるとの偽証に基づくものであって、その反証がなされない以上、その発端が信義にもとるものである。すなわち、B商標は、A商標の真企図者の権利を奪還しようとするものであって、悪意の出願ではなく、登録無効とされるべきでなく、そのような背景があって、偽証に支えられた登録は、信義に反するものであって、公序良俗に違反し、商標法第4条第1項第7号の規定に該当し、商標法第43条の2第1項の規定により登録されるべきものではない。

4 当審の判断
(1)申立人は、平成29年3月14日差出の商標登録異議申立書において、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する旨述べたものと解することができ、さらに、平成29年4月11日付け手続補正書において、上記3(2)のとおり主張するところ、当該主張は、A商標の出願人及び権利者は、Aの個人名義になっていたが、その出願等を真に企画して推し進めたのは、本件商標権者と共に「のらや」の事業を立ち上げたもう一人の経営者であるCであって、Aは真の出願人・権利者ではない。また、知財高裁において、B商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとの判断がされた発端となったA商標は、A自身が出願手続をしたとのAの偽証に基づくものであって、信義則に反するものであるから、公序良俗に違反し、商標法第4条第1項第7号に該当する旨主張しているものと解することができる。
(2)しかしながら、以下のとおり、上記(1)の申立人の主張は、いずれも理由がない。
ア 商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は、商標登録を受けることができないと規定する。ここでいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、1)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、2)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、3)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、4)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、5)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである(平成18年9月20日 知的財産高等裁判所判決、平成17年(行ケ)第10349号参照)ところ、 申立人は、本件商標が同号に該当する旨を主張するが、本件商標が上記のいずれかに該当するというべき具体的な主張、立証は何らしておらず、本件商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」であるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるということはできない。
イ ところで、申立人は、本件登録異議の申立ての理由のほとんどを、商標法第4条第1項第7号該当性の根拠として、A商標に関し、Aは、真の出願人・権利者ではなく、また、A商標は、A自身が出願手続をしたとのAの偽証に基づくものであるから、信義に反するものであって、公序良俗に反するとの主張に費しているところ、A商標に関する主張は、本件商標とは別異の既に存続期間満了を原因として抹消登録された過去の登録商標に関する主張というべきものであって、本件登録異議の申立てにおいては妥当なものとはいえないが、念のため、A商標が商標法第4条第1項第7号に該当する商標であったか否かについて、以下検討する。
(ア)申立人が主張する、A商標が剽窃的であり、商標法第4条第1項第7号に該当するものであることについては、申立人が立証しなければならない。
そこで、申立人の提出した証拠について、以下検討する。
a 乙第4号証は、本件商標権者が請求したB商標の登録無効審判事件(無効2014-890015)における請求書の一部であり、また、乙第9号証は、同無効審判事件(無効2014-890016)における平成26年3月3日付けのAの陳述書である。これらには、Aが「のらや」の屋号及び猫の図形を採用した経緯が記載されている。この点について、申立人は、CがAと離別した後に開業した飲食店(癒しのかくれ村)において来店者に配布したとする冊子(乙11、乙12)を提出し、「のらや」の屋号等の考案について、Cが関わらなかったとするAの陳述(乙9)を否定するが、これらの冊子について、Cが作成又は関与した事実を裏付ける証拠はなく、また、その作成日も明らかではない。したがって、これらの冊子は、「のらや」の屋号等の考案について、Cが関わらなかったとするAの陳述を否定する証拠とはならない。
また、乙第4号証には、「Aは、平成12年8月に法人化したころから、『のらや』の屋号や猫の図形を商標登録することを考え、弁理士に相談し、平成12年12月25日に商標登録の出願を行い」と記載されているところ、この記載内容からすると、商標の出願等の知識を欠くAは、出願の手続等について弁理士に相談し、弁理士から助言を受けた後、自ら出願したと考えることができ、Aが商標の出願等に関する知識を欠いているとしても、それのみをもって、AがA商標の出願につき、偽証をしたとまでいうことはできない。その他、AがA商標の出願につき、偽証をしたと裏付けるに足りる客観的な証拠はない。
b 乙第5号証は、本件商標権者が請求したB商標の登録無効審判事件(無効2014-890015)におけるB提出の答弁書の一部であり、また、乙第6号証は、審決取消訴訟におけるB提出の第1回準備書面の一部(平成27年(行ケ)第10022号)である。これらは、Aとは、いわば利害が対立する立場にあるBの主張を記載した書面というべきものであり、客観的な証拠を伴うものではなく、これらをもって、AはA商標の真の出願人・権利者ではない、AがA商標の出願につき偽証をした、との申立人の主張を認めることはできない。
c 乙第7号証及び乙第8号証は、AとB等の間で平成24年4月23日及び同年5月2日に行われた面談の記録の一部である。これらには、Aが商標に関し、知識が乏しいことを自認していることが記載されているが、AがA商標の真の出願人・権利者ではないと明確に認めたことが記載されているわけではない。むしろ、上記2(1)によれば、Aは、平成12年8月18日に設立された本件商標権者の代表者であり、当時、大阪を中心に事業の展開を推し進めていたことがうかがわれ、このような状況からすれば、その屋号等に使用するA商標の商標登録出願を考えるのは極めて自然なことといえる。これに対して、Cが本件商標権者の経営者の一人であったと認めるに足りる客観的な証拠はない。
(イ)以上のとおり、申立人は、A商標がAの剽窃的行為により偽証に基づいて出願され、登録されたと主張するも、その事実を認めるに足りる客観的な証拠は何ら提出しておらず、申立人の提出した証拠をもって、A商標が商標法第4条第1項第7号に違反して出願し、登録されたとの申立人の主張を認めることはできない。
(ウ)したがって、AがA商標を登録出願し商標権を取得した行為が上記アのいずれかに該当すると認めることはできず、本件全証拠によってもA商標が商標法第4条第1項第7号に該当する商標であったと判断すべき事情を認めることはできない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)

別掲2(乙1の1)

別掲3(乙2の1)

異議決定日 2017-06-13 
出願番号 商願2012-43102(T2012-43102) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W3043)
最終処分 維持 
前審関与審査官 日向野 浩志大島 康浩 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 半田 正人
原田 信彦
登録日 2016-12-09 
登録番号 商標登録第5904808号(T5904808) 
権利者 株式会社のらや
代理人 佐野 章吾 
代理人 寒川 潔 
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