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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W05
審判 一部申立て  登録を維持 W05
審判 一部申立て  登録を維持 W05
審判 一部申立て  登録を維持 W05
審判 一部申立て  登録を維持 W05
管理番号 1330308 
異議申立番号 異議2017-900011 
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-01-18 
確定日 2017-06-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第5889879号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5889879号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5889879号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成28年4月15日に登録出願、第5類「薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,おむつ,おむつカバー,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」並びに第3類、第11類、第14類、第20類、第24類、第25類、第27類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年9月12日に登録査定、同年10月21日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は、以下の(1)ないし(3)に示すとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4070459号商標(以下「引用商標1」という。)は、「TEVA」の文字を横書きしてなり、平成7年6月16日に登録出願、第5類「動物用薬剤,香取線香,殺菌剤,殺そ剤,殺虫剤,蒸剤,除草剤,防臭剤(身体用のものを除く),防虫剤,防腐剤,その他の薬剤」を指定商品として、同9年10月17日に設定登録されたものである。
(2)登録第2408911号商標(以下「引用商標2」という。)は、「テバ」の文字を横書きしてなり、平成元年9月21日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同4年4月30日に設定登録され、その後、同15年6月4日に、その指定商品を第1類「化学品」及び第5類「薬剤」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(3)登録第5529545号商標(以下「引用商標3」という。)は、「テバ製薬」の文字を横書きしてなり、平成23年11月15日に登録出願、第5類「薬剤,薬用酒,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,乳糖,人工受精用精液」並びに第1類、第10類、第32類、第33類、第35類、第40類、第42類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同24年10月19日に設定登録されたものである。
以下、上記引用商標1ないし引用商標3をまとめて「引用商標」という場合がある。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品中、第5類に属する全指定商品について、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第46号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)異議申立ての経緯
ア 申立人は、1901年にイスラエル国の首都エルサレムで創業した薬の販売会社が起源であり、その後、持続的な拡大成長を遂げながら世界規模で医薬品の製造、販売事業を展開するに至った製薬会社である(甲3)。申立人は、世界の総合医薬品企業として上位10社に入る規模のグローバル企業であって、世界中に製造拠点が87か所、従業員数約58,000人、2015年の通期売上高は197億ドル(約2兆1,670億円)に達している(甲4)。
また、申立人は、ジェネリック医薬品とも称される後発医薬品の分野においては、世界第1位のシェアを有していることが多数の媒体で報道されている(甲5、甲9)。
さらに、申立人は、2015年には米国の大手医薬品企業アラガンから後発医薬品事業を約5兆円で買収することを発表しており、更なる規模の拡大が予定されている(甲5)。
イ 申立人は、我が国においては、2008年に、興和株式会社との合弁会社として、興和テバ株式会社(Teva-Kowa Pharma Co.,Ltd.)を設立し、我が国における本格的な事業展開を開始した。その後、2011年には合弁事業を解消し、興和テバ株式会社は、申立人の100%出資会社となったが、翌2012年には、同じテバグループの大洋薬品工業株式会社と統合、テバ製薬株式会社(Teva Pharma Japan Inc.以下「テバ製薬」という。)を設立し、我が国における事業展開を拡充させた。
そして、テバ製薬は、2016年4月1日に、武田薬品工業株式会社と申立人との合弁会社となり、同年10月1日には武田テバファーマ株式会社と名称変更し、同じく合弁会社である武田テバ薬品株式会社及びその他のテバファーマスーティカル株式会社、テバエーピーアイ株式会社といった子会社と共に、我が国のテバグループ(以下「テバ・ジャパン」という。)を構成している(甲10)。
ウ テバ製薬は、岐阜県高山市に最新鋭の製造設備を有する自社製薬工場を持ち、国内に質の高い医薬品を安定的に供給し続けている(甲11)。2015年度売上高は、約638億円であり(甲12)、後発薬の分野において、国内第3位のシェアを有する国内最大手の製薬企業である(甲13)。
エ 申立人及びテバ製薬は、後述するように、世界中のみならず、我が国においても、欧文字「TEVA」の略称によって取引者、需要者間に広く認知されている。
このことから、申立人は、自身の事業に関連する分野において、「TEVA」が、第三者によって不当に使用、登録されたりすることを防止すべく、世界中でウォッチング活動を行っているところ、本件商標は、そのような活動の過程で発見されたものである。
本件商標が申立てに係る商品に使用された場合、申立人の名声が傷つけられ、該商品が我が国の市場に流通した場合には、取引者、需要者に甚大な悪影響を及ぼすと判断したことから、申立人は、本件商標に対し、登録異議の申立てに及んだ次第である。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、大きさや彩度の異なる略黄色の楕円図形を左下方から右上方へ6つ並べて配置した図の前面に、サンセリフ体の欧文字で大きく「Tera Health Series」と二段にわたって朱書きし、その下方に、やや小さく黒色の片仮名で「テラヘルス シリーズ」と横書きに表してなる構成である。
本件商標の構成中の「Tera Health Series」の欧文字部分は、「T」、「H」、「S」のみが大文字で表されていることから、「Tera」、「Health」及び「Series」の3語からなるものと容易に認識されるところ、「Health(ヘルス)」の語は、「(病気に対して、心身の)健康、健全」ほどを意味する、我が国でも一般に親しまれた英単語であり(甲14)、工業所有権情報・研修館のJ-PlatPatで「ヘルス」と付いた商標を検索すると、薬剤関係に限っても228件がヒットすることから、ありふれた言葉であることが分かる(甲15)。
ここで、本件商標の第5類の指定商品との関係において、「薬剤」、「医療用試験紙」、「衛生マスク」、「ばんそうこう」、「サプリメント」、「食餌療法用飲料」等は、いずれも病気に対して心身の健康や健全を保つために開発、製造、販売、使用されることの多い商品であり、これら商品との関係につき、本件商標の構成中の「Health」及び「ヘルス」の文字部分は、「病気に対して、心身の健康を保つために用いる薬」又は「病気に対して、心身の健康を保つために用いるサプリメント」のように、商品の品質を説明しているにすぎないものである。
また、「Series」とは、広辞苑(第六版)によれば、「(連続・系列の意)連続性を持つ一連のもの。」ほどの意味があるとされ、「○○シリーズ」のように、商品のラインアップなどを総称して表す際に、我が国でごく一般的に用いられている語である(甲16)。
そうすると、本件商標の構成中の「Health Series」及び「ヘルスシリーズ」の文字部分は、指定商品との関係において、「病気に対して、心身の健康を保つために用いる薬のラインアップ(シリーズ商品)」又は「病気に対して、心身の健康を保つために用いるサプリメントのラインアップ(シリーズ商品)」ほどの意味合いを説明をしているにすぎず、自他商品の識別機能を有しないか、あるとしても、極めて弱い部分である。
他方、「Tera(テラ)」とは、英語で「一兆」を意味するところ(甲17)、指定商品との関係において、何ら結びつきの強い語でなく、ユニークともいえる該文字部分が、商品の出所識別標識として、強く支配的な印象を与えるものであるから、本件商標の要部は、欧文字「Tera」及び片仮名「テラ」の部分である。
イ 引用商標
引用商標は、申立人が権利者であって、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである(甲18の1ないし甲18の3)。
引用商標1は、欧文字「TEVA」をゴシック体で表してなり、我が国における通常のアルファベット単語の読み方に倣えば、「テバ」の称呼を生じる。
また、引用商標2は、片仮名「テバ」を略太ゴシック体で表してなり、「テバ」の称呼を生じる。
さらに、引用商標3は、片仮名及び漢字で「テバ製薬」と表してなるところ、その構成中の「製薬」の文字部分は、薬剤その他関連商品を製造することを記述的に表したものであるから、その要部は、片仮名「テバ」の文字部分であり、「テバ」の称呼を生じる。
そして、「TEVA」及び「テバ」は、一般的な辞書に載録のない語であるから、特定の語義は有しないものであるが、後述するように、「TEVA」は、申立人の略称及び商標として、「テバ」のように読まれ、欧文字「TEVA」及び片仮名「テバ」が、申立人に係る出所表示として、広く認識されている実情がある。
ウ 本件商標と引用商標との対比
(ア)本件商標の要部である「Tera」と引用商標1の「TEVA」とは、いずれも欧文字4文字を横書きした構成からなり、3文字目の「r」と「V」の文字を除く各文字の配列を共通にするものであって、該「r」と「V」との相違点は、比較的目に付きやすい語頭や語尾ではなく、全体の構成において見逃されがちな中間に位置するため、迅速に判別され難く、取引者、需要者が両商標に時と所を異にして離隔的に接した場合には、視覚上、近似した印象を受けるものであるから、両商標は、その外観において、極めて相紛らわしい。
また、両商標の称呼は、「ラ」と「バ」において相違するものの、母音「ア」を共通にし、自然に口を大きく開けて発音されるものであり、全体のアクセントも共通していることから、「テラ」と「テバ」とは、明瞭に聴別し難く、互いに聞き誤りやすい。
(イ)本件商標の要部となり得る「テラ」と引用商標2及び引用商標3の「テバ」とは、いずれも片仮名2文字からなり、「ラ」と「バ」とが相違するのみであるため、容易に区別し難く、取引者、需要者が両商標に時と所を異にして離隔的に接した場合には、視覚上、近似した印象を受けるものであるから、本件商標と引用商標2及び引用商標3とは、その外観において、極めて相紛らわしい。
また、本件商標と引用商標2及び引用商標3とは、称呼上も、「テラ」と「テバ」のように、語尾の母音「ア」が共通することもあいまって、発音する際の全ての口の開け方やアクセントを同じくすることから、「テラ」と「テバ」とは、明瞭に聴別し難く、互いに聞き誤りやすい。
(ウ)特許庁の商標法第4条第1項第11号に係る商標審査基準に照らせば、本件商標と引用商標とは、いずれも「テラ」と「テバ」のように、同数音であって、1音のみが語尾において相違し、該差異音が母音「ア」を共通にするから、全体の音感が近似して聴取されやすく、称呼上、類似すると判断されるべきものである。
エ 小括
上述のとおり、本件商標と引用商標とは、観念において比較できず、外観及び称呼が類似するから、類似するものである。
また、本件商標の指定商品中、第5類「薬剤,医療用試験紙,医療用油紙」は,引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標「TEVA」及び「テバ」の使用態様
製薬企業である申立人は、我が国においても、テラ・ジャパンとして、多くの医薬品を取り扱っており、中でもジェネリック医薬品と称される後発医薬品を特に多く手掛けている。
後発医薬品の販売名については、平成17年9月22日付けで「医療用後発医薬品の承認申請にあたっての販売名の命名に関する留意事項について」と題する通知がなされているところ、製薬会社は、該通知に従って、「薬の一般名」、「剤型」、「含量」、「会社名」の順になるよう命名しており、特に、会社名の部分は、より区別がつくよう、括弧括りにすることが求められている(甲19)。
このようにして決められる販売名にあっては、商品について自他識別力を発揮する部分が、「会社名」の部分になることは明らかである。すなわち、例えば、同じ医薬品であっても、上記「薬の一般名」等とともに、「会社名」として、テバ製薬は「テバ」、日本ケミファ株式会社は「ケミファ」、沢井製薬株式会社は「サワイ」のように出所を明示しており、取引者、需要者は、「どの会社」の製造に係る薬剤であるかを該「会社名」の部分において認識、識別しているからである。
そして、錠剤については、主にPTPシートと呼ばれる包装材によって包装された状態で取引者、需要者の目に触れるものであって、該シートの一方の面には日本語で「テバ」と、他方の面には英語で「TEVA」と記載されており(甲20)、そこで使用される書体も、日本語、英語のいずれについても判読しやすい、ごく一般的なものが用いられている。
このように、引用商標「TEVA」及び「テバ」は、その商品名において、引用符により他の要素と明瞭に区切られ、確実に「TEVA」及び「テバ」と視認し得る態様で商品「薬剤」について使用されている。
イ 引用商標「TEVA」及び「テバ」の周知性
(ア)申立人及びテバ・ジャパンは、多数の医薬品を手掛けているところ(甲21)、特に、「ランソプラゾールOD錠15mg/30mg『テバ』」は、我が国において、2007年から販売を開始し、その売上高(小売価格ベース)は、販売開始以来、累計で数百億円を超える額に達している。そして、同医薬品(後発医薬品)は、我が国で8社が販売を手掛ける中(甲22)、世界的な医療情報データサービス企業(甲23)による調べによれば、テバ製薬は、同医薬品分野において、約2割の販売シェアを確保するに至っている(甲24)。
この事実によれば、申立人の略称及び商標が医薬品分野の取引者、需要者の目に多く触れ、広く認識されていることが理解できる。
(イ)「TEVA」又は「テバ」の文字は、申立人の略称として自他問わず使用されてきた。
具体的に、自らの使用方法としては、企業パンフレット内で自社を「TEVA」と統一して自称し、別途、コーポレートマークとして、ロゴ態様の「TEVA」(登録第4070460号商標、甲2の1)をホームページ、紙資料や社屋看板等に用いている(甲3)。
また、申立人を指し示す略称として、数多くの業界紙、一般紙及び書籍において「テバ」の語が使用されている(甲25ないし甲37)。これらには、片仮名の「テバ」が使用されているが、例えば、「SONY」が「ソニー」、「APPLE」が「アップル」、「GOOGLE」が「グーグル」などと表されることは日常茶飯事であり、主に日本人が対象読者である以上、片仮名を使用していることは便宜的な問題にすぎない。
(ウ)主に薬剤師及び薬局関係者を対象とした専門誌「日経ドラッグインフォメーション」(甲38、甲39)によれば、全国の読者1,238人にアンケートした結果、テバ製薬の後発医薬品を自薬局内で1品目でも備蓄しているという「採用率」は84.4%に上り、日医工、沢井製薬に次いで第3位であり、申立人及びテバ・ジャパンに係る医薬品は、薬剤師等から高く認知されている。
また、同じく、薬剤師等に対するアンケートにおいて、テバ製薬に係る医薬品「クロピドグレル錠『テバ』」が、(同業者あるいは患者に)薦めたい後発医薬品として紹介されており、それが優れた製品であるとして、具体的な証言と共に大きく取り上げられている(甲39)。
さらに、我が国の後発医薬品市場におけるテバ製薬の販売額シェアは、2012年度に6.5%で国内シェア第3位、2013年度に5.6%で国内シェア第3位、2014年度も国内シェア第3位と、高順位のシェアを安定的に維持している(甲13、甲40、甲41)。
(エ)上記(ア)ないし(ウ)の事実に鑑みれば、医薬品の分野における取引者、需要者が引用商標に親しんでいる確率は、極めて高く、申立人に係る社名の略称及び登録商標たる「TEVA」及び「テバ」が、申立人及びその商品を表すものとして、我が国全域で広く知られているといって過言ではない。
混同を生ずるおそれ
引用商標「TEVA」及び「テバ」は、申立人及びその商品を表すものとして、我が国で著名となっているから、本件商標が付された指定商品に接した取引者、需要者は、その商品が申立人の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同するおそれがある。
商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある場合」とは、「広義の混同」も含むと解されているところ、a)「TEVA」及び「テバ」は、上記イで述べたとおり、我が国で周知性を獲得していること、b)「TEVA」及び「テバ」は、創造標章といえること、c)「TEVA」及び「テバ」は、申立人の略称であって、ハウスマークであること、d)製薬企業である申立人の属する製薬及び医薬品業界は、大型の合併、買収が極めて盛んであり、多角経営の可能性が高く、現に医薬品の分野へは他業種からの参入が相次いでいること(甲42ないし甲44)、e)本件商標に係る指定商品は、いずれもドラッグストアなどの一箇所において、「薬剤」とともに販売されていることは普通であるから、商品間の関連性も高く、特に、本件商標は、「○○Series(シリーズ)」という構成であるから、より一層申立人「TEVA」及び「テバ」が手掛ける関連商品であるかのような印象を与えやすいこと、からすれば、本件商標が付された指定商品を目にした需要者は、その商品が申立人と経済的又は組織的に関係がある者によって販売されていると誤認し、商品の出所について混同するおそれが極めて高い。
エ 小括
上述のとおり、本件商標をその指定商品について使用する場合には、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、申立人の略称として世界的に著名な「TEVA」及び「テバ」の文字と類似する「Tera」及び「テラ」の文字に、商品との関係において識別力の弱い「Health(ヘルス)」及び「Series(シリーズ)」の文字を結合させたにすぎない商標である。
ところで、本件商標の商標権者は、化粧品会社であるところ、そのホームページによれば、健康関連や栄養補助食品部門にも事業分野を広げていることが確認でき、これらは、人々の健康にまつわる分野であって、申立人の属する製薬及び医薬品分野とも関連性が強い。
また、申立人は、本件商標の登録出願より前から、テバ・ジャパンを通じて「TEVA」及び「テバ」の商標を使用した良質な医薬品を我が国の市場に大量かつ継続的に供給し、取引者等の間において高い知名度を獲得するに至っている。
かかる取引の実情に鑑みれば、本件商標の商標権者が、その登録出願時に著名であった引用商標の存在を知らなかったとはいい難く、自社の商品を「テラ☆ヘルスマット」、「テラ☆ヘルス枕」のように「テラ」のシリーズ商品として表し、「Tera」及び「テラ」の部分を殊更に強調するような態様による使用も確認される(甲45、甲46)。
したがって、本件商標は、引用商標に化体した高い名声と信用にフリーライドする意図で使用するものであり、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の主張及び同人提出の甲各号証並びに職権調査によれば、次の事実を認めることができる。
(ア)申立人は、1901年にイスラエル国のエルサレムで創業した製薬会社であり、医薬メーカーとして世界10位以内、製造拠点が世界中に87か所、販売国は100か国、売上高は2014年203億ドル、2015年197億ドルであって、2013年及び2014年の売上高は後発医薬品の分野において世界1位である(甲3?甲7、甲9)。
(イ)申立人は、2008年に、興和株式会社との合弁会社として、興和テバ株式会社を設立し、我が国における本格的な事業展開を開始した。その後、2012年に、興和テバ株式会社と大洋薬品工業株式会社が合併し、テバ製薬株式会社(テバ製薬)を設立、同社は、2016年10月1日に武田テバファーマ株式会社に名称変更した(職権調査:「武田テバ」ホームページ)。
なお、「日本のテバグループ」とされるものには、「テバファーマスーティカル株式会社」、「テバエーピーアイ株式会社」及び「武田テバ(武田テバファーマ株式会社と武田テバ薬品株式会社により構成)」がある(甲10)。
(ウ)テバ製薬の2014年の売上高は、約638億円であり(甲12)、国内後発医薬品市場におけるテバ製薬の販売額シェアは、2012年が6.5%で第3位、2013年が5.6%で第3位、2014年も第3位であった(甲13、甲40、甲41)。
(エ)テバ製薬は、自社のパンフレットにおいて、自社及び申立人を「TEVA」及び「テバ」と表記し(甲3、甲4)、自社の製品(の包装)には「TEVA」及び「テバ」の文字を付している(甲20、甲21)。
(オ)申立人は、多数の新聞、雑誌等で「テバ」と表記されている(甲5?甲9、甲25?甲37)。
イ 上記アにおいて認定した事実によれば、「TEVA」及び「テバ」の文字は、いずれも申立人及びテバ製薬(以下、両社を合わせて「申立人ら」という。)の略称又は申立人らの業務に係る後発医薬品を表示するものとして、薬剤師を含む後発医薬品の取引者の間に広く認識されているものと認めることができる。
しかしながら、申立人が提出した証拠からは、「TEVA」及び「テバ」の文字が、申立人らの略称又は申立人らの業務に係る商品(薬剤)を表示するものとして、薬剤(市販の薬剤を含む。)の一般の需要者の間にまで広く認識されているものと認めることはできない。
したがって、引用商標1を構成する「TEVA」の文字、引用商標2を構成する「テバ」の文字及び引用商標3の構成中の「テバ」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、いずれも申立人らの業務に係る商品(薬剤)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲のとおり、大きく赤色で二段に表された「TeraHealth」の文字及び「Series」の文字と、該「Series」の文字の下方に、それと幅が揃うように小さく黒色で表された「テラヘルス シリーズ」の文字とを配し、さらに、これらの文字の略中央背面に、大きさ及び彩度の異なる黄色の楕円形を六段に重ねたように表された図形を配してなるところ、その構成中、該図形部分は、その構成態様及び配置に照らせば、特定の意味合いを想起させることのない背景的なものとして看取、理解されるとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成中、二段に表された「TeraHealth」及び「Series」の各文字部分並びに「テラヘルス シリーズ」の文字部分が、図形部分から分離して観察され得るものである。
また、本件商標の構成中、「テラヘルス シリーズ」の文字部分は、その文字構成及び配置に照らせば、その上方に位置する二段に表された「TeraHealth」及び「Series」の各文字部分の読みを表したものとして看取、理解されるといえる。
さらに、本件商標の構成中、「Series」の文字部分は、「TeraHealth」の文字部分の下方に配され、かつ、それらの文字よりもやや小さく表されており、また、「シリーズ」の文字部分は、その左方に位置する「テラヘルス」の文字部分との間に1文字程度の間隙をもって配されているところ、「Series」及び「シリーズ」の各文字は、いずれも「連続性を持つ一連のもの」を意味する語として慣れ親しまれているものであって、一連の商品群を指称する際に一般に広く用いられているものであるから、本件商標の構成中の「Series」及び「シリーズ」の各文字部分は、それぞれの位置するところとあいまって、一連の商品群であることを表したものとして認識される場合も少なくないとみるのが相当であり,そのような認識においては、該各文字部分は、自他商品の識別標識として機能しないものである。
してみれば、本件商標は、その構成中の「TeraHealth」の文字部分及び「テラヘルス」の文字部分が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえるところ、「TeraHealth」の文字と「テラヘルス」の文字とは、それぞれ、同じ書体、同じ大きさの文字をもって、まとまりよく一体的に表されており、いずれからも「テラヘルス」の称呼を生じるものである。
そして、上記「TeraHealth」の文字及び「テラヘルス」の文字のうち、「Health」及び「ヘルス」の各文字が、本件商標の指定商品中の「薬剤」等との関係において、自他商品の識別標識としての機能が弱いといえるものの、その構成及び称呼においては、それぞれの構成文字全体が一体不可分であって、特定の観念を生じないものとして看取、認識されるというべきであり、殊更、その構成中の「Tera」及び「テラ」の各文字のみが、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えると認めるに足る事情は見いだせない。
上記したことを踏まえれば、本件商標は、その構成中の文字部分全体から「テラヘルスシリーズ」の称呼を生じるほか、「TeraHealth」及び「テラヘルス」の各文字部分から「テラヘルス」の称呼をも生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
(ア)引用商標1及び引用商標2は、前記2(1)及び(2)のとおり、それぞれ、「TEVA」の文字及び「テバ」の文字を横書きしてなり、これらは、いずれも「テバ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標3は、前記2(3)のとおり、「テバ製薬」の文字からなるところ、その構成中、「製薬」の文字部分は、「医薬品を製造すること。製造した薬剤。」の意味を有し、その指定商品又は指定役務中の「薬剤」、「受託による医薬品の製造」及び「医薬品の試験・開発・検査又は研究」等の医薬品製造に係る商品及び役務との関係において、自他商品又は自他役務の識別力が弱く、出所識別標識としての機能を果たし得ないものである。
そうすると、引用商標3は、上記商品又は役務との関係では、その構成中の「テバ」の文字部分が、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきであるから、これが要部であると認められる。
したがって、引用商標3は、その構成全体から「テバセイヤク」の称呼を生じるほか、その構成中の「テバ」の文字部分から「テバ」の称呼をも生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との対比
(ア)本件商標と引用商標1及び引用商標2とを比較すると、両商標の外観及び称呼は、上記のとおりであって、外観における構成態様及び称呼における語調、語感が明らかに異なるから、両商標は、外観上及び称呼上、相紛れるおそれはない。
また、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両商標は、観念上、相紛れるおそれはない。
しれみれば、本件商標と引用商標1及び本件商標と引用商標2とは、それぞれの比較において、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といえる。
(イ)本件商標と引用商標3とを比較すると、本件商標の全体並びに「TeraHealth」及び「テラヘルス」の文字部分の外観と引用商標3の全体及びその要部である「テラ」の文字部分の外観とは、上記のとおりであって、それぞれの比較において、構成態様が明らかに異なるから、両商標は、外観上、相紛れるおそれはない。
また、本件商標から生じる「テラヘルスシリーズ」及び「テラヘルス」の称呼と引用商標3から生じる「テバセイヤク」及び「テバ」の称呼とは、それぞれの比較において,語調、語感が明らかに異なるから、両商標は、称呼上、相紛れるおそれはない。
さらに、本件商標と引用商標3とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両商標は、観念上、相紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標3とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といえる。
(ウ)申立人は、本件商標について、その構成中の「Tera」の文字又は「テラ」の文字が要部であるとして、引用商標と類似する旨主張するが、上記アのとおり、本件商標は、その構成中の「Tera」及び「テラ」の各文字のみが、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えると認めることができないものである。
なお、「Tera」の文字と「TEVA」の文字、「テラ」の文字と「テバ」の文字とをそれぞれ比較しても、外観において、前者は「r」と「V」、後者は「ラ」と「バ」という文字の差異がある上、称呼においては、いずれも「ラ」と「バ」という音の差異があるから、これらの差異が、4文字という少ない文字構成及び2音という短い音構成からなる両者の外観及び称呼に与える影響は大きく、外観及び称呼上、相紛れるおそれはなく、また、「Tera」及び「テラ」の各文字と「TEVA」及び「テバ」の各文字とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両者は、観念上、相紛れるおそれはない。
してみれば、上記申立人の主張は、採用できない。
エ 小括
上記アないしウによれば、本件商標は、引用商標と非類似の商標であり、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標1を構成する「TEVA」の文字、引用商標2を構成する「テバ」の文字及び引用商標3の構成中の「テバ」の文字は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、いずれも申立人らの業務に係る商品(薬剤)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることができないものであり、また、本件商標は、上記(2)のとおり、引用商標との比較において、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
そうすると、本件商標は、これを本件登録異議の申立てに係る指定商品に使用しても、取引者、需要者をして,引用商標を想起させることはなく、その商品が申立人ら又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標1を構成する「TEVA」の文字、引用商標2を構成する「テバ」の文字及び引用商標3の構成中の「テバ」の文字は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、いずれも申立人らの業務に係る商品(薬剤)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることができないものであり、また、本件商標は、上記(2)のとおり、引用商標との比較において、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
そして、申立人が提出した証拠を総合してみても、本件商標の商標権者が、引用商標の名声と信用にフリーライドする意図など、不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る具体的事実を見いだすことができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の指定商品中、本件登録異議の申立てに係る指定商品(第5類に属する全指定商品)についての登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 (別掲)
本件商標(登録第5889879号商標)


(色彩については、原本参照のこと。)

異議決定日 2017-06-07 
出願番号 商願2016-43238(T2016-43238) 
審決分類 T 1 652・ 263- Y (W05)
T 1 652・ 271- Y (W05)
T 1 652・ 261- Y (W05)
T 1 652・ 222- Y (W05)
T 1 652・ 262- Y (W05)
最終処分 維持 
前審関与審査官 白鳥 幹周 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 田中 敬規
尾茂 康雄
登録日 2016-10-21 
登録番号 商標登録第5889879号(T5889879) 
権利者 エルセラーン化粧品株式会社
商標の称呼 テラヘルスシリーズ、テラヘルス、テラ、ヘルス 
代理人 小谷 武 
代理人 木村 吉宏 
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