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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W3543
審判 全部申立て  登録を維持 W3543
管理番号 1330306 
異議申立番号 異議2016-900395 
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-12-12 
確定日 2017-06-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第5881203号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5881203号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5881203号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成28年3月10日に登録出願,第35類「会員制クラブの管理及び運営,会員制クラブの管理及び運営に関する情報の提供,事業の管理及び運営,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供」及び第43類「会員制クラブにおける飲食物の提供,その他の飲食物の提供,会員制宿泊施設の提供,会員制宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,会議室の貸与,展示施設の貸与」を指定役務として,同年8月4日に登録査定され,同年9月9日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第5383631号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:BARBIE (標準文字)
登録出願日:平成22年4月21日
設定登録日:平成23年1月14日
指定商品及び指定役務:
第9類「サングラス,家庭用ビデオゲーム機,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,コンピュータゲームプログラム」
第14類「宝飾品,身飾品,時計」
第18類「かばん類,袋物,財布,札入れ,携帯用化粧道具入れ,傘」
第24類「布製身の回り品,タオル,ハンカチ」
第25類「被服,婦人服,子供服,サスペンダー,ベルト,履物及び運動用特殊靴」
第28類「おもちゃ,人形,ゲーム用具」
第35類「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,広告,コンピュータネットワークにおけるオンラインによる広告,広告場所の貸与」
2 登録第589632号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:昭和35年9月5日
設定登録日:昭和37年6月15日
最新更新登録日:平成24年3月27日
書換登録日:平成16年9月22日
指定商品:
第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,メトロノーム,レコード」
第15類「楽器,演奏補助品,音さ」
第20類「揺りかご,幼児用歩行器,マネキン人形,洋服飾り型類,スリーピングバッグ」
第21類「コッフェル」
第25類「仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」
第28類「おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具」
なお,これらをまとめて,以下「引用商標」という場合がある。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第15号及び同第19号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第45号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は,本件商標の登録出願前より商品「着せ替え人形」等に使用されている,今や女児の玩具の域を超え,キャラクターアイコンとして周知・著名な申立人の商標「BARBIE」の文字を,その構成中に顕著に有してなるものであるから,これを商標権者が本件商標の指定役務に使用するときは,あたかも申立人又は申立人と組織的・経済的に何らかの関係のある者の業務に係る役務であるかのように,役務の出所について混同が生じるおそれがある。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(1)引用商標の著名性について
ア 「BARBIE(バービー)」の著名性
本件商標の構成中「BARBIE」は,世界有数の玩具メーカーである申立人の代表的なブランドである(甲4,甲5)。そのブランド価値は,英ブランド調査会社ブランド・ファイナンスによると,玩具部門では第3位にあり,これは金額にして,約530億円に相当する価値があるとされている(甲6)。
我が国においても,「BARBIE」に極めて高い信用が形成されていることは,辞書(甲7?甲9),用語辞典(甲10)及び新聞記事(甲11,甲12)等の記載を見れば明らかである。
イ 玩具ブランドから時代のアイコンヘ進化
「BARBIE」は1959年にニューヨークのトイ・フェアで発表されて以来,半世紀近く世界一有名なファッションドールとして,150以上の国及び地域で,累計10億体以上売り上げてきた。また,時代の変化とともに精巧に制作された「BARBIE」人形の服は,10億着にも及ぶ。
2000年に入ると少子化による子ども人口の減少で,玩具業界は大人市場,とりわけ女性市場の開発が進められた。そのため,これまでの「BARBIE」人形の服には,ディオール,グッチ,プラダなど著名なデザイナーと共同で制作されたものも数多く含まれている(甲11,甲12)。
そんな「BARBIE」は,単なる着せ替え人形ではなく,時代のアイコンとして捉えられ,歴史や社会,文化との関わりを総括的に見せる展覧会も,数多く開催されている(甲11?甲15)。
ウ ライセンス事業を通してキャラクターブランドとしての定着
一方,2002年頃から,女性たちの支持を得ようと様々なプロジェクトが本格化し,子供時代のあこがれの対象だった「BARBIE」人形が,ライセンス事業の拡大により,リアルな世界で活躍しはじめる(甲16,甲17)。そして,株式会社サンエー・インターナショナルにより,10代ないし20代女性をターゲットにしたアパレルブランド「BARBIE」が展開されるや,「BARBIE」という存在は,女児用玩具としてだけでなく,大人にも通用するキャラクターブランドとして定着した。
株式会社サンエー・インターナショナルの第55期(平成15年9月1日?平成16年8月31日)の有価証券報告書によれば,本件商標の出願時以前より,「BARBIE」ブランドが好調に展開されていた事実が示されている(甲18)。
その後,2008年には「海外のリゾート」をコンセプトにゴルフブランド「Barbie golf by PEARLY GATES」,そして2009年には,クラシックな世界観をモチーフにウェディングドレスの「Barbie BRAIDAL」も登場した。ほかにも,化粧品ブランド「stila」,ジュエリーブランド「BOUCHERON」,コスメコンタクトブランド「ピエナージュ」とのタイアップなどにより,全国に構えるショップで,衣服・雑貨・化粧品などの様々な商品に,スウィートで愛らしい世界観を定着させている(甲19?甲21)。
そして,近年では,プリントシール「メイクソフトウェア」,クレジットカード「Life CARD」,また,飴の専門店「あめやえいたろう」とのタイアップなど,衣服・雑貨・化粧品に限らず,様々なコラボレーションも企画され(甲22?甲24),2014年には,乳がん検診の早期受診を推進するピンクリボンキャラクタ一に起用されるなど(甲25),遅くとも本件商標の出願日以前から,「BARBIE=お人形」というイメージが薄れ,「BARBIE=キャラクターアイコン」として,高い信用が形成されていたことは疑う余地のない事実である。
(2)役務の関連性について
本件商標の指定役務は,会員制クラブの管理及び運営や,会員制クラブにおける飲食物の提供等である。申立人自身が,「BARBIE FANCLUB」を運営し,BARBIEの誕生日を祝う「Barbie CONVENTION」や,クリスマスやハロウィンパーティ等の様々のイベントを行っている(甲27?甲32)。また,近年,リラックマカフェ,ミッフィーカフェ,ハローキティカフェ等,様々な人気キャラクターとコラボしたカフェ,レストラン及びホテルなどが流行しており,キャラクターアイコンとして周知・著名な「BARBIE」も例外ではない(甲33?甲39)。
(3)本件商標と引用商標の類似性について
本件商標は,フォーク,ナイフ及びスプーンと思しき図形の右側に,上段に「Salon」と「BARBIES」の文字,また,下段に「BALNIBARBI」と「shareholders,customers & supporters」の文字を二段に書してなるものであるが,これらの図及び文字は,その構成全体として特定の観念を有さず,常に一体不可分のものとしてのみ観察されなければならないとすべき特段の事情は見出せない。
そして,本件商標の構成中,圧倒的顕著に表示された「Salon BARBIES」の文字部分中「BARBIES」が,ファッションドールとして,また,キャラクターアイコンとして広く知られている「BARBIE(人形)」の複数形であるのに対し,「Salon」は,上流階級の文化的社交場や,喫茶店,バー,カフェなどの酒場の名として用いられる語であって(甲8),指定役務との関係で,単に役務の質,提供の場所を表示するにすぎない。そのため,「Salon」の文字部分には,自他役務の識別力がないか,あるいは,極めて希薄な部分であるといえる。
そうすれば,本件商標の需要者は,本件商標と引用商標との構成上の相違にもかかわらず,本件商標より「BARBIE」又は「BARBIES」の文字部分に着目し,「バービー人形」の観念を想起し,また,これより「バービー」又は「バービーズ」との称呼が生じる。
これに対し,引用商標は,欧文字「BARBIE」又は「Barbie」に対応して,「バービー」との称呼,また,これより申立人のファッションドールブランド「BARBIE」,また,キャラクターアイコン「BARBIE」としての観念が生じるのは明らかである。
そこで,引用商標と本件商標の要部を比較すると,両者は,同一の称呼及び観念を生ずる類似の商標というべきである。
(4)混同を生ずるおそれについて
近年,引用商標に係る申立人のライセンス事業は拡大され,雑貨から金融に至るまで多種多様な業界がライセンス先となっている。そして,人気のキャラクターの世界観を実現したカフェ,レストラン及びホテルなどが流行している昨今においては,キャラクターアイコンとして周知・著名な「BARBIE」も例外ではない。
そうすれば,本件商標の需要者は,本件商標と引用商標との構成上の相違にもかかわらず,本件商標より「BARBIES」の文字部分に着目し,当該サービスが申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務ではないかと,その出所について誤認混同するおそれがある。
(5)特許庁における認識について
上記主張は,指定役務を「飲食物の提供」とする商標「Barbiecafe バービーカフェ」について,あたかも申立人又は同人と組織的・経済的に何らかの関係のある者の業務に係る役務であるかのように,役務の出所について混同を生ずるおそれがある旨認定した審査結果に沿うものである(甲40)。
(6)小括
上述のとおり,本件商標を商標権者がその指定役務に使用するときは,あたかも申立人と組織的・経済的に何らかの関係のある者の業務に係る役務であるかのように,役務の出所について誤認混同するおそれがあるものといわざるを得ない。
また,申立人は,莫大な費用と労力を投じて,世界各国において1,500件以上もの商標出願・登録をすることにより,商標「Barbie(バービー)」に化体した信用の保護を図る一方(甲42,甲43),第三者の不正な使用の排除に努め,たとえば「Barbie」の世界観を飲食店などに不正に利用する者に対しては,警告書を送付するなどして,そのブランド価値を守ってきた(甲44)。
本件商標は,申立人の周知・著名商標「BARBIE」へのただ乗り及び当該表示の希釈化を図るものであり,かつ,申立人の企業経営の多角化,同一の表示による商品化事業を通して結束する企業グループの形成,ブランドの成立等,申立人の正当な利益を害するものである。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
2 商標法第4条第1項第19号について
(1)引用商標の著名性について
上述のとおり,「BARBIE」は,ファッションドールを表示するものとして,世界的に極めて高い信用を形成されていることは明らかである(甲4?甲40)。
(2)商標権者の不正の目的について
商標法第4条第1項第19号は,もともと高額な費用を投じ宣伝活動等により獲得した著名商標にただ乗りをしたり,価値を希釈化するのを防止することを目的とする規定である。そこでは,たとえば,平成14年(行ケ)第97号における裁判所の判断にみられるように,商標法第4条第1項第15号が出所の誤認混同のおそれを要件として規定しているのとは異なり,当該商標が周知となっている商品と本件商標の指定商品との関係は,不正の目的の有無を判断するための一要素となるにすぎないと思料する(平成14年(行ケ)第97号:甲45)。
(3)「BARBIE」の独創性について
「BARBIE」は,特定の意味を有する語として知られているものではなく,一種の造語として理解されるものである。そうすれば,日常的に使用されているような成語に比べて,その独創性は高いものであり,出願商標の採択の範囲は広いに関わらず,偶然に,他人の周知・著名商標を結合した商標を採択したとは考えられない。
(4)小括
したがって,本件商標は,申立人の周知・著名商標の出所表示機能を希釈化し,また,その名声を毀損させることを目的とした不正の目的をもって使用するものであるから,商標法第4条第1項第19号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張ついて
ア 「MATTEL」のウェブサイトにおいて,「商品紹介」の見出し下,「Barbie」の文字とそのバービー人形が表示され,その下部には,「1950年代後半,マテル創始者のルース・ハンドラーは紙人形の着せ替に夢中になる娘を見て,これを立体的なドールにすることを考案しました。娘の名前にちなんで「バービー」と名づけられた世界初の着せ替え人形が誕生すると,またたく間に女の子たちの心をとらえます。」の記載がある(甲5)。
イ 2016年4月4日付け「LIFE」のウェブサイトにおいて,「バービー人形を”再発明“したマテルは,どのように自社を変革したのか」の見出しのもと,「530億円の価値をもつバービー・ブランド」の項に,「『barbie』は米Yahoo!の検索トレンドにランクイン。英ブランド調査会社のブランド・ファイナンスによると,玩具部門でバービーのブランド価値は3位に。これは金額にして4億7,600万ドル(約530億円)に相当する価値があるという。」の記載がある。
また,2009年9月25日付け「映画com」のウェブサイトにおいて,「バービー人形が映画になる。『バービー・ザ・ムービー』製作へ」の見出しの下,「バービーは歴史的にもっとも有名な人形で,世界のファッションブランドにとってもユニークな文化的アイコンだ。」の記載がある(甲6)。
ウ 2011年8月31日発行の「英和ブランド名辞典」には,「Barbie バービー」の項において,「米国のMattel,Inc.製の人形。1959年より発売。」の記載がある(甲7)。
エ 2010年2月10日発行の「コンサイスカタカナ語辞典(第4版)」には,「バービー人形」の項において,金髪で青い目をしたプラスチィック製の人形。米国Mattel社製。1959年発売。」の記載がある(甲8)。
オ 2014年1月1日発行の「現代用語の基礎知識(自由国民社)」には,「バービー」の項において,金髪碧眼のプラスチィック製人形。」の記載がある(甲10)。
カ 2010年12月8日付けの「銀座経済新聞」のウェブサイトにおいて,「松屋銀座で『バービー展』-300体一堂に,日本初『ルブタンバービー』も」の見出しの下,「ファッションドール『バービー』300体以上を一堂に紹介する企画展『Barbie&Ken 50th Anniverary バービー展』が12月8日,松屋銀座(中央区銀座3)8階大催事場で始まった。バービーは米・玩具メーカー『マテル』が販売する『身長』30センチの着せ替え人形。NYのトイ・フェアでデビューした1959年当時・・・時代ごとに精巧に作られた最先端のファッションを着こなし,現在まで世界で10億体を販売した。」の記載がある。
また,「『バービーは単なる着せ替え人形ではなく,時代の空気をコンパクトに凝縮させた結晶。彼女を通して,約50年間の日本のファッションの変遷や時代の変化を感じてほしい』と話す(甲11)。
キ 2015年11月11日付け「朝日新聞デジタル」のウェブサイトにおいて,「時代のアイコン,バービー人形の展覧会がミラノで」の見出しの下,「1959年3月9日,米国ウィスコシン州生まれ,ティーンエージャーのファッションモデルとしてデビュー。・・・この身長29.5センチの人形は現在までに140カ国で販売され,彼女のために9億8千メートルの布地が使われ,10億着の服が作られた。着せ替え人形として世界一有名なバービーだが,誕生以来56年の歴史の中で,服の流行だけではなく各時代の動きを反映してきた。」の記載がある(甲12)。
ク 博物館・美術館情報サイト「ミュージアムカフェ」のウェブサイトにおいて,「EVENT 展覧会情報」の見出しの下,「バービー展」の項に,「長島美術館では,2011年度冬の特別企画展として,『バービー展』を開催致します。1959年にニューヨークのトイ・フェアでデビューして以来,その時代の最先端ファッションを身にまとい,世界中の人々の心を魅了してきた『バービー』。・・・長島美術館限定バービーなども販売いたします。誕生から50年以上経った現在でも世界中で愛されている,バービーの世界を男性,女性問わず,ご家庭やご友人とお楽しみください。」の記載がある(甲13)。
ケ 「FASHION PRESS」のウェブサイトにおいて,「バービー55周年『モード オブ バービー展』神戸で開催,ルブタン,G.V.G.V.などとコラボ」の見出しの下,1959年,ニューヨークのトイ・フェアでデビューし,半世紀以上経った今でもなお愛され続ける,ファッションドールのバービー。そごう神戸店では2014年9月30日(火)から10月6日(月)の期間,バービーの生誕55周年を記念して,関西初上陸となる『モード オブ バービー展』が開催される。」の記載がある。
コ 2016年2月16日付け「荘苑 SO-EN ONLINE」のウェブサイトにおいて,「【From Paris】パリ装飾美術館で『バービー展』開催」の見出しの下,「1959年に誕生してから,半世紀以上に渡り,世界中の女の子を魅了して止まらないバービー。そのコレクターは数知れず,子供達の着せ替え人形であると同時に,ファッションアイコンとしての地位をも築いてきた。」の記載がある。
サ 2003年12月8日付け「繊研新聞」において,「米マテル『バービー』ライセンス事業拡大アパレル軸に大人向け強化」の見出しの下,「世界最大の玩具メーカーである米マテル社(本社カリフォルニア州)は,ドールブランド『バービー』のライセンス事業を一段と強化する。従来のガールズ向けに加え,今年から日本でスタートした大人向け事業をアパレル製品を軸に拡大,・・・バービーのライセンス事業は7年前から本格化しており,03年の売上高(卸売ベース)は『12億ドル以上となる見込み』。・・・ライセンス事業を展開している国は55以上で,海外の売り上げは全体の50%以上となった。」の記載がある。
シ 2009年3月11日付け「日経トレンディネット」のウェブサイトにおいて,「生誕50周年のバービー人形!玩具からブランドに進化中」の見出しの下,「日本でも『バービー』という存在は女児用玩具の域を超えて,キャラクター自体が大人にも通用するブランドとして成立しつつある。国内でバービーが“一ブランド”として認識されはじめたのは,2003年に10?20代女性をターゲットにしたアパレルブランド『Barbie』が展開され始めたタイミングだ。」の記載がある(甲19)。
ス 2017年2月7日付け「SHO-BI」のウェブサイトにおいて,「報道資料/コスメコンタクト『ピエナ-ジュ』が世界を越えて世界中で愛され続ける『バービー』とコラボ!『バービーbyピエナ-ジュ』で女性が憧れるカワイイ世界観を瞳から演出」の記載がある(甲20)。
セ 2016年4月4日付け「株式会社メイクソフトウェア」のウェブサイトにおいて,「永遠のファッションアイコン“Barbie”のとびきりかわいい世界へ!最新プリントシール機『Barbie Your Doll(バービーユアドール)』7月上旬登場」の見出しの下,「世界的ファッションアイコンで女の子の永遠の憧れである“Barbie”がプリントシール機『Barbie Your Doll』として登場。」の記載がある(甲22)。
ソ 「Life CARD」のウェブサイトにおいて,「クレジットカードをつくる」の見出しの下,「Barbie カード」の項において,「持っているだけでハッピーになれる!/Barbieカード/お申込みはこちら」の記載があり,また「世界一有名なファッションドール『バービー』」の記載がある(甲23)。
タ 2015年2月1日付け「榮太郎総本舗」のウェブサイトにおいて,「“あめやえいたろう×バービー”の,大人かわいいコラボ飴を期間限定発売」の見出しの下,「榮太郎総本舗はこのほど,飴の専門ブランド『あめやえいたろう』より,『バービー(Barbie)』とのコラボレーション商品を発売した。」の記載,及び「“飴の最先端”を目指す「あめやえいたろう」と,女の子の憧れのファッションドールバービーとのコラボで,大人かわいい独自の世界観を表現。」の記載がある(甲24)。
(2)上記(1)からすれば,以下のとおりである。
申立人は,1959年から「Barbie」と称する人形(以下「バービー人形」という。)の販売を開始し,現在も継続して販売していることが認められる。
そして,英ブランド調査会社のブランド・ファイナンスによると,玩具部門でバービーのブランド価値は3位に。これは金額にして4億7,600万ドル(約530億円)に相当する価値があるとされ,バービー人形は,今までに140カ国で10億体,10億着の服が販売されてきている。
また,バービー人形については,「歴史的にもっとも有名な人形で,世界のファッションブランドにとってもユニークな文化的アイコンだ。」,「バービーは単なる着せ替え人形ではなく,・・・約50年間の日本のファッションの変遷や時代の変化を感じてほしい」,「着せ替え人形として世界一有名なバービーだが,誕生以来56年の歴史の中で,服の流行だけではなく各時代の動きを反映してきた。」及び「世界一有名なファッションドール『バービー』」などと記載され,世界でも有名な着せ替えの「人形」として,今までに多くの新聞,雑誌及びウェブサイトにおいて紹介がされたり,話題として取り上げられたりしてきている。
さらに,近年では,他の業種とのコラボレーションも進んでおり,アパレル,コスメコンタクト,プリントシール機,クレジットカード,飴及びホテルなど様々なコラボレーションも企画され,幅広い業種に「Barbie」の標章を付して使用されていることが認められる。
してみれば,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時はもとより現在においても,申立人の業務に係る商品「人形」を表示する標章として,我が国における取引者,需要者の間に広く認識されているといえるものである。
2 本件商標と引用商標の類否について
(1)本件商標
本件商標は,別掲1のとおり,左側にフォーク,ナイフ及びスプーンとおぼしき図形(これらの図形を合わせて,以下「洋食器図形」という。)を配し,その右側に「Salon BARBIES」(「B」の欧文字はいずれも太い線で,横幅が他の文字より2倍程度大きく表されている。)の欧文字と,小さな文字で「BALNIBARBI shareholders,customers & supporters」の欧文字を上下二段に書してなるところ,洋食器図形と文字部分とは,視覚上容易に分離して看取されるものである。
そして,上段の「Salon BARBIES」の欧文字と,下段の「BALNIBARBI shareholders,customers & supporters」の欧文字とは,文字の大小において顕著な差があり,視覚上容易に分離して看取されるものであるから,大きくかつ特徴的な態様で表された「Salon BARBIES」の文字部分は,要部として取引者,需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。
また,該「Salon BARBIES」の文字部分については,「Salon」の文字が,「客室。応接間。ホテル・客船などの広間・談話室。」(株式会社岩波書店 「広辞苑第六版」)等の意味を有する語であり,「BARBIES」の文字が,辞書等に載録されていない語であるから,該文字部分は,特定の意味合いを認識させない一種の造語とみるのが相当である。
したがって,本件商標は,該「Salon BARBIES」の文字部分に相応して「サロンバービーズ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標1は「BARBIE」の文字からなり,引用商標2は別掲3のとおり筆記体で書された「Barbie」の文字からなり,その構成文字に相応し「バービー」の称呼を生じ,「(申立人のブランドとしての)Barbie」及び「バービー人形」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標の類否
ア 本件商標と引用商標について
本件商標と引用商標を比較すると,外観においては,本件商標は図形と文字からなる商標であり,引用商標は文字のみの商標であるから,両者は明らかに相違するものであり,また,本件商標の構成中,出所識別標識として強く支配的な印象を与える「Salon BARBIES」の文字部分と引用商標を比較すると,「Salon」の文字の有無及び「BARBIE」に続く「S」の文字の有無という明らかな差異を有するから,これらの相違が本件商標と引用商標の外観の視覚的印象に与える影響は大きく,外観上,本件商標と引用商標は相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。
次に,称呼においては,本件商標から生じる「サロンバービーズ」の称呼と引用商標から生じる「バービー」の称呼とを比較すると,両者は,長音2音を含む8音と4音いう音構成からなるものであって,両称呼の語調語感は,明らかに相違するものであるから,称呼上,聞き誤るおそれのないものである。
さらに,観念においては,本件商標が特定の観念を生じないものであるのに対し,引用商標は「(申立人のブランドとしての)Barbie(バービー人形)」の観念を生じるものであるから,観念上,本件商標と引用商標は相紛れるおそれのないものである。
そうすれば,本件商標と引用商標は,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似のものであって,別異のものといわなければならない。
イ 小括
上記アのとおり,本件商標は,引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標である。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記1のとおり引用商標は,本件商標の登録出願の日前から登録査定日はもとより現在においても継続して,申立人の業務に係る商品(バービー人形)を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものである。
そして,上記2のとおり本件商標は,引用商標と外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標である。
そうすると,本件商標は,商標権者がこれをその指定役務について使用しても,取引者,需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく,その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他,本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
上記1のとおり,引用商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであるとしても,上記2のとおり,本件商標と引用商標とは,相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標である。
また,商標権者が,不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的を持って本件商標を出願し,登録を受けたと認めるに足りる具体的事実を見いだすこともできない。
そうすれば,本件商標は,引用商標の出所表示機能を希釈化し又は名声を毀損させるなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
5 申立人の主張について
申立人は,本件商標はその構成中,「BARBIES」が,ファッションドールとして,また,キャラクターアイコンとして広く知られている「BARBIE(人形)」の複数形であるのに対し,「Salon」は,上流階級の文化的社交場や,喫茶店,バー,カフェなどの酒場の名として用いられる語であって,指定役務との関係で,単に役務の質,提供の場所を表示するにすぎないため,「Salon」の文字部分には,自他役務の識別力がないか,あるいは,極めて希薄な部分であるといえるから,本件商標の需要者は,本件商標と引用商標との構成上の相違にもかかわらず,本件商標より「BARBIE」又は「BARBIES」の文字部分に着目し,「バービー人形」の観念を想起し,また,これより「バービー」又は「バービーズ」との称呼が生じる旨を主張している。
しかしながら,本件商標の構成中「BARBIES」の文字は,上記2(1)のとおり,「B」の2文字が太い線で大きく表された特徴的な態様であって,該文字を含む本件商標と引用商標とは,別異の商標であるから,需要者をして引用商標又はバービー人形を想起させることのないものであり,また,その構成中の「BARBIE」の文字部分がことさら出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとは認められないから,本件商標は「バービー人形」の観念及び「バービー」又は「バービーズ」の称呼が生じるものということはできない。
してみれば,申立人の上記主張は,その前提において理由がなく,採用することはできない。
6 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)



別掲2(引用商標2)



異議決定日 2017-06-14 
出願番号 商願2016-26230(T2016-26230) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W3543)
T 1 651・ 271- Y (W3543)
最終処分 維持  
前審関与審査官 半田 正人 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 山田 正樹
榎本 政実
登録日 2016-09-09 
登録番号 商標登録第5881203号(T5881203) 
権利者 株式会社バルニバービ
商標の称呼 サロンバービーズ、バルニバービシェアホルダーズカストマーズアンドサポーターズ、バルニバービ、シェアホルダーズカストマーズアンドサポーターズ、シェアホルダーズカストマーズサポーターズ、バービーズ 
代理人 北村 光司 
代理人 浅尾 遼 
代理人 工藤 莞司 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 高尾 俊雄 
代理人 森川 邦子 
代理人 黒川 朋也 

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