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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W37
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W37
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W37
管理番号 1330301 
異議申立番号 異議2016-900262 
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-08-23 
確定日 2017-06-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5868632号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5868632号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5868632号商標(以下「本件商標」という。)は、「べっぴんリフォーム」の文字を標準文字で表してなり、平成28年1月8日に登録出願、第37類「建設工事,建築工事に関する助言,ウェブサイトによる建築物の建設工事に関する情報の提供」を指定役務として、同年6月9日に登録査定、同年7月22日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5275341号商標(以下「引用商標」という。)は、「まるで新築 べっぴんさんリフォーム」の文字を標準文字で表してなり、平成20年9月16日に登録出願、第37類「建設工事,建築工事に関する助言,錠前の取付け又は修理,建築物の外壁の清掃,床磨」及び第42類「建設物の設計,測量,デザインの考案」を指定役務として、同21年10月23日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号に基づき、取り消されるべきものであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 本件商標について
本件商標は、標準文字で「べっぴんリフォーム」の文字を横書きしてなるところ、その構成中の「リフォーム」の文字部分は、慣用的に役務を表す普通名詞であるため、要部となる部分は「べっぴん」であることが明白な標章である。
2 引用商標について
引用商標は、標準文字で「まるで新築 べっぴんさんリフォーム」の文字を横書きしてなるところ、その構成中の「まるで」に続く「新築」の文字が名詞であり、その後がスペースで区切られるため、「まるで」は、連用修飾語として、「新築のようだ」の省略されている「ようだ」の部分を修飾する単語であると解される。また、「べっぴんさん」は、要部となる部分であるが、「さん」は敬称であり、特段に識別力はなく、「リフォーム」は、慣用的に役務を表す普通名詞である。
3 商標法第4条第1項第11号及び同第15号について
引用商標における「まるで新築」の部分は、「べっぴんさんリフォーム」を修飾して、役務の質を表現する「形容詞的文字」の性格を有する文字部分であるから、「べっぴんさんリフォーム」は、自他役務識別機能を果たし、需要者、取引者は、申立人の役務として認識するものである。
また、引用商標は、「まるで新築」と「べっぴんさんリフォーム」をスペースによって明白に区切っているため、分離して認識される。
そうすると、引用商標と本件商標との比較は、「べっぴんさんリフォーム」と「べっぴんリフォーム」において判断される必要がある。
さらに、引用商標の構成文字全体から生ずる「マルデシンチクベッピンサンリフォーム」の称呼は、17音と冗長なものであることから、よどみなく一連に称呼し得るものとはいい難いものである。これを需要者、取引者が簡略に表現した場合でも、修飾的な形容詞的文字を省略する傾向は否定できず、引用商標について、需要者によって簡略化されて認識される部分は、「べっぴん」又は「べっぴんさん」の文字部分である。
そして、「べっぴんさん」とは、美人のことを意味し、「べっぴん」との観念上の変化は発生しないものであるから、本件商標と引用商標とは、「べっぴん(さん)」部分において、観念が一致している。
したがって、本件商標は、引用商標と同一の観念を生ずるものであり、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものである。

第4 当審における取消理由の要旨
当審において、商標権者に対し、「本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を平成29年1月31日付けで通知した。

第5 商標権者の意見
商標権者は、前記第4の取消理由について、指定した期間内に意見を述べていない。

第6 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「べっぴんリフォーム」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「べっぴん」の文字は、「とりわけ美しい女。美人。」の意味を有する語であり、また、「リフォーム」の文字は、「建物の改築・改装」等の意味を有する語(いずれも「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)であって、両語は、一般によく知られて親しまれているものである。
そして、該「リフォーム」の語は、本件商標の指定役務との関係においては、その意味からして、建築工事等の役務の質を表示するものとして認識されるものであるから、本件商標は、その構成中の「べっぴん」の文字部分が、自他役務を識別する機能を有する要部として認識されるとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その要部である「べっぴん」の文字部分に相応して「ベッピン」の称呼を生じ、「とりわけ美しい女。美人。」の観念を生じるものである。
(2)引用商標
引用商標は、前記第2のとおり、「まるで新築 べっぴんさんリフォーム」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「まるで新築」の文字部分と「べっぴんさんリフォーム」の文字部分の間には1文字分程度の間隔があり、かつ、構成文字全体から生ずる「マルデシンチクベッピンサンリフォーム 」の称呼は、極めて冗長であって、観念においても一連一体の熟語を形成するものではなく、「まるで新築」の文字部分と「べっぴんさんリフォーム」の文字部分とを常に一体不可分のものとして把握しなければならない格別の事情も見出せないものである。
また、引用商標の構成中、前半部の「まるで新築」の文字部分は、「あたかも新築したような」程の意味合いを理解させるものであり、その指定役務との関係においては、役務の内容を記述的に表現した文字部分として理解されるものであって、自他役務の識別力が極めて弱いものであることからすると、後半部の「べっぴんさんリフォーム」の文字部分が強く印象に残るものである。
そうすると、引用商標は、これに接する取引者、需要者が「べっぴんさんリフォーム」の文字部分に着目して取引に当たる場合も決して少なくないものといえるが、「リフォーム」の文字は、「建物の改築・改装」等の意味をもって一般に親しまれている語であり、指定役務との関係においては役務の質を表示するものとして認識されるものであることからすると、引用商標は、その構成中の「べっぴんさん」の文字が、自他役務を識別する機能を有する要部として認識されるとみるのが相当である。
してみれば、引用商標は、該文字部分に相応して「ベッピンサン」の称呼をも生じるものである。
そして、「べっぴんさん」の文字は、「べっぴん」の文字に、敬称である「さん」をつけた表現であり、「べっぴん」の文字の意味と同様に「とりわけ美しい女。美人。」の意味を有する語として理解されることから、引用商標の要部である「べっぴんさん」の文字部分からは、「とりわけ美しい女。美人。」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とを比較すると、外観においては、両者の要部である「べっぴん」と「べっぴんさん」の文字部分とは、敬称である「さん」の文字の有無の差異がある。
しかし、該「さん」の語は、「人名などの下に添える敬称。」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)とあるように、人の氏名の下に添えて敬意を表す敬称としての通常の用例のほかに、例えば、身近なものを擬人化し、親しみなどを表した事物の愛称として用いられることも、広く知られているものであるが、一般に、商標の構成部分中に、こうした愛称や敬称の類が使用されている場合に、当該部分は、独立した一語としての機能を有しない接尾語として、識別力を欠くか又は希薄であることが明らかである。
そうすると、引用商標は、その構成中、「べっぴん」の文字に最も注意を引かれ、その文字の意味するものと理解されるとみるのが自然である。
してみれば、両者は、語頭から4文字目までが同じ綴り字からなる「べっぴん」の文字であるから、外観上、近似した印象を与えるものである。
さらに、これらの文字に「リフォーム」の文字を結合した「べっぴんリフォーム」と「べっぴんさんリフォーム」との比較においても、両者は「べっぴん」の文字部分と「リフォーム」の文字部分とを共通にするものであり、相違する点は、わずかにその構成の中間に位置する敬称の「さん」の文字の有無であることから、全体としても、近似した印象を与えるものである。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「ベッピン」の称呼と引用商標から生じる「ベッピンサン」の称呼とは、後半部の「サン」の音の有無に差異を有するものの、引用商標は、称呼上、重要といえる前半部の「ベッピン」の音を本件商標の称呼と共通にするから、近似した印象を与えるものである。
また、観念においては、「とりわけ美しい女。美人。」の観念を共通にするものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観及び称呼において紛らわしく、観念において共通するものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(4)本件商標と引用商標の指定役務の類否
本件商標と引用商標の指定役務は、それぞれ前記第1及び第2のとおりであり、本件商標の指定役務「建設工事,建築工事に関する助言,ウェブサイトによる建築物の建設工事に関する情報の提供」と、引用商標の指定役務中の「建設工事,建築工事に関する助言」とは、同一又は類似の役務といえる。
(5)小括
したがって、本件商標と引用商標とは、類似する商標であって、かつ、本件の指定役務は引用商標の指定役務中の「建設工事,建築工事に関する助言」と同一又は類似する役務であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-04-26 
出願番号 商願2016-2098(T2016-2098) 
審決分類 T 1 651・ 263- Z (W37)
T 1 651・ 261- Z (W37)
T 1 651・ 262- Z (W37)
最終処分 取消  
前審関与審査官 安達 輝幸 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 木住野 勝也
中束 としえ
登録日 2016-07-22 
登録番号 商標登録第5868632号(T5868632) 
権利者 アトピッコハウス株式会社
商標の称呼 ベッピンリフォーム、ベッピン 
代理人 中村 英子 
代理人 丹羽 宏之 
代理人 梶 俊和 

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