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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X43
管理番号 1330255 
審判番号 取消2016-300329 
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-05-13 
確定日 2017-06-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第5160920号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5160920号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成19年3月7日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同20年8月22日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、同28年5月27日である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、との審決を求め、審判請求書、審判事件弁駁書及び口頭審理陳述要領書において、その理由を要旨次のように述べ、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)答弁書の理由(1)について
ア 被請求人は、乙第1号証ないし乙第8号証を挙げて、商標権者である有限会社豊城が「平成26年11月まで滋賀県長浜市八幡中山町490所在の『ちゃんぽんとんこつらーめん豊 長浜店』において、本件商標を使用し、ラーメン店を経営していた。」と主張する。
イ 乙第1号証には、「滋賀県長浜市八幡中山町490」所在の店舗「長浜店」に係る賃料が計上され、乙第2号証には、「滋賀県長浜市八幡中山町490」の「長浜店」についての記載があるが、乙第1号証及び乙第2号証の何れにも、「ちゃんぽんとんこつらーめん豊 長浜店」についての記載はない。
乙第3号証には、住所及び名称を含めて、店舗を特定し得る記載は見当たらない。
一方、乙第4号証には、「ちゃんぽん・とんこつらーめん豊長浜店」という名称の店舗の所在地を示すとみられる表示が「滋賀県長浜市八幡中山町490-1」と記載されており、「中山町490」ではない。
また、乙第5号証ないし乙第7号証には、「ちゃんぽん・とんこつらーめん」の看板が掲げられた店舗が写っているが、乙第5号証ないし乙第7号証からは、ここに写っている場所に、それ以外にも様々な店舗が立地していることが認められる。
これらの点からすれば、商標権者の乙第1号証及び乙第2号証に記載されている「滋賀県長浜市八幡中山町490」所在の店舗が、乙第4号証に記載されている「滋賀県長浜市八幡中山町490-1」所在の「ちゃんぽん・とんこつらーめん豊長浜店」という名称の店舗であるとは認められない。
すなわち、商標権者が本件審判の請求の登録前3年以内に「滋賀県長浜市八幡中山町490-1」所在の「ちゃんぽん・とんこつらーめん豊長浜店」という名称の店舗の営業を行っていたと認めることはできない。
ウ 乙第6号証の中央部右側に写っている店舗に掲げられた看板の右端部には、赤色の太線で描かれた丸い図形を含む表示が認められるが、この表示は、全体として不明瞭であり、本件商標、或いは、商標法第50条第1項に規定されている「登録商標と社会通念上同一と認められる商標」であると認められるものではない。
すなわち、本件審判の請求の登録前3年以内に「滋賀県長浜市八幡中山町490-1」所在の「ちゃんぽん・とんこつらーめん豊長浜店」という名称の店舗において本件商標と同一と認められる商標が使用されていたとは認められない。
(2) 答弁書の理由(2)について
ア 被請求人は、乙第9号証ないし乙第14号証を挙げて、「現在、被請求人から、本件商標の使用を含め店舗の譲渡を受けた者が、滋賀県草津市駒井沢町47番地において経営するラーメン店『ちゃんぽんとんこつらーめん豊 草津駒井沢店』において、本件商標が使用されている。」と主張する。
イ しかしながら、本件商標の使用を含め店舗の譲渡を受けて、現在、滋賀県草津市駒井沢町47番地においてラーメン店「ちゃんぽんとんこつらーめん豊 草津駒井沢店」を経営しているとされる者、すなわち「現経営者」とされる者は特定されておらず、その者が本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標に係る商標権についての専用使用権者又は通常使用権者であったとの立証も何らなされていない。証拠説明書に「本店舗の現経営者によると、6年程度前に、当時被請求人が経営していた本店舗を、店の使用、店名、本件商標等をそのまま使用することを認める条件で譲り受けたものである(清算人が電話聴取)」と記載されているにすぎず、それを裏付ける証拠も示されていない。
したがって、本件審判の請求の登録前3年以内に、専用使用権者又は通常使用権者により、滋賀県草津市駒井沢町47番地のラーメン店「ちゃんぽんとんこつらーめん豊 草津駒井沢店」において、飲食物の提供について本件商標が使用されていたとは認められない。
(3)以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務である「飲食物の提供」について登録商標を使用していたことを証明しておらず、指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについての正当な理由も明らかにしてはいない。
よって、商標法第50条第2項の規定により、被請求人の主張には理由がない。
3 口頭審理陳述要領書(平成29年3月17日付け)
(1)乙第15号証の記事は、平成25年(2013年)5月22日又はそれよりも前の日の事柄についての記事である。
本件審判の請求の登録日は、その登録原簿写し(甲1)に記載のとおり平成28年5月27日であるから、乙第15号証並びにその一部を拡大した乙第16号証及び乙第17号証は、本件商標の指定役務についての使用を証明する、ことを要する期間である本件審判の請求の登録前3年以内(商標法第50条第2項)の使用を証明するものではない。
(2)本件商標は、「豊」の文字を構成する「曲」と「豆」のうち「豆の」第一画を、左右に大きく張り出した「一」の文字に替えた黒色の創作的な文字と、そのほぼ外周部のうち右下から右回りで一周足らずの部分を囲むように赤色の太線で描かれた丸い図形と、左上と右下の互いに対応する位置にそれぞれ右下部及び左上部が前記丸い図形にかかるように黒線で描かれた縦長長方形枠と、「か」の右上部を除いて左上の縦長長方形枠内に縦書きされた「ゆたか」の黒色文字と、「一」が左右に張り出した状態で右下の縦長長方形枠内に縦書きされた「一番」の黒色文字からなる。
本件商標は、これらの要素が互いに関連して一体状をなすよう構成されたものであり、何れの要素も、本件商標に欠くことはできない。
ところが、乙第15号証の写真並びにその一部を拡大した乙第16号証及び更に拡大した乙第17号証において、「ゆたか」の黒色文字及び「一番」の黒色文字を確認することはできない。この点は、乙第17号証の写真の一部を拡大した甲第2号証より明らかである。
したがって、乙第15号証ないし乙第17号証には、本件商標が示されているとは認められない。
(3)以上のように、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務である「飲食物の提供」について登録商標を使用していたことを証明しておらず、指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについての正当な理由も明らかにしてはいない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を答弁書及び口頭審理陳述要領書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第17号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)被請求人は、平成26年11月まで、滋賀県長浜市八幡中山町490所在の「ちゃんぽんとんこつらーめん豊 長浜店」において、本件商標を使用し、ラーメン店を経営していた(乙1?乙8)。
(2)現在、被請求人から、本件商標の使用を含め店舗の譲渡を受けた者によって、滋賀県草津市駒井沢町47番地において経営するラーメン店「ちゃんぽんとんこつラーメン豊 草津駒井沢店」において、本件商標が使用されている(乙9?乙14)。
(3)以上のとおり、本件商標は、第43類の「飲食物の提供」について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者である被請求人及び使用権者により使用されており、商標法第50条第1項の定めに該当しない。
2 口頭審理陳述要領書(平成29年3月1日付け)
(1)被請求人は、被請求人が平成26年11月まで経営していた、滋賀県長浜市中山町490所在の「ちゃんぽんとんこつらーめん豊 長浜店」において、本件商標を店舗外壁の看板に記載する方法で使用していた。
(2)乙第15号証は、請求人、被請求人とは無関係の第三者が、2013年(平成25年)5月22日に、上記店舗でちゃんぽんを食べた事実について、インターネット上に掲載した記事である。同記事中に、本件商標を記載した看板が店舗外壁に設置されている状況が撮影された写真が掲載されている(乙16及び乙17は、それぞれ、上記記事中の、本件商標を用いた看板を撮影した写真を拡大したもの)。当該写真により、請求人が主張する、本件商標の特徴を鮮明に確認できる。
(3)上記(2)の記事は、平成25年5月22日付で、また記事の冒頭には「今日は仕事で滋賀 長浜に来ました」とあるとおり、平成25年5月22日時点の写真と考えられる。すなわち、本件審判の請求の日である平成28年5月13日より3年以内に、「飲食物の提供」について、本件商標が用いられていたことは明らかである。
(4)以上のとおり、平成25年5月現在で、本件商標が、前記店舗の外壁にある看板に用いられていたことは明らかである。仮に、請求人が、乙第15号証以下の写真が撮影された時期に疑義を挟むとしても、通常、事業者が一旦実際の使用に供した登録商標の使用を後に中止するということは、特別な事情がない限り通常考えられないことである。
被請求人は、閉店した平成26年11月まで、同じ場所で、同じ屋号で、同じくちゃんぽん、ラーメン店の営業を続けていた(乙1?乙8)のであり、その後商標の使用だけを中止することは、社会通念上、経験則上もありえない。その後も閉店まで、同じ態様で本件商標を使用していたことは優に推認することができる。
そうとすれば、被請求人が、当該店舗が閉店した平成26年11月まで、本件商標を同様に使用していたこと、すなわち本件審判の請求から3年以内に使用していたことは明らかである。
(5)上記の、店舗外壁上の看板に、本件商標を記載する方法での商標の使用は、商標法第2条第3項第8号の行為に該当する。
(6)請求人は、上記長浜店の所在地について「長浜市八幡中山町490-1」と同「490」の差異を摘示し、同地において被請求人が「ちゃんぽんとんこつラーメン豊」という名称の店舗を経営していたとは認められないと主張する。しかし、当該店舗は、請求人が述べるとおり、複数の飲食店が立地する広場の一角であり、このような場所の住所の表記において「490」と「490-1」程度の差異がみられうることは社会通念上明らかであって、これを根拠に同地に上記店舗が存在したとは認められないとの請求人の主張は失当である。
なお、乙第15号証ないし乙第17号証の写真の左端には、「せせり」等の字句や黒地に白で「から」と書かれ、その左側に赤色の文字が記載された看板をもつ隣接店舗が写っている。これは、乙第6号証中、被請求人が経営していた店舗の左横に写っている店舗と同じである。このことから、乙第15号証ないし乙第17号証の写真にかかる店舗が、乙第5号証ないし乙第7号証の店舗と同一であることがわかる。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び主張について
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、被請求人が作成した「決算報告書」である。
1葉目には、上段に「第17期/決算報告書/平成25年8月1日から/平成26年7月31日まで」と記載され、下段には被請求人の名称が記載されている。
2葉目には、上段に「第17期/勘定科目内訳明細書/平成25年8月1日から/平成26年7月31日まで」と記載され、中段には「1.預貯金等の内訳書・・・9.地代家賃等/工業所有権等の使用料の内訳書・・・」等、10項目の内訳書の項目名が記載され、下段には被請求人の名称が記載されている。
3葉目には、上段に「地代家賃等の内訳書」、「商号:有限会社 豊城」及び「平成25年8月1日?平成26年7月31日」の記載があり、その下に「地代家賃の内訳」と題する表が記載されており、該表の「地代・家賃の区分」の欄に「家賃」の記載、「借地(借家)物件の用途/所在地」の欄に「店舗/長浜市八幡中山町490」の記載、「貸主の名称(氏名)/貸主の所在地(住所)」の欄に「滋賀不動産(株)/長浜市八幡中山町535-6」の記載、「支払対象期間」の欄に「H25・8・1?H26・7・31」の記載及び「摘要」の欄に「長浜店」の記載がある。
(2)乙第3号証について
乙第3号証は、「契約解除合意書」であり、「貸主 滋賀不動産株式会社 と 借主 有限会社豊城 は、1993年7月27日付け賃貸借契約、並びに2014年7月1日付建物(居住用)定期賃貸借契約の2件の契約を締結しておりますが、すべての契約を解除することに合意したので、ここに合意書を作成し各自一通づつ所持する。」と記載され、「記」として「1.2014年(平成26)11月30日をもって2件の賃貸借契約を解除する。」との記載があり、書面の右側には「2014年(平成26)10月31日」の記載の下に貸主と借主の住所、名称及び押印がある。
そして、第1回口頭審理において、被請求人から「乙第3号証の『契約解除合意書』によって解除した契約は、滋賀県長浜市八幡中山町490所在の『ちゃんぽん・とんこつらーめん豊 長浜店』の店舗に係る賃貸借契約である」との主張がなされている。
(3)乙第6号証について
乙第6号証は、Googleストリートビュー(審決注:Googleが2007年に開始した世界中の道路沿いの風景をパノラマ写真で提供するインターネットサービス)であり、該写真には、駐車中の数台の自動車と店舗の外観が写っており、右側の店舗建物の上部に、横長の白地の看板があり、黒色の「ちゃんぽん」の文字に続き、上下2段に書した緑色の「とんこつ」と「らーめん」の文字及びその横に赤色の太線で描いた円に重ねて「豊」の漢字が表示されており、店舗前の柵に掲示された看板に、不鮮明ながら、両手で丼を持つ写真と、これに一部重なるように縦書きの文字、及びその右上に赤色の太線で描いた円に重なるように黒色の文字を配した標章が表示されている。
そして、該写真の左下に「長浜市,滋賀県」、「ストリートビュー-11月 2013」の記載、同右下に「撮影日:11月 2013」の記載がある。
(4)乙第15号証について
乙第15号証は、「旅行とグルメ」のウェブサイトの写しである。
これには、「2013年05月22日/ちゃんぽんとんこつらーめん豊 長浜店」のタイトルの下、「今日は仕事で滋賀 長浜に来ました。滋賀の同僚のお勧めで『ラーメン豊』に昼食で訪れました。(中略)今回は初めて見た『味噌ちゃんぽん』をいただきました。」の記載とともに、ラーメンの写真と店舗の外観写真が掲載され、該写真の下に「住所:滋賀県長浜市八幡中山町490」の記載がある。
(5)乙第16号証について
乙第16号証は、乙第15号証中の店舗の外観写真をやや拡大したものである。
これには、店舗前の柵に掲示された看板に、両手でラーメン丼を持つ写真とこれに一部重なるように「らーめん豊」の縦書き文字が表示され、右上には赤色の太線で描かれた円に重なるように黒色の「豊」の漢字を表示した標章が表示されている。
そして、その奧の上方には、横長の白地の看板があり、一部隠れているが、黒色の「ちゃんぽん」の文字、緑色の「とんこつ」の文字及び赤色の太線で描いた半円に重なるように黒色の「豊」の漢字の一部が写っている。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)被請求人の店舗に係る賃貸借契約について
決算報告書(乙1)によれば、被請求人は、平成25年8月1日ないし同26年7月31日の間における、長浜市八幡中山町490所在の店舗(長浜店)に係る家賃を貸主である滋賀不動産株式会社へ支払ったことがうかがえる。
そして、両者が締結していた賃貸借契約は、2014年(平成26年)11月30日に解除された(乙3)。
そうすると、被請求人は、滋賀不動産株式会社と長浜市八幡中山町490所在の店舗(長浜店)に係る賃貸借契約を締結しており、少なくとも、要証期間内である平成25年8月1日から、契約が解除された同26年11月30日まで、同店舗を借用していたことが推認できる。
(2)使用商標及び使用役務について
ア 「旅行とグルメ」のウェブサイト(乙15)には、2013年(平成25年)5月22日に「ちゃんぽんとんこつらーめん豊 長浜店」を訪れた者の記事及び店舗の外観写真が掲載されており、同写真には、店舗前の柵に、赤色の太線で描いた円に重なるように「豊」の漢字を表示した商標(以下「使用商標」という。)が表示されている。そして、該店舗の住所は、被請求人が借用していた店舗の住所と同一である。
イ Googleストリートビュー(乙6)は、2013年(平成25年)11月に撮影されたもので、上記ウェブサイトに掲載の店舗の外観写真と比較してみると、店舗前の柵の形状及びそこに表示された看板、店舗屋上に設置された看板、左側店舗屋上に設置された看板等が同じであり、両写真は、同じ店舗の外観をやや異なる視点で撮影したものといえる。
ウ そうすると、被請求人が経営する「ちゃんぽんとんこつらーめん豊 長浜店」では、店舗の屋上に「ちゃんぽん とんこつ/らーめん」の文字が表示された看板を掲げており、そこを訪れた者の記事(乙15)があることからすれば、被請求人は、ラーメンを提供していること及びその店舗の看板に使用商標を使用していることが認められる。
(3)社会通念上同一の商標について
本件商標は、別掲のとおり、赤色の太線で描いた円に重なるように黒色で「豊」の漢字を表示し、左上に四角囲みで「ゆたか」の平仮名、右下に四角囲みで「一番」の漢字を配した構成からなるものである。
一方、使用商標は、本件商標構成中の四角囲みの「ゆたか」及び「一番」の文字部分がやや不鮮明ではあるものの、子細に観察すれば、四角囲みで「ゆたか」及び「一番」の文字と思しきものも確認できる。してみれば、本件商標と使用商標は、赤い太線で描いた円に重なるように黒色で「豊」の漢字を表示した部分は同一であり、四角囲みの「ゆたか」及び「一番」の文字部分においても、ほぼ同一とみることができるから、両者は、社会通念上同一の商標とみて差し支えない。
(4)使用時期について
決算報告書(乙1)に記載の「ちゃんぽん・とんこつらーめん豊 長浜店」店舗の借用期間(平成25年8月1日から同26年7月31日)、該借用に係る賃貸借契約の解除日(平成26年11月30日)及び同店舗が撮影されたGoogleストリートビュー(乙6)の撮影日(2013年11月)は、いずれも要証期間内である。
また、同店舗を訪れた者の記事(乙15)によれば、訪れた日は、要証期間の初日よりも5日前の日付ではあるものの、上記Googleストリートビュー(乙6)と同じ外観であることを考慮すれば、被請求人は、要証期間前から、同店舗の賃貸借契約解除の日までの間、同店舗を営業し、使用商標を使用していたと認められる。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば、被請求人は、要証期間内に「飲食物の提供」の範ちゅうに含まれる「ラーメンの提供」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を滋賀県長浜市八幡中山町490所在の店舗の看板に使用していたということができる。
そして、上記使用行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品若しくは役務に関する広告に標章を付して展示する行為」に該当するものと認められる。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定役務について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、本件審判請求は、成り立たないものとし、審判費用の負担については、商標法第56条第1項において準用する特許法第169条第2項が準用する民事訴訟法第61条の規定を適用して、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)(色彩については原本参照。)

審決日 2017-05-15 
出願番号 商願2007-19769(T2007-19769) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (X43)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲村 秀子田崎 麻理恵堀内 真一 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 山田 正樹
中束 としえ
登録日 2008-08-22 
登録番号 商標登録第5160920号(T5160920) 
商標の称呼 ユタカイチバン、ユタカ、イチバン 

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