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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X32
管理番号 1330177 
審判番号 取消2016-300440 
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-06-24 
確定日 2017-06-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第5338751号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5338751号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5338751号商標(以下「本件商標」という。)は、「野菜で朝活」の文字を標準文字で表してなり、平成21年11月19日に登録出願、第32類「野菜を加えた清涼飲料・果実飲料・豆乳飲料・乳清飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品として、同22年7月16日に設定登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の予告登録は、平成28年7月7日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)商標の使用者について
被請求人は、乙第1号証ないし乙第22号証に記載された動画投稿サイトYouTube(以下「YouTube」という場合がある。)の動画(以下、まとめていうときは「本件動画」という。)を使用の証拠であるとしているが、いずれの証拠においても本件動画をアップロードした「peachtorpedo」、「suzuki4341」、「sepnmki」、「soniethingelse75」、「buffalosoldier75」、「kouchanification」、「ladymadonna1990」及び「SuperMorningMAN」の8者(以下「アップロードした者」という。)が、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかである証拠がなく、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが使用した事実が確認できない。
また、商標使用証拠として、YouTubeの抜粋が添付された、取消2011-301168審決(甲1)に照らしてみると、本件動画は、アップロードした者により2010年4月7日から6月15日までに投稿されたことが認められるが、乙第1号証ないし乙第22号証からは、商標権者とアップロードした者との関係が不明であることから、アップロードした者が本件の専用使用権者又は通常使用権者ということはできない。
さらに、平成28年9月12日現在の被請求人ホームページである「『野菜で朝活!』おいしい朝応援キャンペーン」ページにおけるご利用ガイドには、著作権・商標権について動画等のコンテンツは被請求人に著作権が帰属しており、無断で使用することを固く断っている(甲2)。
上記の事情があるにもかかわらず、被請求人となんら関係のない第三者がYouTubeにアップロードしたと見られる本件動画は、本来被請求人にとって禁止されるべきものであり、商標の広告的使用を証明するための証拠にはなり得ない。
(2)商標としての使用には該当しない点について
乙第1号証ないし乙第22号証には、いずれも動画に「野菜で朝活!」という文言が見受けられる。乙第1号証ないし乙第3号証及び乙第5号証ないし乙第22号証には、いずれも被請求人の商品「野菜生活」が載っており、「野菜で朝活!」なる文言は、「野菜生活」の説明的に使用していると考えるのが自然である。
商標法第3条第1項第6号によると、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」は商標登録を受けることができないとし、また、商標審査基準によると「標語(例えば、キャッチフレーズ)は原則として、本号の規定に該当するものとする。」としており、それについて平成9年審判第3292号審決(甲3)がある。
本件について考えてみると、「野菜で朝活!」の文字(語)からは、「野菜をとって朝から活動しよう」の如き意味合いを容易に看取させるものであるから、需要者、取引者をして、単に顧客吸引又は販売促進のための宣伝語句(キャッチフレーズ)を表示したものと認識・理解されるとみるのが相当である。
以上のとおりであるから、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、これに接する需要者、取引者は、広告宣伝語句の一つと理解するにとどまり、何人かの業務に係る商品であるかを認識することができないものといわなければならない。
したがって、本件商標は商標法第3条第1項第6号に該当するものであり、商標としての使用には該当しない。
(3)本件審判請求の登録前3年以内の使用の証明について
乙第1号証ないし乙第22号証に記載のYouTubeへのアップロードは、上記(1)のとおり、少なくとも本件審判請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という。)のものではない。
また、YouTubeにおいて広告的に使用する必要があるのであれば、YouTube以外の媒体においても使用しているはずであるが、以下アないしウのとおり、要証期間における被請求人による本件商標の使用は見受けられない。
ア 2010年3月31日に発行された被請求人ニュースリリースによると「『野菜で朝活!』おいしい朝応援キャンペーン」が2010年4月1日から6月30日にかけて実施された(甲4)。
イ 雑誌のデジタル版である「ホームエコノミストワイズ」2010年6月号には、「『野菜で朝活!』おいしい朝応援キャンペーン」が2010年6月30日まで実施中であったことが記載されている(甲5)。
ウ 平成28年9月13日現在の被請求人ホームページにおける「『野菜で朝活!』おいしい朝応援キャンペーン」ページでは、本キャンペーンはすでに終了しており、現在は実施されていないことが確認できる(甲6)。
以上のとおり、被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第22号証はいずれも要証期間の使用には該当せず、過去に実施のあったキャンペーンも要証期間の使用には該当しないため、証拠として不十分である。
3 平成29年1月12日付け口頭審理陳述要領書
(1)主体的要件について
被請求人は、YouTubeに本件動画をアップロードした者が、被請求人ではない点について認めている。そして、被請求人は、YouTubeの仕組みによれば、投稿された動画は、投稿者の如何に関わらず正当な権利者の著作物であるとみなされることを根拠として(乙23)、本件動画が被請求人による請求に係る商品についての広告的使用である旨主張する。
しかしながら、乙第23号証等は、単にYouTubeの広告料収入の仕組みを説明したものにすぎず、不使用取消審判において、被請求人ではない第三者がアップロードした広告の動画をもって被請求人が登録商標を使用したことの根拠にはなり得ない。
また、被請求人は、「YouTubeにアップロードした者が被請求人本人ではなくても、被請求人本人が送信可能化した動画そのものであれば、その広告効果が発揮されていることに変わりはなく、広告効果は本人に帰属するといえる。」と主張するが、独自の見解を示すにすぎない。
さらに、商標登録の取消しを免れ得る使用者の解釈について判示された平成24(行ケ)第10310号判決(甲7)に照らしても、本件動画をアップロードした者は、「商標権者、専用使用権者又は通常使用権者」に該当しないというだけでなく、「流通業者等」であるといった事情もない。このような被請求人とは何ら取引上の関連の無い第三者による本件動画のアップロード行為をもって、商標権者等による本件商標の使用と認めるべき合理的理由は見当たらない。
よって、本件商標は、商標権者等によって使用されていたものとはいえない。
(2)「ニュースリリース」等の「広告」該当性について
被請求人は、乙第24号証の1及び2を提出して、2010年3月31日付けのニュースリリースに、「野菜で朝活!」の文字が記載されている事実をもって、商品に関する広告を内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供していた旨、主張する。
確かに不使用取消審判においては、「広告」による使用が立証されれば商標登録の取消しを免れることができる。しかしながら、乙第24号証の1は、「掲載された情報は発表当時のものです。」と記載されていることからも明らかなとおり、単に2010年3月31日時点の内容をアーカイブしたものにすぎず、要証期間における「ちらし広告や契約書等と同様の機能を期待される、広告等を内容とする情報」(甲8)には該当しない。
また、乙第25号証の1は、キャンペーン終了の告知にすぎず、「広告」に該当しないことは明らかである。
よって、当該ニュースリリース(乙24の1)及びキャンペーン終了の告知(乙25の1)はそもそも商標法上の「広告」には該当しないのであるから、仮に要証期間にこれらのウェブページへのアクセスがあったとしても(乙25の2)、商標法第2条第3項第8号に規定される「使用」があったものとはいえない。
(3)商標的使用について
被請求人は、平成28年(行ケ)第10086号判決(乙30の1)を引用して、不使用取消審判における「使用」は、必ずしも商標的使用態様である必要はない旨主張するが、本件とは事案を異にし、被請求人の主張を裏付ける根拠とはなり得ない。
そもそも、商標の本質は、当該商標を使用した結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものとして機能すること、すなわち、商品又は役務の出所を表示し、識別する標識として機能することにあると解されるから、商標がこのような出所表示機能・出所識別機能を果たす態様で用いられているといえない場合には、形式的には商標法第2条第3項各号に掲げる行為に該当するとしても、当該行為は、商標の「使用」に当たらない(甲9;取消2010-301233審決、甲10;平成20年(ワ)第34852号判決)。
実際、取消2010-301233審決(甲9)及び平成13年(行ケ)第190号審決取消請求事件判決(甲11)では、使用標章が自他商品識別標識として機能していないことから「商標としての使用」であると認めることはできないとして、商標登録が取り消されている。このような過去の審決や判決に鑑みれば、不使用取消審判において、提出された証拠に表示されている標章が識別標識として機能していない、すなわち、商標的使用態様に該当しない場合には、登録商標の使用とはいえないというべきである。
また、被請求人は、「本件商標は、『野菜で朝活』の標準文字の態様で識別力を認められて登録されたものであるので、不使用取消審判において、本件商標自体に識別力が認められないがごとき主張は意味がなく失当である」旨主張する。
そこで検討するに、乙第1号証ないし乙第22号証では、「野菜で朝活」の掛け声と共に「野菜で朝活」の文字が表示され、「体を動かして野菜を取る!」、「朝活って気持ちいいなあ!」、「なかなか朝活できないあなた。まずは野菜を摂ることから始めよう」等の台詞が述べられた後、被請求人の名称の著名な略称と商品名である「カゴメ、野菜生活100。」、被請求人のスローガンである「自然をおいしく楽しく。カゴメ。」の声が聞こえる。かかる構成からすれば、被請求人の商品の出所表示として認識される要素は、「野菜生活100」及び「カゴメ」の文字及び音声であって、「野菜で朝活」の文字は、被請求人の製造販売に係る野菜ジュースを飲んで、朝から野菜を摂ることによって元気に活動することを勧める旨の単なる商品の宣伝文句として認識されるにすぎず、商品の出所表示として認識されるものではないことは明らかである。
また、乙第24号証の1では、「野菜で朝活!おいしい朝応援キャンペーン」、「ご応募先(中略)カゴメ『おいしい朝応援キャンペーン』係」、乙第24号証の2では、「『野菜で朝活!おいしい朝応援キャンペーン』実施中」との記載が見受けられる。しかし、かかる一体的構成からは、「野菜で朝活」の文字は、「野菜で朝活!おいしい朝応援キャンペーン」なるキャンペーンの名称の一部として使用されているにすぎないのであるから、需要者は当該キャンペーン名称の一部にすぎない「野菜で朝活!」の文字を、商品「飲料用野菜ジュース」の商標であると認識することはない。
このことは、取消2015-300137審決(甲12)において、キャンペーン名称の一部にすぎない使用標章の表示をもって、商品の商標であると需要者が認識するとはいえないから、使用標章は、商標としての使用とはいえない、と判断されていることからも明らかである。
よって、乙第24号証の1及び2における「野菜で朝活!」の文字は、「商標」として使用されたものとはいえないものである。
また、被請求人は、本件商標及び本件商標に係る商品が、被請求人以外のウェブサイトにおいても表示されている旨主張するが、乙第29号証は、生活情報サイト「AllAbout」内に2010年4月15日から5月15日まで掲載されていた広告記事であるところ、記事の中で「野菜で朝活って?」の記載が見受けられるが、当該記載は、本件商標に係る商品との関係が不明であるから、商標としての使用には該当しない。
よって、「野菜で朝活」の文字が、審査段階で識別力が認められたものであるとしても、被請求人による実際の使用態様からすると、「野菜で朝活」の文字は、単に商品の販売促進を図る宣伝文句として使用されていたにすぎず、自他商品識別標識として認識されていたとはいえないものである。
(4)形式的「使用」行為について
仮に本件商標が識別標識として機能することがあったとしても、商標法の目的が、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図ること、すなわち、商品及び役務の取引秩序の維持を通じ、産業の発達に寄与することであることに鑑みれば、対象となる商品の「商取引」が実在しない場合にもなお、その商標を保護すべき理由はない。
被請求人は、「商標法第50条においては、商標権者の使用証明に関して『登録商標の使用』とのみ規定されており(商標法第50条第2項及び3項)、文言上は、商標的使用態様での使用を求められていない」と主張するが、「単に不使用取消を免れるためだけの名目的な使用の行為があっても、使用とは認められない」(甲13)ことは明らかである。
このことは、過去に使用していた商標が、たまたま「広告」に形式上残存していたとしても、要証期間において実質的な商取引が行われた事実が認められない以上、商標法第50条第1項の登録商標の使用とはいえないと判示された判決からも裏付けられるものである(甲14;平成28年(行ケ)10048号審決取消請求事件)。
これを本件についてみると、乙第24号証の1によれば、過去に本件商標が表示された「ポイントシール」又は「商品に印刷されたポイント」が、「飲料用野菜ジュース」に付されていたことが推認されるが、本件商標が表示された「ポイントシール」又は「商品に印刷されたポイント」が付された「飲料用野菜ジュース」の出荷は、「(2010年)6月初旬出荷分をもって終了」している。また、「野菜で朝活 おいしい朝応援キャンペーン」なるキャンペーンが2010年6月30日をもって終了していることからすれば、顧客が要証期間に「野菜で朝活」の文字を識別標識として商品を購入する機会がなかったことは明らかであり、また、本件商標が、要証期間において新たに広告や広告を内容とする情報に付されていないことは容易に推認される。
上記事情に照らせば、仮に本件動画やニュースリリースが「飲料用野菜ジュース」に関する広告を内容とする情報に該当し、かつ、要証期間に第三者によって違法にアップロードされた動画や、被請求人がアーカイブとして残しているニュースリリースにアクセスすることが可能な状態にあったとしても、これらは単に削除されることなく形式上残存しているにすぎず、要証期間に、「飲料用野菜ジュース」に関する広告を内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供する行為(商標法第2条第3項第8号)があったとはいえないものである。
仮に、実際の商取引において登録商標が自他商品識別標識として機能しないまま一定期間を経過しているにもかかわらず、その登録商標が付された広告を内容とする情報が形式的にインターネット上に残存していることをもって不使用による取消しを免れ得るとすれば、その情報がインターネット上から削除されない限り、更新により半永久的にその商標登録は維持されることとなり、保護すべき信用が消滅した後は、国民一般の利益保護及び権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を確保する観点から、請求を待ってその登録を取り消そうという商標法第50条の趣旨を没却することになりかねず、著しく不当な結果を招来するものである。
よって、本件動画がインターネット上にアップロードされたままの状態が継続していること及びキャンペーンに関するニュースリリースがアクセス可能な状態が継続していることをもって、不使用取消しを免れ得る実質的使用があったとはいえない。
4 平成29年2月16日付け上申書
(1)主体的要件について
被請求人は、YouTubeに本件動画をアップロードした者が、商標権者又は使用権者でなくとも、「広告主体である被請求人は、その広告を黙認することで費用をかけずに広告量が増加するといったメリットを享受するため、黙示の許諾を与えているといえる」と主張するが、正当な権利者の許諾を得ずに広告動画をYouTubeにアップロードした者と被請求人との間に何らの事業関係を有しないにもかかわらず、アップロードされた状態を放置し黙認したことを、登録商標の使用を許諾したものと解釈することはできない。
そのような主張の根拠として、乙第31号証(平成24年(行ケ)第10130号判決)を引用しているが、当該事案は商標権者とA社の代表者が同一人物と解されるため、主体の同一性が認められた事案であって、商標権者等と本件動画をアップロードした者の間に何ら関連のない本件とは事案を異にし、本件において主体が同一であると主張する根拠とはなり得ない。
また、被請求人は「商標権者が、権利者以外の登録商標の使用を知らなかったとか、その使用に異議があったなどの事情がない場合に、その使用について黙示の許諾を与えていたと推認すべき」などと主張するが、かかる主張は商標権の不行使を直ちに許諾行為と解釈するものであり暴論である。
(2)「ニュースリリース」等の「広告」該当性について
「ニュースリリース」は、それ自体が、仮に「自己のホームページの出所を示す広告」に該当するとしても、乙第24号証の1は、要証期間の始期である平成25年7月7日より3年も前である平成22(2010)年3月31日に発表されたものであり、ちらし広告や契約書等と同様の機能を期待される情報としての価値は既に失われ、過去にそのような広告活動を行っていたことの記録としてのみ存在しているにすぎない。そうしてみると、乙第24号証の1のニュースリリースを自己のホームページにアーカイブとして残しておく行為が「信用の蓄積作用を有する商標の広告的な使い方」に該当するものとはいえないというべきである。また、乙第24号証の1に記載された「野菜で朝活!」の文字は、要証期間においては保護すべき信用が消滅していると解するのが自然である。
よって、商標権者が、本件商標について、要証期間に、商標法第2条第3項第8号の使用行為を行っているとする被請求人の主張は失当である。
(3)商標的使用について
商標法上の保護は、商標の使用によって蓄積された信用に対して与えられるのが本来的な姿であるから、一定期間登録商標の使用をしない場合には保護すべき信用が発生しないかあるいは発生した信用も消滅してその保護の対象がなくなると考え、他方、そのような不使用の登録商標に対して排他独占的な権利を与えておくのは国民一般の利益を不当に侵害し、かつ、その存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めることとなるから、請求をまってこのような商標登録を取り消そうというのが不使用取消審判である。いいかえれば、本来使用をしているからこそ保護を受けられるのであり、使用をしなくなれば取り消されてもやむを得ないというのが、不使用取消審判制度の立法趣旨である。
ここでいう「信用」とは、登録商標が商品等の識別標識として機能することにより発生し、蓄積していくものであるため、不使用取消審判における商標の「使用」とは、自他商品等識別機能等の商標としての機能を備えていることが必要であると解される。
そして、乙第1号証ないし乙第22号証における使用商標は、単なる商品の宣伝文句として認識されるにすぎず、商品の出所表示として認識されるものではない。また、乙第24号証における使用商標は、「野菜で朝活!おいしい朝応援キャンペーン」であり、「野菜で朝活!」の文字は当該キャンペーン名称の一部にすぎず商品の出所表示として認識される「商標」として使用されたものではない。
また、被請求人は、不使用取消審判において、「登録商標がその指定商品又は指定役務について何らかの態様で使用されていれば足り、出所表示機能を果たす態様に限定されるものではないと解される」旨主張し、その根拠として乙第33号証(平成26年(行ケ)第10234号判決)を追加するが、これは実際に商品の包装箱に商標が付されて取引がされた事実が認められた事案であり、要証期間に、登録商標を使用して商品の取引等がされたことの証明がされていない本件とは事案を異にする。
(4)形式的「使用」行為について
被請求人は、「広告対象である『野菜生活』は現在に至るまで販売されているから、当該広告を契機として需要者は購入可能である。」と主張するが、取消しに係る本件商標は「野菜で朝活」であって「野菜生活」ではない。万一、乙第24号証の1のニュースリリース等に接した需要者が、「野菜で朝活」と同時に付されより大きく顕著に表された「野菜生活」の文字から、「野菜生活」との商品名の飲料用野菜ジュースを知るに至り、「野菜生活」の文字を検索することで、要証期間に当該飲料用野菜ジュースを購入することができたとしても、要証期間には既に本件商標「野菜で朝活」が広告に付されることはなかったのであるから、この場合「野菜生活」の文字が取引の指標として機能しているのであって、本件商標「野菜で朝活」が取引の指標となって商品の購入につながったわけではない。
したがって、乙第24号証の1のニュースリリース等が要証期間に閲覧可能な状態に置かれていたからといって、そこに表された本件商標「野菜で朝活」が要証期間に商取引を前提とした自他商品識別標識として機能したということはできないし、乙第24号証の1のニュースリリース等が商取引を前提とする「広告」に該当するものともいえない。
また、被請求人は「各社が過去のニュースリリースを削除しない理由は、現在においても、その広告効果を期待できるから」という独自の見解を根拠に、本件商標について商標権者又は通常使用権者が、要証期間に商標法第2条第3項第8号の使用行為を行っていると主張するが、各企業がどのような意図でニュースリリースを残しているのかは、各企業の主観の問題であり、本件とは全く関係のない問題である。過去に販売していた商品や催してきた広告やキャンペーンを記録として残すことはその情報自体に価値のあるものではあるが、宣伝広告としての価値はニュースリリースの発行時点から徐々に失われてゆき、インターネット上に閲覧可能な状態が続く限り永久的に持続するものではない。
被請求人がアーカイブとして残しているニュースリリースや、第三者がアップロードした動画がアクセス可能な状態にあったとしても、これらは過去の情報として形式上残存しているにすぎないものである。このような過去の一時点において公衆にアクセス可能な状態に置かれ、その状態が継続していることをもって半永久的に不使用による取消しを免れ得るとするならば、不使用商標の個別整理を図ろうとする商標法第50条の制度趣旨を没却することとなり、信用が消滅した不使用商標の増大という著しく不合理な結果を招来する。
(5)乙第34号証の1ないし3について
乙第34号証の1ないし3は、社内データであり、客観的裏付けを欠くものである。また、仮に、要証期間において乙第24号証の1(ニュースリリース)に公衆がアクセスした事実があったとしても、要証期間における登録商標の使用に該当しないことはこれまで繰り返し述べてきたとおりである。
よって、これらの証拠は、本件商標の取消しを免れるための決定的な証拠とはなり得ない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第34号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、被請求人は、答弁の理由において、「野菜を加えた果実飲料,飲料用野菜ジュース」についての本件商標の使用を主張したが、口頭審理において、被請求人が本件商標の使用を証明する商品を、「飲料用野菜ジュース(果汁を加えたもの)」に限定した。
1 答弁の理由
本件商標は、その指定商品中、「野菜を加えた果実飲料,飲料用野菜ジュース」について、要証期間に日本国内において、登録商標と社会通念上同一の商標を商標権者が使用した事実があるから、商標法第50条第1項の規定により取消されるものではない。
乙第1号証ないし乙第22号証において、文字「野菜で朝活」は、飲料用野菜ジュース(果汁を加えたもの)及び野菜を加えた果実飲料に関する広告、又はこれらの指定商品を内容とする情報に、自他商品識別機能のある態様で付されているものということができ、これは商品との具体的関係において使用されているものといえるから、商標法第2条第3項第8号の使用に該当する(参考:最高裁昭和42(行ツ)第32号同43年2月9日第二小法廷判決・民集22巻2号159頁、知財高裁平成21年(行ケ)第10354号判決)。
乙第1号証ないし乙第22号証は、YouTubeの動画において、文字「野菜で朝活」が指定商品に使用されているものを、視聴回数とその推移の統計(推移についてはその表示がなかった乙第13号証を除く。)とともに、この平成28年8月22日及び23日に閲覧し、その画像を複製して貼り付けたものである。
本件動画は、平成22(2010)年に送信可能化がされたものではあるが、審判請求書の副本送達後を除いた昨今でも、一定量のアクセスがあり、乙第1号証の3、乙第2号証の1及び乙第11号証のように、4か月又は7か月前にコメントがあるものがあることからも、要証期間に、商品に関する広告等に本件商標が使用されているとみるのが相当である。
以上により、商標権者は、本件商標を指定商品に使用している。
2 平成28年12月15日付け口頭審理陳述要領書
(1)商標の使用者について
乙第1号証ないし乙第22号証のYouTubeの本件動画により、被請求人本人が、要証期間に、商品に関する広告を内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供していたことは明らかである。当該使用は、商標法第2条3項第8号の使用行為に該当する。ここで当該商品は、「野菜を加えた果実飲料」であり、商品自体に付された商品名は「KAGOME 野菜生活100」である(以下「本件商品」という)。
本件動画をYouTubeにアップロードしたのは、被請求人ではないが、本件動画を作成して平成22年に送信可能化したのは被請求人である。本件動画は要証期間に視聴されている。そして、YouTubeに投稿された動画は、投稿した者が誰であれ、日経産業新聞の記事(乙23の1)及び日本経済新聞電子版の記事(乙23の2)に記載されているとおり、正当な権利者の著作物とみなされているという実情がある。
また、取引実情においては、YouTubeにより、著作権者自身の投稿ではなくても、広告が拡散され、広告効果が発揮されているという実態がある。
よって、YouTubeにアップロードした者が被請求人本人ではなくても、被請求人本人が送信可能化した動画そのものであれば、その広告効果が発揮されていることに変わりはなく、広告効果は本人に帰属するといえる。このことは、例えば、ある場所に商標権者が掲示した広告を、権利者以外の者が他の場所に張り替えたとしても、依然として商標権者の広告行為とみるに差支えはないのと同様である。本件動画において、本件商標は本件商品との具体的な関係において表示されており、本件商標は本件商品について広告的に使用されているといえる。
なお、請求人が挙げている取消2011一301168審決(甲1)は、「ダウンロード可能な画像」についての使用を立証するのに、他人がアップロードした動画を使用証拠として提出したものであり、本件とはまったく事案を異にする。
(2)要証期間の使用について
乙第24号証のとおり、2010年に実施された本件商品に係るキャンペーンについての2010年3月31日付けのニュースリリースにおいて、本件商標が、本件商品のキャンペーン広告に使用されている(以下「本件広告」という)。
被請求人が、要証期間に、商品に関する広告を内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供していたことは明らかである。当該使用は商標法第2条第3項第8号の使用行為に該当する。
当該キャンペーンは、2010年4月から6月に実施されたもので、キャンペーン自体は要証期間ではないが、被請求人ウェブサイト上のニュースリリースのページは、要証期間を含め現在に至るまで被請求人のサイト上に公開されており、要証期間にも需要者からアクセスされ閲覧されているものである(乙25)。当該ニュースリリースのページは、被請求人ウェブサイトのニュースリリースのページから検索することができるが(乙26)、検索エンジンで「カゴメ 野菜で朝活」あるいは「野菜で朝活」のキーワードにより、簡単に検索、閲覧することができる(乙27)。
本件商標が広告的に使用されている本件商標「野菜生活100」は、1995年のキャンペーンから要証期間を含め現在に至るまで、様々な製品ラインナップで継続して販売されている(乙28)。
よって、2010年のキャンペーンは終了しているとしても、現在も存在する本件商品について被請求人のウェブサイト上に表示されている本件商標は、依然として本件商品について広告的に使用され、識別力を発揮しているということができる。
なお、インターネット上ではなく、屋外広告の一部に期間限定のキャンペーンの告知が掲載されている場合に、キャンペーン期間か終了しても(場合によっては「キャンペーンは終了しました」等の注意書きとともに)継続して広告が掲示され続けることは珍しくない。その場合でも、当該広告が存在し、掲載されている商品について広告効果が発揮されていることに変わりはない。したがって、インターネット上であっても、この理により、本件広告のページが要証期間に存在したことにより、本件商標について依然として広告効果を発揮していたということができる。
また、本件商標及び本件商標に係る商品は、被請求人以外のウェブサイトにおいても要証期間を含み現在まで表示されている(乙29)。
以上のとおり、被請求人は、要証期間に、本件商標について商標法第2条第3項第8号に該当する使用を行っている。
(3)商標としての使用について
被請求人が、本件商標を本件商品の販売に関する広告に使用していることは上記のとおりであるが、当該使用が商標としての使用であることは本件動画においても、本件広告においても、本件商標が本件商品との関係で顕著に表示されていること、普通に用いられる方法で表示するものではなくロゴ化されて表示されていること、などから明らかである。
そもそも、請求人は、商標法第3条第1項第6号の条文及び審決を上げて、被請求人の本件商標の使用に関して、商標的使用の非該当性を述べているが、同号は登録要件であり、同審決は拒絶査定不服審判に係るものである。本件商標は、「野菜で朝活」の標準文字の態様で識別力を認められて登録されたものであるので、不使用取消審判において、本件商標自体に識別力が認められないがごとき主張は意味がなく失当である。
さらに、商標法第50条においては、商標権者の使用証明に関して「登録商標の使用」とのみ規定されており(商標法第50条第2項及び3項)、文言上は、商標的使用態様での使用を求められていない。商標法第50条にかかる使用について、商標的使用態様が求められていないことについては、近時の判例(例えば、平成28年(行ケ)第10086号判決)において判示されているとおりである(乙30)。
本件商標は、本件商品について被請求人の商標として少なくとも広告宣伝機能を発揮していることは明らかであるが、たとえ商標的に使用されていないとしても、上記判決に鑑みれば、何ら取消事由に当たらないということができる。
3 平成29年1月26日差出の口頭審理陳述要領書(2)
(1)主体的要件について
請求人は、平成24(行ケ)第10310号判決(甲7)の判断を示し、「本件動画をアップロードした者は、『商標権者、専用使用権者又は通常使用権者』に該当しないというだけでなく、『流通業者等』であるといった事情もない。」と述べるが、同判決が「流通業者等」の使用を「商標権者等が登録商標の使用をしている場合」としたのは、商品の流通に関する取引の実情を照らしてのことである。そうすると、広告的使用についても広告の実情に照らすのが妥当といえる。
本件についてみると、広告を拡散したのは使用権者ではないが、広告主体である被請求人はその広告を黙認することで費用をかけずに広告量が増加するというメリットを享受するため、黙示の許諾を与えているといえる。このようなYouTubeでの広告拡散及びツイッター等のSNSによる口コミの推奨というのは、現代的広告手法といえる。
商標権者が、権利者以外の登録商標の使用を知らなかったとか、その使用に異議があったなどの事情がない場合に、その使用について黙示の許諾を与えていたと推認すべきであり、通常使用権者の使用があったと判断できるとした判例(平24年(行ケ)第10130号判決、乙31)がある。
広告についても、「本人の意に合致した流通市場内での第三者の商標商品広告も使用である。」と解されている(「新・商標法概説〔第2版〕」491頁、乙32)。権利者が流通に置いた状態のまま、改変されずに、権利者の意に合致して商品が流通している限り「真正品」と推認されるのと同様に、権利者が広告した内容のまま、改変されずに、権利者の意に合致して広告が継続している限り、当該広告はいわば「真正な広告」といえる。
本件動画は、広告業者を通じて第三者が拡散されることを意図して、インターネット上にアップロードされたものであり、当該意図のとおり、本件広告動画はYouTube上にアップロードされている。また、当該アップロードされた広告動画は、本審判請求時点において、違法なものとして削除された事実もなく、上記広告拡散意図は、未だもって存在している。
また、当該広告を制作したのは商標権者であり、かつ本件商標と広告商品と商標権者の関係性が明らかであれば、広告効果が商標権者に帰属するのは当然である。
以上から、本件動画をアップロードした者は、商標権者が黙示の許諾を与えた通常使用権者、あるいは、本件動画は「本人の意に合致した流通市場内での第三者の商標商品広告」であるので、商標権者自身の広告行為といえる。
(2)「ニュースリリース」等の「広告」該当性について
請求人は、広告の該当性について、甲第8号証の「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説[第19版]」から、「ちらし広告や契約書等と同様の機能を期待される情報」の部分を抜き出しているが、当該部分には続けて具体例が挙げられており、以下のような記載となっている。
「広告、価格表又は取引書類を内容とする情報であり、ちらし広告や契約書等と同様の機能を期待される情報のことである。具体的にはホームページ上のバナー広告、自己のホームページの出所を示す広告、オンライン取引や双方向デジタルテレビ放送における契約フォーム等が挙げられる。」
これに照らせば、本件の内容がアーカイブだとしても、少なくとも「自己のホームページの出所を示す広告」と解することができる。
(3)商標的使用について
ア 被請求人は、平成28年(行ケ)第10086号判決(乙30)について、本件とは事案を異にし、主張の裏付けにはならない旨主張するが、同様の判断をする裁判例は他にもある(平成26年(行ケ)第10234号判決、乙33)。
平成26年改正により、商標権侵害の抗弁としては商標法第26条第1項第6号(需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標)が明定されたが、商標法第50条の条文所定の「使用」は、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により使用されている商標」であることは何ら規定されていないので、登録商標がその指定商品又は指定役務について何らかの態様で使用されていれば足り,出所表示機能を果たす態様に限定されるものではないと解される。
いずれにせよ、本件商標は、本来的に識別力があるとして登録された商標を広告宣伝機能等を発揮させる態様で顕著に表示しているものであるから、もとより商標的使用であることは明白であり、本件ではこの点は問題とならない。
イ 甲第9号証(取消2010-301233審決)については、「KRISPY」であるのに対し、識別力が認められない「クリスピー」を使用、という使用商標自体に識別力が認められないというケースで事案が異なる。
ウ 甲第10号証(平成20年(ワ)第34852号判決)については、具体的事情が勘案される侵害事例であり、事案が異なる。
エ 甲第11号証(平成13年(行ケ)第190号判決)については、本件商標が雑誌の記事の内容表示とみられるという事例であり、事案が異なる。
オ 甲第12号証(取消2015-300137審決)については、本件商標「夢」の使用態様が他の標章の一部になっている事例であり、事案が異なる。
カ 請求人は、「被請求人は、『本件商標は『野菜で朝活』の標準文字の態様で識別力を認められて登録されたものであるので、不使用取消審判において、本件商標自体に識別力が認められていないがごとき主張は意味がなく失当である』旨主張するが・・・実際の使用態様からすると、単に商品の販売促進を図る宣伝文句として使用されていたにすぎず、自他商品識別力として認識されていたとはいえない。」旨主張するが、弁駁書についての主張を失当だといったのは、登録要件である第3条第1項第6号に該当すると言っている部分で、実際の使用態様についての話ではない。使用態様についても、商品名と併用して、需要者の目を引くキャッチコピーを使用することは今日では普通に行われていることであるが、本件商標は、前述のとおり、それ自体第3条第1項第6号に該当しないとして識別力を認められて登録になっているので、「第3条第1項第6号に該当するものであり、商標としての使用に該当しない。」との主張は、登録要件と不使用取消審判における要件とを混同しているといえる。
(4)形式的「使用」行為について
本件商標の広告対象である「野菜生活」は、現在に至るまで販売されているのであるから、アーカイブであれ、当該広告を契機として需要者は購入可能である。他方、平成28年(行ケ)第10048号判決(甲14)は、広告に当たるとする記載が残存しているとしても、その名称を使用した講座を開講していないという事例であり、本件商標が指標する商品が現在に至るまで継続的に販売されている本件とは全く事案を異にする。
すなわち、請求人が、甲第14号証を挙げて、「過去に使用していた商標が、たまたま『広告』に形式上残存していたとしても要証期間において実質的商取引が行われた事実が認められない以上、第50条第1項の登録商標の使用とはいえないと判示された」旨の主張は失当である。
また、請求人は「仮に本件動画やニュースリリースが『飲料用野菜ジュース』に関する広告を内容とする情報に該当し、かつ、要証期間に第三者によって違法にアップロードされた動画やアーカイブとして残しているニュースリリースにアクセスすることが可能であったとしても、単に削除されることなく形式上残存しているにすぎず、『飲料用野菜ジュース』に関する広告を内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供する行為があったとはいえない。」旨主張するが、各社が、過去のニュースリリースを削除しない理由は、現在においても、その広告効果を期待できるからである。
よって、上記のとおり、本件商標について、商標権者又は通常使用権者が、要証期間に、商標法第2条第3項第8号に該当する使用を行っている。

第4 当審の判断
被請求人は、要証期間に「『飲料用野菜ジュース(果汁を加えたもの)』に関する広告を内容とする情報に標章(商標)を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)をしたと主張しているので、以下検討する。
1 被請求人の主張及びその提出に係る乙各号証並びに請求人の提出に係る甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者は、1995年以降、「野菜生活100」という名称の商品「飲料用野菜ジュース(果汁を加えたもの)」(以下「使用商品」という。)を製造販売している(乙28)。
(2)被請求人が平成28年8月22日及び23日に出力した動画投稿サイト「YouTube」における動画及び統計情報のキャプチャー画像の写し(乙1の1?乙22)は、以下のとおりのものである。
なお、被請求人は、上記各動画について、被請求人が平成22年に作成したものであること、また、YouTubeにアップロードしたのは本件商標権者ではないことを認めている(上記第3、2(1))。
ア 乙第1号証の1ないし乙第3号証の2は、順に、「野菜で朝活(おいしいカゴメ“野菜生活100”)起きろ!篇 30秒」、「野菜で朝活(おいしいカゴメ“野菜生活100”)起きろ篇 15秒」、「野菜で朝活(おいしいカゴメ“野菜生活100”)起きろ!篇[関西弁]30秒」、「野菜で朝活(おいしいカゴメ“野菜生活100”)もう昼。篇 30秒」、「野菜で朝活(おいしいカゴメ“野菜生活100”)もう昼。篇 15秒」、「野菜で朝活(おいしいカゴメ“野菜生活100”)君も?篇 30秒」、「野菜で朝活(おいしいカゴメ“野菜生活100”)君も?篇 15秒」と題する動画に関するものであり、「peachtorpedo」により、2010年(平成22年)6月15日にアップロードされたものである。各動画のキャプチャー画像は、「野菜で朝活!」の文字及び使用商品が見いだせる。また、各動画の統計情報によれば、いずれも2013年(平成25年)から2016年(平成28年)までの間に視聴されている。
イ 乙第4号証は、「野菜で朝活(おいしいカゴメ“野菜生活100”)CMメイキング 30秒」と題する動画に関するものであり、「peachtorpedo」により、2010年(平成22年)6月15日にアップロードされたものである。動画のキャプチャー画像は、オレンジ色の液体が見いだせるが、「野菜で朝活」の文字及び使用商品は見いだせない。
ウ 乙第5号証ないし乙第10号証及び乙第13号証ないし乙第22号証は、順に、「野菜で朝活! チアリディングで朝活」、「野菜で朝活!座禅」、「野菜で朝活!火の輪くぐりで朝活!」、「野菜で朝活!ダンクで朝活!」、「野菜で朝活!乗馬で朝活!」、「野菜で朝活!棒高跳び」、「野菜で朝活!空中散歩で朝活!」、「野菜で朝活!露天風呂で朝活!」、「野菜で朝活!3Dで朝活!」、「野菜で朝活!乗馬で朝活!」、「野菜で朝活!棒高跳び」、「【カゴメ】ジョギングで朝活」、「野菜で朝活!ピアノで朝活!」、「野菜で朝活!ムエタイで朝活」、「【カゴメ】バードウォッチングで朝活」、「【カゴメ】乾布摩擦で朝活」と題する動画に関するものであり、各動画は、「suzuki4341」、「sepnmki」、「somethingelse75」、「buffalosoldier75」、「kouchanification」、「ladymadonna1990」又は「SuperMorningMAN」により、2010年(平成22年)の4月7日、4月17日、5月6日、5月9日、5月11日、5月20日又は5月25日にアップロードされたものである。各動画のキャプチャー画像は、「野菜で朝活!」及び「その朝をチャンスに。『野菜生活100』」の文字、使用商品が見いだせる。また、各動画(乙13及び乙21に係るものを除く。)の統計情報によれば、2013年(平成25年)から2016年(平成28年)までの間に視聴されている。
なお、乙第16号証は乙第9号証と、乙第17号証は乙第10号証と同じものである。
エ 乙第11号証及び乙第12号証は、「野菜で朝活!『彼女からの手紙』」及び「野菜で朝活!『ヨルカツ鳥、あらわる』」と題する動画に関するものであり、各動画は、「somethingelse75」及び「suzuki4341」により、2010年(平成22年)の4月28日及び5月21日にアップロードされたものである。各動画のキャプチャー画像は、いずれにも「野菜で朝活」の文字は見いだせない。
(3)本件商標権者のウェブサイトにおける2010年(平成22年)3月31日付け「ニュースリリース」の写し(甲4は平成28年9月13日に出力されたもの、乙24の1は同年12月9日出力されたもの)には、上部に、「掲載された情報は発表当時のものです。」の記載があり、その下に、「野菜生活100シリーズは、みんなの朝を応援します!『野菜で朝活!おいしい朝 応援キャンペーン』を実施 ?家電とこだわり食材の2つのコース。合計1,050名様に抽選でプレゼント?」の見出しの下、「カゴメ株式会社・・・は、2010年4月1日(木)から6月30日(水)にかけて、野菜生活シリーズを対象に大規模な消費者キャンペーンを実施いたします。」、「■キャンペーン期間 2010年4月?6月 最終応募締切は2010年6月30日(水)当日消印有効」、「まことに勝手ながら、応募券貼付は6月初旬出荷分をもって終了させていただく予定です。」、「キャンペーン情報サイト kagome.jp/asa100 開設期間:3月15日(月)?8月31日(火)」、「■キャンペーン対象商品」の項に、「野菜生活100(オリジナル、紫の野菜、黄の野菜)」等の記載がある。
被請求人が作成したウェブサイト上のニュースリリース(甲4、乙24の1)へのアクセスデータ(乙34の1及び2)によれば、2013年7月7日から2016年7月7日までに合計132回アクセスされた。
(4)2010年(平成22年)6月発行の雑誌「ホームエコノミストワイズ」のデジタル版(甲5、乙24の2)には、「『野菜で朝活!おいしい朝 応援キャンペーン』を実施中 カゴメ『野菜生活100』 カゴメ株式会社」の見出しの下、「カゴメの『野菜生活100』シリーズはみんなの朝を応援します。6月30日まで『野菜生活100』シリーズを対象に『野菜で朝活!おいしい朝 応援キャンペーン』を実施中です。」、「キャンペーンの詳細は、キャンペーン情報サイト:kagome.jp/asa100」の記載がある。
(5)本件商標権者のキャンペーン情報に関するウェブサイトの写し(甲6は平成28年9月13日に出力されたもの、乙25の1は同年12月9日出力されたもの)は、URLが「http://www.kagome.jp/asa100」であり、「野菜で朝活!おいしい朝 応援キャンペーン」、「キャンペーンは終了しました」の記載があり、「カゴメ株式会社>野菜生活100>野菜で朝活!おいしい朝応援・・・」の文字が上部に記載されている。
被請求人が作成したウェブサイト上のキャンペーン終了のお知らせ(甲6、乙25の1)へのアクセス数に関するデータ(乙25の2)によれば、上記ウェブサイトは、2013年7月から2016年7月まで継続的にアクセスされた。
(6)「AllAbout」のウェブサイトの写し(乙29)には、「気軽な朝活01 朝野菜ジュース」の項に、野菜ジュースに関する記事とともに使用商品の写真が掲載されているほか、「野菜で朝活って何?>>」、「提供:カゴメ株式会社」、「掲載期間:2010年4月16日?5月15日【PR】」の記載がある。
2 上記1で認定した事実によれば、以下のとおり判断するのが相当である。
(1)YouTubeにおける各動画について
乙第1号証の1ないし乙第22号証に係るYouTubeにおける各動画は、本件商標権者が平成22年に実施した、使用商品に関するキャンペーン用の広告動画と認められ、本件商標権者の広告動画であることに争いはない(甲4、甲5、乙24の1及び2)。
そして、当該各動画の題名及びキャプチャー画像は、「野菜で朝活」の文字、「野菜で朝活!」の文字、「野菜で朝活!」及び「その朝をチャンスに。『野菜生活100』」の文字又は使用商品が見いだせるものである。
しかしながら、当該各動画をYouTubeにアップロードした者は、本件商標権者と利害関係のない者であり、当該各動画は、アップロードした者の業務に係る商品の広告ではないことは明らかである。また、当該各動画は、要証期間外の平成22年の4月7日から6月15日までの間に、アップロードされたものである。
そうすると、乙第1号証の1ないし乙第22号証に係るYouTubeにおける各動画は、要証期間外の平成22年に実施された、使用商品に関するキャンペーン用の広告動画にすぎないものであり、本件商標権者が広告効果を期待して自らアップロードしたものでないことは明らかであるから、各動画については、「商品に関する広告を内容とする情報に標章(商標)を付して電磁的方法により提供する行為(商標法第2条第3項第8号の使用行為)」に該当するものということはできない。
したがって、乙第1号証の1ないし乙第22号証によっては、本件商標の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に、日本国内において、本件審判の請求に係る商品について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。
なお、被請求人は、乙第23号証の1及び2を提出し、要証期間にYouTubeにおいて商標権者の作成した各動画が視聴されていることを前提に、本件商標と各動画と被請求人の関係性が明らかであれば、広告効果が被請求人に帰属するとして、商標法第2条第3項第8号の使用行為に該当する旨主張している。
しかしながら、乙第23号証の1及び2は、いずれもYouTubeにおける著作権者の広告料収入の仕組みを説明したものにすぎず、被請求人が主張する、商標法第2条第3項第8号の使用行為に該当するための裏付けにはならない。
また、被請求人は、判決及び書籍の記載(乙31、乙32)を挙げて、「当該各動画をアップロードした者は、本件商標権者が黙示の許諾を与えた通常使用権者である」旨主張している。
しかしながら、上記のとおり、当該各動画をアップロードした者は、本件商標権者と利害関係のない者であり、また、アップロードした者が使用商品の販売等を行っている事実も見いだせないから、本件商標権者がアップロードした者に対して黙示の許諾を与えたと解することはできない。
したがって、被請求人の主張は採用することができない。
(2)本件商標権者のウェブサイトにおけるニュースリリースについて
本件商標権者は、平成22年3月31日に、本件商標権者のウェブサイトに、使用商品に関するキャンペーンを同年の4月1日から6月30日まで実施する旨のニュースリリースを掲載し、そのアーカイブが要証期間も存在していると認められる(甲4、乙24の1)。
そして、そのキャンペーンの名称中には、「野菜で朝活!」の文字が使用されている。
しかしながら、本件商標権者により、当該ニュースリリースが掲載された時期は、要証期間外である。
したがって、甲第4号証及び乙第24号証の1によっては、本件商標の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に、日本国内において、本件審判の請求に係る商品について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。
なお、被請求人は、当該ニュースリリースに係るキャンペーンの内容がアーカイブだとしても、使用商品は現在も存在し、当該ニュースリリースが要証期間に存在したことにより、本件商標について依然として広告効果を発揮していたとして、本件商標の商標権者又は通常使用権者が、要証期間に、商標法第2条第3項第8号に該当する使用を行っている旨述べている。
しかしながら、上記1(3)のとおり、当該ニュースリリースは、(a)使用商品に係るキャンペーンの実施期間が平成22年の4月1日から6月30日までであること、(b)キャンペーン情報に関するウェブサイトの開設期間が、同年の3月15日から8月31日までであること、(c)応募券貼付は6月初旬出荷分をもって終了予定であること及び(d)「掲載された情報は発表当時のものです。」と記載されていることからすれば、要証期間における当該ニュースリリースの存在は、過去に実施されたキャンペーンの内容を示すアーカイブとして存在しているものというべきであって、当該キャンペーンの実施事実を示す情報にすぎないから、これをもって、使用商品の広告を内容とする情報であるとは認めることができない。
したがって、被請求人の主張は採用することができない。
(3)雑誌のデジタル版について
甲第5号証及び乙第24号証の2によれば、本件商標権者の使用商品に係るキャンペーンが、平成22年6月30日まで実施中である旨の記事が、同年6月発行の雑誌のデジタル版に掲載され、そのアーカイブが要証期間に存在していると認められる。
そして、その記事中に、「野菜で朝活!」の文字が使用されている。
しかしながら、当該記事が雑誌のデジタル版に掲載された時期は、要証期間外であり、要証期間における当該雑誌のデジタル版の記事の存在は、過去に掲載された記事の内容を示すアーカイブとして存在しているものというべきであって、当該記事の掲載事実を示す情報にすぎないから、これをもって、使用商品の広告を内容とする情報であるとは認めることができない。
したがって、甲第5号証及び乙第24号証の2によっては、本件商標の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に、日本国内において、本件審判の請求に係る商品について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。
(4)キャンペーン情報に関するウェブサイトについて
本件商標権者は、上記1(3)及び(4)のとおり、平成22年に使用商品に関するキャンペーンを実施し、当該キャンペーン情報に関するウェブサイトを同年の3月15日から8月31日まで開設していたことから、要証期間においては、当該ウェブサイトには、「野菜で朝活!おいしい朝 応援キャンペーン」及び「キャンペーンは終了しました」という内容の当該キャンペーンの終了の告知が掲載されていたものと推認できる(甲6、乙25の1)。
そうすると、要証期間における当該ウェブサイトの内容は、当該キャンペーンの終了事実を示す情報にすぎないから、当該ウェブサイトについては、「商品に関する広告を内容とする情報に標章(商標)を付して電磁的方法により提供する行為(商標法第2条第3項第8号の使用行為)」に該当するものということはできない。
(5)「AllAbout」のウェブサイトについて
乙第29号証によれば、掲載期間が平成22年4月16日から5月15日までとする、本件商標権者の作成による使用商品に関する記事が「AllAbout」のウェブサイトに掲載され、そのアーカイブが要証期間に存在していると認められる。
そして、その記事中に、「野菜で朝活って何?>>」の文字が使用されている。
しかしながら、当該記事のウェブサイトへの掲載期間は、要証期間外であり、要証期間における当該ウェブサイトの存在は、過去に掲載された記事の内容を示すアーカイブとして存在しているものというべきであって、当該記事の掲載事実を示す情報にすぎないから、これをもって、使用商品の広告を内容とする情報であるとは認めることができない。
したがって、乙第29号証によっては、本件商標の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に、日本国内において、本件審判の請求に係る商品について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をしていることを証明したものということができない。
また、被請求人は、その指定商品について、本件商標を使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-04-11 
結審通知日 2017-04-13 
審決日 2017-05-01 
出願番号 商願2009-87865(T2009-87865) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (X32)
最終処分 成立 
前審関与審査官 小田 明 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 大橋 洋子
原田 信彦
登録日 2010-07-16 
登録番号 商標登録第5338751号(T5338751) 
商標の称呼 ヤサイデアサカツ、ヤサイデチョーカツ、アサカツ、チョーカツ 
代理人 宮下 洋明 
代理人 花崎 健一 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 
代理人 特許業務法人RIN IP Partners 
代理人 宮城 和浩 
代理人 宮田 佳代子 
代理人 小西 達也 
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