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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
管理番号 1329341 
異議申立番号 異議2016-685019 
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-07-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-08-16 
確定日 2017-03-07 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1276580号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1276580号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第1276580号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、2015年5月8日にBrazilにおいてした商標の登録出願に基づくパリ条約第4条による優先権を主張して、2015年(平成27年)10月29日に国際商標登録出願、第33類「Wines.」を指定商品として、平成28年5月6日に登録査定がされ、同年7月8日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由において引用する登録第4343263号商標(以下「引用商標」という。)は、「TAYLOR’S」の文字を標準文字で表してなり、平成10年12月3日に登録出願、第33類「甘口ぶどう酒その他の果実酒」を指定商品として、同11年12月10日に設定登録され、その後、同21年8月25日に商標権の存続期間の更新登録がされたものであって、現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号又は同項第15号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第46号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標の出願日及び指定商品と引用商標の出願日及び指定商品とは、それぞれ、前記1及び前記2のとおりであるから、引用商標が、本件商標よりも先願に係る登録商標であり、かつ、その指定商品と本件商標の指定商品とが抵触(同一又は類似)することは明らかである。
イ 本件商標は、2つの単語からなるものであって、両語の間には1字分の空白があり、全体で11文字と冗長な構成であるから、両語が常に一体のものとして認識される必然性はない。
また、本件商標は、その構成全体から特定の観念を認識させる可能性は低い。
さらに、本件商標の構成中、「TAYLOR」の語は、視覚及び聴覚上、印象に残りやすい後部に位置する上、我が国でよく親しまれている英語であるから、本件商標は、該「TAYLOR」の語を要部として取引に資されることも決して少なくない。
加えて、ワイン(業界)においては、例えば、申立人のように、その製造及び輸出に係るワインのラベル及び商品名として、そのハウスマークに、自己の製品中の種類を特定するなどの目的で、他の語を付して使用することがしばしば行われていることからすれば、本件商標も、その構成中の「TAYLOR」の語がハウスマーク的に認識され、該語のみをもって商品(ワイン)の出所を特定するものと認識されて、該語から生じる称呼をもって取引されることが決して少なくないと考えられる。
そうすると、本件商標は、取引上、その構成中の「TAYLOR」の語から「テイラー」と称呼される場合も決して少なくないといえる。
ウ 引用商標は、「TAYLOR’S」の文字からなるところ、例えば、「ハーシー」(Hershey’s)や「ケロッグ」(Kellogg’s)のように、その商標主名と所有を示す「’s」からなる商標が、我が国の取引において、該「’s」の部分を省略して称呼されることがよく行われていること(甲38)、引用商標も、実際の取引において、「テイラー」と音訳され、称呼されていること(甲10、甲35、甲40、甲43等)からすれば、引用商標から「テイラーズ」の称呼のほか、「テイラー」の称呼をも生じる。
エ 本件商標から生じる「テイラー」の称呼と引用商標から生じる「テイラー」の称呼及び「テイラーズ」の称呼とを比較すると、両商標は、いずれも「テイラー」の称呼を生じる点において紛らわしいことは明らかであり、また、「テイラー」の称呼と「テイラーズ」の称呼との対比においても、意味的に所有格(所属)の「?の」を意味するにすぎず、音質及び音感としても、語尾音で目立たない「ズ」の音の有無にすぎないから、紛らわしいものである。
オ 本件商標の構成中の「TAYLOR」の語と引用商標を構成する「TAYLOR’S」の語とは、所有格の「’S」の有無の差異があるにすぎないから、両商標は、外観において、相紛らわしい類似の商標である。
カ 上記イないしオによれば、本件商標と引用商標とは、称呼及び外観において類似するものであり、このことに上記アにおいて述べたことを併せ考えれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号について
ア 引用商標の周知・著名性
(ア)申立人の「TAYLOR’S」(ブランド)は、その輸出先の多くの外国のみならず、我が国においても、少なくとも、本件商標の指定商品である「ワイン」、特に、「ポートワイン」の業界の取引者、需要者の間で本件商標の出願日以前から周知・著名な商標である。
(イ)申立人は、1692年創業の歴史ある有名メーカーであって、現在も創業者とそのパートナーにより経営されており、引用商標は、最も評価の高いポート(ワイン)のブランドの1つである(甲11、甲14、甲15等)。
「TAYLOR’S」(ブランド)ポートワインは、我が国において、代理店を通じて、少なくとも1976年(昭和51年)から現在に至るまで継続して輸入、販売されており(甲6ないし甲13、甲41ないし甲43、甲45等)、1995年(平成7年)から2015年(平成27年)までの各年の日本向けの輸出は、合計で296,737リットル、2,773,066ユーロに及ぶ(甲36)。
そして、我が国において輸入、販売される上記ポートワインには、そのラベルやカタログ中の銘柄の表示として、「TAYLOR’S」の商標が使用されている(甲5ないし甲14等)。
(ウ)我が国の代理店は、定期的に招待試飲会を開催(甲21ないし甲23、甲25、甲27)するなどして、広告に努めている(甲35)。
また、ツアーや個人海外旅行により、我が国の旅行者が、申立人のワイナリーを訪問し、見学している(甲15、甲32)。
(エ)「TAYLOR’S」ポートワインは、書籍(甲5ないし甲14、甲39、甲40等)、雑誌(甲15ないし甲20)、新聞(甲22ないし甲30等)、ブログ・Webニュース等(甲21、甲31ないし甲34)により、幅広く紹介されている。
また、インターネット上の検索エンジンを用いて「テイラー ワイン」の語を検索した場合、その検索結果の記事は、ほとんど全て「TAYLOR’S」ポートワインに関するものである(甲43)。
(オ)上記(ア)ないし(エ)によれば、引用商標が、本件商標の出願日以前から、申立人のポートワインの商標として、我が国のワインの取引者、需要者に広く認識され、周知・著名であったことは、明らかである。
イ 本件商標と引用商標との類似性(引用商標が周知・著名であることによる類似範囲の拡大)
本件商標と引用商標との類似性については、上記(1)において述べたとおりである。
また、引用商標は、上記アのとおり、周知・著名であるから、看者、聴者が、本件商標の構成中の「TAYLOR」を引用商標の「TAYLOR’S」と取り違えて認識し、両商標を混同するおそれが高まるといえる。
さらに、引用商標は、その構成中の「TAYLOR」が申立人の略称であり、ハウスマーク的に使用されているものである(甲13、甲36等)。
したがって、本件商標が、仮に、「TAYLOR」の語と「JULES」の語が結び付けられて認識される場合があったとしても、その2語全体で申立人のポートワインの一種を表したものと誤認されるおそれがある。
ウ 引用商標に係るポートワインについて
本件商標の指定商品には、著名な引用商標に係るポートワインその他の酒精強化ワインも含まれる。酒精強化ワインは、ポートワインのほか、「シェリー」(スペイン)や「マデイラ」(ポルトガル)等、その種類が限られており、ポートワインといえば、その伝統と高級性により、引用商標に係る商品が挙げられる可能性が高い(甲40ないし甲43等)から、引用商標の著名性の認定は容易になるといえる。
また、引用商標に係るポートワインの輸出量は、決して多いとはいえないかもしれないが、それは、上述したポートワインの限定性や高級性などによるものであり、むしろ、多くないことが自然といえるものであるから、ポートワインの銘柄の有名性を否定することにはならない。
さらに、引用商標に係るポートワインのような伝統的高級ワインは、一般大衆を対象とする広告、宣伝がそもそも必要ないといえるものであるから、引用商標に係るポートワインが、我が国において知られた代理店を通じて伝統的、継続的に販売され、それに伴うホームページ等での広告や一定の試飲の機会が提供されていれば、その著名性が維持されるに足りるといえる。
エ 小括
上記アないしウによれば、本件商標がその指定商品に使用された場合、その商品が、申立人の周知・著名な引用商標「TAYLOR’S」やその商品と関連付けられて、申立人又はこれに関連する者の業務に係る商品であるかのように、誤認、混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号又は同項第15号にも該当する。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号又は同項第15号に該当するから、その登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消されるべきである。
4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人は、引用商標について、本件商標の出願日以前から、申立人のポートワインの商標として、我が国のワインの取引者、需要者に広く認識され、周知・著名であった旨主張し、その主張に係る証拠方法として、甲第5号証ないし甲第46号証を提出しているので、以下検討する。
(ア)申立人が製造する引用商標の使用に係るポートワイン(以下「申立人商品」という。)は、「世界の名酒事典」(1977年12月創刊のもの、「’84-’85年度版」、「’87-’88年版」、「’94年版」、「’95年版」、「’97」、「2000年版」、「2006年版」、「2008-09年版」及び「2010-11年版」)(甲5ないし甲13、甲42)、「新版 世界の酒事典」(1982年5月20日、株式会社柴田書店発行)(甲14)、「世界のワイン生産者ハンドブック 著名316生産者と主要アイテムでワインを知る!」(2009年11月19日、株式会社美術出版社発行)(甲39)及び「ワイン事典 厳選202本! 買い方&選び方完璧! ワイン入門ガイド」(2014年6月10日、株式会社学研プラス発行)(甲40)に掲載されていることは認められるものの、これらの書籍は、その標題からもうかがえるように、多数の商品が掲載されているものであり、また、申立人商品の紹介も、生産地等により多種にわたるワインの一種であるポートワインという商品に含まれる1つなどとしてなされているものである。
(イ)申立人商品は、1998年4月1日に発行された「dancyu別冊 WINE」(甲16)、2010年頃に発行された「ヴィノテーク」、「ワイン王国」といった雑誌(甲15、甲18)やWEBニュース(甲21)に掲載されていることは認められるものの、その内容は、世界各国のワイン若しくはポートワインを紹介する記事又はワインのテイスティングに関する記事において、その紹介等に係る商品のうちの1つとして記載されているものである。
(ウ)申立人商品は、「日本食糧新聞」(1992年11月6日付け、1993年8月23日付け、1998年6月19日付け、2002年7月8日付け、2010年6月25日付け及び2012年6月25日付け)(甲22、甲23、甲25、甲27、甲29、甲30)、「食品産業新聞」(2009年2月9日付け)(甲24)、「フジサンケイビジネスアイ」(2011年12月28日付け)(甲26)及び「朝日新聞」(2003年1月29日付け)(甲28)において記載があることは認められるものの、その内容は、申立人商品の日本総代理店が1992年の6月10日及び10月27日に試飲会を開催したことを報じるもの(甲22、甲23)以外は、その記事において紹介等がされている商品のうちの1つとして記載されているものである。
(エ)申立人商品は、申立人のワイナリーを訪問したり、申立人商品を入手した個人(4人)のブログ(2008年10月3日付け、2009年1月7日付け、2011年1月の23日付け及び25日付け)(甲31ないし甲34)において、例えば、「TAYLOR’Sといわれる1692年創業のワイナリー。実に300年以上の歴史を持つ老舗中の老舗だと思う。」、「1692年創業。3世紀以上の歴史を持つ 代表的なポートワインのシッパー(製造・輸出業者)です。」、「1692年に設立されたテイラー社は、ポートワインの代名詞といわれるくらい有名な存在ですね」といった記載とともに紹介されている。
(オ)申立人商品は、2012年10月3日時点で、日本総代理店である「MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社」のウェブサイトにおいて、同社が取り扱うシャンパン及びワイン(18ブランド)のうちの1つとして記載されており(甲35)、2016年12月16日時点においても同様に、同社が取り扱うシャンパン、ワイン及びスピリッツ(33ブランド)のうちの1つとして記載されている(甲45)。
(カ)申立人商品の日本向け輸出は、甲第36号証によれば、例えば、1995年が15,705リットル(95,803ユーロ)、2000年が17,312リットル(214,512ユーロ)、2005年が11,619リットル(111,181ユーロ)、2010年が15,255リットル(146,474ユーロ)、2014年が2,318リットル(21,779ユーロ)であり、最高値は、1998年の25,290リットル(230,952ユーロ)である。
また、ポルトガルのポートワインの日本向け総輸出量に占める申立人商品の日本向け輸出量の割合は、「LATE BOTTLED VINTAGE(LBV)」や「TAWNIES WITH INDICATION OF AGE」などといった高級品とされるものについては、比較的高率を占めるものの、全体としては、2006年ないし2015年までの間で、2013年の7.66%を除き、6%を下回るものである(甲46)。
(キ)申立人が2016年11月30日に検索エンジン(Google)を用いて「テイラー ワイン」の語を検索した結果のうちの最初の20件(甲43)によれば、申立人商品は、「Yahoo!JAPANショッピング」や「楽天市場」といった通販サイトにおいて取り扱われていることがうかがえる一方、その結果の8件目には、「オーストラリア 直輸入 ワイン卸販売 全国発送|winery ワイナリー」の見出しの下、「テイラーズ テイラーズワイナリーはアデレードから130kmほど北に位置する美しいクレアバレーにあります。・・・」と記載されているように、申立人とは別人といえる者に係る情報も見受けられる。
イ 上記アにおいて記載した内容によれば、申立人商品は、遅くとも1977年頃から現在に至るまで継続して、我が国において輸入、販売されていることが推認される。
しかしながら、申立人商品が書籍、雑誌、新聞、ウェブサイト等を通じて紹介される機会は、多いものとはいい難い上、その紹介に当たっては、そのほとんどが申立人商品以外の他者の製造、販売に係る商品と合わせてなされているものである。
また、申立人は、我が国において、総代理店を介して、申立人商品の試飲会を開催しているが、その頻度は決して高くなく、総代理店が取り扱う他者の製造、販売に係る商品(ブランド)と合わせて紹介等がなされる場合が多いといえる。
さらに、申立人商品の日本向け輸出量がポートワインの日本向け総輸出量に占める割合は、低いというべきものであるし、また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とで共通し、ポートワインも含むといえる「wine(ぶどう酒)」の我が国における輸入品に係る消費数量(例えば、1995年が78,207キロリットル、2000年が161,503キロリットル、2005年が146,974キロリットル、2010年が178,221キロリットル、2014年が246,170キロリットルであり、申立人商品の最高値を記録した1998年が184,985キロリットルである。各数値については、キリン株式会社のウェブサイト上にある「2016年 日本のワイン市場」(http://www.kirin.co.jp/company/data/marketdata/pdf/market_wine_2016.pdf)参照。)と比較した場合には、申立人商品の日本向け輸出量は、極めて僅少なものである。
その他、申立人の主張及び同人の提出に係る甲各号証を総合してみても、申立人商品が、本件商標の登録出願時はもとより、その登録査定時においても、申立人の業務に係る商品として、我が国の「wine(ぶどう酒)」の取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたと認めるに足る事実は見いだせない。
したがって、申立人商品についての使用に係る引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「ポートワイン」を表示するものとして、我が国の「wine(ぶどう酒)」の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲に示すとおり、「JULES TAYLOR」の文字を横書きしてなるところ、該文字は、「JULES」と「TAYLOR」との間に半文字程度の間隙があるものの、全て同じ書体及び大きさをもって表されていることから、視覚上、そのいずれかが着目されることはなく、その構成全体をもって、まとまりの良い一体的なものとして看取、把握されるとみるのが相当である。
また、本件商標を構成する「JULES」及び「TAYLOR」の各文字部分は、前者が「ジュールズ」という男性名を、後者が「テイラー」という人名等を、それぞれ意味する英語(いずれも「研究社 新英和大辞典 第6版」、2002年3月株式会社研究社発行)であるものの、我が国における英語の普及の程度に照らしてもなお、本件商標に接する者が、通常、そのような意味を有する既成の英語として認識するとまではいい難い。
さらに、本件商標は、その構成全体から「ジュールズテイラー」の称呼を生じるというのが相当であるところ、その称呼は、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そうすると、本件商標は、「JULES」と「TAYLOR」という、いずれも一種の造語と認識される各文字をまとまりよく一体的に表したものであって、その構成全体をもって一体不可分の商標として認識されるものというべきである。
この点につき、申立人は、本件商標の構成中の「TAYLOR」の文字部分について、視覚及び聴覚上、印象に残りやすい後部に位置する上、我が国でよく親しまれている英語であるから、本件商標は、該「TAYLOR」の文字部分を要部として取引に資されることも決して少なくない旨主張するが、「TAYLOR」の文字については、上述のとおり、既成の英語とはいえても、我が国でよく親しまれているとまではいえないものであるし(よく親しまれているとすることについて、申立人は、何ら事実を示していない。)、また、該文字が後部に位置することをもって、視覚及び聴覚上、印象に残りやすいともいえないことから、申立人による上記主張は、採用できない。
してみれば、本件商標は、「ジュールズテイラー」の称呼のみを生じるものであり、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「TAYLOR’S」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「’S」の文字部分は、英語で所有格を表す表記法として、一般に広く知られているといえるから、引用商標は、「TAYLOR」の文字に上記所有格を表す「’S」の文字を結合してなるものとして看取、把握されるとみるのが相当である。
また、引用商標の構成中の「TAYLOR」の文字部分は、上記アにおいて述べたとおり、人名等を意味する英語ではあるものの、一種の造語として認識されるというべきである。
さらに、引用商標は、その構成全体から「テイラーズ」の称呼を生じるというのが相当であるところ、その称呼は、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そうすると、引用商標は、その構成全体をもって、「TAYLOR」の文字に係る所有を表したものとして認識されるというべきである。
してみれば、引用商標は、「テイラーズ」の称呼のみを生じるものであり、「TAYLOR(テイラー)のもの」といった意味合いを生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標は「JULES TAYLOR」の文字からなるのに対し、引用商標は「TAYLOR’S」の文字からなるから、両商標は、「TAYLOR」の文字部分を共通にするものの、他の文字構成において明らかな差異が存するものであり、外観上、明確に区別できるものである。
また、本件商標から生じる「ジュールズテイラー」の称呼と引用商標から生じる「テイラーズ」の称呼とを比較すると、両称呼は、音構成及び音数において明らかな差異が存するものであるから、それぞれを一連に称呼しても、語感、語調が相違し、明瞭に聴別できるものである。
さらに、本件商標は特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標は「TAYLOR(テイラー)のもの」といった意味合いを生じるものであるから、両商標は、観念上、相紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標と認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(3)本件商標の商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について
引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「ポートワイン」を表示するものとして、我が国の「wine(ぶどう酒)」の取引者、需要者の間に広く認識されていたとはいえないものである。
また、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、十分に区別し得る別異の商標として認識されるとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものではなく、さらに、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らか関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないと認められるから、同項第15号に該当するものでもない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】

異議決定日 2017-03-03 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W33)
T 1 651・ 262- Y (W33)
T 1 651・ 263- Y (W33)
T 1 651・ 25- Y (W33)
T 1 651・ 271- Y (W33)
最終処分 維持 
前審関与審査官 阿曾 裕樹 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 大橋 洋子
田中 敬規
登録日 2015-10-29 
権利者 JULES TAYLOR HOLDINGS LIMITED
商標の称呼 ジュールステイラー、ジュール、ジュールズ、ジュレス、テイラー 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 藤倉 大作 
代理人 松尾 和子 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 辻居 幸一 
代理人 中村 稔 
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