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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W3541
管理番号 1329330 
異議申立番号 異議2016-900268 
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-07-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-08-25 
確定日 2017-06-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5853335号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5853335号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5853335号商標(以下「本件商標」という。)は、「ファーストペンギン」の片仮名を標準文字で表してなり、平成27年10月23日に登録出願、第35類「広告業,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,電子書籍の販売に関する情報の提供,不動産業等における市場調査,広告用具の貸与」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,オンラインで提供される電子書籍及び電子定期刊行物の制作,書籍の製作,電子出版物の提供及びこれに関する情報の提供」並びに第36類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同28年5月13日に登録査定、同月27日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は、以下のとおりである。
(1)登録第1830621号商標(以下「引用商標1」という。)は、「PENGUIN」の欧文字を横書きしてなり、昭和52年12月26日に登録出願、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同60年12月25日に設定登録、その後、3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、平成19年3月22日に、指定商品を第16類「印刷物」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)国際登録第993811号商標(以下「引用商標2」という。)は、「PENGUIN」の欧文字を横書きしてなり、2008年9月23日に国際商標登録出願、第35類「Retail services of books, all provided by way of stores, shops and retail outlets, by mail order, by telephone sales, by online catalogue, by way of a general interest web site or by way of a specialist web site; accountancy.」及び第41類「Publishing services; publication of magazines, books and printed matter; electronic publishing services; book club services; advice and assistance in the selection of books; supply services for books; supply services for books to educational establishments, advisory and consultancy services relating to all the aforesaid services.」を指定役務として、平成23年4月1日に設定登録されたものである。
(3)登録第873058号商標(以下「引用商標3」という。)は、「PENGUIN BOOKS」の欧文字を横書きしてなり、昭和43年1月26日に登録出願、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同45年9月14日に設定登録、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、平成23年11月2日に、指定商品を第16類「双書」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(4)登録第944087号商標(以下「引用商標4」という。)は、「ペンギンブックス」の片仮名を横書きしてなり、昭和44年7月5日に登録出願、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同47年1月14日に設定登録、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、平成15年3月19日に、指定商品を第16類「双書」とする指定商品の書換登録がされたものである。
なお、これらをまとめて、以下「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標はその指定役務中、第35類及び第41類について、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は、取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)引用商標の著名性
申立人が出版している「Penguin Books」は、1935年に英国のAllen Laneが創刊し、1937年(昭和12年)には日本に輸入されたペーパーバックの元祖的存在である(甲3)。「Penguin Books」は、まず、ヘミングウェイ著「武器よさらば」など10点、各2万部ずつが、1部6ペンスという低価格で発売され、書店だけでなく、新聞売店、小売チェーン店、百貨店といった非書籍販売組織を利用して売り出されて、内容の質の高さや簡潔で上品な表紙デザインが人気をよび、好調な売上げを達成し、また、「ビッグ6」と呼ばれる欧米大手出版社の一角を占め、同じビッグ6のランダムハウスと2013年に合併し、最大手になった(甲4、甲5)。
「Penguin Books」は、オンライン書店を含め、我が国の多くの書店で販売されている。各書籍には、「Penguin Books」、「Penguin」の他、古典的良書を刊行することで有名な「Penguin Classics」、「Penguin Modern Classics」、レベル分けされた英語教本である「Penguin Readers」等、シリーズ商品のファミリーマークとして「Penguin」商標が使用され、立っているペンギンの図形商標も使用されている(甲6、甲7)。
甲第8号証の表は、英国から日本に輸出した「Penguin Books」の売上げを記したものであり、左から書名、部数、売上高(ポンド)を表している。英国からの輸入分のみで、2013年に77,000部、25万ポンド(3,800万円)、2014年に107,000部、35万ポンド(7,000万円)、2015年に108,000部、32万ポンド(6,700万円)を売上げた。
また、店頭では、関連グッズとして、引用商標及びペンギンの図形が入ったトートバッグ、マグカップ、ティータオル等が販売されている。そして、インターネットホームページやブログなどのこれらの記事は、トートバッグ等のこれらの商品を紹介し、引用商標を説明している(甲9?甲15)。このようにPenguin Booksの関連グッズが好評を博しているのは、引用商標が書籍について使用された結果、需要者の間で著名であるからに、ほかならない。
また、申立人は、電子書籍を、2012年から我が国で販売し、オーディオブックを、アップル社のiTunesを通して提供している(甲16)。SoundCloudという音声ファイル配布サービスの統計によると、Penguin Booksのオーディオブックは、2011年から2016年にかけて、我が国から49,214回のダウンロードがあった(甲17)。
以上のとおり、引用商標は、我が国において長年にわたって主として洋書に使用されてきたものであり、その結果、引用商標は、本件商標の登録出願時には既に、申立人の業務に係る洋書を表示する商標として、我が国の取引者、需要者の間で広く認識されて周知、著名な商標となっており、それは、本件商標の登録出願時及びそれ以降も継続している。
なお、「PENGUIN」の欧文字が、遅くとも平成12年より前に、申立人の本国である英国はもとより我が国を含む世界各国において、申立人の業務に係る商品である「書籍を主とする出版物」を表示するものとして、我が国のこの種の商品の取引者、需要者間に広く認識されていることは、別件異議決定の例においても認められている(異議2001-90356、甲18)。
申立人は、日本洋書協会の会員である三善、日販アイ・ピー・エス、東京ブックランドの各社と取引しており、引用商標が世界的に著名であることは、洋書の輸入業者や書店等の需要者によって認識されているといえるから、本件商標についても役務の出所について混同を生ずるおそれがあると判断されるのが相当である(甲19?甲21)。
(2)本件商標と引用商標の類似性について
本件商標は、「ファーストペンギン」を標準文字で書してなるものであるところ、その構成中の「ファースト」の文字部分は、「第1の、一流の、最高の、一級品の」等の意味を有し、ありふれた日常語として一般に広く親しまれている「First」を認識させるものであり、本件商標の指定役務に使用された場合には、役務の等級、質の誇称表示の1つとして理解され、役務の識別標識として強い識別力を発揮する語であるとはいえない。
また、「ファーストペンギン」から、「第1のペンギン」、「一流のペンギン」程度の意味合いが生じるが、この語が一般人になじまれているということはなく、「ファーストペンギン」を一体のものとして把握しなければならない特段の事情も存在しない。
したがって、看者は、本件商標中の「ペンギン」の文字部分に着目するから、本件商標と引用商標とは、類似性が高いということができる。
(3)本件商標の指定役務と引用商標が使用されている商品(役務)の関連性の程度について
申立人は出版社であり、引用商標は、主として役務「洋書の制作」及び商品「洋書」に使用されていたが、需要者の読書習慣の変化に伴って、電子出版物及びその制作、提供にも使用されている(甲6)。
したがって、本件商標の指定役務と引用商標が使用されている役務と関連性が深いものである。
(4)混同のおそれ
以上を総合勘案すると、本件商標を指定役務のうち、第35類「電子書籍の販売に関する情報の提供」及び第41類「オンラインで提供される電子書籍及び電子定期刊行物の制作,書籍の製作,電子出版物の提供及びこれに関する情報の提供」(以下「取消対象役務」という。)に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「PENGUIN」又は「PENGUIN BOOKS」を連想、想起し、該役務が「PENGUIN」又は「PENGUIN BOOKS」の役務、又はこれと経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものというべきである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)「Penguin Books」は、英国の企業が刊行しているペーパーバックシリーズで、1935年に英国のAllen Lane氏が、創刊し、1937年(昭和12年)には、日本に輸入された(甲3)。
該ペーパーバックシリーズは、1部6ペンスという低価格で発売され、書店だけでなく、新聞売店、小売チェーン店、百貨店といった非書籍販売組織を利用して売り出され、内容の質の高さや簡潔で上品な表紙デザインが人気をよび、好調な売上げを達成した(甲4)。
そして、2012年10月29日付け「日本経済新聞」(電子版)に、「米ランダムハウスと英ペンギン合併、出版最大手に」の見出しの下、「ランダムハウスとペンギン・ブックスは、『ビッグ6』と呼ばれる欧米大手出版社の一角を占め、11年の売上高はそれぞれ17億ユーロ(1,700億円)と10億ポンド(1,300億円)。」の記載がある(甲5)。
(イ)「Penguin Books」は、インターネットの通信販売業者により販売され、各書籍は、「Penguin」、「Penguin Modern Classics」及び「Penguin Classics」等の記載とともに、紹介されている(甲6)。
(ウ)申立人が作成した甲第8号証の表は、英国から日本に輸出した「Penguin Books」の売上げを記したものであり、左から書名、部数、売上高(ポンド)を表し、英国からの輸入分のみで、2013年には、77,679部、25万4,092ポンド、2014年には、106,999部、34万9,534ポンド、2015年には、108,467部、32万651ポンドの記載がある。なお、該証拠は、外国語で作成されたものである。
(エ)書店、レコード販売店及び雑貨店の店頭では、「ペンギンブックス」の関連商品として、「ペンギンブックス」、「PENGUIN BOOKS」、「Penguin Books」又は「PENGUIN CLASSIC」の文字とペンギンの図形とが表示されたトートバッグ、マグカップ及び手帳等が紹介されている(甲9?甲15)。
(オ)株式会社三善、日販アイ・ピー・エス株式会社及び株式会社東京ブックランドのウェブサイトでは、取扱出版社及び仕入れ先として、「ペンギンブックス」、「Penguin Group」、「PENGUIN GROUP USA」及び「PENGUIN UK」が紹介されている(甲19?甲21)。
イ 上記アからすると、次のように判断できる。
提出された甲各号証によれば、申立人が出版している「Penguin Books」は、1937年(昭和12年)には日本に輸入され、申立人は、2011年頃には、「ビッグ6」と呼ばれる欧米大手出版社の一角を占めるまでになり、関連商品として、トートバッグ、マグカップ、手帳等も販売していること等をうかがい知ることができ(甲3、甲5、甲9?甲15)、引用商標3及び引用商標4に係る書籍が一定程度の売上げを示すことが認められる(甲5、甲8)。
しかしながら、申立人の提出した証拠において、書籍についての広告がされたといえる証拠は、甲第6号証のみであり、しかも、甲第6号証に掲載された書籍には、「Penguin Modern Classics」や、「Penguin Classics」等と、様々な表示がされており、他の甲各号証を考慮しても、引用商標3及び引用商標4が、自他商品の識別標識として、書籍に使用されている証拠は見いだせず、かつ、「PENGUIN(Penguin)」あるいは「ペンギン」と省略され、該語をもって、取引者、需要者の間において広く認識されていたことを認めることもできない。
また、引用商標1及び引用商標2並びに「Penguin」及び「ペンギン」の文字よりなる商標については、その使用期間、使用地域及び使用方法などの、取引の実情の詳細等も把握することができない。
さらに、英国から日本に輸出した「Penguin Books」の売上高等を記載している証拠(甲8)は、外国語で作成されているばかりか、その出典も不明であり、我が国における書籍の販売数、業界シェアなどの実績は、不明であるといわざるを得ない。
加えて、我が国の輸入業者や書店と取引しているとしても、わずかに3社のみであって、これをもって、需要者の間に広く知られているとはいい難い。
その他、引用商標を使用した商品について宣伝広告を行っている事実等を示す証拠も一切提出されていない。
してみれば、引用商標3及び引用商標4は、これらに係る書籍について、一定程度の売上げがあるとしても、申立人の提出した証拠からは、取消対象役務の取引者、需要者の間に至るまで、広く知られ著名となっているとまではいうことができない。
したがって、引用商標1及び引用商標2を含め、引用商標が、取消対象役務の取引者、需要者の間において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時に著名性を獲得していたと認めることはできない。
(2)本件商標と引用商標との類似性
ア 本件商標
本件商標は、「ファーストペンギン」の片仮名からなるところ、その構成文字は、同書、同大、同間隔で外観上まとまりよく一体的に表されているものであり、いずれかの文字部分が、殊更、取引者、需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとはいい難い。
また、その構成文字全体から生じる「ファーストペンギン」の称呼も、格別冗長でもなく、無理なく一連に称呼されるものである。
そして、その構成中の「ファースト」の文字は、「1番目の」等の意味を有する語であり、「ペンギン」の文字は、「ペンギン目ペンギン科の鳥の総称」の意味を有する語(いずれも、「大辞林第3版」株式会社三省堂)であることから、本件商標は、全体として「1番目のペンギン」程の意味合いを理解させるものである。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体をもって、一体不可分のものとして認識し、把握されるとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成文字に相応して「ファーストペンギン」の称呼を生じ、「1番目のペンギン」程の観念を生じるものである。
イ 引用商標
引用商標1及び引用商標2は、前記2のとおり、いずれも「PENGUIN」の文字を横書きしてなるものであるから、該文字に相応して、「ペンギン」の称呼を生じ、「ペンギン」の観念を生じるものである。
引用商標3及び引用商標4は、「PENGUIN BOOKS」及び「ペンギンブックス」の文字を横書きしてなるところ、該文字に相応して、「ペンギンブックス」の称呼が生じるほか、その構成中、「BOOKS」及び「ブックス」の文字は、その指定商品との関係において、商品名を表示したにすぎず、自他商品の識別標識としての機能がないか又は非常に弱い部分であるから、引用商標3及び引用商標4からは、「PENGIN」及び「ペンギン」の文字部分に相応して、単に「ペンギン」の称呼及び「ペンギン」の観念をも生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との対比
本件商標と引用商標との類否について検討するに、外観においては、本件商標と引用商標とは、その構成文字、構成文字数を異にし、外観上、明らかに相違するものである。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「ファーストペンギン」の称呼と、引用商標から生じる「ペンギン」及び「ペンギンブックス」の称呼とは、その音構成において明らかに相違するものであり、それぞれを一連に称呼した場合、互いに聞き誤るおそれはなく、両者は、称呼上、明確に聴別することができる。
さらに、観念においては、本件商標は、「一番目のペンギン」の観念を生じ、引用商標は、「ペンギン」の観念を生じるものであるから、両者は、観念上、相違するものである。
したがって、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(3)出所の混同のおそれ
前記(1)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできず、前記(2)のとおり、本件商標は、引用商標とは、非類似の商標である。
してみれば、本件商標をその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標を想起ないし連想することはないといえるから、該役務が申立人又は同人と業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る役務であるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定役務について、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-06-01 
出願番号 商願2015-102441(T2015-102441) 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (W3541)
最終処分 維持 
前審関与審査官 大森 友子 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 木住野 勝也
榎本 政実
登録日 2016-05-27 
登録番号 商標登録第5853335号(T5853335) 
権利者 株式会社ファーストペンギン
商標の称呼 ファーストペンギン、ファースト、ペンギン 
代理人 坂上 正明 
代理人 古岩 信嗣 
代理人 岡田 稔 
代理人 鈴木 昇 
代理人 曾我 道治 
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