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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W3541
審判 一部申立て  登録を維持 W3541
審判 一部申立て  登録を維持 W3541
管理番号 1329325 
異議申立番号 異議2016-900416 
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-07-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-12-28 
確定日 2017-06-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第5885343号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5885343号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5885343号商標(以下「本件商標」という。)は、「Applied Insights」の欧文字を標準文字で表してなり、平成28年4月11日に登録出願、第35類「経営の診断又は経営に関する助言,経営に関するコンサルティング,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供」及び第41類「経営に関する教育研修,セミナーの企画・運営又は開催,企業の人材育成に関するコンサルティング,社員教育に関するコンサルティング,通訳・翻訳,電子出版物の提供,書籍の制作,教育用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),技芸・スポーツ又は知識の教授」を指定役務として、同年9月9日に登録査定、同年9月30日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)国際登録第1144642号商標(以下「引用商標1」という。)は、「Insights」の欧文字を書してなり、2012年(平成24年)11月29日に国際商標登録出願、第16類「Notepads; all the aforementioned in the field of people (but not personal relationship) and organisational development; folders; cards; stationery; pens; pencils; erasers; pencil sharpeners; pencil cases; boxes for pens; book markers.」、第35類「Psychometric testing for the selection, professional development and advising on staff or personnel; testing by psychological type theory for the selection, professional development and advising on staff or personnel.」及び第41類「Organisation and arranging of seminars, workshops, training sessions, conferences and symposiums, congresses and colloquiums; educational information; educational services; publication of books and texts; all of the aforementioned in the field of people (but not personal relationship) and organisational development; arranging training courses; providing of training and conducting of seminars for personnel and business assessment, consultancy and development; presentation skills training; providing of training courses relating to team building training; career consultancy; training services in relation to conflict and stress management; sales training.」を指定商品及び指定役務として、平成26年7月11日に設定登録されたものである。
(2)登録第4669407号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、2000年6月26日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成12年8月2日に登録出願、第35類「化学品の在庫管理」、第1類、第5類、第9類、第10類、第37類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成15年5月9日に設定登録され、その後、同25年5月14日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
以下、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という。

3 登録異議申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号に基づき、取り消されるべきものであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。
(1)本件商標について
本件商標は、「Applied」と「Insights」と、それらの文字の間の全角1文字分のスペースとで構成されており、外観上、2つの語により構成されている。そして、本件商標は、どの辞書にも掲載された成語ではなく、特定の意味を有する語として一般に親しまれたものでもない。
ここで、本件商標の実際の取引の実情を考慮すると、例えば、コンサルティングを提供するアプライド会計事務所が「APPLIED」を(甲1)、マーケティングを提供する株式会社アプライド・マーケティングが「applied、アプライド」を(甲2)、人材育成・組織開発の研修を提供するAIワークショップ・デザイン研究所が「アプライド」を(甲3)使用している。
また、例えば、人々の発展のためのプログラムや研修を提供する申立人が「Insights」を(甲4)、マーケティングを提供する株式会社マーケティング インサイツが「インサイツ」を(甲5)、経営や人材育成の教育研修を提供するAdaptive Insights社が「Insights」を(甲6)使用している。
このような取引の実情(甲1?甲6)からすると、役務の取引者、需要者は、「Applied」や「Insights」の文字部分をコンサルティング、マーケティング、人材育成研修などの役務を提供する語として看取し、把握するものである。そうすると、取引者、需要者は、該文字部分が自他役務識別標識としての機能を有すると認識するものである。
したがって、本件商標は、「Applied」の文字部分と、「Insights」の文字部分とを本件商標の要部として解すべきものであり、本件商標の構成中の全角1文字分のスペースの存在も相まって、それぞれの文字部分で分離観察されるべき商標である。
このように、本件商標の構成や取引の実情を考慮すると、本件商標は、「Applied」や「Insights」の文字部分の外観及び「アプライド」や「インサイツ」の称呼を有する。これは、商標公報の【称呼(参考情報)】において、「アプライド」と「インサイツ」の称呼が表示されていることからも明らかである(甲7)。また、本件商標は、これら文字部分に対応する「応用」や「適用」、「洞察」や「直観」の観念を有するものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1
引用商標1は、「Insights」の文字の外観、「インサイツ」の称呼及び「洞察」や「直観」の観念を有する。
イ 引用商標2
引用商標2は、上述した取引の実情からすると、取引者、需要者は「Applied」の文字部分が自他役務識別標識としての機能を有すると認識するものであり、「Applied」の文字部分と、「Biosystems」の文字部分とで分離観察される。
したがって、引用商標2は、「Applied」の文字部分の外観及び「アプライド」の称呼を有する。また、「Applided」の文字部分に対応する「応用」や「適用」の観念を有する。
(3)本件商標と引用商標との類否
ア 第35類の指定役務について
本件商標の指定役務は、特別な業種または用途に限定されていないことから、引用商標1及び2の指定役務と、需要者の範囲が一致し、提供の目的が一致し、業種が同じ場合があり、同一事業者が提供する場合がある。
したがって、本件商標の第35類の指定役務と、引用商標1及び2の第35類の指定役務とは、互いに類似する役務である。
イ 第41類の指定役務について
本件商標の指定役務は、研修やセミナー、知識の教授に関する役務であることから、引用商標1の指定役務と、提供の手段、目的又は場所が一致し、需要者の範囲が一致し、業種が同じであり、同一事業者が提供する場合がある。
したがって、本件商標の第41類の指定役務と、引用商標1の第41類の指定役務とは、互いに類似する役務である。
ウ 本件商標の外観について
本件商標と引用商標1及び2は、それぞれその全体の外観において差異を有するが、本件商標の自他役務識別機能を有する要部「Applied」の文字部分は、引用商標2の「Applied」と、本件商標の要部「Insights」の文字部分は、引用商標1の「Insights」と共通にする。
そうすると、本件商標と引用商標1及び2は、外観において明らかに類似するものであり、互いに相紛れるおそれのある商標である。
エ 本件商標の称呼について
本件商標の自他役務識別機能を有する要部「App1ied」は、その文字部分から「アプライド」の称呼が生じ、引用商標2の「アプライド」と称呼を共通にする。また、本件商標の要部「Insights」は、その文字部分から「インサイツ」の称呼を生じ、引用商標1の「インサイツ」と称呼を共通にする。
したがって、本件商標と引用商標1及び2は、称呼において明らかに類似するものであり、互いに相紛れるおそれのある商標である。
オ 本件商標の観念について
本件商標の自他役務識別機能を有する要部「Applied」は、その文字部分から「応用」や「適用」の観念が生じ、引用商標2と観念を共通にする。また、本件商標の要部「Insights」は、その文宇部分から「洞察」や「直観」の観念が生じ、引用商標1と観念を共通にする。
したがって、本件商標と引用商標1及び2は、観念において明らかに類似するものであり、互いに相紛れるおそれのある商標である。
(4)まとめ
以上のように、本件商標と引用商標1及び2について、外観、称呼、観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に観察した結果、両者は、相紛れるおそれのある類似の商標であり、本件商標の商標登録は、第35類については引用商標1及び2によって、第41類については引用商標1によって取り消されるべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11項に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)本件商標について
本件商標は、「Applied Insights」の欧文字からなるところ、その構成中の「Applied」の文字部分は、「(実地に)適用された、 応用の」の意味を有し、「Insights」の文字部分は「洞察力、眼識、識見」等の意味を有する「insight」の英語の複数形(いずれも「新英和・和英中辞典」研究社)であるとしても、本件商標全体としては、具体的な意味合いを認識させるものとはいい難いことから、これに接する需要者は、本件商標の構成文字全体をもって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語を表したものと理解するというのが相当である。
そして、本件商標を構成する文字は、同じ書体をもってまとまりよく表されており、その構成中の「Applied」の文字と「Insights」の文字の間に1文字程度のスペースがあるとしても、いずれか一方の文字部分を強調するような構成態様ではなく、一体不可分のものとして看取されるものであり、また、本件商標の構成文字全体から生ずる「アプライドインサイツ」の称呼は、格別冗長なものではなく、無理なく一連に称呼できるものである。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「アプライドインサイツ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標1は、「Insights」の文字からなるところ、該文字は、「洞察力、眼識、識見」等の意味を有する「insight」の英語の複数形を表したものと理解されるものである。
そうすると、引用商標1は、その構成文字に相応して、「インサイツ」の称呼を生じ、「洞察力、眼識、識見」の観念を生じるものである。
また、引用商標2は、「AB」の文字をデザイン化した図形の右側に「Applied」の文字と「Biosystems」の文字とを上下二段に書してなるところ、その構成中の「Applied」の文字部分と「Biosystems」の文字部分は同じ書体により、外観上まとまりよく表されていることから、一体不可分のものとして認識されるものであり、「Applied Biosystems」の文字全体としては、辞書等に載録のないものであって、これに接する需要者は、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語を表したものと認識するというのが相当である。
そうすると、引用商標2は、その構成文字に相応して「アプライドバイオシステムズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標の類否について検討するに、本件商標と引用商標とは、外観においては、上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、両者は、その全体の文字構成及び図形の有無などにおいて、明らかな差異を有するものであるから、外観上、明確に区別できるものである。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「アプライドインサイツ」の称呼と引用商標1から生じる「インサイツ」の称呼及び引用商標2から生じる「アプライドバイオシステムズ」との称呼を比較すると、両者は、その音構成及び音数において明らかな差異を有するものであるから、称呼上、明確に聴別されるものである。
そして、観念においては、本件商標は、特定の観念を有しない造語であり、引用商標1からは「洞察力、眼識、識見」の観念を生じることから、両者は、観念上、類似しないものである。
また、本件商標と引用商標2とは、共に特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり、本件商標と引用商標2とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼が非類似であるから、両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲 引用商標2



異議決定日 2017-05-23 
出願番号 商願2016-41347(T2016-41347) 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W3541)
T 1 652・ 263- Y (W3541)
T 1 652・ 262- Y (W3541)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大渕 敏雄 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 榎本 政実
木住野 勝也
登録日 2016-09-30 
登録番号 商標登録第5885343号(T5885343) 
権利者 インサイトマネジメント株式会社
商標の称呼 アプライドインサイツ、アプライド、インサイツ 
代理人 朝比 一夫 
代理人 江部 武史 

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