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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X162930323342
管理番号 1329305 
審判番号 取消2012-670012 
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-08-01 
確定日 2014-08-05 
事件の表示 上記当事者間の国際商標登録第0528953号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第528953号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、2007年(平成19年)3月27日に国際商標登録出願(事後指定)、第16類「Paper,boxes of paper,table cloths of paper,table napkins of paper,cardboard and cardboard articles;printed brochure in the field of hotel,restaurant and catering services,photographic postcards,and other printed matter;bookbinding material;photographs;postcards;greeting cards,notepads,envelopes,writing pads,and other stationery;adhesives for stationery or household purposes;materials for artists;paintbrushes;typewriters and office requisites(except furniture);instructional or teaching material(except apparatus);plastic materials for packaging(not included in other classes);playing cards;printing type;printing blocks.」、第29類「Meat,fish,poultry and game;meat extracts;preserved,dried and cooked fruit and vegetables;meat,fish,fruit and vegetable jellies;jams;eggs,milk and dairy products;edible oils and fats;salad dressings;canned meat,fish,fruit and vegetables.」、第30類「Coffee,tea,cocoa,sugar,rice,tapioca,sago,artificial coffee;flours and preparations made from cereals,bread,pastry and confectionery,edible ices;honey,treacle syrup;yeast,baking-powder;salt,mustard;vinegar,sauces(except dressings for salads);spices;ice for refreshment.」、第32類「Beers;mineral and aerated waters and other non-alcoholic drinks;fruit drinks and fruit juices;syrups and other preparations for making beverages.」、第33類「Alcoholic beverages(except beers).」及び第42類「Hotels,restaurants,coffee houses and bars;bath houses and cure establishments;health resorts;beauty parlors;hotel reservation agencies.」を指定商品及び指定役務として、平成21年7月31日に設定登録され、同年8月3日に商標権の存続期間の更新登録がされたものであり、現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,平成24年8月9日である。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書、弁駁書、口頭審理陳述要領書(口頭審理における陳述を含む。)及び上申書において、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁等の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第10号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、被請求人(以下「商標権者」又は「アルトゥーニス」という場合がある。)が通常使用権者であると主張するアールアンドダブリュ株式会社(以下「アールアンドダブリュ」という。)の宣誓書の写しである。
被請求人は、本号証の署名者であるアールアンドダブリュが本件商標の通常使用権者であると主張するが、本物件は宣誓書であり、本件商標の使用権設定契約でもその写しでもなく、また商標登録原簿の写しでもなく、商標法が定める通常使用権者に該当することを証明できるものではない。
また、本号証の署名者は代表取締役社長の椿原氏であるが、被請求人が本件商標の通常使用権者と主張するアールアンドダブリュとの関係、及び真正な代表取締役社長であることは公的に証明されていない。
そして、本号証の第1項の第2段落には、「平成15年3月から今日に至るまでALTUNIS-TRADING,GESTAO E SERVICOS LDA社に係る商品を輸入し販売してまいりました。」との記載があるが、それを具体的に裏付ける証拠は提出されておらず、宣誓者の主張の信憑性には疑いが残る。また、その第2項には、アールアンドダブリュは、ALTUNIS-TRADING,GESTAO E SERVICOS LDA社の日本における販売代理店であり、本件商標を使用する通常使用権者であると宣誓されているが、かかる代理店契約の写しも提出されていないため、販売代理店であることを立証できないばかりか、仮に販売代理店であったとしてもそれが必然的に本件商標の通常使用権者にも該当するとはいえないものであり、宣誓者の主張は、信頼性、信憑性に欠けている。
(2)乙第2号証ないし乙第4号証について
乙第2号証ないし乙第4号証は、被請求人が通常使用権者であると主張するアールアンドダブリュの納品書の写しである。
駆け込み使用の該当性
被請求人の答弁書によると、被請求人の納品書である乙第2号証ないし乙第4号証に係る「発砲酒」の配達日は、それぞれ順に、2012年4月28日、同年5月24日、同年9月26日であるとされているところ、本件審判の請求の予告登録日が2012年8月9日であり(甲1)、「本件審判の請求前三月」は2012年5月9日であるから、乙第3号証、乙第4号証に記載された配達日は、2012年5月9日より後であり、かつ、本件審判の請求の登録の日である同年8月9日までの間になされた使用であると考えられる。
次に、上記使用は、本件審判が請求されることを知った後であるかどうかであるが、請求人は、被請求人に対し、2008年8月15日に商標登録第5134817号「CIPRIANI\OCEAN RESORT AND CLUB RESIDENCES」で指定されていた第43類の指定役務に係る商標登録について異議申立てを行った経緯がある(甲2、甲3)。かかる経緯に鑑みれば、被請求人は、本件商標を含め、自己の所有する登録商標であって、本件商標に含まれる「CIPRIANI」の文字を有するものに対して、登録異議の申立て、無効審判、不使用による取消審判などが請求人により順次請求されるおそれがあることを十分予測可能であり、本件審判の請求の登録日である2012年8月9日より前に本件審判が請求されることを知っていたといえる。
イ 納品書発行日、納品日の立証困難性
被請求人は、答弁書において、乙第2号証ないし乙第4号証の納品書の右上欄にある日付はそれぞれの写しのプリントアウトの日付であると主張する。
しかし、これらの納品書は電子化されて管理されていると推測されるが、電子ファイル上の日付の証拠成立性及びその信憑性については低いものと考える。電子データは日付の変更が容易であることから、記載された日付に納品書が存在していたことは立証できない。
同様に、乙第2号証ないし乙第4号証の中央下部に記載されている各配達日についても、記載されている日付の信憑性は低いものである。
ウ 納品先のあて名の不一致
被請求人は、答弁書において、被請求人が「〒530-8224大阪市北区梅田1-13-13」所在の「株式会社阪神百貨店」(以下「阪神百貨店」という。)に「発泡酒」及び「ワイン」を納品(販売)していると主張する。
しかし、乙第2号証の納品先あて名は、「〒5410051大阪市中央区備後町3丁目4-9輸出繊維会館4F」所在の「大丸興業株式会社」(以下「大丸興業」という。)であり、乙第4号証の納品先あて名は、「〒7800841高知市帯屋町1-6-1」所在の「高知大丸 和洋酒」であり、被請求人による主張と証拠が不一致であり、その主張は認められない。
エ 納品品目の不一致
被請求人は、答弁書において、阪神百貨店に「発泡酒」及び「ワイン」を納品(販売)していると主張する。
しかし、乙第2号証ないし乙第4号証の納品された商品名の欄には、「発泡酒」しか記載がない。
以上を総合するに、乙第2号証ないし乙第4号証は、記載された日付の信憑性の欠如と主張内容との不一致により使用を証明する書類に該当しないほか、その信憑性に疑いを抱くものである。
(3)乙第5号証について
被請求人は、乙第5号証は阪神百貨店の販売促進広告であると主張する。
しかし、乙第5号証には発行された日付が明記されておらず、被請求人がいつこの広告を発行したのかが立証されていない。
したがって、乙第5号証は、被請求人の本件商標の使用実績を示す証拠には該当しない。
また、乙第5号証には、「イタリアへ行こう!・・・『ローマ5日間の旅』をプレゼント!」の見出しの下、「出発日:平成15年12月1日(月)→19日(金)/平成16年1月5日(月)→31日(土)の毎日」との記載が見受けられるが、その日付に照らせば、本号証は、本件審判の請求における「継続して3年以上」(平成21年8月9日以降)使用されていたことを立証するものではない。
(4)乙第6号証について
被請求人は、乙第6号証は被請求人が通常使用権者であると主張するアールアンドダブリュの扱う商品が取り上げられたテレビ番組の画面であって、アールアンドダブリュや被請求人のブランドがワインラベルに明確に示されていることから、アールアンドダブリュが日本において商標権者の商品を販売していることが示されている旨主張する。
しかしながら、本号証は、被請求人が参照するテレビ番組「暮らしのレシピ」(2012年3月10日(土))で実際に放送された内容そのものないし内容すべてを示すものではない。また、同番組が放送されたとしても、その番組内で実際に何が語られ、どのような経緯で被請求人のブランドが紹介されたかも、本号証からは知ることができない。
(5)乙第7号証について
被請求人は、乙第7号証は被請求人が通常使用権者であると主張するアールアンドダブリュの販促物であって、被請求人のブランドが今日まで使用されてきたことを本号証によって示していると主張するが、本号証には、この書面がいつ使用されていたものであるかを知ることができる日付の記載がないため、使用時期を立証しておらず、被請求人が商標法第50条第1項に沿った使用をしているかの立証とはいえない。
(6)乙第8号証について
乙第8号証は、被請求人が通常使用権者であると主張するアールアンドダブリュの販促物とされるものであるが、本号証についても、乙第7号証と同様、いつ発行、配布されたかどうかの日付が記載されていないため、本号証により被請求人の本件商標の使用時期は特定できず、商標法第50条第1項で要求される条件に従った使用を立証することはできない。
(7)むすび
上記のとおり、乙第1号証ないし乙第8号証は、そのすべてが被請求人による本件商標の使用の事実を証明する証拠としての成立性ないし適格性を欠くものである。
したがって、被請求人の本件商標の使用の事実を認定することができず、本件商標は、継続して3年以上不使用の状態にあり、取り消されるべきものである。
3 平成25年6月15日差出の口頭審理陳述要領書
(1)独占的通常使用権契約書について
ア 主張の一貫性について
答弁書に添付された宣誓書(乙1)において、椿原氏は、2003年3月より本件商標権の通常使用権者であると主張するが、本契約書の締結日は2009年9月1日であり、つじつまが合わない。
イ 契約内容についての疑問
本契約書の1頁目第2段落2行目に、「LICENSOR carries on business」(ライセンサーは・・・ビジネスを行っている)とあるが、被請求人は、宣誓書(乙12)の第6項にて、「インダストリアは前述のチプリアーニの名称とロゴがついた商品に関連する食品と飲料を製造しています。」と主張しており、商標権者アルトゥーニスは、製造を行っていないものと理解できる。
また、乙第9号証は、本件商標の指定商品の1つについての請求書であると思われるところ、その左上には発行者とみられる「インダストリア」が記載されていることからしても明らかである。
したがって、上記商品を日本に輸出し、その商品が日本国内で流通したとしても、それは、アルトゥーニス自身による日本での本件商標の使用にはなり得ず、インダストリアの使用である。
そして、たとえ被請求人が、宣誓書(乙12)の第9項にて、「アルトゥーニスはこれらの商標を使用する権利をインダストリアを含め関連企業にライセンスしています。」と主張しても、それを証明するライセンス契約等は何ら添付されていないのであるから、その主張を真実として認めることはできず、結果として、アルトゥーニスは、アルコール飲料(ビールを除く。)について、本件商標を使用していないということが明らかである。
そうすると、本契約書と宣誓書(乙12)の主張に不一致点が存在する。本契約書の第1項(英文)の第4行目には、「“Alcohol Beverages(Except Beers)”・・・manufactured and sold by LICENSOR(ライセンサーにより製造及び販売されている“アルコール飲料(ビールを除く。)”」について使用許諾を認めるという記載があるにもかかわらず、上記のとおり、アルトゥーニスは、かかる製造行為を行っていないのであるから、かかる商品についての本件商標の使用を第三者に許諾することは不可能である。
さらに、乙第1号証の宣誓書の第2項で、アールアンドダブリュは、本件商標権の通常使用権者であると宣誓しているが、本契約書(英文)の第1項において、「exclusive right(専用使用権)」をライセンシーに付与すると記載しており、許諾された権利が異なっている。本契約書の翻訳文には「通常使用権」を付与と記載され、平成25年5月31日付け口頭審理陳述要領書の「5.陳述の要領 1)」の第2行目には、「独占的通常使用権」と記載され、被請求人の主張、関係書類、それらの翻訳文には内容のー致性がなく、正確性・真実性に欠けているというしかない。
加えて、本契約書の英語原文の第1項第1行目には、手書きで修正した箇所がある。「non exclusive」から「exclusive」と記載が修正されているのにもかかわらず、正確に翻訳されておらず、なぜそうされたかについて相応の理由があるものと考える。
このように、被請求人の主張に多数の食い違いが存在し、また不正確であることは、被請求人の主張全体の信ぴょう性を著しく疑わせるものであり、提出された契約書を審理判断に採用すべきではない。
なお、商標権者の署名欄は、署名者が誰であるかの氏名も主張も明らかにされておらず、誰が署名したかが判別できない。
(2)インボイス等について
ア 乙第9号証について
(ア)発行主
乙第9号証のインボイスの発行主は、「CIPRIANI INDUSTRIA SRL socio unico」であり、商標権者である「アルトゥーニス」ではない。つまり、本インボイスのどこにもアルトゥーニスの名は記されていない。
被請求人は、宣誓書(乙12)の第8項により、「チプリアーニ家の指揮のもと、同一の会社シー マネジメントによって最終的に所有し管理されています。」と主張するが、かかる関係を証明するもの、例えば、法人の地位と内容を示すには会社登記簿が使用されるところ、それが添付されているものでもないし、仮に添付されていても、法人としては別法人であることから、本インボイスがアルトゥーニスが本件商標に係る商品を販売していることを証明するに足るという主張は、受け入れられない。
また、宣誓書は、あくまで私人の宣誓であり、公証人の面前で行われたとしても、その内容の真実性をも公証人が裏付けるものではないから、本宣誓書の内容をそのまま真実として認めることはできない。
(イ)証明行為
被請求人は、いかなる商標の使用行為を本インボイスにより立証しようとするのか特定も主張もしておらず、請求人は、適切な反論を行うことができない。
確かに、乙第9号証のインボイスには、その右上にアールアンドダブリュの名称と日本国内の住所が記載されているが、対応する翻訳文には、「アールアンドダブリュ(株)殿」としか記載されておらず、それが注文主なのか、送付先なのか、不明である。
(ウ)記載欄の不明瞭性
乙第9号証のインボイス上には複数の記載欄が存在し、各欄に文字や数字が書き入れられているところ、多くの欄において、その欄の表題に記載内容が重なって印刷されており、いかなる文字や数字が記載されているのかを判別することが難しく、証拠適格性に欠け、採用に値しない。
被請求人は、その翻訳文において、乙第9号証内の「発送日」について記載しているが、請求人は、原文での対応する欄は、発送日でなく、「文書の日付」、つまり、本インボイスを作成した日として記載されていると考える。なぜなら、イタリア語辞書によれば、「documento」とは「文書」を指すからである(甲5)。日本への商品の輸送の事実を証明したいのであれば、検討されるべき日付は、文書作成の日ではなく、輸送日である。
イ 乙第10号証について
被請求人は、乙第9号証に記載されたワインの名称は、乙第10号証にある「Cipriani Wines」であると主張するが、乙第10号証に掲載されているワインのボトル上に印刷された図形は、極めて不鮮明であり、本件商標と同一の商標であるかの判断はできない。また、乙第10号証の中央下部に記載された標章も、画像が鮮明でなく、本件商標の同一性を正確に判断することはできない。
請求人が推察するに、上記図形のバーテンダーの右腕肘のあたりは、バーカウンターとおぼしき直線より上でとどまっている一方、本件商標においては、その直線より下に張り出しており、同一とはいえない。また、バーカウンターに並べられていると想像できる器も、該図形のものは黒くつぶれている一方、本件商標においては、お椀型で輪郭だけが記載されているものであって、同一ではない。さらに、上記標章の「CIPRIANI」の文字部分は四角に囲まれていないのに対し、本件商標は囲まれている点においても、大きく異なっている。以上の対比観察は、請求人の最大限の想像力に基づいたものにすぎず、被請求人は、その使用証拠に基づいた主張、立証責任を果たしていない。
加えて、本号証は、その頒布者、頒布時期、頒布場所、媒体などについて何ら記載がなく、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という場合がある。)の使用によるものであるかどうかを認定することができず、証拠として採用されるべきでない。また、本号証は、英語により記載されており、日本国内の日本人の顧客向けの資料と考えることは適切ではない。
したがって、乙第10号証は、商標権者及びその関係者による「日本国内」での使用を特定するには不適切である。
(3)宣誓書(乙12)について
被請求人は、本宣誓書により、アッリーゴ チプリアーニを始めとするチプリアーニ家が複数の法人を経営していること、シー マネジメントが商標権者であるアルトゥーニス及び乙第9号証の発行主とみられるインダストリアの発行株式の100%を所有していると主張する。
しかし、シー マネジメントは、本件商標権の名義人ではない。たとえ関係の強い複数法人であっても、法的には別人であるアルトゥーニスが、本件商標権の名義人である。本宣誓書の第6項によれば、チプリアーニの名称とロゴが付いた商品に関する食品と飲料をインダストリアが製造しているとされ、それは、乙第9号証によっても推察できるが、インダストリアが発行するインボイスをもって、本件商標の商標権者による使用であるとする主張は、到底受け入れられない。被請求人のいうとおり、アルトゥーニスが何百もの登録された商標を世界中で適法に有するものであるというならば(乙12第1項)、法的に別人の者による登録商標の使用を自己の使用とみなすには、その使用許諾契約等、客観的根拠が必要であることは自明だからである。
したがって、本宣誓書は、何ら根拠に基づかない主張にすぎない。
また、被請求人は、アルトゥーニスによる日本での使用に関し、本宣誓書により何を立証しようとするものか主張をしていないため、請求人は、反論することができない。
(4)アールアンドダブリュへの通常使用権付与について
被請求人は、宣誓書(乙1)及び独占的通常使用権契約書(乙13)により、商標権者からアールアンドダブリュへ通常使用権の設定がされていると主張するが、その他の乙各号証を合わせても、その設定が適切に行われていたのかについて疑念があり、特に、該契約書の締結日及び成立性につき、乙第9号証と合わせても、既述のとおり、了承できない。
4 平成25年7月29日付け上申書
(1)乙第2号証及び乙第3号証について
被請求人は、口頭審理の当日に審判長が提出指示した「乙第2号証及び乙第3号証である納品書の“原本”」を提出していないほか、納品先の会社が受け取った「納品書」の写し、納品の事実を確認できる受領書、納品書に対応する送金の受領の証拠等のいずれも提出していない。
また、被請求人は、上記書面等が提出できない事情について、何ら釈明もしていないから、審判長による上記指示に応じているとはいえない。
したがって、乙第2号証及び乙第3号証の証拠成立性は、認められない。
(2)乙第12号証について
被請求人は、「プロセッコ(Prosecco)は、乙第12号証の下段に説明されているように、『a high quality sparkling wine』[高品質のスパークリングワイン(発泡性ワイン)]であります。」と主張するが、乙12号証にはそのような記載は見当たらず、その主張は認められない。
(3)乙第13号証について
被請求人は、乙第19号証及び乙第20号証により、契約者当事者間で乙第13号証が成立している旨主張する。
しかし、乙第13号証については、アルトゥーニスの署名者を特定することができず、その署名者の役職欄(Title)において、「PRESIDENT」(社長)の記載があるところ、被請求人は、乙第13号証の署名者が誰であったかの明確な主張をしていない。また、乙第20号証の署名者欄の役職欄(Title)において、当初「President」と記載されていたものが×印で消され、その横に「Director」と記載されている。
そうすると、乙第13号証と乙第20号証とでは、署名者の役職が異なっている。
さらに、乙第13号証のアルトゥーニスの署名者の名の頭文字は「A」で始まるように見える一方、乙第20号証の署名者の楷書欄には「Arrigo Cipriani」と記載されていることから、両証拠における署名者は、同一人ではないかと思えるところ、上記のとおり、その役職欄においては、一方で社長、他方で取締役と、わざわざ「President」なる記載部分を消してまで記載を修正しており、署名者の地位とその特定については、依然としてすることができない。
加えて、乙第20号証の署名欄にされたサインは、乙第13号証にあるアルトゥーニスの署名者のサインと形状も長さも異なっていることから、これらが同一人によるものであると認めることはできず、信用することもできない。
以上から、請求人は、乙第13号証について契約両当事者間が合意したものと認めることはできず、また、乙第19号証及び乙第20号証についても、乙第13号証の成立を補強し、立証するものに当たらないと考える。
(4)乙15号証について
被請求人は、「アールアンドダブリュが大丸百貨店向けに従前より継続的に商品を販売してきた」ことが、乙第15号証の記載から明らかであると主張する。
しかしながら、乙15号証は、2012年に開催されたと推察できる大丸東京店での催事の情報を、アールアンドダブリュの東京営業所が主催しているものと思われるブログにて記載しているにすぎず、第三者による客観的情報に基づかないばかりか、仮にその記載内容が正しかったとしても、2012年の情報のみによっては、その継続性を立証することはできない。
また、請求人は、甲第10号証に示すとおり、乙第15号証に記載されている大丸東京店での催事内容を示すものと思われるURLに当たってみたが、そのウェブページを確認できなかった。
(5)乙第17号証について
乙第17号証は、乙第15号証と同様に、アールアンドダブリュの東京営業所が開設すると推察されるブログでの記載であり、被請求人関係者のブログの記載であって、何ら第三者による客観的な裏付けを欠いているから、被請求人の主張を支持する資料としての適格性を欠いている。
(6)乙第18号証について
被請求人は、乙第18号証により、「アールアンドダブリュが(株)阪神百貨店に従前より継続的にチプリアーニワイン(CIPRIANI WINE)を販売してきたことがうかがえます。」と主張する。
しかしながら、請求人は、甲第10号証に示すとおり、乙第18号証の「阪神オンラインショッピング」に直接アクセスを試みたが、その存在を確認できない。
(7)むすび
請求人は、乙第1号証ないし乙第13号証のすべてが被請求人による本件商標の使用の事実を証明する証拠としての成立性ないし適格性を欠くものであると考えるほか、乙第15号証、乙第17号証ないし乙第20号証についても同様に、その成立性ないし適格性を欠くものであると考える。
5 平成25年12月4日付け上申書(2)
(1)乙第21号証について
被請求人は、乙第21号証を乙第2号証の納品書の納品先である大丸興業から支払われた内容を示す入金チェックリストの写しとして提出している。
しかし、請求人は、このリストの作成者は明らかでなく、被請求人が審判の進行をみて自己の主張に沿うように新たに作り出したものであると考える。
仮に、本チェックリストが審判請求日(平成24年8月1日)より以前から存在していたとしても、本チェックリストの「伝票NO」の欄には、被請求人がいう「伝票番号345572」は見つけることができない一方、「345572」という番号は、本チェックリストの「売上NO」の欄の上から21行目に見つけることができる。
また、乙第2号証の下から2行目の※印が付いている欄には、「※お支払いは同封の払込取扱票で到着後1週間以内にお近くの郵便局からお支払いください。」とあり、その右上には「配達日:2012年04月28日」と記載があるところ、乙第21号証が示す入金日は2012年6月25日であって、同年4月28日の1週間後である同年5月5日(翌営業日で同年5月7日)を大幅に過ぎている。
さらに、乙第2号証の合計金額は124,652円であり、それは、乙第21号証のリストの下から11行目の「金額」の欄に記載された額面と同一であるが、乙第22号証の第2頁目の2012年6月25日の大丸興業大阪からの振込に含まれているものかどうかは、乙第21号証と付き合わせても全く明らかではない。
したがって、被請求人が平成25年10月25日付け上申書(4)で主張する事項は、乙第21号証及び乙第22号証によって立証されていない。
(2)乙第23号証について
被請求人は、乙第23号証を乙第3号証の納品書の納品先である阪神百貨店から支払われた内容を示す入金チェックリストの写しとして提出している。
しかし、請求人は、乙第21号証について述べたのと同様に、このリストの作成者は明らかでなく、被請求人が審判の進行をみて自己の主張に沿うように新たに作り出したものであると考える。
仮に、本チェックリストが審判請求日(平成24年8月1日)より以前から存在していたとしても、本チェックリストの「伝票NO」の欄には、被請求人がいう「伝票番号346768」は見つけることができない一方、「346768」という番号は、本チェックリストの「売上NO」の欄の下から5行目に見つけることができる。
したがって、被請求人が平成25年10月25日付け上申書(4)で主張する事項は、乙第23号証によって立証されていない。
(3)乙第24号証について
被請求人は、乙第24号証に記載された金額343,200円が乙第23号証に記載された金額360,360円から消費税17,160円を引いた額に当たると主張するが、確かに、これら金額相互間は合致しているものの、乙第24号証に記載された阪急阪神百貨店の伝票番号「0000452739」が乙第3号証及び乙第23号証で指摘する額のものを対象としているのかどうかの対応関係は、何によっても明らかにされていない。
(4)むすび
請求人は、これまで被請求人が提出した乙各号証と同様に、乙第21号証ないし乙第24号証のすべてが被請求人による本件商標の使用の事実を証明する証拠としての成立性ないし適格性を欠くものであると考える。
第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、答弁書、口頭審理陳述要領書(口頭審理における陳述を含む。)及び上申書において、その答弁の理由等を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第24号証を提出している。
1 答弁の理由
(1)本件商標は、通常使用権者である「〒650-0031神戸市中央区東町123番地1」所在の「アールアンドダブリュ(R&W Co.Ltd.)」により、使用されてきた。
アールアンドダブリュが商標権者の通常使用権者であることは、宣誓書の写しに記載のとおりである(乙1)。
(2)アールアンドダブリュは、取引先である「〒530-8224 大阪市北区梅田1-13-13」所在の「阪神百貨店」に「発泡酒」及び「ワイン」を納品(販売)している。このことは、納品書の写しに示されている(乙2、乙3及び乙4)。納品書の右上欄にある「2012年11月20日」は、この納品書の写しをプリントした日付である。阪神百貨店への納品日は納品書の明細が記載された枠外に配達日として「2012年04月28日」、「2012年05月24日」及び「2012年09月26日」と示されている。
(3)阪神百貨店においては、これまでアールアンドダブリュから納品された商品を販売促進広告において使用してきた(乙5)。
(4)アールアンドダブリュが扱っている商標権者の商品(ワイン)は、TBSビジョンの「暮らしのレシピ」(2012年2月27日(月)に録画され、2012年3月10日(土)に放送)で取り上げられた。通常使用権者は英文名で「R&W Co.Ltd.」であるところ、同放送では、会社名R&Wの入ったShopが映り、商標権者のブランドがワインラベルに明確に示されている。このことも、アールアンドダブリュが実際に日本で商標権者の商品を販売していることを示している(乙6)。
(5)アールアンドダブリュが通常使用権者として使用してきた販促物からも、商標権者のブランドが今日まで使用されてきたことを示している(乙7及び乙8)。
(6)以上のとおり、乙第1号証ないし乙第8号証により、本件商標は、通常使用権者により、「ワイン」等について使用されてきたことを証明している。
2 平成25年5月31日付け口頭審理陳述要領書
(1)現地代理人から、アールアンドダブリュ(R&W CO.LTD.)と商標権者との間で締結した独占的通常使用権契約書が確認でき、郵送したとの連絡があったので、被請求人代理人は、それが届き次第、提出する。
(2)商標権者である「ALTUNIS-TRADING,GESTAO E SERVICOS LDA」が通常使用権者であるアールアンドダブリュ(R&W CO.LTD.)にワインを発送した内容については、別紙インボイスの写しのとおりである(乙9)。販売内容を示した明細には、「PROSECCO CIPRIANI VADQ BRUT」、「CANCELLO DELLA LUNA」、「CANCELLO DEL SOLE」、「CHARDONNAY FRIULI D.O.C. GRAVE」等のワインの名称が記載されているが、具体的には「Cipriani wines」として示されたワインとなる(乙10)。
(3)本件商標の「名義人」は、「Av.Arriaga,50-3°Sala 5,Se(審決注:「e」には変音記号が付されている。) Funchal,Madeira」所在の「ALTUNIS-TRADING,GESTAO E SERVICOS LDA」となっているが、同名義人の住所は、現在、「Rua das Pretas n°43,2°Andar,sala 7,9000-049 Funchal, Madeira,Portugal」に変更となっている。
このことは、現地代理人がWIPO(国際事務局)に提出した「REQUEST FOR THE RECORDING OF A CHANGE IN NAME AND/OR ADDRESS OF THE HOLDER MM9(E)」(名義人の氏名若しくは名称又は住所の変更の記録の請求書)の写しに示したとおりである(乙11)。
(4)先のワイン販売を示す書類(乙10)には、「San Marco 1323-30124 VENEZIA」所在の「CIPRIANI INDUSTRIA SRL」と記載されているが、「ALTUNIS-TRADING,GESTAO E SERVICOS LDA」と「CIPRIANI INDUSTRIA SRL」は、チプリアーニ家の指揮の下、同一の会社シー マネージメントによって最終的に所有、管理されていることは、宣誓書において、関連企業のオーナーである「ARRIGO CIPRIANI(アッリーゴ チプリアーニ)」によって宣誓署名され、その内容は、公証人によって証明されたとおりである(乙12)。
3 平成25年7月12日付け上申書(3)
(1)被請求人が、乙第2号証及び乙第3号証との関係において、「『発泡酒』及び『ワイン』を納品(販売)しております。」と主張したのは、発泡酒とワインを明確に区分したものではなく、単に商品の一つである「SP CIPRIANI プロセッコ DOC」が発泡性のワイン(発泡ワイン)であるという理由によるものである。プロセッコ(ProSecco)は、乙第12号証の下段に説明しているように、「a high quality sparkling wine」[高品質のスパークリングワイン(発泡性ワイン)]である。
また、フリー百科事典「ウィキペティア(Wikipedia)」の説明にあるように、「プロセッコ(Prosecco)はイタリア・ヴェネト州で生産されるブドウ品種。またはこのブドウを主に使用した白発泡ワイン。」と説明されている(乙14)。
したがって、被請求人は、発泡ワインという意味で単に発泡酒と表現しているにすぎない。
(2)乙第2号証は、大丸百貨店のグループの商社である「大丸興業百貨店チーム」に納品した納品書の写しであるが、アールアンドダブリュが大丸百貨店向けに従前より継続的に商品を販売してきたことは、同社のウェブサイトにおいて「今年も大丸東京店ワインフェア2012『第81回世界の酒とチーズフェスティバル』に出展します。」(乙15)と記載されていることからも明らかである。
なお、同号証におけるアールアンドダブリュファインワインの住所が「港区白金2-7-23」となっているのは、アールアンドダブリュの東京支店の住所である(乙16)。
(3)別のアールアンドダブリュのウェブサイトである「CIPRIANI/チプリアーニ プロセッコ ベリーニ|アールアンドダブリュ『ワインとともに』」(乙17)においては、「販売商品」として、「CIPRIANI チプリアーニ プロセッコ ベリーニ」が記載されており、その日付は、2012年3月13日(火)となっている。この日付からも、アールアンドダブリュは、大丸や阪神百貨店にチプリアーニワイン(CIPRIANIWINE)を、要証期間において販売していたことがうかがえる。
(4)乙第3号証は、「阪神百貨店」に販売した商品の納品書であるが、「阪神オンラインショッピング」のウェブサイト(乙18)から明らかなように、CIPRIANI PROSECCO(チプリアーニ プロセッコ)ワインが、その「輸入元」をアールアンドダブリュとして販売されている。このことからも、アールアンドダブリュが阪神百貨店に従前より継続的にチプリアーニワイン(CIPRIANI WINE)を販売してきたことがうかがえる。
(5)被請求人は、口頭審理において、乙第13号証の「TRADEMARK LICENCE AGREEMENT(商標ライセンス契約書)」が契約者当事者間で成立している旨の確認を求められたが、この契約書が有効に成立していることは、契約者それぞれの宣誓書により明らかである(乙19及び乙20)。
4 平成25年10月25日付け上申書(4)
(1)答弁書において証拠方法として提出した乙第2号証「アールアンドダブリュから大丸興業に販売された商品を示す納品書(平成24年4月28日発送)の写し」の更なる立証として、アールアンドダブリュが納品先である大丸興業から支払われた内容を示す入金チェックリストの写しを提出する(乙21)。この入金チェックリストによれば、伝票番号345572について、2012年6月25日に請求金額124,652円が「商工中金」(銀行)に支払われたことが示されている。
また、アールアンドダブリュの「商工中金」の銀行通帳において、平成24年6月25日に取引先である大丸興業から同日に振り込まれた金額の総額が示されている(乙22)。
(2)乙第3号証「アールアンドダブリュから阪神百貨店に販売された商品を示す納品書(平成24年5月24日発送)の写し」の更なる立証として、阪神百貨店からアールアンドダブリュに支払われた内容を示す入金チェックリストの写しを提出する(乙23)。この入金チェックリストによれば、伝票番号346768について、2012年6月15日に請求金額360,360円が振り込まれたことが示されている。
また、アールアンドダブリュとの関係における阪急阪神百貨店の「仕入明細」の写しによれば、締切日2012年5月31日、支払日2012年6月15日として、阪急阪神百貨店の伝票番号「0000452739」について、金額343,200円が記載されている(乙24)。この金額は、合計金額360,360円から消費税17,160円を引いた金額となっている。
第4 当審の判断
1 事実認定
被請求人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、アールアンドダブリュの代表取締役社長である「椿原功一」による平成24年11月21日付けの「宣誓書」である。これには、同社が、平成15年3月から今日に至るまで、被請求人に係る商品を輸入し、販売してきたこと、同社は、被請求人の日本国内における販売代理店であり、本件商標の通常使用権者であること等が記載されている。
(2)乙第2号証は、「アールアンドダブリュ」が発行した「大丸興業」をあて先とする「納品書」であって、2012年11月20日に出力されたものをファックス送信したものの写しである。この納品書の上部には、本件商標のバーテンダーとおぼしき人などを模した図形及び「CIPRIANI」の欧文字を上下に表してなる商標(以下「使用商標」という。)が表示されている。
そして、上記納品書には、伝票番号として「345572」の記載があるほか、「商品名」の欄に、「SP CIPRIANI プロセッコ DOC 発泡酒」、金額の「合計」の欄に、「¥124,652」等の記載があり、また、「配達日」として、「2012年04月28日」の記載がある。
(3)乙第3号証は、「アールアンドダブリュ」が発行した「阪神百貨店」をあて先とする「納品書」であって、2012年11月20日に出力されたものをファックス送信したものの写しである。この納品書の上部には、使用商標が表示されている。
そして、上記納品書には、伝票番号として「346768」の記載があるほか、「商品名」の欄に、「SP CIPRIANI プロセッコ DOC 発泡酒」、金額の「合計」の欄に、「¥360,360」、「備考」欄に「452739」等の記載があり、また、「配達日」として、「2012年05月24日」の記載がある。
(4)乙第13号証は、被請求人とアールアンドダブリュとの間で、2009年9月1日に締結された「TRADEMARK LICENCE AGREEMENT」と表示された「商標ライセンス契約書」の写しであり、その翻訳文によれば、これには、本件商標について、「1.ライセンサーは、上記テリトリー(日本国内)において、またはライセンサーが製造することのできる登録により保護されている『アルコール飲料(ビールを除く。)』との関係において上記商標の通常使用権をライセンシーにのみ認める。」及び「4.本契約は、全ての更新期間を含む現商標権の存続期間が終了するまで、またライセンシーが上記商標の『アルコール飲料(ビールを除く。)』の法的特約販売店である限り有効であり続ける。」旨等の使用許諾を内容とする事項が記載されている。
なお、請求人は、該契約書の翻訳等について疑義等を述べているが、それによってこの契約者間における契約書が否定され、無効とされるものではない。
(5)乙第17号証は、「株式会社サイバーエージェント」の提供するインターネットサービスの「Ameba」において、アールアンドダブリュが開設するブログ(ウェブサイト)であって、2012年3月13日の記事である。
上記記事には、「CIPRIANI チプリアーニ プロセッコ ベリーニ」の表題の下、「テーマ 販売商品」及び「こんにちは、アールアンドダブリュです。アールアンドダブリュでは、イタリアヴェニスのハリーズバーのオリジナルスパークリングワイン(プロセッコ)を独占輸入しています。ほのかに白桃や洋ナシなどの香りのする、フルーティでやさしい味わいのプロセッコです。」の記載とともに、使用商標が表示されたラベルが貼られたワインの写真が掲載されている。
(6)乙第19号証及び乙第20号証は、それぞれアールアンドダブリュの代表取締役社長(椿原功一)による平成25年7月3日付け宣誓書並びにアルトゥーニスの取締役(アリーゴ チプリアーニ)による2013年7月5日付け宣誓書及びその訳文とされるものであって、その内容として、乙第13号証の「TRADEMARK LICENCE AGREEMENT」(商標ライセンス契約書)が独占的通常使用権契約書として成立していることに相違ない旨の記載がある。
(7)乙第21号証及び乙第22号証は、乙第2号証の納品書に係る事実を裏付けるものとして提出された大丸興業による振込を示す「入金チェックリスト(2012/06/25-2012/06/25)」の写し及びアールアンドダブリュの普通預金通帳「商工中金」の写しであって、その「入金チェックリスト」には、「入金日」の欄に「2012/06/25」の記載があり、21行目には、「伝票NO」の欄に「346555」、「売上NO」の欄に「345572」、「顧客名」の欄に「大丸興業株式会社」、「取引」の欄に「振込」、「金額」の欄に「124,652」、「備考」の欄に「商工中金」等の記載がある。そして、「商工中金」の普通預金通帳には、「24-06-25」、「振込」、「4,792,539」、「ダイマルコウギョウ オオサカ」等の記載がある。
また、乙第23号証及び乙第24号証は、乙第3号証の納品書に係る事実を裏付けるものとして提出された阪神百貨店による振込を示す「入金チェックリスト(2012/06/15-2012/06/15)」の写し及び阪急阪神百貨店とアールアンドダブリュとの関係における「仕入明細」(締切日2012年5月31日,支払日2012年6月15日)の写しであって、その「入金チェックリスト」には、「入金日」の欄に「2012/06/15」の記載があり、27行目には、「伝票NO」の欄に「346198」、「売上NO」の欄に「346768」、「顧客名」の欄に「(株)阪神百貨店」、「取引」の欄に「振込」、「金額」の欄に「360,360」等の記載がある。そして、「仕入明細」には、「店舗」の欄に「阪神梅田本店」、「区分」の欄に「買取仕入」、「日」欄の「24」の行には、「伝票番号」の欄に「0000452739」、「金額」の欄に「343,200」等の記載がある。
2 上記1で認定した事実によれば、本件商標の使用について、以下のとおり認められる。
(1)通常使用権者について
被請求人は、2009年9月1日にアールアンドダブリュとの間で、本件商標についての使用許諾を内容とする「TRADEMARK LICENCE AGREEMENT」(商標ライセンス契約書)を締結しており、また、両者は、アールアンドダブリュが本件商標の通常使用権者であることを互いに宣誓していることからすれば、その契約は、現在も有効と推認されるものであって、ほかにこれに反する事実は見いだせない。
したがって、アールアンドダブリュは、本件商標の通常使用権者であると認められる。
(2)本件商標の使用について
ア 乙第2号証及び乙第3号証による使用について
上記1の(2)、(3)及び(7)によれば、2件の納品書において、アールアンドダブリュは、「大丸興業株式会社」及び「阪神百貨店」に「CIPRIANI」の表示を含む発泡酒等の商品を、本件要証期間の2012年4月28日及び同5月24日に配達したものであって、その納品書には、使用商標が表示されて使用されている。
そして、乙第21号証ないし乙第24号証において、上記納品書に関しての「入金チェックリスト」の写し、「商工中金の普通預金通帳」の写し及び「仕入明細」の写しが提出されており、アールアンドダブリュと大丸興業、阪急阪神百貨店(阪神百貨店)との間で取引がなされていたことが認められるものである。
なお、この点に関し、請求人は、乙第21号証及び乙第22号証について、「乙第21号証の入金チェックリストの『伝票NO』の欄には、被請求人がいう『伝票番号345572』は見つけることができない一方、『345572』という番号は、本チェックリストの『売上NO』の欄の上から21行目に見つけることができる。また、乙第2号証の下から2行目の※印が付いている欄には、『※お支払いは同封の払込取扱票で到着後1週間以内にお近くの郵便局からお支払いください。』とあり、その右上には『配達日:2012年04月28日』と記載があるところ、乙第21号証が示す入金日は2012年6月25日であって、同年4月28日の1週間後である同年5月5日(翌営業日で同年5月7日)を大幅に過ぎている。さらに、乙第2号証の合計金額は124,652円であり、それは、乙第21号証のリストの下から11行目の『金額』の欄に記載された額面と同一であるが、乙第22号証の第2頁目の2012年6月25日の大丸興業大阪からの振込に含まれているものかどうかは、乙第21号証と付き合わせても全く明らかではない。したがって、被請求人が平成25年10月25日付け上申書(4)で主張する事項は、乙第21号証及び乙第22号証によって立証されていない。」旨の主張をしている。
しかしながら、入金チェックリストの「伝票NO」の欄には、「伝票番号345572」は記載されていなくとも、「売上NO」の欄に伝票番号に相当する数字が記載されていることが確認でき、また、入金日について、配達日の2012年4月28日からみて、乙第21号証が示す入金日が2012年6月25日であるものの、他の入金も合わせて行われており、その入金日が1週間を過ぎているからといって、これが認められないということにはならない。さらに、乙第2号証の請求書の合計金額124,652円が乙第21号証の入金チェックリストの「金額」の欄に記載されており、乙第22号証の通帳の2012年6月25日に大丸興業大阪から上記金額を超える4,792,539円が振り込まれていることから、上記金額が振り込まれたであろうことは否定できない。
さらに、請求人は、乙第23号証及び乙第24号証について、「乙第23号証の『入金チェックリストの『伝票NO』の欄には、被請求人がいう『伝票番号346768』は見つけることができない一方、『346768』という番号は、本チェックリストの『売上NO』の欄の下から5行目に見つけることができる。また、被請求人は、乙第24号証に記載された金額343,200円が乙第23号証に記載された金額360,360円から消費税17,160円を引いた額に当たると主張するが、確かに、これら金額相互間は合致しているものの、乙第24号証に記載された阪急阪神百貨店の伝票番号『0000452739』が乙第3号証及び乙第23号証で指摘する額のものを対象としているのかどうかの対応関係は、何によっても明らかにされていない。」旨の主張をしている。
しかしながら、入金チェックリストの「伝票NO」の欄には、「伝票番号346768」は記載されていなくとも、「売上NO」の欄に伝票番号に相当する数字が記載されていることが確認でき、また、乙第24号証に記載された金額343,200円は、乙第3号証の請求書及び乙第23号証の入金チェックリストに記載された金額360,360円から消費税17,160円を引いた額に当たることが認められる。
また、納品書(乙3)の「備考」欄の「452739」は、仕入明細(乙24)の「伝票番号」欄の「0000452739」と一致し、配達日の「2012年05月24日」は、「日」欄の「24」と日にちが一致している。さらに、入金チェックリスト(乙23)の入金日の「2012/06/15」は、仕入明細(乙24)の阪急阪神百貨店の支払日「2012年6月15日」と一致する。
そして、乙第21号証ないし乙第24号証が本件商標の使用の事実を証明する証拠として認められないというような明らかな事情は存しないものというべきである。
してみれば、乙第2号証及び乙第3号証と乙第21号証ないし乙第24号証によって、アールアンドダブリュと大丸興業、阪急阪神百貨店(阪神百貨店)との間で発泡酒等の商品についての取引がなされていたことが認められるものである。
また、上記のとおり、アールアンドダブリュと阪急阪神百貨店との間で、取引がなされていたことからすれば、乙第3号証の納品書及び乙第23号証の入金チェックリストに記載された「(株)阪神百貨店」の表示は、「阪急阪神百貨店」の表示と実質的に同一視し得るものである。
イ 乙第17号証による使用について
アールアンドダブリュは、自らが開設するブログ(ウェブサイト)において、本件要証期間の2012年3月13日の記事として、「CIPRIANI チプリアーニ プロセッコ ベリーニ」というスパークリングワイン(プロセッコ)を独占輸入し、販売していることを記載するとともに、使用商標が表示されたラベルを貼ったワインの写真を掲載している。
(3)本件商標と使用商標との比較について
本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、使用商標は、本件商標のバーテンダーとおぼしき人などを模した図形及び「CIPRIANI」の文字を上下に表してなるものである。そして、本件商標と使用商標の図形部分は、その細部において同一とまでいえないものの、人物の姿勢及びグラスとおぼしき図形の構成が酷似しており、同一視できる態様の図形と看取されるものである。また、両者の文字部分にしても、該「CIPRIANI」の文字を囲む輪郭線の有無のみが相違点であって、両文字は共通する欧文字である。
してみれば、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標とみて何ら差し支えないものである。
(4)小活
以上によれば、本件商標の通常使用権者であるアールアンドダブリュは、本件要証期間において、自己の取引書類である「発泡酒」等の納品書に本件商標と社会通念上同一の商標である使用商標を付して使用しており、また、同期間において、ウェブサイト上に、本件商標と社会通念上同一の商標である使用商標が表示されたラベルが貼られた「ワイン」の写真を掲載して、商品販売のための広告をしていることが認められるものである。
そうとすれば、アールアンドダブリュによる上記行為は、商品に関する取引書類に標章を付して頒布し、又は商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為(商標法第2条第3項第8号)に該当するものと認められる。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者がその指定商品及び指定役務中、第33類「Alcoholic beverages(except beers).」に包含される「発泡酒、ワイン」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したと認め得るものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審理終結日 2014-03-10 
結審通知日 2014-03-12 
審決日 2014-04-02 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (X162930323342)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 中束 としえ 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 田中 敬規
井出 英一郎
登録日 2007-03-27 
商標の称呼 チプリアーニ、シプリアーニ 
代理人 筒井 章子 
代理人 福田 秀幸 
代理人 筒井 大和 
代理人 小塚 善高 
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