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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X182528
管理番号 1329284 
審判番号 取消2014-300592 
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-08-04 
確定日 2017-06-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第5305537号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5305537号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5305537号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成よりなり,平成21年3月24日に登録出願,第25類「被服,スポーツシャツ,紙製被服,ティーシャツ,釣り用ベスト,下着,ベスト,ガードル,パジャマ,パンツ,ペチコート,ドレスシールド,被服用えり,えり芯,シャツフロント,被服用既製裏地,カフス,被服用ポケット,吸汗性下着,海浜用衣服,子供服,新生児用被服,自転車競技用衣服,水泳帽,水泳パンツ,水泳着,体操着,柔道衣,レスリングユニフォーム,運動用特殊衣服,レインコート,雨合羽,ダンスに使用する衣服,サッカー靴,体操用靴,サッカー靴用靴底びょう,スキー靴,ランニングシューズ,スパイクシューズ,登山靴,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),長靴,運動靴,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),靴内底,靴の部品及び付属品,靴カバー,かかと,靴用継ぎ目革,履物の底,靴の中敷き,帽子,バイザー,耳覆い(被服),ヘッドスカーフ(衣服),紙製帽子(被服),靴下,レギンス,足部保温用マフ(電熱式のものを除く。),レッグウォーマー,パンティーストッキング,手袋(被服),毛皮マフ,ショール,スカーフ,ベルト,マネーベルト,衣服用ベルト,ネクタイ,サッシュ,ウェディングドレス」を含む,第18類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として平成22年3月5日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成26年8月20日にされたものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は,結論同旨の審決を求め,審判請求書及び審判事件弁駁書において,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品について継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれの者によっても使用した事実が存在しないから,その商標登録は,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証は,ANTA Sports Products Limited の年次報告書2013であるが,当該報告書は,本件商標を日本において使用したことを示すものでなく,発行日も明確ではない。
(2)乙第2号証は,ANTA GROUPのウェブサイトの掲載情報の写しであるが,掲載日も明確ではなく,しかも,本件商標を日本において使用したことを示すものでなく,使用の証拠にはならない。
(3)乙第3号証は,インターネット通販サイト(Aliexpress.com)の商品広告情報の写しであるところ,ページの下部には,印刷日「2014/11/12」が記載されているが,本件審判請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という。)に掲載されたか明らかではない。また,広告情報中の日本語において「男性スポーツの靴を実行している」,「まとめ買い価格:5%オフ(3部分以上)」,「その店へようこそ」など日本語としては,不自然な表現が多く,この広告情報は,中国語を機械的に日本語に翻訳したもので,実際の取引上日本向けのものではないことを示している。さらに,乙第3号証は,「商標権者,専用使用権者又は通常使用権者」が使用したことを示していない。
(4)乙第4号証は,インターネット通販サイト(www.atupapa.com)の商品広告情報の写しであるが,要証期間内に掲載されたのか明らかではなく,最終更新日が「2014年2月3日」となっているが,この日付を証明する資料がなく,この日付は,いつでも変更できるものであり,「商標権者,専用使用権者又は通常使用権者」が使用したことを示していない。また,この広告情報中の日本語において「ANTA/ANTA:製品化までの時間」,「良い道路:屋内と屋外のコンクリート」,「閉店:レース」など日本語としては,不自然な表現が多く,この広告情報は,中国語を機械的に日本語に翻訳したもので,実際の取引上日本向けのものではないことを示している。
(5)乙第5号証は,YAHOO!JAPANショッピングサイトにおける商品広告情報の写しであるが,この広告情報には,本件商標中の「ANTA」の文字と「図形」とが全く別々の場所で使用され,図形と文字とからなる本件商標は使用されていない。しかも,「図形」部分は他の図形と融合して使用されており,本件商標中の「図形」自体は使用されていないと認識される。また,ページの下部には,印刷日「2014/11/13」が記載されているが,要証期間内に掲載されたのか明らかではない。さらに,販売期間として「2014年7月18日11時11分?2015年7月18日11時11分」と記載されているが,この日時を証明する取引資料がなく,この日付は,いつでも変更できるものである。加えて,この証拠では,「商標権者,専用使用権者又は通常使用権者」が使用したことを示していない。
(6)乙第6号証は,アマゾンジャパンサイトにおける商品広告情報の写しであり,この広告情報には,ページの下部に打出し日“2014/11/12”が記載されているが,要証期間内に掲載されたのか明らかではない。さらに,販売登録情報として「2011/10/23」と記載されているが,この日時を証明する取引資料がなく,この日付は,いつでも変更できるものである。加えて,この証拠では,「商標権者,専用使用権者又は通常使用権者」が使用したことを示していない。
(7)乙第7号証は,株式会社セレクションインターナショナルのウェブサイトにおける商品広告情報の写しであり,この広告情報には,ページ中に「2013.10.31UP」と記載されているが,この日付は,いつでも変更できるものである。加えて,この証拠には,本件商標が使用されているのか明かではなく,また,「商標権者,専用使用権者又は通常使用権者」が使用したことを示していない。
(8)乙第8号証は,DOPEHOOP店長ブログ掲載情報の写し及び乙第9号証として,その店舗情報の写しであるところ,ブログ掲載情報には,「2012年4月7日」と表示されているが,この日付が正しいことを示す資料がなく,さらに,実際に取引されたことを示す書類もない。よって,本件商標が,要証期間内に使用されたのか明らかではなく,また,これらの証拠では,「商標権者,専用使用権者又は通常使用権者」が使用したことを示していない。
(9)以上のように,被請求人は,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者が要証期間内に本件商標を本件審判請求に係る商品に使用したことを証明したということはできない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,審判事件答弁書において,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。
1 被請求人(商標権者)について
安踏(中国)有限公司は,世界5大スポーツ用品ブランドの一つに挙げられる「ANTA/安踏」を展開するANTAグループにおいて,主に,ANTAブランドのスポーツウェア,フットウェア(シューズ)の製造・販売に携わる業者である(乙1)。
同グループ(親会社:安踏体育用品有限公司,ANTA Sports Products Limited)は,1994年中華人民共和国福建省晋江市にて設立,2007年には香港株式市場に上場しており,同社の株式時価総額38.7億USドルは,世界のスポーツ用品業者の中で,ナイキ,アディダス,プーマ,アシックスに次ぐ額である(乙2)。
また,ANTAは,2009年より中国オリンピック委員会のパートナーとして,オリンピックやユース五輪,アジア大会に参加する中国代表選手団のユニフォームを提供しており,各種メディアを通じて,ANTAの世界的な知名度は年々高まっている。
2 本件審判請求に係る指定商品「ランニングシューズ,運動靴,靴類,運動用特殊靴」についての本件商標の使用
乙第3号証は,インターネット通販サイト(Aliexpress.com)に掲載された本件商標を付した男性用ランニングシューズの広告情報を打ち出したものである。送料の欄に「to Japan Via China Post Air Mail」と記載されていることから,同サイトに掲載された商品は日本からも購入することができる。
また,乙第4号証は,他のインターネット通販サイト(www.atupapa.com)に掲載された本件商標を付したランニングシューズの広告情報を打ち出したものである。同広告の最終更新日が2014年2月3日となっており,同日以前より同サイト上にて当該ランニングシューズが取引に供されていたことは明らかといえる。
乙第5号証は,2014年7月18日より,東京都北区所在の合同会社誠心誠意が,YAHOO!JAPANショッピングサイトを通じて販売を開始したスポーツシューズ(運動靴)の商品広告情報であり,当該シューズのアッパー及びソールには線図形が,ベロには欧文字「ANTA」が描かれている。
乙第6号証は,2011年10月23日よりアマゾンジャパンサイト(Amazon.co.jp)を通じて販売したバスケットボールシューズ(ANTA KG2)の商品広告情報であり,当該シューズのアッパーには本件商標が描かれている。
乙第7号証は,東京都新宿区所在の株式会社セレクションインターナショナルのネット通販サイトに掲載されたバスケットボールシューズ(ANTA NBA選手シグネチャーシューズ)の広告情報を打ち出したものであり,2013年10月31日より販売開始された同商品のアッパーには本件商標が描かれている。
乙第8号証は,大阪府大阪市所在のバスケットボール専門店「DOPEHOOP」(乙9)の店長による2012年4月7日付ブログ情報を打ち出したものであり,バスケットボールシューズ(ケビンガーネット専用モデルANTA KG2)を入荷したことが当該シューズの商品写真とともに掲載されている。当該写真のアッパー及びべロ内側には本件商標が描かれている。
3 結語
以上により,被請求人は,要証期間内に,本件商標に係る指定商品「運動靴,靴類」の販売を行っており,当該商品又はその広告に本件商標を明瞭に表示すること,及び本件商標を付した当該商品を販売(譲渡)することにより,本件商標をその指定商品「運動靴,靴類」に使用している。
したがって,本件商標は,商標法第50条第2項の規定により,その登録を取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 被請求人は,本件商標は要証期間内に本件商標権者により,本件審判請求に係る指定商品中,第25類「運動靴,靴類」について使用している旨主張しているところ,被請求人の証拠及びその主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)被請求人(商標権者)について
被請求人の主張によれば,商標権者は,スポーツ用品を取り扱うANTAグループ(ANTA Sports Products Limited)に属し,主にANTAブランドのスポーツウェア,フットウェア(シューズ)の製造・販売に携わる業者であるとするものである。
(2)指定商品「運動靴,靴類」への本件商標の使用について
ア 乙第3号証は,2014年11月12日(要証期間外)に印刷されたものと認められる「Aliexpress.com」のウェブサイトの写しであるところ,当該ウェブサイトの左側上部には,「aliexpressへようこそ」の見出しの下,本件商標の図形と同一の図形及び「ANTA」の文字より構成される標章(図形部分は赤色で表されている。)の表示とともに,商品「運動靴」の写真が掲載され,その右側には「メンズランニングシューズ11225580ANTA2012メッシュ通気性男性スポーツの靴を実行している」の記載のほか,送料,価格,サイズの記載が認められる。
イ 乙第4号証は,2014年11月20日(要証期間外)に印刷されたものと認められる「www.atupapa.com」のウェブサイトの写しであるところ,「DragonMart」(「D」の文字及び「o」の文字は図案化してなる。)及び「2013冬の新しいランニングシューズアンタANTA本物のメンズ軽量通気性ランニングシューズ91345526」の見出しの下,本件商標の図形と同一の図形及び「ANTA」の文字より構成される標章(図形部分は赤色で表されている。)の表示とともに,商品「運動靴」の写真が掲載され,その右側には単価及び「最終更新日:2014/02/03」の記載が認められる。
ウ 乙第5号証は,2014年11月13日(要証期間外)に印刷されたものと認められる「YAHOO!JAPANショッピングサイト」のウェブサイトの写しであるところ,「2014超人気 スニーカー メンズ ジョギング 靴シューズ メンズ スニーカー スポーツシューズ 運動靴 ANTA」の見出しの下,商品「運動靴」の写真の掲載とともに,「特価:4,980円(税込)」,「販売期間:2014年07月18日11時11分?2015年07月18日11時11分」の記載,「会社概要」の見出しの下,「会社名(商号) 合同会社誠心誠意」及び「お問い合わせ情報 住所 東京都北区王子(略)」の記載が認められる。
当該運動靴(左足)のベロには「ANTA」の文字,同アッパーの中足部側面(小指側)には他の線図形に一部を重ねた本件商標の図形と同一の図形及び同アウトソールの後足部には本件商標の図形を左右逆向きにした図形(図形部分は赤色で表されている。)がそれぞれ付されている。
エ 乙第6号証は,2014年11月12日(要証期間外)に印刷されたものと認められる「Amazon.co.jp」のウェブサイトの写しであるところ,「ANTA ANTA KG2(ゴールド/グレン/ホワイト)ケビン・ガーネット アンタ-27」の見出しの下,商品「運動靴」の写真の掲載とともに,登録情報として「2011/10/23」の記載が認められる。
当該運動靴(左足)のアッパーの後足部側面(小指側)には本件商標と同一の図形,及び同(右足)のアッパーの後足部側面(小指側)には本件商標図形を左右逆向きにした図形がそれぞれ付されている。
オ 乙第7号証は,「セレクションインターナショナル」のウェブサイトの写しであるところ,「2013.10.31UP ANTA NBA選手 シグネチャーシューズ」の見出しとともに,商品「運動靴」の3枚の写真の掲載があり,そのうち左側及び中央の運動靴(左足)の写真には,それぞれ当該運動靴のアッパーの後足部側面(小指側)には本件商標が付されている。
カ 乙第8号証は,2012年4月7日に掲載された「Yahoo!ブログ」のウェブサイトの写しと認めらるところ,当該ブログには,「マニアックな バスケットショップ DOPE HOOP 店長です。・・・本日は,入荷できた バッシュネタで 盛り上がりまして!」の記載とともに,商品「運動靴」の写真が掲載され,当該運動靴(左足)のアッパーの後足部側面(小指側)には本件商標,同(右足)のアッパーの後足部側面(小指側)には本件商標図形を左右逆向きにした図形がそれぞれ付されている。そして,乙第9号証は,バスケットボール用商品の専門店である「DOPEHOOP」の店舗情報を掲載したウェブサイトの写しと認められ,当該専門店が,「大阪府大阪市西区」に所在することが認められる。
2 上記1によれば,以下を認めることができる。
(1)乙第3号証のウェブサイトの写しには,本件商標の図形と同一の図形及び「ANTA」の文字より構成される標章の表示とともに,商品「運動靴」の写真が掲載されていることが認められるが,これがインターネット上,要証期間内に掲載されたものであることを確認することができない。また,被請求人提出に係る乙各号証から,商標権者と「aliexpress」との関係を確認することはできない。
(2)乙第4号証のウェブサイトの写しには,本件商標の図形と同一の図形及び「ANTA」の文字より構成される標章の表示とともに,商品「運動靴」の写真が掲載されていること,及び当該ウェブサイトの最終更新日から,当該ウェブサイトの内容は要証期間内である2014年2月3日から掲載されていたものと認められるが,被請求人提出に係る乙各号証から,商標権者と「atupapa.com」又は「DragonMart」との関係を確認することはできない。
(3)乙第5号証のウェブサイトの写しには,商品「運動靴」の写真が掲載されているところ,その商品のベロに「ANTA」の文字,同アッパーの中足部側面(小指側)に他の線図形に一部を重ねた本件商標の図形と同一の図形及び同アウトソールの後足部に本件商標の図形を左右逆向きにした図形がそれぞれ付されていること,当該商品の販売期間は,要証期間内を含む2014年(平成26年)7月18日ないし2015(平成27年)7月18日であること,当該商品の取扱者は東京都北区所在の「合同会社誠心誠意」であることが認められるが,被請求人提出に係る乙各号証から,商標権者と「合同会社誠心誠意」との関係を確認することはできない。また,当該商品が商標権者の業務に係る商品であることも明らかでない。
(4)乙第6号証のウェブサイトの写しには,商品「運動靴」の写真が掲載されているところ,その商品の同アッパーの後足部側面(小指側)に本件商標と同一の図形及び同アウトソールの後足部に本件商標の図形及び左右逆向きにした図形が付されていること,当該ウェブサイトが2011年(平成23年)10月23日に掲載されていたものと認められるが,被請求人提出に係る乙各号証から,商標権者と「Amazon.co.jp」との関係を確認することはできない。また,当該商品が商標権者の業務に係る商品であることも明らかでない。
(5)乙第7号証のウェブサイトの写しには,商品「運動靴」の写真が掲載されているところ,その商品の同アッパーの後足部側面(小指側)に本件商標と同一の図形が付されていること,当該ウェブサイトが要証期間内である2013年(平成23年)10月31日に掲載されたものと認められるが,被請求人提出に係る乙各号証から,商標権者と「セレクションインターナショナル」との関係を確認することはできない。また,当該商品が商標権者の業務に係る商品であることも明らかでない。
(6)乙第8号証のウェブサイトの写しには,商品「運動靴」の写真が掲載されているところ,その商品の同アッパーの後足部側面(小指側)に本件商標と同一の図形及び同アウトソールの後足部に本件商標の図形及び左右逆向きにした図形が付されていること,当該ウェブサイトが要証期間内である2012年(平成24年)4月7日に掲載されたこと,当該ウェブサイトが大阪府大阪市に所在するバスケットボール用品の専門店である「DOPEHOPE」の店長が掲載したものであることは認められるが(乙9),被請求人提出に係る乙各号証から,商標権者と当該専門店との関係を確認することはできない。また,当該商品が商標権者の業務に係る商品であることも明らかでない。
3 判断
(1)乙第3号証ないし乙第8号証には,商品「運動靴」について本件商標と同一の図形標章(当該図形は赤色で表されているものを含む。)が掲載されており,当該標章は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
そして,乙第3号証ないし乙第8号証に表示されている商品「運動靴」は,上記第1のとおり,本件商標の取消しに係る商品に含まれるものである。
(2)しかしながら,乙第3号証に係るウェブサイトは,2014年(平成26年)11月12日に印刷されたものであり,当該ウェブサイトが要証期間内に掲載されたものとは認めることができない。また,本件全証拠によっても当該商品の取扱者と商標権者との関係が明らかでなく,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者いずれかの者が行った広告であると認めることもできない。
乙第4号証に係るウェブサイトは,要証期間内に掲載されたものと認められるが,本件全証拠によっても当該商品の取扱者と商標権者との関係が明らかでなく,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者いずれかの者が行った広告であると認めることはできない。
乙第5号証に係るウェブサイトは,要証期間内に掲載されたものと認められるが,本件全証拠によっても当該商品の取扱者である「東京都北区王子」に所在する「合同会社誠心誠意」と商標権者との関係が明らかでなく,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者いずれかの者が行った広告であると認めることはできないし,また,当該商品が商標権者の業務に係るものであるかも確認することもできない。
乙第6号証に係るウェブサイトは,要証期間内に掲載されたものと認められるが,本件全証拠によっても当該商品の取扱者と商標権者との関係が明らかでなく,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者いずれかの者が行った広告であると認めることはできないし,また,当該商品が商標権者の業務に係るものであるかも確認することもできない。
乙第7号証に係るウェブサイトは,要証期間内に掲載されたものと認められるが,本件全証拠によっても当該商品の取扱者と商標権者との関係が明らかでなく,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者いずれかの者が行った広告であると認めることはできないし,また,当該商品が商標権者の業務に係るものであるかも確認することもできない。
乙第8号証に係るウェブサイトは,要証期間内に掲載されたものと認められるが,本件全証拠によっても当該商品の取扱者と商標権者との関係が明らかでなく,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者いずれかの者が行った広告であると認めることはできない。
また,乙第3号証ないし乙第8号証のいずれの商品も当該商品が商標権者の業務に係るものであることを確認することができない。
なお,乙第1号証は商標権者及びその企業グループの年次報告書,及び乙第2号証は当該企業グループを紹介するウェブサイトの記事であるが,これらは,いずれも英文により記載されていることから,我が国の需要者向けのものいうことはできない。
また,被請求人が提出した乙第3号証ないし乙第9号証について,商標権者とウェブサイト運営者又は販売者との取引・契約関係を示す証拠の提出を求める審尋に対して,被請求人は応答しなかった。
(3)以上からすると,被請求人の提出に係る証拠によっては,要証期間内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが取消請求に係る指定商品中「ランニングシューズ,運動靴,靴類,運動用特殊靴」について,本件商標(本件商標と社会通念上同一と認識し得る商標を含む。以下,同じ。)の使用をしていたものと認めることはできない。
また,被請求人は,要証期間内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが取消請求に係る上記以外の指定商品についても,本件商標の使用をしていた事実を何ら立証していない。
4 むすび
そうすると,被請求人は,要証期間内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて,本件商標の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。
また,被請求人は,本件審判の取消請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,商標法第50条の規定により,本件商標の登録を取り消すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)


審理終結日 2016-12-28 
結審通知日 2017-01-05 
審決日 2017-01-24 
出願番号 商願2009-21197(T2009-21197) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (X182528)
最終処分 成立  
前審関与審査官 高橋 厚子石戸 拓郎金子 尚人 
特許庁審判長 堀内 仁子
特許庁審判官 早川 文宏
田村 正明
登録日 2010-03-05 
登録番号 商標登録第5305537号(T5305537) 
代理人 三上 真毅 
代理人 特許業務法人 有古特許事務所 
代理人 中村 稔 
代理人 辻居 幸一 
代理人 藤倉 大作 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 松尾 和子 
代理人 熊倉 禎男 

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