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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W45
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W45
管理番号 1329283 
審判番号 不服2016-19069 
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-12-20 
確定日 2017-06-07 
事件の表示 商願2016- 32916拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおり、「小さなお葬式」の文字を横書きしてなり、第45類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成28年3月25日に登録出願され、その後、指定役務については、原審における同年8月9日付け手続補正書により、第45類「規模などが小さいお葬式の執行の媒介又は取次ぎ,規模などが小さいお葬式の執行」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『小さなお葬式』の文字を書してなるところ、その構成中の『小さな』の文字は『大きくない、規模などが大きくない。』の意味である『小さい』の連体形であるから、本願商標は全体として『規模などが小さいお葬式』程度の意味を認識させ、また、昨今では近しい人のみが参列する規模の小さいお葬式や、シンプル飾り付けのみを行うお葬式が執り行われており、このようなお葬式を『小さなお葬式』と一般的に称している事実がある。そうすると、本願商標をその指定役務に使用するときは、需要者は、『規模などが小さいお葬式』であることを表示したものと認識するというのが相当であるから、本願商標は、単に役務の質、内容を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。また、出願人による、本願商標は使用により識別力を獲得している旨の主張については、該文字が、出願人の使用開始以前より役務の質等を表示するものとして使用されていることからすれば、これに接する需要者は、役務の質、内容を表示したものとして認識し、出願人の業務に係る役務であることを認識することができないものであるから、採用できない。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲のとおり、青緑色の「小さなお葬式」の文字を書してなるところ、その構成中の「さな」の文字部分は他の文字よりやや小さく書されているものであるが、その全体の構成態様は、さほど特異なものではなく、普通に用いられる方法で表示してなる標章といえるものである。
そして、本願商標の構成中の「小さな」の文字は、「規模などが大きくない」の意味を有する語である「小さい」の連体形と理解されるものであり、「お葬式」の文字は、「死者をほうむる儀式。葬儀。」の意味を有する語であるから、該「小さなお葬式」の文字からは、全体として「規模の大きくない葬儀」程の意味合いが理解されるものである。
また、本願の指定役務に関連する分野においては、「小さなお葬式」の文字が「規模の大きくない葬儀」程の意味合いで使用されている実情があり、その実情については、原審で示した事実のほか、以下に示すインターネット情報からも裏付けられるものである。
<インターネット情報>(下線は、当合議体による付加。)
ア 「株式会社富山式典」のウェブサイトにおいて、「ダビアス富山の選べる葬儀スタイル」の見出しの下、「ダビアス富山の葬儀は、お客様に本当に必要なサービスのみ選択して頂きます。不必要なサービスは発生しませんので、無駄な費用は一切かかりません。お客様のライフスタイルに合わせて、多彩なプランをご用意しております。・・・富山で小さなお葬式をご希望する皆様にダビアス富山は選ばれています。」の記載がある。
(http://www.toyamashikiten.jp/)
イ 「株式会社エレナ高松葬儀社」のウェブサイトにおいて、「ご葬儀プラン」の見出しの下、「小さなお葬式・家族葬」の記載がある。
(http://www.erenatakaso.jp/plan/pack.html)
ウ 「坂井地区広域連合」のウェブサイトにおいて、「小さなお葬式ができます」の見出しの下、「代官山斎苑を小さなお葬式や直葬の会場として利用できます。・・・小さなお葬式(家族葬など)」の記載がある。
(http://www.kouiki.sakai.fukui.jp/news/722.html)
エ 「株式会社ふじもと美誠堂」のウェブサイトにおいて、「心 プラン」の見出しの下、「?小さなお葬式・あたたかく『心』に残るご葬儀を安心価格で?」の記載がある。
(http://arte-fujimotobiseido.com/plan/kokoro/)
オ 「株式会社青木葬祭本店」のウェブサイトにおいて、「クレリのご家族で行う/小さなお葬式」の記載がある。
(http://aoki-sousai.net/)
カ 「永桶祭典株式会社」のウェブサイトにおいて、「葬儀プラン」の見出しの下、「小さなお葬式ワンデープラン49.8万円/告別式のみの家族だけで行われる1日のプランです。」の記載がある。
(http://www.nagaoke.com/one_day/)
キ 「株式会社さくら葬祭」のウェブサイトにおいて、「小さなお葬式/家族や親しい方々と心のこもったお葬式」の記載がある。
(http://www.sakurasousai.jp/guide03.html)
ク 「出流天狗山幸福寺・東京別院」のウェブサイトにおいて、「小さなお葬式」の見出しの下、「小さなお葬式・・・略式葬とは、火葬場に僧侶が出張し、最も大切な『引導』の儀礼と『炉前供養』を行う、小さなお葬式です。」の記載がある。
(http://www.koufukuji.org/funeral.html)
ケ 「エム・ティー・ディー株式会社」のウェブサイトにおいて、「小さなお葬式プラン/ご家族、ご親族だけでゆっくりお別れするお葬式プランをご用意しています。」の見出しの下、「小さなお葬式を行うメリット・・・小さなお葬式プランは『家族や親族だけでお葬式を行いたいから広い斎場は必要ない』『費用を抑えたいが、質素すぎるのも困る』といったお客様の声から生まれたお葬式プランです。」の記載がある。
(http://www.good-sougi.com/?page_id=25)
コ 「宗教法人光明寺」のウェブサイトにおいて、「小さなお葬式について」の見出しの下、「先日、本堂で小さなお葬式をしました。ただし、小さかったのは参列者数(故人の親族のみ)だけで、私自身も納得のいく実に素晴らしいお葬式でした。そういう訳で本日は小さなお葬式について書いてみます。ここ数年『小さなお葬式』だとか『家族葬』などという言葉を見聞きすることが多くなりました。」の記載がある。
(http://koumyou-ji.or.jp/s/voice/archives/203)
サ 「有限会社ゆうあいサービス」のウェブサイトにおいて、「小さなお葬式Private Ceremony」の見出しの下、「・・・故人を安らかに送り出すために必要なものとそうでないものを見極めることで余分な費用をかけずに心のこもった葬儀ができるのです。」の記載がある。
(http://www.uai.co.jp/p3.html)
シ 「株式会社ファミリー葬」のウェブサイトにおいて、「神戸市須磨区の家族葬専門式場」の見出しの下、「・・・ファミリー葬は大阪・神戸の家族葬専門の葬儀式場として、本当の心温まるお葬儀を実現してきました。・・・形式にこだわるのではなく、想いをカタチにする、それが本来のお葬儀の形式だと考えます。ファミリー葬 須磨にしか出来ない小さなお葬式を。」の記載がある。
(http://www.family-so.com/kobe_suma/)
ス 「株式会社ヒューマンウェア」の運営する「おとどけねっと」のウェブサイトにおいて、「心のこもった小さなお葬式/家族の手で送り出せる格安葬儀セット”宅葬セット”」の記載がある。
(http://otodokenet.com/shopbrand/ct103/)
セ 「株式会社ニューライフ」のウェブサイトにおいて、「小さなお葬式のニューライフ お葬式費用のご提案」の記載がある。
(http://www.e-osogi.com/)
そうすると、「小さなお葬式」の文字からなる本願商標は、「規模の大きくない葬儀」程の意味合いを認識させるものというのが相当であり、これを本願の指定役務である「規模などが小さいお葬式の執行の媒介又は取次ぎ,規模などが小さいお葬式の執行」に使用したときは、取引者、需要者は、「規模の大きくない葬儀」に関する役務を表示するものとして理解するにすぎず、自他役務の識別標識としては認識し得ないものである。
してみれば、本願商標は、その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標は、請求人が2009年10月から全国で本願の指定役務に使用してきた結果、使用により識別性を獲得していることから、商標法第3条第2項の要件を満たしている旨を主張し、証拠方法として、資料1ないし資料93を提出しているので、以下検討する。
ア 実際に使用している商標について
請求人のウェブサイト及び請求人の頒布しているパンフレットにおいて、「小さなお葬式」の文字からなる本願商標と同一の商標が使用されている(資料1?資料3)。
イ 商標の使用開始時期、使用期間について
請求人の提出した資料によれば、請求人は、2009年頃から本願が登録出願された時点まで、本願商標を使用していることが推認される(資料41、資料45、資料56等)。
しかしながら、2009年以降、どのように本願商標を使用していたかについては、請求人のウェブサイト以外では、その使用状況を確認できるものは見当たらない。
ウ 広告宣伝の方法、期間、地域及び規模について
請求人は、WEB広告を主力とし、その広告費として13億円を使用し、ホームページのアクセス数は130万アクセスにのぼる旨主張している(資料4)。
しかしながら、WEB広告費がどのような広告として、どのくらいの期間広告宣伝されたのかが確認できる証拠の提出がなく、また、アクセス数に関する資料も出典が不明である。
そして、WEB広告以外についての広告方法に関しては、証拠を提出していない。
エ 請求人の業界内でのシェア等について
請求人は、葬儀業界内での請求人の葬儀取扱件数のシェアは2%程度であるが、該業界では高いシェアを占める独占企業が存在しないため、該業界内での請求人の葬儀取扱件数は第3位であることから、トップレベルのシェアを占めているといえる旨主張している(資料5、資料39)。
しかしながら、葬儀業界内では独占企業が存在せず、年間の葬儀数約110万件に対し、請求人の葬儀取扱件数(2015年:24,249件)のシェアが2%程度であることからすれば、たとえ、該業界内での請求人の葬儀取扱件数が第3位であったとしても、請求人の葬儀取扱件数のシェアは決して高いものとはいえない。
オ アンケート調査について
請求人は、アンケート調査において、「小さなお葬式」について、高い認知度がある旨主張している(資料79)。
しかしながら、提出された、2016年3月に実施した「生活に関するアンケート」のタイトルのアンケート調査は、日本全国を対象としておらず、大阪府と静岡県という限られた地域でのみで行われており、また、アンケートの内容も、選択肢にあった18社の中から選ばれたと説明された葬儀会社の名称等に関するものであることからすれば、そのアンケートの信頼性は低いものであって、この結果をもって本願商標が全国的に認識されているものと認めることができない。
カ 新聞、雑誌、インターネット、テレビの紹介記事等について
提出された資料によれば、新聞(資料20?資料33、資料80?資料83)、雑誌(資料34?資料56、資料84、資料85)、インターネット(資料57?資料61、資料86?資料91)、テレビ(資料62?資料75、資料92、資料93)などで、2012年から2016年の5年間の間に、本願商標に関する内容が記事等として70件ほど取り上げられているものであるが、その紹介された回数は、年平均14件程度と決して多いものとはいえない。
以上のことからすると、本願商標は、取引者、需要者の間に広く認識されているとはいい難いものであり、その指定役務について使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至っているものとはいえない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものということはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものでもないことから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標(色彩については、原本を参照。)


審理終結日 2017-03-28 
結審通知日 2017-04-03 
審決日 2017-04-14 
出願番号 商願2016-32916(T2016-32916) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W45)
T 1 8・ 17- Z (W45)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大森 友子 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 木住野 勝也
中束 としえ
商標の称呼 チーサナオソーシキ 
代理人 大槻 聡 

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