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審決分類 審判 査定不服 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 登録しない W3043
管理番号 1329262 
審判番号 不服2014-24079 
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-11-26 
確定日 2017-06-16 
事件の表示 商願2013-90418拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は,「山岸一雄」の文字を標準文字で表してなり,第9類,第16類,第21類,第24類,第25類,第30類,第33及び第43類に属する願書記載のとおりの商品又は役務を指定商品又は指定役務とし,平成25年11月19日に登録出願され,その後,指定商品及び指定役務については,原審における同26年5月19日付けの手続補正書,さらに,審判請求と同時に提出した同年11月26日付けの手続補正書をもって,最終的に,第30類「つけ麺用の中華麺,調理済みのつけ麺,ラーメンの麺,つけ麺用のスープ,ラーメンスープ,ぎょうざ,しゅうまい」及び第43類「つけ麺を主とする飲食物の提供」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由
原査定は,「本願商標は,その構成中に『山岸一雄』の文字を標準文字で表してなるものであって,これと同一の他人の氏名が,本願商標出願以前より所在することは,ハローページ等から明らかであり,かつ,本願出願人はその他人の承諾を得ていないものである。したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第8号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
平成27年5月25日付け証拠調べ通知書により,本願商標が商標法第4条第1項第8号に該当するものであるとして,本願商標構成中の「山岸一雄」の文字と同一文字の氏名からなる他人が,平成26年4月3日付けで通知した拒絶理由に記載した氏名に加えて,本願商標出願以前より所在する事実として,NTT東日本発行のハローページに記載の20名の氏名(山岸一雄)及び住所を通知した(個人情報の保護の観点から,詳細な住所の本審決への掲載を省略する)。そして,期間を指定して,これに対する意見を求めた。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見等
1 平成27年7月10日付けの意見書
請求人は,上記第3の証拠調べ通知に対して,平成27年7月10日付けの意見書において,以下のように述べるとともに,同日付け提出の手続補足書により参考資料1ないし119を提出した。
(1)大勝軒の山岸一雄氏の著名性
本願出願時とは状況が異なり,大勝軒の山岸一雄氏は,平成27年4月1日に,80歳にて逝去した。
本願は,同氏の名声に不当に便乗されるおそれのある同氏の氏名を,不当に使用されることなく,出願人の提供する本願の指定商品及び指定役務について,同氏の氏名からなる「山岸一雄」の商標の信用を保護し,商品の品質及び役務の質を管理するためのものとして,同氏の承諾を得て,進められていた。
大勝軒の山岸一雄氏の氏名は著名であるが,上記のとおり同氏が平成27年4月1日に逝去したことが大々的に報道され,つけ麺店大勝軒の山岸一雄氏の知名度はより一層高まった。
したがって,本願の指定商品及び指定役務との関係において,本願商標における「山岸一雄」は,大勝軒の山岸一雄氏の氏名からなる商標としてのみ看取されものである。
(2)本願商標について
本願商標は,外観上,「山岸一雄」の漢字4文字を,同書同大で切れ目なく一連に表してなる商標である。
既に述べたとおりラーメン店,より詳しくはつけ麺店の創業者としての大勝軒の山岸一雄氏の知名度は高く,日本全国において,つけ麺業界だけでなく,広く世間一般の人々に知られている。
そうすると,本願商標は,つけ麺に関連する本願の指定商品及び指定役務との関係において,つけ麺と強く結びついた同旨の著名性を考慮すれば,本願商標に接する需要者は,つけ麺の店主として著名な山岸一雄氏を想起し,それ以外の同姓同名の山岸一雄氏のことは全く想起しないというべきである。
(3)商標法第4条第1項第8号における承諾を得るべき他人
平成26年4月3日付で通知された拒絶理由通知及び上記第3の証拠調べにおいて,「山岸一雄」の氏名を持つ個人が存在していることが指摘されている。
しかし,人格権の保護という同号の趣旨を鑑みると,同姓同名の山岸一雄氏が存在することは,本願の商標登録を拒絶する理由にはならない。
承諾を得るべき他人については,「山岸一雄」の氏名を有する者には,本願商標の指定商品・指定役務との関係で,承諾を得ないことにより人格権の毀損が客観的に認められるに足る程度の著名性・希少性等は見受けられない。
特に,本願商標の指定商品及び指定役務との関係で著名性を有する同姓同名の他人はインターネット検索では発見されず,また,「山岸一雄」の氏名を有する同姓同名の他人が20名も存在することにより,希少性は十分に小さいものである。
以上のとおり,本願商標「山岸一雄」は,既に相当数の世間一般の人々に受け入れられ得る状態にあるものであり,例え商標登録がなされたとしても,その状態に変化はあり得ない。
したがって,人格権の毀損を理由に本願商標が登録できないとする理由はなく,その趣旨を鑑みれば,商標法第4条第1項第8号に本願商標が該当する理由もない。
(4)まとめ
以上のとおり,商標法第4条第1項第8号の趣旨からも,つけ麺に関連する指定商品及び指定役務との関係で本願商標が使用された場合,承諾を得た大勝権の山岸一雄氏は,日本全国において著名であって容易に判別可能であり,また,同姓同名の他人の人格権の毀損を生じる理由は存在しないことから,同号に該当しないとすべきである。
2 平成27年9月16日付けの上申書
米国,欧州,ドイツ,イギリス,フランス及び韓国等の国において,社会的・文化的背景及び同姓同名の出現頻度の差違はあるとしても,ある人物の氏名が,同姓同名の他人が存在することのみを理由に,その他人の同意がなければ一律に商標登録を受けられないとしている国は存在しない。
このような事実を鑑みれば,商標法4条1項8号の解釈において,他人とは,指定商品又は指定役務との関連で特定され得る程の関連性を有するものと解すべきであり,本願における商標法4条1項8号を根拠とする拒絶理由は,国際的情勢とは大きく乖離した内容である。また,氏名について一定の財産権を認め,知的財産としてこれを保護しようとする我が国の情勢にも,逆行するものである。
以上のとおり,大勝軒の山岸一雄氏の著名性,需要に対する「山岸一雄」の氏名の指定商品及び指定役務との強い関連性及び本願の指定商品及び指定役務について,大勝軒の山岸一雄氏と同姓同名の他人の者が,人格権の毀損を認められるほどの関連性を有しないことから,同号に該当しないとすべきである。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第8号について
商標法第4条第1項第8号の趣旨及びその適用については,以下のとおり判示されている。
(1)(商標法第4条第1項第)8号が,他人の肖像又は他人の氏名,名称,著名な略称等を含む商標は,その他人の承諾を得ているものを除き,商標登録を受けることができないと規定した趣旨は,人(法人等の団体を含む。以下同じ。)の肖像,氏名,名称等に対する人格的利益を保護することにあると解される。すなわち,人は,自らの承諾なしにその氏名,名称等を商標に使われることがない利益を保護されているのである。(最高裁平成16年(行ヒ)343号,平成17年7月22日判決)
(2)他人の名称を含む商標については,他人の承諾を得ているものを除いては,商標登録を受けることができないというべきであって,出願人と他人との間で事業内容が競合するかとか,いずれが著名あるいは周知であるといったことは,考慮する必要がないというべきである。(知的財産高等裁判所平成20年(行ケ)10309号,平成21年2月26日判決)
(3)同号(商標法第4条第1項第8号)は,出願人と他人との間での商品又は役務の出所の混同のおそれの有無,いずれかが周知著名であるということなどは考慮せず,「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称」を含む商標をもって商標登録を受けることは,そのこと自体によって,その氏名,名称等を有する他人の人格的利益の保護を害するおそれがあるものとみなし,その他人の承諾を得ている場合を除き,商標登録を受けることができないとする趣旨に解されるべきものなのである。(知的財産高等裁判所平成21年(行ケ)10005号,平成21年5月26日判決)
2 商標法第4条第1項第8号該当性について
上記1の観点を踏まえて,本願商標について検討すると,本願商標は,上記第1のとおり,「山岸一雄」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成文字は,原審による拒絶理由通知及び当審における証拠調べ通知に開示したとおり,他人の氏名である「山岸一雄」と同一のものである。
そして,他人の氏名を含む商標については,請求人と他人との間で,いずれが著名あるいは周知であるといったことは,考慮する必要はなく,本願商標中の「山岸一雄」と同一の氏名である個人が,上記第3の証拠調べ通知のとおり,少なくとも20名存在し,かつ,請求人は,本願商標を登録することについて,上記の個人から承諾を得たことを証明する書面を提出していない。
したがって,本願商標は,他人の氏名からなる商標であり,かつ,本願商標を登録することについて,当該他人の承諾を得ているものとは認められないものであるから,商標法第4条第1項第8号に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は,本願商標がつけ麺に関連する本願の指定商品及び指定役務との関係において,つけ麺と強く結びついた同氏の著名性を考慮すれば,つけ麺の店主として著名な山岸一雄氏を想起させ,「山岸一雄」の氏名からなる本願商標が登録されたとしても,その商標登録が原因で同姓同名の他人の人格権の毀損が認められる事態は考えられない旨主張する。
しかしながら,商標法第4条第1項第8号の趣旨は,上記1の判示のとおり,他人の氏名を含む商標について商標登録を受けることは,そのこと自体が,その氏名を有する他人の人格的利益の保護を害するおそれがあるものとみなすものと解され,請求人と他人との間での商品又は役務の出所の混同のおそれの有無や,いずれかが周知著名であるかどうかといったことは,考慮する必要がないものである。そして,本願商標は,他人の氏名を含む商標であって,その他人の承諾を得ているものとは認められないものである以上,同号に該当するものであることは,上記2のとおりであり,また,請求人の挙げる審決例が存することをもって,その判断が左右されるものではない。
(2)さらに,請求人は,諸外国において,ある人物の氏名が,同姓同名の他人が存在することのみを理由に,その他人の同意がなければ一律に商標登録を受けられないとしている国は存在しない旨主張する。
しかしながら,諸外国と我が国の商標保護に関する法制は,細部においては自ずと異なるものであり,よって,本願商標の登録の適否は,専ら我が国商標法の下において判断されるべきものであって,諸外国における事情をもって,本願商標についての判断が左右されるべきものではない。
(3)したがって,請求人の上記主張は,採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第8号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-01-12 
結審通知日 2016-01-18 
審決日 2016-02-01 
出願番号 商願2013-90418(T2013-90418) 
審決分類 T 1 8・ 23- Z (W3043)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 浦崎 直之 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 前山 るり子
早川 文宏
商標の称呼 ヤマギシカズオ 
代理人 神田 正義 
代理人 宮尾 明茂 
代理人 藤本 英介 
代理人 濱田 修 
代理人 馬場 信幸 
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