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審決分類 審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない Y33
審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない Y33
管理番号 1329188 
審判番号 無効2014-890094 
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-12-02 
確定日 2017-05-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第4974148号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4974148号商標(以下「本件商標」という。)は、「FANTINI ファンティーニ」の文字を標準文字で表してなり、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,いちご酒,なし酒,ぶどう酒,ワイン,シャンパーニュ地方産の発泡性ぶどう酒,スパークリングワイン,りんご酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、平成17年10月7日に登録出願、同18年6月27日に登録査定、同年7月28日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
国際登録第1183715号商標(以下「引用商標」という。)は、「FANTINI」の文字を横書きしてなり、日本国を指定する国際登録において指定された第33類「Wine.」を指定商品として、2013年(平成25年)9月24日に国際商標登録出願されたものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書、審判事件弁駁書及び回答書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第37号証(枝番号を含む。)を提出した。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。
1 請求の趣旨
本件商標は、商標法第4条第1項第19号又は同項第7号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。
2 請求の理由(審判請求書及び審判事件弁駁書における主張)
(1)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 請求人について
(ア)請求人であるファルネーゼ ヴィーニ エスアールエル(英文表記:FARNESE VINI SRL)は、1582年にイタリアのオルトーナ市においてワイン生産に携わったのを起源とする、1994年に設立されたワイン生産会社であり、「FANTINI」の文字からなる商標(以下「『FANTINI』商標」という場合がある。)を使用したシリーズ(甲7)を含むワインを生産・販売している。以下、請求人の「FANTINI」商標を使用したワインを「『FANTINI』ワイン」という。
請求人は非常に歴史あるワイン生産者で、高品質なワインをつくる生産者として国際的にその名を知られており、地元だけでなく、イタリア全土及び世界各国で人気の高い生産者である。
(イ)請求人は年間1千万本を超えるワインを生産、販売し(甲4)、2004年、2005年の全世界での売上高は、それぞれ、16,800,000ユーロ、19,600,000ユーロであった。
(ウ)辛口の批評で知られるイタリアのルカ・マローニが出版するイタリアのワインガイド「Guida dei VINI ITALIANI」及び「Annuario dei Migliori VINI ITALIANI」(アニュアリオ ディ ミグリオリ ヴィニ イタリアーニ/ベストワイン年鑑)で、請求人は、2005年版、2006年版、2007年版と3年連続『最優秀生産者』に選出され(甲4)、近年も、上記2つのガイドブックが一本化された新しい構成の「Annuario dei Migliori VINI ITALIANI」で、2012年版、2013年版と2年連続『最優秀生産者』に選出された。
上記のワインガイドは、イタリアのワインブック主要5誌の一つである(甲13、甲14)。主要5誌は、需要者や取引者が良いワインを選ぶよりどころとするイタリアワインのバイブルと位置づけられる。また、「Annuario dei Migliori VINI ITALIANI」のそれぞれの年版のガイドブックは前年10月下旬頃発行され(甲14)、授賞式は11月頃に行われる。2005年版は、2004年11月5日が授賞式で、2006年版は2005年11月3日が授賞式である。
(エ)その他にも、請求人は世界中のワインコンクールで高く評価され、毎年多くの様々な賞を獲得している(甲5、甲6)。
甲第5号証は、2003年から2010年のワインコンクールの賞状の写しを縮小したものを列挙したものである。
甲第6号証は、請求人のホームページ「FANTINI FARNESE」中「AWARDS」の項のプリントアウトであり、受賞歴リスト中、「FANTINI」ワインの受賞に関して、賞状の写し(甲第15の2?14、16?20)コンクール主催者のウェブサイトのプリントアウト(甲15の1)、コンクールに関するインターネット上の記事(甲15の15)を提出する。
これらの賞状にはワインコンクールの年が記載されている。また、各々の賞状はワインコンクールの主催者によって作成されたことは明らかである。
また、甲第6号証のリストに掲載されたもの以外の受賞について、その賞状の写しを提出する(甲16)。
イ 引用商標とその周知性について
(ア)請求人の製造、販売する、「FANTINI」ワインには、赤ワインでは「ファンティーニ サンジョヴェーゼ テッレ ディ キエーティ」、「ファンティーニ モンテプルチアーノ・ダブルッツオ」、白ワインでは「ファンティーニ トレッビアーノ ダブルッツォ」、「ファンティーニ シャルドネ テッレ ディ キエーティ」、ロゼワインでは「ファンティーニ チェラズオーロ・ダブルッツォ」、「ファンティーニ グラン キュヴェ・ロゼ」(スプマンテ)などがある(甲7)。
キュヴェ(CUVEE)とは発酵漕の中のワインという意味で、通常、特別なブレンド又はバッチのワインという意味として使用される(甲17)。
(イ)甲第8号証は、日本籍の自転車ロードレースチーム「ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ」公式ホームページのプリントアウトであり、請求人が近年イタリアを含む欧州で国民的人気を誇るスポーツである自転車ロードレースの日本籍チーム「Vini Fantini-NIPPO-De Rosa」(ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ)のメインスポンサーを務め、チーム名に「Vini Fantini」が冠され、「FANTINI」商標が選手のユニフォーム等に積極的に使用されていることを示している。
仮に、ユニフォーム等への「FANTINI」の使用が指定商品についての商標の使用に該当しないとしても、チーム名には、イタリア語で「ワイン」を意味する語であって英語でも「ぶどう酒」(ワイン)を意味する接頭語である「Vini」の語(甲18、甲19)を含んで、「Vini Fantini」と冠されていることから、「Fantini」がワインの名前である等、ワインとの関連性をもって認識されるものである。また、「by Farnese」との表示から請求人と「FANTINI」の表示との関連性も認識されるものである。
(ウ)「FANTINI」ワインは、イギリスのロンドンで毎年4月に開催されるワインコンペである、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(国際ワインコンテスト)(甲10)の2003年大会で、「ファンティーニ・サンジョヴェーゼ 2002」(FANTINI Sangiovese 2002)が銅賞、「ファンティーニ・モンテプルチャーノ 2002」(FANTINI Montepulciano 2002)、「ファンティーニ・シャルドネ 2002」(FANTINI Chardonnay 2002)は、シール・オブ・アプルーバルを受賞した(甲9)。
被請求人は、これらの証拠資料がその作成時を示す資料がどこにも存在しない、誰によってどのような目的で作られたか不明であると主張する。
しかしながら、甲第9号証は、国際ワインコンテスト(International Wine Challenge)2003の賞状の写しであり、国際ワインコンテストはイギリス・ロンドンで毎年4月に開催されるワインコンペであり、授賞式は7月に行われる(甲10の1及び「大会形式」の項参照)。すなわち、甲第9号証は、2003年大会の賞状であり、コンテスト主催者によって遅くとも2003年7月頃までに作成されたことが明白である。
また、被請求人は、甲第9号証の1は「Fantini Sangiovese 2002」、甲第9号証の2は「Fantini Montepulciano 2002」、甲第9号証の3は「Fantini Chardonnay 2002」と表示されているため本件商標とは構成が異なる、と主張するが、「Sangiovese」(サンジョヴェーゼ)、「Montepulciano」(モンテプルチャーノ)、「Chardonnay」(シャルドネ)は、それぞれ、甲第7号証の1、2及び4の「Varieties」(品種)の項目に記載されているように、いずれも、ワインの原料となったブドウの品種である。なお、甲第7号証の2は「Montepulciano D’Abruzzo」と記載されているが、「D’Abruzzo」は「イタリア中央部アブルッツォ州で生産された」という意味である。また「2002」はヴィンテージ、すなわち、ワインに使用されたぶどうの収穫年を指すものであることは明らかである。よって、「Fantini」の文字部分以外は、ワインの品質等を表す記述的表示である。したがって、自他商品識別標識として機能を発揮する商標的部分は「Fantini」にあることに相違なく、本件商標と構成が相違するという被請求人の主張は失当である。
(エ)「ファンティーニ サンジョヴェーゼ」の2001年ものは、辛口で知られるルカ・マローニにより「最も買うに値するワイン」部門の第2位に選出され、2002年ものは1,650本の中からベストバリューに選出され、2004年ものは61,152本の中から、ベストバリューの第1位に選出された(甲26)。
(オ)近年も様々な賞を獲得している(甲6)。
(カ)このように、「FANTINI」ワインは数多くの賞を獲得し高い評価を受けており、引用商標は本件商標の登録出願時前から現在まで、少なくともイタリアで需要者の間に広く認識されているものである。
(キ)被請求人は、請求人が「FANTINI」を使用してワインを供給し始めたのは2012年あるいは2013年頃とし、2005年、2006年頃には引用商標をほとんど使用していなかったと主張する。
しかし、甲第12号証は、「FANTINI」ワインに関して請求人が被請求人に宛てた2005年及び2006年のインボイスの写しであり、請求人が製造する「FANTINI」ワインについて、少なくとも、被請求人に対してだけでも、甲第12号証の1には9,924本、甲第12号証の2には4,920本、甲第12号証の3には4,200本、被請求人自身が請求人から直接購入したことが記載されている。このように、2005年から2006年頃にはすでに請求人が「FANTINI」を使用してワインを製造及び販売していたことは、被請求人自身がよく知るところである。
また、甲第20号証は、それぞれ、2005年、2006年、2007年の「FANTINI」ワインに関する取引の一覧表である。「FANTINI」ワインに関する2005年、2006年、2007年の年間売上高は、それぞれ、少なくとも231,852.20ユーロ(約3,175万円)、276,275.20ユーロ(約4,037万円)、72,529.35ユーロ(約1,169万円)であった(甲20、甲21)。
また、被請求人は、イタリアで登録番号第1489258号の登録を受けたのが2012年であることを根拠に、請求人が2012年頃までは商標を使用していなかったとも主張する。しかしながら、商標登録前には商標を使用できないというものではないから、この主張は失当である。
被請求人が甲第2号証から認めているように、請求人はイタリアで、33類の区分について2012年5月2日登録の登録番号第1489258号「FANTINI」の登録商標を所有している(甲22)。この第1489258号は、更新登録された登録番号であり、この基礎となった元の商標登録は、2002年10月18日出願、2006年9月27日登録の第1022566号である(甲23)。
このように、被請求人は、2002年にはすでにイタリアで商標登録出願を行い、引用商標に係る商標「FANTINI」についてすでに登録を受けていた。
(ク)以上のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において少なくとも外国で需要者の間に広く認識されているものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
ウ 本件商標と引用商標との対比
(ア)本件商標は、欧文字の「FANTINI」及び片仮名の「ファンティーニ」の文字の間に空白を設けて並べてなる標準文字商標であり、「ファンティーニ」の文字部分は単に「FANTINI」を片仮名表記にしたものであるから、欧文字部分に着目して看取される場合も少なくないといえる。また、本件商標は、各文字部分に相応して「ファンティーニ」の称呼を生じるものである。
(イ)本件商標と引用商標を比較すると、本件商標の「FANTINI」の文字部分は引用商標と同一である。
本件商標は、欧文字部分に着目して看取される場合も少なくないといえるから、本件商標は、引用商標と外観が類似するものといえる。
また、本件商標の称呼「ファンティーニ」は、引用商標の称呼と完全に一致する。
このように、本件商標は、外観が引用商標と相紛らわしく称呼が同一であり、本件商標と引用商標とは互いに類似する商標である。
(ウ)また、本件商標の指定商品は、請求人が引用商標を使用する「ワイン」と同一又は類似の商品あるいはこれと密接に関連する商品である。
(エ)なお、請求人は、「FANTINI」商標について我が国を指定国に含む国際登録出願を行ったが(国際登録第1183715号)、本件商標を引用商標として商標法第4条第1項第11号の暫定拒絶通報がされている(甲2、甲3)。
(オ)以上より、本件商標は、引用商標と類似の商標であり、その指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品あるいはこれと密接に関連する商品である。
不正の目的について
(ア)被請求人である有限会社東京実業貿易(欧文表記:TOKIO INDUSTRY CO.,LTD.)は、主にワインの輸入、販売を業務とする法人であり、フランス、イタリア、スペインその他諸外国のワインを輸入し日本国内において販売している(甲11)。
被請求人は、請求人と商取引関係にあり、本件商標の登録出願時及び登録査定時にはすでに、請求人が製造、販売する「FANTINI」ワインを、請求人から直接輸入していた(甲12)。
(イ)被請求人は、諸外国で生産されたワインを輸入し日本において販売することを業としているので、同様の業務に従事する数多くの当業者と同じように、諸外国のワイン生産者を十分に認識する立場にある。
そして、被請求人は、上記のように、ワインの世界的生産者の1つである請求人の製品を輸入しており、請求人と一定の安定した取引関係にあった。
ところが、被請求人は2005年に、請求人に無断で請求人の商標と同一又は類似関係にある本件商標を出願し、登録を得た。
すなわち、被請求人は、請求人の商標であることを明白に認識しながら、請求人に何の断りもなく、本件商標の日本での登録を図った。
(ウ)請求人と被請求人は、一定のビジネス関係にあった。そもそも、ビジネスは両者間の商業上の信頼関係・信義則を基礎に成り立つ。商取引の対象となる商品について使用される商標の登録に危惧があれば、相手方に商標登録の有無を確認し出願を勧めるのが極めて一般的な商業上の常識である。
しかるに、被請求人は、請求人に対して日本での商標登録を勧めたわけでもなく、また、請求人に代わって被請求人が商標登録を得ることを請求人に対して相談したわけでもなく、無断で、本件商標の登録を得たのである。
仮に、被請求人が、請求人商標の使用に係る請求人のワインの日本への輸入販売に強い危惧を抱いていたのであれば、無断で出願・登録するのではなく、請求人による出願を勧め、あるいは、被請求人による出願についても事前相談するものである。
そのようなことをするのではなく、請求人に無断で出願・登録したのは、請求人商標を取得することにより、将来起こり得るであろう請求人とのさまざまな交渉の場において有利な立場に立つために利用できるかもしれない、あるいは、同じ製品を輸入販売する競合他社との間で優位に立てるかもしれないといった意図(すなわち、本来的な商業行為によって実現すべきことを、他人の商標の無断登録によって実現できるとの期待)に基づくと解することができる。
(エ)これらの事情を総合的に勘案すると、被請求人は、本件商標を不正の目的をもって出願・登録したと認定すべきである。
オ まとめ
以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に周知な商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的、その他不正の目的をいう。)をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性について
仮に、引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において周知又は著名とまではいえなかったとしても、少なくとも需要者・取引者に相当程度認識されていたものである。
そして、被請求人は、海外からワインを輸入販売する法人であり、フランス、イタリア、スペインその他諸外国のワインを輸入し日本国内において販売している(甲11)。被請求人は、請求人と一定の商取引関係にあり、遅くとも2005年8月頃には、請求人が製造・販売する「FANTINI」シリーズのワインを、請求人から直接輸入していた(甲12の1、甲24)。その後、被請求人は、2005年10月7日に秘密裏に本件商標の登録出願を行い、その事実を請求人に隠して、引き続き2006年にも請求人から「FANTINI」ワインを輸入し商取引を継続していた(甲12の2、3、甲25)。
このように、被請求人は、本件商標の登録出願前から、請求人が請求人商品に引用商標を使用していたことを明確に知りながら、引用商標が日本において商標登録がされていないことを奇貨として、引用商標と同一又は類似の本件商標を、請求人の承諾を得ずに登録出願し、登録を受けたものである。これは将来起こり得るであろう請求人とのさまざまな交渉の場において有利な立場に立つために利用出来るかもしれない、あるいは、同じ製品を輸入販売する競合他社との間で優位に立てるかもしれないといった意図で、剽窃的及び先取り的に、出願、登録を行ったものといえる。
また、請求人は被請求人に対し本件商標の商標権の譲渡を要請したが、被請求人は全くこれに応じていない。
このように、本件商標は、登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり、その登録を認めることは、商取引の秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものであって、到底容認し得ない。
また、引用商標が周知・著名であったか否かにかかわらず、本件商標は、公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標に該当するというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号の公の秩序又は善良な風俗を害するおそれのある商標に該当するというべきである。
3 合議体からの審尋に対する回答(回答書における主張)
(1)審尋の要旨:「FANTINI」ワインに関する受賞について、2002年の3件の受賞(甲5の1、甲9)の他に受賞を証明する証拠を提出されたい。
回答:登録出願時、登録査定時における請求人商標の周知性に関して、甲第5号証の1、甲第9号証以外の受賞については、「FANTINI」ワインのうちの一つである、Sangiovese(サンジョヴェーゼ)(甲7の1)は、以下の栄誉を受けている(甲26)。
ア サンジョヴェーゼ2001は、辛口で有名なイタリアのワインガイドブックLucaMaroni(ルカ マローニ)(甲13、甲14)で「最も買うに値するワイン」部門の第2位に選ばれた。
イ サンジョヴェーゼ2002は、ルカ マローニで、1,650のワインの中からベストバリューに選ばれた。
ウ サンジョヴェーゼ2004は、61,152のテイスティングの中からベストバリュー部門の第1位になった。
(2)審尋の要旨:「FANTINI」の文字からなる商標の使用開始時期及びその後の使用状況が不明であるから、説明されたい。
回答:「FANTINI」の文字からなる商標の使用開始時期は、請求人の本国であるイタリアにおいては、1993年から1994年の頃である。
(3)審尋の要旨:請求人は、「FANTINI」ワインに関する2005、2006及び2007年の取引の一覧表(甲20)を提出しているが、イタリア及び外国におけるシェアが不明であり、また、2007年以降の「FANTINI」ワインの取引の実情も不明であるから、説明されたい。
回答:2007年以降の「FANTINI」ワインの取引の実情に関して、2015年の取引に関する証拠資料として、甲第27号証及び甲第28号証を提出する。
甲第27号証は、2015年の取引における、請求人のワインのブランド別販売数量の一覧表である。請求人による様々なブランドのワインのうち、「FANTINI」ワインを、黄色で示してある。その合計販売数量は、5,873,766本であり、売上高は11,853,533ユーロである(甲28も参照)。「FANTINI」ワインの販売合計数量は、総数(10,571,445本)の実に半数以上である55.6%を占める。このように、「FANTINI」ワインは今や請求人の主要ブランドとなっている。
甲第28号証は、2015年の請求人の「FANTINI」ワインについて、そのブランドラインごと、地域ごとの販売量及び売上高を一覧表にしたものである。イタリアについては州ごと、その他の国についてはおよそ国ごとに区分けしてある。日本への取引量は、「Fantini」については第6位、「Fantini Cuvee」に関しては第2位、「Fantini giro d’Italia」については第1位で、イタリアの各州を合計しても日本が第1位である。このように、現在「FANTINI」ワインについて日本は主要な取引先の一つとなっている。
(4)審尋の要旨:イタリア又はその他の国における広告宣伝の状況及びその他の周知性を証明する追加の証拠があれば、提出し説明されたい。
審決注:請求人による追加の主張及び証拠の提出はない。
(5)審尋の要旨:「FANTINI」の文字からなる商標を使用したワインの日本への輸出の状況(販売開始から現在における請求人商標を使用したワインの輸出量、地域、日本での販売に至る流通経路、被請求人以外の取引者など)が不明であるから、説明されたい。
回答:請求人商標を使用したワインの日本への輸出の状況に関して、甲第29号証の1は、甲第20号証の1の、2005年の「FANTINI」ワインに関する取引の一覧表において、日本の業者との取引に関する部分をマークしたものである。また、甲第29号証の2は、甲第20号証の2の、2006年の「FANTINI」ワインに関する取引の一覧表において、日本の業者との取引に関する部分をマークしたものである。これらには、被請求人以外に、「OKURA FOOD SALES CO.,LTD」(大倉フーズ株式会社)(甲30)が記載されている。
甲第31号証ないし甲第33号証は、甲第29号証の1に示された、大倉フーズ株式会社との3件の取引に係るインボイスである。インボイスの明細中には、「FANTINI」のモンテプルチアーノ・ダブルッツォDOCの2003年ものと2004年ものが明記されている。
これらに記載のように、被請求人と取引をする前から、かつ、被請求人が本件商標を商標登録出願し登録を受ける前から、被請求人以外に、日本の業者とすでに取引がされていた。このように、被請求人の立場というのは、他の輸入業者と同様、ワインの製造販売元と顧客の関係に止まるものであり、輸入総代理店というような特別な契約関係にあるものではなかった。
請求人の商品は、輸入業者を通じて日本に輸入され、小売業者などに卸され各店舗を通じて、又はインターネット等の通信販売を通じて流通している。
しかしながら、請求人の記録によれば、2005年から2007年には被請求人は請求人から「FANTINI」ワインを輸入したものの(甲29の1、2、甲20の3)、それ以降、現在では、被請求人との取引は無い状態であり、被請求人以外の輸入業者を通じて日本で流通している。
(6)審尋の要旨:請求人は、「請求人は、被請求人に対し、本件商標の商標権の譲渡を要請したが、被請求人は全く応じていない。」と主張し、被請求人は、「本件商標に関して、請求人から何らの意思表示あるいは通知を受けたことはない。」と主張しているので、請求人はその事実を示す証拠を提出し説明されたい。また、請求人は、被請求人との取引の事実として、2005年及び2006年のインボイス(甲12)を提出しているが、それ以外に、現在までの被請求人(権利者)との取引の事実、実情、対応などの事実があれば、証拠を提出し説明されたい。
回答:審判事件弁駁書で主張したとおり、請求人は、被請求人に対し、本件商標の商標権の譲渡を要請したが、被請求人は全くこれに応じていない。
請求人には、可能であるならば譲渡により解決をすることが念頭にあり、2015年4月9日に請求人代理人を通じて被請求人代理人に宛てた電子メールにおいて、「請求人が本件商標の商標権の譲渡を強く希望している」旨、「被請求人が譲渡に応じる場合は、被請求人に費用負担が発生しないように本件審判請求を取り下げる意思を有している」旨、及び、「本件商標の出願から登録までにかかった費用及び譲渡に係る費用も請求人が負担する」旨の意思を伝えている(甲34)。なおメール文中、「良好な取引関係にある」というのは、被請求人は請求人とのワインの取引が既に無いものの、被請求人が請求人の一顧客であったことに配慮してのものである。
請求人による2015年4月9日付け電子メールに対し、2016年4月17日付けの被請求人代理人からの電子メールでの回答において、「メールを拝見し、請求人の意向を理解した」旨、「被請求人に対してメールを転送した」旨、報告がされている(甲34)。
その後、2015年4月28日に、請求人代理人は被請求人代理人に対し、その後の進捗について回答を促したところ、被請求人代理人より、2015年4月29日付けで「商標権の譲渡について、現時点では、被請求人からの回答がない旨」及び「回答があり次第、連絡する」旨の回答を得た(甲34)。
このように、請求人の意思は被請求人代理人を通じて被請求人に連絡がされているのであり、被請求人代理人を通じて提出された答弁書にある「本件商標に関して請求人から何らの意思表示あるいは通知を受けたことはない」という記述は虚偽というものである。
さらに、その後も、請求人は、2015年10月20日、2016年4月19日、2016年6月29日にも、進捗について回答を促しているが(甲35号?甲37)、被請求人は、現在もこれに応じていない。
このように、1年半近くも前から、請求人から商標権の譲渡の要請をしているにも関わらず、被請求人が未だに応じることがないことからして、本件商標の譲渡による解決が困難であり、請求人が、請求人自身の商品の我が国における安定的な流通秩序を回復するためには、本件審判請求を継続する必要があり、このため本件審判請求を取り下げることはできないのである。
一方、本件商標の登録を放置することは、我が国における請求人商品の安定的な商取引の秩序を乱し、ひいては、需要者の利益の保護が損なわれるものであり、社会的にみても弊害が大きく商標法の法目的を没却することになる。
被請求人は、本件商標の登録出願前より、請求人が請求人商品に引用商標を使用していたことを知りながら、引用商標が日本において商標登録がされていないことを奇貨として、引用商標に極めて類似する本件商標を、請求人の承諾を得ずに商標登録出願し、登録を受けたものである。また、請求人の一顧客の立場である被請求人が本件商標について登録出願を行ったことは、不正の利益を得る目的等をもって本件商標の登録出願をしたものと認められ、本件商標の登録出願の経緯には社会的妥当性を欠くものがあり、その商標登録を認めることは、商取引の秩序を乱し、社会的弊害が大きく、公の秩序を害するものである。
(7)審尋の要旨:被請求人が提出した平成27年10月26日付け審判事件答弁書(2)に対する意見等があれば、回答されたい。
回答:
ア 被請求人は、「商標法第4条第1項第19号と商標法第4条第1項第7号の重畳的適用はあり得ず、商標法第4条第1項第7号を適用するのは失当である。」旨主張するが、商標法第4条第1項第7号については、知的財産高等裁判所において判示されていること(平成17年(行ケ)第10349号、平成21年(行ケ)第10297号参照)からすると、商標法第4条第1項第19号があるから、本件無効審判において商標法第4条第1項第7号を引用することができないという被請求人の主張は失当である。
イ 被請求人は、「被請求人は、現在もなお本件商標を継続して使用している」と主張する。
しかしながら、上記(5)に記述したように、現在、被請求人は請求人と取引を行っていないことからすると、被請求人の当該主張にはにわかに承服することができない。
ウ 被請求人は「本件商標に関し、請求人から何らの意思表示あるいは通知も受けたこともない」と主張する。
しかしながら、上記(6)で記述したように、以前より請求人側から商標権の譲渡並びに本件商標の出願から登録に係る費用及び譲渡に係る費用の提供を申し出ているのであり、被請求人の主張は虚偽というものである。
また、上記(5)で記述したように、被請求人と取引をする前から、かつ、被請求人が本件商標を商標登録出願し登録を受ける前から、被請求人以外に、日本の他の業者とすでに請求人商標に係る請求人商品の取引がされていた。被請求人の立場というのは、他の輸入業者と同様、ワインの製造販売元と顧客の関係に止まるものであり、輸入総代理店というような特別な契約関係にあるものではない。また、請求人は、被請求人が日本で本件商標を登録出願することについて、被請求人から事前に相談、協議等を受けたことは無い。
このように、請求人の一顧客にすぎない被請求人が、製造販売元たる請求人の商標に極めて類似する本件商標を請求人に無断で先取的に登録出願することは商道徳的にも許されることではなく、国際信義上も好ましくない。
エ 被請求人は、国内の「I社」(甲13)こそが、本件審判の影の請求人である、という主張をするが、これは根拠のない思い込みである。「I社」が、如何様にして、請求人と被請求人との間の取引書類の写しである甲第12号証をはじめ、甲第4号証、甲第5号証、甲第9号証、甲第15号証の2ないし14及び16ないし20、甲第16号証、甲第20号証、甲第22号証、甲第24号証、甲第25号証、甲第27号証、甲第28号証、甲第29号証、甲第31号証ないし甲第37号証のような、請求人以外では入手困難な証拠を提出できるというのか、被請求人は何ら考慮していない。
オ 被請求人は、「本件審判の請求人による委任状(乙2)は、委任事項、特に、事件の特定が極めて不明確である。」旨主張するが、当該委任状に記載の「International Application No.1183715」は、被請求人も認めるとおり、請求人名義の国際登録第1183715号(甲2、甲3)であり、甲第3号証のように、本件商標は、請求人の国際登録第1183715号商標の審査での引用商標であることからして、両者は密接な関連があるから、委任状に併記しているのであるのである。委任事項が不明確であるということはない。
カ 以上のとおり、被請求人の主張には全く承服することができない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、審判事件答弁書、審判事件答弁書(2)及び審判事件回答書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。
1 審判事件答弁書及び審判事件答弁書(2)における主張
(1)商標法第4条第1項第19号を無効理由とするのであるならば、本件商標が、登録出願時及び登録査定時において、周知であることを要し、周知性の立証がされなければならない。しかるに、このような立証に足りる証拠を請求人は提出していない。
(2)各証拠の検討
ア 甲第4号証及び甲第5号証について
請求人は、甲第4号証に関連して甲第13号証と甲第14号証とを提出し、甲第4号証の1が2004年11月、甲第4号証の2が2005年11月、甲第4号証の3が2006年11月に作成したものであるとの主張をしている。
しかるに、本件商標の登録出願日が2005年10月であるから、甲第4号証の1のみが本件商標の登録出願日より前ということになり、また、甲第4号証の1ないし3のいずれについても、「FANTINI」の表示を含んでいないから、請求人による甲第13号証及び甲第14号証による主張は無意味である。
また、甲第5号証は、ワインコンクールの賞状を縮小したコピーであると主張するが、複数の縮小コピーの合体が1つの証拠を成すものなのかどうかは不明であって、証拠資料としての体を成していない。また、作成者の具体的な表示が無く、作成日時についても、具体的に何時なのか証明している訳ではないから、証拠としての的確性を欠いている。
イ 甲第6号証ないし甲第8号証について
各頁の下欄の「2014/11/18」の数字が作成時を示すものであるとするならば、この作成時は、本件商標の登録出願日及び登録査定時よりも後である。
甲第6号証及び甲第7号証は、請求人本人のホームページであって、第三者による客観的な証拠とはなり得ない。
甲第6号証の「FANTINI」に関する記載の2012又は2013の数字は、2012年又は2013年に「FANTINI」について、何らかのAWARDSがあったことを推察させるにすぎない。2013又は2012が西暦の年号であるならば、本件商標の出願日及び査定日よりも遥かに後のことである。
また、請求人は、甲第6号証が第三者による客観的な証拠とは成り得ないとする主張に対する反論として、甲第15号証及び甲第16号証を提出しているが、これらが立証するコンクールの開催年は、早くても2012年であるから、本件商標の出願日である2005年よりも遥かに後のことである。
おしなべて請求人は、2010年以降の商標の使用について主張しているものの、本件商標の登録出願日である2005年頃の使用についてはほとんど主張がない。また評価すべき証拠資料も存在していない。
本件商標については、イタリアのみならず日本においても、2003年ないし2005年頃については全く使用されていない。
また、甲第7号証の7及び甲第7号証の9は、いずれも「CUVEE」なる商標に関するものであって、「FANTINI」に関するものではない。
甲第8号証は、いずれも2014年に行なわれた自転車の競技会に関するもののようであって、本件商標の指定商品であるアルコール飲料とは関係のないものである。そして、自転車のロードレースにおいて、各選手が着用する衣類の外表面に「FANTINI」なる表示が施されていることを示している。このようなマークの使用は、指定商品との関係において為された表示ではなく、商標的使用には当たらないし、指定商品たるアルコール飲料類の宣伝に当たるものでもない。
ウ 甲第9号証について
これらの証拠資料は、その作成時時期及びこれらの証拠資料の文書が誰によってどのような目的で作られたかが不明であり、また、このような資料が、広く不特定多数の者に頒布されたことを示すものか不明である。さらに、甲第9号証の1は、「FANTINI」ではなく、「Fantini Sangiovese 2002」の商標であり、同様に甲第9号証の2は、「Fantini Montepulciano 2002」、甲第9号証の3は、「Fantini Chardonnay 2002」の商標であるから、本件商標とは商標自体の表示が異なる。
エ 甲第10号証について
甲第10号証の右下の欄の「2014/11/15」が作成時の表示であるとするならば、この作成時は本件商標の登録出願日及び登録査定日よりも後である。
また、これらの証拠資料は、「国際ワインコンテスト」の説明に関するものであって、本件商標についての表示が全く存在しない。
(3)甲第7号証によると、その中に「Vintage:2013」の表示がある。このことは、甲第7号証において写真で示されているワインが、2013年頃の収穫のブドウを原料とし、これを発酵熟成させて瓶詰めしたものであることが推定される。通常ワインはブドウの収穫から販売までには約1年間を要するために、甲第7号証のワインは、2014年頃に発売されたものであることが推認される。
また、請求人は、「FANTINI」なる商標を、第33類の区分について、イタリアで2012年5月2日に登録番号1489258号として登録している(甲2)。
したがって、請求人が「FANTINI」なる商標を使用し始めた時期は、甲第7号証のブドウの収穫年の前の年と推定される。
以上から、請求人は2012年あるいは2013年頃に「FANTINI」なる商標を用いてワインを供給し始めたものであることが高い蓋然性を持って推定される。
すなわち、それよりも8年も前の2005年10月7日(本件商標の登録出願日)及び2006年6月27日(本件商標の登録査定日)においては、商標「FANTINI」を請求人はほとんど使用していなかったことになる。
外国周知商標集(イタリア編)(乙3)のアルファベットのリストの中に、標章「FANTINI」は存在しないから、イタリアにおいて、「FANTINI」は周知商標ではない。
(4)本件商標の登録出願日及び登録査定日において、周知性の立証がされておらず、保護法益たる業務上の信用の発生が認められない。
したがって、請求人の請求それ自体が意味のないことが明白である。
被請求人は、平成18年から、以後9年間の長きわたって、本件商標について、有効かつ平穏にその権利を保有しており、何らの違法性もない。
(5)商標法第4条第1項第7号と同項第19号との関係
請求人は、本件商標権について、商標法第4条第1項第7号と、同項第19号の2つの条項を適用して本件商標登録が無効であると主張している。
ここで商標法第4条第1項第19号が、平成8年の一部改正において追加された条項であり、また、同項第7号が概括的な規定であり、同項第19号が個別具体的な規定である。
一般に個別具体的な規定が出来た場合には、その具体例に適用する場合については、具体的な条項を以って判断することになり、重畳的適用はあり得ない。これは「特別法は一般法を排す」の法理に基づいたものである。
したがって、請求人の主張であって、本件無効理由の根拠の条文として、商標法第4条第1項第7号を引用するのは失当である。
(6)被請求人は、請求人との間で通常の取引関係であり、特に紛争が起っているわけではない。また被請求人は、現在もなお本件商標を継続して使用している。本件商標に関し、請求人から何らの意思表示あるいは通知を受けたこともない。
(7)このように請求人には、被請求人に対して無効審判を提起する前提がない。一方で、被請求人と相互に並行輸入業者の関係にある当事者以外の国内のI社(甲13)は、本件商標と類似の商標を使用していることがうかがえる。そして並行輸入業者であるI社こそが、本件審判の影の請求人である。I社は他人である請求人の名義で審判請求を起しており、傀儡による審判請求となっている。
一方で、商標登録無効審判の請求については、その請求人は当該商標権に関して何等かの利害関係を有することを要する。ここで傀儡による手続きが行なわれた場合には、利害関係の事由のすり替えが行なわれることになる。場合によっては訴訟詐欺類似の審判詐欺の可能性もある。このような状況を考えるならば、本件審判請求は、その請求人の資格要件に関し、疑問を生じるのである。請求人は、本件請求を取り下げるべきである。
(8)むすび
請求人が提出した証拠は、本件商標について、その出願日及び査定日において、我が国のみならずイタリア等の外国で周知になっていたものということはできず、他にこれを認めるに足りる証拠が存在しない。
したがって、本件商標の登録が取り消される合理的理由はない。
2 合議体からの審尋に対する回答(回答書における主張)
審尋の要旨:「本件商標を継続して使用している。」と主張しているので、その使用の状況について説明するとともに、証拠を提出されたい。
回答:本件審判事件の被請求人は、次のとおり、本件商標を継続して使用していることを主張し、かつ、立証する。
(1)被請求人は、2014年10月14日付け請求書(乙4)に示すとおり、東京都練馬区内の顧客に対して、115本のワインを販売した。そしてこれらのワインの中に、品番0001800/品名ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤1本を含んでいる。また同請求書に示されるワインの中に、品番0001900/品名ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白2本を含んでいる。
(2)被請求人は、2015年5月19日に、東京都練馬区内の顧客に対して、66本のワインを販売した(乙5)。このワインの中に、品番0001800/品名ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤12本と、品番0001900/品名ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白12本とを含んでいる。
(3)被請求人は、2015年8月17日に、ワイン118本を、東京都練馬区内の顧客に対して、販売している(乙6)。これらのワインの中に、品番0001900/品名ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白12本とを含んでいる。
(4)被請求人は、2016年1月19日に、ワイン124本を東京都練馬区内の顧客に対して、販売した(乙7)。このワインの中に品番0001900/品名ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白12本を含んでいる。
(5)上記(1)ないし(4)のワインの販売において、(1)及び(2)における赤ワインについては、乙第8号証に示される「FANTINI」なる商標が表示されたラベルが貼付されたボトルに入った形で供給されている。
(6)上記(1)ないし(4)の各請求書による販売において、白ワインは、乙第9号証に示されるワインであって、ラベルに「FANTINI」なる文字列の商標を表示してなるものである。
したがって、上記(1)ないし(4)の請求書におけるワインの販売の際に、本件商標が使われたことが明らかである。

第4 当審の判断
1 請求人適格について
請求人は、上記第2のとおり、商標「FANTINI」について、第33類「Wine.」を指定商品として、平成25年(2013年)9月24日に国際商標登録出願(国際登録1183715号)をしたところ、当該出願に係る商標について、本件商標を引用した拒絶理由が通知され、当該出願は、現在審査に係属している(甲3、甲4)。
したがって、請求人は、本件審判を請求するにつき利害関係を有する。
2 引用商標の周知性について
(1)請求人の主張及び証拠によれば、次のとおりである。
ア 請求人について
請求人は、イタリアにおいて1994年に設立されたワイン生産会社であり、年間1千万本を超えるワインを生産、販売し(甲4)、2004年、2005年の全世界での売上高は、それぞれ、16,800,000ユーロ、19,600,000ユーロであった。また、請求人は、イタリアのワインガイド(毎年10月下旬発行、甲14)において、2005年版、2006年版、2007年版と3年連続「最優秀生産者」に選出され(甲4)、2012年版、2013年版においても2年連続『最優秀生産者』に選出された。そのほかにも、2003年ないし2010年において、「ジャパンワインチャレンジ2006」を含む複数のワインコンクールで、請求人又は請求人のワインが賞を受賞している(甲5)。
イ 請求人の「FANTINI」ワインについて
(ア)請求人は、「FANTINI」ワインを生産・販売しており、「FANTINI」ワインには、赤ワインでは「Fantini Sangiovese ? Terre di Chieti IGT」、「Fantini Montepulciano D’Abruzzo DOC」、白ワインでは「Fantini Trebbiano D’Abruzzo DOC」、「Fantini Chardonnay ? Terre di Chieti IGTファンティーニ」、「Fantini Fiano ? Terre di Chieti IGT」、「Fantini Pinot Grigio - Terre degli Osci IGP」、「Fantini Cuvee Cococciola」、ロゼワインでは「Fantini Cerasuolo D’Abruzzo DOC」、「Fantini Gran Cuvee Rose」などがあり、これらのワインのラベルには「FANTINI」の文字が大きく表示されている(甲7)。
(イ)甲第20号証は、請求人の主張によると、「FANTINI」ワインに関する取引の一覧表であり、2005年、2006年、2007年の年間売上高は、それぞれ、少なくとも231,852.20ユーロ(約3,175万円)、276,275.20ユーロ(約4,037万円)、72,529.35ユーロ(約1,169万円)である(甲20、甲21)。
また、2015年における「FANTINI」ワインについて、合計販売数量は、5,873,766本であり、請求人のワインの総数(10,571,445本)の55.6%を占めており(甲27)、また、日本への取引量は、「Fantini」が第6位、「Fantini Cuvee」が第2位、「Fantini giro d‘Italia」が第1位で、日本への取引量の合計は、イタリアの各州を合計した取引量よりも多い(甲28)。
(ウ)「FANTINI」ワインは、イギリスのロンドンのインターナショナル・ワイン・チャレンジ(国際ワインコンテスト)(甲10)(毎年4月開催、7月に授賞式)で、2003年大会において、2002年のワイン3種類が以下の賞を受賞した(甲9)。
「FANTINI」ワインのうち、「FANTINI Sangiovese 2002」(ファンティーニ・サンジョヴェーゼ 2002)が銅賞、「FANTINI Montepulciano 2002」(ファンティーニ・モンテプルチャーノ 2002)及び「FANTINI Chardonnay 2002」(フアンティーニ・シャルドネ 2002)が、シール・オブ・アプルーバルを受賞した。
また、「ファンティーニ サンジョヴェーゼ」の2001年のワインは、辛口で知られるルカ マローニにより「最も買うに値するワイン」部門の第2位に選出され、2002年のワインは1,650本の中からベストバリューに選出され、2004年ものは61,152本の中から、ベストバリューの第1位に選出された(甲26)が、これらの賞の受賞年月日は不明である。
さらに、請求人は、近年においても様々な賞を受賞していると主張し、甲第6号証等を提出している。
甲第6号証は、請求人作成の2009年ないし2015年における賞の一覧であるが、「FANTINI」ワインに関するものは、2013年の賞において2012年のワインの受賞及び2014年の賞において2013年のワインの受賞が確認できる。
また、甲第15号証及び甲第16号証は、甲第6号証の賞に関する記事又は賞状であるが、甲第15号証には、2013年の賞において2012年のワイン及び2014年の賞において2013年のワインの受賞、甲第16号証には、2014年の賞において2013年のワイン及び2015年の賞において2014年のワインの受賞が確認できる。
しかしながら、甲第6号証、甲第15号証及び甲第16号証におけるこれらの賞は、いずれも本件商標の出願日より後の2013年ないし2015年における受賞である。
(エ)甲第8号証は、日本籍の自転車ロードレースチーム「ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ」公式ホームページのプリントアウトであり、請求人が近年イタリアを含む欧州で国民的人気を誇るスポーツである自転車ロードレースの日本籍チーム「Vini Fantini-NIPPO-De Rosa」(ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ)のメインスポンサーを務め、チーム名に「Vini Fantini」が冠され、「FANTINI」商標が選手のユニフォーム等に使用されていることが認められる(甲8)。しかしながら、これは、本件商標の出願日より後の2014年である。
(2)以上からすると、請求人は、イタリアのワインの生産会社であり、請求人自身又は請求人の業務に係るワインが多くの賞を受賞していることが認められる。
そして、請求人は、「FANTINI」ワインを生産、販売しており、「FANTINI」ワインは、上記(1)(ウ)のとおり、2003年の国際ワインコンテストにおいて賞を受賞したことが認められる。
しかしながら、本件商標の登録出願日前におけるイタリアを含む外国及び我が国における「FANTINI」ワインの取引量やシェア、「FANTINI」ワインに関する広告宣伝の状況等は不明であるから、本件商標の登録出願日及び登録査定日において、引用商標が請求人の業務に係るワインを表すものとして、イタリアを含む外国及び我が国の需要者の間で広く認識されていたものということができない。
3 請求人と被請求人の取引等について
(1)被請求人は、日本国内における、食品関連商品の輸入及びそれに付帯する諸業務を事業概要とし、フランス、イタリア、スペインなどのヨーロッパの主要ワインを中心にワインを輸入している(甲11)。
(2)被請求人は、請求人から「FANTINI」ワインを直接輸入した(甲12、甲24、甲25)。
ア 2005年8月4日付けで、2002、2003、2004年の「FANTINI」ワインを9,924本輸入。
イ 2006年2月1日付けで、2003年と2004年の「FANTINI」ワインを4,920本輸入。
ウ 2006年10月5日付けで、2005年の「FANTINI」ワインを4,200本輸入。
また、2007年8月28日にも、「FANTINI」ワインを輸入した(甲20の3)。
(3)被請求人は、上記第1のとおり、我が国において、本件商標について、2005年10月7日付けで商標登録出願をし、商標権を取得した。
(4)請求人の商品は、請求人の主張によれば、輸入業者を通じて日本に輸入され、小売業者などに卸され各店舗を通じて、又はインターネット等の通信販売を通じて流通している。
2005年及び2006年における請求人による「FANTINI」ワインの日本への輸出については、被請求人のほか、2005年において、「OKURA FOOD SALES CO.,LTD」(大倉フーズ株式会社)(甲30)へ輸出され(甲29の1)、請求人による大倉フーズ株式会社宛のインボイス(甲31?甲33)の記載から、2005年に「FANTINI」のモンテプルチアーノ・ダブルッツォDOCの2003年ものと2004年ものが輸出されたことが分かる。また、2006年及び2007年においても、「OKURA FOOD SALES CO.,LTD」(大倉フーズ株式会社)へ輸出されている(甲29の2、甲20の3)。
そして、請求人は、「請求人の記録によれば、被請求人は、2005年から2007年には請求人から『FANTINI』ワインを輸入した(甲29の1、甲29の2、甲20号の3)が、それ以降、現在では、被請求人との取引は無い状態であり、被請求人以外の輸入業者を通じて日本で流通している。」と主張している。
(5)被請求人は、「本件商標を継続して使用している。」と主張しているところ、その使用状況の説明及び証拠として、乙第4号証ないし乙第9号証を提出した。
乙第4号証ないし乙第7号証は、2014年(平成26年)10月14日、2015年(平成27年)5月19日、2015年(平成27年)8月17日及び2016年(平成28年)1月19日付けのワインの請求書であって、いずれにも商品名に「ファンテーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」及び「ファンテーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」の記載がある。
そして、被請求人は、上記請求書に記載のワインにはラベルに商標「FANTINI」を表示していると主張して、ワインの写真(乙8号、乙9)を提出しているが、当該写真のワインに貼付されたラベルには「FANTINI」の文字が表示されているのみで他の文字は記載されておらず、ワインの販売者や生産者も不明であるから、当該請求書に記載された「ファンテーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」及び「ファンテーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」と当該写真のワインが同一のものであるということができず、また、これらのみからは、被請求人がワインに本件商標を継続して使用しているということができない。
また、そのほかに本件商標の登録出願日以降における被請求人の本件商標の使用状況を示す証拠の提出はない。
(6)請求人は、上記第2のとおり、商標「FANTINI」について、第33類「Wine.」を指定商品として、日本国を指定して2013年(平成25年)9月24日に国際登録した。この国際登録の基礎登録は、イタリアにおける登録番号1489258、登録日を2013年12月5日とするものであり(甲2)、請求人の主張によると、当該基礎登録の元となった商標登録は、2002年10月18日出願、2006年9月27日登録の第1022566号である(甲23)。
以上のことからすると、請求人は、イタリアにおいて、商標「FANTINI」について、2002年10月18日に出願し、登録を得たといえる。
また、我が国への出願は、2013年(平成25年)9月24日であり、当該出願について、2014年(平成26年)7月3日付けで、本件商標を引用として拒絶理由が通知された。(2014年(平成26年)12月2日付けで本件審判を請求した。)
(7)請求人は、2015年(平成27年)4月9日ないし同年10月20日の間、被請求人に本件商標の譲渡を申し入れた(甲34?甲37)。
請求人は、被請求人からは回答がないと主張しており、他方、被請求人は、何らの連絡も受けていないと主張している。
なお、被請求人の代理人は、請求人代理人へ、2015年4月17日付けのメールで「請求人からのメールを被請求人へ転送した」旨、2015年4月29日付けのメールで「現時点では権利者から回答が無い。意向を権利者に伝える」旨、回答している。
(8)請求人は、上記(7)の譲渡の申し入れのほかに、本件商標に関し、被請求人に対し、何らかの要請等を行ったとする事実は確認できない。
4 本件商標と引用商標との類否及びそれらの指定商品の類否
本件商標は、上記第1のとおり、「FANTINI ファンティーニ」の文字を標準文字で表してなるところ、「FANTINI」と「ファンティーニ」の両文字が一文字程度の間隔を空けて表され、後半部の「ファンティーニ」の文字は前半部の「FANTINI」の文字の読みを表したものと理解させるものであるから、単に「ファンティーニ」の称呼を生じるといえるものであり、また、「FANTINI」の文字は、辞書等に掲載されておらず、一種の造語からなるものといえるから、特定の観念を生じないものである。
一方、引用商標は、上記第2のとおり、「FANTINI」の文字を書してなるものであるから、その構成文字に相応して「ファンティーニ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
してみれば、本件商標と引用商標は、観念については比較することができないとしても、外観において、「FANTINI」の文字部分を共通にする近似した印象を与えるものであり、称呼を共通にするものであるから、これらを総合して考察すると、類似する商標というべきである。
そして、本件商標の指定商品中「洋酒、果実酒、いちご酒、なし酒、ぶどう酒、ワイン、シャンパーニュ地方産の発泡性ぶどう酒、スパークリングワイン、りんご酒」は、引用商標の指定商品「ワイン」と同一又は類似する商品である。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、上記4のとおり、引用商標と類似する商標であって、その指定商品も引用商標の指定商品「ワイン」と同一又は類似するものである。
しかしながら、上記2のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品(ワイン)を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。
そうすると、本件商標は、商標法第4条第1項第19号該当性の要件を欠くものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
6 商標法第4条第1項第7号該当性について
(1)商標法第4条第1項第7号に関する判示
ア 商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は商標登録をすることができないとしているところ、同号は、商標自体の性質に着目したものとなっていること、商標法の目的に反すると考えられる商標の登録については、同法第4条第1項各号に個別に不登録事由が定められていること、商標法においては、商標選択の自由を前提として最先の出願人に登録を認める先願主義の原則が採用されていることを考慮するならば、商標自体に公序良俗違反のない商標が商標法第4条第1項第7号に該当するのは、その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に限られるものというべきである(平成14年(行ケ)第616号)。
イ 同号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは、商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので、特段の事情のある例外的な場合を除くほか、許されないというべきである。そして、特段の事情があるか否かの判断に当たっても、出願人と、本来商標登録を受けるべきと主張する者との関係を検討して、例えば、本来商標登録を受けるべきであると主張する者が、自らすみやかに出願することが可能であったにもかかわらず、出願を怠っていたような場合や、契約等によって他者からの登録出願について適切な措置を採ることができたにもかかわらず、適切な措置を怠っていたような場合は、出願人と本来商標登録を受けるべきと主張する者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は、あくまでも、当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから、そのような場合にまで、「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない(平成19年(行ケ)第10391号)。
(2)上記判決の判示を踏まえて、本件商標の登録が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するかどうかについて、以下検討し、判断する。
被請求人は、上記2及び3のとおり、(a)食品関連商品の輸入を事業概要とし、フランス、イタリア、スペインなどのヨーロッパの主要ワインを中心にワインを輸入していること、(b)2004年には請求人が、また、2003年には請求人の「FANTINI」ワインが賞を受賞したこと、(c)被請求人は、遅くとも2005年8月には請求人の「FANTINI」ワインを輸入していること、(d)上記4のとおり、本件商標は、引用商標と同じ「FANTINI」の文字を含み、類似するものであることからすると、ワインの事情に精通する被請求人は、本件商標の登録出願前に引用商標の存在を知っており、その登録を受けた後も引き続き2007年まで請求人から「FANTINI」ワインを輸入していた状況がうかがえる。
しかしながら、2008年ないし2014年における我が国での請求人の「FANTINI」ワインの販売や広告の状況は不明であって、請求人は、「FANTINI」商標について、イタリアにおいて商標権を取得(2002年10月18日に出願、2006年9月27日に登録)していたものの、我が国への出願は、2013年(平成25年)9月24日であった。
また、請求人は、「被請求人に対し本件商標の商標権の譲渡を要請したが、被請求人は全くこれに応じていない。」と主張しているが、本件商標の商標権の譲渡の要請は、上記5(7)のとおり、2015年(平成27年)4月9日ないし同年10月20日の間であって、本件商標の出願後、おおよそ9年半の後である。そのほかに、請求人が被請求人対して、本件商標に関し、何らかの要請をしたと認めるに足る証拠は無い。
他方、被請求人は、我が国において、「FANTINI ファンテーニ」の文字からなる本件商標を平成17年(2005年)10月7日に登録出願、同18年7月28日に設定登録を受けたが、その後、被請求人の本件商標の使用状況は不明であって、また、被請求人が本件商標の取得を契機として、請求人との交渉の場において有利な立場に立つために利用したとか、同じ製品を輸入販売する競合他社との間において販売を阻止するとかといった何らかの行為をしたと認めるに足る証拠の提出はない。
以上のことを総合して考察すると、被請求人は、本件商標の登録出願前に
引用商標の存在を知り、その上で、本件商標を商標登録出願し、商標権を取得したとしても、そのことのみによっては、当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、その登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当するということはできない。
その他、本件商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に当たるといえる具体的な事情を見いだすこともできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
7 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同項第7号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定によって、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-12-12 
結審通知日 2016-12-14 
審決日 2016-12-28 
出願番号 商願2005-94171(T2005-94171) 
審決分類 T 1 11・ 22- Y (Y33)
T 1 11・ 222- Y (Y33)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 土井 敬子
原田 信彦
登録日 2006-07-28 
登録番号 商標登録第4974148号(T4974148) 
商標の称呼 ファンティーニ、ファンティニ、ファンチニ 
代理人 ▲吉▼川 俊雄 
代理人 松村 修 
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