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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y25
管理番号 1329183 
審判番号 取消2016-300190 
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-03-22 
確定日 2017-05-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第4952447号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第4952447号商標(以下「本件商標」という。)は,「MSR」の欧文字を標準文字で表してなり,平成15年11月28日に登録出願,第3類,第4類,第6類,第11類,第12類,第18類,第20類,第21類,第22類及び第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品並びに第25類「かんじき(登山用特殊靴に類するもの。)」を指定商品として,同18年5月12日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,同28年4月4日にされたものである。
また,本件審判の請求の登録前3年以内の期間である同25年4月4日から同28年4月3日までの期間を,以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は,本件商標を取り消す,審判費用は,被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由として,要旨以下のように述べた。
本件商標は,その指定商品中,第25類「かんじき(登山用特殊靴に類するもの。)」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権又は通常使用権のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を審判事件答弁書において,要旨以下のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標は,本件商標権の通常使用権者と認められる株式会社モチヅキ(以下「モチヅキ」という。)により,その請求に係る指定商品「かんじき(登山用特殊靴に類するもの。)」について,要証期間内に,日本国内において使用されている。
(2)本件商標の指定商品についての使用について
ア 本件商標に関する日本における正規総代理店である,新潟県3条市下須頃323番地に所在するモチヅキの2016年現在のウェブサイト(乙1)によると,「MSR (○の中に「R」の記号(以下「○R」という。))SNOWSHOES」の表示が使用されている。
また,モチヅキが発行している,2016年版の商品カタログの写し(乙2)によると,「MSR ○R スノーシュー」の表示が使用されている。
上記の表示において,「MSR」の後に「○R」の表示がされていることから,「MSR」の部分が登録商標であることが明確に表示されている。
本件商標は,「MSR」の標準文字からなるのに対して,上記の使用に係る商標も,「MSR」という同じ文字からなるものであり,特徴のない同一の書体,かつ,同一の大きさで書してなるものであるから,本件商標と社会通念上同一であり,本件商標の使用に該当する。
また,「MSR」の後に「○R」の表示を付すことで,登録商標である本件商標を使用していることを示している。
一方,上記の表示において,「SNOWSHOES(スノーシュー)」の部分については,その日本語訳は「かんじき」(乙3)であり,そのウェブサイト(乙1)及び商品カタログ(2016年版)の写し(乙2)に掲載されている商品の外観及び特徴からも,雪上を歩行するために使用する登山靴に類するものであることが示されている。
そうすると,当該「SNOWSHOES(スノーシュー)」は,本件審判請求に係る指定商品「かんじき(登山用特殊靴に類するもの。)」に該当する商品である。
したがって,上記の表示は,登録商標である本件商標「MSR」を,本件審判請求に係る指定商品に該当する商品「SNOWSHOES(スノーシュー)」に使用しているという意味を表しているものであると理解できる。
以上のことから,本件商標は,本件商標に関する日本における正規総代理店であるモチヅキにより,本件審判請求に係る指定商品について,要証期間内である2016年に日本で使用(商標法2条3項8号)されている事実が認められる。
イ モチヅキは,本件商標に関する日本における正規総代理店として,本件商標の商標権者から,本件商標「MSR」を使用した商品「SNOWSHOES(スノーシュー)」を,輸入,販売しているものであるが,さらに,日本国内において,他の取扱店舗(乙1)にも販売している。
例えば,モチヅキは,株式会社ICI石井スポーツ(以下「ICI石井スポーツ」という。)に,本件商標「MSR」を使用した商品「SNOWSHOES(スノーシュー)」を販売した事実がある。
モチヅキが,ICI石井スポーツに対して発行した納品書(控)(乙4)によると,品名欄に「MSR ライトニング アッセント」,「MSR REVO アッセント」,「MSR EVO アッセント」の記載がされている。
本件商標「MSR」に係る商品「SNOWSHOES(スノーシュー)」については,その下位のシリーズ名として,「ライトニング アッセント」,「REVO アッセント」,「EVO アッセント」がある(乙1,乙2)。これらの品名欄に記載の商品は,本件商標「MSR」に係る各々のシリーズの「SNOWSHOES(スノーシュー)」であることが理解できる。
また,「22インチ(ブラック)」,「25インチ(ブラック)」,「22女性用(ミント)」,「22インチ(レッド)」,「ストーングレー」の記載もあるが,これらは,SNOWSHOES(スノーシュー)のサイズと色を意味する(乙1,乙2)。
したがって,当該納品書(控)(乙4)に記載の上記の商品は,全てモチヅキのウェブサイト(乙1)及び商品カタログの写し(乙2)に記載されている商品に対応していることがわかる。
また,当該納品書(控)(乙4)の日付は,平成27年11月24日であり,本件審判請求についての要証期間内であることが示されている。
以上のことから,本件商標に関する日本における正規総代理店であるモチヅキが,要証期間内に日本で,本件商標を本件審判請求に係る指定商品に関する取引書類(納品書)に付して頒布(商標法2条3項8号)した事実,及び本件商標を使用した本件審判請求に係る指定商品を販売(商標法2条3項2号)した事実が認められる。
(3)本件商標の商標権者とモチヅキの関係について
ア 本件商標の商標権者であるキャスケイド デザインズ インコーポレイテッドとモチヅキの関係については,株式会社モチヅキのウェブサイト(乙1)における,「保証と修理」のページにおいて,「米国カスケードデザイン社が認定した日本正規総代理店の株式会社モチヅキ」と記載されていること,また,商品カタログ(2016年版)の写し(乙2)の表紙においても,株式会社モチヅキの記載の上に,「カスケードデザイン社 日本総代理店」の記載がされていることから,モチヅキは,本件商標の商標権者の商品に関する,日本における正規の総代理店であることが理解できる。
なお,上記のように,「カスケードデザイン社」と表記されているが,本件商標の商標権者の名称の英語の原文は「Cascade Designs,Inc.」であるところ,その原文を翻訳する際の表記の違いにすぎないものであり,その表記は,本件商標の商標権者であるキャスケイド デザインズ インコーポレイテッドを意味する。
また,モチヅキのウェブサイト(乙1)における,「保証と修理」のページにおいて,「モチヅキの日本語によるユーザー登録はがきが付属していないものは,並行輸入品であり,正規品ではない旨」が記載されていること,また「モチヅキが輸入した商品(正規品)に限り,カスケードデザイン社の限定保証に基づいて,修理または交換を無期限で対応する旨」が記載されていることから,モチヅキが,本件商標の商標権者の商品を,日本に輸入し,販売する際の日本における唯一の正規のルートの窓口として,本件商標の商標権者から,許諾を受けていることが理解できる。
さらには,モチヅキのウェブサイト(乙1)における,「保証と修理」のページにおいて,「2004年より当社(株式会社モチヅキ)がカスケードデザイン・MSR正規代理店となっております。」と記載されていることから,モチヅキは,2004年から,本件商標の商標権者が取り扱う商標「MSR」に係る商品(本件審判請求に係る商品「SNOWSHOES(スノーシュー)」を含む。)を日本に輸入,販売する際の日本における正規の総代理店であることが理解できる。
また,モチヅキのウェブサイト(乙1)における,「著作権について」のページにおいて記載されているように,「米国 Cascade Designs,Inc.の著作権等は,日本国内の使用について,日本総代理店である株式会社モチヅキに帰属」している。
イ 以上のことから総合して,モチヅキは,2004年より,本件商標「MSR」を使用した,本件審判請求に係る商品「SNOWSHOES(スノーシュー)」を,日本に輸入し,販売する際の日本における唯一の正規の窓口として,本件商標の商標権者から許諾を受けていることが理解できる。
言い換えれば,モチヅキは,本件商標の商標権者から,本件商標「MSR」本件審判請求に係る商品「SNOWSHOES(スノーシュー)」について,日本で使用することについて許諾を受けているといえる。
したがって,上述してきたモチヅキによる日本における本件商標の使用は,本件商標権について使用許諾を受けている通常使用権者による使用と認められる。
(4)まとめ
以上のことから,本件商標は,本件商標の商標権者から本件商標の使用許諾を受けており,通常使用権者と認められる,モチヅキにより,指定商品「かんじき(登山用特殊靴に類するもの。)」について,要証期間内に,日本国内において使用されている。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠によれば,以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証について
乙第1号証は,本件商標の使用権者であるモチヅキのウェブサイトであり,1葉目の上部には,「MSR ○R SNOWSHOES」の記載があり,4葉目には,「LIGHTING TM ASCENT\ライトニング アッセント」の見出しの下,「22」,「カラー ブラック」及び「25」,「カラー ブラック」等の記載があり,その右側に,商品の写真があり,その商品のつま先側に白色の「MSR」(以下「使用商標」という。)の文字が表示されている。
また,15葉目には,「保証と修理」の見出しの下,「■並行輸入品について」の項に,「並行輸入品とは,米国カスケードデザイン社が認定した日本正規総代理店の株式会社モチヅキが輸入・販売する商品以外を指します。」の記載がある。
さらに,17葉目には,「著作権について」の見出しの下,「当社サイトに掲載される個々の写真,映像,文章,イラスト,商標,ロゴマーク,商号に関する権利は,当社または当社に使用を認めた権利者に帰属します。・・・(米国Cascade Designs,Inc.の著作権等は,日本国内の使用について,日本総代理店である株式会社モチヅキに帰属しています。)」の記載がある。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は,モチヅキが作成した2016年の商品カタログの写しである。これには,1葉目の左下に,カスケードデザイン社日本総代理店」,その下に「株式会社モチヅキ」の記載があり,右側の写真の中央に,ややレタリングされた白色の「MSR」(使用商標)の表示とともに,「2016 WINTER COLLECTION」の記載がある。
そして,2葉目には,「FEATURES」の見出しの下,「スノーシューサイズの選び方」,「プレイエリア」及び「MSR ○R スノーシューの特徴とアイコン解説」の記載がある。
3葉目には,各商品の仕様が記載されており,その中に「LIGHTING TM SERIES」の見出しの下,商品の写真と共に「モデル/品名」の欄に,「ライトニングアッセント」の記載と商品写真が表示されている商品につき,「品番」の欄に,「40608」,「インチ」の欄に「男性用/22」,「カラー」の欄に「ブラック」と記載されている。
(3)乙第4号証について
乙第4号証は,モチヅキが平成27年11月24日に発行した「納品書(控)」である。これには,右上に,モチヅキの名称,住所及び連絡先が,左上には,「(株)ICI石井スポーツ\EC事業部」の記載があり,下の表には,「コード」,「品名」及び「数量」等の項があり,それぞれに「40608」,「MSR ライトニング アッセント 22インチ(ブラック)」及び「1」等の記載がある。
2 上記1によれば,以下のとおり判断できる。
(1)使用者について
乙第1号証のウェブサイトには,モチヅキが,被請求人の日本総代理店であることが記載され,また,乙第2号証の商品カタログにも,被請求人の日本総代理店であることが明記さていること,また,これらのウェブサイト及び商品カタログには,使用商標が表示されていることからすれば,モチヅキは,被請求人から本件商標について黙示の使用許諾を得た,本件商標の通常使用権者といえるものである。
(2)使用時期について
商品カタログ(乙2)によれば,使用商標を付した当該カタログは,2016年に作成されたことが認められる。
また,コードが「40608」で「MSR ライトニング アッセント 22インチ(ブラック)」を品名とする商品の商品取引においては,「納品書(控)」(乙4)によって,平成27年11月24日にモチヅキが,ICI石井スポーツに,商品を納品したことが認められる。
(3)使用商標について
本件商標及び使用商標は,共に「MSR」の欧文字を横書きしたものである。そして,本件商標と使用商標とを比較すると,両者は,書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であり,称呼も同一の称呼を生ずるものであるから,使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標であると認めることができる。
(4)使用商品について
ウェブサイト(乙1)の4葉目並びに商品パンフレット(乙2)の2葉目及び3葉目には,商品の写真が掲載されているところ,当該ウェブサイト及びカタログに掲載されている商品の外観及び特徴からは,雪上を歩行するために使用する登山靴に類するものであることが認められ,また,乙第1号証の「SNOWSHOES」の欧文字は,「かんじき」の意味を有する語(乙3:新英和中辞典〔株式会社 研究社〕)であるから,使用商品は「かんじき」に類する商品といえないこともない。
してみれば,該商品は,本件審判の請求に係る指定商品「かんじき(登山用特殊靴に類するもの。)」の範ちゅうに含まれる商品とみて差し支えないものである。
(5)小活
上記(1)ないし(4)によれば,本件商標の使用権者は,要証期間内にその請求に係る指定商品「かんじき(登山用特殊靴に類するもの。)」の範ちゅうに含まれる「SNOWSHOES」に係る商品カタログに,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して頒布したと推認することができる。
そして,上記の使用行為は,商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当するものである。
また,本件商標の使用権者は,本件審判請求に係る指定商品「かんじき(登山用特殊靴に類するもの。)」の範ちゅうに含まれる商品「SNOWSHOES」に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付し,それを要証期間内である平成27年11月24日にICI石井スポーツに販売(譲渡)したことが認められる。
そして,上記の使用行為は,商標法第2条第3項第2号にいう「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為」に該当するものである。
3 請求人は,前記第3の被請求人の答弁に対し,何ら弁駁するところがない。
4 まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,通常使用権者が,その請求に係る指定商品「かんじき(登山用特殊靴に類するもの。)」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,その請求に係る指定商品について,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-12-07 
結審通知日 2016-12-09 
審決日 2016-12-21 
出願番号 商願2003-105809(T2003-105809) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y25)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 山田 正樹
榎本 政実
登録日 2006-05-12 
登録番号 商標登録第4952447号(T4952447) 
商標の称呼 エムエスアアル 
代理人 幡 茂良 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 吉田 親司 
代理人 橋本 良樹 
代理人 森 智香子 
代理人 小出 俊實 

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