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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0305
審判 全部申立て  登録を維持 W0305
審判 全部申立て  登録を維持 W0305
管理番号 1328080 
異議申立番号 異議2017-900002 
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-06-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-01-06 
確定日 2017-05-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第5886553号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5886553号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5886553号商標(以下「本件商標」という)は,「RECOVERY TABLET」の欧文字を横書きしてなり,平成28年3月24日に登録出願され,同年8月19日に登録査定,第3類「入浴剤(医療用のものを除く。)」及び第5類「医療用入浴剤」を指定商品として,同年10月7日に設定登録されたものである。

第2 引用標章
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する標章は,申立人が販売する商品「薬用入浴剤,入浴剤」に付している「RECOVERY TABLET」の欧文字(以下「引用標章1」という。)及び「リカバリータブレット」の片仮名(以下「引用標章2」という。)である(以下これらをまとめて「引用標章」という。)。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第15号,同項第7号及び同項第16号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第15号について
(1)商品「スパークリングホットタブ」について
申立人は,平成25年3月15日に「ホットタブ」と「Hot Tab」の文字からなる登録商標(甲2)を取得し,平成24年以来「スパークリングホットタブ」という商品名の重炭酸を使用した入浴剤の製造及び販売を継続している。
そして,申立人が代表を務める(合議体注:「申立人の代表者が代表を務める」と認められる(甲3)。以下同じ。)ホットアルバムコム株式会社(以下「ホットアルバムコム社」という。)は,上記入浴剤を本件商標の登録出願日までに約38万パッケージ(約1.5億錠)販売しており(甲3),「スパークリングホットタブ」は,入浴剤の分野では広く知られた商品となっている。
また,申立人は,「ホットタブ」に関連する登録商標を12件(甲4)以上保有するとともに,商品パンフレット,WEBのホームページ,各種雑誌などで「ホットタブ」,「Hot Tab」の名称を使用し,「スパークリングホットタブ」の宣伝広告を行っている(甲5?甲7)。
さらに,申立人は,重炭酸湯を用いた入浴法について研究を行っており,ホームページにて重炭酸入浴法について解説する(甲6)とともに,重炭酸入浴法の普及活動を行っている。特に,本件商標の出願日より前の平成27年10月21日には,健康入浴指導士セミナーを開催し(甲8),「スパークリングホットタブ」の宣伝広告を行っている。また,該セミナーには多数の関係者が参加しており(甲9),申立人は,重炭酸を使用した入浴剤に関して重要な役割を担っている。
以上より,本件商標の出願日より前において,「ホットタブ」,「Hot Tab」は,申立人が使用している商品の名称として広く知られており,「スパークリングホットタブ」は申立人が製造及び販売する商品として広く知られている。
(2)「ホットタブ」関連商品について
「スパークリングホットタブ」は,疲労回復・リカバリー性があることから,申立人は,アスリートをターゲットとした商品を提案しており,株式会社ゴルフダイジェスト社(以下「ゴルフダイジェスト社」という。)とコラボレーションした商品として引用標章を付した商品を販売している(甲10)。また,ゴルフダイジェスト社とコラボレーションした商品を販売することは,本件商標の出願日より前の平成27年10月21日に開催した健康入浴指導士セミナー(甲8)でも紹介しており,多数の関係者(甲9)に告知している。
引用標章を付した商品のパッケージの表面には,申立人が使用している商品の名称として広く知られた「Hot Tab」を付していること(甲10),パッケージの裏面に,販売名として「スパークリングホットタブ」を表記していること,並びに,製造販売元として,ホットアルバムコム社の名称を付していることから(甲10),ゴルフダイジェスト社が販売する引用標章を付した商品は,申立人が製造販売元の商品であると需要者は認識する。
引用標章を付した商品は,販売実績報告書(甲11)に示すとおり,平成27年11月24日から同28年3月24日までの間に4,950パッケージ(約14万錠)販売している。また,販売総額は1,200万円になる。
本件商標の出願日以前に,アスリートをターゲットとした入浴剤は他になく,シェアはほぼ100%であることから,引用標章を付した商品は,アスリート向けの入浴剤の分野では広く知られた商品となっている。また,ゴルフダイジェスト社は,本件商標の出願日より前の平成27年11月24日及び同年12月1日にそれぞれ発売された週刊ゴルフダイジェスト12月8日号(45号)(発行部数:143,550部)及び12月15日号(46号)の特集記事に引用標章を付した商品を掲載して宣伝広告を行っている(甲12)。
以上のことから,引用標章を付した商品は,申立人が開発した商品であると需要者は認識する。
(3)申立人と本件商標の商標権者の関係について
申立人と本件商標の商標権者(平成28年8月31日に商号変更する前の株式会社ホットタブレット)は,「Hot Tab」関連商品の販売チャンネルとして平成25年6月24日にOEM製造委託基本契約書(甲13)及び個別OEM商品取引覚書(甲14)を交わし,本件商標の商標権者は、申立人が製造及び販売する「Hot Tab」関連商品のOEM販売を行っていた。すなわち,申立人と本件商標の商標権者は,製造販売元と販売元との関係であり,本件商標の商標権者がOEM販売していた「Hot Tab」のパッケージの裏面にその旨が明記されている(甲15)。
(4)本件商標と引用標章との類似性について
本件商標は,「RECOVERY TABLET」であるのに対して,引用標章1は,「RECOVERY TABLET」であり,引用標章2は,「リカバリータブレット」であるから,本件商標と引用標章1とは外観,観念及び称呼のいずれもが同一である。また,本件商標と引用標章2とは観念及び称呼が同一である。
(5)本件商標の指定商品と引用標章を付した商品との関係について
本件商標の指定商品は,「入浴剤(医療用のものを除く。)」と「医療用入浴剤」であるのに対して,引用標章を付した商品は,「薬用入浴剤」若しくは「入浴剤」(甲10,甲12)であり,両者は同一である。
(6)本件商標を指定商品に使用した場合の出所の混同について
上述したように「Hot Tab」は,申立人が使用する商品の名称として広く知られており,引用標章を付した商品は,「Hot Tab」の関連商品である事も広く知られており,さらに,引用標章を付した商品の製造販売元は,申立人が代表を務める会社であることも広く知られている。
したがって,本件商標をその指定商品に使用するときは,申立人の業務に係る商品と出所の混同を生じるおそれがあることは明らかである。
2 商標法第4条第1項第7号について
(1)申立人が本件商標出願よりも前に引用標章を商標として使用することを選択していたこと
前記1(2)に記載のとおり申立人は,アスリートをターゲットとした商品として,ゴルフダイジェスト社とコラボレーションした引用標章を付した商品を販売しているところ(甲10),引用標章を付した商品は本件商標の出願日より前の平成27年10月21日に開催した健康入浴指導士セミナー(甲8)でも紹介しており,本件商標の商標権者である商号変更前の株式会社ホットタブレット及びその代表取締役を含む多数の関係者に告知している(甲9)。
また,引用標章を付した商品は,本件商標の出願日までの間に,ほぼ100%のシェアで多数販売されている(甲11)。さらに,ゴルフダイジェスト社は,本件商標の出願日より前の平成27年11月24日及び同年12月1日にそれぞれ発売された週刊ゴルフダイジェスト12月8日号(第45号)及び同12月15日号(46号)の特集記事に引用標章を付した商品を掲載して宣伝広告を行っている(甲12)。
このように,申立人は,本件商標の出願日よりも前に引用標章を商標として使用することを選択していたものであり,「Hot Tab」と同様にやがて引用標章を商標出願しようとしていたものである。
(2)本件商標と引用標章1とが同一であり,本件商標と引用標章2とが類似すること
前記1(4)に記載のとおり,本件商標と引用標章1とは外観,観念,称呼のいずれもが同一であり,本件商標と引用標章2とは,観念,称呼が同一である。
(3)本件商標の商標権者の不正の目的
本件商標の商標権者は「Recovery Tab」という商品名の商品を販売している(甲18)。本件商標の商標権者は,申立人の商品である「Hot Tab」のOEM販売を行っていた者であり,申立人が引用標章を付した商品の販売を行うことを知っていたものである。本件商標の商標権者は,本件商標出願によって申立人が引用標章を付した商品の販売を阻止し,他方で,申立人によって多数の関係者にその販売が告知され,多数の消費者に宣伝広告がなされた引用標章に同一又は類似の本件商標を用いた商品を販売することにより,申立人の宣伝広告活動による効果にただ乗りして利益を得ようとするものである。
したがって,本件商標の出願は,不正の目的をもって行われたものである。
このことは,本件商標の出願日が申立人が開催した健康入浴指導士セミナーの日(平成27年10月21日)並びに申立人商品の特集記事が掲載された週刊ゴルフダイジェスト12月8日号(45号)及び12月15日号(46号)の発行日(平成27年11月24日及び同年12月1日)よりも後であること,また,本件商標の商標権者が平成27年11月26日に「Recovery Tab」の商標登録出願(甲19)をし,同28年4月6日に通知書(甲20)を送付して,引用標章を付した商品の販売が「Recovery Tab」の商標権の侵害であることを告知し,本件商標についても同様に商標権の侵害であることを告知するであろうことからも明らかである。
(4)本件商標が「公の秩序又は善良な風俗を害するおそれのある商標」に該当すること
本件商標の商標権者は,申立人が引用標章を商標として使用することを選択しており,やがてこれらを商標出願するであろうことを認識しながら,申立人が販売する商品の販売を阻止し,申立人による宣伝広告活動の効果にただ乗りして利益を得ようとする不正な目的をもって剽窃的に本件商標の出願を行ったものである。
このような剽窃的な商標出願は,商標登録出願について先願主義を採用し,また,現に使用していることを要件としていない我が国の法制度を前提としても,健全な法感情に照らし条理上許されないというべきであり,また,商標法の目的にも反し,公正な商標秩序を乱すものというべきであるから,本件商標は「公の秩序又は善良な風俗を害するおそれのある商標」に該当する。
3 商標法第4条第1項第16号について
(1)申立人が販売する商品と本件商標の商標権者が販売する「Recovery Tab」の成分について
申立人が販売する,引用標章を付した商品は,有効成分が炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウム,その他の成分が無水クエン酸,PEG6000,アルカンスルホン酸ナトリウムからなる商品である(甲10)。また,申立人は,「Hot Tab」関連商品の製造方法として,特許を取得しており,製造方法を開示している(甲16,甲17)。
一方,本件商標の商標権者が販売する「Recovery Tab」は,炭酸水素ナトリウム,リンゴ酸,PEG150,炭酸ナトリウム,カプリリルスルホン酸ナトリウムからなる商品である(甲18)。
両者の主な違いは,引用標章を付した商品は,有機酸としてクエン酸を使用しているのに対し,本件商標の商標権者が販売する「Recovery Tab」は,有機酸としてリンゴ酸を使用している。
(2)重炭酸イオンとクエン酸の組み合わせによる効能について
申立人は,ホームページの画面でクエン酸の効能について説明し(甲6),健康入浴指導士セミナーの資料で重炭酸イオンとクエン酸の組み合わせによる抗酸化能について説明しており(甲8),「Hot Tab」関連商品では,重炭酸イオンとクエン酸とを組み合わせることが重要であることを実証している。
(3)効能の表記について
申立人は,本件商標の出願日より前に公表しているパンフレットに,水素イオンと重炭酸イオンとクエン酸のタブレット・トリプルパワーと記載し,水素イオンと重炭酸イオンとクエン酸を円でつないだ図形を表記している(甲5)。
また,ホームページに,重炭酸イオンと水素イオン,クエン酸のトリプル効果と記載している(甲6)。
(4)本件商標を指定商品に使用した場合について
上述のように,「Hot Tab」は,申立人が使用する商品の名称として広く知られており,引用標章を付した商品は,「Hot Tab」の関連商品であることも広く知られており,更に引用標章を付した商品は,重炭酸イオンとクエン酸を組み合わせた商品である。したがって,引用標章に同一又は類似の本件商標を,引用標章を付した商品と成分の異なる商品について使用するときは,商品の品質の誤認を生じるおそれがあることは明らかである。
4 むすび
以上のように,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号,同項第7号及び同項第16号に違反してされたものであるから,取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用標章の周知著名性
ア 申立人の主張及び提出した証拠によれば,以下の事実が認められる。
(ア)申立人及びホットアルバムコム社について
申立人は,入浴剤の製造及び販売を行っている法人であり,2009年より重炭酸ナトリウムとクエン酸を主成分とした入浴剤の販売を行っている(甲5,甲6)。
また,ホットアルバムコム社は,目的に化粧品及び医薬部外品の製造・販売等を挙げている法人であり,同社の代表取締役は,申立人の代表者と同一人である(甲3)ことから、申立人の関連会社と認められる。
(イ)引用標章を付した商品について
引用標章を付した商品の包装には,「薬用 入浴剤(錠剤タイプ)」の表示があり,包装の裏面には,「製造販売元:ホットアルバムコム株式会社」,「発売元:株式会社ゴルフダイジェスト社」の表示がある(甲10)。
(ウ)引用標章を付した商品に係る広告等について
申立人は,「重炭酸協議会健康入浴指導士セミナー」(2015年10月21日)を開催し、そのテキストの38葉目の上段に「アスリートリカバリ商品開発」の見出しの下,「トップアスリート社やゴルフダイジェスト社共同開発」として引用標章を付した商品を掲載している(甲8)。また「倍増施策研究会 代理店会議出席者リスト」によれば上記セミナーの出席者は66名である(出欠欄に○印が記載された者 甲9)。
引用標章を付した商品は,週刊ゴルフダイジェスト12月8日号(No.45)(平成27年11月24日発売)及び同紙12月15日号(No.46)において紹介されている(甲12)。
(エ)引用標章を付した商品の販売数
ゴルフダイジェスト社は,2015年11月24日?2016年3月24日に引用標章を付した商品「RECOVERY TABLET(10錠)40袋入り」を98箱,「同(100錠)10袋入り」を103箱販売し,その販売総額は12,242,880円である(甲11)
イ 上記アによれば,引用標章を付した商品は,本件商標の出願日前の2015年(平成27年)11月より申立人の関連会社ホットアルバムコム社により製造販売され,ゴルフダイジェスト社により発売された。しかしながら,引用標章を付した商品の販売箱数は201箱,販売総額は12,242,880円ほどであるものの,引用標章を付した商品が入浴剤全体の販売量におけるシェアは明らかではない。
なお,申立人は,アスリート向けの入浴剤のシェアは,ほぼ100%である旨主張しているが,入浴剤の需要者を殊更アスリートに限定する理由は見いだせない。
次に,申立人が,商品の発売の約1か月前に開催したセミナーにおいて,配布された資料において引用標章を付した商品を紹介しているものの,その扱いは,資料の1頁に,他の商品と共に紹介しているにすぎなく,同セミナーの出席者もわずか66名にすぎない。
また,引用標章を付した商品についての広告は,商品の発売元であるゴルフダイジェスト社が発行している雑誌,週刊ゴルフダイジェストにわずか2回掲載されたのみである。
そうすると,引用標章が,申立人又はホットアルバムコム社の入浴剤を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,入浴剤を取り扱う分野の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)本件商標と引用標章の類否
本件商標は前記第1のとおり「RECOVERY TABLET」の欧文字を書してなり,一方,引用標章は前記第2のとおり「RECOVERY TABLET」の欧文字(引用標章1)及び「リカバリータブレット」の片仮名(引用標章2)を書してなるところ,本件商標と引用標章1とは,その構成文字を同一とし,引用標章2は,本件商標及び引用標章1の読みを片仮名で表したものと容易に理解できる。
そして,本件商標及び引用標章の構成中の「RECOVERY」及び「リカバリー」の文字は「回復,復旧」等の意味を,「TABLET」及び「タブレット」の文字は「錠剤」等の意味を有するよく知られている語であるから,本件商標及び引用標章は,その構成文字より「回復の錠剤」の観念及び「リカバリータブレット」の称呼を生じるものである。
したがって,本件商標と引用標章とは外観、観念及び称呼において同一又は類似の商標である。
そして,本件商標の指定商品「入浴剤(医療用のものを除く。)」及び「医療用入浴剤」と,引用標章を付した商品「入浴剤,薬用入浴剤」は,同一又は類似の商品である。
(3)出所の混同
前記(1)のとおり,引用標章は,申立人及びホットアルバムコム社の業務に係る入浴剤を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,その取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
そうであれば,前記(2)のとおり,本件商標と引用標章が同一又は類似であるとしても,本件商標に接する取引者,需要者が引用標章を想起又は連想することはないというべきであり,本件商標をその指定商品に使用しても,該商品が申立人及びホットアルバムコム社又はこれと業務上何らかの関係のある者の取扱いに係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生じるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第7号該当性について
(1)申立人の主張及び提出した証拠によれば,以下の事実が認められる
ア 申立人と株式会社ホットタブレット(本件商標の出願の経緯によると,平成28年9月16日付けで株式会社ホットタブレットから株式会社リカバリーマインド(商標権者)へ名称変更がされているため,「株式会社ホットタブレット」についても以下「商標権者」という。)は,平成25年6月24日に「Hot Tab」関連商品についてOEM製造委託基本契約書及び基本契約書を補完する覚書を締結した(甲13,甲14)。
イ 商標権者がOEM販売していると認められる商品「Hot Tab/Sparkling」の包装の裏面には,「製造販売元:ホットアルバムコム株式会社」及び「発売元/株式会社ホットタブレット」の記載がある(甲15)。
ウ 申立人が2015年(平成27年)10月21日に開催した「重炭酸協議会 健康入浴指導士セミナー」の出席者リスト(倍増施策研究会 代理店会議出席者リスト)中には,株式会社ホットタブレット所属の者が参加者氏名欄に記載されている(甲9)。
(2)商標法第4条第1項第7号について
商標法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは,特段の事情のある例外的な場合を除くほか,許されないというべきである。そして,特段の事情があるか否かの判断に当たっても,出願人と,本来商標登録を受けるべきと主張する者との関係を検討して,例えば,本来商標登録を受けるべきであると主張する者が,自らすみやかに出願することが可能であったにもかかわらず,出願を怠っていたような場合や,契約等によって他者からの登録出願について適切な措置を採ることができたにもかかわらず,適切な措置を怠っていたような場合は,出願人と本来商標登録を受けるべきと主張する者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は,あくまでも,当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから,そのような場合にまで,「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない(知財高等裁判所 平成19年(行ケ)第10391号参照)。
(3)これを本件についてみるに,前記(1)によれば,商標権者は,本件商標の出願日の約2年9か月前に,「Hot Tab」と称する入浴剤に関し,申立人との間で,OEM製造委託基本契約書及び基本契約書を補完する覚書を締結していたことから,商標権者と申立人とは商取引上密接な関係を有していたことが認められる。
また,商標権者は,本件商標の出願日に,申立人が開催した「重炭酸協議会 健康入浴指導士セミナー」を通じて,引用標章を付した入浴剤の存在を知り得る状況にあったといえる。
しかしながら,上記の事実があるとしても,本件商標の出願日は,申立人の上記セミナーより約5か月を経過しているものであり,申立人は,引用標章の使用開始にあたって,その標章を自ら登録出願する機会は十分にあったというべきである。
また,本件商標は,一般によく知られた「RECOVERY」及び「TABLET」の平易な英単語の組み合わせからなり,全体から生じる意味合いも「回復の錠剤」ほどのものであるから,本件商標の独創性は高いものとはいえない。
そうすると,本件商標の登録出願が剽窃的といえるなど,当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような事情を認めることはできない。
その他,本件商標が,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると認めるに足る証拠はない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は,前記1(2)のとおり,「回復の錠剤」ほどの意味合いを有するといえるものであるが,これが,本件の指定商品の品質を表示しているものとは直ちにいい難く,また,「RECOVERY TABLET」又は「リカバリータブレット」の文字が,申立人が製造する特定の商品の品質を表しているといえる特段の事情も認められないから,本件商標をその指定商品に使用しても,商品の品質の誤認を生じさせるおそれはない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第1項第7号,同項第15号及び同項第16号のいずれの規定にも違反してされたものでないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-05-12 
出願番号 商願2016-32598(T2016-32598) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W0305)
T 1 651・ 22- Y (W0305)
T 1 651・ 272- Y (W0305)
最終処分 維持 
前審関与審査官 大橋 良成 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 大森 友子
冨澤 武志
登録日 2016-10-07 
登録番号 商標登録第5886553号(T5886553) 
権利者 株式会社リカバリーマインド
商標の称呼 リカバリータブレット、リカバリー、タブレット 
代理人 折坂 茂樹 
代理人 宮本 恵司 
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