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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W03 |
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管理番号 | 1328078 |
異議申立番号 | 異議2016-900393 |
総通号数 | 210 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2017-06-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-12-12 |
確定日 | 2017-05-10 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5884206号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5884206号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5884206号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「CLEAN ORIGINAL」の欧文字を横書きした構成からなり、平成28年2月22日に登録出願され、第3類「室内に香りを拡散させるためのスティック状ディフューザーのついた容器入りの芳香剤,オーデコロン」を指定商品として、同28年9月1日に登録査定、同月23日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものであるから、本件商標登録は商標法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。 1 申立人の所有する登録商標 申立人が所有する登録第5599664号商標(以下「申立人登録商標」という。)は、別掲2のとおり、「CLEAN」の欧文字及び「クリーン」の片仮名を二段に横書きした構成よりなり、平成23年10月27日に登録出願され、第3類に属する「香水」を指定商品として、同25年7月19日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。 2 具体的理由 (1)商標法第4条第1項第10号の拒絶理由について 申立人は、申立人登録商標に類似する標章「CLEAN」又は「クリーン」(以下、それぞれ「『CLEAN』商標」、「『クリーン』商標」といい、また、これらをまとめていうときは「申立人の使用商標」という。)を用いた商品を商品流通市場において繰返し販売することによって、当該申立人の使用商標の周知度は著名といい得る程度に高まっている。 したがって、他人である商標権者(以下「被申立人」という。)が本件商標を使用すれば、申立人の使用商標を使用する申立人の業務に係る商品と混同を生ずるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号により登録を許されるべきではない。 (2)申立人の使用について ア 申立人は、申立人の使用商標を使用した商品を、2009年7月?2010年6月(出荷実施期「19期」)から2016年7月?2016年10月(出荷実施期「26期」)までの7年4ヶ月の間に、42万8,619本を商品流通市場に提供し(甲3)、これにより申立人の使用商標は、一般需要者に著名といって良い程度に周知著名度が高い商標と評価されるまで、受け入れられてきた。 ここで、甲第3号証の使用商品には、「香りを工夫した」「香水類」の商品39万4,097本(甲4)と、「香りを工夫した」「香水以外」の商品3万4,522本(甲5)とが包含されており、申立人は全体としてこれらの「香りを工夫した商品群」について申立人の使用商標を使用したブランド(以下「『CLEAN』ブランド」という。)を構築している。 このようにして、累計42万8,619本の商品が販売できたことは、延べ43万人弱の一般需要者が申立人の使用商標を見て申立人の商品を購入したことを意味し、その結果、申立人の使用商標が一般需要者に著名になっているとともに、引き続き今後も著名性が拡大して行く傾向にある。 ちなみに、商品「香水」の商品市場においては、1つのブランド名について年間に3万本も売れれば、成功といわれるのが一般的な評価であり、したがって、発売当初の「19期」には「3,472本」であったが、その後「20期」から「25期」までは年間に5万本を超えて、8万8,000本?6万1,000本余りの販売実績を得ているところから(甲3)、一般需要者に対する周知著名性が高いものである。 このように、申立人の使用商標の著名性は、将来に向かって拡大して行きつつあり、これに伴い申立人の使用商標に基づく申立人の「CLEAN」ブランドが、「香水類」の商品を中心として「香水以外」の商品を含む『香りを工夫した商品群』について拡張している。 イ 申立人は、甲第3号証の使用商品については、商品紹介記事を各種ファッション雑誌に掲載する(甲6)とともに、インターネットの商品紹介サイトに商品紹介ページを掲載している(甲8)。 甲第6号証は掲載記事発売事実に通し番号を付して一覧表示しており、その各掲載内容は、甲第7号証の掲載記事発表ごと通し番号とともに示している。 また、甲第8号証はWEB掲載事実に通し番号を付して一覧表示しており、その各掲載内容は、甲第9号証の掲載ページごと通し番号とともに示している。 このように申立人は、発売した「CLEAN」商品について、雑誌及びWEBにおいて商品の内容を一般需要者に周知させる努力を繰返し行っていることに基づいて申立人の使用商標の周知拡大を得ている。 (3)本件商標との類似性について ア 本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして一般需要者の間に広く認識されている申立人の使用商標と区別できないものである。 イ 商標構成上の類似性 本件商標は、2つの要部「CLEAN」及び「ORIGINAL」を有するが、「ORIGINAL」の語の部分は「オリジナル」の称呼によって一般に普通に用いられている用語であるといい得ると共に、その意味は特に特異性がない「最初の、初期の、原型の」であることは一般需要者に周知である。 したがって本件商標の一部にこの語「ORIGINAL」が用いられていても、自他商品識別標識である本件商標が特異な識別機能をもつことになるとはいい得ないから、本件商標の識別機能は「CLEAN」の語の部分から生ずると考えられる。 しかしながら、「CLEAN」の語をもつ申立人登録商標に類似する「CLEAN」商標又は「クリーン」商標が、申立人によって「香水」及びこれに類似性が近い商品「リードディフューザー」や「オーデコロン」商品に使用された結果著名になるに至っている現状から考えると、商品流通経路において、本件商標の要部「CLEAN」の識別機能によって本件商標が申立人の使用商標と区別がつく状態にはなっていない。 ウ 指定商品との類似性 本件商標は「室内に香りを拡散させるためのスティック状ディフューザーのついた容器入りの芳香剤」(以下「ディフューザー商品」という。)及び「オーデコロン」を指定商品としているが、この指定商品はいずれも、「香りに特異性をもたせた商品」である点において、以下に述べるように、申立人の使用商標が使用されている「香水類」の商品(甲4)及び「香水以外」の商品(甲5)と極めて近似した類似商品であるから、被申立人が当該指定商品を使用したときには、一般需要者は、申立人が使用している商品と区別がつかない。 (ア)指定商品「オーデコロン」について 「オーデコロン」商品を商品化するにあたって、化粧品の業界団体である「化粧品公正取引協議会」では、「種類別名称」を表示する義務を定めているとともに、「オーデコロン」の「種類別名称」は、「香水・オーデコロン」という1つの区分に「香水」と一緒に括られているところからみて、当該業界の基準では「オーデコロン」と「香水」は極く近似した商品であるとして取り扱われている(甲10、甲11)。 したがって被申立人が、商品「香水」と極く近似した指定商品「オーデコロン」に本件商標を使用すれば、甲第4号証において使用されている「CLEAN」商標と混同を生ずる蓋然性が極めて大きく、よって当該指定商品「オーデコロン」は、「CLEAN」商標が使用されている商品「香水」に対して商標法第4条第1項第10号における「類似する商品」に該当するといって良い。 (イ)指定商品「室内に香りを拡散させるためのスティック状ディフューザーのついた容器入りの芳香剤」について (a)申立人は、「リードディフューザー」商品について「CLEAN」商標を使用しており、これにより「リードディフューザー」商品を「CLEAN」ブランドに包含される商品として一般需要者に提供している(甲7)。 したがって、被申立人が指定商品である「リードディフューザー」に申立人の「CLEAN」商標に類似する本件商標を使用すれば、出所混同を生じさせる蓋然性が極めて大きいから、本件商標の指定商品である「ディフューザー」は、商標法第4条第1項第10号における「類似する商品」に該当することは明らかである。 (b)申立人の「CLEAN」商標を使用した商品の商品紹介記事と同じページに、申立人以外の他人の紹介記事として「リードディフューザー」商品が紹介されており、このことは、申立人の「CLEAN」商標を使用した商品と、「リードディフューザー」商品とは需要者が共通であることを表している(甲7)。 したがって、当該他人の「ディフューザー商品」について、本件商標が使用されれば、申立人の「CLEAN」商標と類似しているので、当該掲載ページを見た一般需要者は、当該他人の「デュフューザー商品」が申立人の商品であると認識する蓋然性が極めて大きい。 このように、申立人の「CLEAN」商標を使用した商品「香水」と、本件商標を使用した「ディフューザー商品」とは、共通の需要者を持つ近似した商品であるから、両商品は商標法第4条第1項第10号における「類似する商品」に該当する。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標は、申立人の業務に係る「香水類」の商品及び「香水以外」の商品を表示するものとして一般需要者の間に広く認識されている「CLEAN」商標と類似する商標であって、当該「香水類」の商品及び「香水以外」の商品と類似する商品「室内に香りを拡散させるためのスティック状ディフューザーのついた容器入りの芳香剤」及び「オーデコロン」に使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当し、よって本件商標の登録は、同法第43条の2第1号にしたがって取り消されるべきである。 第3 当審の判断 申立人は、申立人の使用商標は、申立人の業務に係る「香水類」商品及び「香水以外」商品(以下「申立人の使用商品」という。)を表示するものとして、一般需要者の間に広く認識されていると主張し、甲第3号証ないし甲第11号証を提出しているので、以下検討する。 1 申立人提出の甲各号証について 申立人の使用商標が使用された申立人の使用商品の販売本数は、2009年7月?2016年10月までの7年4ヶ月間に42万8,619本であるとして甲第3号証ないし甲第5号証を提示しているが、当該資料には、作成者等の記載がなく、その数値の根拠となる資料の提示もない。加えて、かかる商品の我が国における市場規模がどの程度なのか、該販売本数がどの程度のシェアを占めることになるのか等、その数値の多寡を推し量り評価すべき根拠となる数値は何ら示されていない。 また、甲第6号証及び甲第7号証は、雑誌掲載実績及び雑誌のページ掲載内容であるが、証拠書類(雑誌(抜粋)の写し)は、不鮮明で内容が判読できないもの、申立人の使用商標にかかる商品だけでなく、他社の商品とともに小さく掲載されているものが大部分であり、かつ、それら雑誌の発行部数や発行(配布)範囲が明らかではなく、当該雑誌には一般に広く知られているものとはいえないものも相当数含まれているものである。 さらに、甲第8号証及び甲第9号証は、WEBの掲載実績及びWEBの掲載内容であるところ、ウェブサイトは、関心のある者が自らアクセスしない限り入手できない情報であるから、一般的な消費者が情報を得る媒体とは必ずしもいえないものであり、掲載期間中に閲覧した者が相当多数あったと認めるに足りる証拠の提出もない。 2 申立人の使用商標の周知性 以上のことからすれば、申立人の使用商標は、甲各号証のみによっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の使用商品を表示するものとして、取引者及び需要者の間に広く認識されて、周知著名となっていたということはできないものである。 3 本件商標と申立人の使用商標との類否 本件商標は、別掲1のとおり、「CLEAN ORIGINAL」の欧文字を手書き風の書体で横書きしてなるところ、これを構成する「CLEAN」と「ORIGINAL」の両文字は、同じ大きさ、同じ書体で表され、両文字間に多少の間隔があるとしても全体的には等間隔でまとまりよく一体的に表されているものであって、該構成文字全体から生じると認められる「クリーンオリジナル」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。 また、本件商標の構成中の「CLEAN」の文字部分は、「きれいなさま。清潔なさま」等の意味を有し、「ORIGINAL」の文字部分は、「独創的。特有の」等の意味を有する語であり、いずれの語も我が国において親しまれて使用されている平易な言葉といえるから、両文字部分は、本件商標に接する者をして、そのいずれか一方が強く印象づけられるとはいい難く、特に軽重の差があるとはいえないものである。 そして、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者が、その構成中の「CLEAN」の文字部分と「ORIGINAL」の文字部分とを分離し、前半の「CLEAN」の文字部分のみを抽出して観察するとみるべき合理的な理由は見いだせない。 してみれば、本件商標は、「ORIGINAL」の部分が商品の品質を表示したものとして認識されるというよりは、その構成全体をもって、一体不可分の造語を表したものと認識されるとみるのが相当であるから、その構成文字に相応して、「クリーンオリジナル」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。 他方、申立人の使用商標は、欧文字の「CLEAN」又は片仮名の「クリーン」からなり、これらは、いずれも「クリーン」の称呼を生じ、「きれいなさま。清潔なさま」等の観念を生じるものである。 そうすると、本件商標と申立人の使用商標とは、それぞれ上記のとおりの構成からなるものであって、外観において明らかに区別し得るものであるから、相紛れるおそれはない。 また、本件商標から生じる「クリーンオリジナル」の称呼と申立人の使用商標「CLEAN」又は「クリーン」から生じる「クリーン」の称呼とは、その音構成及び構成音数に明らかな差異を有するものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、称呼上相紛れるおそれはない。 さらに、本件商標からは、特定の観念を生じないから、本件商標と申立人の使用商標「CLEAN」又は「クリーン」とは、観念上相紛れるおそれはない。 以上からすると、本件商標と申立人の使用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 4 商標法第4条第1項第10号該当性について 申立人提出の甲各号証によっては、上記2のとおり、申立人の使用商標が本件商標の登録出願の日前から、申立人の使用商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っていた商標ということができないものであり、また、本件商標と申立人の使用商標とは、上記3のとおり、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものとはいえない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものとする。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標) 別掲2(申立人登録商標) |
異議決定日 | 2017-04-26 |
出願番号 | 商願2016-18365(T2016-18365) |
審決分類 |
T
1
651・
25-
Y
(W03)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 大橋 良成 |
特許庁審判長 |
青木 博文 |
特許庁審判官 |
原田 信彦 小松 里美 |
登録日 | 2016-09-23 |
登録番号 | 商標登録第5884206号(T5884206) |
権利者 | 株式会社FRAGRANCY |
商標の称呼 | クリーンオリジナル、オリジナル |
代理人 | 田辺 恵基 |