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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0104
審判 全部申立て  登録を維持 W0104
審判 全部申立て  登録を維持 W0104
審判 全部申立て  登録を維持 W0104
審判 全部申立て  登録を維持 W0104
管理番号 1328071 
異議申立番号 異議2016-900340 
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-06-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-10-17 
確定日 2017-05-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5876450号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5876450号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5876450号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成28年2月15日に登録出願、第1類「自動車用不凍液,その他の化学品,塗装用パテ,非鉄金属,非金属鉱物,工業用粉類,原料プラスチック,パルプ」、第4類「工業用油,工業用油脂,固形潤滑剤,固体燃料,液体燃料,気体燃料,ランプ用灯しん」並びに第7類、第9類及び第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年7月27日に登録査定、同年8月26日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立ての理由に引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第463852号商標(以下「引用商標1」という。)は、「TOTAL」の欧文字を横書きしてなり、昭和29年6月14日に登録出願、第55類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同30年3月31日に設定登録され、その後、平成18年8月23日に指定商品を第4類「石油,工業用グリース,ろう,ろうそく」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第527037号商標(以下「引用商標2」という。)は、「TOTAL」の欧文字を横書きしてなり、昭和29年6月14日に登録出願、第70類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同33年9月16日に設定登録され、その後、平成22年3月17日に指定商品を第1類「アスフアルト・コールタール・ピツチ・天然及び人造ゴムを主材として成る道路舗設用固着剤・接合接着剤」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(3)登録第1367054号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲2のとおり、「TOTAL」の欧文字を横書きしてなり、1973年(昭和48年)4月25日にフランス共和国においてした商標の登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、昭和48年6月4日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同53年12月22日に設定登録され、その後、平成21年12月16日に指定商品を第1類「化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(4)登録第1394455号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲2のとおり、「TOTAL」の欧文字を横書きしてなり、1973年(昭和48年)4月25日にフランス共和国においてした商標の登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、昭和48年6月4日に登録出願、第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同54年9月28日に設定登録され、その後、平成22年2月10日に指定商品を第4類「燃料,工業用油,工業用油脂,ろう」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(5)国際登録第813234号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、2003年4月17日にFranceにおいてした商標の登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2003年(平成15年)9月2日に国際商標登録出願、第1類「Chemicals used in industry, science, agriculture, horticulture, forestry and aquaculture; unprocessed plastics in all forms; rubber in liquid form; artificial and synthetic resins; polymers used in industry; adhesive substances for industrial use; chemical additives for carburants, fuels and lubricants; drilling muds and chemical additives for drilling muds; chemical additives and admixtures for insecticides, herbicides and fungicides; solvents; antifreeze; fluid for hydraulic and transmission circuits; brake fluid; materials for absorbing petroleum, oils and greases; dispersants for petroleum.」、第4類「Petroleum (crude or refined), petroleum jelly for industrial purposes; solid, liquid and gaseous fuels; carburants; gas and liquefied petroleum gas; lubricants; industrial oils and greases; paraffins and waxes; lighting fuel; non-chemical additives for carburants, fuels and lubricants.」並びに第5類、第17類、第19類、第35類、第37類、第39類、第40類、第42類及び第43類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成17年8月12日に日本国において設定登録されたものである。
(6)国際登録第1281270号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲4のとおりの構成よりなり、2015年5月7日にFranceにおいてした商標の登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2015年10月22日に国際商標登録出願、第4類「Petroleum (crude or refined); liquid, solid and gaseous fuels; biomass-based fuels; carburants; gas and liquefied petroleum gas; lubricants; industrial oils and greases; petrochemical products and derivatives thereof.」並びに第39類及び第40類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成29年1月6日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1ないし6をまとめていうときは、「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであり、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、その証拠方法として甲第1号証ないし甲第61号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 商標の類似性
本件商標は、その構成中の「TOTACHI」の文字に相応して、「トタチ」の称呼が生ずるが、特定の観念を有しないものである(甲1)。
一方、引用商標は、「TOTAL」の文字からなる、又は、「TOTAL」の文字を含む構成よりなるものであり、「TOTAL」の文字は、「合計・全体の」を意味するものであるが、石油・化学品の分野において、トタル・グループの略称・ハウスマークを表示するものとして著名であるから、「トタル」の称呼を生じ、トタル・グループを表示する商標としての観念を生ずるものである(甲2?甲7)。
そこで、両商標を対比すると、本件商標と引用商標は、「TOTA」の文字・色彩を共通にするばかりでなく、その書体(特に、引用商標5及び6)において共通の印象を与え、加えて、本件商標と引用商標6は、円図形の横に文字を組み合わせた構成態様においても共通するから、外観上互いに近似した印象を与える。
また、本件商標より生ずる「トタチ」の称呼と引用商標より生ずる「トタル」の称呼は、聴取され難い語尾において「チ」と「ル」の音の差異を有するにすぎないから、称呼上互いに紛れるおそれがある。
さらに、引用商標は、トタル・グループを表示する商標としての観念が生ずるが、本件商標は特定の意味合いを有しない造語であるため、観念は比較することができない。
イ 商品の類似性
本件商標の指定商品中の第1類「自動車用不凍液,その他の化学品,塗装用パテ,非鉄金属,非金属鉱物,工業用粉類,原料プラスチック,パルプ」及び第4類「工業用油,工業用油脂,固形潤滑剤,固体燃料,液体燃料,気体燃料,ランプ用灯しん」の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である(甲1?甲8)。
ウ 取引の実情
本件商標の構成中「TOTACHI」の文字は、「TOTAL」と語頭の「TOTA」の4文字が共通するものであるが、多数の商品・役務を展開する企業の中には、自社のブランド商品・役務であることを暗示させるべく、商品名・サービス名に社名の一部を冠する実情があるから、本件商標の「TOTACHI」は、その色彩や書体といった構成要素とあいまって、周知著名商標「TOTAL」と共通する「TOTA」部分が、取引専門者及び需要者の注意を強く引くものであり、本件商標の付された商品を、トタル・グループの出所に係るものであると誤信してしまう可能性がある(甲9?甲25)。
エ したがって、本件商標は、引用商標とは、外観及び称呼において類似する商標であって、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品に使用されるものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
ア 「TOTAL」商標の周知著名性
申立人の「TOTAL」商標は、石油・化学品に関連する分野において周知著名であり、現在はもちろんのこと、本件商標の出願時である2016年2月15日には、申立人の商標として広く認識されるに至っていたものである(甲28?甲55)。
イ 「TOTAL」がハウスマークであること
「TOTAL」商標は、特定の商品のみに使用されているペットネームではなく、営業主自体を表示するいわゆるハウスマークとして使用され続けてきたものであり、その混同を生ずる範囲は一般的に広いものと解されるべきである。
ウ 商標の類似性
本件商標と申立人が引用商標との類似性については、商標法第4条第1項第11号の主張の中で既に考察したとおり、「TOTAL」商標の周知著名性に照らせば、両商標は類似し、出所混同のおそれが認められるものである。
エ 商品間の性質、用途又は目的における関連性及び商品等の取引者及び需要者の共通性
本件商標の指定商品に含まれる「化学品,液体燃料,気体燃料,工業用油」は、トタル・グループが長年にわたり世界中で扱っている商品そのものである。また、それ以外の第1類及び第4類の商品に関しても、トタル・グループの提供に係る業務が、石油・ガス探鉱開発・生産、天然ガス供給、化学製品の製造、太陽発電、ソーラパネルと潤滑油の販売など多岐にわたる事業を行っており、その潤滑油が化学・エネルギー・鉄鋼・金属加工・自動車・機器装置製造・セメント・建築・製紙・食品加工・繊維など広範囲の工業分野に用いられていることを考慮すれば、トタル・グループの業務と取引者及び需要者層・流通経路等について高い共通性を有していることは明らかである(甲56)。
オ その他取引の実情
多数の商品を展開する企業は、自社のブランド商品であることを暗示させるべく、商品名に社名の略称を冠する実情がある。本件商標中の「TOTACHI」は、「TOTA」の語を冠した商標であり、トタル・グループと組織的・経済的に何らかの関係性があると誤認させるおそれがあるといえ、また、本件商標の商標権者(以下、単に「商標権者」という。)は、本件商標を商品パーケージの上部にトタル・グループのコーポレートカラーである赤色の背景に白抜きで使用し、申立人商品と酷似するオイル缶を採用するなど、申立人と極めて近似した印象を与える態様で使用していることから、こうした態様で本件商標が指定商品に使用されれば、当該商品はあたかも申立人の業務に係る商品であるかのごとく商品の出所を誤認混同させるおそれがある(甲57、甲58)。
カ したがって、本件商標は、申立人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(3)商標法第4条第1項第19号の該当性について
本件商標は、石油・化学品関連分野において著名な「TOTAL」商標と類似するものである。
申立人は、2013年以降、複数回にわたり、商標権者に対し、商標の使用態様の変更の申入れをし、2016年2月8日付けで、商標権者から使用態様の変更等について検討する旨の回答を得たところ、本件商標は、その回答の7日後に登録出願されたものである(甲60、甲61)。
上記事情に照らすと、商標権者は、申立人のハウスマークを認識し、その顧客吸引力にフリーライドする目的で、又は、有利な条件での取引を引き出す目的で、これに類似する本件商標を登録出願したことは明らかであり、本件商標は、不正の目的をもって使用する商標というべきである。
したがって、本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている申立人商標と類似であり、また、不正の目的をもって使用をするものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)引用商標の著名性について
ア 申立人の提出した証拠によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)申立人は、2006年(平成18年)頃から2009年(平成21年)頃にかけて、「MotorMagazine」、「PEUGEOT(モーターマガジン別冊)」、「CITROEN(「E」にウムラウトが付されている。:モーターマガジン別冊)」、「rally GRAFFITI」、「インポート・カー スタイル」、「J’s Tipo」などのモータースポーツ関連の雑誌に、「トタルはプジョー、シトロエンが指定するエンジンオイル」、「TOTAL(トタル)はフランス、ヨーロッパを代表する世界第四位の石油メジャーです。先進技術と高品質をキーコンセプトにした潤滑油は、WRCをはじめとするモータースポーツからのフィードバックはもちろん、プジョーの市販車用エンジンの開発段階からも使用されています。」、「TOTAL/厳しいシトロエン規格をクリアしたハイクオリティ・オイル。」、「プジョーとトタル。/プジョーの純正指定オイルといえば、トタル。」などの語句とともに、引用商標5と色彩を同一にすれば同一と認め得る態様の商標(以下「使用商標」という。)を表示して、「エンジンオイル」の広告をしたこと(甲40)、また、申立人は、「潤滑剤銘柄便覧」(株式会社潤滑通信社発行)の2006年(平成18年)版及び2008年(平成20年)版に、「トタルはプジョーが指定するエンジンオイルです。」などの語句とともに使用商標を表示して、「エンジンオイル」の広告をしたこと(甲41)、さらに、申立人は、2015年(平成27年)頃より、オートバイのMOTO GPのスポンサーをしていることを認めることができる(甲50、甲51)。
(イ)また、申立人は、引用商標の著名性を立証するために、前記(ア)の証拠以外の証拠として、種々のウェブサイトの抜粋、カタログ、会社案内等を提出しているが、これらの証拠のほとんどのものは、掲載日又は作成日が明らかではなく、これらの証拠からは、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点における引用商標の著名性を認定することはできない。
イ 前記アで認定した事実によれば、申立人は、申立人の業務に係る商品「エンジンオイル」を表示するものとして、本件商標の登録出願日の相当前である2006年(平成18年)頃から2009年(平成21年)頃にかけて発行されたモータースポーツ関連の雑誌や「潤滑剤銘柄便覧」に引用商標を広告に使用したことが認められるにすぎず、これらの広告にしても、その購読者は、かなり限定されているものと考えられる。その他、申立人が、その業務に係る商品「エンジンオイル」をはじめとする石油・化学品関連の商品に引用商標を表示して、本件商標の登録出願前に、その取引者・需要者に向け、各種メディアを通じて積極的に広告をしたという事実を明らかにする証拠は見いだせない。さらに、例えば、申立人の業務に係る商品「エンジンオイル」について、本件商標の登録出願前までの我が国における販売数量、売上高、シェア等引用商標の著名性を基礎付けるに足りる証拠の提出がない。
ウ しかも、引用商標を構成する「TOTAL」の欧文字は、「全部の、全体的な」を意味し、我が国では「トータル」と読まれる英語として広く親しまれているものであり、造語よりなる商標と異なり、その独創性の程度は高いとはいえない。
エ 以上を総合的に勘案すると、引用商標は、本件商標の登録出願日及び登録査定日(平成28年7月27日)の時点において、「トタル」と称呼されて、申立人の業務に係る石油・化学品関連の商品を表示するものとして、また、石油・化学品関連の商品の製造・販売等を展開する事業者(申立人)のハウスマークとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたということはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、赤色で表した図形と文字とを組み合わせてなるものであるところ、その構成中の図形部分(以下「本件図形」という。)は、下部に行くに従いやや太い線で表した円輪郭とその内部に曲線や直線をランダムに配した抽象的な図形であって、これよりは特定の称呼・観念が生ずるものではない。また、本件図形のすぐ右に横書きにした「TOTACHI」の文字部分は、同一の書体をもって、同一の大きさ・間隔・色彩で外観上まとまりよく表されているものである。そして、本件商標に接する取引者、需要者は、称呼しやすい「TOTACHI」の文字部分を捉えて、これより生ずる称呼をもって商品の取引に当たる場合が多いとみられるところ、該文字は、我が国で親しまれている既成語や外国語を想起させるものではないから、これをローマ字読みにして「トタチ」と称呼するものとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成中の「TOTACHI」の文字部分に相応して、「トタチ」の称呼を生ずるものであって、該文字は、特定の観念を有しない造語よりなるものということができる。
イ 引用商標
(ア)引用商標1及び2は、前記2(1)及び(2)のとおり、「TOTAL」の欧文字を横書きしてなるものであるところ、該文字は、「トータル」と発音し、「合計、総額」等を意味する英単語として、我が国の一般の取引者、需要者の間に広く知られているものである。
してみると、引用商標1及び2は、その構成文字に相応して、「トータル」の称呼及び「合計、総額」等の観念を生ずる。
(イ)引用商標3及び4は、別掲2のとおり、赤色で表した「TOTAL」の欧文字を横書きしてなるものであるから、引用商標1及び2と同様に、その構成文字に相応して、「トータル」の称呼及び「合計、総額」等の観念を生ずる。
(ウ)引用商標5は、別掲3のとおり、両端が細く尖り中間部が幅広で、かつ、赤色、青色、橙色等の色彩を有する3本の帯状図形をそれぞれ交差させて形成した球体状の図形(以下「引用図形」という。)とその下に赤色で表した「TOTAL」の欧文字(語頭の「T」の文字は他の文字に比べやや大きく表してなる。)を横書きにしてなるものであるところ、その構成中の引用図形は、大きく表され、商標中看者の注意を強く引く部分であるといえるが、特定の称呼・観念を生ずるものではない。そうすると、引用商標5に接する取引者、需要者は、称呼しやすい「TOTAL」の文字部分を捉えて商品又は役務の取引に当たるとみるのが相当であるから、これより「トータル」の称呼及び「合計、総額」等の観念を生ずる。
(エ)引用商標6は、別掲4のとおり、引用図形とその右に赤色で表した「TOTAL」の欧文字(語頭の「T」の文字は他の文字に比べやや大きく表してなる。)を横書きにし、該文字の下に灰色で表した「COMMITTED TO BETTER ENERGY」の欧文字を小さく横書きにしてなるものであるところ、その構成中の引用図形は、大きく表され、商標中看者の注意を強く引く部分であるといえるが、特定の称呼・観念を生ずるものではない。また、「COMMITTED TO BETTER ENERGY」の文字部分も、小さく表してなることに加え、「よりよいエネルギーに専心する」程度の意味合いを理解させるものであるから、自他商品・自他役務の識別機能を有しない部分といえる。そうすると、引用商標6に接する取引者、需要者は、称呼しやすい「TOTAL」の文字部分を捉えて商品又は役務の取引に当たるとみるのが相当であるから、これより「トータル」の称呼及び「合計、総額」等の観念を生ずる。
(オ)以上によれば、引用商標は、いずれも「トータル」の称呼及び「合計、総額」等の観念を生ずるものである。
ウ 本件商標と引用商標との対比
(ア)外観
本件商標は、別掲1のとおり、本件図形と「TOTACHI」の文字との組合せよりなるものであって、これらは、特に間隔をあけて配されているものではなく、また、同一の色彩をもって表されているところから、外観上一体のものとして看取され得るものである。
これに対し、引用商標1及び2は、前記2(1)及び(2)のとおり、「TOTAL」の欧文字を横書きしてなるものであり、引用商標3及び4は、別掲2のとおり、赤色で「TOTAL」の欧文字を横書きしてなるものであり、また、引用商標5及び6は、別掲3及び4のとおり、看者の注意を強く引く引用図形と「TOTAL」の欧文字を要部とするものである。
してみると、本件商標と引用商標は、外観において明らかに区別し得る差異を有するものであるから、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上互いに紛れるおそれはないものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観上類似するものではない。
(イ)称呼
本件商標より生ずる「トタチ」の称呼と引用商標より生ずる「トータル」の称呼は、前者が3音、後者が4音と構成する音数が異なる上に、称呼における識別上最も重要な要素を占める語頭音「ト」において長音を伴うか否かの差異を有するばかりでなく、末尾音において、発音の方法、音質、音調等が著しく異なる「チ」と「ル」の音の差異を有するものであるから、これらの差異音が比較的短い音構成よりなる両称呼全体に及ぼす影響は極めて大きく、それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても、称呼全体の語調、語感が明瞭に異なり、称呼上互いに紛れるおそれはないものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼上類似するものではない。
(ウ)観念
本件商標は、構成全体として特定の観念を有しない商標であるから、引用商標とは、観念上比較することができない。
したがって、本件商標と引用商標とは、観念上類似するものではない。
(エ)以上によれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 申立人の主張について
(ア)申立人は、引用商標について、「トタル」の称呼を生ずるものであって、石油・化学品の分野において、トタル・グループの略称・ハウスマークを表示するものとして著名であるから、トタル・グループを表示する商標としての観念を生ずる旨主張する。
しかしながら、「TOTAL」の語は、前記(2)イのとおり、「トータル」と発音し、「合計、総額」等を意味する英単語として、石油・化学品関連分野の需要者を含む我が国の需要者の間に広く知られているものである。一方、申立人が提出した証拠から、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、引用商標が、「トタル」と称呼され、申立人の業務に係る石油・化学品関連の商品を表示するものとして、また、申立人のハウスマークとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたということができないことは、前記(1)のとおりである。したがって、引用商標から「トタル」の称呼及びトタル・グループを表示する商標としての観念が生ずるとはいえないから、上記に関する申立人の主張は理由がない。
(イ)申立人は、本件商標と引用商標の外観及び称呼について、色彩及び「TOTA」の文字を共通にするばかりでなく、その書体(特に、引用商標5及び6)において類似し、また、本件商標より生ずる「トタチ」の称呼と引用商標より生ずる「トタル」の称呼は、「チ」と「ル」の音の差異を有するにすぎないから、互いに紛れるおそれがある旨主張する。
しかしながら、本件商標は、前記(2)アのとおり、本件図形と文字とが外観上一体のものとして看取されるばかりでなく、その構成中の文字部分のみをとって考察した場合においても、該文字は、同一の書体をもって、同一の大きさ・間隔・色彩で表してなるものであり、そのうちの「TOTA」の文字部分のみが独立して把握・認識される態様のものではない。また、一般的にみて、赤色で表された商標が格別特徴的なものとはいえないし、本件商標と引用商標の文字の書体は、いずれも格別顕著なものとはいえず、ありふれた書体の部類に属するものといえるから、本件商標の文字部分が、引用商標ないしその文字部分(正確には引用商標3?6)と色彩を共通にし、書体において近似するとしても、これらは、通常採択され得る色彩・書体からなるものであり、このようなありふれた部分に関する共通点をもって本件商標と引用商標とが外観上類似する商標ということはできない。むしろ本件商標中の文字部分と引用商標(又はその文字部分)との末尾部分における「CHI」の文字と「L」の文字の顕著な相違点が、看者に全く異なる商標として強く印象付けられるというべきである。してみると、本件商標と引用商標とが、外観上互いに紛れるおそれのある商標であるということはできない。さらに、本件商標と引用商標とが称呼上類似する商標でないことは前記(2)ウのとおりである。したがって、上記に関する申立人の主張は理由がない。
(ウ)その他、申立人は、引用商標が著名であることを前提として、本件商標がその指定商品について使用された場合は、申立人グループの出所に係る商品であると誤信されるおそれがある旨主張する。
しかしながら、前記(1)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る石油・化学品関連の商品を表示するものとして、また、申立人のハウスマークとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものということはできない。加えて、本件商標と引用商標とが非類似の商標であることは、前記(2)ウのとおりである。したがって、申立人の上記主張は、その前提を欠くものであり、失当である。
オ 小括
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する商標ということはできない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
引用商標が、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、申立人の業務に係る石油・化学品関連の商品を表示するものとして、また、申立人のハウスマークとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものということはできないことは、前記(1)のとおりである。
さらに、前記(2)のとおり、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点についても明確に区別し得る別異の商標である。
してみると、本件商標に接する需要者が、引用商標又は申立人若しくはそのグループ企業を想起・連想することはなく、したがって、本件商標は、これを本件登録異議の申立てに係る指定商品について使用しても、該商品が申立人又はこれと組織的・経済的な関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する商標ということはできない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
前記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、申立人の業務に係る石油・化学品関連の商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものということはできない。また、引用商標が、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、申立人の業務に係る石油・化学品関連の商品を表示するものとして、外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めるに足りる証拠の提出はない。
さらに、前記(2)のとおり、本件商標は、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。
してみると、商標権者は、引用商標の著名性にフリーライドし、不正の利益を得るなど、不正の目的をもって本件商標を登録出願したということはできない。その他、本件商標が不正の目的をもって使用をする商標であると認めるに足りる証拠の提出はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する商標ということはできない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、本件登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)(色彩は原本参照。)


別掲2(引用商標3及び4)(色彩は原本参照。)


別掲3(引用商標5)(色彩は原本参照。)


別掲4(引用商標6)(色彩は原本参照。)


異議決定日 2017-04-25 
出願番号 商願2016-16024(T2016-16024) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W0104)
T 1 651・ 261- Y (W0104)
T 1 651・ 263- Y (W0104)
T 1 651・ 271- Y (W0104)
T 1 651・ 222- Y (W0104)
最終処分 維持 
前審関与審査官 平松 和雄 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 原田 信彦
半田 正人
登録日 2016-08-26 
登録番号 商標登録第5876450号(T5876450) 
権利者 トタチ工業株式会社
商標の称呼 トタチ 
代理人 特許業務法人共生国際特許事務所 
代理人 工藤 莞司 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 魚路 将央 
代理人 黒川 朋也 
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