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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W09164142
審判 一部申立て  登録を維持 W09164142
管理番号 1328069 
異議申立番号 異議2016-900306 
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-06-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-09-26 
確定日 2017-05-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5861081号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5861081号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5861081号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成26年11月6日に登録出願され、第9類、第16類、第41類及び第42類に属する別掲2に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同28年6月8日に登録査定、同年6月24日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、その指定商品又は指定役務中、第9類「インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,電子出版物」及び第41類「電子出版物の提供,オンラインによる電子出版物の提供(ダウンロードできないものに限る。),オンラインで提供される電子書籍及び電子定期刊行物の制作,書籍の制作(広告物を除く。)」について、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証を提出した。
1 引用商標の周知性について
申立人が、本件登録異議申立てに引用する商標(以下「引用商標」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、引用商標を付した雑誌及び電子出版物を、本件商標の登録出願前から制作及び販売した結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に相当程度広く認識されている(甲3?甲13)。
2 商標法第4条第1項第10号について
上記1のとおり、申立人の使用する引用商標は、本件商標の出願以前から現在に至るまで「雑誌」又は「電子出版物」の出所を表示するものとして需要者の間に広く認識されている。
そして、本願商標と引用商標からは同一の称呼及び観念が生じ、外観においても類似するため、商標全体として互いに類似する。また、本件商標の指定商品中、第9類「インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,電子出版物」及び第41類「電子出版物の提供」は、引用商標の使用する「雑誌」及び「電子出版物」と同一又は類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
3 商標第4条第1項第15号の該当性について
引用商標は、申立人の「雑誌」又は「電子出版物」を表示するものとして需要者の間に広く認識されていることから、これと類似する本件商標を、その指定商品及び指定役務中、第9類「インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,電子出版物」及び第41類「電子出版物の提供,オンラインによる電子出版物の提供(ダウンロードできないものに限る。),オンラインで提供される電子書籍及び電子定期刊行物の制作,書籍の制作(広告物を除く。)」に使用した場合には、申立人の業務に係る商品又は役務と混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当する。

第3 当審の判断
1 引用商標の周知性について
申立人の主張及び提出された甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
申立人の発行する引用商標を付した雑誌(以下「申立人商品」という。)の創刊号が2005年(平成17年)1月1日に発行されており(甲3)、その後、少なくとも本件商標の登録査定時(2016年(平成28年)6月8日)においても発行されていることが認められる(甲13)。また、申立人から提出された周知性を示す証拠(甲3ないし甲13)のうち、本件商標の登録出願時(2014年(平成26年)11月6日。以下、単に「登録出願時」という場合がある。)より半年以上後である2015年7月以降に係る申立人商品の納品部数、販売あるいは広告記事等に関する内容が確認できるものも提出されている(甲5、甲9ないし甲12)。
しかしながら、登録出願時より前における申立人商品に係る製作部数、販売部数あるいは宣伝広告など周知性の程度を推測できる証拠として「WiLL創刊号?136号 製作部数一覧表」(甲6)及び「WiLL11月号 文藝春秋10月号 売上比較表」(甲8)が提出されているものの、これらの証拠は作成者等が不明であり、かつ、それら部数等を裏付ける証拠の提出もない。また、その他、申立人から、登録出願時より前における申立人商品の製作部数、販売部数、売上高、市場シェアあるいは宣伝広告の程度など周知性の程度を推測できる証拠の提出はない。
してみると、申立人の提出した証拠をもってしては、引用商標が、少なくとも本件商標の登録出願時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
2 本件商標と引用商標との類否
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、「WILL」の欧文字を手書き風に横書きしてなるところ、該文字は、「意志。望み。」などの意味(ジュニア・アンカー英和辞典(第6版)株式会社学研プラス)で、我が国で一般に親しまれている平易な英語であるから、その構成文字に相応して「ウィル」の称呼及び「意志。望み。」の観念を生じるものである。
(2)引用商標
引用商標は、別掲3のとおり、赤色の横長な長方形を背景として白抜きで「WiLL」の欧文字を横書きで配してなるものである。そして、該文字部分からは、上記(1)と同様に、その構成文字に相応して「ウィル」の称呼及び「意志。望み。」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標を対比するに、本件商標と引用商標とは、外観においては、引用商標が赤色の横長な長方形を背景として白抜きで表されている点及び2番目の文字が大文字の「I」であるか小文字の「i」であるかの点において相違するものの、他の文字を全て共通にするものであるから、両商標は、外観において近似した印象を与える類似の商標であるといえる。
次に、本件商標と引用商標とは、それぞれの欧文字に相応して生じる「ウィル」の称呼及び「意志。望み。」の観念を共通にするものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において類似し、称呼及び観念を同一にする類似の商標であるというべきである。
3 商標法第4条第1項第10号の該当性について
本件商標と引用商標とは上記2のとおり互いに類似する商標であるとしても、上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時において我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものであるから、商標法第4条第1項第10号の要件を欠くものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号の該当性について
本件商標と引用商標とは上記2のとおり互いに類似する商標であるとしても、本件商標の登録出願時において、引用商標が我が国の需要者の間に広く認識されていたものとは認められないこと上記1のとおりである。
してみれば、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用した場合、これに接する需要者が引用商標を想起し連想して、当該商品及び役務を、申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかのように、商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれがある商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 結論
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号の規定に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)


別掲2(本件商標の指定商品及び指定役務)
第9類
座標入力装置,デジタイザ,電子計算機入力用タブレット,電子計算機用入力ペン,電子計算機用タッチパネル,電子黒板,電子計算機用入力装置,データ処理装置,電子計算機入力用ソフトウェア,入力情報の記録及び処理用コンピュータソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品,手書きした電子署名を記録するためのコンピュータハードウェア及びコンピュータソフトウェア,電子計算機用プログラム,電子計算機,電気通信機械器具,携帯情報端末装置,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,コンピュータプログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体,携帯電話機,コンピュータソフトウェア,画像処理用ソフトウェア,電子計算機用ソフトウェア,テレビジョン受信機,デジタルカメラ,液晶ディスプレイ,未記録の光ディスク及び磁気ディスク,録音済み又は録画済みのコンパクトディスク,電子出版物,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,タブレット型コンピュータ専用ケース,携帯情報端末用タッチパネル,デジタルオーディオプレイヤー及びレコーダー,音楽再生・録音装置,教育用視聴覚機械器具,写真機械器具,映画機械器具,電子白板,デジタイザ、スタイラスペン、タッチパネル、タブレットおよびコンピュータ入力装置用のコンピュータプログラム,デジタイザ、スタイラスペン、タッチパネル、タブレットおよびコンピュータ入力装置用のデータ処理装置,デジタイザ、スタイラスペン、タッチパネル、タブレット端末およびコンピュータ入力装置を使って入力したデータ、画像、図表、動画、音を記録し処理するためのコンピュータプログラム,コンピュータソフトウェアプラットフォーム,異なるソフトを使用する各デジタイザ、スタイラスペン、タッチパネル、タブレット端末およびコンピュータ入力装置に互換性を持たせデータ、画像、図表、動画、音などの交換を可能にするコンピュータソフトウェアプラットフォーム,各デジタイザ、スタイラスペン、タッチパネル、タブレットおよびコンピュータ入力装置で記録したデータ、画像、図表、動画、音などをリアルタイムで交換、処理できるようにするコンピュータソフトウェアプラットフォーム,入力装置同士をコーディネートするためのコンピュータハードウェア及びコンピュータソフトウェア,デジタイザ、スタイラスペン、タッチパネル、タブレット端末およびコンピュータ入力装置を使って入力したデータ、画像、図表、動画、音に互換性を持たせ共有できるようにするためのコンピュータプログラム,デジタイザ、スタイラスペン、タッチパネル、タブレットおよびコンピュータ入力装置用のデータフォーマットプログラム
第16類
写真,写真立て
第41類
セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,技芸・スポーツ又は知識の教授,書籍の制作,映画の上映・制作又は配給,専門学校における教育,セミナーの手配及び運営,研修会の手配及び管理,録音又は録画済み記録媒体の複製,教育情報の提供,コンピュータを利用して行う書籍の制作,幼児教育,教育又は娯楽に関する競技会の企画・運営,文化又は教育のための展示会の企画・運営,オンラインによる電子出版物の提供(ダウンロードできないものに限る。),オンラインによる映像の提供(ダウンロードできないものに限る。),オンラインで提供される電子書籍及び電子定期刊行物の制作,書籍の制作(広告物を除く。),学校における教育
第42類
クラウドコンピューティング,コンピュータソフトウェアの設計・作成又は保守,コンピュータソフトウェアの設計・作成・保守に関する助言,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電気に関する試験又は研究,機械器具に関する試験又は研究,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,コンピュータシステムの設計,コンピュータハードウエアの設計及び開発に関する助言,データ又は文書の物理媒体から電子媒体への変換,コンピュータプログラムの変換及びコンピュータデータの変換(媒体からの変換でないもの),服飾デザインの考案,文書のデジタル変換(スキャニングによるもの),コンピュータプログラムの複製,電子データの保存用記憶領域の貸与,グラフィックアートデザインの考案,筆跡の分析(筆跡学),コンピュータサイトのホスティング(ウェブサイト),コンピュータプログラムのインストール,遠隔操作によるデータのバックアップ,ウェブサイト経由によるコンピュータ技術及びコンピュータプログラミングに関する情報の提供,コンピュータソフトウェアの貸与,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),コンピュータソフトウェアのバージョンアップ

別掲3(引用商標。色彩については、甲第2号証を参照。)


異議決定日 2017-04-26 
出願番号 商願2014-93298(T2014-93298) 
審決分類 T 1 652・ 255- Y (W09164142)
T 1 652・ 271- Y (W09164142)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大森 友子榎本 政実 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 真鍋 伸行
田中 幸一
登録日 2016-06-24 
登録番号 商標登録第5861081号(T5861081) 
権利者 株式会社ワコム
商標の称呼 ウイル 
代理人 橋本 千賀子 
代理人 松田 省躬 
代理人 長谷 玲子 
代理人 塚田 美佳子 
代理人 松田 次郎 

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