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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W1235
管理番号 1328000 
審判番号 取消2016-300052 
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-01-28 
確定日 2017-04-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第5525753号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5525753号商標(以下「本件商標」という。)は、「EROICA」の欧文字を横書きしてなり、平成24年2月21日に登録出願、第12類「ベアリング,動力伝動装置,制動装置,自転車並びにそれらの部品及び付属品,人力車,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」、第35類「自転車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第41類「スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催」を指定商品及び指定役務として、同年10月5日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成28年2月10日である。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品及び指定役務中、第12類「ベアリング,動力伝動装置,制動装置,自転車並びにそれらの部品及び付属品,人力車,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」及び第35類「自転車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁において要旨次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
商標法第50条によれば、不使用に基づく取消審判を請求された商標権者は、以下の事項を証明しなければ、商標登録が取り消される。
a 審判請求の登録前3年以内に、
b 日本国内において、
c 商標権者等のいずれかが、
d 請求の対象とされた指定商品又は指定役務について、
e 登録商標の、
f 使用をしていること
被請求人が、答弁書において提出した使用の証拠は、いずれも、これらの要件を満たすものではなく、登録商標の使用とは認められない。
以下、理由を述べる。
(1)乙第3号証ないし乙第6号証について
答弁書の記載によれば、乙第3号証の写真が撮影されたのは、平成28年2月23日であり、審判請求の登録前3年(以下「要証期間」という。)以降である。本件審判請求を受けて、その後、審判請求の対象となっている自転車用部品に、本件商標を付して、使用の事実を作り、写真の撮影をすることが可能である。
また、乙第4号証によれば、佐々木氏が、被請求人の店舗「HIP HIP SHAKE」から、本件商標が付された自転車用部品を購入したことが述べられている。しかしながら、証明の日付が、要証期間後であり、実際に購入した日付が述べられていないため、要証期間に売買が行われたか不明である。さらに、一旦、同氏に販売された自転車用部品を店舗に並べる行為は、商標法第2条第3項に規定する「使用」のいずれにも該当しない。
被請求人は、要証期間内の売買であることを示す証拠として、乙第5号証の領収書を提出している。しかしながら、乙第5号証の2014年7月21日付領収書について、請求人は、以下の疑義をいだいている。
ア 「HIP HIP SHAKE」の社判の印影が、他の2通の領収書(2015年2月7日付、2015年6月12日付)に比べ、黄色い影があり、かつ、全体が不自然に濃くなっている。
イ これは、当初、「フレーム代 内金として」との記載があったものに、後に、「エロイカ」を追記し、再度、上記社判を捺印したとも理解される。
ウ 写真にある自転車用部品に付された商標は、欧文字「EROICA」であるのに、領収書に記載された商標が、カタカナの「エロイカ」である。
なお、乙第5号証の2015年2月7日付及び2015年6月12日付領収書には、登録商標(又は社会通念上同一の商標)の記載がない。
乙第6号証によれば、注文により、自転車のEROICAフレーム製作を依頼したことが窺われる。しかしながら、当該証拠が示すのは、「注文による自転車部品の製作」であり、これは役務である。当該役務に、商標を使用したとしても、請求の対象とされた指定商品についての使用に該当しない。
以上から、乙第3号証ないし乙第6号証は、前記a、d、e又はfの要件をみたすものではない。
(2)乙第7号証及び乙第8号証について
答弁書の記載によれば、乙第7号証の写真が撮影されたのは、平成28年3月2日であり、要証期間以降である。また、代理人である弁理士の事務所において、自転車部品を並べる行為は、商標法第2条第3項に規定する「使用」のいずれにも該当しない。
なお、同条第3項第1号の「商品に標章を付する行為」として「使用」に該当するとしても、その時期及び使用者が商標権者であるか、これらの証拠からでは不明である。さらに、答弁書において「刻印された」とあるが、これらの写真からは、「刻印された」ものか判別不明である。商標を印刷したステッカーであれば、数時間もあれば作成可能であり、そのようなステッカーを自転車部品に貼ることにより、この使用状況は作成できる。
以上のことから、平成28年3月2日に撮影された写真をもって、使用の証拠とすることはできない。
乙第8号証の日付は2016年2月20日であり、要証期間以降である。なお、その中で、「8/1 EROICAブラストロゴ入れ レバー」、「8/1 EROICAブラストロゴ入れ ステム 2カ所」、「8/1 EROICAブラストロゴ入れ ブレーキカバー」の記載がある。
しかしながら、もし請求書の日付が、要証期間以降であっても、個々の内容が要証期間内であればよいということになれば、要証期間以降に、いくらでもこのような資料を作成できることになる。
請求人は、このような書類は証拠力がないと考える。
以上から、乙第7号証及び乙第8号証は、前記a又はfの要件をみたすものではない。
(3)まとめ
以上のとおり、被請求人が答弁書で提出した使用証拠で示された使用の事実は、商標法第50条第1項に規定する登録商標の使用とは認められない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。
1 商標権者について
商標権者は、「自転車、人力車等及びそれらの部品・附属品のデザイン、製造、修理、卸、販売、輸出入」などの事業を目的として、平成18年4月24日に設立された会社であり、代表者は田宮氏である(乙1)。
商標権者は、各種自転車及び部品等の販売、修理を行う店舗として「HIP HIP SHAKE」を運営しており、当該店舗の所在地は商標権者と同じである(乙2)。
2 本件商標の使用について
(1)乙第3号証ないし乙第6号証
乙第3号証は、平成28年2月23日に田宮氏が店舗「HIP HIP SHAKE」において撮影した写真の写しである。
乙第3号証には、「EROICA」の文字が付された自転車用の部品(フレーム、ステム、ブレーキセット、ブレーキレバー)が撮影されており、これらの自転車用部品は、商標権者が運営する店舗「HIP HIP SHAKE」において、顧客である佐々木氏が購入したものである(乙4)。
乙第5号証は、店舗「HIP HIP SHAKE」から乙第3号証の自転車用部品の購入者である佐々木氏宛てに発行された「領収書」の写しである。該領収書には、それぞれ左下に「HIP HIP SHAKE」の店舗名と所在地、電話番号等が記載され、各領収書の左上には「2014年7月21日」、「2015年2月7日」、「2015年6月12日」の日付が記載されており、該日付は要証期間内である。
なお、商標権者が販売する自転車は、乗り手(ライダー)一人一人の体型や目的に合わせてカスタマイズされるオーダーメイドであり、乙第3号証に示される「フレーム」も乗り手(佐々木氏)の体型に合わせたフレームサイズで製作されたものである(乙6)。
そして、本件商標は「EROICA」の文字からなるものであるところ、乙第3号証の自転車用部品などに付された使用商標は、「EROICA」の文字からなるものであり、その構成文字を同じくすることから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標である。
以上より、乙第3号証ないし乙第6号証によれば、要証期間内に、商標権者が、自己の業務に係る商品「自転車用部品(自転車並びにそれらの部品及び付属品)」に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して販売していた事実が確認できるものであり、かかる商標権者の行為は、商標法第2条第3項第2号にいう、商品に標章を付したものを譲渡する行為に該当する。
(2)乙第7号証及び乙第8号証
乙第7号証は、平成28年3月2日に被請求人代理人が「特許業務法人北青山インターナショナル」において撮影した写真の写しである。
乙第7号証には、「EROICA」の文字が刻印された自転車用部品(ステム、ブレーキレバー)と「EROICA」の文字からなるフレーム用ステッカーが撮影されている。
乙第8号証は、自転車用部品等の製造、加工を行う「Kinopio キノピオ・クラフツアンドバイクス」から店舗「HIP HIP SHAKE」宛てに発行された「請求書」の写しである。
該請求書には、右上に請求書が発行された日付「2016/02/20」が記載され、「objects」欄には、納品された商品と該商品が納品された日付「8/l」ないし「2/10」が記載されている。この「objects」欄に記載された日付は、請求書の日付「2016/02/20」から2015年ないし2016年のものであることは明らかである。
また、該請求書の「objects」欄に記載されている「EROICA ブラストロゴ入れ」とは、サンドブラスト加工によって自転車用部品に「EROICA」の口ゴ(文字)を刻印する加工作業をいい、乙第7号証の自転車用部品(ステム、ブレーキレバー)は、この「EROICA ブラストロゴ入れ」加工作業によって「EROICA」の文字が刻印されたものである。
乙第8号証の請求書によれば、2015/8/1に、乙第7号証の自転車用部品と同じ加工作業によって「EROICA」の文字が刻印されたブレーキレバー、ステム等の自転車用部品が「Kinopio キノピオ・クラフツアンドバイクス」から店舗「HIP HIP SHAKE」に納品されたことが容易に理解できる。
そして、乙第7号証の自転車用部品に刻印された使用商標「EROICA」は、本件商標と社会通念上同一の商標である。
以上より、乙第7証及び乙第8号証によれば、要証期間内に、商標権者が、自己の業務に係る商品「自転車用部品」に、本件商標と社会通念上同一の商標を付していた事実が確認できるものであり、かかる商標権者の行為は、商標法第2条第3項第1号にいう、商品に標章を付する行為に該当する。
3 まとめ
以上のように、本件商標は、本件商標の商標権者によって要証期間内に日本国内において、その指定商品中「自転車並びにそれらの部品及び付属品」について使用されていたことが明らかである。

第4 当審の判断
被請求人は、要証期間内に日本国内において、商標権者が本件審判の請求に係る指定商品及び指定役務中、第12類「自転車並びにそれらの部品及び付属品」について本件商標を使用している旨主張し、乙第1号証ないし乙第8号証を提出している。
1 事実認定
被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
(1)乙第1号証及び乙第2号証
乙第1号証は平成28年3月22日付けで証明された、商標権者に関する「現在事項全部証明書」の写し、乙第2号証は2016年(平成28年)3月21日にプリントアウトされた「HIP HIP SHAKE/ヒップヒップシェイク」と称するウェブページであり、これらの記載内容によれば、商標権者は、「自転車、人力車等及びそれらの部品・附属品のデザイン、製造、修理、卸、販売、輸出入」などを目的として、平成18年4月24日に設立された法人であり、商標権者と同一住所(東京都渋谷区内)に「各種自転車と部品・付属品・用品の販売、修理及び輸出入業務」を事業内容とする店舗「HIP HIP SHAKE」を運営していることが認められる。
(2)乙第5号証及び乙第6号証
ア 乙第5号証は、2014年(平成26年)7月21日付け、2015年(平成27年)2月7日付け及び同年6月12日付けの「領収書」3通の写しであり、それには、それぞれ「エロイカフレーム代 内金として」、「フレーム(但し内金/パーツ代として」及び「フレーム&パーツ代残金」の記載があるほか、いずれにも金額の記載、「佐々木様」の文字の記載、「HIP HIP SHAKE」の文字及び住所、電話番号の記載があり、「ヒップヒップシェイク之印」の印影がある。
イ 乙第6号証は、「EROICA フレームオーダーシート」と題する書面であり、中央には自転車フレームの図と手書きされたサイズの記載があり、上部中央に「HIPHIPSHAKE」、下部の氏名欄に佐々木氏の氏名、日付欄には「2014年7月21日」の記載があり、右下のサイン欄には佐々木氏の署名がある。
ウ 上記ア及びイからすれば、「HIP HIP SHAKE」は、佐々木氏から2014年(平成26年)7月21日に乙第6号証の「EROICA フレームオーダーシート」のとおりの「自転車フレーム」の注文を受け、その「フレーム代内金」を受領、その後2015年(平成27年)2月7日及び同年6月12日に「フレーム(但し内金/パーツ代として」及び「フレーム&パーツ代残金」を受領したことが認められる。
2 判断
上記1 ウの認定事実について次のとおり判断できる。
(1)使用者
「HIP HIP SHAKE」は、商標権者の運営する店舗であるから商標権者自身とみることができる。
(2)使用時期
「2014年7月21日」は、本件審判の請求の登録(登録日は平成28年2月10日)前3年以内である。
(3)使用商品
上記の「HIP HIP SHAKE」が注文を受けた「自転車フレーム」は、「注文による自転車部品の製作」という役務に係るものといえないものではないが、自転車フレームの取引において、基本的なデザインが決まっていて、購入者の採寸を行い、その体型に合わせて生産した商品が販売されることが普通に行われていることを考慮すれば、これを商品とみて差し支えないものと判断するのが相当である。
そして、該商品「自転車フレーム」は、本件請求に係る指定商品及び指定役務中の第12類「自転車並びにそれらの部品及び付属品」の範ちゅうに属するものである。
(4)取引書類
乙第6号証の「EROICA フレームオーダーシート」は、商品「自転車フレーム」の注文の際に用いられた書面であるから、該商品に関する取引書類ということができる。
そして、当該書類は、上部の「EROICA フレームオーダーシート」、「HIPHIPSHAKE」の文字、中央のフレームの図、サイズを記載する枠、及び下段の氏名、日付の枠などが事前に印刷(様式化)され、サイズを示す数字及び署名が手書きで記載されたものと認められることから、「自転車フレーム」の注文を受ける度に、渋谷区内の店舗「HIP HIP SHAKE」などにおいて用いられているものと推認することができる。
(5)使用商標
乙第6号証の「EROICA フレームオーダーシート」の文字は、その構成態様から欧文字「EROICA」と片仮名「フレームオーダーシート」の文字からなるものと容易に認識されるものであり、後者の「フレームオーダーシート」の文字は、「フレームの注文用紙」の意味合いを認識させるものであることから、前者の「EROICA」の文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
そして、該「EROICA」の文字部分は、「EROICA」の文字からなる本件商標と、その構成文字を共通にする社会通念上同一と認められるものである。
(6)小括
してみれば、商標権者は、要証期間内に日本国内において本件請求に係る指定商品及び指定役務中、第12類「自転車並びにそれらの部品及び付属品」の範ちゅうに属する商品「自転車フレーム」に関する取引書類に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して頒布した(商標法第2条第3項第8号)ということができる。
3 請求人の主張について
請求人は、乙第5号証の2014年7月21日付け領収書について、「HIP HIP SHAKE」の社判の印影が他の2通の領収書に比べ、黄色い影があり不自然であるなど、これに疑義がある旨及び乙第6号証が示すのは役務「注文による自転車部品の製作」であって、請求の対象とされた指定商品についての使用に該当しない旨主張している。
しかしながら、一般に印影に濃淡やにじみがでることは少なくないし、かつ乙第5号証の3通の領収書の印影などに合理的な疑義があると認めるに足る事情もなく、また乙第6号証は上記2(3)のとおり商品「自転車フレーム」に関するものといえるから、請求人のかかる主張は採用することができない。
4 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者が本件審判の請求に係る指定商品及び指定役務中、第12類「自転車並びにそれらの部品及び付属品」の範ちゅうに属する商品「自転車フレーム」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定商品及び指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-11-29 
結審通知日 2016-12-02 
審決日 2016-12-13 
出願番号 商願2012-15866(T2012-15866) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (W1235)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 赤星 直昭宮川 元 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 小松 里美
田中 幸一
登録日 2012-10-05 
登録番号 商標登録第5525753号(T5525753) 
商標の称呼 エロイカ 
代理人 柴田 雅仁 
代理人 高橋 剛一 
代理人 辻田 朋子 
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