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審決分類 |
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W25 審判 査定不服 観念類似 登録しない W25 審判 査定不服 外観類似 登録しない W25 |
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管理番号 | 1327992 |
審判番号 | 不服2017-63 |
総通号数 | 210 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2017-06-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-01-04 |
確定日 | 2017-04-17 |
事件の表示 | 商願2015-53149拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は,別掲のとおりの構成よりなり,第25類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成27年5月25日に登録出願されたものである。 そして,その指定商品については,原審における平成28年3月4日提出の手続補正書によって,第25類「女性用下着」と補正された。 2 原査定の拒絶の理由 原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第1127326号商標(以下「引用商標」という。)は,「HEAVEN」の欧文字及び「ヘバン」の片仮名を上下二段に表してなり,昭和46年7月13日登録出願,第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同50年6月16日に設定登録されたものであり,平成17年7月20日に指定商品を第25類「被服」とする指定商品の書換登録がされ,現に有効に存続しているものである。 3 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号について 商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,そのためには,まずその外観,観念,称呼の対比を基準にして,取引者・需要者等に与える印象,記憶,連想等を総合し,その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきであるところ,図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,各構成部分の一体性が弱ければ,経験則上,当該部分だけによって称呼,観念される場合があり,特に,当該部分が取引者・需要者等に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合などには,当該部分を要部として抽出し,この部分をもって他人の商標と比較して商標としての類否を判断すべきものといえる(平成25年(行ケ)第10345号,知的財産高等裁判所,平成26年5月21日判決)。 (2)本願商標について 本願商標は,別掲のとおり,左側に,比較的大きな書体で「focus」,「on」及び「you」の各文字を,左端をそろえて3段に書し,間隔を空けたその右側には,上部に赤色の「H」字状の図形を配し,その下に「HEAVEN」の文字,更にその下には比較的小さく「Japan」の文字を上段の文字に対して中央寄せで書してなるものである。 本願商標の構成中,左側に配された,「focus」,「on」及び「you」の各文字は,それぞれ段が異なるものの,左端をそろえて同じ書体及び大きさで,まとまりをもった構成よりなり,各語が比較的容易な英語であることもあいまって,「あなたに焦点を合わせる」程度の意味合いを有する英語を表したものと容易に認識することができる。しかし,間隔を空けて配置されたそれ以外の構成要素,つまり赤色の「H」字状の図形部分,「天国」の意味を有する英語を表した「HEAVEN」の文字部分及び「日本」を指称する英語である「Japan」の文字部分(参照:「ジーニアス英和大辞典」大修館書店,2001年発行)については,相互の間隔,文字の大きさ,色彩の相異などから,視覚上分離した印象を与えるばかりでなく,それぞれの観念上のつながりなど,各構成要素が一体であることを認識させるような特徴もみられない。 なお,本願商標の構成中,「HEAVEN」の文字部分と「Japan」の文字部分は,上下二段に比較的近接して配置されている。しかし,国名又は都市名を商標又は製品に表示することで,商品の産地・販売地又は創業地など,その製品又は表示主体が,当該国又は地域と関連するものであることを示すことは,取引上広く採択されている顕著な事実である。そのため,本願商標のように「Japan」の文字部分が単独で比較的小さく表示されている場合には,本願商標に接する需要者,取引者をして,他の文字部分と結合して造語を構成したものと理解されるというよりも,商品の産地・販売地又は創業地などを表示する文字部分と理解されるというのが相当であり,近接する「HEAVEN」の文字部分との間でも,段や文字の大きさを異にする構成上の特徴もあいまって,相互に分離して認識されるものである。 そうすると,本願商標の構成中,左側に配された,ひとまとまりの表示として認識される「focus」,「on」及び「you」の文字部分は,右側に配された図形部分及び文字部分とは,構成上も,その意味の上からも,分離して看取,把握されるものといえる。そして,右側の構成部分にしても,「H」字状の図形部分,「HEAVEN」の文字部分及び「Japan」の文字部分は,上記のとおり,それぞれの構成上及び観念上のつながりは弱いものといえる。このように,本願商標は,複数の構成部分を組み合わせた結合商標であるものの,相互の一体性が弱いものといわざるを得ず,需要者,取引者をして,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる構成部分については,それを要部として抽出し,この部分をもって他人の商標と比較して商標としての類否を判断すべきものといえる。 そして,本願商標の構成中,右側中央部に比較的大きな書体で顕著に書された「HEAVEN」の文字部分は,その下部に書された,単に商品の産地・販売地又は創業地などを表示する,出所識別標識としての機能を有さない「Japan」の文字部分との対比もあいまって,需要者,取引者をして,出所識別標識として,強く支配的な印象を与えるものと認められる。 そうすると,本願商標は,その構成中の「HEAVEN」の文字部分も要部たり得るから,当該文字部分に相応して,「ヘブン」の称呼及び「天国」の観念が生じるものである。 (3)引用商標について 引用商標は,「HEAVEN」の欧文字及び「ヘバン」の片仮名を上下二段に表してなるため,それぞれの構成文字に相応して,「ヘブン」又は「ヘバン」の称呼及び「天国」の観念が生じる。 (4)本願商標と引用商標及びその指定商品の類否について 本願商標の要部である「HEAVEN」の文字部分は,引用商標の「HEAVEN」の欧文字部分とはつづりを共通にし,これより生じる「ヘブン」の称呼及び「天国」の観念もそれぞれ共通するものである。このような外観,称呼及び観念の共通性を勘案すれば,本願商標と引用商標は,同一又は類似の商品に使用されるときは,相紛らわしい類似する商標というのが相当である。 また,本願商標の指定商品「女性用下着」は,引用商標の指定商品「被服」に含まれるため,同一又は類似するものといえる。 (5)請求人の主張について 請求人は,本願商標はまとまりよく構成されているため,その全体の文字部分に照応して,「フォーカスオンユーヘブンジャパン」の称呼及び「あなたに焦点を合わせている天国のような日本」程の観念が生じ,また,仮に左右の構成部分に分離して観察されることがあるとしても「フォーカスオンユー」又は「ヘブンジャパン」の称呼及び「あなたに焦点を合わせている」又は「天国のような日本」程の観念が生じるにとどまるとみるべきであるから,商標全体の構成において小さな割合しか占めない「HEAVEN」の文字部分のみに着目して取引されることはない旨主張する。 しかし,上記(2)のとおり,本願商標の各構成部分は,その構成の一体性及び観念上のつながりが弱いため,その中で強く支配的な印象を与える構成要素を要部として,商標の類否を判断することも許されるというべきであるし,また,「Japan」の文字部分が,他の文字部分とは段や文字の大きさが異なることもあいまって,当該文字部分が,むしろ商品の産地・販売地又は創業地などを表示するための付記的な表示であるとの印象を強調するのであり,他の文字部分と結合して造語を構成するものとは容易に理解し難く,その主張は採用できない。 (6)まとめ 以上のとおり,本願商標は,引用商標と類似し,その指定商品も,引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本願商標(色彩については原本参照) |
審理終結日 | 2017-02-23 |
結審通知日 | 2017-02-24 |
審決日 | 2017-03-07 |
出願番号 | 商願2015-53149(T2015-53149) |
審決分類 |
T
1
8・
262-
Z
(W25)
T 1 8・ 261- Z (W25) T 1 8・ 263- Z (W25) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山田 啓之、板谷 玲子 |
特許庁審判長 |
早川 文宏 |
特許庁審判官 |
田村 正明 阿曾 裕樹 |
商標の称呼 | フォーカスオンユー、ヘブンジャパン、ヘブン |
代理人 | 川本 篤 |
代理人 | 徳永 弥生 |
代理人 | 齊藤 整 |
代理人 | 服部 京子 |