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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y03
管理番号 1327969 
審判番号 取消2015-300798 
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-11-09 
確定日 2017-04-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第2706713号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第2706713号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2706713号商標(以下「本件商標」という。)は,「BIOSOMME」の欧文字を書してなり,昭和63年7月7日に登録出願,第4類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,平成7年4月28日に設定登録されたものである。
そして,2回にわたり,商標権の存続期間の更新登録がされ,指定商品については,同17年6月8日に,第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,化粧品,歯磨き」とする指定商品の書換登録がされ,現に有効に存続しているものである。
本件審判の請求の登録日は,平成27年11月19日である。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,審判請求書,審判事件弁駁書,口頭審理陳述要領書及び上申書において,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第31号証を提出した。
1 請求の理由
被請求人は,本件商標をその指定商品について,継続して3年以上日本国内において使用していない。また,本件商標の登録原簿(甲1)に示すとおり,その指定商品についての専用使用権者は存在せず,また,通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。
したがって,本件商標は,継続して3年以上日本国内において,本件商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによってもその全ての指定商品について使用されていないものであるから,その登録は,商標法第50条第1項の規定に基づき取り消すべきである。
2 弁駁の理由
被請求人は,本件不使用取消審判が請求されることを知った後に,本件商標の使用を開始した。そして,本件審判請求前3月から審判請求登録日までの間の使用のみを立証している。
答弁書において提出された使用証拠は,単に本件不使用取消審判により取消されないためだけに作成されたものである。
そして,被請求人提出にかかる証拠においては,本件商標が商標法上の「商標」として使用されていない。
また,使用証拠として,本件商標が使用された商品写真(乙3及び乙6),納品書控え(乙4及び乙6)を提出しているが,「写真に示された商品」が,「納品書に記載されている商品」と同一のものであることを十分に立証していない。試作品サンプルの写真(乙3)と出荷されたとされる商品の写真(乙6)は,全く同じ写真であり,単に一つの写真を二つの商品のために使いまわしている。
被請求人は,本件審判請求後に作成した宣誓書(乙1)を提出するだけで,実際に「要証期間に通常使用権者が有効に存在していたこと」を証明していない。
(1)駆け込み使用について
被請求人提出の乙第1号証ないし同第6号証を検討するに,唯一「本件商標の使用」の可能性があるのは,2015年(平成27年)11月4日付の大阪市西区在の者への販売である。
しかしながら,当該本件商標の使用は,明らかに商標法第50条第3項が規定する「駆け込み使用」であり,同法同条第1項の「登録商標の使用」には該当しない。
駆け込み使用」に該当するためには,その登録商標の使用が「その審判の請求がされることを知った後」である必要がある(商標法第50条第3項)。
本件においては,被請求人代理人の言によれば,「被請求人は,請求人が行った使用調査(6月11日から6月24日)の直後,不使用取消審判の可能性に気がついた」とされている。してみれば,6月24日ころには「審判の請求がされることを知った」と考えられる。また,平成27年7月10日には登録第2693827号に対する不使用取消審判の請求が行われているので,遅くとも同審判請求書の写しが被請求人に送られた日には,「審判の請求がされることを知った」ものと考えられる。
一方,本件商標の使用時期は,平成27年11月4日であるから,「その登録商標の使用」は,「その審判の請求がされることを知った後」であることに疑いはなく,「審判の請求前3月からその審判の請求の登録の日までの間」である。
よって,平成27年11月4日の本件商標の使用は,まさに「駆け込み使用」である。
ちなみに,被請求人は,平成27年8月1日に試作品サンプルの提供を行っている。形式的には平成27年8月1日は,「審判の請求前3月(平成27年8月9日)」以前の使用となる。
ただし,そもそも「試作品のサンプル」は商標法上の「商品」には該当しないため,「駆け込み使用」に関する検討の必要はない。
薬事法上,化粧品の製造販売には届出が必要であるが,当該届出は試作品サンプル配布の後(10月15日)に行われている(乙5)。したがって,上記試作品サンプルの配布は,商標法上の登録商標の使用には該当しない。
仮に「試作品のサンプル」が商標法上の「商品」であり,平成27年8月1日の使用が「登録商標の使用」だとしても,当該使用は商標法上の「駆け込み使用」であり,商標法第50条第1項に規定する登録商標の使用には該当しない。
すなわち,本件においては,本件商標は4月28日の時点で存続期間が満了し,更新申請も10月26日まで行われなかったという事情が存在する。 そのような事情の下,被請求人は不使用取消審判を請求せず,定期的に更新申請の有無を確認するに止まざるを得なかった。このように「一旦存続期間が満了した約6か月」の間に,被請求人は本件商標の使用の準備を済ませ,使用を再開させたわけである。
そうとすれば,「審判の請求前3月」という期間の計算は,この「一旦存続期間が満了した後の約6か月間」については計算に含めるべきではない。さもなければ,悪意による「駆け込み使用回避」の余地を残してしまい,立法趣旨に反することになる。
したがって,平成27年8月1日も「駆け込み使用」の期間内と考えるべきである。
(2)名目的使用について
商標法上,「登録商標の使用」には,単に不使用取消審判から登録商標を防御するためだけの「名目的使用」は含まれない(甲3)。
本件においては,被請求人が立証しようとする使用は,まさに「単に不使用取消審判から登録商標を防御するためだけの名目的使用」であり,商標法第50条第1項に規定する登録商標の使用には該当しない。
すなわち,本件商標は,「今後使用をしないこと」を前提に平成27年4月28日に存続期間を満了させた。しかし,被請求人は,「登録第2693827号に対して審判請求されること」,そして「同登録商標を維持できないこと」に気が付き,本件商標の使用を開始し,請求人に対して対価の伴う「譲渡再譲渡」の提案をするとともに,存続期間満了後に更新申請を行った。
この経緯だけを見ても,被請求人の使用は,単に不使用取消の審判を免れる目的で行った名目的な商標の使用行為であることは明らかである。
また,上記のような経緯を踏まえて考えれば,会社の実体自体が疑わしい会社へのサンプル試作品の提供(乙4),そして個人顧客に対するごくわずかの数量(2個)の販売(乙6)も,単に不使用取消の審判を免れる目的で行った名目的な商標の使用行為」といわざるを得ない(東京高判平5.11.30・平4(行ケ)144・168)。
(3)乙各号証について
ア 乙第1号証について
被請求人は,株式会社くれえる(以下「くれえる社」という。)が本件商標の通常使用権者であることを証するものとして,被請求人の代表取締役とくれえる社の代表取締役が捺印した宣誓書(乙1)を提出している。
しかしながら,当該宣誓書は,本件審判手続が開始された後の平成27年12月10日に作成されたものであるから,証拠としての信用性がない。また,くれえる社に対し被請求人が本件商標の使用を許諾したことを客観的に裏付ける書類は,その他には何等提出されていない。
したがって,乙第1号証は,くれえる社が本件商標の通常使用権者である事実を示すものということはできない。
イ 乙第2号証について
乙第2号証は,くれえる社のホームページ写しであり,本件商標が使用されている事実を証明するものではない。
ウ 乙第3号証について
乙第3号証は,下記の点を理由に,本件商標の使用を示す証拠とはなりえない。
(ア)乙第3号証に示されている商品は,単なる「試作品サンプル」であるから,商標法上,本件商標が「商品」に関して使用されていることを示すものではない。
(イ)本来「商標」とは,自他商品役務を識別するため,ラベルの前面に,大きく書されて使用されるものである。
乙第3号証の写真を見るに,同商品の「商標」は「ORIGISOLE」若しくは「Aigasho」である。ラベル後面に,小さく書された「BIOSOMME」の文字は,自他商品識別機能を発揮する形で使われているわけではなく,当該商品の「商標」として使用されているとはいえない。
また,当該商品に使用されている商標が二つもある中で,さらに「BIOSOMME」も当該商品の商標であるとするのは,理論的観点からも,実務的観点からも不自然である。
(ウ)乙第3号証は,その撮影日時,撮影場所など一切示されていない。さらに,乙第3号証と乙第6号証の写真を仔細に比較すると,「全く同じ写真」を使いまわしているように見受けられる。このような状況にかんがみれば,乙第3号証の写真は,証拠としての信頼性に欠ける。
エ 乙第4号証について
乙第4号証は,商品納品証明願/証明書,及び納品書であり,下記の点を理由に,本件商標の使用を証明していない。
(ア)商品納品証明願/証明書は,本件審判の請求後に作成されたものである。したがって,本件審判の請求の登録前3年以内(本件の場合は,平成24年11月19日から同27年11月18日,以下「要証期間」という。)の本件商標の使用を示す証拠とはなりえない。
(イ)本来「試作品サンプル」であれば,販売促進,集客などを目的に,小売店や消費者など,多くの取引者に配られるものであるが,本件においては「株式会社ベネフィック」(以下「ベネフィック社」という場合がある。)という会社に配布された証拠しか提出されていない。仮に,同社にだけ,わずか12個のサンプルを配布したのだとすれば,それは不使用取消審判対策のためだけの名目的な使用といわざるを得ない。
(ウ)ベネフィック社の詳細が不明であるため,「実際の顧客に対して,名目的ではなく,真実にサンプルを配布したものか否か」につき,疑いの余地が残る。請求人のインターネット調査では,同社に関する会社情報は一切見つけられず,「google map」を見る限り,その住所地には一般住宅のような建物が建っており,開運天然石などを販売する「龍宝堂」なる別の店舗が存在しているようである(甲4)。
してみれば,「株式会社ベネフィック」は単なるペーパーカンパニーであるという疑念が拭えず,乙第4号証の証拠力自体にも疑いの余地が残る。
(エ)乙第3号証に含まれる写真と乙第4号証の納品書は,「同一の商品」についての写真と納品書とはいえない。すなわち,商品写真(乙3)の後面ラベルに記載された商品番号と目される個所には「15041 1004YJI」との記述がある一方,請求書(乙4)には異なる番号「150041」が記されている。その他,「写真の商品」と「納品書の商品」が一致することを示す情報は,どの証拠にも一切見あたらない。
(オ)「製造販売届出前」に,無料で配布した「試作品サンプル」は,そもそも商標法上の「商品」とは考えられない。
オ 乙第5号証について
乙第5号証は,大阪府に提出した化粧品製造販売届書と受付票であるから,本件商標の使用を示すものではない。むしろ,化粧品製造販売届書提出前の使用が「商標法上の登録商標の使用に該当しない」ことを示す証拠となっている。
カ 乙第6号証について
乙第6号証は,商品納品証明願/証明書,商品写真及び納品書である。
しかしながら,下記の点を理由に,本件商標の要証期間の使用を証明するものではない。
(ア)商品が販売されたとする平成27年11月4日は,「駆け込み使用期間」に該当する。
(イ)商品納品証明願/証明書は,本件審判の請求後に作成されたものである。
(ウ)乙第6号証は,大阪市西区在の者に対して,2つの商品を販売したことを示している。
しかしながら,商品の販売先が個人のみである点,数量がわずか2個だけである点にかんがみると,不使用取消審判のための「名目的使用」の範疇を出ないといわざるを得ない。
(エ)乙第3号証で述べたものと同じ理由で,「BIOSOMME」という文字を商標法上の「商標」として使用しているとはいい難い。
(オ)乙第3号証にかかる写真と全く同じ写真が使用されており,証拠としての信用性に欠ける。また,撮影日時,撮影場所なども一切示されていない。
(カ)乙第4号証で述べた理由と同様,「写真撮影された商品」と,「納品書に記載されている商品」の同一性が全く示されていない。
3 口頭審理陳述要領書(平成28年7月14日付け)
(1)通常使用権の存否について
被請求人は,答弁書において,「本件商標権者と,その関連会社であるくれえる社とは,平成27年6月30日に,本件商標権について,通常使用権の設定契約を交わしている」と主張し,平成27年12月10日付作成の宣誓書(乙1)を提出している。
一方で,陳述要領書においては,「各会社が1つの会社の各部門のように機能しているため,通常使用権に関する契約書や商品の製造に関する契約書は存在しない」と主張している。
しかしながら,「平成27年6月30日に通常使用権の設定契約を交わした」という主張と,「通常使用権に関する契約書等は存在しない」という主張に矛盾が存在する。
これら,一貫しない被請求人の主張と証拠にかんがみると,平成27年6月30日に,本件商標権者とくれえる社,自然美生薬株式会社(以下「自然美生薬社」という。)の間で,真実に「通常使用権の設定契約」という重大な法律行為がおこなわれたのか,強い疑いが残るといわざるを得ない。
したがって,本件商標権者とくれえる社及び自然美生薬社との間には通常使用権が存在したとはいえない。
(2)試作品の出荷について
被請求人は,平成27年8月1日に試作品サンプルの提供を行い(乙4),当該サンプルの提供行為が商標法第2条第3項第2号にいう「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡」する行為にあたる旨主張している。
しかしながら,商標法第50条における「商品」とは,「市場において独立して商取引の対象として流通に供される物でなければならないと解すべきである。」(甲5)。
本件においては,平成27年8月1日の時点では,化粧品製造販売届書を大阪府に提出していない。薬事法上,化粧品を販売するためには,化粧品の品目ごとに「化粧品製造販売届書」を都道府県に提出する必要があり,この届出が終わるまで,法律上商品を市場に流通させることはできない。そうとすれば,平成27年8月1日に配布を行ったサンプル品は,実際に市場に流通されたものではなく,商標法上の商品が要求する「流通性」を満たしていない。
また,当該サンプル品は,極めて少量(12個)のみが,無償で1社だけに提供され,商標法上の「商品」として量産性,有償性が欠如しており,「市場において独立して商取引の対象として流通に供される物」ではない(甲6ないし甲8)。
(3)試作品の納品書(控)について
被請求人は,平成27年8月1日に試作品サンプルを提供したことを証明する書面として,試作品の納品書(控)(乙4)を提出している。
しかしながら,一般的な商慣習の下において,試作品やサンプルを提供する際,納品書までは発行しない。納品書(控)を作成し,証拠として提出すること自体が丁寧すぎて不自然であり,不使用取消審判のためのみに作られた証拠と疑わざるを得ない。
また,納品書(控)が残っているくらいであれば,試作品受注書や,注文書なども存在してしかるべきである。
(4)商品番号について
乙第3号証に含まれる写真と乙第4号証の納品書は,商品番号と目される数字に相違がある。乙第6号証に含まれる写真と納品書においても,同様に数字の相違がある。
この点に関し,被請求人は「ラベルの表示可能桁数の関係から,(略)『O』を省略して『15041』としている。」旨主張している。
しかしながら,上記の主張は,被請求人の単なる「主張」であり,なんら客観的な証拠が提出されていない。
また,「15041」と「150041」は,どのような説明を加えても,番号として異なるものであり,単なる説明・主張のみで「同一の商品を意味する商品番号」と結論付けるには無理がある。
(5)伝票番号について
被請求人は,試作品に関する納品書(控)(乙4)と11月に販売した商品に関する納品書(控)(乙6)を提出している。
通常,伝票番号は日付が進みにつれて,古い番号から新しい番号へとなっていく。したがって,8月に発行された納品書(控)の伝票番号は,11月に発行された納品書(控)の伝票番号より番号が古い(若い)はずであるが,その番号が不自然である。
(6)乙第10号証(試作品サンプル写真)について
請求人の「試作品サンプルの写真(乙3)と,出荷されたとされる商品の写真(乙6)は,全く同じ写真であり,単に一つの写真を二つの商品のために使いまわしている。」旨の主張に対し,被請求人は,試作品サンプルの写真を提出した。
しかしながら,請求人が指摘した問題の本質は,「一つの写真を二つの商品のために使いまわす」という,商標の使用証拠を作成,提出する上において,本来あるべからざる行為が行われたことであり,そのことから提出した証拠の信用力が低下してしまっている点である。この点に関し,被請求人は,何らの釈明も説明もしていない。
また,真に販売行為を行っているのであれば,店頭に陳列されている写真,ホームページ上に掲載されている写真など,客観的に商品の真正な販売等を裏付ける証拠を提出できるであろうが,そのような証拠は一切提出されていない。さらに,同号証は,撮影日時,撮影場所などが不明である。
(7)駆け込み使用について
被請求人は,「ところでくれえる社が本件商標の使用の準備を開始した契機は,平成27年6月19日の『ビオソームという商品は取り扱いありますでしょうか?』という製品に関する問い合わせにあります。たしかに,この問い合わせが,被請求人に本件商標が不使用であることの注意喚起になったことは事実ですが,それに止まり,被請求人が本件取消審判が請求されることを知ったのは,2015年(平成27年)11月6日の請求人と被請求人代理人との電話によってであります。したがって,上記試作品サンプルの出荷及び本件商品の販売(本件商標の使用)は,いずれも,被請求人が,本件取消審判が請求されることを知る前であるといえます。」旨主張している。
しかしながら,甲第2号証で自らも認めるとおり,不使用取消審判のための使用調査が行われていることに気が付いたからこそ,直後の6月30日ころから本件商標の使用の準備を開始したのであり,被請求人は「審判の請求がされることを知った」ものと十分に推認できる。
百歩譲って,平成27年6月の時点では「審判の請求がされることを知った」とはいえなかったとしても,少なくとも別件の登録第2693827号に対する不使用取消審判の請求書副本が送達された平成27年8月頃には,間違いなく「審判の請求がされることを知った」と判断すべきである。
すなわち,登録第2693827号に係る商標は,本件商標と社会通念上同一の商標であり,同一の商品を指定するものであったところ,登録第2693827号に対して不使用取消審判が請求されたが,本件商標に対して審判が請求されなかった。その理由は,本件商標登録が単に更新されていなかったためであることは,容易にわかったはずである。
そうであれば,本件商標の登録が更新されれば,必然的に本件商標も取消の対象とならざるを得ないものであるから,被請求人は,登録第2693827号に対する不使用取消審判が請求された時点で,「審判の請求がされることを知った」ものと十分に推認できる。
(8)名目的使用について
実務慣行上,被請求人の販売等は,あまりにも小規模,少量であり,単なる「名目的な使用行為」の範疇を出るに至っていない。
なお,被請求人は,ベネフィック社に関して,実体のある法人であると主張しているものの,何らこの主張を証明する客観的な証拠は提出されていない。単なる「名目的な使用行為」でないことを,十分に証明していない。
(9)商標法上の「商標」としての使用について
「美容液」は,身体に直接塗擦,散布し,人体に直接作用を及ぼすものである。そして,薬事法の種々の規制を受ける特別な商品である。したがって,「美容液」における識別標識は,他の商品と間違って使用してしまう事故を防ぐためにも,通常,商品前面に大きく,目立つように使用されるものである。
しかしながら,乙第3号証等によれば,被請求人にかかる商品のラベル前面に大きく書かれた識別標識は,「ORIGISOLE」,「Aigasho」の部分に他ならない。
被請求人が使用していると主張する「BIOSOMME/ビオソーム」の文字は,後面ラベルに,品質表示や販売元表示とほぼ同程度の小ささで書されているにすぎない。このような使用態様は,「美容液」に対する「識別標識」として使用しているとはいえない。
実際にも,被請求人は,本件商品と類似の商品につき,「ORIGISOLE」ないし「Aigasho」を,その商品の識別標識として使用しており,後面ラベルの同位置に書かれた文字を識別標識として使用している例は見つけられなかった(甲9及び甲10)。
4 上申書(平成28年8月12日及び同年9月15日付け)
(1)乙第3号証について
ア 請求人は,被請求人提出の乙第3号証と乙第6号証の商品写真は全く同一の写真を単に使いまわしているにすぎないと主張した。
これに対し,被請求人は,口頭審理において,「平成27年8月5日に配布したサンプルの写真は,もう残っていない」と明言した。すなわち,乙第3号証にかかる商品写真は平成27年8月5日に配布したサンプル商品に関するものではないことを認めた。
したがって,被請求人は,平成27年8月に配布したサンプルに関する商品写真を全く提出していないこととなる。そうとすれば,「本件商標が当該サンプル商品にどのように使用されていたか」などに関する立証が行われておらず,被請求人は,そもそも平成27年8月5日に本件商標が使用されたことを証明していない。
イ 被請求人は,「平成27年8月5日に配布したサンプル商品は,乙4にかかる商品写真から明確であって,同日に本件商標が使用されたことは立証されている。」旨主張している。
しかしながら,被請求人の主張は,下記の点について問題があり,立証責任を果たしているとはいえない。
(ア)口頭審理における被請求人の言によれば,乙第4号証に添付された商品写真も,そもそも平成27年8月5日に配布したサンプル商品に関するものではない。単に,「証明書」の中で,ベネフィック社の者が「納品を受けたものと同一のものである」といっているにすぎない。
(イ)乙第4号証の「証明書」の中で,「写真撮影された商品と納品を受けたものは同一である」と述べているが,ラベル裏面の細部まで記憶できるはずがなく,証拠としての証明力が極めて低い。
(ウ)乙第4号証の「証明書」は,極めて誘導的であり,真実を証明する書面としては,その証拠力が極めて弱い。すなわち,当該「証明書」は,被請求人自身が作成した「商品納品証明願」とその下の「証明書」に,受領者が署名・捺印するだけの形となっている。
(エ)商品サンプルと実際の商品とは,その法的な位置づけが異なり,また商業的な位置づけも異なるものであるため,商標の使用態様も異なる蓋然性が高い。本件では,平成27年8月5日に配布したサンプル商品に,どのように商標を使用していたかを明確に示す必要がある。
(2)商品実物と包装箱について
ア 被請求人は,口頭審理において,商品の実物と,その包装箱を提示した。
しかしながら,商品裏面ラベル部分には,商品価格と商品番号の部分のみ別のシールが添付されていた。いわゆる「シールの上にシール」が貼付された状態で,実際の商品として極めて不自然である。そもそも,常識的に,値段と商品番号のみを別のシールに印刷し,添付するといった行為に,営業上の合理性が全く見いだせない。この「別のシール」は,一つずつ手で貼られたものと推測されるが,このような作業はあまりにも煩雑で,このような方法で商品を量産することができないことは目に見えている。「美容液」という商品の性質上,量産ができないようなものは商標法上の「商品」とはいえず,また量産ができないような態様で配布されたという事実は,まさに,本件商標が単に「名目的に」使用されたことを示す証左に他ならない。
このような「別シール」は,あとからいくらでも添付することができるため,このようなシールが添付された商品は,そもそもその証拠として信用性に欠ける。
また,被請求人が持参した包装箱には「BIOSOMME」という商標は一切附されておらず,代わりに「Aigasho」及び「ORIGISOLE」という商標が附されていた。口頭審理における被請求人の言によれば,「当該包装箱に入れて商品を取引している」とのことである。
そうとすれば,商品を識別するために商標は,需要者・取引者の目に最も触れる「当該包装箱」に記載されているべきものであり,本件商品の商標は,やはり「Aigasho」及び「ORIGISOLE」の部分にあるとみるべきである。包装箱にも,ラベル正面にも付されていない「BIOSOMME」の文字は,商標法上の「商標」とは考えるべきではない。
イ 請求人は,被請求人が持参した包装箱には本件商標は一切附されていない代わりに,「Aigasho」,「ORIGISOLE」の商標が附されており,「BIOSOMME」の文字は商標法上の「商標」としては使用されていないことを指摘した。
これに対して,被請求人は,「本件商品は,主として,美容室やエスセティックサロン等において業務用として使用されるもので,一般消費者向けに陳列して販売される商品ではないため,商品の背面側のラベル面に記載されていても,本件商品の『商標』(識別標章)としての機能を十分に果たしている。」旨主張している。
しかしながら,上記の被請求人の主張には,下記の大きな問題がある。
(ア)被請求人は,本件商品が「業務用」であることを理由に,「ラベル裏面に使用されている標章も商標法上の『商標』として機能する」旨主張しているが,商品が「業務用」であることと,ラベル裏面に小さく書された標章が商標法上の「商標」として機能することとは,論理的に結びつかない。
(イ)被請求人の主張は,一貫して単なる「主張」であり,客観的な証拠が示されていない。
(ウ)被請求人は,甲第9号証及び甲第10号証を引用して,「被請求人が販売している商品の多くは,上記表示方法(ラベル裏面に小さく標章を書す方法)を採用している。」と主張している。
しかしながら,逆に甲第9号証及び同第10号証を仔細に検討すれば,「BIOSOMME」と同等の位置付けと目される標章は,「ホワイトローション」,「クレンジングクリーム」,「フェーシャルパック」,「AHAエッセンス」(all,high potential,agentsエッセンスの略として他社も使用)など,いずれも記述的で,識別力のない標章である。
そうとすれば,被請求人自体,「Aigasho」,「ORIGISOLE」以外の標章を実際に商標として使用しておらず,逆に被請求人自身,「BIOSOMME」は他の記述的標章と同様,単に識別力のない文字として位置づけ,使用していると考えるのが自然であり,真実である。
ウ 被請求人は,「シールの上にシールが添付された状態」を,「商品が業務用」であることを理由に,「極めて一般的な方法である」と主張している。
しかしながら,被請求人は,業務用化粧水に関しては,「シールの上にシールを添付する」ことが「極めて一般的である」ことを,客観的な証拠によって証明していない。
(3)商標法上の「商標」としての使用について
ア 「美容液」の取引実情を調べたところ,「商品前面に大きく,目立つように使用される」という取引慣行は,「業務用美容液」の商慣行においても同様で,「識別標識が商品の後面に付されている」といった例は見られなかった。請求人の調査した範囲では,いずれも,ブランドネーム,サブブランドを含め,すべての「識別標識」が商品の前面に明確に表示されている(甲15ないし甲18)。
商取引の実情をかんがみると,当該「美容液」の識別標識として機能しているのは,商品の前面に大きく記された「ORIGISOLE」,「Aigasho」の部分である。被請求人の主張するところの「業務用」美容液の容器後面に「オリジソール BIOSOMME ビオソーム」と小さく記された「BIOSOMME ビオソーム」の部分は出所表示機能を発揮しておらず,商標法上の「商標」の使用には該当しない。
イ 商標法上の「商標」に関する論点について,被請求人は,「本件商標が,本件商品の『商標』(識別標識)として用いられていることは,乙第5号証からも明確である。」旨主張している。
しかしながら,乙第5号証は,単なる「受付票」,「化粧品製造販売届書」である。このような「受付票」,「化粧品製造販売届書」に「BIOSOMME/ビオソーム」という記述があったとしても,それらは単に化粧品販売届に関する書類にすぎず,本件商標の使用は何一つ証明していない。
(4)駆け込み使用について
ア 「請求されることを知った日」について,被請求人は,「本件不使用取消審判が請求されることを知ったのは,平成27年11月6日の請求人と被請求人代理人との電話によってである」旨主張している。
しかしながら,被請求人は,本件審判に先立つ登録第2693827号に対する不使用取消審判において,2015年(平成27年)7月29日(受付日)付けで代理人受任届(以下「受任届」という。)を提出している(甲26)。このことから,被請求人が,上記受任届の受付日より以前,少なくとも数週間前には,本件商標と社会通念上同一の商標について,不使用取消審判が請求された事実を知っていたことは明らかである。かかる状況において,その時点では本件商標に係る商標権の存続期間が満了していたとしても,本件商標が,上記登録第2693827号に係る商標と社会通念上同一の商標である以上,満了後6月以内に更新登録された場合,本件商標に対しても不使用取消審判が請求される可能性のあることは,十分に予見し得たとみるのが自然である。ここで,商標法第50条第3項本文にいう『審判の請求がされることを知った』は,平成8年改正商標法における改正の趣旨に鑑みれば,相手方の行動から『審判の請求があり得ることを察知した』の意で解すべきである。してみると,被請求人は,本件商標について不使用取消審判を請求される可能性を察知した日(平成27年7月29日より数週間前)後,俄かに本件商標の登録の取消しを免れるために,乙第4号証の試作品サンプルの出荷を行ったとみるのが合理的である。
イ 被請求人は,「請求人の主張は,推測の域を出ず,商標法第50条第3項本文にいう『(本件不使用取消)審判の請求がされることを知った』事実の立証はなされていない。」旨主張している。
しかしながら,被請求人は,請求人が「商標法第50条第3項本文にいう『審判の請求がされることを知った』は,(略)相手方の行動から『審判の請求があり得ることを察知した』の意で解すべきである。」との論点を提起したにもかかわらず,これに関する論点を全く無視して,単に「11月6日の電話によって,はじめて不使用取消審判が請求されることを知った」という主張を繰り返すのみである。
(5)名目的使用について
ア 名目的使用であることが疑われる理由の一つは,被請求人代理人自らが,請求人代理人に対して電話で「不使用取消審判に気が付き,不使用取消審判の対策として急遽使用の準備を開始した」という趣旨の発言をしたところにある(甲2)。また,理由のもう一つは,被請求人が販売していると主張する商品の量があまりにも少なく,取引したとされる相手の数もあまりにも少なく,商品が「業務用」であるにもかかわらず,取引相手の業務が不明確で,また取引相手が個人である点にある。
「準備開始からサンプル販売までの期間があまりにも短い」という事実は,名目的使用であることが疑われるもう一つの理由である。
通常,化粧品の商品化までは1年程度を要する。長いものだと10年といった期間を要して商品開発が行われるものもあり,それほど短期間にできる類の作業ではない。
本件の場合,準備開始からサンプル販売まで,わずか1か月しか要してない。通常では考えられないほど短期間である。このような超短期間で商品販売の準備ができたのは,「新たな商品を販売して利益を得る」という本来のビジネス上の目的ではなく,ひとえに「不使用取消審判に対抗する」という目的であったからにほかならない。このことからも,被請求人の使用が,単に「名目的使用」であることは明らかである。
以上のように,商標の「名目的使用」が争われている以上,被請求人は,本件商標の使用が「名目的使用」でないことを証明する証拠(例えば,「商品開発ノート」,「商品開発会議議事録」,「稟議書」,「営業関連記録」,「商品コンセプトや顧客ターゲットに関する記録情報」,「顧客からのサンプル品使用に関するフィードバック情報」,「提出証拠以外の商品販売に関する資料」,「商品カタログ,パンフレット」,「新商品と従来品の差異に関する情報」などの資料)を提出すべきである。
イ 本件商標の使用について,口頭審理において審判長は,「本件商標に関する使用例を(要証期間以外でも構わないから)提出してほしい」旨の指示を被請求人に対して行ったが,被請求人は,本件商標に関する他の使用例を一切提出していない。
また,請求人は,本件商標の使用が「名目的使用」でないことを証明する証拠を提出すべきであると主張したが,被請求人は,「名目的使用」でないことを証明する証拠を一切提出していない。
上記の事情にかんがみれば,本件商標は,本件審判において提出された以外の使用はされていなかったと考えるべきである。
不使用取消審判対策以外に,商業的に誠実な製造・販売目的があれば「名目的使用」には該当しない。
しかし,被請求人は,この「商業的に誠実な製造・販売目的」に関する主張と客観的な証明は,一切行っていない。
エ 請求人は,準備開始からサンプル販売,そして商品販売までの期間が超短期間であることを指摘したが,これに対し,被請求人は,「本件商品は,サンプル商品の配布,化粧品製造販売届書及び本件商品の販売の段階を踏んで販売を開始し,現在も販売を継続している商品である。」旨主張している。
しかしながら,上記のステップは,まさに,不使用取消審判を免れるための最低限の工程を踏んでいるだけであり,合理的な反論になっていない。
さらに,「現在も販売を継続している」と主張するものの,これに関する客観的証拠も一切提出されていない。
(6)通常使用権に関する契約について
被請求人は,「通常使用権の設定契約がなされていることを平成27年12月10日付で文書化したものである」旨主張している。
しかしながら,契約を交わした日付,通常使用権の対象とする地域,期間,内容まで特定して,「通常使用権の設定契約」という重大な法律行為を行ったと主張しているのであるから,6月30日に黙示の許諾の域を超える何らかの「明確な態様」での法律行為が行われたはずであるが,被請求人は,これを客観的に証明していない。
(7)商品番号について
被請求人は,商品番号の齟齬について種々述べているが,結局のところ,商品ラベルの番号とバーコードの番号が関係あることは理解できるが,「実際の商品」と「請求書内の商品番号」が一致するものであることは客観的に示せていない。
少なくとも,甲第9号証,甲第10号証に掲載された商品も,同様な方法で商品番号が附されていることを示すべきである。
(8)ベネフィック社について
請求人は,ベネフィック社の詳細が不明であるため,「実際の顧客に対して,名目的ではなく,真実にサンプルを配布したものか否か」につき,疑いの余地が残ると主張した。
これに対し,口頭審理において,審判長は,「ベネフィック社の実体がわかるような資料を提出してほしい」旨の指示を行った。
しかしながら,被請求人は,ベネフィック社の履歴事項全部証明書のみを提出し,同社の実体が分かるような資料は何ら提出していない。
ベネフィック社が,被請求人の顧客であれば,今回のサンプル品の配布に際し,サンプル配布先としての内部資料,サンプル品の説明に関する資料,サンプル品に関するフィードバック資料などが残るはずである。

第3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求める,と答弁し,審判事件答弁書,口頭審理陳述要領書及び上申書において,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標権者と,その関連会社であるくれえる社とは,平成27年6月30日に,本件商標権について,通常使用権の設定契約を交わしている(乙1)。
(2)くれえる社は,「化粧品の販売」を主要な業務として行うとともに,関連会社である自然美生薬社において,「化粧品の製造」を行っている(乙2)。
(3)くれえる社は,本件商標の使用の準備を,平成27年6月30日から開始し,自然美生薬社において製造した商品(乙3,以下「本件商品」という。)を,同年8月1日から試作品サンプルとして出荷を開始した(乙4)。
(4)試作品サンプルの本件商品が好評であったため,平成27年10月15日に大阪府に対して化粧品製造販売届書を提出し(乙5),同年11月1日から本件商品の販売を開始した(乙6)。
(5)以上のとおり,本件商標権の通常使用権者のくれえる社は,本件商標を,少なくとも,本件取消審判に係る指定商品,第3類「化粧品」について,要証期間に日本国内において使用している。
2 口頭審理陳述要領書(平成28年6月30日付け)
(1)本件商品(乙3,乙4及び乙6)について
本件商品は,「美容液」(乙5)であって,化粧品中の「化粧水」に該当する。本件商品の成分及びその製造方法は,乙第7号証に示すとおりである。
(2)本件商標権者とくれえる社及び自然美生薬社との関係について
本件商標権者は,くれえる社及び自然美生薬社の100%の持株会社であり(乙8の1及び2),本件商標権者は産業財産権を含む資産の管理部門を,くれえる社は販売部門を,自然美生薬社は製造部門をそれぞれ担当している。
このように,本件商標権者とくれえる社及び自然美生薬社とは,別法人ではあるが,各会社が1つの会社の各部門のように機能しているため,通常使用権に関する契約書や商品の製造に関する契約書は存在しない。
(3)請求人提出の弁駁書に対して
駆け込み使用及び名目的使用
請求人は,「被請求人は,本件不使用取消審判が請求されることを知った後に,本件商標の使用を開始した。そして,本件審判請求前3月から審判請求登録日までの間の使用のみを立証している。答弁書において提出された使用証拠は,単に本件不使用取消審判により取消されないためだけに作成されたものである。」旨主張している。
くれえる社が本件商標の使用の準備を開始した契機は,平成27年6月19日の「ビオソームという商品は取り扱いありますでしょうか?」という製品に関する問い合わせ(乙9の1及び2)にある。
たしかに,この問い合わせが,被請求人に本件商標が不使用であることの注意喚起になったことは事実であるが,それに止まり,被請求人が,本件不使用取消審判が請求されることを知ったのは,平成27年11月6日の請求人代理人と被請求人代理人との電話によってである(甲2)。
したがって,上記試作品サンプルの出荷及び本件商品の販売(本件商標の使用)は,いずれも,被請求人が,本件不使用取消審判が請求されることを知る前である。
イ 商品の不特定・日付の不特定等
請求人は,「使用証拠として,本件商標が使用された商品写真(乙3及び乙6),納品書控え(乙4及び乙6)を提出しているが,『写真に示された商品』が,『納品書に記載されている商品』と同一のものであることを十分に立証していない。試作品サンプルの写真(乙3)と出荷されたとされる商品の写真(乙6)は,全く同じ写真であり,単に一つの写真を二つの商品のために使いまわしている。」旨主張している。
乙第3号証の商品写真は,本件商品(実販売用の商品)の写真であり,試作品サンプルは,乙第4号証のとおりである。
乙第3号証(乙6も同様。)の商品写真の後面ラベルに記載された番号「15041 1004YJI」のうち,前半の5桁の数字は,商品の品番を示している。ただし,ラベルの表示可能桁数の関係から,本来の品番「150041」の中間の「0」を省略して,「15041」と表示している。なお,後半の4桁の数字及び3文字のアルファベットは,ロット番号であり,同一商品でも製造時期によって異なる。このことから,「写真の商品」と「納品書の商品」とが同一の商品であることがわかる。
乙第4号証の証明者のベネフィック社の代表取締役と,「龍宝堂」(甲4)を運営する者とは,ご夫婦であり,「株式会社ベネフィック」は,実体のある法人である。
無料で配布した「試作品サンプル」であっても,実販売を前提としたものであって,事実,実際の商品と実質的な差異はないことから,試作品サンプルの出荷は,商標法第2条第3項第2号にいう「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡」する行為にあたる。
3 上申書(平成28年9月1日付け)
(1)本件商品(乙3,乙4及び乙6)について
被請求人は,乙第3号証に係る商品写真は,くれえる社が販売した(現在販売している)商品であって,平成27年8月5日に配布したサンプル商品に関するものではないことを明らかにした。
この点に関し,請求人は,「平成27年8月に配布したサンプルに関する商品写真を全く提出していないこととなる。そうとすれば,『本件商標が当該サンプル商品にどのように使用されていたか』などに関する立証が行われておらず,被請求人は,そもそも平成27年8月5日に本件商標が使用されたことを証明していない。」と主張している。
しかしながら,平成27年8月5日に配布したサンプル商品は,乙第4号証に係る商品写真から明確であって,同日に本件商標が使用されたことは立証されている。
(2)商品実物と包装箱について
ア 被請求人は,口頭審理において,商品の実物と,その包装箱を提示した。
この点に関し,請求人は,「商品裏面ラベル部分には,商品価格と商品番号の部分のみ別のシールが添付されていた。所謂『シールの上にシール』が貼付された状態で,実際の商品として極めて不自然である。そもそも,常識的に,値段と商品番号のみを別のシールに印刷し,添付するといった行為に,営業上の合理性が全く見いだせない。この『別のシール』は,一つずつ手で貼られたものと推測されるが,このような作業はあまりにも煩雑で,このような方法で商品を量産することができないことは目に見えている。『美容液』という商品の性質上,量産ができないようなものは商標法上の『商品』とはいえず,また量産ができないような態様で配布されたという事実は,まさに,本件商標が単に『名目的に』使用されたことを示す証左に他ならない。このような『別シール』は,あとからいくらでも添付することができるため,このようなシールが添付された商品は,そもそもその証拠として信用性に欠ける。」旨主張している。
しかしながら,本件商品は,化粧品製造販売届書(乙5,作成者(届出者):自然美生薬社,届出先:大阪府)及び本件商品の成分及びその製造方法に記載されている「美容液(化粧品)」(乙7)であって,化粧品中の化粧水に該当するものである。
そして,本件商品は,主として,美容室やエスセティックサロン等において業務用として使用されるもので,商品の性質上,大量生産するものではない。
また,商品の製造時期等を特定するためのロット番号(「ロット番号」については後述。)を付す関係上,値段とロット番号を含む商品番号を別のシールに印刷し,貼付するようにしているが,このようなシールを用いた表示方法は極めて一般的な方法であるといえる。
イ 請求人は,「被請求人が持参した包装箱には『BIOSOMME』という商標は一切附されておらず,代わりに『Aigasho』及び『ORIGISOLE』という商標が附されていた。口頭審理における被請求人の言によれば『当該包装箱に入れて商品を取引している』とのことである。そうとすれば,商品を識別するために商標は,需要者・取引者の目に最も触れる『当該包装箱』に記載されているべきものであり,そうとすれば,本件商品の商標は,やはり『Aigasho』及び『ORIGISOLE』の部分にあるとみるべきである。包装箱にも,ラベル正面にも付されていい『BIOSOMME』の文字は,商標法上の『商標』とは考えるべきではない。」と主張している。
しかしながら,本件商品は,上述のとおり,主として,美容室やエスセティックサロン等において業務用として使用されるもので,一般消費者向けに陳列して販売される商品ではないため,商品の背面側のラベル面に記載されていても,本件商品の「商標」(識別標章)としての機能を十分に果たしている。
ちなみに,被請求人が販売している商品の多くは,上記表示方法を採用している(甲9及び甲10)。
さらに,本件商標が,本件商品の「商標」(識別標章)として用いられていることは,乙第5号証からも明確である。
ここで,本件商品に本件商標と共に付されている「Aigasho」は,被請求人の商品の主要なブランド名の1つで,同「ORIGISOLE」は,その中のシリーズ名であり,本件商標は,その中の個別商品名である。
(3)商標法上の「商標」としての使用について
請求人は,「これら(美容液)の商取引の実情をかんがみると,当該『美容液』の識別標識として機能しているのは,商品の前面に大きく記された『ORIGISOLE』,『Aigasho』の部分である。被請求人の主張するところの『業務用』美容液の容器後面に『オリジソール BIOSOMMEビオソーム』と小さく記された『BIOSOMME ビオソーム』の部分は出所表示機能を発揮しておらず,商標法上の『商標』の使用には該当しない。」と主張している。
しかしながら,本件商品は,上述のとおり,主として,美容室やエスセティツクサロン等において業務用として使用されるもので,一般消費者向けに陳列して販売される商品ではないため,商品の背面側のラベル面に記載されていても,本件商品の「商標」(識別標章)としての機能を十分に果たしている。
(4)駆け込み使用について
請求人は,「被請求人は,本件審判に先立つ登録第2693827号に対する不使用取消審判において,平成27年7月29日(受付日)付けで代理人受任届を提出している(甲26)。このことから,被請求人が,上記受任届の受付日より以前,少なくとも数週間前には,本件商標と社会通念上同一の商標について,不使用取消審判が請求された事実を知っていたことは明らかである。かかる状況において,その時点では本件商標に係る商標権の存続期間が満了していたとしても,本件商標が,上記登録第2693827号に係る商標と社会通念上同一の商標である以上,満了後6月以内に更新登録された場合,本件商標に対しても不使用取消審判が請求される可能性のあることは,十分に予見し得たとみるのが自然である。ここで,商標法第50条第3項本文にいう『審判の請求がされることを知った』は,平成8年改正商標法における改正の趣旨にかんがみれば,相手方の行動から『審判の請求があり得ることを察知した』の意で解すべきである。してみると,被請求人は,本件商標について不使用取消審判を請求される可能性を察知した日(平成27年7月29日より数週間前)後,俄かに本件商標の登録の取消しを免れるために,乙第4号証の試作品サンプルの出荷を行ったとみるのが合理的である。」と主張している。
しかしながら,被請求人が,本件不使用取消審判が請求されることを知ったのは,平成27年11月6日の請求人と被請求人代理人との電話によってである。
請求人の主張は,推測の域を出ず,商標法第50条第3項本文にいう「(本件不使用取消)審判の請求がされることを知った」事実の立証はなされていない。
(5)名目的使用について
ア 請求人は,「被請求人代理人自らが,請求人代理人に対して電話で『不使用取消審判に気が付き,不使用取消審判の対策として急遽使用の準備を開始した』という趣旨の発言をしたところにある(甲2)。」と主張している。
被請求人が既に明らかにしているとおり,くれえる社が本件商標の使用の準備を開始した契機は,平成27年6月19日の「ビオソームという商品は取り扱いありますでしょうか?」という製品に関する問い合わせ(乙9の1,乙9の2)にあるが,被請求人が,本件不使用取消審判が請求されることを知ったのは,平成27年11月6日の請求人代理人と被請求人代理人との電話によってである(甲2)。
イ 請求人は,「本件の場合,準備開始からサンプル販売まで,わずか1か月しか要していない。通常では考えられないほど短期間である。このような超短期間で商品販売の準備ができたのは,『新たな商品を販売して利益を得る』という本来のビジネス上の目的ではなく,ひとえに『不使用取消審判に対抗する』という目的であったからにほかならない。このことからも,被請求人の使用が,単に『名目的使用』であることは明らかである。」と主張している。
しかしながら,本件商品は,サンプル商品の配布(乙4),化粧品製造販売届書(乙5)及び本件商品の販売(乙6)の段階を踏んで販売を開始し,現在も販売を継続している商品である。
(6)通常使用権に関する契約について
本件商標権者とくれえる社とは,別法人ではあるが,各会社が1つの会社の各部門のように機能しているため,通常使用権に関する契約書は存在しないが,乙第1号証は,くれえる社が本件商品の販売を企画するに当たり,通常使用権の設定契約がなされていることを平成27年12月10日付けで文書化したものである。
(7)商品番号について
乙第3号証(乙6も同様。)の商品写真の後面ラベルに記載された番号「15041 1004YJI」のうち,前半の5桁の数字は,商品の品番を示している。ただし,表示可能桁数の関係から,伝票番号(乙4及び乙6)の品番(社内管理品番)「150041」の中間の「0」を省略して,「15041」と表示しているだけで,「写真の商品」と「納品書の商品」とは同一の商品である。
なお,後半の4桁の数字及び3文字のアルファベットは,ロット番号であり,同一商品でも製造時期によって異なる。
商品写真の背面側のラベル面には,バーコードと共に,JANコードが記載されている。
このJANコードは,GS1事業者コード(7桁)+商品アイテムコード(5桁)+チェックデジット(1桁)で構成されている(乙11)。
そして,本件商品のJANコードは,「4947516150415」(GS1事業者コード:4947516(7桁)+商品アイテムコード:15041(5桁)+チェックデジット:5(1桁))であり,JANコードの商品アイテムコード:15041(5桁)と,後面ラベルに記載した商品の品番とが一致するようにしている。
(8)伝票番号(乙4及び乙6)について
乙第4号証及び乙第6号証の伝票番号が日付順でなく逆転している点については,口頭審理において説明したとおり,ベネフィック社と,大阪市西区在の者とは,販売契約の形態が異なり(ベネフィック社:一般取引契約(大口),大阪市西区の者:ネットワーク販売契約(小口)),伝票番号は,販売契約の形態別に別系統で付与,管理しているためである。
(9)乙第4号証の証明者について
証明者の「株式会社ベネフィック」は,実体のある法人である(乙12)。乙第4号証に記載されているベネフィック社の住所は,同社の営業所であり,同社の本店は,代表取締役の住所である。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について,被請求人の主張及び提出した証拠によれば,以下のとおりである。
(1)くれえる社について
ア 乙第1号証は,平成27年12月10日付けの特許庁にあてた本件商標権者とくれえる社(大阪市中央区西心斎橋1丁目10番25号)の各代表取締役連名の「宣誓書」であり,本件商標権者は,くれえる社の関連会社であること,平成27年6月30日に本件商標権者が所有する2件の商標権について,通常使用権の設定契約を交わしたことに相違ない旨の記載があり,本件商標の登録番号,「通常使用権の範囲」には,「地域 全部」,「期間 全部」,「内容 全部」の記載がある。
イ 乙第8号証の1は,くれえる社の平成26年8月21日から同27年8月20日までの「同族会社等の判定に関する明細書」であり,中程の「判定基準となる株主等の株式数等の明細」には,「判定基準となる株主(社員)及び同族関係者」の欄に「ジェーピイエメラルド(株)」の名称及び所在地の記載と,「株式数又は出資の金額」及び「議決権の数」の欄には,いずれも「397,500」の記載がある。
そして,「同族会社の判定」の「上位3順位の株式数又は出資の金額」及び「上位3順位の議決権の数」の欄には,いずれも「397,500」の記載があり, 「株式数等による判定」及び「議決権の数による判定」には,いずれも「100.0%」の記載があり,「判定結果」には「同族会社」の記載がある。
ウ 上記イからすると,本件商標権者とくれえる社とは同族会社であり,くれえる社は,本件商標権者から本件商標について黙示の使用許諾がなされているものと推認できるから,本件商標の通常使用権者とみて差し支えない。
なお,上記アのとおり,本件商標権者とくれえる社の間で,通常使用権の契約を交わした旨の宣誓書も提出されている。
(2)本件商標の使用(試作品サンプル)について
ア 乙第4号証は,商品納品証明書(試作品サンプルの出荷証明)とするものであり,1葉目の下段の平成27年12月18日付けの「証明書」には,「本書添付の写真の商品について,本書添付の納品書(控)のとおり納品を受けたことに相違ありません。」の記載及び栃木県宇都宮市在のベネフィック社の代表取締役名の記載及び押印がある。
そして,2葉目は3枚の写真であり,上段の左側のラベルが貼られた容器には,上部に「ORIGISOLE」の欧文字及び中程には橙色の楕円形内にややデザイン化された「Aigasho」の欧文字が表示され,下段の写真には,ラベルの上部に「BIOSOMMEビオソーム・・・」(審決注:「・・・」部分は,読み取ることができない。)の記載がある。
また,3葉目は,出荷年月日を平成27年8月5日とするくれえる社(大阪府東大阪市中新開2-13-7)から,栃木県宇都宮市在のベネフィック社にあてた「納品書(控)」であり,その「品番・品名」の欄には「150041 オリジソール ビオソーム BIOSOMME」,「数量」の欄には「12」,「金額」の欄には「0」,「備考」の欄には「試作品サンプル 提供」の記載がある。
イ 上記によれば,本件商標の通常使用権者は,試作品サンプルとする商品の容器に,「BIOSOMMEビオソーム」の文字を表示したものであり,その構成中の「BIOSOMME」の欧文字は,本件商標と社会通念上同一と認められる。
しかしながら,同号証の2葉目の写真からは,商品の容器に付されたラベルのその他の表示が不鮮明で読み取ることができず,容器の中味がいかなる商品であるかが明確でなく,かつ,この写真の撮影日は不明である上に,当該商品の製造年月日等を示す表示は何ら見いだせない。
そうすると,乙第4号証によっては,要証期間に,本件商標の通常使用権者が,上記商標を本件指定商品に付して使用したものということができない。
また,ベネフィック社が,平成27年8月5日に,くれえる社から納品を受けたとする「品番」を「150041」及び「品名」を「オリジソール ビオソーム BIOSOMME」と記載された上記納品書(控)(3葉目)に係る商品が,乙第4号証の2葉目の写真の商品であるかについては,当該写真の商品の容器に付されたラベルのその他の表示が不鮮明で品番の確認もできないので,これを立証しているものということはできない。
そうすると,要証期間に,本件商標の通常使用権者が,本件指定商品に上記商標を付して譲渡したものということができない。
(3)本件商標の使用(本件商品の譲渡,引き渡し)について
ア 乙第3号証(乙第6号証の2葉目も同様)及び乙第10号証は,本件商品の写真とするものであり,乙第3号証の左側の写真の容器の正面側に貼られたラベルには,上部分に「ORIGISOLE」の欧文字,中程に橙色の楕円形内にややデザイン化された「Aigasho」の欧文字及び「Beauty Solution」と思しき欧文字が表示されている。
そして,乙第3号証(乙第6号証の2葉目)の右側の写真及び乙第10号証の写真に写された容器の裏側に貼られたラベルには,上部分に「オリジソールBIOSOMMEビオソーム 美容液」の表示があり,中程には「発売元 株式会社くれえる」及び「製造販売元 自然美生薬株式会社」の記載及び下部分には「定価 ¥20,000+税」及び「15041 1004YJI」の表示がある。
また,乙第3号証(乙第6号証の2葉目)の右側の写真に写された容器の裏側に貼られたラベルには,バーコードと,その下に「4947516150415」の記載がある。
イ 乙第5号証の2葉目及び3葉目は,自然美生薬社が大阪府知事あてに平成27年10月15日に提出した「化粧品製造販売届書」(写し)であり,1葉目は,その「受付表(正)」(写し)である。
そして,2葉目及び3葉目の「化粧品製造販売届書」のいずれにも,「販売名」の欄に「オリジソール BIOSOMME ビオソーム 美容液」の記載がある。
ウ 乙第6号証は,商品納品証明書(本件商品の出荷証明)とするものであり,1葉目の下段の平成27年12月19日付けの「証明書」には,「本書添付の写真の商品について,本書添付の納品書(控)のとおり納品を受けたことに相違ありません。」の記載及び大阪市西区在の者の記名及び押印がある。
そして,2葉目は2枚の写真であり,これらの写真は,乙第3号証に添付されたものとほぼ同一である。
また,3葉目は,出荷年月日を平成27年11月4日とする,くれえる社(大阪府東大阪市中新開2-13-7)から,大阪市西区在の者にあてた「納品書」であり,その「品番・品名」の欄には「150041 オリジソール ビオソーム BIOSOMME」の記載,「数量」の欄には「2」,「単価」の欄には「16,000」の記載がある。
エ 乙第11号証は,一般財団法人流通システム開発センターから,くれえる社(大阪府東大阪市中新開2-13-7)にあてた2015年3月19日発行の「GS1事業者コード(JAN企業コード)更新通知書」であり,「貴事業者より申請のあったGS1事業者コード(JAN企業コード)について,下記の通り貸与されたことを通知します。」の記載と,「GS1事業者コード(JAN企業コード)」の欄に,「4947516」,「備考」の欄に「標準7桁1コード」,「・・・有効期限は2018年4月末までです。」の記載がある。
そして,2葉目の「GS1事業者コード利用にあたっての重要事項」には,「●GS1事業者コードの有効期間は,更新手続きにより3年間延長されます。」の記載がある。また,「JANコードの構成」によれば,「7桁SG1事業者コードの場合」,最初の7桁が「SG1事業者コード」,続く5桁が「商品アイテムコード」,続く1桁が「チェックデジット」であることが記載されている。
オ 前記アないしエによれば,以下のとおりである。
(ア)前記アによれば,本件商標の通常使用権者は,本件商標の指定商品中「化粧品」に含まれる「美容液」の容器に,「オリジソールBIOSOMMEビオソーム 美容液」の文字を表示したものであり,その構成文字において,個別商品名として表示したとする「BIOSOMME」の欧文字部分は,本件商標と社会通念上同一と認められる。
しかしながら,乙第3号証,乙第6号証及び乙第10号証の写真の撮影日は不明である上に,当該商品の製造年月日等を示す表示は何ら見いだせない。
そうすると,これらの証拠によっては,要証期間に,本件商標の通常使用権者が,上記商標を商品「美容液」に付して使用したものということができない。
(イ)前記イによれば,「オリジソールBIOSOMMEビオソーム 美容液」の製造販売元である自然美生薬社は,平成27年10月15日に,該商品の「化粧品製造販売届書」を大阪府に提出したことが認められる。
しかしながら,それに止まり,商品「オリジソールBIOSOMMEビオソーム 美容液」が実際に製造,販売されたことを示すものということができない。
(ウ)前記ウによれば,大阪市西区在の者は,乙第6号証に添付された写真の商品について,納品書(乙6)のとおり納品を受けたことに相違ない旨を陳述している。
しかしながら,上記(ア)のとおり,乙第6号証の写真の撮影日は不明である上に,当該商品の製造年月日等を示す表示は何ら見いだせないものである。
そして,「GS1事業者コード(JAN企業コード)更新通知書」(乙11)の記載内容によれば,乙第6号証の2葉目の右側の写真に写された容器の裏側に貼られたラベルに記載されている「4947516」は,くれえる社のGS1事業者コードであって,該コードは,2015年(平成27年)3月19日に,更新手続きにより3年間延長されたものであることからすれば,少なくとも,くれえる社は,該コードを2015年(平成27年)3月より3年以上前から使用をしていたものということができる。
しかしながら,「4947516」のGS1事業者コードが,くれえる社のコードであるとしても,該コードの表示のみをもって,乙第6号証の2葉目の商品の製造時期を特定することができない。
また,「商品アイテムコード」は5桁であるから,「15041」は,該コードであって,乙第6号証の「納品書」の記載と一致するものでないこと,商品に表示された定価は「¥20,000」であるのに対し,納品書に記載された単価は16,000円であり一致するものでないこと,また,該商品の販売に先立ち,大阪市西区在の者がくれえる社に対し,納品書に記載された「オリジソール ビオソーム BIOSOMME」を注文した事実等は,証明されていない。
そうすると,乙第6号証をもって,「オリジソール BIOSOMMEビオソーム」と表示された商品が,要証期間に含まれる平成27年11月4日に,本件商標の通常使用権者から大阪市西区在の者に譲渡又は引き渡された一連の取引を証明したものということができない。
したがって,該証拠によっては,要証期間に含まれる平成27年11月4日に,本件商標の通常使用権者から大阪市西区在の者に譲渡又は引き渡されたとされる商品が,乙第6号証の2葉目の商品ということができない。
(エ)被請求人は,容器の裏側のラベルの最下部に記載された後半の4桁の数字(1004)及び3文字のアルファベット(YJI)について,ロット番号であり,製造時期によって異なる旨を主張しているが,該ロット番号の商品の製造時期を示す証拠を提出していないものであるから,該番号から商品の製造時期を確認することもできない。
(4)まとめ
以上のとおり,被請求人が提出した証拠からは,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標権者,通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが,本件指定商品のいずれかについて,本件商標(社会通念上同一のものを含む。)を使用していることを証明したものということができず,かつ,本件指定商品について,本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかでない。
2 むすび
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条第1項の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-02-16 
結審通知日 2017-02-20 
審決日 2017-03-03 
出願番号 商願昭63-78034 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y03)
最終処分 成立 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 田中 亨子
板谷 玲子
登録日 1995-04-28 
登録番号 商標登録第2706713号(T2706713) 
商標の称呼 ビオソーム、バイオソーム 
代理人 竹中 陽輔 
代理人 森 治 
代理人 栃木 順子 
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