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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0914
審判 全部申立て  登録を維持 W0914
管理番号 1327159 
異議申立番号 異議2016-900260 
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-05-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-08-19 
確定日 2017-03-31 
異議申立件数
事件の表示 登録第5851357号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5851357号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5851357号商標(以下「本件商標」という。)は、「METALICA」の欧文字を横書きしてなり、2015年(平成27年)6月25日に大韓民国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成27年10月9日に登録出願、第9類及び第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成28年4月12日に登録査定、同年5月20日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する国際登録第858989号商標(以下「引用商標」という。)は、「METALLICA」の欧文字を横書きしてなり、2004年(平成16年)11月12日に国際商標登録出願、第3類、第6類、第9類、第14類、第16類及び第25類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成20年10月10日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議申立ての理由
申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第8号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第8号該当性
本件商標は、「METALICA」の欧文字よりなり、該文字に相応して「メタリカ」の称呼を生ずるものであり、特定の意味を有するものとして、一般に知られ親しまれたものとは認められない一種の造語よりなるものである。
「Metallica(メタリカ・METALLICA)」は、米国在のロックバンドでヘビーメタルの分野では第一人者といわれ、日本はもとより世界的に著名なバンドの名称である。
申立人は、1980年代にバンドのメンバーにより設立された合名会社「Metallica」であり、かつ、「METALLICA(メタリカ)」商標を管理、使用している者である(以下、申立人及びロックバンド「Metallica」をまとめて「申立人等」という場合がある。)。
本件商標と「Metallica」とは、第6文字目において「l」の欧文字の有無の微差にすぎず、外観上はほぼ同一の構成よりなるものと認識される。そして、本件商標は、その称呼「メタリカ」より、著名なバンド「Metallica(メタリカ)」を容易に連想、想起することから、著名なバンド名である「メタリカ(Metallica)」を観念するものである。
そうすると、本件商標に接する者は、本件商標が申立人の名称及び著名なバンドの名称を表してなるものと把握、認識するものであり、かつ、申立人及び当該バンドのメンバーの承諾を得ていない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号該当性
本件商標は、引用商標と称呼、外観及び観念を共通にする同一の商標というべきであって、そして、申立人は、引用商標をTシャツ、被服等の商品(以下「申立人使用商品」という。)に付し、我が国の輸入業者やネット通販にて販売した結果、引用商標は、我が国のロック愛好家の間において周知、著名となっているところから、申立人使用商品と本件商標の指定商品とは、日常一般に使用される商品を含むものであり、需要者を共通にするものである。
そうすると、本件商標をその指定商品に使用した場合、バンド名「METALLICA」の著名性と相侯って、本件商標に接する取引者、需要者は、申立人等の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第8号について
(1)商標法第4条第1項第8号の趣旨
商標法第4条第1項第8号は、「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)」と規定しているところ、その趣旨は、人の肖像、氏名、名称等に対する人格的利益を保護すること、すなわち、人(法人等の団体を含む。)は、自らの承諾なしにその氏名、名称等を商標に使われることがない利益を保護することにあり(最高裁平成17年7月22日第二小法廷判決・裁判集民事217号595頁)、商品又は役務の出所の混同防止を目的とするものではない。したがって、同項第8号にいう「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称」(以下「他人の名称等」という。)に該当するのは、その人格的利益として保護に値する表示であることから、その表示は、正式な氏名、名称、あるいは、その本人を指し示すものとして受け入れられている著名な略称等と同一であることを要するというべきであって、「他人の名称等」に類似する標章は含まれないと解するのが相当である。
(2)検討
これを本件について検討するに、本件商標は、前記1のとおり、「METALICA」の欧文字を横書きしてなるものである。
一方、申立人が提出した証拠によれば、1981年(昭和56年)に結成された米国カリフォルニア州出身のヘビーメタルバンドの名称は、「METALLICA」であり(甲5等)、また、申立人は、その正式名称を「METALLICA(Metallica)」とするものである(甲2、甲3)。
してみると、本件商標は、ヘビーメタルバンドの名称及び申立人の正式名称とは同一、あるいは、それと同一の表示を含むものではないから、他人の名称等を含むものとはいえない。
(3)小活
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の著名性
申立人が提出した証拠及び申立ての理由によれば、申立人は、1990年(平成2年)から1994年(平成6年)にかけて、引用商標を付したTシャツ、帽子(キャップ)、ポスター、バッジ等の申立人使用商品をそのライセンシー等を介して、我が国において販売したほか、申立人使用商品に関し、1998年(平成10年)のPoor Re-Touring Me-Pacific Rimツアーにおいて、約34万5000ドル、2003年日本ツアーにおいて、約34万4000ドルの売上があったこと(甲13)、ヘビーメタルバンド「METALLICA」の音楽に関するアルバムやビデオの売上数量(ソニー ミュージックジャパン)は、1988年(昭和63年)頃から2003年(平成15年)の約16年の間に、総計191万8952枚であったこと(甲14)、また、申立人は、引用商標を付した申立人使用商品を我が国で行った同バンドのコンサートツアー、あるいは、インターネットを介して販売をし、例えば、2010年(平成22年)9月25日、同26日のさいたまスーパーアリーナでの売上は、8639万円であり(甲16)、さらに、2006年(平成18年)から2016年(平成28年)までの約10年間の売上げにおいて、ツアー販売で1億4921万3千円、小売での売上で、3億8619万669円があった旨を「平成18年から平成28年の売上表」(甲17)などにまとめて述べているが、それら売上を裏付ける客観的な証拠の提出はない。
なお、仮に、そのような販売状況であったとし、申立人より提出された他の証拠(甲1?12)を勘案したとしても、引用商標を付した申立人使用商品の販売は、主として、ヘビーメタルバンド「METALLICA」のコンサートツアーやロック・メタルバンドに関する商品を取り扱うウェブサイトを介してされたものであり、また、申立人が提出した該バンドが掲載されている雑誌(甲9)もヘビーメタル専門誌であることから、申立人使用商品に係る需要者は、主にロックミュージックの愛好家の範囲を超えないものと推認することができる。さらに、ヘビーメタルバンド「METALLICA」のコンサートツアーの開催数(甲6)並びにライセンシー等を介した申立人使用商品(甲13、16)及びアルバム・ビデオ(甲14)の販売数等についても1980年代から2010年以前におけるものが大半であり、同バンドの我が国におけるファンクラブメンバーの数についても696名(2016年8月9日現在。甲15)と決して多いものではなく、近年、我が国において同バンドの活動が盛んに行われているとはいえない。その他、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標を付した申立人使用商品が、各種メディアを通じて積極的に広告をしたという事実を明らかにする証拠も何ら提出されていない。
そうとすると、引用商標は、ヘビーメタルバンド「METALLICA」を表すものとして、例えば、商品「録音済みのコンパクトディスク」、役務「音楽の演奏」などロックミュージックに関連する商品・役務の分野の取引者・需要者の間において知られていたとしても、それは様々なジャンルを有する音楽の分野の中でもごく一部の限定された範囲であるにすぎないといえ、少なくとも音楽に関連する以外の商品・役務の分野については、申立人の提出した証拠をもってしては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標を付した商品が申立人等を表示するものとして、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないし、他にこれを認めるに足りる証拠はない。
(2)本件商標と引用商標の類似性について
ア 本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「METALICA」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は、一般の辞書等に掲載のない語であって、特定の意味合いを生ずるものではないことから、一種の造語として認識されるものである。
ところで、欧文字からなる造語の場合は、我が国で一般に普及したローマ字又は英語の読みに倣って称呼されるところ、本願商標は、その構成文字のつづりからすれば、英語の読みに倣って称呼されるのが自然であるから、本願商標からは、その構成文字に相応して「メタリカ」の称呼が生ずるものであり、また、特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、前記第2のとおり、「METALLICA」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は、一般の辞書等に掲載のない語であって、特定の意味合いを生ずるものではないことから、一種の造語として認識されるものである。
したがって、造語である引用商標は、前記アと同様に、その構成文字のつづりからすれば、英語の読みに倣って称呼されるのが自然であるから、引用商標からは、その構成文字に相応して「メタリカ」あるいは「メタルリカ」の称呼が生ずるものであり、また、特定の観念は生じないものである。
類否判断
本件商標と引用商標を対比するに、称呼については、「メタリカ」の称呼を共通にするものである。
次に、外観については、本件商標は「METALICA」の欧文字8字からなる構成である対し、引用商標は「METALLICA」の欧文字9字からなる構成であって、その中間の6文字目において、大文字「L」の有無という違いがあるものの、その差異は6文字目という中間部分であって、かつ、「L」が2文字続けて重なって配置されていることから格別際立った印象を与えるものではなく、さらに、その他8字の部分は、すべて同じ綴りによる大文字で表されているものである。そして、両者は、共に、普通に用いられる一般的な書体で表示したものであることからすると、外観において、明瞭な差異を有するとはいえず、互いに近似した印象を与える類似したものであるといえる。
また、観念については、両商標は、一種の造語として看取され、特定の観念を生じないものであることから、観念においては比較できないものである。
そうすると、これらを総合勘案すれば、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(3)本件商標の指定商品と引用商標が使用される申立人使用商品との関連性について
本件商標は、商標登録原簿に記載のとおり、主として、第9類に属する携帯電話及びその関連商品、コンピュータ関連の商品、携帯情報端末等並びに第14類に属する時計等を指定商品とするものである。
一方、申立人使用商品は、主として、Tシャツ、帽子(キャップ)、ポスター、バッジ等及び音楽のアルバム・ビデオデープ等である。
してみると、本件商標の指定商品と申立人使用商品とは、商品の用途、性質、機能等において著しく異なるばかりか、生産者、取引系統、販売場所等においても異なる場合が多いといえるから、その関連性は低いものというべきであり、さらに、仮に商品「録音済みのコンパクトディスク」、役務「音楽の演奏」などにおいて、引用商標が申立人等を表すものとして取引者、需要者の間に認識されているとしても、それは当該商品・役務の分野の中でも、ロックミュージックに関連する商品・役務に限られていることから、それら商品・役務と本件商標の指定商品との関連性は、より低いものというべきである。
(4)小活
以上のとおり、本件商標と引用商標が類似するものであったとしても、引用商標が取引者・需要者の間に広く認識されている分野はごく一部の限定された範囲に限られるものであり、また、前記分野と本件商標の指定商品の分野との関連性も低いものであることなどを総合的に勘案すれば、本件商標の指定商品を取り扱う分野において、本件商標に接する一般の取引者・需要者は、引用商標を想起・連想することはないといえるから、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が申立人等又はこれらと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しないものと認める。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号及び同項第15号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-03-23 
出願番号 商願2015-98096(T2015-98096) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W0914)
T 1 651・ 23- Y (W0914)
最終処分 維持 
前審関与審査官 加藤 百宇 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 幸一
真鍋 伸行
登録日 2016-05-20 
登録番号 商標登録第5851357号(T5851357) 
権利者 エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
商標の称呼 メタリカ 
代理人 青木 篤 
代理人 田島 壽 
代理人 平木 祐輔 
代理人 曽根 啓子 
代理人 秋友 徹 
代理人 高野 清 
代理人 安田 徹夫 
代理人 平木 康男 
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