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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W41
管理番号 1327157 
異議申立番号 異議2015-900227 
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-05-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-07-09 
確定日 2017-03-13 
異議申立件数
事件の表示 登録第5754882号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5754882号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5754882号商標(以下「本件商標」という。)は,「星輝進学スクール」の文字を標準文字で表してなり,平成26年11月13日に登録出願,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,学習塾における教授,進学予備校又は学習塾における学習用試験又は進学用模擬試験の企画・運営又は開催」を指定役務として,同27年2月27日に登録査定され,同年4月3日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は,商標法第3条第1項柱書,同法第4条第1項第7号及び同第10号に該当し,同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第67号証及び陳述書1ないし陳述書5を提出している。
1 商標法第3条第1項柱書について
本件商標権者は,本件商標も含め2014年5月15日から12月4日までのわずか半年余りの間で41件の商標登録出願をしていて,これらの出願のほとんどが,本件商標権者の登録出願前に,第三者が当該出願の指定商品又は指定役務と同一又は類似する商品又は役務について既に使用している商標であるから,第三者の使用商標を収集しているにすぎないというべきであって,本件商標は,登録査定時において,本件商標権者が現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標に当たらない上、本件商標権者に将来の自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思があるとも認め難いため,本件商標は,商標法第3条第1項柱書に該当する。
2 商標法第4条第1項第7号について
本件商標権者は,本件商標も含め前記41件の出願のうち,前述のとおり,これらの出願のほとんどが第三者が使用している使用商標であるにもかかわらず,当該第三者の使用商標と同一又は類似の商標を当該第三者が使用している商品又は役務について悪意で出願し剽窃しているといえ,これらの商標の出願は,公正な取引秩序を乱すという点で公序良俗に反することから,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。
3 商標法第4条第1項第10号について
申立人が経営する学習塾「星輝進学スクール」は,2011年7月に石川県小松市において設立され,毎年地元有名高校を中心に多数の合格者を輩出していて,本件商標の登録出願(2014年(平成26年)11月13日)前より,塾関係者や教育関係者の間で広く認識されていることから,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。

第3 本件商標に対する取消理由
商標権者に対し,平成28年2月5日付け取消理由通知書で通知した本件商標の取消理由(要旨)は,次のとおりである。
1 申立人の使用に係る商標等について
申立人は,「星輝進学スクール」の名称を使用して,2011年(平成23年)7月から学習塾の経営を行っている(甲20)。申立人の学習塾は,石川県小松市内にあり(甲1),商標権者の住所と近接している。
そして,申立人は,「星輝進学スクール」の文字及びこれをやや図案化した別掲に記載のとおりの文字(以下,これらを併せて「使用商標」という。)を申立人のホームページ及び申立人の塾の講習生募集等のチラシ広告で使用している(甲1ないし甲4及び甲20)。
なお,申立人の別掲の使用商標は,「星」の部分が図案化されたものもあるが,容易に「星輝進学スクール」と読み取れる。
2 本件商標と使用商標の類否について
本件商標と申立人の使用商標は,ともに「星輝進学」の漢字と「スクール」の片仮名を組み合わせた構成からなるものであり,同一視できるものである。そして,両商標は,その構成文字に照応した,「セーキシンガクスクール」の称呼が生ずる。
また,両商標の構成中「星輝」の文字は,辞書等に掲載されている既成語ではないから,この部分から直ちに特定の観念は生じないし,構成全体からも特定の観念は生じない。
してみると,本件商標と使用商標は,ともに特定の観念が生じず,外観に相違する部分があるとしても,同一視できる範囲であって,称呼が共通であることからすれば,全体として互いに類似する商標と認められる。
3 商標権者によるその他の商標登録等
商標権者による商標登録等及び商標権者以外の第三者の使用状況等(下線部は,合議体が記載)によれば,以下の事実が認められる。
(1)「日の出塾」(登録第5725249号,出願日:平成26年8月18日)の出願においては,他人である「大学・短大受験専門 日の出塾」のウェブサイトにおいて,「日の出塾」の見出しの下,「日の出塾は昭和58年に高校生専門塾として開塾以来,おかげ様で今年創立30周年を迎えることが出来ました。」の記載とともに「Last Update2013.12.03」の記載がある(甲22)。
(2)「ファースト・アカデミー」(登録第5725250号,出願日:平成26年8月18日)の出願においては,他人である「石川県南加賀最大の学習塾 ファースト・アカデミー」のウェブサイトにおいて,「ファースト・アカデミー」の見出しの下,「ファースト・アカデミー ニュースレター」として「‘08 10月 第30号」の記載がある(甲23及び甲24)。
(3)「ひらんて」(登録第5727123号,出願日:平成26年8月25日)の出願においては,他人である「社会福祉法人 自生園」のウェブサイトにおいて,「グループホーム(ひらんて)の特徴」見出しの下,「認知症のお年寄りが家庭的な雰囲気の中,安心して暮らすことができます。自立への支援を通して,認知症の緩和に努めます。」の記載があり(甲59),「HELPMAN JAPAN 介護サービス検索」のウェブサイトにおいて,「グループホーム自生園ひらんて」の記載とともに「事業開始年月日 2005/09/01」の記載がある(甲60)。
(4)「カレッジの王様」(登録第5731824号,出願日:平成26年9月16日)の出願においては,他人である「カレッジの王様」のウェブサイトにおいて,「本日はカレッジの王様HPにお越し頂き誠にありがとうございます。当店は30年以上の歴史を持ちながら,(以下略)」の記載とともに「ご利用方法」の項において,「お店でお酒やソフトドリンクを飲みながら(以下略)」の記載がある(甲56)。
(5)「癒し処FU-GA」(登録第5731825号,出願日:平成26年9月16日)の出願においては,他人である「癒し処FU?GA」のウェブサイトにおいて,「癒し処FU?GA」の記載とともに「特にお疲れの部分には,呼吸に合わせるようにゆっくりと加圧・ほぐしの動作が加わります」の記載があり,「Copyright 2007 FU-GA」の記載がある(甲58)。
(6)「千喜エデュケーション」(登録第5733252号,出願日:平成26年9月23日)の出願においては,他人である「石川県加賀市進学塾 センギエデュケーション」のウェブサイトにおいて,本件商標権者が出願した商標「千喜エデュケーション」と酷似する「加賀市進学塾千喜education」及び「センギエデュケーション」の記載とともに「今年で開校10年目を迎えました」の記載がある(甲25)。
(7)「男子学園」(登録第5737805号,出願日:平成26年10月1日)の出願においては,他人である「男子学園」のウェブサイトにおいて,「男子学園」の文字と「Since1993」の記載,及び「ドリンクメニュー」の記載がある(甲57)。
(8)「Flip your classroom」(登録第5743207号,出願日:平成26年10月7日)の出願においては,「Amazon」のウェブサイトにおいて,他人によって,英語のペーパーバック「Flip Your Classroom(Jonathan Bergmann(著),Aaron Sams(著)」が販売されており,「発売日:2012/8/15」の記載がある(甲32)。
(9)「ASSISTA根上」(登録第5743751号,出願日:平成26年10月9日)の出願においては,他人である「Assist」のウェブサイトにおいて,本件商標権者が出願した商標「ASSISTA根上」と酷似する「Assist根上校」の記載,及び「Assist根上校の塾長日記」として「2013年12月31日 今年一年を振り返り」の記載がある(甲33及び甲34)。
(10)「新子別指導ASSISTA」(登録第5743752号,出願日:平成26年10月9日に登録出願)の出願においては,他人である「青山英語学院」のウェブサイトにおいて,本件商標権者が出願した商標「新子別指導ASSISTA」と酷似する「青山英語学院は新個別指導assistに生まれ変わりました。」及び「新・個別指導Assist」の記載があり,このサイトから移動する「Assist」のウェブサイトにおいて,「教育通信月刊アシスト」の平成25年6月号において,「新・個別指導アシスト」の記載がある(甲35及び甲36)。
(11)「進学個別指導のベストエデュケーション」(登録第5745929号,出願日:平成26年10月17日)の出願においては,他人である「株式会社ベストエデュケーション」のウェブサイトにおいて,「お子様の能力を発揮させてみませんか。進学個別指導のベストエデュケーションは,学習塾と家庭教師両方の長所を併せ持つ個別自立学習塾です。」,及び「2012年03月04日 ベストエデュケーション春期講習 2012 進学個別指導のベストエデュケーション」等の記載がある(甲14)。
(12)「進学塾躍進館」(登録第5745931号,出願日:平成26年10月20日)の出願においては,他人である「進学塾躍進館」のウェブサイトにおいて,「川口市・草加市・越谷市で評判の進学塾 躍進館」の記載があり(甲10),「Lancers」のウェブサイトにおいて,「学習塾フランチャイズ 躍進館 のロゴ」の記載とともに「2014-07-10 16:02:56」の記載がある(甲11)。また,他人である「塾と教育」のウェブサイトにおいて,「『塾と教育』最新号」の記載があり,「NEW 2014Sep.vol.21」の「CONTENTS」の欄には,「021 従来の集団指導とも個別指導とも異なる「次世代型個別対応進学塾」独自の指導法を直営とFCで展開したい躍進館(埼玉県川口市)」の記載がある。当該「塾と教育」最新号の21頁には,「躍進館は,21年前にそろばん塾の学習塾部門として始まった。そろばん塾から塾部門を独立させたのが2002年,法人として株式会社になったのが一昨年の2012年のこと。」の記載がある(甲13)。
(13)「EverydaySeminar」(登録第5750584号,出願日:平成26年10月28日)の出願においては,他人である「エブリデイゼミナール」のウェブサイトにおいて,本件商標権者が出願した商標「EverydaySeminar」と酷似する「EVERYDAY Seminar」の記載があり(甲37),「ICT教育ニュース」のウェブサイトにおいて,「2014年9月29日」の記載とともに「エブリデイ出版は26日,大学受験対策映像授業サイト『無料オンライン予備校エブリデイゼミナール』を,スマートフォンでの利用を意識したデザインにリニューアルした。」の記載がある(甲38)。
(14)「すらら」(登録第5765094号,出願日:平成26年11月13日)の出願においては,他人である「すらら」のウェブサイトにおいて,「『すらら』とは,小学校高学年から高校生の生徒が国語・数学・英語の三教科を,インターネットを通じてパソコンで学ぶことができる『対話型アニメーション教材』です(2012年 日本e-Learning大賞 文部科学大臣賞を受賞)。」の記載があり(甲47),「産経関西」のウェブサイトにおいて,「PRESS RELEASE」として,「eラーニング教材『すらら』日本e-Learning大賞文部科学大臣賞を受賞」の記載とともに記事掲載日とみられる「2012.11.29 11:53」の記載がある(甲48)。
(15)「英文法の神」(登録第5756552号,出願日:平成26年12月4日)の出願においては,他人である「ベリタスカカデミー」のウェブサイトにおいて,「英文法の神【入門編】」の記載,及び「英文法の神・入門編とは,日本一演習量の多い英文法講座です。」の記載がある(甲49)。さらに,「YouTube」のウェブサイトにおいて,「英文法の神 ベリタス・アカデミー」の記載とともに「2012/08/13に公開」の記載がある(甲50)。
(16)「おしゃべリンガ」(登録第5754883号,出願日:平成26年11月13日)の出願においては,他人である「すらら」のウェブサイトにおいて,「スピーキング力と文法力を同時に手に入れる!『おしゃベリンガ』」の記載とともに,「『おしゃベリンガとは』? ゲーミフィケーションを応用した楽しい対話型アニメーション教材『すらら』での文法学習と外国人講師とのマンツーマンのSkype英会話(25分授業×8回)を使った講座です。」の記載があり(甲40),「マイナビニュース」のウェブサイトにおいて,「すらら,ジュニア向けSkype英会話授業『おしゃベリンガ』を提供開始」の記載とともに記事掲載日とみられる「2012/12/03」の記載がある(甲41)。
(17)「旭進学級」(登録第5754884号,出願日:平成26年11月13日)の出願においては,他人である「旭進学級」のウェブサイトにおいて,「旭進学級 土居原校」の記載(甲30),及び「2008/12/16『2009冬期講習会のご案内2』」の記載とともにPDFファイルとして,「2008-2009冬期講習会」のチラシが掲載されている(甲31)。
(18)「Veritas Academy」(登録第5756553号,出願日:平成26年12月4日)の出願においては,他人である「ベリタス・アカデミー」のウェブサイト内の「テキスト購入サイト」において,「VeRITAS ACADEMY」の記載とともに「当サイトでは,ベリタス・アカデミーで必要なテキスト販売の他,(以下略)」の記載があり(甲51),「ITmedia Mobile」のウェブサイトにおいて,「ITで築く『学習の高速道路』」の見出しとともに「2011年07月20日 10時00分更新」の記載,及び「ベリタス・アカデミーとは」の項において,「ベリタス・アカデミーは,大学受験生向け映像教材の開発と配信を手がけるネット予備校」の記載がある(甲52)。
(19)「Selfeewin」(出願日:平成26年9月3日)の出願においては,他人である「株式会社日本コスモトピア」のウェブサイトにおいて,「子どもたちに『わかった!』という喜びを。」の項において,「そんな『わかった!』という充実感を子どもたちに伝えられる教材,それが『Selfee Win』です。」の記載,「右脳への刺激が効果的なマルチメディア解説」の項において,「マルチメディアを使うことで,先生が他の生徒に対応している間にも生徒の集中力が続くなど,しっかり学べる教室づくりに役立ちます。」の記載,及び「1995(平成7)年 『Selfee Win』シリーズ提供開始」の記載がある(甲26)。
(20)「学びホーダイ」(出願日:平成26年9月23日)の出願においては,他人である「Assist」のウェブサイトにおいて,「学びホーダイは『通塾無制限・定額制』」の記載があり(甲27),当該ウェブサイトの運営者である株式会社青山英語学院から,「学びホーダイ!!」の文字と「MANABI HODAI」の文字からなる商標が,第41類「知識の教授,電子出版物の提供」を指定役務として,平成26年(2014)7月17日に商標登録出願され,平成26年(2014)11月14日に登録第5718597号として登録されている(甲28)。
(21)「紬塾リンガポルタ(TLP)システム」(出願日:平成26年10月3日)の出願においては,他人である「都麦出版」のウェブサイトにおいて,本件商標権者が出願した商標「紬塾リンガポルタ(TLP)システム」と酷似する「つむぎリンガポルタ(TLP)システム」が「PC,モバイルなどを利用した画期的な学習システムが導入できます。」の記載とともに使用され(甲44),「全国私塾情報センター」のウェブサイト「月刊私塾界」において,「6月.01」の記載とともに,「チラシを一切使わずに7年連続で集客に成功した個人塾 つむぎセミナーにて特別講演」の表題のもと,「(略)同社のWEB教材である「つむぎリンガポルタシステム」の概要が発表された。」の記載がある(甲45)。なお,甲45号証の下部に「http://www.shijyukukai.jp/2014/06/4533」の記載があり,同記事は2014年6月に掲載されたものといえる。
(22)「superSIM」(出願日:平成26年10月16日)の出願においては,他人である「スーパーSIM」のウェブサイトにおいて,本件商標権者が出願した商標「superSIM」に酷似する「スーパーSIM」が,「大学入試長文対策『スーパーSIM(エスアイエム)』」の記載として使用され,「29年間で38万人の利用実績があります」の記載がある(甲46)。
(23)「株式会社ベストエデュケーション」(出願日:平成26年10月17日)の出願においては,平成18年12月1日,現代画報社(国際通信社グループ)発行の「現代画報2006 12 VOL.117」において,「生徒の自主性を尊重した“考える力”を伸ばす個別指導塾」の表題のもと,「(略)個別指導を行う学習塾『ベストエデュケーション』(略)塾長の向本雅彦氏は(略)」の記載とともに,向本雅彦氏のインタビュー記事が掲載され,当該ページの下段に「株式会社ベストエデュケーション 代表取締役向本雅彦」の記載がある(甲16)。
(24)「株式会社躍進館」(出願日:平成26年10月20日)の出願においては,他人である「塾と教育」のウェブサイトにおいて,「『塾と教育』最新号」の記載があり,「NEW 2014Sep.vol.21」の「CONTENTS」の欄には,「021 従来の集団指導とも個別指導とも異なる「次世代型個別対応進学塾」独自の指導法を直営とFCで展開したい躍進館(埼玉県川口市)」の記載がある。当該「塾と教育」最新号の21頁には,「躍進館は,21年前にそろばん塾の学習塾部門として始まった。そろばん塾から塾部門を独立させたのが2002年,法人として株式会社になったのが一昨年の2012年のこと。」の記載がある(甲13)。
(25)「家庭教師のLNS」(出願日:平成26年10月23日)の出願においては,他人である「家庭教師のLNS」のウェブサイトにおいて,「2013年5月31日」の記載とともに「【家庭教師のLNS】ホームページリニューアルのお知らせ。」の記載,「LNSコースラインナップ」として小学生コースから社会人コースの記載,及び「生徒たちの合格体験記」の記載がある(甲53)。
(26)「マイセルフ」(出願日:平成26年10月23日)の出願においては,他人である「マイセルフ前橋本部校」のウェブサイトにおいて,「講師紹介 吉田寛章 塾長」の項において,「少し長くなりますが平成19年,私がマイセルフを立ち上げるときに折り込んだ開校チラシの文章をご覧ください。」の記載,及び「会社案内」の項において「設立:平成19年3月21日」の記載,及び「事業内容:自立学習支援塾マイセルフ,及び大学受験予備校サミットの展開。」の記載がある(甲29)。
(27)「能登かがり火」(出願日:平成26年10月28日)及び「ダイナスター」(出願日:平成26年10月28日)の出願においては,「JR西日本」のウェブサイトの「ニュースリリース」において「2014年10月7日」の記載とともに「特急列車の列車名決定について 『ダイナスター』(北陸本線 金沢?福井駅間) 『能登かがり火』(七尾線 金沢?和倉温泉駅間)」の記載がある(甲55)。
(28)「株式会社ユナイテッド・インテリジェンス」(出願日:平成26年12月4日)の出願においては,他人である「株式会社ユナイテッド・インテリジェンス」のウェブサイトの「会社概要」の項において,「名称 株式会社ユナイテッド・インテリジェンス」の記載,「設立 平成18年6月2日」の記載,及び「事業内容 ・教育事業に関する企画,調査,運営,受託並びに経営コンサルタント業 ・教育用教材の企画,立案,製作,販売」の記載がある(甲42)。
(29)「学習の高速道路」(出願日:平成26年12月4日)の出願においては,他人である「ITmedia Mobile」のウェブサイトにおいて,「ITで築く『学習の高速道路』-“定額見放題”のネット授業,iPhone/iPadでより便利に」の見出しとともに「2011年07月20日 10時00分更新」の記載がある(甲43)。
4 判断
上記認定事実によれば,(ア)申立人は,「星輝進学スクール」の名称を使用して,2011年(平成23年)7月から塾経営を行っており,石川県小松市内において,学習塾を開校していること(甲1及び甲20)。そして,申立人は,ホームページにおける情報掲載,チラシによる広告を行い,使用商標を使用して塾の宣伝,広告を行っていたこと(甲1ないし甲4及び甲20)。(イ)本件商標と申立人の使用商標は,上記2のとおり,類似すること,(ウ)本件商標と使用商標は,「星輝進学」の漢字と「スクール」の片仮名を組み合わせた構成よりなるものであって,「星輝」の文字部分が,辞書等に掲載されている既成語ではなく特徴的なものであること,(エ)申立人によるインターネット上の塾の宣伝,チラシによる広告が本件商標の出願日前になされており,本件商標の登録出願日が近接していること,また,申立人の経営する学習塾の所在地と商標権者の住所が同じ石川県小松市内であることからすれば,商標権者は,申立人の使用商標を認識した上で,これと類似する本件商標を同一又は類似する役務を指定役務として,商標登録出願したものと考え得ること,(オ)商標権者は,平成26年8月から同年12月の短期間に,本件商標以外にも29件もの商標登録出願をし,その登録を受けているところ,その指定役務は広い範囲に及び,一貫性もなく,これらの商標については,商標権者とは無関係に類似の商標や商号を使用している店舗ないし会社が存在し,商標権者の商標登録出願が類似する他者の商標ないし商号の使用に後れるものであることが認められる。
上記事情を総合すると,商標権者は,他者の使用する商標ないし商号について,多岐にわたる指定役務について商標登録出願をし,登録された商標を収集しているにすぎないというべきである。
そして,本件商標は,全体として使用商標に酷似した構成態様に仕上げることにより,本件商標に接する取引者,需要者に引用商標を連想,想起させ,使用商標に化体した信用,名声及び顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する不正な目的で採択・出願し登録を受けたものと認めることができる。
さらに,本件商標をその指定役務に使用する場合には,使用商標の出所表示機能が希釈化(ダイリューション)され,使用商標に化体した信用,名声及び顧客吸引力,ひいては第三者の業務上の信用を毀損させるおそれがあるということができる。
そうすると,本件商標は,すでに商業的に使用されている使用商標に化体した信用,名声及び顧客吸引力に便乗して不当な利益を得る等の目的をもって使用商標の特徴を模倣して出願し登録を受けたもので,商標を保護することにより,商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り,需要者の利益を保護するという商標法の目的(商標法第1条)に反するものであり,公正な取引秩序を乱し,商道徳に反するものというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 商標権者の意見
前記第3の取消理由に対し,商標権者は,何ら意見を述べるところがない。

第5 当審の判断
本件商標について通知した前記第3の取消理由は,妥当なものと認められる。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲


異議決定日 2016-08-18 
出願番号 商願2014-100242(T2014-100242) 
審決分類 T 1 651・ 22- Z (W41)
最終処分 取消  
前審関与審査官 榎本 政実 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 中束 としえ
山田 正樹
登録日 2015-04-03 
登録番号 商標登録第5754882号(T5754882) 
権利者 山▲崎▼ 健太郎
商標の称呼 セーキシンガクスクール、セーキ、ホシキ、ホシテル、シンガクスクール 
代理人 安井 義博 

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