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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z42
管理番号 1327088 
審判番号 取消2016-300142 
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-02-29 
確定日 2017-03-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第4627010号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4627010号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4627010号商標(以下「本件商標」という。)は、「わかふぇ」の平仮名を標準文字で表してなり、平成13年12月14日に登録出願、第42類「飲食物の提供,飲食物の提供に関する情報の提供」を指定役務として、同14年12月6日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成28年3月11日である。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を審判請求書、弁駁書及び口頭審理陳述要領書において要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第43号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)要証期間について
被請求人は、本件審判の請求の登録前3年(平成25年3月11日?平成28年3月10日、以下「要証期間」という。)の間に、本件商標をその指定役務について使用していたことを立証する必要があるところ、下記の乙号証は要証期間外に発行された印刷物であるから、これらの証拠をもって、本件商標が要証期間内に使用されたと認めることはできない。
ア 乙第4号証「恋する日帰りホテル」平成22年2月発行
イ 乙第5号証「おでかけ散歩(3)/東京歴史さんぽ」平成23年6月20日発行
ウ 乙第7号証「GOURMET BOOK」平成28年3月下旬発行
エ 乙第9号証「レシート」平成28年4月24日発行
また、乙第6号証として提出された、町田LUMINEのグルメガイドについては、その発行日が不明であり、さらに、乙第10号証として提出された「メニュー表の写真」についても、その撮影日は不明であるから、乙第6号証及び乙第10号証も要証期間における使用事実を立証するための証拠とはならない。
(2)本件商標と「和カフェyusoshi」等との同一性について
ア 被請求人は、会社案内(乙3)を提出しているところ、これには2000年以降に、被請求人が、東京、大阪、名古屋等の地において、「和カフェyusoshi」あるいは「和カフェyusoshi chano-ma」をオープンしたことが記載されており、被請求人は、これらをもって本件商標を使用していたと主張している。
この点、当該会社案内によれば、被請求人の事業内容には「飲食業のサービスの提供」とあり、他の乙号証には、ランチ・ハッシュドビーフ・コーヒーに関するレシート、飲食物のサンプル写真が掲載されているメニュー表の写真が含まれていること、並びに、本件商標の指定役務には「飲食物の提供」が含まれていることから、「和カフェyusoshi」あるいは「和カフェyusoshi chano-ma」が飲食店の店名であり、その店名としての使用を本件商標の使用であると主張しているものと思われる。
そうであるならば、被請求人がわざわざ「」で区切って表記しているように、あくまで「和カフェyusoshi」あるいは「和カフェyusoshi chano-ma」が店名であって、「和カフェ」の部分のみが店名ではない。そして、「和カフェyusoshi」あるいは「和カフェyusoshi chano-ma」と本件商標とが同一性を有しないことは明白である。
イ なお、仮に「和カフェ」が店名であったとしても、「和カフェ」は本件商標とは同一性を有するものではない。すなわち、商標法第50条において、「登録商標と社会通念上同一と認められる商標」が挙げられているところ、「わかふぇ」と「和カフェ」がこれに該当しないことは明らかである。
また、「わかふぇ」の文字からなる成語は存しないところ、この「わかふぇ」の音には、「和かふぇ」以外にも「和歌ふぇ」、「若ふぇ」、「輪かふぇ」、「環かふぇ」、「倭かふぇ」、「話かふぇ」等、多くの組合せが該当し得るものであるし、そもそも「わかふぇ」自体が造語であるから、これと「和カフェ」が観念上同一であるということはできない。
したがって、「和カフェ」が「わかふぇ」の社会通念上同一の商標であるということもできないことは明らかである(甲3)。
なお、たとえ「和」に「ワ」のルビを付けて「和カフェ」(「和」の文字の上部には、小さく「ワ」の文字が表示されている。以下「和(ワ)カフェ」と表記する。)と表示したとしても、これが「わかふぇ」と社会通念上同一の商標に含まれるものではない。
ウ 乙第8号証は、平成27年10月23日発行のレシートである。当該レシートの上方には、図案化した「yusoshi」の文字を横書きで顕著に表記し、その下部に「和カフェ」の文字を小さく縦書きしたものを配しているところ、顕著に、しかも図案化して表示された「yusoshi」の部分を無視してレシートの発行者を把握することは非常に不自然であるし、レシートの発行者の表示として、電話番号、ファックス番号、メールアドレスとともに「yusoshi町田」と表示されていることからすれば、乙第8号証からは、町田市に所在する「yusoshi」という店名の飲食店が発行したレシートであると理解するのが自然であって、「和カフェ」が店名であるとみることはできず、よって、乙第8号証によっても本件商標を使用していた事実を認めることはできない。
(3)「わかふぇ」ではなく「和カフェ」を使用している意図について
ア 被請求人は、本件商標そのものを使用することは一切なく、これを「和カフェ」に変え、さらにこの「和カフェ」に「yusoshi」あるいは「yusoshi chano-ma」を付加したものを店名として使用していることは上記したとおりであるところ、町田LUMINE内の飲食店、食料品店に関するガイドブックである町田LUMINEの「グルメガイド」及び町田LUMINEの「GOURMET BOOK」(乙6、乙7)においては、各飲食店の店名の下に、「南欧風料理・フルーツタルト」、「担々麺・点心・香港スイーツ」等といった表示がなされている。これらが、各飲食店において提供している主たる飲食物を表示していることは明らかであるところ、被請求人が運営している「和カフェyusoshi」の下には「和カフェ」と表示されていることから、この「和カフェ」が、同店において提供されている主たる飲食物を表しているものとみるのが自然である。
この点、インターネットで検索してみると、「【神楽坂】風情を楽しめる和カフェ10選」、あるいは「京都に行ったら訪れたい 和カフェ『10選』」、「【東京】お花見デートの後は・・・安らぎの和カフェでほっこり素敵なティータイム」と題した飲食店を紹介するサイトが複数見受けられるものであって(甲4?甲6)、「和カフェ」が、例えば中華料理店、和風居酒屋等と同様に、飲食店の一つのカテゴリー表示として定着していることが理解できるものである。
また、特許庁の審査においては、「和かふぇ」の文字を含んだ構成からなる登録第5739906号商標が本件商標とは非類似の商標であると判断され、併存登録されており(甲7)、その指定役務「飲食物の提供」との関係では、「和かふぇ」の部分は自他役務の識別力を有しないと認定し、本件商標とは非類似であると判断したものと考えられるものであって、この審査例からも「和カフェ」の一般用語化がうかがえるものである。
イ 上記したように、被請求人が、飲食店の店名の一部分に用いている「和カフェ」の文字は、当該飲食店の種別を表すための表示であって、店名の要部は「yusoshi」である。
このことは、乙第10号証として提出されたメニュー表の写真中、誕生日の「Congratulation Plan」のページにおいて、「yusoshiで特別な日を過ごしませんか?」の案内文が用いられていて、恰も「yusoshi」が店名であるかのような体裁となっていること、並びに、レシート(乙8、乙9)において、その発行者の表示として、電話番号、ファックス番号、メールアドレスとともに「yusoshi町田」と表示されていることとも符合するものである。
「和カフェ」は飲食店の種別を示す表示であって、それのみでは他の飲食店と識別することはできず、識別標識として機能しているのは「yusoshi」の部分である。被請求人が、仮に要証期間内に「和カフェyusoshi」あるいは「和カフェyusoshi chano-ma」を店名として使用していたとしても、実質的に店名として機能していたのは「yusoshi」の部分であって、この点においても、本件商標「わかふぇ」が使用されていた事実は見いだせないものである。
(4)まとめ
上述したように、乙号証として提出された証拠からは、本件商標が要証期間内にその指定役務について使用されていた事実は認めることができない。
3 口頭審理陳述要領書(平成28年11月16日付け)
(1)社会通念上同一について
ア 乙第6号証及び乙第7号証には、「和(ワ)カフェ」の表示が認められるが、かかる表示は、平仮名からなる本件商標と同一ではない。
そもそも、「和カフェ」を「ワカフェ」としか称呼しない実情があるのであれば、わざわざ「和」に「ワ」のルビを付すようなことはしない。「和」を「ナゴミ」と読む飲食店は多数存在し(甲8?甲13)、「ナゴミカフェ」と読む「和カフェ」の店名からなるカフェも存在する(甲14)。「和」にわざわざ「ワ」のルビを付したのは、ルビの無い「和カフェ」では「ナゴミカフェ」の読みも生じるからであって、「わかふえ」と「和カフェ」とは社会通念上同一ではない。
イ 被請求人は、「和(ワ)カフェ」の表示は、(a)二段併記の構成からなる商標であること、及び(b)「平仮名の文字を変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」であることを前提として、本件商標と社会通念上同一と認められる商標に該当すると主張する。
しかし、「商標審判便覧」(乙14)における「登録商標が二段併記等の構成からなる場面であって、上段及び下段の各部が観念を同一とするときに、その一方」との記載からも明らかなとおり、当該記載は、登録商標についての記載であって、使用商標に関するものではない。本件商標は「わかふぇ」の文字を横一列に表示した構成からなるものであって、二段併記の構成からなるものではなく、本件とは何ら関係ないため、被請求人主張の前提(a)は、そもそも成り立たたない。
また、該便覧の例における「太陽」と「SUN」は、共に、同じ語義を有する単語として、一般需要者間で広く知られているものであるが、「わ」は、「輪」、「環」、「倭」、「話」等の漢字の読みにも通じるものであって、「わ」から「和」のみを認識するものではない。また、「わかふぇ」を「わ」と「かふぇ」に分けて把握しなければならない事情があるわけでもないから、「和歌ふぇ」、「若ふぇ」をも認識し得るものである。
したがって、「わかふぇ」と、「和カフェ」あるいは「和(ワ)カフェ」は社会通念上同一の関係にあるわけではない。
ウ 乙第3号証ないし乙第5号証、乙第8号証ないし乙第10号証の「和カフェ」に関して、被請求人主張の前提(b)が成り立つかについては、漢字は表意文字であって、文字自体が意味を有する場合が多いから、平仮名又は片仮名の一部又は全部を漢字に表記変更すると、漢字に由来する新たな観念が追加されることにより観念が同一でなくなる場合があるが、本件においても、本件商標「わかふぇ」を漢字と片仮名が混じった表記「和カフェ」に変更すると、漢字「和」に由来する「日本的なもの」や「日本風情を有する」などの意味が付与される。
したがって、特定の意味合いまでは認識できない本件商標を、漢字と片仮名混じり表記「和カフェ」に変更した場合、両者は同一の観念を生ずるものとはいえないから、本件商標と「和カフェ」は社会通念上同一であるとはいえない。
よって、上記前提(a)及び(b)は、いずれも成り立たないから、被請求人の主張も成り立たない。
(2)乙第15号証、乙第18号証及び乙第20号証について
被請求人は、乙第15号証(平成23年(行ケ)第10243号)、乙第18号証(取消2000-30096号)、乙第20号証(取消2001-30539号)が、被請求人の主張を証左するものと述べているが、本件には関係がない。
(3)「和カフェ」の自他役務識別性について
甲第17号証ないし甲第36号証が示すとおり、「和カフェ」なる表示は、「飲食物の提供」の役務に広く使用されており、自他役務識別標識として使用されるとは認められない。
(4)平成28年(行ケ)第10086号判決(乙13)について
被請求人は、乙第13号証に基づき、商標法第50条における「使用」は、当該商標がその指定商品又は役務について何らかの態様で使用(商標法第2条第3項各号)されていれば足り、出所表示機能を果たす態様に限定されるものではないと主張する。
しかしながら、商標法第50条における「登録商標の使用」については、これを自他商品・役務の識別標識としての使用であることを要する旨の審決、判決は平成12年(行ケ)117号、取消2005-31091、取消2006-30954、取消2007-301105、取消2007-301148等、多数存在する(甲37ないし甲41)。
また、取消2008-300305の審決取消訴訟である平成21年(行ケ)第10118号判決(甲42)、及び取消2008-300307の審決取消訴訟である平成21年(行ケ)第10141号判決(甲43)もある。
このように、使用商標において、どの部分が自他商品・役務の識別標識として機能するかの認定を行った上で、登録商標と使用商標との同一性の判断は行われているのであって、本件の場合は、「和カフェ」が被請求人が運営している飲食店の種別を表すための表示であって、自他役務の識別標識として機能する部分は「yusoshi」である。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、旨の審決を求め、審判事件答弁書及び口頭審理陳述要領書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第24号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標について
本件商標は、平仮名「わかふぇ」を標準文字で書してなるものであり、該商標より発生する称呼は「ワカフェ」となる。そして、商標法第50条第1項の「社会通念上同一と認められる商標」の規定からすれば、「ワカフェ」、「和(ワ)カフェ」、「和かふぇ」、「和カフェ」等も社会通念上同一と認められる商標に該当するものである。
(2)商業藝術の出店の経緯
乙第3号証の株式会社商業藝術の会社案内(http://commercial-art.net/wp/aboutus.html)に記載されるように、以下のとおり、同一の称呼及び観念の「和カフェ」を、本件取消審判の請求の登録日以前から使用を開始している。
ア 2000年6月に「和カフェyusoshi」(東京渋谷店)オープン
イ 2002年4月に「和カフェyusoshi」(大阪市北区阪急百貨店)オープン
ウ 2002年7月に「和カフェyusoshi+codomoshow」(京都市中京区)オープン
エ 2002年11月に「和カフェyusoshi」(東京都新宿ルミネ新宿1)オープン
オ 2006年4月に「和カフェyusoshi」(愛知県名古屋市)オープン
カ 2006年6月に「和カフェyusoshi chanoma」なんばマルイ(大阪府大阪市)オープン
キ 2006年11月に「和カフェyusoshiあべの」Hoop(大阪府大阪市)オープン
ク 2008年12月に「和カフェyusoshi」(東京都町田市)オープン
ケ 2009年10月に「和カフェyusoshi chano-ma立川」(東京都立川市)オープン
(3)雑誌等の広告の状況
商標権者は、店舗「和カフェ」の宣伝広告活動として、雑誌及びタウン誌にお店紹介の広告を以下のとおり行っている。
ア 平成22年2月リクルート発行の「恋する日帰りホテル」75ページ(乙4)に示すように、「和カフェ yusoshi chano-ma/わカフェ ユソーシ・チャノマ」を表示して立川店の飲食物の提供に関する広告を行った。
イ 平成23年6月20日に、ぴあ株式会社から発行された「おでかけ散歩(3)/東京歴史さんぽ」の47ページ(乙5)に、「わカフェ ユソーシ チャノ・マ うえの/和カフェ yusoshi chano-ma 上野」を表示して上野店の飲食物の提供に関する広告を行った。
ウ 発行日は不明であるが、町田「LUMINE」の「グルメガイド」(乙6)に、「和カフェ yusoshi」を表示して町田店の飲食物の提供に関する広告を行っている。
エ 2016年3月下旬発行の町田「LUMINE」の「GOURMET BOOK」の第11ページ(乙7)に、「和カフェ yusoshi」を表示して町田店の飲食物の提供に関する広告を行っている。この使用例では漢字「和」の上にルビ「ワ」が付してあり「ワカフェ」一連に称呼するように構成されている。
(4)取引書類における使用例について
ア 和カフェ町田店では、平成27年10月23日発行のレシート及び領収書(乙8)の上部に横書き欧文字「yusoshi(ロゴ)」と縦書き「和カフェ」からなる商標(別掲)が使用されている。
これにより本件商標と称呼及び観念同一の商標「和カフェ」が使用されていることがわかる。
イ 予告登録後であるが和カフェ町田店では、平成28年4月24日時点でもレシート(乙9)にみられるように継続して本件商標と称呼及び観念が同一の商標「和カフェ」を使用していることがわかる。
ウ 和カフェyusoshi町田店のメニューの写真(乙10)にみられるように商標「yusoshi(ロゴ)」と縦書き商標「和カフェ」とが、飲食物提供の利用に供するメニューに使用されており、一般需要者及び取引者はメニューで本件商標と称呼及び観念が同一の商標「和カフェ」が使用されていることがわかる。
(5)商標「和(ワ)カフェ」の使用が本件商標「わかふぇ」の同一性の範囲の使用に該当する
乙第6号証及び乙第7号証の商標「和(ワ)カフェ」は、漢字「和」の上にルビ文字として「ワ」を付していることから、これを見た一般需要者は、片仮名「ワカフェ」とも認識するものであり、かつ「和カフェ」及び「ワカフェ」から生じる称呼は完全に一致すること、「わかふぇ」、「ワカフェ」又は「和カフェ」から連想される観念は「和風の喫茶」のようなイメージで共通することから商標法第50条第1項の「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」に該当する。
すなわち、平仮名「わかふぇ」を片仮名「ワカフェ」に変更。平仮名「わかふぇ」の「わ」を一般に知られ、かつ連想する観念が共通する漢字「和」に置きかえると共に「かふぇ」を片仮名に置きかえたにすぎない商標「和カフェ」及びルビ付きの商標「和(ワ)カフェ」であることから、使用にかかる商標は本件商標と社会通念上の同一の範囲に属することは明らかである。
したがって、商標権者は継続して日本国内で要証期間内に商標「わかふぇ」、「和(ワ)カフェ」を使用していた。
(6)結び
以上のとおり、本件商標は社会通念上同一の範囲において、その指定役務について使用していたことは明らかである。
2 口頭審理陳述要領書(平成28年11月2日付け)
(1)乙各号証における「和カフェ」等の表示は、本件商標の指定役務との関係において、自他役務識別標識として使用されていることについて
ア 「和カフェ」等の表示の識別力について
請求人は、「インターネットで検索してみると、・・・(甲4?甲6)、『和カフェ』が、・・・飲食店の一つのカテゴリー表示として定着していることが理解できるものである。また、特許庁の審査において『和かふぇ』の文字を含んだ構成からなる登録商標が、本件商標とは非類似の商標と判断され、併存登録されている(甲7)・・・その指定役務『飲食物の提供』との関係では、・・・この審査例からも『和カフェ』の一般用語化がうかがえる。」と主張している。
しかし、「和カフェ」(商願2016-16402号)及び「和Cafe」(商願2016-16403号)(以下、これら2件の商標登録出願をまとめて「別件商標出願」という。)の出願経過によれば、送付された拒絶理由通知は、商標法第3条第1項第3号に該当するものはなく、商標法第4条第1項第11号違反のみであり、第43類に関しては、本件商標が引用されていた。かかる状況から最近の特許庁の審査でも商標「和カフェ」及び「和Cafe」が自他役務識別機能を有すると判断されていたことを示すものであり、請求人の主張は誤りである。
イ 最近の知財高裁の判決(平成28年(行ケ)第10086号)(乙13)では、「商標法第50条所定の『使用』は、当該商標がその指定商品又は指定役務について何らかの態様で使用(商標法第2条第3項各号)されていれば足り、出所表示機能を果たす態様に限定されるものではないというべきである。」と判断しているように、商標が使用されていたか否かを判断すれば良く、出所表示機能を果たす態様に限定されるものではない。
(2)乙各号証における「和カフェ」等の表示は、社会通念上同一の商標に該当することについて
請求人は、商標審判便覧「登録商標の不使用取消審判」(甲3)の6ページの使用例をあげ、本件商標と「和カフェ」に関しても社会通念上同一の商標であるということはできないと主張し、さらに漢字の「和」にルビ「ワ」を付して表示したものも、これが「わかふぇ」と社会通念上同一の商標に含まれるものではない、と主張しているが、請求人の主張には誤りがある。
ア 商標審判便覧「登録商標の不使用取消審判」(乙14(甲3と同じもの))3ページの例示が社会通念上同一商標として例示されているように「わかふぇ」と「ワカフェ」とは社会通念上同一の範囲に属するものである。
イ 該便覧の5ページの例から、平仮名「わ」と「和(ワ)」とは称呼及び観念が同一であり、また平仮名「かふぇ」と片仮名「カフェ」とも、称呼及び観念が同一であることから、「わかふぇ」=「和(ワ)カフェ」と判断されるものである。
すなわち、片仮名商標「ワカフェ」は、本件商標「わかふぇ」(平仮名)の社会通念上同一の範囲の使用に該当し、一般に上段の片仮名「ワカフェ」と下段の「和カフェ」との二段併記にするよりは「カフェ」の部分が共通するから、下段の漢字「和」の上に称呼として片仮名「ワ」を併記する方法は一般的であり、かかる場合漢字「和」から「ナゴミ」のような称呼を発生する需要者及び取引者はおらず、単純に「ワカフェ」と称呼するものである。
仮に「和カフェ」の使用が、社会通念上同一ではないとしても「和(ワ)カフェ」という使用商標態様は、称呼及び観念が同一であることから社会通念上同一の範囲の使用に該当するものである。
ウ かかる被請求人の主張を証左するものとして以下に示すように不使用取消審判請求事件で社会通念上同一と判断された事例が存在することから、本件商標は社会通念上同一の範囲において当該指定役務について使用していたことは明らかである。
(ア)平成23年(行ケ)第10243号(乙15)、取消2010-300840号(乙16)、登録第4323578号(乙17)
(イ)取消2000-30096号(乙18)、登録第739923号(乙19)
(ウ)取消2001-30539号(乙20)、登録第2342956号(乙21)
3 口頭審理陳述要領書(2)(平成28年11月24日付け)
請求人は、本件商標を引用され拒絶理由通知書が送付されている別件商標出願の出願人の実質的代理人であり、本件商標の使用にかかる商標中の「和カフェ」の文字部分が識別力を有しない旨の主張には、矛盾がある。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出した乙各号証によれば、次のとおりである。
(1)乙第3号証は、被請求人の会社案内のウェブサイトであるところ、「会社概要」には、「事業内容」の項に「飲食業のサービスの提供とハウスウェディング事業、ヘアサロン事業など、様々なスタイルの事業を展開」の記載がある。
また、「会社沿革」には、「2000年6月 和カフェyusoshi(東京都渋谷区)オープン」、「2008年12月 和カフェyusoshi(東京都町田市)オープン」など、2000年6月ないし2009年10月の間に、「和カフェ」の文字を含む10店舗がオープンした記載がある。
(2)乙第4号証は、「じゃらん 恋する日帰りホテル」の表題の図書であり、その75ページには、「街あるきSPOT」として、「和カフェ yusoshi chano-ma」の表示があり、該表示の下部に小さく「わカフェ ユソーシ チャノマ」の文字が表示され、「2009年10月 OPEN」の表示があり、店舗の電話番号、住所、営業時間等が記載されている。
そして、3葉目の書誌情報には、「出版事項」として「2010.2発売」の記載がある。
(3)乙第5号証は、「おでかけ散歩/3/東京/歴史さんぽ」の表題の「ぴあMOOK」であるところ、47ページには、「和カフェ yusoshi chano-ma 上野」の表示があり、該表示の上部には、小さく「わカフェ ユソーシ チャノ・マ うえの」の文字が表示され、店舗の住所、電話番号、営業時間等が記載されている。
そして、96ページには、発行日として、「2011年6月20日」の記載がある。
(4)乙第6号証は、ルミネ町田店発行の「LUMINE MACHIDA GOUREMET TIME」の表題のグルメガイドとされるものであるところ、2葉目には、「和(ワ)カフェ yusoshi」(「yusoshi」の文字の上部には「ユソーシ」の文字が小さく表示されている。以下「yusoshi(ユソーシ)」と表記する。)の表示、及び別掲に示した構成からなる商標(以下「使用商標」という。)が表示されているが、該印刷物の発行日の表示はない。
(5)乙第7号証は、ルミネ町田店発行の「GOURMET BOOK」の表題の冊子であるところ、6ページには、「和カフェ yusoshi」の表示があり、また、11ページには、「和(ワ)カフェ yusoshi(ユソーシ)」の表示があり、その裏表紙の左下部には、「2016.3」の表示があるところ、その作成日は、証拠説明書によれば、平成28年3月11日以降である。
(6)乙第8号証は、2015年(平成27年)10月23日付けのレシート及び領収証(控)であるところ、その上部には、いずれも、使用商標が表示されており、レシートの使用商標の下部には、「yusoshi町田」の表示があり、人数として「1」、商品として「Lデリランチ」、その単価として「@1,000」、数量「1」、金額「¥1,000」の表示があり、さらに、下部には、被請求人の名称及び住所が表示されている。
(7)乙第9号証は、2016年(平成28年)4月24日付けのレシートであるところ、その上部には、使用商標が表示されており、レシートの使用商標の下部には、「yusoshi町田」の表示があり、人数として「1」、商品として「コーヒー」、その単価として「@500」、数量「1」、金額「¥500」の表示があり、さらに、下部には、被請求人の名称及び住所が表示されている。
(8)乙第10号証は、メニューの写真であるところ、その1葉目及び3葉目の上段及び下段の写真には、使用商標と同一の構成からなる商標が表示され、また、料理の写真及び値段等が表示されているところ、その撮影日は、証拠説明書によれば、平成28年4月24日である。
2 判断
(1)被請求人について
被請求人は、「飲食業のサービス提供、ハウスウェディング事業」などを事業内容とする法人であり、2000年(平成12年)6月に、「和カフェyusoshi(東京都渋谷区)」をオープンし、その後、2008年12月に町田店など、2000年6月から2009年10月までの間に「和カフェ」の文字を使用した10店舗をオープンした(乙3)。
(2)使用役務及び使用者について
乙第8号証は、2015年(平成27年)10月23日発行のレシート及び領収証(控)であるところ、その上部に使用商標が表示され、また、その下部には、被請求人の名称及び住所が表示されているところ、人数「1」、商品「Lデリランチ」などの表示から、該レシートは、飲食物の提供に係るものと推認することができ、かつ、上記レシート及び領収証(控)の発行日は、要証期間内である。
そうとすれば、被請求人が、要証期間に使用商標を飲食物の提供に係る取引書類に表示したものと認めることができる。
(3)使用商標について
使用商標は、別掲のとおり、何らかの欧文字を基調にしたと思しき図形(以下「図形部分」という。)を、やや太い線で横に並べ上部に配し、これと一部重なるように、ややデザイン化して縦書きの「和カフェ」の文字を図形部分に比べ小さく書して配した構成からところ、前記構成からなる図形部分と「和カフェ」の文字部分とは、その大きさ及び横に並べて表されているか縦書きかの違い等によって、分離して看取され得るものである。
そして、「和カフェ」の文字部分からは、「ワカフェ」の称呼が生じ、該文字は特定の意味合いを有する成語ではないものの、「和」の文字は、「(大和国の意)日本製・日本風・日本語などの意を表す。」等の意味合いを有する語であり、「カフェ」の文字は、「主としてコーヒーその他の飲料を供する店」(いずれも「株式会社岩波書店 広辞苑第六版」)の意味合いを有する語であって、いずれも一般に親しまれている語であることから、該文字部分全体として、「日本風のカフェ」ほどの意味合いを想起させるものである。
他方、本件商標は、「わかふぇ」の平仮名からなるところ、その構成文字に相応して、「ワカフェ」の称呼を生じ、特定の意味合いを有する成語ではなく、特定の観念を生じないものである。
そこで、使用商標が本件商標と社会通念上同一と認められるものであるかについて検討してみるに、使用商標と本件商標とは、その構成態様が明らかに異なるものであり、両商標は、社会通念上同一とはいえないものである。
次に、使用商標の構成中、分離して看取し得る「和カフェ」の文字部分と本件商標とを比較してみれば、両商標は、称呼においては、「ワカフェ」の称呼を同じくするものであるが、観念においては、本件商標は観念を生じないものであるのに対し、使用商標中の「和カフェ」の文字は、「日本風のカフェ」ほどの意味合いを想起させるものであるから、両者は、観念を同じくするとはいえないものである。
そうとすれば、本件商標と使用商標の「和カフェ」の文字部分とは、社会通念上同一とはいえないものである。
なお、被請求人は、雑誌及びタウン誌において、店舗紹介の広告を行っている旨を主張し、乙第4号証ないし乙第7号証を提出しているところ、これらは、いずれも、要証期間外のもの又はその作成日が明らかではないものである。
加えて、上記乙各号証においては、「和カフェ yusoshi chano-ma」(乙4)、「和カフェ yusoshi chano-ma 上野」(乙5)、及び「和カフェ yusoshi」(乙6、乙7)の表示があるが、これらにおいて、使用商標と同じ構成文字からなる「和カフェ」の文字部分は、使用商標の「和カフェ」の文字部分と同様に、本件商標と社会通念上同一とはいえないものであり、また、「和カフェ」の文字の上部に小さく「わカフェ」と表示されているものや「和」の文字の上部に小さく「ワ」の片仮名が表示されているものがあるが、これらは、並記されている文字の読みを表したと理解されるものであるから、該読みの文字部分をもって、商標として使用されているということはできないし、「和」の文字の上部に読みと理解される文字が付されたことによって、上記と異なる観念が生じるものでもない。
なお、被請求人は、請求人が別件商標出願の出願人の実質的代理人である旨の主張をしているが、該主張は、本件の上記判断を左右するものではない。
(4)その他
被請求人は、本件の審理終結後である平成28年12月8日付けで、証拠を追加する内容の上申書を提出している。
そして、その内容は、2014年(平成26年)4月、同年10月、2015年(平成27年)4月及び同年6月に発行された、ルミネ町田店の「GOURMET BOOK」の表題のパンフレットとされるものであり、いずれにも、乙第6号証及び乙第7号証と同一の「和カフェ」及び「和(ワ)カフェ」の表示があるが、これらの表示のいずれもが、本件商標と社会通念上同一の商標といえないものであることは、上記(3)に記載のとおりである。
そうとすれば、上記上申書によっても、本件商標が要証期間に日本国内において請求に係る指定役務について使用していることを証明しておらず、その証拠によって前記判断に影響を与えるものとみることができないから、審理再開の必要は認められない。
(5)結び
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標をその指定役務について、使用をしていたことを証明したとはいえず、また、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(使用商標)(乙第8号証を参照)



審決日 2017-02-03 
出願番号 商願2001-111818(T2001-111818) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Z42)
最終処分 成立 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 中束 としえ
榎本 政実
登録日 2002-12-06 
登録番号 商標登録第4627010号(T4627010) 
商標の称呼 ワカフェ 
代理人 幡 茂良 
代理人 押本 泰彦 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 橋本 良樹 
代理人 吉田 親司 
代理人 小出 俊實 
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