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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W4144
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W4144
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W4144
管理番号 1327078 
審判番号 不服2016-12494 
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-18 
確定日 2017-03-21 
事件の表示 商願2015-65373拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「幼児リトミック」の文字を標準文字で表してなり、第41類「カウンセラーの育成及び養成,人材育成のための教育及び訓練,技芸・スポーツ又は知識の教授,資格の認定及び資格の付与,資格検定試験の企画・運営又は実施,セミナーの企画・運営又は開催,演芸の上演,マジックの上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,映画の上映・制作又は配給,オンラインによる映画・画像・映像の提供,映像の上映」及び第44類「音楽療法」を指定役務とし、平成27年7月9日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『幼児リトミック』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『リトミック』の文字は、『律動的な、リズミカルな』の意を有する仏語『rythmique』の表音と認められるものであり、広辞苑第六版によれば、『(1)詩や音楽のリズムに関する研究。律動法。(2)リズムに基礎を置く教育法の一つ。体の動きを音楽に結びつけてリズム感覚を育てるもので、舞踊・体操などにも採り入れられる。ダルクローズの創始。律動法。』の記載が認められる。そして、『リトミック』の文字は、幼児教育の場でも、音楽リズムを採り入れた幼児の情操・能力開発の方法を表すものとして使用されていることからすれば、本願商標は全体として『幼児を対象とした音楽リズムを採り入れ体の動きを音楽に結びつけてリズム感覚を育てる音楽教育法(リトミック)』程の意味合いを容易に認識させるものである。そうすると、本願商標をその指定商品中、例えば、『幼児のための音楽リズムを採り入れた情操教育・総合的な能力開発教育に関する指導員の養成講座における知識の教授,幼児のための音楽リズムを採り入れた音楽療法』等について使用しても、これに接する取引者・需要者は、前記意味合いを理解するに止まり、本願商標は、役務の質(内容)を表示するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、上記役務以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権による証拠調べをした結果、別掲に示す事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成28年11月10日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対し、指定した期間内に何ら意見を述べていない。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「幼児リトミック」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、前半が漢字、後半が片仮名と、その文字種が異なることから、一見して「幼児」及び「リトミック」の文字を結合したものと容易に把握されるものである。
そして、本願商標の構成中の「リトミック」の文字は、国語辞書によれば、別掲1のとおり、「体の動きを音楽に結びつけてリズム感覚を育てるもので、舞踊・体操などにも採り入れられるリズムに基礎を置く教育法。律動法。」を意味する語である。
また、本願指定役務中の教育及び指導等の役務を取り扱う業界において、別掲2のインターネット記事によれば、例えば、親子を対象とする「リトミック」を「親子リトミック」と、また、ベビー(赤ちゃん)を対象とする「リトミック」を「ベビーリトミック」と称しているように、「リトミック」の語の前に「リトミック」を受ける者(対象者)を表す名称を冠して使用されている事実が見受けられる。
さらに、同業界において、別掲3のインターネットの記事によれば、「幼児リトミック」の文字が、「幼児を対象とする、体の動きを音楽に結びつけてリズム感覚を育てる教育法及び療法」の意味合いを示す語として使用されている事実があることも明らかである。
そうすると、本願商標は、これをその指定役務中の「カウンセラーの育成及び養成,人材育成のための教育及び訓練,技芸・スポーツ又は知識の教授,資格の認定及び資格の付与,資格検定試験の企画・運営又は実施,セミナーの企画・運営又は開催,音楽療法」に使用した場合には、これに接する需要者、取引者は、「幼児を対象とする、体の動きを音楽に結びつけてリズム感覚を育てる教育法及び療法を内容とする役務」であることを理解、認識するにとどまり、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、上記以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張
ア 請求人は、「幼児」と「リトミック」の語が全く結びつきのない文言同士であるから、本願商標は原審説示のごとき意味合いを認識するとはいえず、自他役務識別標識として機能する旨主張しているが、本願商標が、その指定役務の取引の実情に照らし、「幼児を対象とする、体の動きを音楽に結びつけてリズム感覚を育てる教育法及び療法を内容とする役務」であることを認識させることは、上記(1)で述べたとおりである。
イ 請求人は、インターネット上の検索結果の内容を検討すると、そのほとんどが請求人又はその関係者による情報であり、それ以外の情報を提供している者のうち、実際に「幼児リトミック」に関する教室を行っていることを確認できるのは、1社を除き、全国展開していない数少ない者のみであって、請求人が全国で297教室を展開していることからすれば、「幼児リトミック」の語は、請求人が提供するものとして需要者に広く認識されているといえるものである旨主張している。
しかしながら、仮に、上述の主張が、本願商標の使用による識別力を獲得したものとの趣旨(商標法第3条第2項)であると解したとしても、請求人が当審において提出した証拠によれば、「国立音楽院卒業生が全国で活躍中!現在120会場297教室」及び「『幼児リトミック』を日本で始めたのは、国立音楽院です。」という記述が認められるにすぎず、本願商標に係る使用期間、使用地域、売上高、広告宣伝の規模等の事実は一切不明である。そして、上記(1)で認定した本願商標から生ずる意味合い及び使用状況に鑑みれば、本願商標は、これが使用された結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものとなっているとは認められず、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
ウ また、請求人は、過去の登録例等を挙げ、本願商標も登録されるべき旨主張しているが、商標が識別力を有するか否かの判断は、査定時又は審決時において、取引の実情を勘案し、その指定商品及び指定役務の取引者、需要者の認識を基準として、商標ごとに個別具体的に判断すべきであるところ、請求人が挙げた登録例は、本願商標とは構成等を異にするものが含まれ、かつ、本件の審決時における取引の実情は上記(1)のとおりである。
エ よって、請求人の主張は、いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(平成28年11月10日付けでした証拠調べ通知書をもって開示した事実)
1 「リトミック」の意味
(1)「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店発行)において、「リトミック」の説明として、「(1)詩や音楽のリズムに関する研究。律動法。(2)リズムに基礎を置く教育法の一つ。体の動きを音楽に結びつけてリズム感覚を育てるもので、舞踊・体操などにも採り入れられる。ダルクローズの創始。律動法。」の記載がある。
(2)「新明解国語辞典第七版」(株式会社三省堂発行)において、「リトミック」の説明として、「心身の調和を目的とした、リズムによる(音楽の)教育法。エミルジャックダルクローズの創案。」の記載がある。

2 本願指定役務を取り扱う分野における「○○リトミック」の用例(下線は、当合議体が付加。以下同じ。)
(1)「親子リトミック」
ア 「カワイ音楽教室」のウェブサイトにおいて、「親子リトミック」の項目中に、「親子リトミックってなあに?」の見出しの下、「『親子リトミック』は1歳のお誕生日をむかえたお子様とママのためのリトミックレッスンです。」との記載がある。
(http://music.kawai.jp/eurythmics/)
イ 「NPO法人すぎなみ子育て広場シュシュ」のウェブサイトにおいて、「親子リトミック」の項目中に、「親子で音やリズムに親しみ、表現する楽しさを味わいませんか?」の見出しの下、「リトミックはスイスの音楽家が創案した音楽教育で、音楽と身体の動きの調和により『動きから音』『音から動き』というプロセスを通して、豊かな感性、表現力、創造性、コミュニケーション能力を引き出そうとするメソッドです。・・・お子さんの年齢とその成長に見合ったカリキュラムとなっていますが、生のピアノと歌声で、大人も一緒に楽しめるプログラムを行なっています。」との記載がある。
(http://chouchou-suginami.com/eurythmics/)
ウ 「親子リトミック Qorabo」のウェブサイトにおいて、「対象:1歳半?3歳までの親子\楽しい音楽、元気な先生と一緒に、リトミックであそぼう!音楽に合わせて親子で動いたり、絵本の読み聞かせ、制作など。」との記載がある。
(http://qorabo.weebly.com/)
エ 「石橋音楽教室」のウェブサイトにおいて、「こんにちは石橋音楽教室です。」の見出しの下、「お子様とお母様参加の親子リトミック。自立と自律を促し想像力 集中力 思考力 判断力を養う幼児リトミック。」との記載がある。
(http://www.ishi-music.jp/)
(2)「ベビーリトミック」
ア 「リトピュアリトミック」のウェブサイトにおいて、「レッスンにいく」の項目中に、「ベビークラス」の見出しの下、「ベビーリトミックをスタートして18年になるリトピュアは、赤ちゃんの『できる』をたくさん見つけてきました。自らリズムを感じ、絵本に集中する姿に、ママも先生も感動です。それは、赤ちゃんが好きなことをリトミックにしているから。ママから伝わるリズムを、歌声を、赤ちゃんはストレートに感じます。」との記載がある。
(http://rito-pure.com/lesson/#baby)
イ 「sheer kidsリトミック教室」のウェブサイトにおいて、「リトミック」の項目中に、「0歳時から始めるベビーリトミック」の見出しの下、「リトミックとはスイスの作曲家エミール・ジャック・ダルクローズが考案した音楽療法の一つです。・・・このリトミックですが、幼児期だけでなく0歳時から始めるベビーリトミックというものもあります。」との記載がある。
(http://kids.flips.jp/blog/post/3542)
ウ 「Ring*ring Company」のウェブサイトにおいて、「ベビーリトミック」の項目中に、「ベビーリトミックシアター」の見出しの下、「リングリングカンパニーのベビーリトミックシアターは、赤ちゃんの好きなお歌を中心にママが一緒に体を使って遊び、音楽を学びます。」との記載がある。
(http://www.ringring-c.com/class2.html)

3 本願指定役務を取り扱う分野における「幼児リトミック」の用例
(1)2016年1月14日付け「西日本新聞」(朝刊23頁)に、「福岡県/TNC西日本文化サークル=新講座登場! 一日体験のご案内【賢く育てる幼児リトミック教室】 ほか」の見出しの下、「★新講座登場! 一日体験のご案内【賢く育てる幼児リトミック教室】」との記載がある。
(2)「音楽教室 アンサンブル」のウェブサイトにおいて、「幼児リトミック」の見出しの下、「コース概要」として「対象:1歳児・2歳児」との記載及び「指導歴10年以上のベテランの先生が、毎回綿密なプログラムを組み、楽器をはじめ豊富なリトミック教材や手作りの教材とともに四季折々の歌にのせながら充実したレッスンを展開していきます。」との記載がある。
(http://www.salon-de-ensemble.com/childbaby-rythmique)
(3)「TarTarugamusic」のウェブサイトにおいて、「幼児リトミック」の見出しの下、「リトミックってなぁに?ということを聞かれること、多いのですが、歩き始めから幼稚園に入る前のお子さんが親と一緒に楽しみながら社会性、人格形成、情操教育を育む活動です。・・・たるたるーがの幼児リトミックは音楽療法のメソッドに基づいて個々の性格、傾向をみながら集団でのかかわり、母子分離、『心』を育てるサポートをしています。」との記載がある。
(http://tartarugamusic.jimdo.com/幼児リトミック/)
(4)「ヨークカルチャーセンター奈良」のウェブサイトにおいて、「講座一覧」の項目中に、「幼児リトミック」の見出しの下、幼児の写真と共に「リトミック(音楽を自分の耳で聴き、感じ、判断し、それを身体で表現する活動)を通して、リズム感、音感、思考力、判断力、反応力が楽しく身につきます。」との記載がある。
(http://www.culture.gr.jp/detail/nara/itemview_51_51000900.html)
(5)「杉並区」のウェブサイトにおいて、「すぎなみ子育てサイト」の項目中に、「1196 株式会社カルチャー 吉祥寺カルチャーセンター」の見出しの下、「サービス名」として「親子で楽しむ幼児リトミック」との記載、「サービス内容」として「親子でピアノに合わせて体を動かし、コミュニケーションを図ります。」との記載及び「対象者」として「7カ月?2歳の子どもと親」との記載がある。
(http://www.city.suginami.tokyo.jp/kosodate/ouenken/service/hureai/rythmique/1000444.html)
(6)「ピアノ教室FUJITA」のウェブサイトにおいて、「ピアノ教室ブログ」の項目中に、「1歳2歳3歳のリトミッククラス 幼児リトミック目黒教室のお知らせ」の見出しの下、「目黒区 めぐろパーシモンホールにて、1歳2歳3歳のリトミッククラスを開講しています。」との記載がある。
(http://www.piano-fujita.net/blog/topics/post-33.html)
(7)「石橋音楽教室」のウェブサイトにおいて、「こんにちは石橋音楽教室です。」の見出しの下、「お子様とお母様参加の親子リトミック。自立と自律を促し想像力 集中力 思考力 判断力を養う幼児リトミック。」との記載がある。
(http://www.ishi-music.jp/)
(8)「小林音楽教室」のウェブサイトにおいて、「開講クラスの紹介」の項目中に、「幼児リトミック=ソルフェージュクラスの紹介」の見出しの下、「東京都の各教室・・・で行う、0歳から始められる音楽学習の導入クラスです。・・・『幼児リトミック=ソルフェージュクラス』では身体的機能が未発達の幼児でも、無理なく楽しく音楽の素養を身につけることができるよう、リトミックを中心にソルフェージュの要素も取り入れて、親子が一緒に取り組める少人数(定員6名)のグループレッスンを行います。」との記載がある。
(http://www.kobayashi-music.com/school_class/school_class_eurythmics.htm)
(9)「スタジオクエンクエン」のウェブサイトにおいて、「知育幼児リトミック」及び「1?5才クラス 1・2才クラスはママと一緒に。3?5才クラスは先生・お姉さんと一緒に。」との記載がある。
(http://www.quemquem.com/)
(10)「NPO法人日本こども教育センター」のウェブサイトにおいて、「リトミック・音楽講師養成講座」の項目中に、「資格一覧」の見出しの下、「ドリームリトミック講師養成 音感・リズム感を高め、感性を豊かに育てる幼児リトミックの専門家を養成します。幼稚園・保育園・各種教室などまだまだニーズの高いリトミック、講師として活躍しませんか。」との記載がある。
(http://kodomokyouiku.jp/02_course/)
(11)「NPO法人きらら らんど」のウェブサイトにおいて、「ママのレッスン紹介」の項目中に、「★☆きらら らんど 講師養成講座」の見出しの下、「内容」として、「☆きらら らんどの幼児リトミックの講師養成講座です。」との記載及び「幼児リトミック講師の条件」として「・子供と一緒に歌ったり、体を動かすことが好きな方。」との記載がある。
(http://kiraraland.com/mamalesson.html)

審理終結日 2017-01-16 
結審通知日 2017-01-19 
審決日 2017-01-31 
出願番号 商願2015-65373(T2015-65373) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (W4144)
T 1 8・ 13- Z (W4144)
T 1 8・ 17- Z (W4144)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊瀬 京太郎大森 友子 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 藤田 和美
田中 幸一
商標の称呼 ヨージリトミック、リトミック 
代理人 特許業務法人JAZY国際特許事務所 

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