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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W034144
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W034144
管理番号 1326106 
異議申立番号 異議2016-900103 
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-04-25 
確定日 2017-02-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第5823636号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5823636号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5823636号商標(以下「本件商標」という。)は、「Fill in」の欧文字を横書きしてなり、平成27年7月24日に登録出願、第3類「化粧品,爪用化粧品,爪用ジェル,ジェル状の化粧品,つけづめ,つけまつ毛,爪用接着剤,香料,薫料,せっけん類,つけ爪装飾用シール,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つやだし布」、第41類「美容の教授,爪に関する美容技術の教授,ジェルネイルに関する教授,爪に関する美容技術の知識の教授,ジェルネイルに関する知識の教授,資格付与のための資格試験の実施及び資格認定・資格の付与,セミナーの企画・運営又は開催,爪に関する美容技術のセミナーの企画・運営又は開催,ジェルネイルに関するセミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,ジェルネイルのデザインに関する展示会の企画・運営又は開催,美術品の展示,書籍の制作,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),爪の美容に関する教育研修のための施設の提供,ジェルネイルに関する教育研修のための施設の提供」及び第44類「美容,理容,ネイルケア美容,ジェルネイル・ジェルネイルアートを主とする美容,マニキュアによる美容,美容に関する指導及び助言,美容に関する情報の提供,理美容及びこれに関する情報の提供,手・指・腕のマッサージ,指圧,医療情報の提供,栄養の指導,爪の美容院用の機械器具の貸与及びこれに関する情報の提供,美容機器(業務用)の貸与及びこれに関する情報の提供」を指定商品及び指定役務として、同28年1月4日に登録査定、同年2月5日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
1 登録異議申立1の理由
登録異議申立人有富かおる(以下「申立人1」という。)は、本件商標について、下記の理由により、商標法第3条第1項第1号ないし同第3号及び同第6号もしくは同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきであると申立て、証拠方法として甲第1号証ないし甲第38号証及び参考資料1を提出した。
(1)本件商標は、「Fill in」の英文字よりなるところ、該文字は、ネイルアートにおける補修技術の名称として従来より一般的に使用されており、ネイル業界のみならずネイルアートの利用者にも広く知られている。
また、「Fill in」の文字は、ネイル補修に関する一般名称又は慣用商標であり、指定商品又は指定役務に使用したとしても商品の品質、役務の内容・質、効能、用途、提供の用に供する物などを普通に用いられる方法で表示するにすぎない。そして、取引者、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することもできない。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第1号ないし同第3号又は同第6号に該当する。
(2)本件商標をネイルアートにおける補修技術である「Fill in」と関係の無い商品又は役務に使用すれば、商品の品質、役務の質に誤認を生じさせ、需要者に不測の不利益を与える。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
2 登録異議申立2の理由
登録異議申立人特定非営利活動法人日本ネイリスト協会(以下「申立人2」という。)は、本件商標について、下記の理由により、商標法第3条第1項第3号、同第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申立て、証拠方法として甲第1号証ないし甲第42号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、「つけ爪のお直し」の意味合いを有する「Fill in」の欧文字を普通に用いられる方法で表示したにすぎないから、これを指定商品又は指定役務中の「つけ爪のお直し(フィルイン)に関する商品・役務」に使用しても、商品の品質・役務の質(内容)を表示するにすぎず、自他商品又は自他役務識別標識としての機能を果たし得ない。また、上記商品又は役務以外の商品又は役務に使用するときは商品の品質・役務の質に誤認を生じさせるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)本件商標は、これをその指定商品又は指定役務について使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

第3 本件商標に対する取消理由
当審において、平成28年11月4日付けで、商標権者に対して、本件商標について登録を取り消すべき旨の通知をした。
その理由は要旨次のとおりである。
1 「Fill in」ないし「フィルイン」の語(文字)について
申立人1及び申立人2の提出に係る甲各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
なお、以下、申立人1が提出した証拠方法を「申立1甲第○号証」のように記載し、申立人2が提出した証拠方法を「申立2甲第○号証」のように記載する。
(1)「現代英和辞典」(株式会社研究社)によれば、「Fill in」の文字は、「(穴・空所を)ふさぐ、充填する」等を意味する英語である(申立2甲第2号証)。
(2)「ジェルネイル・バイブル」(株式会社河出書房新社、2007年12月30日6刷発行)には、「ネイル用語集」の「フィルイン(fill in)」の項に「自爪が伸びて,イクステンションなどの人工爪の段差やすきまができたときにそれを修正し、再び形を整えること。」の記載があり、「サロンワークには欠かせないフィルイン&オフについて説明します。/フィルイン&オフ」の見出しの下、「フローターのフィルイン」、「ジェルポリッシュのフィルイン」等についての説明が掲載されている(申立1甲第2号証)。
(3)「JNA TECHNICAL SYSTEM ADVANCE」(NPO法人日本ネイリスト協会(JNA)、2015年12月1日第1版発行)には、用語集と思われる表中の「フィルイン」の項に「イクステンションが浮いてきたり、爪が伸びたためにできた段差等を修繕する事。」の記載があり、「リペア2 ファイルを使ったフィルイン」、「リペア3 ネイルマシーンを使ったフィルイン」についての説明が掲載されている(申立1甲第3号証)。
(4)「Natiful vol.114」(NPO法人日本ネイリスト協会(JNA)、2015年7月1日発行)には、「フィルインメニューで他店との差別化を図る」の見出しの下、「Q1 サロンメニューにフィルインを取り入れたいのですが、どんな商材を使用すればいいのでしょうか?」、「A1 ベースジェル レオ、エッジ&トップジェルがフィルインメニューに最適です。今やサロンの定番メニューとなったフィルイン。」の記載とともに、フィルインに適した商材として、ベースジェル、エッジ&トップジェルが紹介されている。また、「Q2 フィルインにバリエーションはありますか?」、「A2 お客様のご要望にあったフィルイン方法を見極め、サービスのご提供をしましょう。」の記載とともに、フィルインのバリエーションの説明及び商品が紹介されている。
さらに、「セミナーのご案内」の見出しの下、「株式会社シンワコーポレーション」のセミナー名として「ハードジェル&フィルインでリピーターを獲得!」の記載がある(申立1甲第4号証)。
(5)「いちばんかんたんにできる ジェルネイルアートブック」(株式会社マイナビ、2013年11月22日初版第6刷発行)には、ネイル用語集の「フィルイン」の項に「地爪が伸びた部分や、リフティングした部分をジェルで埋める作業のこと。」の記載があり、また、「困ったときのリペア方法」として、「フィルイン」についての説明が掲載されている(申立1甲第6号証)。
(6)「黒崎えり子のキレイを叶えるネイルBOOK?ツメ先からキレイの魔法をかける?」(株式会社ブティック社、2010年9月20日発行)には、「リペア(フィルイン)」の見出しの下、自爪が伸びてきた場合の修復方法が紹介されている(申立1甲第7号証)。
(7)「ジェルネイルの新常識 ブラシオン・ジェルネイルをはじめよう」(株式会社河出書房新社、2013年10月30日初版発行)には、「ジェルネイルのメンテナンスについて」の見出しの下、「ジェルネイルが浮いてきたら・・・フィルインというお直しをすることもできますので、ネイルサロンで相談してください。」、及び「Q7 ジェルはどれくらい持ちますか?」、「A7 使用したジェルや、プレパレーション、ジェルを塗る際の技術にもよりますが、3?4週間が目安でしょう。・・・ネイルサロンでフィルインをするようにしましょう。」の記載がある(申立1甲第8号証)
(8)「合格への近道! ネイリスト技能検定 1級・2級・3級 完全対策バイブル」(株式会社河出書房新社、2013年12月20日5刷発行)には、「ネイルの技術体系」として「リペア(爪の修復、補強)」の項目に、「フィルイン」があり、「フィルイン」の説明として「ナチュラルネイルが伸びてきた部分に対して、イクステンションを修復すること。」の記載がある(申立1甲第10号証)。
(9)「これ一冊でわかる ネイルケア&ネイルアートの基本」(株式会社マイナビ、2014年3月31日初版第1刷発行)には、「フィルイン」の項に「エクステンションが浮いてきたり、爪が伸びてできた段差を修繕すること。」の記載がある(申立1甲第11号証)。
(10)「MILADY’S/Art and Science of Nail/TECHNOLOGY/REVISED EDITION」(株式会社アップフロントブックス、1997年4月30日第1刷発行)には、「Fill-In フィルイン」の説明として「フィルインとは爪の新たに伸びた部分にアクリルを追加することです。」の記載があり、「フィルインは以下の要領で行います。」として、その手順が説明されている(申立2甲第5号証)。
(11)「Fill in」ないし「フィルイン」の文字は、爪の補修を表す語として、美容院やネイルサロンにおいて使用されている(申立1甲第15号証ないし同甲第33号証、申立2甲第12号証ないし同甲第25号証)。
(12)「Fill in」ないし「フィルイン」の文字は、インターネットの動画配信サイトにおいて、爪の補修を表す語として使用されている(申立1甲第34号証ないし甲第38号証)。
2 本件商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
上記1によれば、本件商標を構成する「Fill in」の欧文字及びその表音である「フィルイン」の片仮名は、「自爪の伸びてきた根元部分をジェルなどで埋めて爪の段差を補修ないし修繕すること」のように、爪の補修を意味する語して、広く使用されているものである。
してみれば、本件商標をその指定商品中、「爪用化粧品,爪用ジェル,ジェル状の爪用化粧品,つけづめ」などのほか、爪の補修に関連する商品に使用するときには、当該商品の用途、品質を表示するにすぎないというべきものである。
また、本件商標をその指定役務中、第41類の「爪に関する美容技術の教授,爪に関する美容技術の知識の教授」、第44類の「ネイルケア美容,ジェルネイル・ジェルネイルアートを主とする美容」などのほか、爪の補修に関連する役務に使用するときには、当該役務の内容、役務の質を表示するにすぎないというべきものである。
そして、本件商標をその指定商品中、爪の補修に関連しない商品に使用するときには、その商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるというべきであり、さらに、本件商標をその指定役務中、爪の補修に関連しない役務に使用するときには、その役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

第4 商標権者の意見
商標権者は、上記第3の取消理由の通知に対して、指定した期間内に何ら意見を述べていない。

第5 当審の判断
本件商標について通知した前記第3の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、他の申立の理由について判断するまでもなく、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する
異議決定日 2017-01-19 
出願番号 商願2015-75169(T2015-75169) 
審決分類 T 1 651・ 13- Z (W034144)
T 1 651・ 272- Z (W034144)
最終処分 取消  
前審関与審査官 小田 昌子 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 平澤 芳行
中束 としえ
登録日 2016-02-05 
登録番号 商標登録第5823636号(T5823636) 
権利者 株式会社Rei Rose
商標の称呼 フィルイン、フィル 
代理人 田中 尚文 
代理人 西川 幸慶 
代理人 金成 浩子 
代理人 岡部 讓 

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