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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W29
審判 全部申立て  登録を維持 W29
審判 全部申立て  登録を維持 W29
審判 全部申立て  登録を維持 W29
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審判 全部申立て  登録を維持 W29
管理番号 1326105 
異議申立番号 異議2016-900377 
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-11-28 
確定日 2017-03-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第5877162号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5877162号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5877162号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成28年6月7日に登録出願、第29類「こんにゃく」を指定商品として、同年8月1日に登録査定、同年8月26日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5538178号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成24年7月27日に登録出願、第29類「こんにゃく」を指定商品として、同年11月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第16号、及び、同項第7号に該当し商標登録を受けることができないものであるので、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきものであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標の商標権者(以下、「被申立人」という。)と申立人との関係
(1)申立人の会社自身は、平成4年設立であるものの(甲2)、その前身は創業者である倉嶋求馬によって明治初期に創業された事業主体であり、その間、100余年、現在の代表取締役である倉嶋康司氏までの五代に渡りこんにゃく製品の製造販売をしている。申立人の「こんにゃく」製品は「森蒟蒻」として明治からの地元の郷土記「森町変遷雑記」にもその名が掲載されており(甲3の1)、現在では、登録商標「森のこんにゃく」(甲4の1及び2)を付した商品は、地元の静岡地方及びその周辺地域で親しまれている(甲5の1ないし4)。
(2)被申立人の会社代表取締役である倉島正三氏は、申立人の会社が設立された平成4年当初から平成13年までの間、申立人の会社の一従業員として営業部門を担当していた(甲6)。その後、同氏は、引用商標を付した商品を含む申立人の商品を販売するために、平成13年1月に、現在の会社の前身である有限会社くらしまを設立し、その後、平成21年9月に、組織変更及び名称変更により現在に至っている。
(3)本件商標を使用したこんにゃく製品が被申立人によって、販売されるようになってから、申立人に対して需要者・取引者から申立人の商品と混同するという問い合わせが舞い込むようになった。事実、多くの需要者・取引者が申立人の商品と被申立人の商品との間で混同を起こしており、その一例として、こんにゃく事業を営む同業者からの書面を証明書として提出する(甲7)。
このため、申立人は、自社の商品と被申立人の商品との間で混同が生じないように、被申立人に対して、必要な措置を採るよう、口頭で要請を行った。しかし、被申立人はかかる要請に一切応じないため、本件商標に対する登録異議の申立てを行った。
2 本件商標の商標法第4条第1項第11号の該当性について
(1)引用商標は、その態様から全体で「モリノコンニャク」の称呼を生じる。また、引用商標の構成要素である「森」、「の」、「こんにゃく」のうち「森」は、もともとは地元静岡県周智郡森町の町名に由来するものである一方、「樹木が多くこんもりと生い茂っている所」等の意味を有する。さらに格助詞「の」は名詞が接続する場合、一般に「接続する名詞との所有・所在・所属・行為者などの関係」を表すことから、商標全体で「森町のこんにゃく」も観念することは可能であるが、一般的には「樹木が多くこんもりと生い茂っている所のこんにゃく」等の観念を生じる。
(2)本件商標は、「遠州/森/こんにゃく」からなり、縦書きで、中央には他の文字より極めて大きな文字で、かつ、若干崩し文字であるものの読み取れる程度の漢字である「森」、その右肩部分に小さく「遠州」及び左側に小さく「こんにゃく」の平仮名文字が配され、それぞれ毛筆風の書体で表しているとはいえ、各構成要素である「遠州」、「森」、「こんにゃく」の文字の大きさが外観上著しく異なっている。また、全体では「エンシュウモリコンニャク」と10音であり、冗長であるといえるものである。さらに、漢字の「森」の右肩部分に付記された「遠州」の文字は、静岡県大井川以西の旧国名である遠江国の別称である。例えば、地元の鉄道会社に「遠州鉄道株式会社」、その他公共性の高い組織や建物に「遠州信用金庫」、「遠州病院」、「JA遠州中央」等があり、また、現在においても静岡県御前崎から愛知県伊良湖岬までの沖合一帯の海を「遠州灘」という地理的名称の一部として、また、東名高速のパーキングエリアにも遠州豊田PAというように、現在でも広く一般的に使われている。このように、「遠州」は、もともとは旧国名であるとはいえ、現在でもそのまま日常的に使用されているものであり、このため、当該部分からは容易に地理的名称を表すと看取できるものであり、その結果、当該部分は商標としては識別性のない構成要素といえる。
したがって、本件商標は、その文字の大きさの著しい相違という外観上の不統一、全体で10音という称呼上の冗長さから、「遠州森こんにゃく」という以外にも、地理的名称の「遠州」を除外した「森こんにゃく」と取引において簡略化される場合もあるというのが自然であり、当該部分から「モリコンニャク」の称呼及び、「森町のこんにゃく」或いは「樹木が多くこんもりと生い茂っている所のこんにゃく」等の観念を生じる場合がある。
(3)「森こんにゃく」と簡略化される場合のある本件商標と「森のこんにゃく」からなる引用商標とを比較すると、本件商標の称呼は当該部分から「モリコンニャク」という称呼を生じるのに対して、引用商標は「モリノコンニャク」の称呼を生じる。この場合、両者の差異音が、中間音の「ノ」であり、これは子音が弱音の通鼻音でありかつ母音が弱く響く奥舌母音であることから、これらの称呼は近似した発音となる。さらに加えて、観念上は、どちらも地元では「森町のこんにゃく」と観念することも可能であるが、一般的には「樹木が多くこんもりと生い茂っている所のこんにゃく」等の観念を生じる場合があり、同一の観念を生じることになる。さらに、本件商標の指定商品は引用商標の指定商品と同一の関係にある。
(4)本件商標は、書体が毛筆風の若干崩し文字ではあるが、通常読むことの可能な範囲内の書体であることに変わりはなく、しかも、取引の実情においては、本件商標の指定商品「こんにゃく」が実際に取引されているスーパーマーケット等の店頭において、販売促進のためのPOP広告や、商品陳列棚の値札に値段と共に商品名が標準的な書体で記載されていることが調査で発見されており、一般の需要者・取引者が、本件商標が「遠州」、「森」、「こんにゃく」の文字構成からなることを看取することは十分可能である。
(5)両商標の指定商品である「こんにゃく」は、一般のスーパーマーケット等で日常的に購入される商品であり、価格も100円前後から数百円のものであることから、その購入時に需要者が払う注意力は高いものではない。需要者は、主に主婦層であると考えられ、日々の食材選択において、詳細に商標を観察することなく、直感で購入するという取引実情がある。このため、引用商標「森のこんにゃく」と「森こんにゃく」と簡略化されることのある本件商標が付された商品が店頭に並んだ場合、買い物時に瞬時に正確に見分けることは極めて難しいといえる。
(6)以上より、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念において相紛らわしく、その出所について混同を生じるおそれのある類似する商標であり、かつ、引用商標に係る指定商品と同一の商品を指定商品とするものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し商標登録を受けることができないものである。
3 本件商標の商標法第4条第1項第15号の該当性について
(1)申立人は、前身である創業者の事業を含めると、明治初期の創業以来、100余年、五代に渡りこんにゃく製品の製造販売をしており、申立人の「こんにゃく」は「森のこんにゃく」として地元で親しまれている(甲3及び甲5)。申立人のこんにゃく製品の売上金額は、平成25年(2013年)で¥178,188,454、平成26年(2014年)で¥174,427,608、平成27年(2015年)で¥205,513,273であり、このうち、申立人の引用商標「森のこんにゃく」を使用している製品の売り上げは、平成25年(2013年)で¥111,501,966、平成26年(2014年)で¥111,975,799、平成27年(2015年)で¥116,130,934であり、商標「森のこんにゃく」の付された商品の占める割合は各年それぞれ62.58%、64.20%、56.51%となっている(甲8)。一方で、こんにゃく製品の1世帯当たりの家計購入額が「こんにゃく製品の家計消費の推移(日本こんにゃく協会)」(甲9)から、平成25年(2013年)で¥1,982、平成26年(2014年)で¥1,994、平成27年(2015年)で¥1,993であることからすれば、上記の売上金額からは、最終的には相当数の消費世帯において、申立人自身の商品並びに引用商標を付した商品が消費されていることが分かる。
(2)このように、引用商標「森のこんにゃく」を付した商品が流通している状況下において、市場に「森こんにゃく」と簡略化されることのある本件商標を付した商品「こんにゃく」が出回った場合に、主な需要者層である主婦層が買い物時のわずかな商品選択の時間に瞬時に見分けることは極めて困難であり、商品の出所について混同を生じるおそれがある。
(3)事実、申立人は申立人の取引者から被申立人の商標と混同を生じている旨の問い合わせを受けることが頻繁にある。そのほんの一例として、事業者からの混同している旨の書面を受け取っている(甲7)。
(4)以上より、両商標の近似性、指定商品の同一性、現実に需要者等の間で出所の混同が生じている事実等を勘案すれば、本件商標が本件指定商品に使用された場合、その商品の需要者が申立人の業務に係る商品と出所について混同するおそれがあるといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し商標登録を受けることができないものである。
4 本件商標の商標法第4条第1項第16号の該当性について
(1)本件商標は地名「遠州」を含む商標であるが、「遠州」とは、現在の静岡県西部地方を指している。本件商標を指定商品「こんにゃく」に使用した場合、これに接する需要者は、「遠州」産の蒟蒻芋から製造された「こんにゃく」である、又は当該地で製造若しくは販売された「こんにゃく」であると認識するものといえる。
(2)このため、本件商標が、「遠州」地域以外の地で生産された原材料から、当該地以外の地で製造又は販売された指定商品に使用されるときは、需要者に対し、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当し商標登録を受けることができないものである。
5 本件商標の商標法第4条第1項第7号の該当性について
(1)被申立人の会社代表取締役である倉島正三氏は、かつては、申立人の会社が設立された平成4年当初から平成13年までの間、申立人の一従業員として営業部門を担当していた事実がある(甲6)。同氏は、引用商標を付した商品を含む申立人の商品を販売するために、平成13年1月に、有限会社くらしまを設立し(平成21年9月に現在の株式会社久米吉に組織変更及び名称変更)、その後、引用商標に称呼及び意味観念が酷似する本件商標を申立人に無断で登録し、申立人の取扱商品と同じ商品こんにゃくに使用するに至った。
(2)このように、会社の元従業員が、その勤務していた会社の社員として、当該会社の所有する商標を使用した業務に関与していた場合であって、その元従業員が、退職後に、その会社の商標に類似する商標を出願したものであって、その使用する商品等も互いに同一又は類似する場合、その元従業員による商標の採択及び使用の意図は、以前勤務していた会社の登録商標の存在と偶然に一致したものとは認め難いものであって、その会社がその登録商標を使用している事実を、その社員として知っていて商標の登録出願をしたものといわざるを得ない。このため、元従業員の商標登録出願行為、及び、商標を使用する行為は、公正な商取引の秩序を混乱させ、ひいては社会公共の利益及び公の秩序に反するものである。
(3)本件商標を使用したこんにゃく製品が被申立人によって、販売されるようになってから、申立人に対して需要者・取引者から申立人の商品と混同する問い合わせが殺到したので、申立人は、自社の商品と被申立人の商品との間で混同が生じないように、被申立人に対して、必要な措置を採るよう、口頭で要請を行った。しかし、被申立人はかかる要請に対して一切応じていない。
(4)このように、元従業員倉島正三氏が、その勤務していた申立人の所有する商標に類似した商標を無断で代表取締役を務める自身の会社名で出願し、しかも、現実に混同が生じているため、申立人が何らかの措置を被申立人に求めたにもかかわらず使用を継続していることは、申立人の永年蓄積された業務上の信用に便乗しようとする何らかの悪性が認められるものであり、実質的には元従業員による商標登録出願行為、及び、商標を使用する行為は、公正な商取引の秩序を混乱させ、ひいては社会公共の利益及び公の秩序に反するものである。
したがって、かかる被申立人の行為は、社会通念上商道徳に反するものであり、公正な商取引秩序を乱すおそれがあるばかりでなく、ひいては、公の秩序を害するおそれがあるものというべきであり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当し商標登録を受けることができないものである。
6 結び
上記より、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第16号、及び、同項第7号に該当し商標登録を受けることができないものであるので、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号の該当性について
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、その構成中右側上部に配された文字及び顕著に大きく表された中央部の文字は、毛筆をもって何らかの文字を崩したものであろうと推測されるが、その態様は特異なものであって、如何なる文字を表したものか明らかではなく、一般的な取引者、需要者が特定の文字として判読することは困難なものであって、判読不能な文字よりなるものと判断するのが相当である。
また、本件商標の構成中左側に毛筆をもって表された「こんにゃく」の文字は、その指定商品との関係からみて、商品の普通名称を表したものと容易に認識、把握されるものであるから、出所識別標識としての称呼、観念は生じない。
してみると、本件商標は、その構成中「こんにゃく」の文字部分を除いた右側上部の文字及び顕著に大きく表された中央部の文字部分に着目して取引に資する場合も決して少なくないといえるところ、これら構成各文字は、上記したとおりいずれも判読不能なものであり、これより直ちに特定の文字を認識し、該文字より生ずる称呼により取引に資するものとは認め難いから、特定の称呼及び観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、「森の」及び「こんにゃく」の文字を2行に縦書きしてなるところ、各文字は同じ書体、同じ大きさでまとまりよく表されているものであり、その構成全体に相応して生ずる「モリノコンニャク」の称呼も、冗長なものではなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
また、その構成中、「森」の語に格助詞の「の」を付した「森の」の文字部分は、「こんにゃく」の語の連体修飾語であり、構成全体とすれば、「森(樹木が茂り立つ所)にあるこんにゃく」程の意味合いを連想、想起させるものである。
そして、引用商標は、たとえ、その構成中の「こんにゃく」の文字部分が、その指定商品の商品名であるとしても、かかる構成においては、「こんにゃく」の文字部分を捨象して、単に「森の」の文字部分をもって取引に資するとはいい難く、むしろ、「森のこんにゃく」の構成全体をもって、認識し把握されるものとみるのが自然である。
してみれば、引用商標は、その構成文字全体に相応して、「モリノコンニャク」の称呼のみを生ずるとみるのが相当である。
(3)本件商標と引用商標との類否について
ア 外観について
本件商標は、別掲1のとおりの構成からなるものであり、引用商標は、別掲2のとおりの構成からなるものであるから、本件商標と引用商標とは、外観上、全く別異の構成態様からなるものである。
イ 称呼について
本件商標からは、出所識別標識としての特定の称呼が生じるとはいえないから、称呼上、本件商標と引用商標とを比較することはできない。
ウ 観念について
本件商標からは、特定の観念を生じないから、観念上、本件商標と引用商標とを比較することはできない。
エ 小括
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念において比較することができないものであるとしても、外観において明らかに差異を有するものであって、全く別異の構成態様からなる商標というべきあるから、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標と引用商標とが類似の商標と認められないことは、上記1のとおりであって、申立人提出の証拠からは、申立人のこんにゃく製品の年度毎の売上数量及び売上金額(甲8)を把握することができるとしても、その売上数量及び売上金額は、数字のみが一覧表にして作成されたものであり、現実に引用商標が商品に使用されて売り上げられたことが明確に把握できる証拠の提出はなく、また、引用商標を使用して取引した商品の宣伝広告の回数、費用、範囲、期間等については提出された証拠からはうかがい知ることができない。
そして、他に引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認め得る証拠は見いだせない。
してみれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者が引用商標を想起、連想して、当該商品を申立人の業務に係る商品、あるいは、同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤信するとはいえないから、本件商標の出願時及び査定時において、商品の出所について混同するおそれがあるとすることはできない。
なお、申立人は、申立人の取引者から被申立人の商標と混同を生じている旨の問い合わせを受けることが頻繁にある旨主張し、その証左として事業者からの証明書(甲7)を提出しているが、提出された証拠は、わずか1件であり、しかもその内容を裏付ける客観的な資料は提出されていないから、これを引用商標の周知性の根拠とすることはできないものである。
そして、引用商標が申立人の業務に係る商品「こんにゃく」を表示するものとして取引者、需要者に広く知られているものと認めることはできないことは、上記したとおりである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。
3 商標法第4条第1項第16号該当性について
申立人は、本件商標は、その右肩部分に地名である「遠州」を含む商標であり、「遠州」地域以外の地で生産された原材料から、当該地以外の地で製造又は販売された指定商品に使用されるときは、需要者に対し、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある旨主張しているが、当該右肩部分の文字は、上記1(1)のとおり判読することが困難なものであって、特定の称呼及び観念を生じるものではないから、本件商標をその指定商品に使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第7号該当性について
引用商標は、上記2のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く知られていたとはいえないものであり、また、本件商標と引用商標とは類似しない別異の商標であるから、商標権者の会社代表者が、かつては、申立人の会社の従業員であったとしても、引用商標に化体した信用等にただ乗り(フリーライド)し、不正の利益を得るために使用する目的で出願するなど、本件商標の出願の経緯等に著しく社会的相当性を欠くものがあるということはできず、商標権者による本件商標の使用が、商取引の信義則に反するものともいえない。
さらに、本件商標は、別掲1のとおりの構成からなるものであって、それ自体何らきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるものではなく、また、本件商標をその指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するものとすべき事由はなく、かつ、他の法律によってその使用が禁止されているものとも認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第11号、同第15号及び同第16号のいずれにも違反して登録されたものではない。
したがって、本件商標は、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標(登録第5877162号)



2 引用商標(登録第5538178号)


異議決定日 2017-03-17 
出願番号 商願2016-61821(T2016-61821) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W29)
T 1 651・ 22- Y (W29)
T 1 651・ 271- Y (W29)
T 1 651・ 263- Y (W29)
T 1 651・ 272- Y (W29)
T 1 651・ 261- Y (W29)
最終処分 維持 
前審関与審査官 大島 康浩 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 小松 里美
豊泉 弘貴
登録日 2016-08-26 
登録番号 商標登録第5877162号(T5877162) 
権利者 株式会社久米吉
商標の称呼 エンシューモリコンニャク、モリコンニャク 
代理人 入江 一郎 
代理人 越川 隆夫 
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