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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W37
審判 全部申立て  登録を維持 W37
審判 全部申立て  登録を維持 W37
審判 全部申立て  登録を維持 W37
管理番号 1326104 
異議申立番号 異議2016-900345 
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-10-26 
確定日 2017-03-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第5869655号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5869655号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5869655号商標(以下「本件商標」という。)は、「アイアップ」の片仮名と「iup」の欧文字とを上下二段に書してなり、平成28年1月28日に登録出願、第37類「スマートフォン・携帯電話・携帯情報端末機器又はコンピュータの修理又は保守」を指定役務として、同年6月8日に登録査定、同年7月29日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人である株式会社壱番及び株式会社裏七(以下、前者を「壱番」、後者を「裏七」といい、「壱番」と「裏七」を併せていうときは「申立人ら」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第7号について
(1)申立人らについて
申立人である壱番は、平成25年10月25日に設立された株式会社であり(甲2)、同じく裏七は、平成22年4月1日に設立された株式会社である(甲3)。
壱番は、「アイアップ」又は「iup」の店舗名称で、町田店、小田急町田店、飯田橋駅前店、新橋店、小作店、兵庫猪名川店、横浜店、川崎店、藤沢店、小田原駅前店、札幌駅前店を営業している。つまり、東京都並びに神奈川県、北海道、兵庫県で営業を行っている(甲4)。
上記店舗は、壱番が全て直営しているのではなく、契約により、壱番を本部として運営されている。つまり、壱番及び壱番を本部とする上記各店舗(以下「アイアップグループ」という。)が店舗名等に使用商標「アイアップ」又は「iup」を使い、iPhoneの修理を需要者から受けている。
なお、壱番は裏七に対し、「アイアップ」のホームページの作成、アイアップ店舗の運営の業務委託をしている。
(2)アイアップグループの使用商標
壱番のウェブサイトの上段の左側には、「iup」(以下「引用商標1」という。)、「アイアップ」(以下「引用商標2」という。)及び「赤色のリンゴの形状及び十文字と黒色の“iup”」を組み合わせた商標(以下「引用商標3」という。)が表示され、右側中央部に、引用商標2である「アイアップ」の文字が「iPhoneが壊れたら、アイアップヘ」と使用されている(なお、「引用商標1」、「引用商標2」及び「引用商標3」をまとめて「引用商標」という。)。
また、壱番は、米国アップル社が販売しているiPhoneの修理をしており、ホームページには、iPhoneシリーズと、それぞれの症状、修理内容に対応する修理料金及び修理時間とiphone6sの写真とともに、「iphone6s/修理はじめました」との記載がある。また、壱番が、当該ウェブページを運営していることが確認できる(甲4)。
(3)壱番の使用商標と本件商標に係る商標とが類似すること
壱番の使用している引用商標1及び引用商標2並びに引用商標3を構成する「iup」の文字は、本件商標と称呼が同一であり、本件商標と類似する。
また、壱番は、米国アップル社のスマートフォンであるiPhoneシリーズを修理しており、これは、本件商標に係る指定役務である第37類「スマートフォン・携帯電話・携帯情報端末機器又はコンピュータの修理又は保守」と同一である。
そして、本件商標は、辞書に掲載されている単語や熟語ではなく造語であり、本件商標と引用商標が偶然一致したものとは認め難い。
(4)商標権者の行為が社会一般の道徳に反する事実
商標権者は、平成26年に、壱番から業務委託を受けている裏七に対し、アイアップグループヘの加入申込を行い、裏七は申し込みを承諾した。
当該申し込みの承諾後、裏七は商標権者に対し「アイアップ」の仕組み等を説明し、商標権者が運営する予定だった「アイアップみずほ台店」のホームページの作成に着手した。
そして、甲第5号証及び甲第6号証の請求書、預金通帳のとおり、商標権者はウェブサイトの制作費及び修理部材の費用等の一部を振り込み、残金をいまだ入金していない。また、甲第5号証及び甲第8号証の請求書の「2 アイアップWebコンサル作業費 みずほ台店」の記載から、商標権者は「アイアップみずほ台店」を、埼玉県富士見市東みずほ台にオープンする約束であった。
しかし、商標権者は、「アイアップみずほ台店」をオープンさせることなく、「ipitin アイピットイン」という店舗名の店舗をオープンし、iPhoneの修理を提供している。
また、商標権者が代表取締役である株式会社みずほJs総研のウェブサイトの内容及び該法人の所在地が、「アイアップみずほ台店」のオープン予定の場所と同じであることなどからすれば、商標権者は、裏七から「アイアップグループ」の仕組み等のノウハウの取得、または修理交換用部品の人手を目的として、アイアップグループに加入しようとしたことがうかがえる(甲9、甲10)。
さらに、商標権者は平成26年10月20日付の請求書に対する支払いをせず、アイアップグループから取得した修理部材を利用して、平成26年12月16日以降に「ipitinみずほ台店」をオープンして、iPhoneの修理を行っている。
上記のとおり、商標権者の行為は、適正な商道徳に反し、社会的妥当性を欠く行為というべきである。
(5)商標権者が本件商標を取得する必要性が無いこと
商標権者は、iPhoneの修理を行うために使用をしている商標「ipitin アイピットイン」について、平成27年8月21日に、登録第5787227号として商標登録を受けている(甲11)。
商標権者が実際に使用をしている商標「ipitin アイピットイン」と本件商標とは、外観及び称呼において非類似であることから、両者は非類似の商標である。
したがって、商標権者は、iPhone等の携帯電話の修理を行うにあたり、本件商標を取得する必要性が無いことが明らかである。
(6)商標権の譲渡交渉を申し出た事実
裏七は、商標権者が本件商標に係る商標登録出願を行ったことを知ったため、平成28年4月26日に商標権者に対し、上記事実を明らかにした刊行物等提出書を提出する旨を伝えたところ、商標権者は出願放棄をする意向を示した。そのため裏七は刊行物等提出書を提出しなかった。しかし、その後商標権者は、自らの意向を翻し、商標権を発生させている。
また、壱番は平成28年3月24日に、商標「アイアップ」及び「iup」に係る商標登録出願をしている(商願2016-032531:甲12、商願2016-032532:甲13)。壱番の商標登録出願は、平成28年8月22日付で、本件商標を引用した商標法第4条第1項第11号違反に基づく拒絶理由通知を受けている。壱番は商標登録を受けることを目的として、商標権者に対して本件商標権の譲渡交渉を申し出たものの、商標権者は、本件商標を維持する必要性が無いにも関わらず、壱番との譲渡交渉等に応じていない。
上記事実を鑑みると、商標権者は、アイアップグループが商標「アイアップ」及び「iup」の商標権を取得していないことを奇貨として、アイアップグループに対して何等かの営業上の不利益をもたらすために、本件商標に係る商標登録出願を行ったものである。また、壱番及びアイアップグループに対する「いやがらせ」として、商標権者は、本件商標の譲渡交渉等に応じていないと強く疑われるべきである。
本件商標に対する商標権者の行為は、商道徳に反するから、本件商標を維持することは、取引秩序維持の観点から不適当である。
(7)申立人ら以外にも同様の行為をしていること
さらに商標権者は、アイアップグループ以外の携帯電話の修理を行っている者に対しても、商標権を取得していないことを奇貨として、先取り的に商標登録出願をしている(甲14?甲20)。
商標権者は、携帯電話等の修理又は保守を行っている他社に対して、商標権を取得していないことを奇貨として先取り的に商標登録出願をすることで、何等かの営業上の不利益をもたらそうとしていることがうかがえる。
(8)商標法第4条第1項第7号の適用範囲
商標権者は、正当な商取引の必要性に基づいて本件商標を所有するに至っているわけではなく、アイアップグループに対する「いやがらせ」か、又は商標権侵害を口実にアイアップグループに対して損害賠償請求をする手段として用いるため等、アイアップグループに対して何等かの営業上の不利益をもたらすために本件商標を取得したと推認できる。
商標権者は、本件商標がアイアップグループの使用に係る商標であると認識したうえで、本件商標に係る商標権を取得する必要性が無いにもかかわらず、アイアップグループの引用商標が商標登録されていない事態を意図的に利用して、商標登録出願をしている。
また、商標権者はアイアップグループに以前加盟しようとしており、現在は「アイピットイン」として、アイアップグループと同一役務であるiPhoneの修理を行っている。これら事実を鑑みると、商標権者は、アイアップグループに対する営業妨害等を目的として、先取り的に商標登録出願をしたものと認めるのが相当である。
さらに、商標権者は、アイアップグループ以外の他の携帯電話の修理を行っている者に対しても、商標権を取得していないことを奇貨として、先取り的に商標登録出願をしている。これらの事実から、商標権者の行為は適正な商道徳に反し、社会的妥当性を欠くものであり、本件商標を維持することは、取引秩序維持の観点から不適当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
2 商標法第4条第1項第10号について
(1)他人
甲第4号証のウェブサイトは、商標権者とは他人である壱番によって運営されている。
(2)商標及び指定役務の類否
壱番の使用している引用商標に含まれる「アイアップ」及び「iup」の文字は、本件商標と称呼が同一で、かつ、外観も同じであるため、類似の商標である。また、壱番が提供する役務と本件商標に係る指定役務は、いずれも第37類「スマートフォン・携帯電話・携帯情報端末機器又はコンピュータの修理又は保守」である。
(3)出願時の周知性
平成28年4月18日付けで印刷した壱番のウェブサイトの最上段には、アイアップ新橋店が2月1日オープン予定であること及びアイアップ新潟店が3月5日オープン予定であることが示されている(甲21)。
別言すれば、町田店、小田急町田店、飯田橋駅前店、板橋大山店、渋谷店、小作店、横浜店、川崎店、藤沢店、小田原駅前店、札幌駅前店、新潟弁天橋通店及び兵庫猪名川店は、本件商標に係る商標登録出願日である1月28日には店舗として営業していた。
つまり、アイアップ店舗が東京都並びに神奈川県、北海道、兵庫県及び新潟県で営業しており、引用商標が本件商標に係る商標登録出願日よりも前に、ウェブサイトだけでなく、日本各地にある各店舗で表示されていたといえることから、引用商標は、需要者の間に広く認識された商標であることが推認される。
(4)登録時の周知性
検索エンジン「Google」を用いて、平成28年10月5日に検索した結果の写し(甲22)は、引用商標が登録時において壱番の業務を表すものとして需要者の間に周知であったことを証明する資料である。検索キーワードとして「”アイアップ”携帯修理」と人力したところ、ヒット件数は4,950件であった。そのうちの上位100位の写しは、全て壱番の「アイアップ」に係るものである。
また、日本各地の需要者から実際に問い合わせがあることを証明する資料(甲23)は、アイアップグループの店舗において、当該店舗を訪れた需要者が記載した「iPhone修理受付表」の写しである。
直接店舗を需要者が訪れるだけでなく、インターネットを経由した修理依頼も受け付けている(甲24)。
アイアップグループは、東京都、神奈川県、北海道、兵庫県及び新潟県に店舗を構えており、アイアップグループが店舗を構えている周辺地域における需要者からiPhoneの修理の依頼を受けていることを鑑みれば、商標法第4条第1項第10号にいう「需要者に広く知られた」程度を満たす。
以上により、本件商標は、商標登録出願時及び査定時おいて、取引者及び需要者の間で広く認識されている引用商標と同一又は類似で、かつ、指定役務も同一であることから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号について
アイアップグループの企業努力により、本件商標に係る商標登録出願日よりも前に、引用商標は、請求人の業務の出所表示として取引者及び需要者の間で広く認識されている。したがって、本件商標の商標権者が、自己の業務を表示するものとして、引用商標に類似する本件商標を使用したときに、取引者及び需要者は、申立人らと経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る役務であると誤認し、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 商標法第4条第1項第19号について
引用商標と本件商標とは同一又は類似商標に該当する。また、引用商標は、アイアップグループの営業努力により、日本全国の多くの取引者及び需要者の間で、アイアップグループの業務(iPhoneの修理)に係る役務の出所表示として認識されている。さらに、商標権者による不正の目的は、上述のとおりである。
商標権者は、アイアップグループで使用する引用商標と同一又は類似の本件商標をあえて採用し、アイアップグループの役務と同一の役務を指定役務として本件商標を出願している。したがって、商標権者は、引用商標が我が国の需要者に周知であり、引用商標が登録されていないことを奇貨として、不正の目的をもって先取り的に出願したものと認めるのが相当である。
そして、本件商標は造語であり、周知である引用商標と偶然一致したものとは認め難いことから、アイアップグループの存在を知り得て、本件商標を採択し登録出願したものと優に推認できるものである。
そうとすれば、商標権者は不正の目的を持って、本件商標の商標登録出願を行ったものと推認出来る。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

第3 当審の判断
1 引用商標の周知性について
申立人らは、引用商標が本件商標の登録出願前に日本国内において需要者の間に広く認識され、周知商標となっていた旨を主張しているところ、申立人らに係る壱番のホームページによれば、引用商標2及び引用商標3は、申立人らの業務に係る役務「iPhoneの修理」に付して、東京、神奈川、北海道、兵庫、新潟の各店舗において使用していることを認めることができる(甲4、甲21?甲24)。
しかしながら、申立人らから提出された証拠は、申立人らが「iPhoneの修理」を上記店舗で行っているとする壱番のホームページ(甲4、甲21)、各店舗のiPhoneの修理受付表(甲23、甲24)及びインターネット検索情報(甲22)であり、引用商標の周知著名性の程度を推定するために必要な具体的な事実、例えば、引用商標の業務に係る役務「iPhoneの修理」における修理件数、売上高、新聞又は雑誌を介して積極的に広告宣伝をした回数や期間、広告費など、を立証する証拠の提出はされていない。
また、引用商標1の「iup」の文字のみの使用は確認できない。
してみると、申立人らの提出した証拠をもってしては、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人らの業務に係る役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
なお、申立人らは、「引用商標を使用している店舗が日本各地(東京都、神奈川県、北海道、兵庫県、新潟県)にあることから、需要者の間に広く認識されていた商標である。」旨を主張している。
しかしながら、引用商標がこれらの地域の店舗で使用されている事実はうかがい知ることはできるとしても、使用実績については、上記のとおり、具体的に把握できる証拠の提出はなされていないものであって、本件商標の登録出願時までに、数県にまたがる程度に相当広い範囲で、多数の需要者の間に広く知られ、認識されるに至っていたとまで認めることはできないし、かつ、認めるに足りる証左を見いだすこともできないから、申立人らの主張は採用できない。
2 商標法第4条第1項第10号及び同第15号該当性について
本件商標は、「アイアップ」の片仮名と「iup」の欧文字とを上下二段に書してなるところ、これよりは、その構成文字に相応して、「アイアップ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
他方、引用商標1は、「iup」の欧文字からなり、引用商標2は、「アイアップ」の片仮名からなり、また、引用商標3は、別掲のとおりの構成からなるところ、「iup」及び「アイアップ」の文字からは、「アイアップ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観において近似した印象を与えるものであって、称呼を同一にするものであるから、両者は、類似の商標というべきである。
しかしながら、引用商標は、上記1のとおり、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く知られていたとはいえないものであるから、本件商標は、これをその指定役務について使用したとしても、これに接する取引者、需要者が、これから引用商標を連想、想起するようなことはないというべきであり、該役務が申立人ら又は同人らと経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その出所について混同を生じるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標と引用商標とは、同一又は類似の商標であるとしても、引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人らの業務に係る役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていたということはできないものである。
また、商標権者が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的を持って本件商標を出願し、登録を受けたと認めるに足る具体的事実を見いだすこともできない。
そうすると、本件商標は、引用商標の周知著名性へのただ乗りをする等、不正の目的をもって使用されるものであるということもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人らは、「商標権者は、本件商標がアイアップグループの使用に係る商標であると認識したうえで、本件商標に係る商標権を取得する必要性が無いにもかかわらず、アイアップグループの引用商標が商標登録されていない事態を意図的に利用して、商標登録出願をしている。また、商標権者はアイアップグループに以前加盟しようとしており、現在は『アイピットイン』として、アイアップグループと同一役務であるiPhoneの修理を行っている。これらの事実から、商標権者は、アイアップグループに対する営業妨害等を目的として、先取り的に商標登録出願をしたものである。さらに、商標権者は、申立人ら以外の他の携帯電話の修理を行っている者に対しても、先取り的に商標登録出願をしており、社会的妥当性を欠く。」旨を主張している。
しかしながら、商標権者宛ての請求書(甲5及び甲8)、裏七の預金通帳(甲6)、iPhoneパーツ価格表兼発注書(甲7)によれば、商標権者と裏七との間で何らかの取引の実情や金銭の振込がされたこと、また、商標権者が代表取締役である株式会社みずほJs総研のウェブサイト(甲9)、「ipitin-mizuhodaiのブログ」のタイトルのブログ記事(甲10)によれば、商標権者が「アイピットイン」の店舗名で「iPhoneの修理」の業務を行っていることはうかがい知ることができるとしても、このことを以て直ちに裏七と商標権者との間で販売代理店契約を締結していたとか、販売代理店を開店しなかったものであるとまではいえない。
しかも、本件商標の登録出願日である平成28年1月28日には、申立人らの店舗が、町田店、小田急町田店、飯田橋駅前店、板橋大山店、渋谷店、小作店、横浜店、川崎店、藤沢店、小田原駅前店、札幌駅前店、新潟弁天橋通店及び兵庫猪名川店で営業していたと主張していることからしても、申立人らは、引用商標の使用開始にあたって、その商標を自ら登録出願する機会は十分にあったというべきであって、自ら登録出願しなかった責めを商標権者に求めるべき事情を見いだすこともできない。
そして、上記1のとおり、引用商標は我が国において広く認識されているということはできないものである。
そうすると、提出された証拠からは、商標権者が、申立人らの事業の遂行を妨害や阻止しようとしていることを裏付ける証拠を見いだすことができないものであって、本件商標を先取り的に商標登録出願し、商標権を取得したと認めることはできないから、社会的妥当性を欠くものということはできない。
してみれば、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべきものではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲 引用商標3(色彩については、甲第12号証参照。)


異議決定日 2017-03-09 
出願番号 商願2016-9540(T2016-9540) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W37)
T 1 651・ 25- Y (W37)
T 1 651・ 22- Y (W37)
T 1 651・ 222- Y (W37)
最終処分 維持 
前審関与審査官 中島 光 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 中束 としえ
木住野 勝也
登録日 2016-07-29 
登録番号 商標登録第5869655号(T5869655) 
権利者 高野 淳
商標の称呼 アイアップ、アイユウピイ 
代理人 伊藤 信和 
代理人 中澤 昭彦 
代理人 伊藤 信和 
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