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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1326100 
異議申立番号 異議2016-900308 
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-09-26 
確定日 2017-03-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第5861923号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5861923号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5861923号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成28年1月7日に登録出願,第25類「ティーシャツ,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,キャミソール,和服,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子,その他の被服,リストバンド,その他の運動用特殊衣服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,平成28年5月19日に登録査定,同年6月24日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てにおいて引用する商標は,以下の登録商標(以下,これらを総称する場合は「引用商標」という。)であって,いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第3324304号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成6年12月20日に登録出願,第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成9年6月20日に設定登録されたものである。
2 登録第3328662号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成6年12月20日に登録出願,第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成9年7月4日に設定登録されたものである。
3 登録第4161424号商標(以下「引用商標3」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成8年3月13日に登録出願,第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として,平成10年7月3日に設定登録されたものである。
4 登録第4291078号商標(以下「引用商標4」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成9年7月17日に登録出願,第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成11年7月9日に設定登録されたものである。
5 登録第4322373号商標(以下「引用商標5」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成9年7月9日に登録出願,第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成11年10月8日に設定登録され,同21年10月6日に存続期間の更新登録されたものである。
6 登録第4726776号商標(以下「引用商標6」という。)は,別掲3のとおりの構成からなり,平成15年3月20日に登録出願,第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成15年11月14日に設定登録されたものである。
7 登録第4907491号商標(以下「引用商標7」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成16年2月19日に登録出願,第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成17年11月11日に設定登録されたものである。
8 登録第5280935号商標(以下「引用商標8」という。)は,別掲3のとおりの構成からなり,平成21年5月15日に登録出願,第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成21年11月13日に設定登録されたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標について,商標法第4条第1項第15号及び同項第7号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第30号証(枝番を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第15号について
(1)申立人及び引用商標について
申立人であり,引用商標の商標権者は,スポーツシューズ,被服,バッグ等を世界的に製造販売している多国籍企業である。その設立は1948年であり,引用商標は,ネコ科の哺乳類動物であるピューマ(「プーマ」ともいう。)に由来するものである。
引用商標を構成する「PUmA」のロゴは,その右上に,左方に向かって跳び上がるように前進するピューマのシルエット風図形を配して使用することが最も多いが,「PUmA」のロゴ又はピューマのシルエット風図形を単独で使用することも少なくない。
我が国においては,1972年から,日本国内における代理店としてコサ・リーベルマン株式会社が,申立人の業務に係る商品のうち,靴,バッグ,アクセサリーについての事業を展開し,2003年5月1日に,申立人の日本法人であるプーマジャパンが同事業を承継した。そして,ウェアについては,1972年から国内のライセンシーであるヒットユニオン株式会社が製造・販売していたが,2006年1月に,日本において引用商標を付したアパレル関連商品を生産する,申立人の日本法人であるプーマ・アパレル・ジャパンが設立され,同社がヒットユニオン株式会社から営業権を譲り受けた(甲4,甲5の1及び2)。2010年に,プーマ・アパレル・ジャパンとプーマジャパンは合併し,現在のプーマジャパンとなった。
引用商標は,本件商標の登録出願前から我が国で発行された多数のカタログや雑誌において,Tシャツ,スウェットシャツ,ジャケット,帽子,スポーツシューズ等に付して掲載されている(甲6ないし甲28)。
2013年版スポーツ産業白書(甲5の3)によると,「プーマ」ブランドの売上高は,2010年41,883百万円,2011年43,414百万円,2012年44,170百万円,2013年44,595百万円と堅調に推移し,「アスレチックウエア国内出荷金額」で3位,「サッカー・フットサルウエア国内出荷金額」で2位である。
以上のとおり,引用商標は,我が国において,遅くとも1972年から今日に至るまで,幅広い商品に使用され,大々的に宣伝広告されてきたものであり,その結果,本件商標の登録出願時には既に,申立人の業務に係るスポーツシューズ,被服,バッグ等を表示する商標として,我が国の取引者・需要者の間で広く認識されて周知・著名な商標となっており,それは,本件商標の登録査定時及びそれ以降も継続している。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標と引用商標との類似性の程度
本件商標は,太く角張った書体で,全体が略横長の長方形を構成するように,「KUMA」の欧文字をロゴ化して表し(「K」の上端部2か所は右斜め上に突き出し,「U」の縦線の内側は,動物の頭部と尾を表す如く浸食され,「M」の右縦線上に,外側に向かって4本の白抜きの線を表している。),その右に,左方に向かって前かがみに二足歩行する熊のシルエット風図形を配してなるものである。
他方,引用商標は,独特の太く四角い書体で,全体が略横長の長方形を構成するようにロゴ化して表した「PUmA」の欧文字の右上に,左方に向かって飛び跳ねるように前進するピューマのシルエット風図形を配してなるものである。なお,「A」の欧文字の右下には,円内にアルファベットの大文字の「R」を記した記号が小さく添えてある。
そこで,本件商標を引用商標と対比すると,両商標は,4個の欧文字が横書きで大きく顕著に表されている点,その右肩上方に,熊とピューマとで動物の種類は異なるものの,四足動物が前肢を左方に突き出し,該欧文字方向に向かっている様子を側面からシルエット風に描かれた図形を配した点において共通する。
そして,本件商標の欧文字部分のうち,「K」,「U」及び「M」の各文字は,装飾が施されているものの,これに接した需要者等は,直ちに,全体として「KUMA」の文字からなると看取するものである。これを引用商標の4個の欧文字部と比較すると,第1文字が「K」と「P」と相違するほかは,文字の配列構成を共通にするものである。しかも,文字全体が略横長の長方形を構成するようにロゴ化して表した点で共通の印象を与える。
また,商標全体のうち,欧文字部分と図形部分が占める割合は,両商標で同じ程度であって,かつ,両商標とも黒一色の構成である点において共通である。
したがって,両商標は,全体として時と処を別にして観察した場合には,構成の軌を一にするものであって,外観上酷似した印象を看者に与えるものである。
イ 引用商標の周知著名性及び独創性の程度
前記のとおり,引用商標は,申立人によって,スポーツシューズ,被服,バッグ等に長年盛大に使用された結果,申立人の業務に係る商品を表示する商標として広く知られ,その独創的態様が着目され,強い顧客吸引力を取得するに至り,本件商標の登録出願時及び登録査定時には既に,取引者・需要者の間で周知・著名な商標となっていたものである。
ウ 本件商標の指定商品と引用商標が使用されている商品との関連性及び取引の実情
本件商標の指定商品である「ティーシャツ,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,靴下,帽子,運動用特殊衣服,ベルト,履物,運動用特殊靴」等は,引用商標が使用されている「ジャケット,ジョギングパンツ,ズボン,ティーシャツ,水泳着,帽子,ベルト,スポーツシューズ」等とは同一であるか又は用途・目的・品質・販売場所等を同じくし,関連性の程度が極めて高いものであり,両者の取引者及び需要者も共通するものである。一般に,両者の需要者は,老若男女を含む一般消費者であり,商標やブランドについて詳細な知識を持たない者も多数含まれており,商品の選択・購入に際して払われる注意力は必ずしも高いとはいえない。
また,ティーシャツ,セーター類,ワイシャツ類,靴下,帽子等の被服や運動用特殊衣服,運動用特殊靴等は,胸部や脛部分等に商標をワンポイントマークとして小さく表示される場合も少なくない。かかる場合は,需要者が商標の微細な点までに注意を払わないこともあり,需要者が商標の全体的な印象に頼り,些細な相違点を看過して商品を選択する可能性も否定し得ない。
混同を生ずるおそれ
前記の事情を総合すると,本件商標をその指定商品に使用する場合には,これに接する取引者,需要者は,顕著に表された欧文字4文字と熊のシルエット図形との組み合わせ部分に着目し,周知著名となっている引用商標ないし申立人を連想,想起することは必定であって,該商品が申立人又は申立人と組織的・経済的に密接な関係がある者の業務に係る商品であるかのように,その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものというべきである。
2 商標法第4条第1項第7号について
本件商標権者は,無効2011-890089号の審決取消訴訟の原告であり,その旧商号は,北海道デザイン株式会社である(甲30)。
本件商標権者は,登録第4994944号の商標権者でもあったが,本件異議申立人の請求によって,平成24年11月27日に,商標法第4条第1項第7号及び同項第15号違反を理由として,その登録を無効にすべき旨の審決(無効2011-890089号)があり,上記無効審決に対し,本件商標権者は,知的財産高等裁判所に審決取消訴訟を提起したが,平成25年6月27日に請求棄却の判決(平成24年(行ケ)第10454号・甲29)が言い渡され,さらに,最高裁判所に上告及び上告受理申立てをしたが,平成25年12月17日に上告棄却及び上告不受理の決定がされ(甲30),登録第4994944号の登録の無効が確定した。
そして,該判決で認定した事実を総合考慮すると,本件商標権者は日本観光商事株式会社のライセンス管理会社であるところ,日本観光商事株式会社は引用商標の著名であることを知り,意図的に引用商標と略同様の態様による4個の欧文字を用い,引用商標のピューマの図形を熊の図形に置き換え,全体として引用商標に酷似した構成態様に仕上げることにより,当該商標に接する取引者,需要者に引用商標を連想,想起させ,引用商標に化体した信用,名声及び顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する不正な目的で採択・出願し登録を受け,本件商標権者は上記の事情を知りながら登録第4994944号商標を譲り受けたとも,認定している(甲29)。
上記判決により,登録第4994944号商標の登録の無効が確定した後に,本件商標が登録出願されたことに徴すると,本件商標権者が上記と同様の不正の目的をもって出願し登録を受けたことは明らかである。
そして,本件商標をその指定商品に使用する場合には,引用商標の出所表示機能が希釈化(ダイリューション)され,引用商標に化体した信用・名声及び顧客吸引力,ひいては申立人の業務上の信用を毀損させるおそれがあることから,本件商標は,商標を保護することにより,商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り,需要者の利益を保護するという商標法の目的に反するものであり,公正な取引秩序を乱し,商道徳に反するものである。
以上のことから,本件商標は,引用商標が申立人の業務に係る商品を示すものとして周知著名であると承知の上で,引用商標に化体した信用・名声及び顧客吸引力に便乗し,不当な利益を得る等の目的をもって引用商標の特徴を模倣して出願し登録を受けたものといわざるを得ず,その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,その登録を認めることは商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得るものではない。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものというべきである。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知著名性について
申立人の主張及び提出した証拠によれば,以下の事実を認めることができる。
ア 申立人は,1948年設立のスポーツ用品・スポーツウェア等を製造販売するドイツ連邦共和国の企業であって,我が国においては,1972年から,日本国内における代理店としてコサ・リーベルマン株式会社が,申立人の業務に係る商品のうち,靴,バッグ,アクセサリーについての事業を展開し,2003年5月1日に,申立人の日本法人であるプーマジャパンが同事業を承継した。
そして,ウェアについては,これまでどおり国内のライセンシーであるヒットユニオン株式会社が製造・販売していたが,2006年1月に,日本において引用商標を付したアパレル関連商品を生産する,申立人の日本法人であるプーマ・アパレル・ジャパンが設立され,同社がヒットユニオン株式会社から営業権を譲り受けた(甲4,甲5の1及び2)。2010年に,プーマ・アパレル・ジャパンとプーマジャパンは合併し,現在のプーマジャパンとなった。
イ 引用商標は,本件商標の登録出願前から我が国で発行された多数のカタログ(2013年)や雑誌(2012年及び2016年)において,Tシャツ,スウェットシャツ,ジャケット,帽子,スポーツシューズ等に付して掲載されている(甲6ないし甲28)。
ウ 2013年版スポーツ産業白書(甲5の3)によると,スポーツ用品メーカー(スポーツ関連売上高10億円以上)として,「プーマジャパン(株)」が6番目に記載され,該売上高は,2010年に約419億円,2011年に約434億円,2012年(見込)に約442億円,2013年(予測)に約446億円と堅調に推移し,「アスレチックウエア国内出荷金額」で3位,「サッカー・フットサルウエア国内出荷金額」で2位となっている。
エ 以上の事実によれば,申立人は,「PUmA」の文字及びピューマの図形をプーマ社のブランドとしてスポーツ用品・スポーツウェアに使用し,我が国においては,1972年から靴,バッグ,アクセサリー等について,製造・販売してきたこと,かつ,引用商標を付したTシャツ,スウェットシャツ,ジャケット,帽子,スポーツシューズ等を,少なくとも2012年には,各雑誌において掲載してきたことが認められ,また,2010年ないし2013年における「プーマ」ブランドの売上高も堅調に推移しており,「アスレチックウエア国内出荷金額」及び「サッカー・フットサルウエア国内出荷金額」においても上位を占めているところである。
してみれば,引用商標は,本件商標の登録出願時には既に,同人の業務に係るスポーツシューズ,スポーツウェア等を表示する商標として,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されて周知・著名な商標となっており,それは本件商標の登録査定時及びそれ以降も,継続していたと認められるものである。
(2)本件商標と引用商標との類似性の程度について
ア 本件商標
本件商標は,別掲1のとおりの構成からなるところ,「KUMA」の欧文字をロゴ化して表し(「K」の上端部2か所は熊の頭部及び前肢を表したシルエット図形風に右斜め上に突き出し,「U」の縦線の内側は,中央の空白部分に重なるように北海道の地形と思しき図形を白抜きで表し,「M」の右縦線上に,外側に向かって4本の白抜きの線を表し,「A」の下部は,それぞれ熊の爪先を模したように表されている。),その右横に,「A」の上に手を添えるように二足歩行する熊のシルエット風の図形を配してなるものである。
そして,本件商標は,ロゴ化した「KUMA」の欧文字と熊のシルエット風の図形に相応して「クマ」の称呼を生じ,「熊」の観念を生じるとするのが相当である。
イ 引用商標
引用商標1ないし引用商標5及び引用商標7は,別掲2のとおりの構成からなるところ,独特の太く四角い書体で,全体が略横長の長方形を構成するようにロゴ化して表した「PUmA」の欧文字の右上に,左方に向かって飛び跳ねるように前進するピューマのシルエット風図形を配し,「A」の欧文字の右下には,円内にアルファベットの大文字の「R」を記した記号が小さく添えてある。
また,引用商標6及び引用商標8は,別掲3のとおりの構成からなるところ,独特の太く四角い書体で,全体が略横長の長方形を構成するようにロゴ化して表した「PUmA」の欧文字の右上に,左方に向かって飛び跳ねるように前進するピューマのシルエット風図形を配してなるものである。
そして,引用商標1ないし引用商標5及び引用商標7の「A」の欧文字の右下には,円内にアルファベットの大文字の「R」を記した記号は,目立たない位置にあることや表示が小さいこと等により看者の印象に残るものではない。
そうすると,引用商標は,ロゴ化した「PUmA」の欧文字とピューマのシルエット風図形に相応して「プーマ」又は「ピューマ」の称呼を生じ,ネコ科の哺乳類である「ピューマ」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との比較
本件商標と引用商標とは,4個のロゴ化した欧文字と動物のシルエット図形の構成において共通するものである。
しかしながら,両者の第1番目の「K」と「P」の文字部分が異なる上に,本件商標における「K」の文字部分は,上端部2か所が熊の頭部及び前肢を表したシルエット図形風に右斜め上に突き出している点,第2番目の「U」の文字部分は,本件商標が北海道の地形と思しき図形要素を有する点,第3番目の「M」の文字部分は,本件商標が右縦線上に,外側に向かって4本の白抜きの線を表している点,「A」の文字部分は,本件商標の下部が,それぞれ熊の爪先を模したように表している点,及び文字全体のデザインの程度も相違する。
また,図形については,本件商標は,該構成文字の「A」の上に手を添えるように二足歩行する熊のシルエット風の図形であるのに対し,引用商標は,該構成文字の右上に,左方に向かって飛び跳ねるように前進するピューマのシルエット風図形である。
そうすると,本件商標と引用商標とは,デザインされた文字全体から受ける印象は明らかに異なり,シルエット図形においても別異のものとして認識されるとみるのが相当であり,この差異が全体の印象に及ぼす影響は大きいものであるから,本件商標と引用商標とは,外観において相紛れるおそれはない。
次に,称呼については,本件商標から生じる「クマ」の称呼と,引用商標から生じる「プーマ」又は「ピューマ」の称呼は,短い音構成の中で語頭の「ク」の音と「プー」又は「ピュー」の音において明らかな差異を有するものであるから,両者は,称呼上,明確に聴別できるものである。
さらに,観念については,本件商標からは「熊」の観念が生じる一方,引用商標からはネコ科の哺乳類である「ピューマ」の観念が生ずるから,観念においても明確に区別できるものである。
そうすると,本願商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのないものであるから,非類似の商標というべきである。
(3)出所の混同のおそれについて
引用商標は,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたことは認められるものであるが,本件商標と引用商標とは,上記(2)ウのとおり,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であり,別異の商標というべきものである。
してみれば,本件商標は,本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても,取引者,需要者をして,引用商標又は申立人を連想,想起させることはなく,その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
2 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標と引用商標とは,上記1(2)ウのとおり,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものであるから,引用商標又は申立人を連想,想起させないものであり,かつ,申立人が主張する本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くというような事実を裏付ける具体的な証拠の提出もない。
そうすると,本件商標は,引用商標に化体した信用・名声及び顧客吸引力にただ乗りする,あるいは,引用商標の出所表示機能を希釈化するなど,不正な目的をもって出願し,登録を受けたものということはできない。
また,申立人は,本件商標権者は,過去に所有していた登録第4994944号商標が商標法第4条第1項第7号及び同項第15号違反を理由として,その登録を無効とする判決が確定した後に本件商標が登録出願されたことに徴すると,本件商標権者が不当な利益等を得る等の目的をもって引用商標の特徴を模倣して出願し登録を受けたものといわざるを得ず,その登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものである旨主張する。
しかしながら,本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するか否かは,本件商標自体の具体的な構成をもって判断すべきであるところ,本件商標と引用商標とは外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標であるというべきであることは上記1(2)ウのとおりであるから,申立人の上記主張は採用できない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。
3 むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第7号及び同項第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標1ないし5及び7)


別掲3(引用商標6及び8)


異議決定日 2017-03-08 
出願番号 商願2016-1501(T2016-1501) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W25)
T 1 651・ 22- Y (W25)
最終処分 維持 
前審関与審査官 山田 啓之 
特許庁審判長 堀内 仁子
特許庁審判官 小林 裕子
平澤 芳行
登録日 2016-06-24 
登録番号 商標登録第5861923号(T5861923) 
権利者 H2D株式会社
商標の称呼 クマ 
代理人 岡田 稔 
代理人 坂上 正明 
代理人 鈴木 昇 
代理人 曾我 道治 
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