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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W10
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W10
管理番号 1326013 
審判番号 不服2016-88 
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-04 
確定日 2017-02-27 
事件の表示 商願2014-54012拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「ストレス解消」の文字を標準文字で表してなり,第10類「マッサージ機器,医療用機械器具,治療用マッサージ器,振動マッサージ器,身体用マッサージ機器,電気式マッサージ機器,美容用マッサージ器」を指定商品として,平成26年6月27日に商標登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標は『ストレス解消』の文字を普通に用いられる方法で表示するものであるが,その構成中『ストレス』の文字は,本願に係る指定商品との関係においては『精神的な緊張。』を意味する語であり,また『解消』の文字は『それまであった関係・状態などをなくすること。』を意味する語であり,本願商標は全体として『精神的な緊張をなくすこと。』程度の意味合いを認識させるものである。そして,本願に係る指定商品を取り扱う分野において,医学的な作用やマッサージによりストレスを解消することができる商品が一般に取り扱われている実情がある。そうすると,本願商標は,これをその指定商品に使用しても,これに接する取引者及び需要者は,ストレスを解消することができる商品であることを理解するにとどまり,単に商品の品質(効能)を普通に用いられる方法で表示するにすぎない。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じるおそれがあるため,商標法第4条第1項第16号に該当する」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は,前記1のとおり,「ストレス解消」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中の「ストレス」の文字は,「大辞林」(三省堂発行)において,「ストレスを解消する」の用例と共に「精神緊張・心労・苦痛・寒冷・感染などごく普通にみられる刺激(ストレッサー)が原因で引き起こされる生体機能の変化。一般には,精神的・肉体的に負担となる刺激や状況をいう。」と記載されており,その構成中の「解消」の文字は,同辞書において,「ストレス解消」の用例と共に「それまであった関係・状態などをなくすること。」と記載されていることから,全体として,「精神的・肉体的に負担となる刺激や状況をなくすること」程の意味合いを容易に理解させるものである。
そして,本願の指定商品を取り扱う業界においては,「ストレス解消」の文字は,前記意味合いを表す語として,商品の品質,効能,用途を表示する際に普通に使用されている実情があり,当該事実については,原審で示したインターネット情報からも裏付けられるところである。
してみれば,本願商標は,これをその指定商品に使用した場合,これに接する取引者,需要者に,その商品が「ストレスを解消するための商品」であることを理解させるにとどまるものというべきであるから,その商品の品質を表示するにすぎないものといわなければならない。
したがって,本願商標は,商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項について
ア 請求人は,本願商標が,出願人(請求人)により,その指定商品中の「マッサージチェア」について,長年にわたって使用された結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものであり,商標法第3条第2項の要件を具備するものであるから,登録を受けることができるものである旨主張するとともに,甲第3号証ないし甲第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
イ そこで,請求人の主張及び提出に係る甲各号証によれば,以下の事実が認められる。
(ア)出願人は,昭和37年(1962年)に創業したマッサージチェアの専門メーカーである(甲第5号証の1)。そして,例えば,トヨタ自動車株式会社や近畿日本鉄道株式会社等,他の企業と共同でのマッサージチェアの開発も行った(甲第5号証の2)。
(イ)甲第3号証は,出願人の業務に係るマッサージチェアに関するチラシであり,「FAMILY/INADA」の文字と共に,「次世代型/メディカルチェア」の見出しの下,「業界初/ストレス解消コース/体感キャンペーン」と記載されている。
(ウ)甲第4号証,甲第7号証の1及び甲第12号証は,出願人が2015年3月1日に発売したマッサージチェア「3S匠(品番:MC-8100)」(以下「本件商品1」という。)に関する立て看板,スイングPOP及びチラシであり,甲第4号証においては,「MEDICALCHAIR 3S/匠/TAKUMI」の文字と共に,「新提案!マッサージに呼吸法をプラス」の見出しの下,「ストレス解消」の文字の記載があり,甲第7号証の1においては,「MEDICALCHAIR 3S 匠 TAKUMI」の文字と共に,「ストレス解消コース」の文字の記載があり,甲第12号証においては,「ちょっと待って!/ストレッチ/『3S匠』を試してから決めてください!」の見出しの下,「医師たちと開発したプログラムを搭載し心と体を健康にするメディカルチェアです」の記載の下に,「学習力アップコース/血行を促進する子ども向けのマッサージ」の記載と並んで「ストレス解消コース/マッサージ×呼吸法でストレスを解きほぐします」の記載がある。
そして,甲第4号証,甲第7号証の1及び甲第12号証のいずれにおいても,上記文字と共に「FAMILY/INADA」の文字の記載がある。
(エ)甲第6号証の1,甲第9号証ないし甲第11号証は,出願人が2014年11月に発売したマッサージチェアである「イナダ インスパイア(品番:INS-10000)」(以下「本件商品2」という。)に関するパンフレット,操作ガイド,雑誌広告及び通販カタログでの広告であり,甲第6号証の1,甲第9号証及び甲第10号証においては,いずれも「INADA/INSPIR」(「R」の前に位置する「I」の上には「-」がある。以下同じ。)の文字の下に,小さく「?ストレス解消コース?」の記載があり,甲第11号証においては,「INADA/INSPIR」の文字と共に,商品の紹介文として,「業界初!『ストレス解消コース』搭載!」の見出しの下,「1回約10分間の『ストレス解消コース』をご利用いただくことで,従業員の皆様のストレスを解きほぐし,ストレス度を測定します。」の記載がある。
そして,甲第6号証の1,甲第9号証ないし甲第11号証のいずれにおいても,上記文字と共に「FAMILY/INADA」の文字の記載がある。
(オ)甲第6号証の2及び甲第6号証の3は,本件商品2に関する2015年11月30日付けのパンフレットの制作費用に係る請求書の写し及び2015年12月8日付けの本件商品2に関するパンフレットの納品伝票の写しであり,これらによれば,本件商品2に関するパンフレットは10,000部納品され,その制作費用は2,138,400円(税込み)である。
(カ)甲第7号証の2は,本件商品1に関する2015年11月20日付けのスイングPOPの制作費用に係る見積書の写しであり,これによれば,単価211円のものが500枚で105,649円,単価119円のものが1,000枚で118,891円といった費用が見積りされている。
(キ)甲第8号証は,出願人のウェブサイトの一部の写しであるところ,これによれば,本件商品2は,2015年5月から2015年10月にかけて展示会等へ12回出品された。
(ク)甲第13号証の1及び甲第13号証の2は,出願人の業務に係るマッサージチェアの新製品発表会の出願人に係る資料及び同発表会の様子を紹介したウェブサイトの写しであり,甲第13号証の1においては,「特徴的な健康管理プログラム」の見出しの下,「FAMILY/INADA」の文字と共に「プロフェッショナルコース」,「毎日楽しむコース」,「体重チャレンジコース」と並んで「ストレス解消コース」の文字の記載がある。
ウ 上記イによれば,「ストレス解消」の文字は,遅くとも2014年11月から,出願人の業務に係るマッサージチェアのパンフレットや宣伝広告に表示されていることは認められるものの,甲第3号証,甲第4号証,甲第6号証の1,甲第7号証の1,甲第9号証ないし甲第13号証の1に記載の「ストレス解消」の表示は,いずれも,出願人の商品の出所を表示するものと認められる「FAMILY/INADA」の文字と共に記載されており,また,甲第4号証,甲第6号証の1,甲第7号証の1,甲第9号証ないし甲第12号証に記載の「ストレス解消」の表示は,いずれも,本件商品1又は2を表す「3S匠」又は「INADA/INSPIR」の文字と共に記載されており,さらに,甲第11号証においては,「業界初!『ストレス解消コース』搭載!」の見出しの下,「1回約10分間の『ストレス解消コース』をご利用いただくことで,従業員の皆様のストレスを解きほぐし,ストレス度を測定します。」の記載が,甲第12号証においては,「医師たちと開発したプログラムを搭載し・・・」の記載の下に「学習力アップコース」と並んで「ストレス解消コース/マッサージ×呼吸法でストレスを解きほぐします。」の記載が,甲第13号証の1においては,「特徴的な健康管理プログラム」の見出しの下,「プロフェッショナルコース」,「毎日楽しむコース」,「体重チャレンジコース」と並んで「ストレス解消コース」の記載があること及び甲第3号証,甲第6号証の1,甲第7号証の1,甲第9号証ないし甲第13号証の1に記載の「ストレス解消」の文字は,いずれも「コース」の文字との組み合わせからなる「ストレス解消コース」の表示として記載されていることからすれば,上記の甲各号証に記載の「ストレス解消」の表示は,出願人の業務に係る商品に搭載されたプログラム(コース)の名称であって,ストレスを解消するというコースの内容,用途,効能を表したものと容易に理解されるものであるから,「ストレス解消」の表示のみによって出願人の商品の出所を表示するものとして機能しているとはいえない。
してみれば,請求人の提出した各号証を総合してみても,本願商標が使用をされた結果,本願の指定商品について,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと認めることはできない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同法第3条第2項の要件を具備するものではないから,本願を登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-12-19 
結審通知日 2017-01-06 
審決日 2017-01-17 
出願番号 商願2014-54012(T2014-54012) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W10)
T 1 8・ 17- Z (W10)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人太野垣 卓大橋 良成 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 冨澤 武志
小松 里美
商標の称呼 ストレスカイショー 
代理人 特許業務法人 有古特許事務所 

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