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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1325107 
異議申立番号 異議2016-900304 
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-03-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-09-23 
確定日 2017-02-24 
異議申立件数
事件の表示 登録第5867278号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5867278号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5867278号商標(以下「本件商標」という。)は,「TOYO SHOBEIDO」の欧文字を表してなり,平成28年1月22日に登録出願,同年6月17日に登録査定,第3類「化粧品,クリーム,化粧用クリーム,化粧水,オーデコロン,紅,口紅,ほお紅,香水類,香水,まゆ墨,頭髪用化粧品,髪油」を指定商品として,同年7月15日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
商標異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標について,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)引用商標
申立人が引用する登録第5038252号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲のとおりからなり,平成18年8月23日に登録出願,第3類「化粧品」のほか,第1類ないし第45類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同19年4月6日に設定登録されたものであり,その商標権は現に有効に存続しているものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,「TOYO SHOBEIDO」の欧文字を横書きにしてなるものである。
そして,「TOYO」の文字と「SHOBEIDO」の文字との間にはスペースが配されていると共に,その全体の構成が冗長であることに加え,「TOYO」の文字は「東洋」程度を容易に想起させる極めて平易なアルファベットであって,本件商標に係る指定商品との関係で,その商品の産地,販売地等を示すにすぎないものであることをも考慮すると,本件商標にあっては,「TOYO」と「SHOBEIDO」の各文字を常に一体として把握されなければならないとする特段の事由が存在しないことは明らかであって,その「SHOBEIDO」の文字に照応した「ショベイドー」の称呼を以って実際の取引に資され得ると考えられる。
他方,引用商標は,「SHISEIDO」の欧文字をデザイン化して表してなり,該欧文字に照応して,「シセイドー」又は「シセイドウ」の称呼が自然に生じる。
してみれば,引用商標と本件商標の後半部の「SHOBEIDO」の間には,語頭の「ショベ」と「シセ」の差異しか存在しないのみならず,差異音たる「ショ」と「シ」の音は同行音であり,また,「べ」と「セ」は母音を共通にすると共に,これらに続く「イドー」の音に吸収されて聴取し難いことに鑑みると,これらを称呼した場合,両者は語感・語調が近似し,称呼上相紛れることは明らかである。
さらには,引用商標と本件商標の後半部の「SHOBEIDO」とは,語頭の「SH」及び語尾の「EIDO」を共通にしており,これに接する需要者・取引者の目に留まりにくい中間の「OB」と「SE」(決定注:「IS」の誤記と認められる。)の2文字しか相違しないことからすると,両商標は,外観上も近似する商標といい得るものである。
したがって,本件商標は,「TOYO」と「SHOBEIDO」の各文字に容易に分離して認識され得ることとも相まって,需要者・取引者をしてその構成中の「SHOBEIDO」のみが抽出され易く,本件商標中に引用商標と称呼及び外観が近似する「SHOBEIDO」の文字が含まれているという事実が容易に理解できる以上,引用商標と同一又は類似の商標と考えられるものである。
そして,本件商標と引用商標の指定商品は,同一又は類似のものである。
したがって,本件商標は,引用商標との関係において,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 申立人について
申立人は,1872年に創業された資生堂薬局を前身とし,1927年に株式会社として設立された,東京都中央区銀座に本店を有する化粧品メーカーである(甲4)。
申立人の事業内容は周知のとおり多岐にわたっているが,その中でも化粧品・化粧用具・トイレタリー製品・理美容製品・食品・医薬部外品の製造・販売が中心となっており,申立人の業務に係るこれらの製品は,百貨店,ドラッグストア,薬局,コンビニエンスストア,各種量販店,インターネット等の多様なチャネルを介して提供され,需要者に購入されている(甲5)。
イ 申立人の使用に係る商標について
申立人は,需要者のニーズに最大限応えるべく,年齢や使用目的に適合させた多数のブランドを保有し,これらの下に事業を行っており(甲6),街頭や店頭における試供品の提供や新聞・雑誌・TV・インターネット等のあらゆる手法・媒体を通じた宣伝広告活動を積極的に行い,広告費は,2014年度は492億円,2015年度は532億円にも達している(甲7)。
そして,申立人は,一般日刊新聞紙やファッション雑誌への広告掲載,街頭や店頭での試供品の提供,TVコマーシャルの放送等の様々な手法を以って活発な宣伝広告活動に努めており,特に,TVを介した企業アピールや宣伝広告においては,例えば,申立人の一社提供によるTV番組の放送や,有名女優を起用したTVコマーシャル等には巨額の費用が投じられ,引用商標を含む,申立人を指称するハウスマークたる「SHISEIDO」の欧文字をデザイン化して表されてなる商標(以下「使用商標」という。)がブランド名称等と共に頻繁に表示されている(甲8,甲9)。
その結果,申立人の使用商標は,その業務に係る各々のブランド以上に需要者・取引者に認知され,確固たる地位を築いており,業績は近年も右肩上がりで堅調に推移し,2015年度の全世界の売上高は7,631億円に達し,国内だけを取っても2014年度で3,656億円の売上を誇っている(甲4)。
上述のように,申立人は,自己の業務に係る製品や企業イメージの普及,定着及びその周知に努め,最大限の宣伝広告等の活動を行い(甲10ないし甲15),製品の高品質性,その時代に適合した斬新かつ効果的な宣伝広告の手法,百貨店等での使用商標を随所に表示した独自店舗における需要者各々のニーズにかなう的確な多面式アドバイスによる販売方法と相まって,申立人の業務に係る商品等は市場でも高い評価を得ているのみならず,申立人の名声は単なる化粧品メーカーという枠を超えて,我が国を牽引する代表的な企業として位置付けられているといい得るものである。
このような状況において,使用商標が申立人の各ブランドに与える影響は甚大であって,また,その顧客吸引力は計り知れないものであり,使用商標に化体した業務上の信用もとてつもなく大きいという事実が容易に理解できるものである。
上述に加え,申立人にあっては,「SHISEIDO」の欧文字からなる商標について数多の防護標章登録を取得していることをも考慮すると,使用商標は,申立人を指称するハウスマークとして十分認知されているのと同時に,申立人の主たる取扱い製品である化粧品を含む多種多様な商品との関係で,これが付された商品は申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして,我が国の需要者の間に当然に広く知られているものである(甲16ないし甲18)。
ウ 商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人の使用商標が遅くとも本件商標が出願・登録された日までに,申立人の業務に係る多種多様な商品を表示するもののみならず,申立人自身を指称するハウスマークとして,我が国の需要者,取引者の間に広く認識されていることは最早顕著な事実といえるものである。
そして,本件商標と引用商標との類似性は上述のとおりであり,一般的出所の混同という観点からも両者が相紛れるものであることは明白であるが,使用商標にあっては,申立人のTVコマーシャルを介した宣伝広告にて積極的に表示されており,「SHISEIDO」の欧文字が需要者に強く印象付けられていることを勘案すると,このような著名商標と極めて近似する「SHOBEIDO」の文字に,商品の産地,販売地を表示するにすぎない記述的な文字といえる「TOYO」を付加した本件商標が付された本件指定商品が取引に資された場合,正に申立人と経済的,組織的に何らかの関係性を有する者の業務に係る商品であると需要者等に容易に想起させ得るものであり,具体的な取引の実情という観点からも,本件商標は出所の混同を生じさせかねるものである。
なお,本件商標の「SHOBEIDO」と同一の商標につき,その商標権者と同一の出願人によって中国においてなされた商標出願に対し,これを取り消すべく北京市第一中級裁判所に訴訟を提起したところ,このような商標は,申立人に係る引用商標(使用商標)と同じ商標との関係で類似である旨の判決(甲19)が既にされている。
エ むすび
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
申立人が提出した証拠によれば,申立人は,別掲のとおりからなる標章を1928年に確立し,申立人及び同人の業務に係る各種化粧品を表示する商標(引用商標,使用商標と同一の構成態様(色彩の異なるものを含む。)以下同じ。)として使用している(甲4,甲6,甲8,甲9)。
そして,申立人は,引用商標を表示した化粧品等を長年にわたり多数販売し,相当程度の売上があること(甲4),該化粧品は,新聞,雑誌,テレビコマーシャル等,多数広告宣伝されていること(甲7,甲9,甲10),グッドデザイン賞等の多数の賞を受賞していること(甲11ないし甲15)等からすれば,申立人及び同人の業務に係る化粧品等について,長年にわたり使用された引用商標は,本件商標の登録出願時前から,我が国の需要者の間に広く認識されていたものであり,その著名性は,本件商標の登録査定時を含め,現在も継続しているものと認められる。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標は,前記1のとおり,「TOYO SHOBEIDO」の欧文字を表してなるところ,その構成は,同書,同大でまとまりよく一体的に表され,これから生じる「トーヨーショベイドー」の称呼も淀みなく一連に称呼できるものである。
そして,本件商標を構成する「TOYO」及び「SHOBEIDO」の各文字は,特定の語義を有しない造語といえるものであるから,本件商標は,特定の観念を生じないものである。
なお,申立人は,「TOYO」の文字は「東洋」程度を容易に想起させる極めて平易なアルファベットであって,本件商標に係る指定商品との関係で,その商品の産地,販売地等を示すにすぎない旨を主張するが,仮に,該文字部分の読みから「東洋」の漢字を想起させる場合があるとしても,該文字は,「トルコ以東のアジア諸国の総称。」の意味を有する語(広辞苑第六版)であって,特定の地名,著名な地理的名称を表示するものではないから,本件指定商品の産地,販売地を表示するものということができない。
イ 引用商標は,別掲1のとおりの構成態様により「SHISEIDO」の欧文字を表してなり,これからは,「シセイドー」の称呼を生じ,申立人及び同人の業務に係る商品「化粧品等」を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものであるから,「(化粧品のブランドとしての)SHISEIDO」の観念を生じるものである。
ウ そこで,本件商標と引用商標とを比較すると,外観においては,本件商標は,「TOYO SHOBEIDO」の欧文字を表してなるのに対し,引用商標は,語頭及び中間部の「S」の文字を斜体化してデザインした特徴的な書体で表されているものであるから,その構成文字及び構成態様が明らかに異なり,本件商標と引用商標とは,外観上,相紛れるおそれはない。
そして,称呼においては,本件商標から生じる「トーヨーショベイドー」の称呼と,引用商標から生じる「シセイドー」の称呼とは,その構成音及び構成音数において明確な差異を有するものであるから,本件商標と引用商標とは,称呼上,相紛れるおそれはない。
また,本件商標は特定の観念を生じないものであるのに対し,引用商標は「(化粧品等のブランドとしての)SHISEIDO」の観念を生じるものであるから,本件商標と引用商標とは,観念上,相紛れるおそれはない。
そうすると,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
前記(1)のとおり,引用商標は,申立人及び同人の業務に係る化粧品等を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認められる。
しかしながら,本件商標と引用商標とは,前記(2)のとおり,非類似の商標であって,別異の商標というべきものであるから,本件商標は,本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても,取引者,需要者に,引用商標を連想又は想起させることはなく,その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
なお,申立人は,本件商標の「SHOBEIDO」と同一の商標につき,その商標権者と同一の出願人によって中国においてなされた商標出願に対し,これを取り消すべく北京市第一中級裁判所に訴訟を提起したところ,このような商標は,申立人に係る引用商標(使用商標)と同じ商標との関係で類似である旨の判決(甲19)が既にされている旨主張しているが,商標の類否は,対比される商標ごとに個別,具体的に検討,判断されるべきものであるから,申立人が挙げる裁判例があったとしても,本件の判断に影響を及ぼすものではない。
よって,申立人の主張は採用することができない。
(4)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標)







異議決定日 2017-02-16 
出願番号 商願2016-6831(T2016-6831) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W03)
T 1 651・ 261- Y (W03)
T 1 651・ 271- Y (W03)
T 1 651・ 263- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平松 和雄 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 田中 亨子
原田 信彦
登録日 2016-07-15 
登録番号 商標登録第5867278号(T5867278) 
権利者 楊靜純
商標の称呼 トーヨーショービイドー、トーヨーショーベイドー、トーヨーショベイドー、トーヨーショービドー、トーヨー、トヨ、ショービイドー、ショーベイドー 
代理人 太田 知二 
代理人 田中 尚文 
代理人 岡部 讓 

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