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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
管理番号 1325106 
異議申立番号 異議2016-900302 
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-03-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-09-21 
確定日 2017-02-23 
異議申立件数
事件の表示 登録第5862355号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5862355号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5862355号商標(以下「本件商標」という。)は,「TIDING」の欧文字を横書きしてなり,平成28年1月6日に登録出願され,第18類「革または布製かばん類,革製もしくは模造の革製かばん,革製もしくは模造の革製財布」を指定商品として,同年5月17日に登録査定,同年7月1日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,「TIDING」の欧文字よりなる商標を引用して,本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同項第7号に該当するから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第10号について
(1)申立人は,中国の登録商標「TIDING」の商標権者である広州錚誠商貿有限責任会社(以下,「中国商標権者」という。合議体注記:同商号中「錚」の字は,甲第1号証によれば「『かねへん』に『争』」の文字が使用されている。)から,2012年(平成24年)10月1日に日本国内における「TIDING」の商品のプロモーション及び販売の授権を受けている(甲1)。そのため,申立人は,親会社である中国商標権者から特別に授権を受けて,日本国内で「TIDING」の商品をプロモーション及び販売する正式な権利を有する法人であるといえる。なお,中国商標権者は,主としてインターネットを利用して中国で「TIDING」の商標をかばん類について使用し現在も販売している(甲2)。
(2)申立人が使用する商標「TIDING」(以下「引用商標」という。)は,中国商標権者の授権を受けて,本件商標の指定商品と同一又は類似の商品について,本件商標の出願日及びその登録査定日において,需要者の間に広く認識されている。
ア 申立人は,インターネット通販サイト「楽天」,「ヤフーショッピング」及び「アマゾン」(甲3?5)において,「TIDING」を商標としてかばん類を販売しており,「楽天」では平成24年10月31日,「ヤフーショッピング」では同26年9月,「アマゾン」では同27年12月15日から商品を販売し,現在まで継続している。
イ 「ヤフーショップ」(合議体注:「ヤフーショッピング」のことと推察される。)における販売実績によると,売上合計値と注文数によれば,商品1点あたりの平均単価はおおむね10126円となる(甲6)。そこで,申立人の通信販売売上高を平均単価で除すると,年間販売された「TIDING」を付した商品数は,約1400点(平成24年10月1日?平成25年9月30日),約2456点(平成25年10月1日?平成26年9月30日),約3719点(平成26年10月1日?平成27年9月30日)となる(甲7?9)。3年間(平成24年10月1日から平成27年9月30日)の販売数は,約7577点となり,本件商標登録の出願日には,推定約9000点近い申立人の「TIDING」に係る商品がインターネット販売によって販売されている。このように,インターネット販売においてかばん類を購入する需要者の間においては,商標「TIDING」は,申立人が販売するかばん類を示すものとして周知となっているといえる。
ウ グーグル検索において「TIDING」の文字検索をした結果,「かばん」等のキーワードとあわせずに,単に「TIDTNG」と入力して検索しても,トップページの1番最初の掲載されるのは,楽天市場の申立人による「TIDING」のかばん類のページである(甲10)。
(3)本件商標の商標権者である東洋明新株式会社(以下,「本件商標権者」という。)は,現在のところ商標「TIDING」を指定商品である「革または布製かばん類,革製もしくは模造の革製かばん,革製もしくは模造の革製財布」について使用している形跡はない(甲11)。
(4)以上から,本件商標は,他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標をその商品又はこれらに類似する商品について使用するものに該当し,商標法第4条第1項第10号の規定に該当するにも関わらず商標登録を受けたものである。
2 商標法第4条第1項第7号について
(1)本件商標は,申立人が中国商標権者から特別な授権を受けて販売する商品に関する引用商標「TIDING」と同一のものである。引用商標が,日本国内で,申立人の業務にかかる商品を表示するものとして需要者の間に既に広く認識されるに至っていた平成28年1月6日に,本件商標が出願された。
(2)「TIDING」の語は,意味のある文言として使用されている事実は見当たらないことから,中国商標権者が考えた造語であり,それを日本で周知せしめた申立人が販売するかばん類の名称として使われていることを知って,本件商標権者が出願していることは明らかである。
このような判断は,造語である「TIDING」と販売するかばん類とが偶然に一致して,しかも申立人の「TIDING」が周知になったその時期に,全く関連のない第三者によって全く同じ商標で指定商品も同一又は類似の商標が出願される可能性がいかに小さいかを考量すれば当然といえる。
(3)そこで,本件商標権者が「TIDING」をかばん類について出願することの目的を考察すると,本件商標権者は,市場である程度周知になった他者の商標について,使用する意思もなく商標登録出願を行い,これにより発生した商標権を正当な商標使用者に対して商標権を譲渡することを生業としているのではないかと考えられる。
その証拠として,本件商標権者の過去の商標登録出願の実績を検討するに,本件商標権者が登録出願中の商標(甲13,14)には,いずれも既に日本国内で販売されている国外の既存のブランド名があり(甲15?18),これらの商標と本件商標権者の名称をキーワードとして検索してもそれらの指定商品に関するページは1件も検索されない(甲19?20)。これらの結果から,本件商標権者が,上記の現在商標登録出願中の商標を,指定商品について,実際に日本で販売するとは考えにくい。
(4)このような行為は,我が国の商標法では異議申立理由として明示されていないが,それ故に異議申立理由になりえないと判断するのは妥当ではなく,このような場合には,本件商標権者の行為は社会公共の利益を害するおそれのある行為であるといえるので,異議申立理由の一般条項である商標法第4条第1項第7号に該当するとすべきである。

第3 当審の判断
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同項第7号に該当すると主張しているので,以下,検討する。
1 商標法第4条第1項第10号該当性について
申立人の主張及び提出した証拠並びに当審における職権による調査によれば,以下の事実が認められる。
(1)申立人は,中国の登録商標「TIDING」の中国商標権者から,2012年(平成24年)10月1日に,日本国内における,引用商標を使用した商品の販売及びプロモーションの授権を受け(甲1),同年10月以降,インターネットの通信販売サイトの「楽天」,「ヤフーショッピング」及び「アマゾン」を通じて商品「かばん類」の販売をしている(甲3?5)。
(2)申立人の主張によれば,申立人の商品は,平均単価が約1万円であり,平成24年10月1日からの年間売上高は約1418万円(販売数:約1400点),平成25年10月1日からの年間売上高は約2489万円(約2500点),平成26年10月1日からの年間売上高は約3766万円(約3700点)である(甲6?9)。
(3)一方,当審の職権による調査によれば,平成25年度の国内鞄・袋物の市場規模は,約1兆円であり,そのうちインポートブランドの市場規模は,推計4786億円であり,また,平成26年度の国内鞄・袋物の市場規模は,前年と同じ約1兆円であり,そのうちインポートブランドの市場規模は,推計5218億円である(株式会社矢野経済研究所ウェブサイト,「プレスリリース/国内鞄・袋物市場に関する調査結果2014」(https://www.yano.co.jp/press/press.php/001349),「プレスリリース/国内鞄・袋物市場に関する調査結果2015」(https://www.yano.co.jp/press/press.php/001517))。
(4)小括
上記の事実からすると,申立人の商品の販売数は,年平均で3000点にも満たないものであり,単価が約1万円程度の鞄であることを鑑みると,この販売数は決して多いものとはいえない。また,年間売上高も,輸入鞄の市場規模全体の0.01%にも満たないものであり,非常に僅かなものであるといわざるを得ない。
その他,申立人は,引用商標を使用した商品「かばん類」についての宣伝広告の実績を示す証拠を提出していない。
そうすると,申立人の主張する程度の販売実績では,引用商標が,申立人の商品「かばん類」について,本件商標の登録出願前及び登録査定時において,我が国の取引者,需要者の間において広く認識されていたと認めることはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第7号該当性について
商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には,(1)その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合,(2)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも,指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反する場合,(3)他の法律によって,当該商標の使用等が禁止されている場合,(4)特定の国若しくはその国民を侮辱し,又は一般に国際信義に反する場合,(5)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合等が含まれるというべきである(平成21年(行ケ)第10173号,知的財産高等裁判所,平成22年7月15日判決参照)。
これを本件についてみるに,本件商標は,その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的など他人に不快な印象を与えるような構成のものではなく,その使用等が,社会の一般的道徳観念に反するものや,法律により禁止されているもの又は国際信義に反するものでもないことは明らかである。
そして,申立人は,引用商標は中国商標権者が考えた造語であり,第三者が偶然同一の商標を採択し商標登録出願するものとは考え難く,引用商標が日本において周知であることを知りながら本件商標権者は出願したものであるから,本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがある旨を主張する。
しかしながら,申立人は,本件商標がその登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合等に該当することを示す具体的な事実ないし本件商標権者が不正の目的をもって本件商標を登録出願したことを示す証拠を提出してはいない。さらに,引用商標は,上述のとおり,我が国の取引者,需要者の間において広く認識されていたと認めることはできないものである。
してみると,本件商標は,本件商標権者が中国商標権者又は申立人との商取引上の信義則に反し,これが我が国で登録出願されていないことを奇貨として,これらに無断で登録出願をしたことなど,その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあるといえる事情は認められない。
また,申立人は,市場である程度周知になった他者の商標について,本件商標権者が使用する意思もなく商標登録出願を行い,これにより発生した商標権を正当な商標使用者に対して商標権を譲渡することを生業としているのではないかと考えられると主張して甲第13号証ないし甲第20号証を提出している。
しかしながら,甲第13号証及び甲第14号証に示された商標が我が国において周知となっていることを示す証拠はない。また,本件商標権者が商標権を正当な商標使用者に対して商標権を譲渡することを生業としているとの主張にしても,申立人による現時点での推測にとどまるものといわざるを得ず,申立人の上記主張は,いずれも採択することはできない。
したがって,本件商標は,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標ということはできない。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
3 まとめ
上記のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第7号及び同項第10号に該当するとは認められないから,同法第43条の3第4項に基づき,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-02-13 
出願番号 商願2016-5857(T2016-5857) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W18)
T 1 651・ 25- Y (W18)
最終処分 維持 
前審関与審査官 宗像 早穂 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 阿曾 裕樹
堀内 仁子
登録日 2016-07-01 
登録番号 商標登録第5862355号(T5862355) 
権利者 東洋明新株式会社
商標の称呼 タイディング、ティディング 
代理人 特許業務法人JAZY国際特許事務所 
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