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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W141625
審判 一部申立て  登録を維持 W141625
審判 一部申立て  登録を維持 W141625
審判 一部申立て  登録を維持 W141625
審判 一部申立て  登録を維持 W141625
管理番号 1325103 
異議申立番号 異議2016-900215 
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-03-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-08-04 
確定日 2017-02-23 
異議申立件数
事件の表示 登録第5845313号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5845313号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5845313号商標(以下「本件商標」という。)は、「MonstersProShop」の欧文字を標準文字で表してなり、平成27年11月18日に登録出願され、第4類、第8類、第11類、第14類、第16類、第18類、第20類ないし第22類、第24類、第25類、第28類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成28年3月23日に登録査定、同年4月28日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は、以下の45件であり(以下、それらの商標登録番号等及び商標の態様は以下のとおりであり(なお、それらを1から順次「引用商標1」「引用商標2」のようにいい、全部をまとめて「引用商標」という。また、文字商標は、引用商標39を除き、いずれも標準文字で表されている。)、それらの指定商品及び指定役務、登録出願日並びに設定登録日は商標登録原簿又は国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりであって、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
商標登録番号 :商標の態様
1 国際登録第1048069号商標:別掲1のとおり
2 登録第5689430号商標:別掲1のとおり
3 登録第5057229号商標:別掲1のとおり
4 登録第5730813号商標:別掲2のとおり
5 登録第5010968号商標:M MONSTER ENERGY
6 登録第5379390号商標:MONSTER
7 登録第5792086号商標:MONSTER
8 登録第5431413号商標:別掲3のとおり
9 登録第5788675号商標:別掲3のとおり
10 登録第5393681号商標:MONSTER ENERGY
11 登録第5788676号商標:MONSTER ENERGY
12 登録第5844119号商標:MONSTER ENERGY
13 登録第5495941号商標:MONSTER KHAOS ENERGY + JUICE
14 登録第5769176号商標:MONSTER ENERGY ABSOLUTELY ZERO
15 登録第5419513号商標:別掲4のとおり
16 登録第5757485号商標:COFFEE MONSTER
17 登録第5715016号商標:MONSTER ENERGY ULTRA
18 登録第5844163号商標:別掲5のとおり
19 登録第5394526号商標:別掲6のとおり
20 登録第5442171号商標:MONSTER ENERGY PINK
21 登録第5417815号商標:MONSTER ENERGY AGENT ORANGE
22 登録第5527566号商標:MONSTER DETOX
23 登録第5476620号商標:MONSTER REHAB
24 登録第5490798号商標:MONSTER RECOVERY
25 登録第5497766号商標:MONSTER UNLEADED
26 登録第5451361号商標:MONSTER PUMPED
27 登録第5480373号商標:MONSTER BIOACTIVATED
28 登録第5527567号商標:MONSTER REHABITUATE
29 登録第5417770号商標:MONSTER LO-CARB
30 登録第5375090号商標:PROTEIN MONSTER
31 登録第5327467号商標:MUSCLE MONSTER
32 登録第5409580号商標:MONSTER RIPPER
33 登録第5409582号商標:MONSTER BLACK
34 登録第5419507号商標:MONSTER DOUBLE BLACK
35 登録第5409583号商標:MONSTER GIRL
36 登録第5542584号商標:MONSTER CUBA-LIMA
37 登録第5043703号商標:JAVA MONSTER
38 登録第5431412号商標:JAVA MONSTER
39 登録第5741128号商標:JAVA MONSTER
40 登録第5644854号商標:MONSTER SUPERNATURAL
41 登録第5423080号商標:LOCA MOCA JAVA MONSTER
42 登録第5389881号商標:X-PRESSO MONSTER
43 登録第5657923号商標:MONSTER ENERGY ULTRA RED
44 登録第5894149号商標(商願2016-52630):MONSTER ARMY
45 登録第5912249号商標(商願2016-87739):別掲7のとおり

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品中、第14類、第16類及び第25類「全指定商品」について、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第7号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第317号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標の構成文字中の「ProShop」の文字部分は、英語で「専門的、専門家、本職、プロ」などを意味する「Pro」と「商店、小売店」などを意味する「Shop」の2語を結合したものと容易に認識理解され、これらの語は、それぞれが上記意味の外来語「プロ」及び「ショップ」として一般に親しまれている(甲313?316)。また、幅広い商品分野において、「PROSHOP」、「PRO SHOP」又は「プロショップ」の文字が小売店や店舗の名称として不特定多数の者によって現に使用されている(甲317)。これらの事情を斟酌すれば、本件商標の構成文字中「ProShop」の文字部分は、単に「プロが愛用するような優秀な商品を取り扱う小売店」、「プロ向けの上位モデル等も扱う専門店」等である旨を表示するものとして取引者、需要者に認識されるにとどまり(甲294?305)、商品の出所識別標識としての機能を果たし得ない。
したがって、本件商標は、構成中の「Monsters」の文字部分が、取引者、需要者に対して商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えることが明らかである。
よって、本件商標の構成中の「Monsters」の文字部分と引用商標7の構成文字「MONSTER」を比較対照すれば、両者の相違点は、英語の「MONSTER」の複数形と単数形の差異にすぎないから出所識別標識として同一の観念「モンスター」を生じる(甲311、312)ことが明らかであり、称呼及び外観も類似する(甲306?310)。
したがって、本件商標は、引用商標7と類似する。
さらに、引用商標1、引用商標2及び引用商標4は、その構成中の「MONSTER」の文字部分が独立して商品の出所識別標識としての機能し得るものであるから、これより「モンスター」の称呼及び観念を生じるものである。
したがって、本件商標は、引用商標1、引用商標2及び引用商標4にも類似する。
そして、本件商標の指定商品は、引用商標7、引用商標1、引用商標2及び引用商標4の指定商品と同一又は類似するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
申立人の使用に係る「MONSTER」は、申立人が2002年に創設したエナジードリンク事業のブランド「MONSTER ENERGY」の基軸商標として2002年から現在に至るまでの長年に亘り継続して使用されているものであり、同ブランドのエナジードリンクは、2002年に米国で最初に販売を開始後、日本では2012年5月から販売を開始し、現在では日本を含む世界100以上の国及び地域で販売中である。申立人は2002年以降、現在まで継続して、当該ブランドから発売された数多くの異なる種類のドリンクの個別名称(例えば、「MONSTER ENERGY」、「MONSTER ASSAULT」、「MONSTER KHAOS」等、多数)のすべてに「MONSTER」の文字を採択しており、当該各種ドリンクの缶の正面に「MONSTER」の文字を特徴的なデザインの太字を用いて大きく目立つ態様で表示して使用している。「MONSTER」を基調とする商標を用いた申立人のエナジードリンク事業の成功は経済界でも高い評価を受けている(甲2?33、甲51?57、甲58)。
申立人による当該エナジードリンクの広告及び販売促進活動は、世界の有名アスリート、レーシングチーム、スポーツ競技会、アマチュアスポーツ選手、音楽祭及びミュージシャンに対するスポンサー提供、スポーツ、音楽、ゲームなどの娯楽イベントの開催、米国ラスベガスの公共交通機関モノレールの「モンスター列車」の走行、これらのイベント開催などと関連して頻繁に実施されるエナジードリンク販売キャンペーン、各イベント会場におけるサンプリング(サンプル配布)、プロモーションキャンペーンの応募当選者に対する様々な「モンスター限定グッズ」(Tシャツ、帽子、キーホルダー、ステッカー、ギター、バッグパック、クーラーボックス、冷蔵庫、自動車など)の提供、「MONSTER」の文字を付したポスター・商品ネームプレート・チラシ・陳列棚・冷蔵庫などの店舗用什器の使用及び展示、遅くとも2013年から現在に至るまで約1?2月の頻度で定期的に発行されている新商品発売・懸賞キャンペーン・イベント開催情報などを掲載したプレスリリース、申立人ウェブサイト並びにソーシャルメディアを通じた情報発信を介して、2002年から現在まで世界規模で継続的に実施されており、当該広告物及び販売促進物に「MONSTER」及びその音訳「モンスター」の文字が使用されてきた(甲7?17、甲34?57、甲58、甲59?91、甲101?133、甲137?168)。
また、申立人は、2002年から、ブレスレット、ラペルピン、キーホルダー、Tシャツ、スウェットシャツ、帽子、レーシングジャケット、手袋などのアパレル製品、バッグ類、ステッカー、傘、ビデオゲームなどの「MONSTER」ライセンス商品の製造販売を第三者に使用許諾しており、国内の実店舗のほか、オンラインショップや通信販売を介して国内の一般消費者にも販売されている(甲47、甲48、甲58、甲92?100、甲134?136)。需要者における当該ライセンス商品の人気の高さに便乗して海外で製造された模倣品が日本の税関で輸入差止される事案が遅くとも平成25年7月から現在に至るまで継続して度々発生している(甲169?224)。「MONSTER」の文字の世界規模での継続的使用に基づき、申立人は、エナジードリンク等の飲料製品及び上記ライセンス商品等について、引用各商標をはじめ、「MONSTER」の文字を基調とする様々な構成の商標について日本を含む世界115以上の国及び地域で商標出願し、登録を取得している(甲58、甲270?293)。
以上に照らせば、「MONSTER」は、本件商標の登録出願時及び査定時には、申立人及びその商標ライセンシーの製造販売に係るエナジードリンク及び各種ライセンス商品の出所識別標識として国内外の取引者、需要者の間で広く認識されていたことが明らかである。
先に述べたとおり、本件商標は、「Monsters」の文字部分が商品出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであり、「MONSTER」と類似する。また、本件商標の指定商品は、ブレスレット・ラペルピン等の身飾品やTシャツ・帽子等の被服を含み、明らかに、申立人の商標ライセンシーが製造販売している「MONSTER」ライセンス商品と同一又は類似のものであって、本件商標の指定商品の最終的な需要者は一般消費者であるから、通常の需要者の注意力の程度は高いものとはいえない。
したがって、本件商標が使用された場合は、申立人の商標ライセンシーの製造販売に係る「MONSTER」ライセンス商品、あるいは、申立人と経済的又は組織的関係を有する者の製造販売に係る商品であると誤信されて、その出所について混同を生じるおそれが高いことが明らかである。
さらに、本件商標の使用は、申立人の商品出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所識別力希釈化するものであり、また、その名声、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 商標法第4条第1項第7号について
本件商標が使用された場合、申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所表示力が希釈化するおそれが極めて高い。また、本件商標の使用は、申立人がこれらの商標について獲得した信用力、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ず、申立人に経済的および精神的損害を与える。
したがって、本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがあるものといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「MonstersProShop」の欧文字を標準文字で表してなるものである。
そして、その構成中の「ProShop」の欧文字についてみるに、このうち「Pro」の語が「専門的、専門家、本職、プロ」を、また、「Shop」の語が「商店、小売店」を意味する英語であるとしても、この2語を結合した「ProShop(Proshop)」又は「プロショップ」の語は、辞書等には掲載されていない。さらに、申立人は、この点に関して、上記文字部分は、商品の出所識別標識として機能し得ないと主張して甲第317号証を提出しているところ、当該号証は、インターネット検索サイトにおいて「proshop」の語を検索した結果であり、そこには、主として、名称中に「PROSHOP」、「PRO SHOP」又は「プロショップ」の文字を有する店舗が検索され、表示されている各サイトにおいて、上記表示が商号中に使用されてはいるが、申立人が主張する「プロが愛用するような優秀な商品を取り扱う小売店」、「プロ向けの上位モデルや高性能商品なども扱う専門店」であることを理解させる記載はされてはいない。
してみると、上記、「PROSHOP(Proshop)」等の語についての実情等に照らせば、本件商標は、その構成中の「ProShop」の文字からは、直ちに特定の意味合いを理解するということはできないというべきであるから、構成中の「Monsters」の文字部分を殊更に取り出して観察し、これを要部とみるべき事情があるとはいえない。
そうすると、本件商標の構成中の「ProShop」の文字は、本件異議申立てに係る指定商品の内容や品質を表示するものであるとは認められず、商品の出所識別標識として機能しないということはできないものであり、一種の造語とみるのが相当である。そして、本件商標は、標準文字で一連に表されていることから、特定の文字部分が独立して見る者の注意をひくように構成されているということはできないものである。
したがって、本件商標は、構成全体として一体のものとして認識されるものであって、その構成文字に相応して「モンスターズプロショップ」の一連の称呼のみを生じるものであり、特定の観念を生じないというべきである。
(2)11号引用商標について
申立人が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する引用商標1、引用商標2、引用商標4及び引用商標7(以下、これらをまとめて「11号引用商標」という。)は、それぞれ、上記第2のとおりの構成からなるものである。
そして、引用商標1、引用商標2及び引用商標4は、申立人の主張する「モンスターの爪跡を象ったロゴマーク」(以下「『M』のロゴマーク」という。)と、いずれもデザイン化された「MONSTER」及び「ENERGY」の文字部分(以下「使用商標文字部分」という。)とは、外観上分離して観察されるものであり、その構成文字に相応して、「モンスターエナジー」の称呼を生じ、「怪物のエネルギー」のまとまった意味合い(観念)を理解させるものである。
また、引用商標7は、その構成文字に照らして、「モンスター」の称呼及び「怪物」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と11号引用商標との類否について
そこで、本件商標と11号引用商標との類否についてみるに、本件商標と11号引用商標とは、上述のとおり、その構成態様に照らせば、外観が顕著に相違するものである。また、本件商標から生じる「モンスターズプロショップ」の称呼と引用商標1、引用商標2及び引用商標4から生じる「モンスターエナジー」の称呼、並びに引用商標7から生じる「モンスター」の称呼とは、その構成音数の差異により全体の語調語感が明らかに異なり聞き誤るおそれはないものであり、本件商標と11号引用商標とは互いの観念においても共通するところはないから、両者は、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても類似する商標ということはできないというべきである。
(4)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標等の使用について
申立人が提出した証拠方法及び申立ての全趣旨によれば以下のことが確認できる。
ア 申立人は、米国において2002年に創設したエナジードリンク事業のブランド「MONSTER ENERGY」を基軸商標として使用し、日本では2012年5月から、その使用を開始、以降、諸外国及び我が国における「MONSTER」の文字を含む各商標を使用してエナジードリンクの販売を行ってきた。そして、申立人のエナジードリンクは、我が国において、2012年5月8日からアサヒ飲料株式会社を通じて、主に引用商標1が使用されて、以降継続して販売され、発売当初から100万箱を突破する売上げで(甲7?9)、2015年6月30日までの期間、約2億3600万缶が販売され、この期間の総販売額は、日本円で170億円以上であるとの主張がされている(甲58)。そして、アサヒ飲料株式会社のプレスリリース等においては「モンスターエナジー」と表示されている(甲7?10)。
イ 「M」のロゴマークが、インターネットショッピングサイトにおいて取り扱われているステッカー、Tシャツ、帽子等に使用されていること(甲47、48)、スポーツイベント、キャンペーン等に使用されていることが認められる(甲58、90、91、98、100等)。なお、申立人は、我が国におけるサンプル配付等が、2012年及び2013年にかけて、渋谷やモータースポーツ、マリンスポーツ等のイベント会場において行われたと陳述している(甲58)。また、外国における引用商標1及び「M」のロゴマークの使用により、それらに対する我が国の需要者の認識を評価することはできない(甲18?32、甲34?41等)。
(2)引用商標等の著名性について
上記(1)を総合して検討すれば、申立人は、我が国において2012年5月の発売以降、申立人のエナジードリンクについて、主に引用商標1を継続して使用してきたことが認められる。
そして、引用商標1は、その構成及び上述の取引の実情に照らすと、「M」のロゴマークと使用商標文字部分とは分離して観察されるものであるが、構成中間部の「MONSTER」の文字部分が更に分離抽出され取引に資されることはないというべきであり、申立人もそのことを示す証拠を示してはいない。むしろ、甲第7号証、その他甲各号証を総合すれば、申立人のエナジードリンクは、「Monster Energy(モンスターエナジー)」と称され、継続して販売、宣伝広告されていたことが認められるものであり、そのキャンペーン等が、比較的若い世代が集まる繁華街やイベント会場等において申立人のエナジードリンクのサンプル配布、スポーツイベント等での出場選手のユニフォーム等に「M」のロゴマーク又は引用商標1が表示されたことからすると、引用商標1は、本件商標の登録出願日前までには、我が国の若い世代を中心とした消費者の間では、ある程度知られていたものと認めることができる。
しかしながら、期間及び地域等における限定的なキャンペーン、申立人のエナジードリンクに関するニュースリリース(甲7?10、59、60等)のほかには、申立人が、我が国において、新聞、雑誌等において広く当該商品の広告を積極的に行ったものと認められる事実を確認できる証拠の提出はない。
さらに、引用商標1は、「MONSTER」の文字部分が独立して申立人のエナジードリンクを表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠の提出もない。
また、申立人が提出した証拠からは、その他の引用商標又は「MONSTER」の文字について、申立人のエナジードリンクに使用された結果、これが広く需要者に認識されていたものと認めることはできない。
以上を総合勘案すると、申立人が主に使用している引用商標1、使用商標文字部分及び「MONSTER」の文字は、申立人のエナジードリンクを表示するものとして、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されるに至っていた商標とは認めることができない。
(3)出所の混同のおそれ
上記(2)のとおり、引用商標1、使用商標文字部分及び「MONSTER」の文字は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとはいえない。また、上記1のとおり、本件商標は、引用商標1とは相紛れるおそれのない非類似の商標であり、構成中の「Monsters」の文字部分が強く支配的な印象を与えるものと認めることもできない。
よって、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品に使用しても、これに接する需要者が申立人が主に使用する引用商標1又は使用商標文字部分を連想又は想起するものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じるおそれはないものといわなければならない。
(4)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、上記2のとおり、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして申立人の使用商標等を連想又は想起させることのないものである。
そうすると、本件商標は申立人の使用商標等の信用力、顧客吸引力にフリーライドするものとはいえず、また、他に商標権者が本件商標をその指定商品に使用することが社会一般の道徳に反し公正な取引秩序を乱す、あるいは国際信義に反するなど、公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものとはいえない。
そして、提出された証拠からは、本件商標が、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反し、公の秩序を害するおそれがあることを認めるに足りる証拠はない。
また、申立人は、本件商標の採択の経緯等に不正の目的が存することを示す証拠を提出してはいない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
4 まとめ
以上、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第7号に該当するとは認められないから、同法第43条の3第4項に基づき、申立てに係る指定商品について、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(引用商標1?3)



別掲2(引用商標4)



別掲3(引用商標8、9)



別掲4(引用商標15)



別掲5(引用商標18)


(色彩は原本参照。)
別掲6(引用商標19)



別掲7(引用商標45)




異議決定日 2017-02-13 
出願番号 商願2015-113130(T2015-113130) 
審決分類 T 1 652・ 263- Y (W141625)
T 1 652・ 261- Y (W141625)
T 1 652・ 22- Y (W141625)
T 1 652・ 262- Y (W141625)
T 1 652・ 271- Y (W141625)
最終処分 維持  
前審関与審査官 板谷 玲子 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 堀内 仁子
小林 裕子
登録日 2016-04-28 
登録番号 商標登録第5845313号(T5845313) 
権利者 モンスターズ株式会社
商標の称呼 モンスターズプロショップ、モンスターズ、プロショップ、プロ、ピイアアルオオ、ショップ 
代理人 佐久間 剛 
代理人 柳田 征史 
代理人 中熊 眞由美 
代理人 佐原 隆一 

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