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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
管理番号 1325096 
異議申立番号 異議2016-900311 
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-03-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-09-29 
確定日 2017-02-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第5866221号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5866221号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5866221号商標(以下「本件商標」という。)は、「天盃炎ラベル」の文字を横書きしてなり、平成27年3月27日に登録出願され、第33類「焼酎」を指定商品として、同28年6月2日に登録審決、同年7月15日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録第4794429号商標(以下「引用商標」という。)は、「炎」の文字と「ほむら」の文字を二段に横書きしてなり、平成14年11月11日に登録出願、第33類「日本酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同16年8月13日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証から甲第15号証まで(枝番号を含む。)を提出した。
(1)「焼酎」を含む酒類業界の実情
本件商標の指定商品「焼酎」を含む酒類業界においては、ハウスマーク又はメインブランドと個別ブランド又はサブブランドを組み合わせて表示することは広く行われており、現に、それぞれの部分が商品の出所識別標識として機能している実情があることは周知の事実である。
かかる取引の実情に照らせば、ハウスマーク又はメインブランドと、個別ブランド又はサブブランドが併せて表されたものと把握される構成よりなる商標については、各部分を分離観察した類否判断がなされるべきである。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、「天盃炎ラベル」の文字よりなり、構成全体として一体の意味合いは全く見いだせないところ、「天盃」の文字は商標権者である、株式会社天盃のハウスマークであるから、この部分は出所識別標識として独立して把握され、後続の「炎ラベル」の文字部分もまた、「天盃」のハウスマークの下で展開される個別ブランドとして、独立して把握されるとみるのが妥当である。
そして、後述のとおり、現に本件商標「天盃炎ラベル」の使用商品は、「炎ラベル」と略称され、この部分が独立して把握されて取引されている実情がある。
この「炎ラベル」の文字は、「炎」と「ラベル」の二語を結合したものと解され、既成語ではなく、必ず一体に見なければならない格別の事情も存しないところ、「ラベル」の文字は、「商標、レッテル、張り札」を意味する英語「LABEL」の片仮名表記又は外来語としてよく親しまれたものであり、特に本件の指定商品である酒類にあっては、瓶にブランド名等を記した「ラベル」が貼られた状態で流通するのが一般的である。
そうとすると、「炎ラベル」の文字において、「ラベル」の文字は、識別力を有さず、強い識別力を有する「炎」の部分が、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える商標の要部であるから、本件商標中「炎」の部分に着目して取引される場合も決して少なくないといえる。
したがって、本件商標は、「炎」の文字部分に照応して、「ホノオ」又は「ホムラ」の称呼を生じるものであって、「炎」の観念を生じる。
これに対し、引用商標は、その構成文字より、「ホノオ」又は「ホムラ」の称呼を生じるものであって、「炎」の観念を生じるものである。
してみれば、本件商標と引用商標は、称呼及び観念を共通にし、かつ、「炎」の文字を共通にする類似の商標である。
また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、同一又は類似の商品である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 当審の判断
(1)本件商標と引用商標との類否について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「天盃炎ラベル」の文字を横書きしてなるものであるところ、該文字は、同一の書体をもって、同一の大きさ・間隔で表されており、外観上、その不可分一体性は強いものといえ、本件商標全体から生じる「テンパイホノオラベル」の称呼も、格別冗長というものでもなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
また、本件商標を構成する「天盃」の文字が「天皇から賜る盃酒。恩賜のさかずき。」を、「炎」の文字が「気体が燃焼して熱および光を発するもの。」、「恋慕・怨恨・憤怒・嫉妬の情で心のいらだつのを火の燃え立つのにたとえていう語。」を、「ラベル」の文字が「目印のための貼り紙。付箋。レッテル。」を意味する語として知られているものである(いずれも「広辞苑」(第六版)岩波書店発行)から、本件商標は、これらの文字を結合したものであると理解させるとしても、その構成全体が、これに接する者に、直ちに何らかの意味合いを認識させるものとはいい難く、むしろ全体をもって一体不可分の一種の造語として認識し、把握されるものとみるのが自然である。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体を称呼した場合の「テンパイホノオラベル」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「炎」の文字と「ほむら」の文字を二段に横書きしてなるものであるところ、その構成中の「ほむら」の平仮名文字部分は、上段の「炎」の漢字の読みを特定したものと理解されるとみるのが相当であるから、その構成文字に相応して、「ホムラ」の称呼を生じるものであり、「炎」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との対比
(ア)外観
本件商標は、「天盃炎ラベル」の文字を表してなり、前記のとおり、その構成文字全体の不可分一体性は強いものといえ、外観上「炎」の文字部分のみが独立して把握・認識されるものではないから、引用商標とは、外観上明らかに相違するものである。
(イ)称呼
本件商標より生じる「テンパイホノオラベル」の称呼と引用商標より生じる「ホムラ」の称呼は、構成する音の数・音質・音調等において著しい差異を有するものであるから、それぞれの称呼を全体として称呼した場合においても、その語調、語感が相違したものとなり、称呼上互いに紛れるおそれはない。
(ウ)観念
本件商標は、前記アのとおり、特定の観念を生じないものであり、引用商標から生じる「炎」の観念と比較することができないから、引用商標とは、観念において類似する商標ということはできない。
(エ)したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 申立人の主張について
申立人は、本件商標は、商標権者のハウスマークである「天盃」の文字と個別ブランドとして独立して出所識別機能を有する「炎ラベル」の文字よりなるところ、当該「炎ラベル」の文字部分のうち、「ラベル」の文字は識別力を有さず、「炎」の文字部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるから、これより、「ホノオ」又は「ホムラ」の称呼及び「炎」の観念を生じる旨主張し、過去の審査例(甲14、甲15)を提出する。
しかしながら、商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は、指定商品等の取引の実情を考慮し、当該商標の全体の構成に基づいて、個々の商標ごとに個別具体的に判断されるべきものであるところ、本件商標の構成中の「天盃」の文字部分は、本件商標の商標権者の名称の略称であるとしても、本件商標中の「炎ラベル」の文字部分は、同一の書体をもって、同一の大きさ・間隔で表されており、「炎」の文字部分のみが需要者に印象付けられるような態様ではないばかりか、「ラベル」の語が、焼酎等を取り扱う分野において、商品の品質等を表示するものとして普通に使用されていると認めるに足りる証拠の提出はなく、その他「炎ラベル」の文字部分より、「炎」の文字部分のみを分離・抽出して称呼、観念しなければならない特段の事情は見いだせない。
したがって、本件商標からは、「ホノオ」又は「ホムラ」の称呼及び「炎」の観念は生じないというべきであるから、本件における類否判断が申立人の挙げた審査例に左右されるものではない。
よって、申立人の上記主張は、理由がなく採用することができない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-01-27 
出願番号 商願2015-28455(T2015-28455) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W33)
T 1 651・ 263- Y (W33)
T 1 651・ 261- Y (W33)
最終処分 維持  
前審関与審査官 守屋 友宏 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 原田 信彦
大橋 洋子
登録日 2016-07-15 
登録番号 商標登録第5866221号(T5866221) 
権利者 株式会社天盃
商標の称呼 テンパイホノーラベル、テンパイエンラベル、テンパイ、ホノーラベル、エンラベル、ホノー、ホムラ 
代理人 松尾 憲一郎 
代理人 山野 有希子 
代理人 市川 泰央 
代理人 特許業務法人みのり特許事務所 

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