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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0916
審判 全部申立て  登録を維持 W0916
審判 全部申立て  登録を維持 W0916
審判 全部申立て  登録を維持 W0916
管理番号 1325093 
異議申立番号 異議2016-900271 
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-03-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-08-29 
確定日 2017-02-13 
異議申立件数
事件の表示 登録第5868582号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5868582号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5868582号商標(以下「本件商標」という。)は、「新卒採用の教科書」の文字を標準文字で表してなり、平成28年4月18日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,電子出版物,記録済みDVD,電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ・カートリッジ・CD-ROM・DVD-ROM及びその他の記録媒体,録音・録画済みDVD・ビデオテープ・ビデオディスク及びCD-ROM,録音又は録画済みのDVD・DVD-ROM・CD-ROM・ビデオテープ・ビデオディスク・コンパクトディスク・磁気テープ・光ディスク・光学式記録媒体,録画済みエクササイズのDVD」及び第16類「印刷物,冊子,テキスト,雑誌,書籍,新聞,ニューズレター,パンフレット,指導マニュアル又はハンドブック,定期刊行物,CD・DVD付き書籍,紙類,文房具類,書画,写真,写真立て」を指定商品として、同年6月17日に登録査定、同年7月22日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第41号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)引用商標について
申立人が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして登録異議の申立ての理由に引用する登録商標は、以下の2件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
ア 登録第5395981号(以下「引用商標1」という。)は、「採用の教科書」を標準文字で表してなり、平成22年12月1日に登録出願、第16類「紙製包装用容器,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙類,文房具類,雑誌,新聞,書籍,印刷物,書画,写真,写真立て」を指定商品として、同23年3月4日に設定登録されたものである。
イ 登録第5452764号(以下「引用商標2」という。)は、「採用の教科書」を標準文字で表してなり、平成23年6月10日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,書籍の制作,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」を指定役務として、同年11月25日に設定登録されたものである。
なお、引用商標1及び2をまとめていうときは、以下、単に「引用商標」という。
(2)本件商標と引用商標との対比
ア 本件商標について
(ア)本件商標の外観について
本件商標は、「新卒採用の教科書」の文字を標準文字で表してなるものである(甲1)。
(イ)本件商標の称呼について
本件商標は、上記文字構成からなるところ、該構成に照らせば、本件商標からは、一見、「シンソツサイヨウノキョウカショ」との称呼のみが生じる。
しかしながら、本件商標の具体的な構成等を勘案すれば、本件商標からは、上記「シンソツサイヨウノキョウカショ」との称呼のみならず、「サイヨウノキョウカショ」との称呼をも生じるものである。
a 「新卒」の語について
本件商標には、「その年に新しく学校を卒業した者」との意味を表す「新卒」との語(甲6)が、配されているところ、この「新卒」との語は、例えば、「新卒向け採用テスト対策書」、「新卒者向けDVD研修教材・・・」等というように(甲7、甲8)、本件商標の指定商品の分野において、「新卒者向けの商品」であることを示すものとして、広く一般に使用されているものである。
したがって、このような「新卒」との語の使用状況に鑑みれば、本件商標に接する需要者は、この「新卒」との語を、商品の用途、品質等を表示するものとして認識し理解するにとどまるものといえることから、当該「新卒」の語が、本件商標の構成中において、自他商品の識別力を有しないか又は極めて弱い部分であることは明らかである。
b 「採用の教科書」の語について
本件商標に構成される「採用の教科書」の語は、引用商標1と同一の文字構成からなるところ、引用商標1が、本件商標の指定する商品と同一又は類似の商品を指定して登録となっていることに照らせば、本件商標構成中の「採用の教科書」の語が、商品の出所識別標識としての機能を強く発揮し、本件商標の構成中において、強く支配的な印象を与えるものであることは容易に想像の付くところである。
なお、このことは、申立人の以下の実績からしても明らかである。
(a)サイト(ブログ)の運営
申立人は、社会保険労務士として、人材採用に関するコンサルティングサービスを提供する者であるところ(甲9)、2007年11月28日に「採用の教科書?採用・求人・面接の仕方マニュアル?」と題するサイトを開設し、現在に至るまで、当該サイトを通じて、数多くの人材採用に関する情報を発信している(甲9?甲11)。なお、当該サイト内に掲載されるブログは、2016年6月15日時点において、人気ブログランキングの「人事労務・総務部門」、「組織・人材部門」及び「社会保険労務土部門」で第1位、「経営部門」で第2位にランクされており、有益な情報を得られるブログとして、人気を博するに至っている(甲9、甲12?15)。
また、申立人は、2012年12月15日に、「新卒採用の教科書・・・優秀な学生を採用する方法」と題するサイトを開設し、現在に至るまで、新卒者の採用に特化した有益な情報を発信している(甲16、甲17)。
なお、これらのサイトの閲覧数は、2016年6月22日時点において、合計で、「4,439,739」となっていることから(甲9)、これらのサイトが数多くの者に閲覧されていることは、容易にうかがい知ることができる。
(b)書籍の出版
申立人は、2010年1月25日に、企業の担当者が新卒や中途採用について体系立てて学ぶことができる、「採用の教科書」と題する書籍を出版し(甲18)、当該書籍は、当初のAmazon販売ランキングの「総務・人事・労務管理部門」、「人事・労務管理部門」及び「中小企業経営部門」において第1位を獲得している(甲19?甲22)。
また、申立人は、2012年7月25日に、上記書籍の続編となる「採用の教科書2」と題する書籍を出版し(甲23)、当該書籍は、当初のAmazon販売ランキングの「総務・人事・労務管理部門」、「人事・労務管理部門」、「中小企業経営部門」及び「経営管理部門」において第1位を獲得している(甲24)。2016年6月22日時点におけるランキングにおいても、人気の書籍として位置付けられている(甲20?甲22、甲25)。
さらに、申立人は、2013年6月13日、採用の教科書シリーズの第3作目となる「中途採用の教科書Q&A」と題する書籍を出版し(甲26)、当該書籍は、2016年6月23日時点におけるAmazon販売ランキングの「中小企業経営部門」において第99位を獲得している(甲27)。
なお、申立人の著書である上記書籍は、「採用の教科書シリーズ」として、各種媒体でも紹介されている(甲28?甲41)。
(c)小括
申立人の実績は以上のとおりであるが、このような実績に鑑みれば、「採用の教科書」との語は、本件商標の出願時において、申立人が提供する人材採用に関するコンサルティングサービスに関連する取引者・需要者(人材採用に携わる者等)の間において、申立人の業務に係る同サービス及びこれに類似関連する商品サービスを表示するものとして広く知られ、今もなお、この周知性が継続していることは明らかといえる。
そして、このような申立人の業務に係るサービス等を表示する「採用の教科書」との語は、本件商標構成中の「採用の教科書」との語と同一の文字構成からなり、また、申立人の業務に係る同サービス等は、本件商標の指定する商品と類似関連するものといえることから、上記申立人の実績に鑑みれば、本件商標に接する需要者が、本件商標構成中の「採用の教科書」との語に着目し、取引にあたることは明白である。
したがって、このことからすると、本件商標構成中の「採用の教科書」の語は、本件商標の指定商品との関係において、商品の出所識別標識としての機能を強く発揮するものといえることから、本件商標の中において、強く支配的な印象を与えるものといえる。
よって、本件商標からは、上記「シンソツサイヨウノキョウカショ」との称呼のみならず、その構成部分の一部である「採用の教科書」との語に相応した「サイヨウノキョウカショ」との称呼をも生ずる。
なお、本件商標から生ずる上記「シンソツサイヨウノキョウカショ」との称呼は、「13音」と冗長であることから、これを一息で称呼するには無理があるといわざるを得ない。むしろ、本件商標に接する需要者は、簡易迅速さが要求される商取引の下において、これを、無理なく一息で「サイヨウノキョウカショ」と語呂よく称呼するものと考える方が自然であることからしても裏付けることができる。
(ウ)本件商標の観念について
本件商標からは、その構成より、「新卒者の採用に関する教科書」との観念が生じるほか、本件商標構成中の「採用の教科書」の語に相応した「採用に関する教科書」との観念が生じる。
イ 引用商標について
引用商標は、「採用の教科書」の文字を標準文字で表してなり、その構成文字より、「サイヨウノキョウカショ」との称呼が生じ、「採用に関する教科書」との観念が生じる(甲2、甲4)。
ウ 本件商標と引用商標との類否
(ア)外観
本件商標には、引用商標にはない「新卒」との語が配されていることから、本件商標と引用商標との外観は、一見、相違するとも思える。
しかしながら、本件商標に構成される「採用の教科書」との語は、引用商標と同一の文字構成からなり、本件商標の構成中において、強く支配的な印象を与えるものであるから、これら商標の外観から受ける印象は共通するものといわざるを得ない。
したがって、これら商標に接する需要者が、本件商標と引用商標との外観を見誤る可能性は高く、本件商標が、引用商標と外観において類似することは明らかである。
なお、本件商標は、8文字中、その6文字が引用商標と同一の文字にて構成されているのであるから、これら商標の外観から受ける印象は、極めて近いものとならざるを得ない。
よって、この場合においても、本件商標が、引用商標と外観において類似することは明らかである。
(イ)称呼
本件商標からは、「シンソツサイヨウノキョウカショ」との称呼のみならず、その構成部分の一部である「採用の教科書」との語に相応した「サイヨウノキョウカショ」との称呼をも生ずるものであるから、本件商標は、引用商標と称呼において類似する。
なお、本件商標より「サイヨウノキョウカショ」との称呼が生じないものだとしても、本件商標から生ずる上記「シンソツサイヨウノキョウカショ」との称呼は、13音中、その9音が引用商標と同一の音で構成されているのであるから、これら商標から生じる称呼の音調・音感は、極めて近いものとならざるを得ない。
したがって、この場合においても、本件商標と引用商標の称呼を聴別するのは困難であるといえることから、本件商標が、引用商標と称呼において類似することは明らかである。
(ウ)観念
本件商標からは、その構成より、「新卒者の採用に関する教科書」との観念が生じるほか、本件商標構成中の「採用の教科書」との語に相応した「採用に関する教科書」との観念が生じるものであるから、本件商標は、引用商標と観念において類似する。
なお、本件商標から生ずる上記「新卒者の採用に関する教科書」の観念は、引用商標の「採用に関する教科書」の観念に包摂されるものであって、我が国において「採用」といえば、主に「新卒者の採用」のことを意味するのであるから、「採用」と「新卒採用」の語が表す意味合いは、ほとんど同じものであり、これら商標に接する需要者が、本件商標と引用商標の観念について、異なる認識を抱くことはない。
したがって、この場合においても、本件商標と引用商標の観念は相紛れるものといえることから、本件商標が、引用商標と観念において類似することは明らかである。
(エ)本件商標と引用商標との類似性
以上より、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念の全てにおいて類似するものであり、これら商標が需要者に与える印象、記憶、連想等は、明らかに共通するものであることから、このような関係にある商標を同一又は類似の商品及び役務に使用した場合には、需要者が、その商品及び役務の出所について、誤認混同を生ずるおそれがあることは明白である。
よって、本件商標は、引用商標と類似する。
エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務との対比
本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品及び指定役務と類似する。
オ 小括
以上のことから、本件商標は、引用商標と類似であって、引用商標に係る指定商品及び指定役務と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
申立人が使用する「採用の教科書」との表示(以下「引用標章」という。)は、本件商標の出願時において、既に、申立人が提供する人材採用に関するコンサルティングサービス及びこれに類似関連する商品サービスを表すものとして、需要者(人材採用に携わる者等)の間に広く認識されていたものである。また、この周知性は今もなお継続している。
したがって、このような中、本件商標の出願人が、引用標章と明らかに同一又は類似する本件商標を、申立人の業務に係る同サービスに類似関連する商品に使用すれば、同商品が申立人の業務に係る同サービスと出所混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
よって、本件商標は、出願時及び査定時において、他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標にあたることから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり「新卒採用の教科書」の文字を、同一の書体、同一の大きさ、同一の間隔で表してなるところ、その構成は、「新卒採用」と「教科書」の文字を、助詞「の」で結合してなるから、外観上、まとまりよく一体的に看取、把握されるというのが相当であり、これから生じる「シンソツサイヨウノキョウカショ」の称呼も、やや冗長であるとしても、よどみなく一連に称呼できるものというのが相当である。
そして、その構成中、前半の「新卒採用」の文字からは、「新卒者の採用」程の意味合いを想起するとしても、これが、何らかの学問や教科科目を表すものとして理解されるものではなく、また、「教科書」の内容を具体的に表示するものとはいえないことからすれば、「新卒採用の教科書」の文字からなる本件商標は、全体として具体的な意味合いを想起させるとはいい難いものであり、特定の観念を生じないものというべきである。
(2)引用商標について
引用商標は、前記第2の1(1)のとおり「採用の教科書」の文字を、同一の書体、同一の大きさ、同一の間隔で表してなるところ、その構成は、「採用」と「教科書」の文字とを、助詞「の」で結合してなるから、外観上、まとまりよく一体的に看取、把握されるというのが相当であり、これから生じる「サイヨウノキョウカショ」の称呼も、特別冗長でもなく、一連に称呼できるものである。
そして、その構成中、前半の「採用」の文字からは、「人を採用すること」程の意味合いを想起するとしても、これが、何らかの学問や教科科目を表すものとして理解されるものではなく、また、「教科書」の内容を具体的に表示するものとはいえないことからすれば、「採用の教科書」の文字からなる引用商標は、全体として具体的な意味合いを想起させるとはいい難いものであり、特定の観念を生じないものというべきである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標の類否について検討するに、外観においては、本件商標は、「新卒採用の教科書」の文字からなり、引用商標は、「採用の教科書」の文字からなるところ、明確に看取されやすい語頭において、「新卒」の文字の有無という差異を有するものであることからすれば、この差異が、全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず、需要者が見間違えるものとは認め難いところであるから、外観上、判然と区別し得るものというのが相当である。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「シンソツサイヨウノキョウカショ」の称呼と、引用商標から生じる「サイヨウノキョウカショ」の称呼とは、明瞭に聴取される語頭において、「シンソツ」の音の有無という差異を有するものであるから、その差異音が、称呼全体に及ぼす影響は小さくなく、両者をそれぞれ一連に称呼したときは、音調、音感が異なり、聞き誤るおそれのないものというのが相当である。
また、観念においては、本件商標と引用商標とは、親しまれた既成の観念を生じないものであるから、観念上、比較することはできないものである。
以上のことからすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相違するものであるから、これらを総合して判断すれば、本件商標は、引用商標とは非類似の商標といわなければならない。
(4)小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似するものとは認められないものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用標章の周知性について
ア 申立人の提出した証拠によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)申立人は、社会保険労務士として、人材採用に関するコンサルティング事業を提供する者であり、2007年11月28日に「採用の教科書?採用・求人・面接の仕方マニュアル?」と題するウェブサイトを開設し、人材採用に関する情報の発信をしており、当該ウェブサイトのブログは、人気ブログランキングに入賞している(甲9?甲15)。
また、申立人は、2012年12月15日に、「新卒採用コンサルティング専門のブログ新卒採用の教科書」を開設した(甲16、甲17)。
これらのサイトの閲覧数は、合計で、「4,439,739」となっている(甲9)。
(イ)申立人は、2010年1月25日に、「採用の教科書」と題する書籍を出版し、2012年7月25日に、その続編となる「採用の教科書2」と題する書籍を出版し、さらに、2013年6月13日には、その第3作目となる「中途採用の教科書Q&A」と題する書籍を出版している(甲18、甲23、甲26)。
そして、これら当該書籍は、それぞれAmazonランキングにおいて、入賞しており、申立人の著書として、雑誌、チラシ及びテレビ等の各種媒体で紹介されている(甲19?甲22、甲24、甲25、甲27?甲41)。
イ 上記アのとおり、申立人は、本件商標の登録出願前に、我が国において、引用標章を表示したインターネットサイトにより、人事採用に関するコンサルティング事業の情報を発信し、2010年には、引用標章を表示した書籍を出版、販売し、該書籍の著者として、各種媒体に紹介されていることがうかがい知れ、また、引用標章を表示した書籍が、各種ランキングサイトに入賞していることが認められる。
しかしながら、申立人が提出した全証拠をみても、引用標章を表示した商品及び役務の取引の実情や広告宣伝活動等については、客観的・具体的な証拠がなく、引用標章の使用された実績を把握することができないものである。
また、各種ランキングにおいて、入賞実績が相当回数あるものの、該ランキングがどのような基準によるものかが明らかでないばかりか、各種部門に限定されており、極めて狭い需要者の範囲におけるランキングであって、これをもって、需要者の間に広く認識されているとはいい難い。
さらに、雑誌、チラシ及びテレビ等により、2011年(平成23年)から2016年(平成28年)の間に、引用標章に関する紹介がされていることはうかがえるものの、雑誌等においては、4年の間で、掲載された回数は、4回であり、テレビに関しては、1回のみ放映されたものであるから、決して多いとはいえず、加えて、引用標章が紹介されたチラシは、これらが作成された事実は認められるものの、その頒布された部数、頒布地域及び頒布の方法が不明であり、広告宣伝の地域、規模も明らかにされていないから、どれほどの範囲の需要者の目にふれたのか不明である。
そうすると、これらの証拠によって、引用標章が、需要者の間に広く知られているとはいい難いものである。
してみれば、かかる証拠のみによっては、引用標章が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務を表示するものとして、我が国の需要者の間で広く認識され周知になっていたと認めることはできない。
(2)出所の混同について
上記(1)のとおり、引用標章「採用の教科書」は、需要者の間において広く知られていたものとは認めることができないものであり、また、引用標章と同じ文字からなる引用商標が、本件商標とは非類似の商標であると判断した前記1と同様に、引用標章は、本件商標とは類似しない。
以上からすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が引用標章を連想又は想起することはなく、その商品が申立人あるいは申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 申立人の主張について
申立人は、本件商標の指定商品を取り扱う業界においては、本件商標の構成中、「新卒」の語は、商品の用途、品質等を表示するものとして認識し理解するにとどまるから、自他商品の識別力を有しないか又は極めて弱い部分であり、また、その構成中、「採用の教科書」の語は、申立人の業務を表示するものとして広く知られているものであるから、商品の出所識別標識としての機能を強く発揮するものであり、本件商標の構成中、「採用の教科書」の部分が、強く支配的な印象を与えるものといえる旨、主張している。
しかしながら、本件商標は、前記1(1)のとおり、外観上、まとまりよく一体的に看取、把握されるというのが相当であって、「新卒」と「採用の教科書」とに分離し、後半の文字部分のみが、自他商品の識別標識として機能するものとみるべき合理的な理由はなく、その証拠の提出もない。
また、前記2(1)のとおり、「採用の教科書」の文字が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務を表示するものとして、我が国の需要者の間で広く認識され周知になっていたと認めることはできない。
よって、本件商標の要部が「採用の教科書」であるということはできず、これに接する需要者が、「採用の教科書」の文字部分のみに着目し、該文字部分のみを記憶するということもいえないから、申立人の上記主張は、採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-02-02 
出願番号 商願2016-44181(T2016-44181) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W0916)
T 1 651・ 261- Y (W0916)
T 1 651・ 271- Y (W0916)
T 1 651・ 263- Y (W0916)
最終処分 維持 
前審関与審査官 矢澤 一幸 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 榎本 政実
大井手 正雄
登録日 2016-07-22 
登録番号 商標登録第5868582号(T5868582) 
権利者 株式会社ビジネスリサーチラボ
商標の称呼 シンソツサイヨーノキョーカショ、シンソツサイヨー、キョーカショ 
代理人 弁護士法人 ベリーベスト法律事務所 
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