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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W0305 |
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管理番号 | 1325077 |
異議申立番号 | 異議2016-900300 |
総通号数 | 207 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2017-03-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-09-20 |
確定日 | 2017-02-02 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5860297号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5860297号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5860297号商標(以下「本件商標」という。)は、「ヴィーナススパ」の文字を標準文字により表してなり、平成27年10月27日に登録出願、第3類「かつら装着用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つけまつ毛用接着剤,つや出し剤,香料,芳香剤(身体用のものを除く。),その他の薫料」及び第5類「薬剤(農薬に当たるものを除く。),医療用試験紙,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒,おむつ,おむつカバー,防虫紙,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品」を指定商品として、同28年4月5日に登録査定、同年6月24日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第15号該当性 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、「Venus Spa」の文字と「ヴィーナススパ」の文字を二段に横書きしてなり、第3類「化粧品」を指定商品とする登録第5010138号商標及び商標中に「Venus Spa」の文字を含み、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品とする登録第5038263号商標を有している(甲2、甲3)。そして、これら登録商標に類似する「VENUS SPA」の文字よりなる商標(以下「申立人商標」という。)は、申立人の業務に係る商品「化粧品」を表示するものとして、その需要者の間に広く認識され、周知著名度の高まりにより、化粧品の範囲を超える広い範囲まで業務上の信用が化体されてきている(甲4?甲7)。 このような状況において、本件商標の商標権者が本件商標をその指定商品について使用するときは、需要者が、該商品について、申立人の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (2)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。 3 当審の判断 (1)申立人商標の著名性について ア 申立人の提出した証拠(各項の括弧内に掲記)によれば、以下の事実を認めることができる。 (ア)申立人は、その業務に係る商品「香水類、頭髪用化粧品、日焼け止め化粧品、身体用化粧品、せっけん類」(以下「申立人商品」という場合がある。)について、2008年(平成20年)7月頃から少なくとも2016年(平成28年)1月まで継続して、申立人商標を使用してきた(甲4、甲7)。 (イ)申立人商品は、2011年(平成23年)7月頃から2015年(平成27年)12月にかけて、若い女性を主な読者層とする多くの雑誌(VOCE、NAIL MAX、WWDBeauty、bea’sUP等)に掲載、紹介され(甲5)、また、様々なウェブサイト(MERY、マイナビウーマン等)にも掲載、紹介された(甲6)。 (ウ)申立人商品は、2008年(平成20年)7月から2009年(平成21年)6月までに合計118,124本出荷され、2009年(平成21年)7月から2010年(平成22年)6月までに合計306,949本、2010年(平成22年)7月から2011年(平成23年)6月までに合計468,726本、2011年(平成23年)7月から2012年(平成24年)6月までに合計361,203本、2012年(平成24年)7月から2013年(平成25年)6月までに合計369,407本、2013年(平成25年)7月から2014年(平成26年)6月までに合計379,886本、2014年(平成26年)7月から2015年(平成27年)6月までに合計374,709本、2015年(平成27年)7月から2016年(平成28年)1月までに合計73,373本がそれぞれ出荷(出荷後の返品数を含む。)された(甲7)。 (エ)申立人は、申立人商品について、本件商標の登録出願日(平成27年10月27日)前より、申立人商標を表示したカタログを発行していた(甲8)。 イ 前記アで認定した事実に照らすと、申立人商標は、申立人の業務に係る商品「香水類、頭髪用化粧品、日焼け止め化粧品、身体用化粧品、せっけん類」を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日(平成28年4月5日)の時点において、化粧品を取り扱う分野の、特に若い女性を中心とする需要者の間においては、一定程度知られていたものと認めることができる。 しかし、申立人商品が掲載、紹介された雑誌は、その多くは購読者が比較的限定されているばかりか、申立人が申立人商品について大々的に宣伝広告をしたというものではなく、多数掲載されている化粧品の一つとして掲載されていたにすぎないものであって、また、インターネットにおける情報にしても、これらの情報に接するためには、ある程度意識的に検索する必要があると考えられ、インターネットが普及している今日の取引社会の実情を考慮しても、多くの需要者が常にインターネットに掲載された申立人商品に接していたというものでもない。 さらに、申立人商品の出荷数量(出荷後の返品数を含む。)は、前記ア(ウ)に記載の数量であったとしても、当該数量が、化粧品の出荷数量として多いのか少ないのか、他の比較データの提出がなく周知・著名性を認定する証拠としては不十分であるといわざるを得ないし、また、申立人商品の掲載されたカタログは、その発行部数や頒布地域等も明らかではない。 したがって、申立人商標は、我が国の取引者・需要者の間において広く認識されていたものとまでは認めることはできず、著名性が高いものであったとはいえない。 (2)本件商標と申立人商標との類似性 本件商標は、前記1のとおり、「ヴィーナススパ」の文字を標準文字で表してなるものである。 これに対して、申立人商標は、「VENUS SPA」の文字よりなるものである。 してみると、両商標は、一方が英単語「VENUS」と「SPA」の2語の組み合わせよりなるものであり、他方がその片仮名表記であるから、いずれもその構成文字より「ヴィーナススパ」の称呼を生ずるものであり、「VENUS」、「ヴィーナス」と「SPA」、「スパ」の同一の2語の組み合わせという構成上の特徴に印象付けられるというべきであって、観念上明確に相違するというものでもない。 そうすると、両商標は、たとえ外観において相違するとしても、その差異は、両商標の類否を判断するうえで、大きな影響を及ぼすものとはいえないから、両商標を総合的に考察すると、その類似性の程度は高いというべきである。 (3)両商標が使用される商品の関連性 本件商標は、前記1のとおり、第3類及び第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とするものであり、医療従事者を需要者とする商品を含むほか、薬局等で販売され、一般の消費者を需要者とする商品も多く含むものである。他方、申立人商品は、若い女性を中心とした一般の消費者を主たる需要者とするものである。 してみると、本件商標の指定商品と申立人商品とは、その販売場所・需要者等を共通にする場合もあるといえる。 しかし、「化粧品」は、「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。」(医薬品、医療機器等法(昭和35年法律第145号)第2条第3項)ところ、本件商標の指定商品にある各種ののりや接着剤、芳香剤といった日用品、薬剤、医療補助品に類する商品等とは、商品の性質、用途、目的、効能、使用方法等において明確に異なるものであり、需要者においても異なる商品として区別しているものといえる。 (4)以上を総合すると、申立人商標は、化粧品を取り扱う分野において、若い女性を中心とする需要者には、一定程度知られていたものと認めることができるが、その周知性の範囲は、化粧品の分野を越えるものとはいえず、商品の性質、用途、目的、効能、使用方法等において明確に異なる本件商標の指定商品の分野にまで及ぶものとは認めることはできない。 そうすると、本件商標と申立人商標との類似性が高く、かつ、両商標が使用される商品の需要者・販売場所等が共通する場合があることを考慮しても、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、これに接する需要者をして、該商品が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2017-01-24 |
出願番号 | 商願2015-103626(T2015-103626) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W0305)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 平松 和雄 |
特許庁審判長 |
青木 博文 |
特許庁審判官 |
板谷 玲子 原田 信彦 |
登録日 | 2016-06-24 |
登録番号 | 商標登録第5860297号(T5860297) |
権利者 | エステー株式会社 |
商標の称呼 | ビーナススパ、ビーナス、スパ |
代理人 | 田辺 恵基 |