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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W16
審判 全部申立て  登録を維持 W16
審判 全部申立て  登録を維持 W16
審判 全部申立て  登録を維持 W16
審判 全部申立て  登録を維持 W16
管理番号 1325076 
異議申立番号 異議2016-900274 
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-03-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-09-01 
確定日 2017-01-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第5855858号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5855858号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5855858号商標(以下「本件商標」という。)は,「sabrmetrics」の欧文字と「セイバーメトリクス」の片仮名を上下二段に横書きしてなり,平成27年10月2日に登録出願,平成28年5月2日に登録査定がされ,第16類「雑誌,スポーツ雑誌,定期刊行物」を指定商品として,同年6月3日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は商標法第3条第1項第3号,同項第6号,同法第4条第1項第7号,同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証を提出した。
1 商標法第3条第1項第3号及び同項第6号違反について
(1)「sabrmetries」は,アメリカ野球学会(Society for American Baseball Research)の略称である「SABR」と,「測定方法」「分析法」を意味する英語の「metrics」からなる造語であり,「統計的手法を用いた野球データの分析法」の意味を有する語として,一般的に広く使用されている。
(2)我が国においても,同様の意味合いで,一般のプロ野球ファンにも知られており,スポーツ雑誌,定期刊行物を取り扱う業界において,「野球の成績指標・統計を分析する手法」それ自体を表示するものとして普通に使用されている事実がある。
(3)「セイバーメトリクス」をその題号に採用している雑誌(甲5)や「セイバーメトリクス」をタイトルに使用した書籍も多数出版されているほか,副題に使用した書籍も多数存在する。
(4)以上に照らすと,本件商標をその指定商品中「雑誌,スポーツ雑誌,定期刊行物」に使用しても,これに接する取引者,需要者は,単にその商品である雑誌や定期刊行物が,当該商品において「セイバーメトリクス」つまり統計的手法を用いた野球分析がテーマとなっていると認識するにとどまる。よって,商標法第3条第1項第3号に該当する。
また,「セイバーメトリクス」を表題とする刊行物が多数出版されている事実に鑑みれば,これら刊行物の表題においては自他商品識別機能は何ら発揮されず,出所表示機能も何ら有していないというべきであるから,「セイバーメトリクス」に接した需要者が,これをもって何人かの業務に係る商品であることを認識することはできないものというべきである。よって,商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号違反について
(1)本件商標の一部をなす「SABR」は,アメリカ野球学会の略称であることは広く知られている。
アメリカ野球学会は,世界最大かつ最も有名な野球研究団体であり,日本の一般的なスポーツ雑誌にも紹介されている。そして,1998年当時には日本を含めて全世界に7000人近い会員を持ち,日本においても,野球ファン,野球を扱うメディア関係者,野球の運営に関わる者らの間では広く知られている。
したがって,本件商標からは,少なくともスポーツに関連した定期刊行物の読者等の需要者においては,「アメリカ野球学会による統計的分析手法」という意味が生じる。
アメリカ野球学会は日本にも支部があるうえ,日本の会員にもニュースレターの送付,年1回発行の調査・研究論文集「ベースボール・リサーチ・ジャーナル」が送付されている。
(2)そうすると,前述のとおり,「アメリカ野球学会による統計的分析手法」という意味が生じる本件商標「sabrmetrics」が,指定商品である「雑誌,スポーツ雑誌,定期刊行物」に使用されるならば,出所の混同が生じ,アメリカ野球学会の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれが生じることは明らかである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反する。
3 商標法第4条第1項第19号違反について
(1)「sabrmetrics」は,アメリカ野球学会に由来する野球統計データの分析手法として,日本国内においても,少なくとも野球に関心を持つ需要者,すなわちスポーツ関係の定期刊行物の読者等の需要者の間で広く認識されているから,少なくとも日本及び米国における前記需要者には,「アメリカ野球学会による統計的分析手法」という意味が生じる。
(2)以上に照らせば,「sabrmetrics」及び「セイバーメトリクス」は,「アメリカ野球学会」の業務に係る役務(野球に関する統計的分析という役務)を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標であり,本件商標はこれと同一又は類似の商標である。
(3)本件商標権者と関係があると思われる団体は,アメリカ野球学会の許可なく「日本セイバーメトリクス協会」を自称し,本件商標よりもSABRの部分を殊更強調して目立たせるなど,「SABR」を使用する何らかの正式な独占的権利を有するかのように,アメリカ野球学会の研究成果である「sabrmetrics」について自社の独占的権利があるかのような外観を作出し,他者の使用を抑圧している。
(4)本来,本件商標権者の信用や役務の出所が何ら化体していない「sabrmetrics」の商標につき,当該商標が化体する信用や役務の出所であるアメリカ野球学会をさて置き,自身が独占権を不当に主張し,分析手法の名称として広く開放しているアメリカ野球学会の意図に反して「sabrmetrics」の使用を排除するものであって,正に「不正の目的」をもって使用をするものと評価できることは明らかであるから,商標法第4条第1項第19号に該当する。
4 商標法第4条第1項第7号違反について
(1)本件商標権者による本件商標の登録は,世界最大かつ最も有名な野球研究団体の信用・著名性や権威にただ乗りする,いわゆるフリーライドである。そして,定期的な研究活動がなされる中での定期刊行物はその学術団体の象徴的存在であり,雑誌や定期刊行物を指定商品として,アメリカ野球学会の名称と分析法が組み合わされた本件商標の出願をなす行為は,正に学術団体の信用にフリーライドする意図を明らかに示すものである。
(2)本件商標権者は,「sabrmetrics」を選択し,より端的にSABRの略称を含み,SABRとの関連を意識させることを本件商標権者が意図したものであると推認される。
(3)そして,本件商標権者はそのウェブサイトにおいて,自身の信用を化体するという要素は微塵もないにもかかわらず,アメリカ野球学会とその研究成果である「sabrmetrics」について自社の独占的権利があるかのような外観を作出し,他者の使用を抑圧するなどの挙に出て,アメリカ野球学会の信用・著名性や権威にただ乗りする,いわゆるフリーライドであることを疑いの余地がないほどに明らかにしている。
(4)以上をまとめると,「sabrmetrics」について本件商標権者自身の信用や出所が化体しているという要素が全くないこと,むしろこれがアメリカ野球学会やその分析法を表象するものであること,さらには商標権者が他者の「sabrmetrics」の使用をすでに抑圧しようとしていること等の事実を総合的にみれば,本件商標権者による本件商標の登録は,明らかに公序良俗に反するものであって,商標法第4条第1項第7号に違反する。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同項第6号該当性について
(1)本件商標は,「sabrmetrics」の欧文字と「セイバーメトリクス」の片仮名を上下二段に横書きしてなるところ,欧文字部分と片仮名部分は,それぞれ,同じ書体,同じ大きさ及び等間隔にて両端をそろえて横一列にまとまりよく表されてなるものであり,いずれの部分からも生じる「セイバーメトリクス」の称呼も,よどみなく一連に称呼できる。
さらに,申立人の提出に係る証拠によれば,「sabrmetrics(セイバーメトリクス)」の語は,アメリカ野球学会(Society for American Baseball Research)の略称である「SABR(セイバー)」と,「測定基準」を意味する「metrics(メトリクス)」とを組み合わせた造語であって,1970年代に,野球ライターで野球史研究家であったビル・ジェイムスによって提唱された「野球の試合をその数値データから客観的に分析し,選手の評価や戦略を研究する手法」や「統計的手法を用いた野球データの分析法」程の意味合いを表す語として,我が国においても,本件商標の登録出願時及び登録査定時には既に,野球に関するスポーツ雑誌や定期刊行物でも一般に使用されていたものと認められるから(甲2?10,13?20),本件商標を構成する「sabrmetrics」及び「セイバーメトリクス」の語は,本件商標の指定商品中「野球に関するスポーツ雑誌及び定期刊行物」に係る取引者,需要者には,それぞれ,上述程度の意味合いを表す語として認知されていたものとみるのが相当であり,また,上記商品以外の指定商品に係る取引者,需要者には,それぞれ,特定の意味合いを生じない一種の造語として認識されるものとみるのが相当である。
したがって,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,本件商標は,たとえ,その構成中に,「SABR」及び「セイバー」の文字を有しているとしても,その指定商品に係る取引者,需要者に,アメリカ野球学会の業務に係る商品又は役務を表示する語と認識されるおそれはないというべきである。
(2)申立人は,本件商標を構成する「sabrmetrics(セイバーメトリクス)」の文字が,「統計的手法を用いた野球データの分析法」の意味を有する語として一般に広く使用されているから,雑誌,定期刊行物に使用しても,統計的手法を用いた野球分析がテーマとなっていると認識するにとどまる旨主張する。
しかしながら,本件商標から「野球の試合をその数値データから客観的に分析し,選手の評価や戦略を研究する手法」や「統計的手法を用いた野球データの分析法」程の意味合いを認識させるとしても,その指定商品は第16類「雑誌,スポーツ雑誌,定期刊行物」であり,かかる商品は出版社ごとにその内容が毎号異なることから,直ちにその商品の品質(内容)を表示するものとまではいえず,本件商標は,その指定商品に使用した場合,特定の商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ということはできない。また,「sabrmetrics(セイバーメトリクス)」の語のみで商品に関する内容を記述的,一般的に説明したりする用語というほどに広く一般に使用されているとまではいえず,その指定商品の需要者等において,他人の業務に係る同種商品と識別できるというのが相当であるから,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいうことはできない。その他,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標ということもできない。
(3)したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に違反して登録されたものではない。
2 商標法第4条第1項第15号及び同項第19号該当性について
前記1(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,本件商標を構成する「sabrmetrics」及び「セイバーメトリクス」の語は,本件商標の指定商品中「野球に関するスポーツ雑誌及び定期刊行物」に係る取引者,需要者には,それぞれ,「野球の試合をその数値データから客観的に分析し,選手の評価や戦略を研究する手法」や「統計的手法を用いた野球データの分析法」程の意味合いを表す語として認識されるものとみるのが相当であり,また,上記商品以外の指定商品に係る取引者,需要者には,それぞれ,特定の意味合いを生じない一種の造語として認識されるものとみるのが相当であるから,本件商標は,たとえ,その構成中に,「SABR」及び「セイバー」の文字を有しているとしても,その指定商品に係る取引者,需要者に,アメリカ野球学会の業務に係る商品又は役務を表示する語と認識されるおそれはないというべきである。
その他,申立人が提出した全証拠によっても,本件商標の登録出願時において,本件商標を構成する「sabrmetrics」及び「セイバーメトリクス」の語が,アメリカ野球学会の業務に係る商品又は役務を表示するものとして,日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていたことを認めるに足りる証拠はない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものではない。
3 商標法第4条第1項第7号該当性について
前記1(1)のとおり,本件商標は,その構成中に「sabr」及び「セイバー」の文字を含むとしても,「sabrmetrics」及び「セイバーメトリクス」は,それぞれ,「野球の試合をその数値データから客観的に分析し,選手の評価や戦略を研究する手法」や「統計的手法を用いた野球データの分析法」程の意味合いを表す語として,あるいは,特定の意味合いを生じない一種の造語として認識されるものであって,「sabr」及び「セイバー」の文字部分のみが独立して把握,認識されるものではないから,申立人のいう,本件商標の使用がアメリカ野球学会の略称である「SABR」に蓄積された名声や信用にフリーライドし,それらを毀損させるものとはいえない。
さらに,本件商標は,その構成自体がきょう激,卑わい,差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではないし,その使用が他の法律によって禁止されているものとも認めることはできず,本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くと認めるべき事情があるものと認めることはできない。
その他,本件商標が,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とみるべき理由があると認めるに足りる証拠は見出せない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものではない。
4 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第3条第1項第3号,同項第6号,同法第4条第1項第7号,同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-01-19 
出願番号 商願2015-95639(T2015-95639) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W16)
T 1 651・ 16- Y (W16)
T 1 651・ 22- Y (W16)
T 1 651・ 222- Y (W16)
T 1 651・ 13- Y (W16)
最終処分 維持 
前審関与審査官 宗像 早穂 
特許庁審判長 堀内 仁子
特許庁審判官 小林 裕子
田村 正明
登録日 2016-06-03 
登録番号 商標登録第5855858号(T5855858) 
権利者 小池 正人
商標の称呼 セイバーメトリクス、セーバーメトリクス、サブルメトリクス、サブルメトリックス、エスエイビイアアルメトリクス、エスエイビイアアルメトリックス 
代理人 井上 敬也 
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