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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W03
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W03
管理番号 1325065 
異議申立番号 異議2016-900091 
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-03-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-04-14 
確定日 2017-01-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5821248号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5821248号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5821248号商標(以下「本件商標」という。)は,「HERBAL EXTRACT」の文字を標準文字で表してなり,平成27年5月15日に登録出願,同年12月25日登録査定,第3類「せっけん類,化粧品,香料,薫料」を指定商品として,同28年1月22日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由
商標異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標について,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから,その登録は,取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第13号証を提出した。
本件商標は,「ハーブエキス」の意味を有する英語であり(甲1及び甲2),「ハーブエキス」の語が,化粧品をはじめとする第3類の商品の原材料を表す語として理解されている(甲3ないし甲9)。
また,本件指定商品においては,本件商標の「HERBAL」の語を名詞にした「HERB EXTRACT」の語が,「ハーブエキス」を意味する語として使用され,理解されている(甲10及び甲11)。
本件商標も,「ハーブエキス」の意味を有する語として,化粧水,化粧石鹸等の本件指定商品に使用され,理解されているから,本件商標からは,「ハーブエキス」を直感するものである(甲12及び甲13)。
すなわち,本件商標は,これをその指定商品に使用するときは,「ハーブエキスを原材料とした商品」であることを直感させ,単に商品の品質を表す標章にすぎないものである。
また,本件商標を上記商品以外の本件指定商品に使用するときは,あたかもその商品が「ハーブエキスを原材料とした商品」であるかのごとく直感させ,その商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。

第3 当審における取消理由
当審において,本件商標権者に対して平成28年9月29日付けで通知した取消理由の内容は,以下のとおりである。
1 「HERBAL EXTRACT」の文字について,申立人が提出した証拠によれば,以下のとおりである(下線は合議体による。)。
(1)「Weblio」のウェブサイト(甲1)において,「Herbal extract」の項に,「主な意味」として「ハーブエキス」の記載がある。
(2)「アルク」のウェブサイト(甲2)において,「herbal extracts」の項に,「ハーブ抽出物[エキス]」の記載がある。
(3)「@cosme」のウェブサイト(甲3)において,2008年4月1日発売の「ラ・カスタ アロマエステ ヘアソープ/ヘアマスク35」が掲載されており,「商品情報詳細」の「アイテムカテゴリ」に「シャンプー・コンディショナー」,「商品説明」に「リニューアル新発売 ヘアソープは傷んだ髪をアミノ酸系洗浄成分がやさしく洗い上げ,オーガニック植物成分はじめハーブエキスが髪と頭皮ケアをしながら,・・・。ヘアマスクはパーマやヘアカラー等で特に傷んだ髪を,オーガニック植物成分やハーブエキス,アボカドオイル,シアバター等が補修・保護し,・・・。」の記載がある。
(4)「@cosme」のウェブサイト(甲4)において,2009年10月16日発売の「ジュリーク/ボディケアローション ジャスミン」が掲載されており,「商品情報詳細」の「アイテムカテゴリ」に「ボディローション・ミルク」,「商品説明」に「ジャスミンの精油と11種のハーブエキス,3種の植物オイルを贅沢に配合。」の記載がある。
(5)「@cosme」のウェブサイト(甲5)において,2014年9月10日発売の「MiMCエムアイエムシー ビューティービオファイター ピュアフルーティー」が掲載されており,「商品情報詳細」の「アイテムカテゴリ」に「化粧水」,「商品説明」に「温泉水×10種のフルーツエキス×2種の発酵エキス×6種のハーブエキスで肌を健やかに保ちます。」の記載がある。
(6)「@cosme」のウェブサイト(甲6)において,2014年4月1日発売の「ウテナ/薬用スキンコンディショナークリーム」が掲載されており,「商品情報詳細」の「アイテムカテゴリ」に「フェイスクリーム」,「商品説明」に「ハトムギ&ハーブエキス(保湿成分)配合,乾燥・突発的なニキビ・肌あれなどの肌トラブルから肌をしっかり守る薬用クリーム。」の記載がある。
(7)「@cosme」のウェブサイト(甲7)において,2014年1月15日発売の「フラガール フラガール カラートリートメント」が掲載されており,「商品情報詳細」の「アイテムカテゴリ」に「ヘアパック・トリートメント」等,「商品説明」に「トリートメントしながら白髪を徐々に染めるカラートリートメント。・・・ノンシリコン・ノンパラベン,オーガニック認証を受けたハーブエキスを5種類配合(ローズマリー,アルテア,セージ,タチジャコウソウ,ラベンダー)し,髪を優しく整え,健やかに保ちます。」の記載がある。
(8)「@cosme」のウェブサイト(甲8)において,2003年4月5日発売の「ハウスオブローゼ ハーバルクレイ パック」が掲載されており,「商品情報詳細」の「アイテムカテゴリ」に「洗い流すパック・マスク」,「商品説明」に「無理なくすっきり汚れを落とすパック。・・・6種のハーブエキスが,肌をいたわりながらひきしめ,うるおいのあるなめらかな肌に整えます。」の記載がある。
(9)「@cosme」のウェブサイト(甲9)において,2015年2月2日発売の「サンカット(コーセーコスメポート)日やけ止めジェル35」が掲載されており,「商品情報詳細」の「アイテムカテゴリ」に「日焼け止め(顔用)」等,「商品説明」に「日やけによるシミ・ソバカスを防ぎます。ヒアルロン酸GLや10種のハーブエキス,さらさらパウダーを配合し,乾燥や肌あれを防ぎ,みずみずしいぷるるん素肌に導きます。」の記載がある。
(10)「ringa ringa soap」のウェブサイト(2016年5月12日印刷,甲10)において,「手作りコスメ材料 有効成分 -Handmade Cosmetics」の見出しのもと,「ハーブエキス -Herb extact-」について「手触りが変わるハーブのパワー。ハーブの有効成分を抽出した植物エキスで,抽出度の高い,高品質のハーブエキスです。手作り化粧品に,ほんの少し加えるだけでお使いいただけます。」,「ハーブエキスの魅力。」,「ハーブエキス一覧・・・化粧水やクリーム,美容液作りに,ハーブエキスでワンランクアップさせてください。」及び「ハーブエキスの使い方。」について説明が掲載され,6葉目には「おかげさまで16周年目を迎えました。」の記載がある。
(11)「香栄興業株式会社」のウェブサイト(2016年5月12日印刷,甲11)において,「化粧品原料」が各種掲載されており,「オーガニックシリーズ」の項に「オーガニックハーブエキス NATURAL ORGANIC Organic Herb Extract」の記載がある。
(12)上記によれば,「HERBAL EXTRACT」の欧文字は,「ハーブエキス,ハーブ抽出物(エキス)」を意味するものであって((1)及び(2)),「ハーブエキス」は,「化粧品」の原料に用いられ((10)及び(11)),本件指定商品中の「せっけん類」に含まれる「ヘアソープ(シャンプー)」,「化粧品」に含まれる「へアマスク(コンディショナー),ボディケアローション(ボディローション),化粧水,薬用スキンコンディショナークリーム(フェイスクリーム),カラートリートメント(ヘアトリートメント),パック(洗い流すパック),日やけ止めジェル(日焼け止め)」等の商品の成分の一つとして配合されているものと認められる((3)ないし(9))。
そうすると,「HERBAL EXTRACT(ハーブエキス)」の文字は,「せっけん類,化粧品」に相当する商品の取引者,需要者の間において,本件商標の登録査定時には,その商品に配合されている成分を表すものとして理解,把握されていたものということができる。
2 職権調査について
(1)「廣川 香粧品事典」(平成4年10月1日第1刷,株式会社廣川書店発行)の「香料」の項には「著しい芳香を有する有機物で,香粧品やし好品などに香気を与えるために用いる.製法により合成香料,天然香料(動物性と植物性香料)に分類され,数千種の多きに達している.」の記載がある。
(2)ウェブサイト「ハーブのホームページ」において,「ハーブ 精油成分」に「1.ハーブの精油成分一覧」が掲載されており,「ジャスミン」,「ペパーミント」,「レモングラス」及び「ローズセラニューム」の「精油の効果」に「香料」の記載がある(http://www.myherb.jp/main/contents/aroma/seiyu.html)。
(3)上記(1)及び(2)によれば,本件指定商品中の「香料」は,香粧品やし好品などに香気を与えるために用いられる商品であって,植物性香料であるハーブの「ジャスミン」,「ペパーミント」,「レモングラス」及び「ローズセラニューム」等に含まれる精油成分は,「香料」に効果があるとされている。
そうすると,「HERBAL EXTRACT(ハーブエキス)」の文字は,「香料」及びこれに類似する「薫料」の商品との関係において,香気を与えるために用いられる精油成分を表すものとして理解,把握されるものということができる。
3 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は,「HERBAL EXTRACT」の欧文字を標準文字で表してなるところ,その構成中の「HERBAL」の欧文字は,「草の,薬草の」等を意味する英語であり,「EXTRACT」の欧文字は,「抽出された,濃縮物,エキス」等の意味を有するそれぞれよく知られた英語であるから,「HERBAL EXTRACT」の欧文字からは,薬草の抽出物である「ハーブエキス,ハーブ抽出物(エキス)」の意味合いを理解,認識させるものである。
また,「HERBAL EXTRACT」の文字が上記意味合いを表すものであることは,インターネットにも掲載されている(前記1(1)及び(2))。
そして,「ハーブエキス」は,前記1及び2のとおり,「せっけん類,化粧品」に配合され,「香料,薫料」には香気を与えるためにハーブが用いられているものであるから,これらの商品の取引者,需要者の間において,その成分を表すものとして理解,把握されていたものといえる。
そうすると,「HERBAL EXTRACT」の文字からなる本件商標は,その指定商品中,「ハーブエキスを配合した化粧品,せっけん類,香料,薫料」に使用した場合,商品の品質,原材料を表したものと認識させるにすぎないものであるから,本件商標は,上記商品の品質,原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められる。
したがって,本件商標は,その指定商品中の「ハーブエキスを配合した化粧品,せっけん類,香料,薫料」について使用するときは,商標法第3条第1項第3号に該当し,それ以外の「化粧品,せっけん類,香料,薫料」に使用するときは,商品の品質について誤認を生じるおそれがあるから,同法第4条第1項第16号に該当する。

第4 本件商標権者の意見
前記第3の取消理由に対し,本件商標権者は何ら意見を述べるところがない。

第5 当審の判断
本件商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性についてした前記第3の取消理由は,妥当なものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-12-01 
出願番号 商願2015-45957(T2015-45957) 
審決分類 T 1 651・ 13- Z (W03)
T 1 651・ 272- Z (W03)
最終処分 取消  
前審関与審査官 赤星 直昭 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 田中 亨子
板谷 玲子
登録日 2016-01-22 
登録番号 商標登録第5821248号(T5821248) 
権利者 株式会社生活の木
商標の称呼 ハーバルエクストラクト、ハーバルエキストラクト、ハーバル、エクストラクト、エキストラクト 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 浜田 廣士 
代理人 工藤 莞司 
代理人 黒川 朋也 

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