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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W35 |
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管理番号 | 1325020 |
審判番号 | 取消2015-300886 |
総通号数 | 207 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2017-03-31 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2015-12-07 |
確定日 | 2017-02-06 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5519777号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5519777号商標の指定役務中,第35類「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」については,その登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5519777号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成24年3月29日に登録出願,第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,広告用具の貸与,燃料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同24年9月7日に設定登録されたものである。 なお,本件審判の請求の登録は,同27年12月21日にされたものである。 また,本件審判の請求の登録前3年以内の期間である同24年12月21日から同27年12月20日までの期間を,以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は,結論同旨の審決を求め,審判請求書及び弁駁書において,その理由及び答弁に対する弁駁等を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証(枝番を含む。)を提出した。 1 請求の理由 本件商標は,その指定役務中,第35類「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」(以下「取消請求役務」という場合がある。)について,継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが登録商標を使用していない。よって,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 2 答弁に対する弁駁 (1)被請求人が,最終需要者に対して本件商標を表示する行為 甲第1号証の1ないし3及び乙第1号証ないし乙第6号証において,被請求人は,被請求人の系列SSが最終需要者に対して販売するガソリンの販促を目的として,当該ガソリン及びその販促キャンペーンに関する情報を最終需要者に紹介している。販売されているガソリンの出所は,すべて元売である被請求人であり,それらガソリンはすべて被請求人のブランドのもとで販売される。このように,販促を目的として自社の商品又はその販促キャンペーンを最終需要者に紹介する行為が商標法上の役務としての「商品の販売に関する情報の提供」に該当しないことは,最高裁判決(平成21年(行ヒ)217)が判示するところである。 (2)被請求人が加盟特約店に対して本件商標を表示する行為 被請求人によるこれらの行為は,自社が元売として供給するガソリン等の燃料(以下,単に「ガソリン」)の促進のみを目的としており,その範囲を超えて,商標法上の役務としての「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」に該当することはない。 ア 乙第7号証ないし乙第9号証の配布対象 乙第7号証のリスト最上部の見出しに「加盟特約店さま一覧」と記載されていることから分かるように,乙第7号証ないし乙第9号証は,加盟特約店を対象として配布されている。 イ 被請求人による本件商標の使用目的 被請求人は,ガソリンの元売として,系列特約店に対し乙第7号証ないし乙第9号証を配布して,「コスモビークルライフ」というガソリン販促キャンペーンへの協力を推奨している。とはいえ,このキャンペーンは元売であるコスモ石油株式会社(以下「コスモ石油」という。)である被請求人が主導し,全系列SSにおいて適用されるため,系列特約店は,キャンペーンを積極的に宣伝し発信するか否かを選択することはできても,最終需要者に対するガソリン購入代金の一部キャッシュバック等のキャンペーン内容の実施を拒否することはできない。また,元売である被請求人が系列特約店に販売するガソリンの仕切価格(卸売価格)には,予め「コスモビークルライフ」のキャンペーンに要する費用が上乗せされている。そして,被請求人が主導するこのキャンペーンに関する限り,系列特約店は,取り扱うガソリンの全量を元売である被請求人から購入しなければならず(系列玉),他のルートから廉価な業転玉を仕入れて小売することは,被請求人との特約店契約で禁じられている。結局,系列特約店は,このキャンペーンが売上に貢献するか否かにかかわらず,元売との間の特約店契約に基づき,法的拘束力によって「コスモビークルライフ」のキャンペーン実施を甘受させられている。 乙第7号証ないし乙第9号証の内容は,被請求人が系列特約店に「コスモビークルライフ」のキャンペーンへの参加を推奨しているのではなく,キャンペーンへの参加が法的拘束力により強制されている状況で,より積極的にキャンペーンを宣伝・発信することを推奨するものである。このキャンペーンで販売されるガソリンの出所はすべて被請求人であり,キャンペーンによって系列SSでガソリンの販売量が増加すれば,必然的に元売である被請求人の売上が増加するからである。 また,被請求人は,系列特約店のために「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」等の役務(いわゆるビジネスコンサルティングやマーケティングに関する役務)を提供していると主張する。 しかし,被請求人は,元売である自社ガソリンの販促という目的の範囲内で,特約店契約による法的な拘束力に基づき,系列特約店を「コスモビークルライフ」というキャンペーンに参加させているのである。この行為は,甲第2号証の最高裁判決が判示するところの「商業等に従事する企業の管理,運営等を援助する性質を有する役務」にも,通説とされる役務の定義である「他人のためにする労務又は便益であって,独立して商取引の目的たりうべきもの」にも該当し得ない。 さらに,乙第7号証ないし乙第9号証においては,ガソリンの販促キャンペーン名「コスモビークルライフ」が販促物中で言及されているにすぎず,ガソリンの小売等役務を超えて,その他の役務について使用されたと解釈する余地はない。たとえば,被請求人は,これまでに,自社ガソリンの販促のため,他社との共同キャンペーンにおいて,他社の広く知られた商標「ドラえもん」,「MINISTOP」,「AEON」等を使用している(甲10ないし甲12)。当然,被請求人は,これらの販促活動を系列特約店にも推奨し,これらの他社商標が掲載された販促資料を系列特約店に配布しているはずである。この場合,もしも本件審判における被請求人の主張に従えば,被請求人は,広く知られた他社のこれら商標を,自社系列の特約店のために提供する「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」という役務について使用していたことになり,明らかに具体的妥当性を欠く。 (3)まとめ 以上のとおり,乙第1号証ないし乙第9号証によっては,本件商標が「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」について使用されたことが立証されていないため,これら役務について本件商標登録は取消を免れない。 第3 被請求人の主張 被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とするとの審決を求める,と答弁し,その理由を,答弁書において,要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証(枝番を含む。)を提出した。 1 答弁の理由 本件商標は,以下のとおり,被請求人(商標権者)により,指定商品中の「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」について,要証期間内に使用されている。 (1)商標の使用の事実について ア 乙第1号証は,被請求人(以下「本件商標権者」という)の販売部から各支店宛に送られた2013年11月6日付の通知であり,キャンペーンの実施について周知させることを目的とした資料である。その中で,2013年11月11日から2014年1月10日の間,特定の会員に対して給油量に応じた応募口数を基にキャッシュバックを行うことが示されている。また,乙第2号証は当該キャンペーンの内容を需要者に告知するために作成されたCMのキャプチャ画像である。CMの冒頭では,本件商標と社会通念上同一の商標が映り,キャンペーンの告知が行われた。そして資料の最後には「PC・携帯で給油価格が確認できる」と表示され,本件商標権者が燃料等について「商品の販売に関する情報の提供」を行っている。 イ 乙第3号証は,本件商標権者が各支店宛に2014年3月14日宛に通知された説明会実施の案内に関するものである。これによれば同3月24日に当該説明会が開催されたことがわかる。 乙第4号証は当該説明会で使用する資料として配布されたものである。本件商標権者のサービスステーションを利用する第三者である特定会員(法人及び個人)に対し,「コスモビークルライフ」というネット会員への登録が可能なこと,またその登録方法について説明されている。 乙第5号証は,コスモ・ザ・カード会員に対し「コスモビークルライフ」への登録を促進するために各サービスステーションの店頭で配布されたチラシの表面と裏面である。該チラシの表面上段左側には本件商標と社会通念上同一の商標が付され,「コスモビークルライフ」のネット会員に入ればいくつかの特典が受けられることが記載されている。チラシ下段左側の特典3と記された欄には「燃料油価格をいつでもどこでも確認できる!」と記載され,ネット会員であれば給油価格の情報を知ることができることがわかる。つまり,商品「燃料」の「販売に関する情報の提供」を行っているといえる。 乙第6号証は,乙第5号証のチラシと共に配布されたもので,コスモ・ザ・カード会員が「コスモビークルライフ」の会員に登録申込みをするためのはがきである。はがきは料金受取人払郵便であり,その差出人有効間は平成28年3月31日までとなっている。料金受取人払郵便は,その有効期間を2年以内で設定する必要があるため,当該はがきは早くても要証期間内に配布されていたことがわかる。 ウ 乙第7号証は,2014年6月に行われた経営者ミーティングで配布された資料であり,当該ミーティングには,石油の販売グループ会社や加盟特約店等が参加した。当該資料の表紙の下段には,被請求人の名称が記載され,その上にやや大きく本件商標と社会通念上同一の商標が付されている。該資料の5頁には,特定の会員数の推移,13頁から14頁にかけて会員の自然油購入実績が記載されている。また,18頁には,コスモビークルライフ会員向けのメールにより売上が増加した例が数字と共に紹介され,19頁では,メールによりコスト削減が成功した事例を数字と共に紹介している。20頁から21頁にかけて,会員に車検促進メールを送信したところカーケアサービスの増販が見込まれることが紹介されている。 そして,25頁から26頁にかけて,販売グループ会社である北海道丸善株式会社の成功事例,27頁から28頁にかけて,同太陽石油株式会社の成功事例などが紹介されている。これらは他の特約店や販売グループ会社の販促につなげるために提供された情報であり,「経営に関する助言,市場調査」を行ったといえる(審決注:乙7には,上記25頁ないし30頁の添付がない。)。 エ 乙第7号証の2は,2015年5月20日付で各支店等に送付されたメールであり,「コスモビークルライフアプリ」が同5月28日にリリース予定であること記載されている。また,乙第7号証の3は2015年6月に開催の表彰式において,集まった特約店等に向けて放映されたものであり,「コスモビークルアプリ」の紹介VTRのキャプチャ画像である。その中で「ビークルライフ会員数50万件突破」といった情報を提供し,「アプリにより燃料油・カーケア収益向上を強力にサポート」や「コスモビークルライフアプリ 加盟店様のメリット」を謳いつつ経営に関する助言を行っている。そして,スマホの画面を表示し当該アプリにより給油価格がわかることが紹介されている。アプリに関するキャンペーンが2015年7月から9月に実施決定と告知されており,要証期間内に本件商標が指定役務「経営に関する助言,商品の販売に関する情報の提供」に使用されていたことが分かる。 オ 乙第8号証は,2015年6月に行われた第11回経営者ミーティングで配布された資料である。2頁目から7頁目にかけて,特定会員向けに提供される「コスモビークルライフ」というサイトを活用することにより収益増加につながること,及びその方法について助言されている。16頁から29頁にかけて,コスモビークルライフアプリについて説明されている。この内第3頁目では,該アプリを使用することにより,特定のサービスステーションの「燃料価格の情報」が顧客に提供されることが紹介されている。該画面の上部には本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。 カ 乙第9号証は,2015年7月1日から9月30日までのキャンペーン期間中に配布されたチラシの表と裏の写しである。表面の中央に描かれているスマートホンの画面の中には,本件商標と社会通念上同一の商標が付され,特定のサービスステーションの「燃料価格の情報が提供」されていることがわかる。 (2)商標法上の使用の該当性について 上記(1)に挙げられているように,様々な手段により顧客に対して本件商標権者が主に販売している燃料等の価格やサービスステーションの情報を提供しており,本件商標の指定役務に係る「商品の販売に関する情報の提供」について,本件商標を使用しているといえる。 また,各支店や特約店の経営者に対し,コスモビークルライフというネットサービスによりネット会員を募り,販売を促進することで売り上げが向上することを実例で示して情報提供し,またその方策を解くことは,「市場調査や経営の診断又は経営に関する助言」を行ったといえる。 (3)第35類「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査」について 本件商標の商標権者であるコスモ石油は大規模なグループ企業の一角を担い,石油の卸売の特約店は200以上,サービスステーションは2015年3月末現在で3,000以上に上る。事業規模の拡大により組織の数が大きくなるほど,統括的役割を担う上位企業がグループ会社等に対して経営的助言を行うことは必然である。また,元売りと特約店の関係は,会社と社員の関係とは異なり対等な関係である。 「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査」が商業等に従事する企業等に対するサービスと解することがあるとしても,上記のような元売りと特に別法人である特約店の関係もこれと同等な関係に立つと考えることができる。つまり,本件商標権者が,特約店の経営者を集め,経営の診断又は経営に関する助言等を行うことも,第35類の指定役務「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査」に含まれると解される。 (4)まとめ 以上のとおり,本件商標権者は,要証期間内に本件商標を指定役務「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」に使用している。 第4 当審の判断 1 被請求人が提出した証拠によれば,以下のとおりである。 (1)乙第1号証について 乙第1号証は,2013年(平成25年)11月6日に被請求人の販売部から各支店あてに電子メールで送った書類であり,「<連絡>ザ・カード会員サイト『コスモビークルライフ』におけるネット会員限定ガソリン・軽油キャッシュバックキャンペーンの実施について」の見出しの下,「コスモビークルライフネット会員の獲得及び自燃油増販を目的とし,以下の通りキャンペーンを実施致します。」,「1.対象:コスモビークルライフネット会員資格を有し,期間中にキャンペーンにエントリーいただいた方」,「2.対象商品:ガソリン(ハイオク・レギュラー)・軽油」及び「3.対象期間:2013年11月11日(月)?2014年1月10日(金)」の記載がある。 (2)乙第2号証について 乙第2号証は,被請求人が作成した,キャンペーンCMのキャプチャ画像であるとされるものである。 これには,1葉目の最上段に「コスモ・ザ・カードをお持ちのお客様に朗報です!!」,その隣に「コスモ石油」,中央に「カーライフを『安心・便利・お得・楽しい』に」,その下に,車を擬人化した図形と「コスモビークルライフ」(以下「使用商標」という。)の記載がある。 その下には,「1,000万円/山分けキャンペーン」の記載があり,また,4葉目には,「おトクなメールが届く/おトクなクーポンが手に入る/PC・携帯で給油価格が確認できる」の記載がある。 なお,日付の記載はない。 (3)乙第3号証について 乙第3号証は,2014年(平成26年)3月14日に被請求人の販売部から各支店あてに電子メールで送った書類であり,「<連絡>コスモ・ザ・カード入会申込フローおよび獲得ツールの変更に関する説明会実施の件」の見出しの下,「コスモ・ザ・カード獲得時のコスモビークルライフネット会員同時獲得機能のリリースに伴い,4月よりコスモ・ザ・カード入会申込フローおよび獲得ツールが一部変更になるため,内容について説明会を実施させていただきます。」の記載,そして,「内容」の項目に「(1)実施日時:3月24日(月)」及び「(4)対象者:販売担当および販売Gr長」の記載がある。 (4)乙第4号証について 乙第4号証は,2014年3月24日開催の会議配布資料であり,「コスモ・ザ・カード(オーパス)獲得時のライフ会員同時入会について」及び「コスモ石油株式会社」の記載がある。 これには,「コスモ・ザ・カード獲得時のライフ会員同時獲得について」,「獲得方法について」,「入会申込書記入による登録方法」及び「登録申込完了後の流れ」等の見出しが記載され,その内容が説明されている。 (5)乙第5号証について 乙第5号証は,被請求人が作成した「コスモビークルライフ会員募集」のチラシの表面と裏面とされるものである。 これには,該チラシの表面上段左側には,使用商標が付され,その下に,「会員募集中!」「会員様だけの5つの特典をご紹介します!」の記載があり,特典の内容及び会員の登録方法が記載されている。 なお,日付の記載はない。 (6)乙第6号証について 乙第6号証は,乙第5号証のチラシと共に配布されたとする「コスモビークルライフ」の会員に登録申込みするための郵便はがきの表面と裏面である。表面の右側の上と左側の下には,使用商標が付され,「嬉しい5つの会員特典」の内容の記載がある。また,「料金受取人払郵便」のところに,「差出人有効期間平成28年3月31日まで」の記載がある。裏面は,「コスモビークルライフネット会員入会申込書」の記載と申込み項目及び会員規約が記載されている。 (7)乙第7号証について 乙第7号証は,2014年(平成26年)6月開催,経営者ミーティングの配布資料であり,「コスモビークルライフ/事例および実績のご紹介について/?コスモビークルライフはココがすごい!?」の見出しの下,「コスモ石油 販売部/2014年6月」の記載があり,その下に,「カーライフを『快適』『安心』『お手軽』に」と共に,使用商標が表示されており,その下に「コスモ石油株式会社」の記載がある。そして,ミーティング資料には,コスモビークルライフについての概要,特徴,販促等についての内容が記載されているが,25頁から30頁が欠落している。 (8)乙第7号証の2について 乙第7号証の2は,2015年(平成27年)5月20日に被請求人から各支店,広域販売部等あてに電子メールで送った書類であり,「<連絡>『コスモビークルライフアプリ』リリースの件」の見出しの下,「コスモビークルライフのスマートフォン向けのアプリ,「コスモビークルライフアプリ」を下記の通りリリース致しますのでご連絡させていただきます。」,「1.概要/スマートフォン向けサービス「コスモビークルライフアプリ」のリリース」,「2.目的/アプリにより以下を実現し,ユーザーとの更なる関係強化を図る。(1)簡易的な会員登録。(2)PUSH通知による強力な告知。(3)従来のコスモビークルライフの機能に加えゲーム機能の新設による,クーポン等の訴求力向上。」及び「3.搭載機能」の記載がある。 (9)乙第7号証の3について 乙第7号証の3は,「コスモビークルライフアプリ紹介VTRキャプチャ画像」とされるものである。 これには,1葉目に,「カーライフを『安心・便利・お得・楽しい』に」と共に,使用商標の記載があり,2葉目以降は,該アプリに関する機能や加盟店のメリット等の内容が記載されている。 (10)乙第8号証について 乙第8号証は,2015年6月開催,第11回経営者ミーティングの配布資料とされるものである。 これには,表紙に「コスモビークルライフについて/2015年6月16日/コスモ石油株式会社/販売部」の記載があり,1頁には,「コスモビークルライフの概要」,10頁には,「ビーグルライフ活用事例のご紹介」,16頁には,「ビークルライフアプリの概要」及び「アプリ機能別紹介」の項目とこれに関する内容が記載されており,3頁には,「カーライフを『安心・便利・お得・楽しい』に」と共に,使用商標が表示されている。 (11)乙第9号証について 乙第9号証は,顧客向けキャンペーン配布チラシとされるもので,表面には「おトクなクーポンをもらえるアプリが誕生しました!」の見出しの下,「▽今すぐ無料でダウンロードして2大特典GET▽」の記載,最下段に,「カーライフを『安心・便利・お得・楽しい』に」と共に,使用商標の表示があり,その右側に「キャンペーン期間|2015年9月30日(水)まで」の記載がある。裏面には,「コスモビークルライフアプリとは?」の見出しの下,「1 本日の給油価格がすぐ分かる!」,「2 おトクなクーポンがもらえる!」及び「3 お手軽ゲームでライフポイントをGET!」の記載があり,該アプリの内容が記載されている。 2 上記1によれば,以下のとおり判断できる。 (1)使用者について 乙第2号証及び乙第7号証のキャンペーンCMのキャプチャ画像及び経営者ミーティングの配布資料には,使用商標が表示されており,該キャプチャ画像には,「コスモ石油」の記載,該配布資料には,「コスモ石油株式会社」の記載があるから,使用商標の使用者は,被請求人(商標権者)であることが認められる。 (2)使用商標の使用期間について 乙第9号証の顧客向けキャンペーン配布チラシには,2015年(平成27年)9月30日の日付及び使用商標が表示されており,上記日付は,要証期間内であるから,使用商標は,要証期間内に使用されたものと認めることができる。 (3)本件商標と使用商標との社会通念上同一について 本件商標は,前記第1のとおり,左側に緑色の自動車とおぼしき図形に「目」と「口」を書して自動車を擬人化したよう図形と赤色で「コスモ」,青色で「ビークル」及び緑色で「ライフ」と片仮名で横書きしたものである。 一方,使用商標は,左側に緑色の自動車とおぼしき図形に「目」と「口」を書して自動車を擬人化したよう図形と赤色で「コスモ」,青色で「ビークル」及び緑色で「ライフ」と片仮名で横書きしたものであって,本件商標と使用商標とは,左側にある図形は,同一の構成態様からなり,右側の「コスモビークルライフ」の文字も,同色同一の文字からなり,外観上,同一の商標と見ることができる。また,両商標の「コスモビークルライフ」の文字より,「コスモビークルライフ」の称呼が生じるものであるから,使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標と認められものである。 (4)使用役務について ア 被請求人の顧客向けキャンペーン配布チラシ(乙9)には,本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。 そして,該チラシには,被請求人の業務に係るコスモビークルライフアプリの特典等が紹介されているものである。 しかしながら,該チラシによっては,被請求人が,第35類の取消請求役務について,その役務を提供している内容の記載を見いだすことができないものであって,かつ,本件商標をその取消請求役務について使用していると認められる事実を見いだすこともできない。 イ 乙第1号証,乙第3号証及び乙第7号証の2には,使用商標の表示がなく,また,乙第1号証ないし乙第9号証には,使用商標と取消請求役務との関係の記載が見当たらない。 ウ その他,提出されている証拠においては,本件商標をその取消請求役務について使用している事実は見いだせない。 以上によれば,取消請求役務について,要証期間における被請求人による本件商標の使用は,証明されていない。 (5)小括 上記(1)ないし(4)によれば,被請求人が提出した全証拠によれば,本件商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,要証期間内に取消請求役務について,本件商標を使用していた事実は認められない。 3 請求人の主張について 被請求人は,「乙第1号証,乙第5号証,乙第7号証の3,乙第8号証及び乙第9号証に挙げられているように,様々な手段により顧客に対して本件商標権者が主に販売している燃料等の価格やサービスステーションの情報を提供しており,本件商標の指定商品に係る『商品の販売に関する情報の提供』について,本件商標を使用しているといえ,また,各支店や特約店の経営者に対し,コスモビークルライフというネットサービスによりネット会員を募り,販売を促進することで売り上げが向上することを実例を示して情報提供し,またその方策を解くことは,『市場調査や経営の診断又は経営に関する助言』を行ったといえる。」旨を主張している。 しかしながら,上記乙各号証によれば,「様々な手段により顧客に対して本件商標権者が主に販売している燃料等の価格やサービスステーションの情報を提供」するサービスは,「自社商品の販売に関する情報の提供」,若しくは,「自社商品の販売促進に係る助言やその情報の提供」であって,自社のために行うサービスであるから,他人のためにする労務又は便益としての役務とはいえないものであって,商標法上の役務としての「商品の販売に関する情報の提供」には該当しないものである。 また,「各支店や特約店の経営者に対し,コスモビークルライフというネットサービスによりネット会員を募り,販売を促進することで売り上げが向上することを実例を示して情報提供し,またその方策を解くこと」も,商標法上の役務が独立して商取引の目的たり得るものをいうと解されていることからすると,それ自体独立して商取引の対象とならない自社のために行うサービスというべきものであるから,これもまた,「市場調査や経営の診断又は経営に関する助言」の役務には該当しないというべきである。 してみれば,本件審判の請求の要証期間内に,被請求人が,商取引上,他人の依頼に基づいて,取消請求役務を行った事実,その際に本件商標を使用した事実については何ら立証していないのであるから,本件請求に係る指定役務の取引が行われたとは認めることができない。 よって,請求人の上記主張は,認められない。 4 むすび してみれば,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に,日本国内において,本件商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,取消請求役務について,本件商標を使用していることを証明したものということができない。 また,被請求人は,取消請求役務について,本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって,本件商標の登録は,その指定役務中の「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」について,商標法第50条の規定により,その登録を取り消すべきものとする。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本件商標) (色彩については,原本参照。) |
審理終結日 | 2016-11-29 |
結審通知日 | 2016-12-01 |
審決日 | 2016-12-21 |
出願番号 | 商願2012-24416(T2012-24416) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(W35)
|
最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
井出 英一郎 |
特許庁審判官 |
榎本 政実 山田 正樹 |
登録日 | 2012-09-07 |
登録番号 | 商標登録第5519777号(T5519777) |
商標の称呼 | コスモビークルライフ、コスモ、ビークルライフ、ビークル、ライフ |
代理人 | 穂坂 道子 |
代理人 | 新井 宏 |
代理人 | 松田 次郎 |
代理人 | 松田 省躬 |
代理人 | 村上 晃一 |