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審決分類 審判 一部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) X03
審判 一部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) X03
管理番号 1325017 
審判番号 無効2015-890055 
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-06-26 
確定日 2017-02-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第5382434号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5382434号の指定商品中、第3類「イスラム法により合法的なものとして許されたものでない石鹸類,同薫料,同化粧品,同かつら装着用接着剤,同つけづめ,同つけまつ毛,同つけまつ毛用接着剤,同歯磨き」についての登録を無効とする。 その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。 審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5382434号商標(以下「本件商標」という。)は、「ハラール」の片仮名をゴシック体で横書きしてなり、平成21年10月13日に登録出願、第3類「石鹸類,薫料,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き」を指定商品として、同22年10月28日に登録査定、同23年1月14日に設定登録されたものである。そして、商標登録の取消し審判により、同27年9月29日に本件商標の登録を取り消す旨の審決がされ、同年12月3日に登録の抹消がされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、登録第5382434号商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第4号証までを提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第16号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効にすべきものである。
2 具体的な理由
(1)請求人が引用する商標
請求人が、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当する理由として引用した登録第1167586号商標(以下「引用商標」という。)は、「HAREL」及び「ハレール」の文字を二段に書してなり、昭和46年7月2日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同50年10月27日に設定登録され、その後、計3回の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、平成18年2月1日に第21類「デンタルフロス」並びに第1類、第2類、「かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤」を含む第3類、第4類、「衛生マスク,歯科用材料」を含む第5類、第8類、第9類、第10類、第16類、第19類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がされたものである。そして、引用商標の商標権は、商標登録原簿の記載によれば、平成27年10月27日に存続期間の満了により、同28年7月6日に商標権の登録の抹消が登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性
本件商標と引用商標とは相類似しており、その指定商品も同一又は類似するものである。
ア 商標の類似について
本件商標は「ハラール」の称呼を生じさせる。一方、引用商標は「ハレール」の称呼を生じさせる。両商標はともに同数音の称呼からなり、相違する1音が50音図の同行に属するものであため、典型的な称呼上類似の商標である。
イ 商品の類似について
本件商標の指定商品中「かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤」は、引用商標の書換登録後の指定商品「かつら装着用接着剤、つけまつ毛用接着剤」と同一である。また、本件商標の指定商品中「つけづめ,つけまつ毛,化粧品」と引用商標の上記指定商品とは、販売ならびに需要者が同一で、類似する商品ということができる。さらに、本件商標の指定商品中「石鹸類,薫料,歯磨き」と引用商標の書換登録後の指定商品「衛生マスク,歯科用材料,デンタルフロス」とは、販売ならびに需要者が同一で、類似する商品ということができる。
(3)商標法第4条第1項第16号該当性
本件商標は、「イスラーム法に則って『合法なもの』『許されるもの』を意味し、その対象や行為がハラールであるか否かはムスリムにとって重大な価値判断の基準となるものである。」、そして、このハラールは、「食品に限られることではなく、化粧品や医薬品など、人が摂取したり人に触れたりするものもその対象に含まれる。」(甲第4号証)。
そうすると、イスラム教の戒律に従わずに製造又は処理された「石鹸類,薫料,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き」に本件商標を付した場合には、商品の品質について誤認を生じるおそれがある。

第3 本件商標に対する通知書の内容
当審において、平成28年2月25日付けで請求人及び被請求人に対し通知した内容は、次のとおりである。
1「ハラール」の語の意味について
本件商標は、「ハラール」の片仮名を横書きしてなるところ、該文字の意味については、「大辞林 第三版」(三省堂)には「【アラビア Halal】 イスラム法において合法的と判断される行為。転じて、イスラム教徒が食べてもよいとされる食品。」と、「大辞泉」(小学館)には「ハラール(<アラビア>Halal)《アラビア語で「許された」の意。「ハラル」とも》イスラム教の教義に従っていると判断されるもの。特に、必要な作法どおりに調製された食品をいう。」と、「朝日現代用語 知恵蔵 2006」(2006年(平成18年)1月1日朝日新聞社発行)の230頁には「ハラルとは『許容されたもの』を意味し、ハラル食品はイスラムの掟で調理された合法的な食品を示す。」と記載され、同1193頁「ハラールフード[halal food]」の項には、「イスラムの戒律にのっとった食物。ハラールはアラビア語で『由緒正しい』の意」と記載されている。
2「ハラール」に関する情報等
「ハラール」(又は「ハラル」)については、新聞記事情報及びインターネット情報によれば、以下の事実が認められる。
(1)2007年3月30日付けの日本食糧新聞において、「マレーシア貿易開発公社、5月開催の『国際ハラール展示会』に業界関係者を招待」の見出しの下に、「マレーシア貿易開発公社(MATRADE、東京都中央区、・・・)は、5月9?13日の期間、マレーシア・クアラルンプールで行われる国際ハラール展示会(MIHAS2007)に業界関係者を招待する。主な目的は展示会視察と商談会。MIHAS2007は今年で4回目を迎え、マレーシア企業を中心に10ヵ国以上、約400社が出展し、60ヵ国から3万人が来場するハラール(※)に特化した国際展示会だ。」及び「※ハラール認定品はイスラム戒律を基準に定められた製造方法・品質管理・衛生基準に適合した製品。主に食品や化粧品が対象になる。認定品はムスリムが摂取できるだけでなく、非ムスリムが摂取しても問題がなく、日本国内でもハラール認定食品は一般向けの製品として流通している。」と記載されている。
(2)2008年8月14日付けの日刊工業新聞において、「協和薬品、美容向けドリンク剤やサプリ事業で海外強化」の見出しの下に、「協和薬品(富山市、○○○社長、・・・)は、美容向けドリンク剤やサプリメントの海外事業強化に乗り出す。国内で漁獲されたサケの卵巣外皮由来のアミノ酸ペプチド『サーモン・オバリー・ペプチド(SOP)』を配合した製品。アラブ首長国連邦やフランス、カナダなど約15カ国の企業から問い合わせがあり、イスラム圏での販売のため工場で『ハラール』承認を取得するなど進出準備を進めている。・・・イスラム圏でも販売するため、原材料とサプリメントの工場ではすでに食品販売に必要なハラール認証を取得。ドリンク工場も秋にも取得する予定。」と記載されている。
(3)2008年11月25日付けの化学工業日報において、「アジア特集 新市場開拓で持続的成長へ・ファインケミカル」の見出しの下に、「トイレタリーや香料など消費財関連では、イスラム教の戒律に則った規格『ハラール』に対応した製品の生産に取り組む動きも出ており、イスラム経済圏を狙った事業拡大も進んでいる。」及び「また消費財関連では、2億2000万の人口を抱えるインドネシアやマレーシア、さらには中東も視野にイスラム経済圏をターゲットとした市場開拓も本格化している。アルコールや豚脂を使わないなど、イスラム教の戒律に則った食品規格『ハラール』に対応した製品の生産に取り組んでいるもので、トイレタリー製品では昨年、ライオンがマレーシア拠点でハラール認証を取得した。第一工業製薬はインドネシアで、今年からハラール対応の食品乳化剤の生産を開始したほか、小川香料も09年からインドネシアでハラール対応の乳化香料の供給に乗り出す。」と記載されている。
(4)2009年8月16日付け日本経済新聞(朝刊)において、「金融危機後成長力に着目??イスラム市場外資が照準(世界を読む)」の見出しの下に、「イスラムの教えや戒律に配慮した商品やサービスを扱うビジネスが金融危機を契機に、すそ野を広げている。・・・金融以外でも『イスラムに優しい』という点を売り物にする一般商品・サービスが急増中だ。これらは『ハラール(イスラム法で許される)』と総称され、主流の食品の市場規模は6000億ドル以上との試算がある。経済成長が続くイスラム諸国では、若者層を中心に宗教意識が高まっている。このためハラールのようなイスラムに配慮した商品の需要が年々増大している。・・・グローバル展開する多国籍企業にとり、ハラールは今や無視できない。欧州食品大手ネスレは世界各地の生産拠点の16%に当たる75工場で、ハラールに対応。『マレーシアに研究開発拠点を置き50カ国に300種類の製品を送り出している』(同社担当者) 医薬品の分野ではせき止め薬に含まれるアルコール分などを気にする声もある。近年、マレーシアとキューバがそれらの成分を除いた薬品開発で連携する動きをみせていることも、ハラール商品への関心の広がりを示している。日本国内では拓殖大学の研究所などが、イスラム諸国でのビジネス経験がある日本人教徒らを軸にハラールの認証チームを立ち上げ、輸出企業の案件を引き受ける。グローバル展開を目指す日本企業にとって、イスラムへの配慮が戦略的に重要な時代に入りつつある。」と記載されている。
(5)埼玉県化粧品産業国際競争力強化委員会の「ハラール化粧品GMPリファレンス」には、「I 序章」においては、「1 はじめに」として「世界のイスラム教徒(ムスリム)は、2010年現在約16億人と世界人口の20%以上を占めており、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)によると2030年には4分の1に達すると予想されている。また、イスラム圏の経済成長は著しく、食品、化粧品などの様々な分野でイスラム市場の規模は急速に拡大している。・・・しかし、イスラム教の教えには、ムスリムにとって許されたもの(ハラール)、禁じられたもの(ハラーム)が存在し、イスラム市場に参入するためにはイスラム教についての理解が必要となる。その一つとして、イスラム教の戒律でハラームとされるものが含まれておらず、ムスリムが安心して使用等できる製品であることを認証するハラール認証制度がある。認証を取得した製品には認証マークが付され、一目で判別できるようになっている。イスラム市場に参入する際に、必ずしもハラール認証の取得が求められるわけではないが、認証マークの有無はムスリムが商品を選ぶための重要な要因となっている。」と、「2 リファレンスの構成」として「リファレンスは、『ISO22716:2007 Cosmetics-Good Manufacturing Practices(GMP)-Guidelines on Good Manufacturing Practices First Edition』(以下、「ISO22716」という。)を骨格としたGMP上の管理項目にハラール化粧品の要求事項を併記する形をとっている。日本では、化粧品の製造管理及び品質管理の基準に係る業界自主基準として、日本化粧品工業連合会が平成20年からISO22716を採用している。化粧品製造業者はこれに準じて製造管理及び品質管理を実施していることから、ISO22716をリファレンスのベースとして取り入れた。」と、そして、「III 製造管理及び品質管理」においては、ISO22716が要求する事項として、「従業員」、「構造設備」、「機器」、「原料及び包装材料」等について、種々の「ハラール化粧品及びパーソナルケア製品としての要求事項」等が記載されている。
(https://www.pref.saitama.lg.jp/a0707/halalcosmetics/documents/halal-reference.pdf)
(6)「Japan Islamic Trust(宗教法人日本イスラーム文化センター/マスジド大塚)」のウェブサイトには、「ハラール認証」の見出しの下に、「1.イスラームにおけるハラールの概念」として、「ハラールとは、合法・許されたという意味で、神が合法であるとした物事です。一方、ハラームとは、非合法・禁じられたという意味であり、神によって非合法・禁じられた物事を指します。」と、また、「2.日本イスラーム文化センター・ハラール認証委員会」として、「私たちは1999年からハラール認証発行を初め、化学製品(食品添加物)、食肉、加工製品など、様々な商品を認証しています。これらの商品は、中東諸国(アラブ首長国連邦、サウジアラビア、バーレーンなど)、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、パキスタン、スリランカなどへ輸出されています。Japan Islamic Trustは国際機関World Halal Councilのメンバーです。また、2008年よりアラブ首長国連邦ハラール認証機関に認められた日本の認証機関として、アラブ首長国連邦と他中東諸国への輸出向け肉製品の認証を行っています。また、Japan Islamic Trustはカタール国ハラール認証機関とタイ国ハラール認証機関からも日本の認証機関として認められています」と記載され、そして、「3.認証商品例」として「肉製品」、「その他食品」、「化粧品」等の商品が掲示されている。(http://www.islam.or.jp/services/halalfood/)
(7)「一般社団法人ハラル・ジャパン協会」のウェブサイトには、「ハラル(ハラール)基礎知識」として、「ハラルの意味」について「イスラムの教えで『許されている』という意味のアラビア語がハラール(ハラル)【アラビア語:?Halal】です。反対に「禁じられている」と言う意味の言葉が「ハラーム(ハラム)」です。ハラームをノンハラール(ノンハラル)と言う人もいます。ハラルやハラムはモノや行動が『神に許されている』のか『禁じられている』のかどうかを示す考え方です。例えば、嘘をついたり物を盗んだりすることは『ハラム』とされます。ハラルとは神に従って生きるイスラム教徒(ムスリム)の生活全般に関わる考え方であり、ハラルマーケットは、ムスリムの日々の生活全てに関わる商品やサービスなどの提供を全て含んだ、とても幅の広い市場なのです。ハラルについて、多くの方が『ハラル認証(後述します)』のイメージと結びついているようですが、しかし実際はイコールのものではありません。ハラルビジネスをする(イスラム教徒向けの商品を供給する、サービスを提供する)際にはこの点の理解が大きなポイントになります。」と記載され、「日本でのハラル製品事情」について、「現在、日本で生産されているハラル認証製品やムスリム対応サービスは次のようなものがあります。」として「食品」のほか「石けん、シャンプー、保湿クリーム」、「ムスリム対応レストラン」、「ムスリム対応ホテル」等が掲げられ、また、「主なハラル(ハラール)認証団体」について「宗教法人 日本ムスリム協会」(東京都?1952年設立、1968年6月に宗教法人として認可)、「NPO法人 日本ハラール協会」(大阪市?2010年3月発足、2010年12月法人化)、「NPO法人 日本アジアハラール協会」(千葉県?、2013年設立)、「宗教法人 日本イスラム文化センター/マスジド大塚」(東京都?1994年2月17日創設、1997年JITは宗教法人日本イスラーム文化センター東京支部として登録される。)、「イスラミックセンター・ジャパン」(1968年創設、1975年宗教法人として認可、東京都?)、「マレーシア ハラル コーポレーション株式会社」(東京都?)等が掲げられている。(http://www.halal.or.jp/halal/)
(8)イスラミックセンタージャパンのウェブサイトには、「ハラール認証ガイド」として、「ハラールとは」の項に「『ハラール』とは 『イスラーム法で認められたこと(もの)』という意味のアラビア語です。」と、「ハラールについての原則」の項に「ハラール認証は、対象の始まりから終わりまで、製品で言えばその原料から完成品に至るまで、こうした物質が一切含まれていないこと、またこうした物質との混在の可能性も一切ないことを証明し、ムスリム消費者に製品のイスラーム法上の合法性を宣言するものです。」と、「ハラール認証の対象」の項に「直接または間接にムスリムが消費・利用するものは、すべてハラール認証の対象となります。飲食料品、医薬品、化粧品、それらの中間原材料、さらにそれらの原材料、素材、添加物、助剤等も認証の対象となります。また、それらを製造するプラントやライン、ムスリム対象の保険や金融・イベント企画、衣服、玩具、コンピューターソフト、ハラール製品を対象とした輸送、さらにはレストランやケータリング等のサービスも同様にハラール認証の対象になります。」と記載されている。
(http://islamcenter.or.jp/services/halal-certificate/)
(9)「ウィキペディア フリー百科事典」のウェブサイトには、「ハラール」の見出しの下に、「ハラール(アラビア語:?Halal)は、イスラム法で許された項目をいう。端的にはイスラム法上で食べることが許されている食材や料理を指す。」、「広義の意味では食べ物に限定されず、イスラム法において合法であることを示す記号としても用いられている。」、「豚を禁忌とするのは肉だけでなく、豚に由来する酵素や蛋白質にまで及ぶこともある。これは医薬品や化粧品などにも適用範囲が及ぶこともあり、実際にサウジアラビア、イラン、インドネシアなどでは法律で禁止されている。」と記載されている。(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%AB#.E5.8C.BB.E8.96.AC.E5.93.81.E5.95.8F.E9.A1.8C)
(10)一般財団法人日本薬事法務学会のウェブサイトには、「【マレーシア】MIHAS2011 ハラル認証製品の国際展示会」の見出しの下に、「MIHAS2011とは、MATRADE(マレーシア貿易開発公社)が主催する世界最大級のハラル製品の見本市です。イスラム圏、特にASEAN諸国の飲料・食品メーカーやバイヤーが多く参加しています。ハラル制度は、イスラム教義に従う食品等の規格を管理する制度です。具体的にはイスラム教の禁ずる豚肉やアルコール等を含まない安全規格を定め、製造と流通を審査し、製品にマークを表示するというものです。」と記載され、「食品だけではなく、飲料、歯磨き粉、化粧品などにもハラルマークが。。。」の記述とともに、該マークが表示された商品の写真が掲載されているほか、出展の品目として、食品や、化粧品、洗剤類等が記載されている。(http://www.japal.org/contents/ovs/eventreport/003179.html)
(11)日経BizGateのウェブサイトには、「沸騰!新興国マーケット」及び「成長著しいイスラム市場?ハラル市場参入と日本企業の可能性?」の見出しの下に、「■拡大するイスラム市場、世界人口の2割を超える」の項に「世界のイスラム教徒(ムスリム)人口は2010年に16億人(世界人口の20%以上に相当)、2030年には22億人(世界人口の25%)と、『世界人口の4人に1人がムスリム』という人口構成になると予測されている(米調査機関ピュー・リサーチ・センター)。ムスリムは中東諸国のみならず、人口の7割近くがアジア大洋州地域に在住しているほか、欧州や米国では高学歴・高所得のムスリムも多く、ムスリムを対象としたマーケットはその潜在性・可能性の高さから注目されている。」と、「■ハラル、ハラル食品とは」の項に「『ハラル』とは、シャリア法(イスラム法)に基づき『許されたもの』または『合法なもの』を意味し、ハラル食品は、ムスリムの人々がイスラム教義に基づき正当に口にすることができるものを指す。ハラル食品として認証されるためには、詳細かつ広範囲な規定を満たす必要があり、原料や製造ライン、保管、輸送、陳列、販売の全過程で非ハラルのものと物理的な分離が要求される。これらの厳しい条件を満たしたと認証された製品には『ハラル認証』マークが付与される。対象は食品のみならず、化粧品や医薬品、物流まで拡大している。」と、「■日本企業による認証取得の課題と機会」の項に「ハラル市場に参入した日本企業の多くは東南アジアを中心とした海外工場でハラル認証を取得している。既にマレーシアやインドネシアで認証を取得した企業によると、ハラル取得は当然の対応であり、特にムスリム人口が9割以上を占めるインドネシアにおいては、複数の大手食品メーカーがハラル未取得のサプライヤーとは基本的に取引を行わないと断言している。・・・ハラル認証はトレーサビリティを要求されるため、本認証が製品の品質・安全性を証明するものでもあり、品質管理や技術改善に注力する日本企業にとっては、認証の取得は拡大するイスラム市場に参入する機会につながると考えられる。」と記載されている。
(http://bizgate.nikkei.co.jp/special/emerging/topics/index.aspx?n=MMBIb4000027012012)
(12)「ハラール ソリューション ジャパン」(NPO法人日本ハラール振興会)のウェブサイトには、「ハラールマークの使用」の見出しの下に、「その製品がハラールであると認証・認定された場合、普通は商品の包装やパッケージの表面に、ハラールであることを明示するシンボルマークがプリント表示されます。非イスラーム国の店頭で、ムスリムが食品や化粧品、サプリメントなど直接身体に摂取あるいは使用・着用する物品を購入する場合、パッケージに表示されたハラールマークを“買う” “買わない”の判断基準にします。ハラールマークの表示のない商品は忌避します。一般的に、これらのハラール・マークやロゴは、認証業務を実施した認証機関から使用が許可され、パッケージに印刷などのためのデータなどが提供されます。」とあり、その下には、ハラールマークの「sample」として「HALAL」の文字を含む円形のマークが表示されている。
(http://www.halal-solution.jp/%E3%83%8F%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%81%AE%E4%BD%BF%E7%94%A8/)
(13)「MHC株式会社」のウェブサイトには、「ハラル認証について」の見出しの下に、「ハラル認証とは、ハラルであると認められた製品等にマークを付与する制度です。具体的には、イスラム教が禁じているものを含まない食品等の規格を定め、原材料・製造工程・製品品質等を審査し、適合する製品にハラルマークを表示させることです。」とあり、その下には、「世界のハラル認証」として多数のハラルマークが掲載されているところ、そのマークの多くに「HALAL」や「Halal」の文字が含まれている。
(http://mhalalc.jp/islam/halal_n)
(14)「アイソ・ラボ株式会社」のウェブサイトには、「ハラール認証とは?」の見出しの下に、「販売店においてある食材を、ムスリムが食べてよいものか、食べてはいけないものかを判別できるようにするためにハラール・マークが表示してあります。このハラール・マークはハラール認証を取ることで表示可能になります。これがハラール認証制度です。」の記載があり、その下には、「ハラール・マークの例」として「HALAL」の文字を含むマークが掲載され、さらに、「食品の他に医薬品、化粧品、レストランや食品運送も対象になっています。この制度は、ムスリムにとって、安全な食品等の規格を定め、製造や流通過程を審査し、適合した製品や施設を認証し、これを表示することによりムスリムに便利さを提供する制度とも言えます。」と記載されている。
(http://www.isolabo.net/45_HALAL/)
3 小括
本件商標は、「ハラール」の片仮名からなるところ、該文字は、上記1及び2を総合勘案するならば、イスラム法により「合法的なもの」、「許されるもの」を意味する「HALAL」や「Halal」の文字を片仮名で表示したものであり、同じ意味を表すものといえる。
そして、イスラム教徒(ムスリム)にとって、イスラム法により「合法的なもの」、「許されるもの」であるか否かは、種々の商品の購入や使用に重大な影響を与えるものといえるところ、我が国では、特に、食品の分野を中心に、ムスリムが食べてよいものと結びついて理解されてきたが、ムスリムの人口増大等によるイスラム市場の拡大などに伴い、国内におけるムスリムに対する商品の販売とともに、イスラム諸国への商品の輸出の重要性が増し、我が国の事業者においても、ムスリムやイスラム諸国への商品の販売に大きな影響があるイスラム法やハラールに対する関心が高まり、本件商標の登録査定時においては、食品分野にとどまらず、本件商標の指定商品中に含まれる化粧品や石鹸類、さらには、医薬品を始めとした種々の商品及びサービスの分野で、イスラム法により「合法的なもの」、「許されるもの」との本来の意味合いのものとして注意が払われ、種々の商品、サービスについてイスラム法で許されたものであるとの「ハラール」の認証を所定の機関によって受ける動きが活発になっていたことが認められる。
加えて、その「ハラール」の認証を受けた商品やサービスには、その多くが「HALAL」や「Halal」等の「ハラール」に相当する文字を含む認証マークが表示されることが認められる。

第4 当審からの通知に対する意見
前記第3の通知に対し、両当事者は何ら意見を述べていない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第16号該当性
本件商標は、前記第1のとおり、「ハラール」の片仮名を横書きしてなるところ、該文字は、前記第3の3のとおり、「イスラム法により『合法的なもの』、『許されるもの』」を意味するものであり、本件商標の登録査定時には、本件商標の指定商品中に含まれる化粧品や石鹸類、さらには、医薬品を始めとした種々の商品及びサービスの分野において、イスラム法で合法的なものとして許されたものであるとの「ハラール」の認証を所定の機関によって受ける動きが活発になっていた状況にあることを踏まえると、取引者、需要者によって、イスラム法により合法的なものとして許されたものであることを表すものとして、理解、認識されるとみるのが相当である。
そして、商標法においては、商標を付した商品を国内で販売等をするばかりでなく、それら商品を輸出することも、商標の「使用」に当たるとされていることを踏まえると、本件商標は、その指定商品中、イスラム法により合法的なものとして許されたものでない商品に使用されたときは、取引者、需要者をして、あたかも、その商品がイスラム法により合法的なものとして許されたものであるかのごとく、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認める。
したがって、本件商標は、その指定商品中「イスラム法により合法的なものとして許されたものでない石鹸類,同薫料,同化粧品,同かつら装着用接着剤,同つけづめ,同つけまつ毛,同つけまつ毛用接着剤,同歯磨き」については、商標法第4条第1項第16号に該当する。
2 商標法第4条第1項第11号該当性
(1)本件商標
本件商標は、「ハラール」の片仮名を横書きしてなるところ、これより「ハラール」の称呼を生じ、「イスラム法による『合法的なもの』、『許されるもの』」の観念を生じるものである。
(2)引用商標
引用商標は、上記第2の1(2)のとおり、「HAREL」及び「ハレール」の文字を二段に書してなるものであり、これより「ハレール」の称呼を生じるとみるのが相当である。また、当該文字は、辞書類に載録された成語ではなく、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否
そこで、両商標の類否についてみるに、両商標は、外観において構成文字が明らかに異なるものであるから、明確に区別することができるものである。
そして、本件商標より生ずる「ハラール」の称呼と引用商標より生じる「ハレール」の称呼を比較すると、共に全体の音数が長音を含む4音の比較的短い称呼において、第2音における「ラ」と「レ」の差異を有し、これに続く音が長音であるため、差異音が強く明瞭に発音され、称呼全体に及ぼす影響は大きなものとなり、称呼上相紛れるおそれはないというのが相当である。
また、引用商標は、特定の観念を生じないものであるから、本件商標と比較することができず、観念において相紛れるおそれはないものである。
してみると、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中「イスラム法により合法的なものとして許されたものでない石鹸類,同薫料,同化粧品,同かつら装着用接着剤,同つけづめ,同つけまつ毛,同つけまつ毛用接着剤,同歯磨き」については、商標法第4条第1項第16号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とし、その余の指定商品については、同法第4条第1項第11号及び同項第16号のいずれにも該当するものでないから、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-11-30 
結審通知日 2016-12-02 
審決日 2016-12-19 
出願番号 商願2009-81352(T2009-81352) 
審決分類 T 1 12・ 272- ZC (X03)
T 1 12・ 26- ZC (X03)
最終処分 一部成立 
前審関与審査官 前山 るり子田中 幸一 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 田中 亨子
青木 博文
登録日 2011-01-14 
登録番号 商標登録第5382434号(T5382434) 
商標の称呼 ハラール 
代理人 市川 真樹 
代理人 森 義明 
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