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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 003
管理番号 1324994 
審判番号 取消2016-300345 
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-05-20 
確定日 2017-01-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第3332813号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3332813号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成7年9月5日に登録出願、第3類「石鹸類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、平成9年7月18日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成28年6月2日である。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の指定商品中の『化粧品』についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中の「化粧品」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 乙第1号証について
被請求人は、本件商標は、有限会社シー・ティ・シージャパン(以下「シー・ティ・シー社」という。)のウェブページに、商品「コンディショナー」(ヘアートリートメント)の商品名として、その広告のために付されている旨主張し、乙第1号証を提出している。
しかしながら、乙第1号証は、2016年(平成28年)7月5日に作成されたものであるから、乙第1号証をもって、本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標が本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に使用された事実が何ら立証されていないことは明白である。
イ 本件商標と乙第2号証の1及び2に示された商標(以下「使用商標」という。)との関係について
本件商標は、「シェループ」の片仮名を上段に、その下段に「Cherub」の欧文字を斜体にして配してなるところ、「Cherub」の欧文字は、「ケルビム、智天使」を意味する英単語として一般の英和辞典に掲載されており、既成語であることから、該欧文字からは「チェラブ、チュラブ」の称呼が自然に生じるものである。
そうとすると、本件商標からは、上段の「シェループ」の片仮名に照応して「シェループ」の称呼が、また、下段の「Cherub」の欧文字に照応して「チェラブ、チュラブ」の称呼がそれぞれ生じ、本件商標全体からは「シェループチェラブ」又は「シェループチュラブ」の称呼が生じると考えられる。
このような状況において、使用商標は、「Cherub」の欧文字を上段に、その下段に「シェループ」の片仮名を配してなるものであって、その上段に配された「Cherub」の欧文字に照応して「チェラブ、チュラブ」の称呼が、また、下段に配された「シェループ」の片仮名に照応して「シェループ」の称呼が生じ得ることから、使用商標全体からは、「チェラブシェループ」又は「チュラブシェループ」の称呼が容易に認識されるものである。すなわち、上段に配された「シェループ」の片仮名と下段に配された「Cherub」の欧文字より把握される称呼及び観念が一対一対応の関係にない本件商標にあっては、上段の片仮名が下段の欧文字の表音文字として捉えられることは到底あり得ず、これらの文字は互いに関連性のない別個独立の要素と認識されて然るべきものであることに鑑みると、本件商標の上段の片仮名と下段の欧文字とを入れ替えた使用商標は、その全体の称呼が顕著に相違し、本件商標との関係では社会通念上同一の範囲を超えた商標といい得るものである。
したがって、乙第2号証の1及び2によっては、要証期間内に、本件商標又は社会通念上同一の商標が、請求に係る指定商品「化粧品」について使用された事実が何ら立証されないことは明らかである。
ウ 乙第3号証及び乙第4号証について
乙第3号証及び乙第4号証は、ヘアートリートメント(乙2の1及び2)が注文され、納品されたことを示すべく提出がされたと見受けられるが、いずれも要証期間内のものではないことに加え、前記イのとおり、使用商標は、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標とはいい難く、さらに、乙第3号証及び乙第4号証には、「シェループトリートメント」又は「シェループくせ毛用トリートメント」とのみ表示されており、本件商標の「Cherub」に対応する表示がないことをも考慮すると、乙第3号証及び乙第4号証をもって、本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標が要証期間内に使用された事実は何ら立証されていないとするのが妥当といえる。
エ むすび
以上より、乙第1号証ないし乙第7号証によっては、商標権者等が本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標を要証期間内に日本国内おいて、本件審判の請求に係る指定商品について使用された事実は何ら立証されていない。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)使用の事実
ア 乙各号証について
(ア)乙第1号証は、商標権者が代表取締役を務めるシー・ティ・シー社のウェブページの写しである。
(イ)乙第2号証の1及び2は、シー・ティ・シー社から発売されているヘアートリートメントの写真である。
(ウ)乙第3号証は、2016年(平成28年)2月3日に、シー・ティ・シー社へ、乙第2号証の1及び2で示したヘアートリートメントが注文されたことを示す注文書である。
(エ)乙第4号証は、2016年(平成28年)4月7日に、シー・ティ・シー社が、乙第2号証の1及び2で示したヘアートリートメントを納品したことを示す納品書(控)である。
イ 以上の証拠によると、本件商標は、シー・ティ・シー社のウェブページに、商品「コンディショナー」(ヘアートリートメント)の商品名として、その広告のために付されており、また、要証期間内である2016年(平成28年)2月から4月にかけて、シー・ティ・シー社によって、本件商標が使用されたヘアートリートメントが販売されている。
ウ 商標権者は、シー・ティ・シー社の代表取締役である(乙5)ことから、商標権者が同社に対して、本件商標の使用について、黙示的に許諾していることは明らかであって、シー・ティ・シー社は、商標法第50条にいう通常使用権者に該当する。
エ 本件商標は、片仮名「シェループ」と斜体の欧文字「Cherub」の二段で構成されるところ、乙第1号証及び乙第2号証の1のとおり、シー・ティ・シー社がそのウェブページ及び商品に付している標章も、片仮名「シェループ」と斜体の欧文字「Cherub」の二段で構成されており、両者は同一又は社会通念上同一といえる。
オ シー・ティ・シー社が本件商標を付している商品は、「コンディショナー」(ヘアートリートメント)であるところ、「コンディショナー」(ヘアートリトメント)が頭髪用化粧品に該当し、本件商標の指定商品中の「化粧品」の一種であることは明らかである(乙6、乙7)。
カ したがって、要証期間内に、本件商標がその指定商品中の「化粧品」について使用されていたことは明らかである。
(2)むすび
よって、本件審判の請求には理由がない。

4 当審の判断
(1)乙第1号証ないし乙第5号証によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 乙第1号証は、2016年(平成28年)7月5日にプリントアウトされたシー・ティ・シー社のウェブページの「製品情報」のページであるところ、その上部左には、「C.T.C JAPAN Ltd./有限会社 シー・ティ・シー ジャパン」の文字が表示され、その下の中央に、乙第2号証の1と同じ商品の写真が掲載され、その右に斜体で大きく表した「Cherub」の文字(本件商標中の欧文字部分と同一の構成態様からなる文字)と、該文字の上に、該文字中の「h」と「b」の間に納まるように、小さく表した「シェループ」の文字を横書きにした構成からなる商標が表示され、当該商標の下には、「くせ毛用シャンプー・コンディショナー」の文字が記載されている。また、同ページの下部には、「コンディショナー」の表示の下に、乙第2号証の1と同じ商品の写真が掲載され、商品説明として「植物由来活性剤と植物性高級アルコールを主成分とした、人と地球に優しいトリートメントです。」などの文字が記載されている。
イ 乙第2号証の1及び2は、商品「トリートメント」の正面と背面の写真であるところ、正面(乙2の1)には、中央部に、斜体で大きく表した「Cherub」の文字(本件商標中の欧文字部分と同一の構成態様からなる文字)と、該文字の下に、小さく表した「シェループ」の文字を横書きした構成からなる商標(使用商標)が表示され、「シェループ」の文字の下には、「くせ毛用」の文字が表示されている。また、背面(乙2の2)には、最上部に、「シェループ」と「くせ毛用トリートメント」の各文字が二段に横書きされ、下部に「(有)シー・ティ・シージャパン」の文字と住所が表示されている。
ウ 乙第3号証は、顧客がシー・ティ・シー社に宛てた2016年(平成28年)2月3日付けの注文書に対し、シー・ティ・シー社がそのゴム印を右下部に押し、上部に「ご注文ありがとうございました。納期は容器納入決まりましてから返事いたします。2016.2.15」と記入したものであるところ、その「品名・荷姿」欄及び「数量」欄には、それぞれ「シェループトリートメント」、「1,000本」との記載がある。
エ 乙第4号証は、シー・ティ・シー社が顧客に宛てた2016年(平成28年)4月7日付けの納品書であるところ、その「品名」欄には、「シェループくせ毛用トリートメント」との記載がある。
オ 乙第5号証は、シー・ティ・シー社の商業登記簿であるところ、その住所は、乙第2号証の2及び乙第3号証に表示されたものと同一であり、その代表取締役及びその住所は、本件商標権者の氏名及びその住所と同一である。
(2)前記(1)で認定した事実を総合すると、本件商標の通常使用権者と認められるシー・ティ・シー社は、要証期間内である2016年(平成28年)4月7日に、使用商標を付した「くせ毛用トリートメント」を納品したことが認められる。そして、使用商標の使用者が本件商標の通常使用権者(シー・ティ・シー社)であること及び使用商品「くせ毛用トリートメント」が本件請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる商品であることについては、請求人は、争うことを明らかにしていない。
(3)使用商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標に該当するか否かについて
一般に、片仮名と欧文字とを二段に横書きした構成よりなる商標において、その片仮名部分が欧文字部分の称呼を特定すべき役割を果たすものと無理なく認識できるときは、片仮名部分より生じる称呼が、その欧文字部分より生じる自然の称呼とみるのが相当であるところ、本件商標は、別掲のとおり、「シェループ」の片仮名と「Cherub」の欧文字を二段に横書きしてなるものであり、その構成中の「Cherub」の欧文字は、我が国において馴染みのある語ではないこと、化粧品を取り扱う分野においては、英語からなる商標のみならず、フランス語からなる商標も比較的多く使用されていることは取引の実情に照らし明らかであること、そして、例えば、我が国においても広く知られているフランス語の「chef」は「シェフ」と発音され、「コック長」などの意味をもって普通に使用されていること、などを考慮すると、本件商標における片仮名「シェループ」は、欧文字「Cherub」の称呼を特定したものと、その需要者に無理なく認識されるというのが相当である。したがって、本件商標から生じる自然の称呼は、「シェループ」であるということができる。
一方、使用商標は、前記(1)イのとおり、斜体で大きく表した「Cherub」の欧文字(本件商標中の欧文字部分と同一の構成態様からなる文字)と、該文字の下に、小さく表した「シェループ」の片仮名を横書きした構成からなるものであるところ、本件商標と同様の理由により、欧文字の下に表された「シェループ」の片仮名は、欧文字「Cherub」の称呼を特定したものと認識されるというべきである。したがって、使用商標から生じる自然の称呼は、「シェループ」であるということができる。
そうすると、本件商標と使用商標とは、欧文字と片仮名とが上下入れ替わっているものの、いずれも「Cherub」の文字とその読みを特定する「シェループ」の文字からなる点において共通し、かつ、「シェループ」の同一の称呼を生じるものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標に該当するというべきである。
(4)以上によれば、本件商標の通常使用権者は、要証期間内に日本国内において、本件請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「くせ毛用トリートメント」について、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して、納品したことが認められ、通常使用権者による当該行為は、商標法第2条第3項第2号に定める「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し・・・する行為」に該当する。
(5)請求人の主張について
ア 請求人は、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標に該当しない商標であるとして、その理由について、本件商標及び使用商標における「Cherub」の欧文字は、「ケルビム、智天使」を意味する英単語として一般の英和辞典に掲載されている既成語であるから、これより「チェラブ、チュラブ」の称呼が自然に生じるものであって、その構成中の「シェループ」の片仮名が欧文字の称呼を特定したものと捉えられないから、本件商標は、「シェループチェラブ」又は「シェループチュラブ」の称呼が生じるのに対し、使用商標は、「チェラブシェループ」又は「チュラブシェループ」の称呼が生じ、両商標は、称呼が顕著に相違する旨主張する。
しかしながら、本件商標及び使用商標が、「シェループ」の同一の称呼を生じるものであることは、前記(3)のとおりであるから、上記に関する請求人の主張は理由がなく、失当である。
イ 請求人は、乙第3号証及び乙第4号証について、いずれも要証期間内のものではなく、これらには、「シェループトリートメント」又は「シェループくせ毛用トリートメント」とのみ表示されており、本件商標の「Cherub」に対応する表示がないから、乙第3号証及び乙第4号証をもって、本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標が要証期間内に使用された事実は何ら立証されていない旨主張する。
しかしながら、乙第3号証及び乙第4号証は、前記(1)ウ、エ認定のとおり、2016年(平成28年)2月3日及び同年4月7日のものであるから、これらがいずれも要証期間内のものではないとする請求人の主張は誤りである。
また、取引書類である乙第3号証及び乙第4号証に本件商標の「Cherub」に対応する表示がないとしても、乙第1号証の製品情報にも乙第2号証の1と同じ商品の写真が掲載され、シー・ティ・シー社では、乙第1号証及び乙第2号証の1に示された商品以外の「くせ毛用トリートメント」の取扱品があることは認められないから、乙第3号証及び乙第4号証に記載された商品は、乙第2号証の1及び2に示す「くせ毛用トリートメント」であることは優に推認することができる。
したがって、上記に関する請求人の主張は理由がない。
(6)むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「くせ毛用トリートメント」について、本件商標の使用をしていたことを証明したと認め得るところである。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の「化粧品」について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-11-01 
結審通知日 2016-11-07 
審決日 2016-11-30 
出願番号 商願平7-90904 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (003)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 馬場 秀敏 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 原田 信彦
土井 敬子
登録日 1997-07-18 
登録番号 商標登録第3332813号(T3332813) 
商標の称呼 シェループ、チェラブ 
代理人 田中 尚文 
代理人 岡部 讓 
代理人 杉村 憲司 
代理人 中山 健一 

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