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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W43
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W43
管理番号 1324985 
審判番号 不服2016-12170 
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-10 
確定日 2017-01-26 
事件の表示 商願2015- 14979拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、平成27年2月19日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『油』の文字を書し、その右側部分に『そば』の文字をやや小さめに縦書きしたものよりなるところ、その構成全体からは麺にタレと油を入れ、よくかき混ぜて麺にからめるようにして食べるラーメンの一種である『油そば』の意味合いが容易に生じるものである。そして、新聞及びインターネット情報によれば、指定役務について出願人以外の他人が、『油そばの提供』について、『油そば』を使用している事実が存在するから、本願商標をその指定役務中『油そばの提供』に使用するときは、これに接する需要者は、前記役務を認識するにすぎず、本願商標は、単に役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記『油そばの提供』以外の『飲食物の提供』に使用するときは、商標法第4条第1項第16号に該当する。」 旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、「油」の文字を大きく表し、その右横に「そば」の文字をやや小さく縦書きしてなるところ、その構成からは、「油」の文字を強調した「油そば」の文字を表現したものとして無理なく自然に理解できるものである。
そして、「油そば」の文字は、「スープのないラーメン。ゆでた中華めん・具と、少量のしょうゆだれ・油が、はいっている。自分でまぜて食べる。」(「三省堂国語辞典第七版」株式会社三省堂)の意味を有する語として、一般に知られ使用されていることは、原審の拒絶理由通知書及び拒絶査定で示した使用例のほか、以下に示した新聞記事情報及びインターネット情報からも裏付けられるものである。
<新聞記事情報及びインターネット情報>
(1)新聞記事情報
ア 1997年6月20日付け「毎日新聞大阪(夕刊)」に、「[時流語事典]油そば」の見出しの下、「来月の香港返還を前に日本のメンの世界に新顔が登場した。本場・香港でおなじみの油そば。冷やし中華、つけめん、冷やしラーメン(汁が冷たいだけで、あとはラーメンと同じ。東北地方で始まって昨年あたりに上京した)に続いて、今年のヒット商品になりそうだ。」の記載がある。
イ 1997年11月28日付け「東京読売新聞(夕刊)」に、「今年ヒットした話題の商品 1位、たまごっち」の見出しの下、「(読売新聞社調べ、順不同)・・・ 13.油そば(つゆのないラーメン)・・・」の記載がある。
ウ 1998年3月23日付け「日経産業新聞」に、「汁なしカップめん、味にひとくせ、新顔続々??市場拡大、定番化カギ。」の見出しの下、「焼きうどん、油そばなど、各社が様々なタイプの新製品を投入し、若者を中心に人気を集めている。これまではバラエティーに欠けていた汁なしカップめんだが、需要最盛期の夏場に向けてユニークな商品が続々と続きそうだ。・・・中華そば屋で人気メニューとなった『油そば』を、昨年カップめんで商品化したのは明星食品。今月、商品を刷新して攻勢をかける。通常のラーメンよりも太めのめんに、チャーシューの煮汁をベースにしたタレをかけて食べる。別添のオイルは酢をベースにしており、タレの濃い味をやわらげるという。」の記載がある。
エ 2013年6月25日付け「日本経済新聞 地方経済面 東京」に、「人気の油そば発祥の地は???武蔵野・国立(なんでも調査団)」の見出しの下、「麺に油を絡めて食べる『油そば』。これまで地域の味として語られることは少なかったが、近年は『武蔵野油そば』のように地名を冠した店や即席麺が登場している。油そばは武蔵野のご当地グルメなのだろうか。武蔵野市で50年以上前から油そばを販売し、元祖ともいわれる『珍々亭』の店主、小谷桂一さんは『武蔵野名物として売ったことはない』と話す。1958年に先代の店主が中国出身の義姉に教えてもらった油そばを提供したところ、近隣の亜細亜大学の学生を中心に人気が出た。卒業後も来店する人が多く、先日も80歳近いOB数人が『昔のままの味だ』と食べていったという。周辺の学生にもファンは多い。油そば店『武蔵野アブラ学会』を展開するギガデイン(東京・千代田)の木村考宏社長もその1人。国際基督教大学に在学中通い詰め、『武蔵野の学生に愛されてきた味を広めたい』と、脱サラして出店した。国立市で半世紀以上前から扱う居酒屋『三幸』では、偶然から油そばが誕生した。昭和30年代の初め、先代店主がまかない料理としてラーメンを作ったが、忙しくて食べる暇がない。すっかり汁を吸った麺を食べると『意外とおいしい』と感じ、汁なしで作った油そばをメニューに加えた。近くの一橋大学の学生の人気を集め、大皿に盛った油そばを取り分ける食べ方もある。」の記載がある。
オ 2016年6月30日付け「日本食糧新聞」に、「全国麺類特集:生麺・冷凍麺主要メーカー動向=テーブルマーク 素材麺中心に販売堅調」の見出しの下、「・・・具付麺については、『ぶっかけきつねうどん』と『油そば』を新発売した。・・・『油そば』は、汁なし系新商品だが、発売から堅調に維持している既存品のジャージャー麺、汁なし担々麺との品揃え展開として配荷も順調である。」の記載がある。
(2)インターネット情報
ア 「ウェブリオ株式会社」の提供する「weblio辞書」のウェブサイトにおいて、「ラーメン用語辞典」の見出しの下、 「油そば(あぶらそば)/スープを入れずに食べるラーメンの亜種。麺に醤油ダレと油を入れ、よくかき混ぜて麺にからめるようにして食べる。武蔵野市を発祥とする説が有力。」の記載がある。
(http://www.weblio.jp/content/%E6%B2%B9%E3%81%9D%E3%81%B0)
イ 「株式会社MATCHA」のウェブサイトにおいて、「今さら聞けないラーメン、つけ麺、油そば(まぜそば)の違い」の見出しの下、「中国から日本に伝わったラーメンは、日本で独自に進化しました。現在ではラーメンから派生して、つけ麺や油そばなどさまざまなメニューが生まれています。今回は、違いが分かりにくいと感じられがちなラーメン、つけ麺、油そば(まぜそば)の、今さら聞けない違いとそれぞれの特徴について解説します。」の記載がある。
(http://mcha.jp/83719)
ウ 「油そば専門店 万人力」のウェブサイトにおいて、「油そばとは」の見出しの下、「あえて言うならば、スープの無いラーメン。その食べ方は、アツアツに茹であげられた麺にラー油とお酢をお好みでかけ、ダイナミックにかき混ぜて食べる。丼の底にはあらかじめ少量の醤油タレと油がしいてあり、それらが麺に絡みつくことで、『辛さ』と『酸味』『塩気』の旨味が見事な一体感を醸し出す。油そばと言うものの、口に入れたその味は非常にまろやかでさっぱりとしていて、喉を通り過ぎるたびにいっそう食欲を刺激する。具はチャーシューにネギ、メンマと海苔。余計なものは一切入れず、麺をひたすら味わう。それが万人力の油そばである。」の記載がある。
(http://www.banninriki.com/)
エ 「油そば専門店 歌志軒」のウェブサイトにおいて、「究極の油そば」の見出しの下、「油そばとは『スープの無いラーメン』です。食べ方はアツアツに茹で上げた麺にラー油と酢をまわしかけ、ダイナミックにかき混ぜて食べるラーメンです。丼の底に敷いた門外不出の秘伝のタレと油と絡み合い、絶妙な味のハーモニーを醸し出します。」の記載がある。
(http://www.kajiken.biz/)
オ 「油そば専門店 たおか」のウェブサイトにおいて、「油そばとは何か?」の見出しの下、「スープの無いラーメンと言った方が一番イメージしやすいだろうか。では、どうやって食べるのか?どんぶりの底、麺の下に油とタレが敷いてあり、酢とラー油を麺にかけて一気に混ぜて食べる。混ぜることによって作り出される『辛さ』『酸味無』『塩気』の一体感はさらに油と麺にからまり、絶妙な味と食感になる。」の記載がある。
(http://www.aburasoba.biz/)
カ 「株式会社ぐるなび」が提供する「mecicolle」のウェブサイトにおいて、「起源は中国だった!武蔵境『珍々亭』の元祖『油そば』」の見出しの下、「最近ターミナル駅などの繁華街を歩くと『油そば』の看板を多く見かける。いわゆるスープの入らないラーメンで、ネーミングからハイカロリーを連想させるが実はスープ分のカロリーが引き算され、塩分も少なくヘルシーというのがお店側の主張。/今回は『油そば』の名付け親、武蔵境にある『珍々亭』をご紹介したい。創業は昭和29年。先代が親戚の経営する本郷の中華料理店で修行し、その時に出会った『拌麺』が油そばの原型だという。」の記載がある。
(http://r.gnavi.co.jp/mecicolle/report/detail/5185/)
キ 「日豪プレス NICHIGO PRESS」のウェブサイトにおいて、「『ラーメンずんど』× 日豪プレス ラーメン、つけ麺に続き東京で大ブーム『油そば』を共同開発!」の見出しの下、「日豪プレスではこのたび『新商品開発室』を立ち上げ、どうしても食べたいメニュー、あるいは商品をプロとコラボして開発するプロジェクトを開始。初回となる今回はシドニーCBDの人気店『ラーメンずんど』と、現在東京でブームとなっている汁なしラーメン『油そば』を開発した。」の記載がある。
(http://nichigopress.jp/interview/column_spe/116405/)
ク 「油そば めんらく亭」のウェブサイトにおいて、「めんらく亭は、スープのないラーメン『油そば』の専門店です。岡山、仙台、沖縄と、ただいま店舗拡大中!」の記載がある。
(http://menraku.com/menu.html)
ケ 「油そば専門店 麺屋三郎」のウェブサイトにおいて、「『油そば』とは」の見出しの下、「『油そば』を簡単に表現すると『スープのないラーメン』です。東京で発祥した油そばは、今では関東を中心に多くの専門店があり、その味は、同じ油そばという名前でも多種多様です。どんぶりの底にわずかに入った濃いタレに、ラー油、酢などの調味料をかけ、麺全体に絡めて食べます。」の記載がある。
(http://www.aburasoba.net/pages/about)
コ 「合同会社フェリクサーニ」が運営する「埼玉県富士見市/ふじみ野市地域の縁側ポータル」のウェブサイトにおいて、「油そば専門店『匠(たくみ)』」の見出しの下、「油そばといえば、国立市『三幸』か武蔵野市『珍々亭』が発祥という説があり、近年の有名店ではカップ麺バージョンでも知られた『ぶぶか』が有名。いわゆる『汁なし』ラーメンで、丼底のベースとなるタレに麺を絡め、好みで酢やラー油を掛けて戴く麺類。『油そば』と言いながらスープが無いぶん、実はラーメンよりも低カロリーとのこと。」の記載がある。
(http://fujimist.info/ramen-takumi)
サ 「北海道お土産探検隊」のウェブサイトにおいて、「『○ったんこカンカン』や『さんまの○んま』など、テレビ紹介多数!」の見出しの下、「『油そば』は、札幌はススキノの老舗ビアホール『米風亭(べいふうてい)』の看板メニュー。ビールにもよく合う、スープのないラーメンです。そのルーツは、1957年、東京都武蔵野市に開店した『珍珍亭』のレシピ。かつて近隣の大学に通っていた米風亭のオーナーが、『あの味を再現したい』と試行錯誤を重ねて完成させました。」の記載がある。
(http://www.hokkaido-omiyage.com/bno050029/)
シ 「自家製麺油そば専門店はてな」のウェブサイトにおいて、「もちもち自家製麺と秘伝のタレで最高の油そばを提供致します。」の記載がある。
(http://aburasoba-hatena.co.jp/)
ス 「株式会社天輝」のウェブサイトにおいて、「油そば味の天徳」の見出しの下、「『油そば』とは『スープのないラーメン』」の記載がある。
(http://www.tenki-teru.com/tentoku.html)
セ 「株式会社favy」のウェブサイトにおいて、「池袋駅5分圏内の油そば屋5選!急に油そばが食べたくなったらここへGO!」の見出しの下、「油そばを扱うお店が最近増えてきましたね。そんな中でも、池袋駅前に油そば屋が集中していることがわかりました。それぞれの店で違うサービスがあって、面白いです。秀逸油そば屋5選、どうぞ御覧ください。」の記載がある。
(http://www.favy.jp/topics/4386)
ソ 「大真実業株式会社」の「油ソバ倶楽部」のウェブサイトにおいて、「『元祖 九州油ソバ』お陰さまで変わらぬご愛好頂いております!その当時、大阪に油ソバは無く、この大阪の地で油ソバを始めたのは亀王が元祖とも言われています。始めた当初は、汁のない油ソバに反応は弱いのもでしたが、口コミで広がり、TVで取り上げられるまでになり、今では多くの方のご愛顧頂いております。」の記載がある。
(http://www.kiou.co.jp/abura.htm)
タ 「市川タウン新聞」のウェブサイトにおいて、「油そば 雷神」の見出しの下、「看板には、遠くからでも目を引く巨大な『油』の赤文字が。その名の通り、油そばの専門店です。・・・一番人気のスタンダードな油そばです。油そばとは、スープの代わりに醤油ダレなどに絡めて食べる汁のないラーメンのこと。」の記載がある。
(http://ichikawatown-pc.com/?p=2333)
チ 「株式会社はてな」の提供する「Hatena Keyword」のウェブサイトにおいて、「油そば【あぶらそば】」の見出しの下、「吉祥寺?国立付近のラーメン屋から広まったメニュー。茹でた麺をラード・醤油などから出来た油分の多いたれにからめながら食べる。酢とラー油をかけて食べるのが通とも言われている。キムチや納豆を付け合わせることもある。亜細亜大の近くにある珍珍亭という店が発祥の地と言われる。東小金井の宝華、吉祥寺のぶぶかなどの店が有名。」の記載がある。
(http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CC%FD%A4%BD%A4%D0)
ツ 「ガジェット通信」のウェブサイトにおいて、「起源から専門店に至る中で探る 『油そば』とはなんぞや?」の見出しの下、「・・・そんな誰もが知っている『ラーメン』ですが、その形態を大きく分けると『ラーメン』『つけ麺』『油そば』に分けられます。・・・『油そば』の起源については諸説ありますが、有力とされているのは亜細亜大学の近くにある『珍々亭』とされています。まあ、言う程『油そば』に歴史がある訳でもないので、この説が正しいのではないでしょうか?」の記載がある。
(http://getnews.jp/archives/969246)
テ 「東洋水産株式会社」のウェブサイトのニュースリリースにおいて、「『珍々亭 油そば』 新発売のお知らせ」の見出しの下、「東洋水産株式会社(本社:東京、社長:今村 将也)では、カップ入り即席麺『マルちゃん 珍々亭 油そば』を、2016年7月4日(月)より、全国にて新発売致します。・・・■『珍々亭』とは/昭和29年に東京都武蔵野市で創業。昭和33年には全国に先駆けて、スープがないラーメンである『油そば』をメニュー化し、全国にその名を知られる人気店となりました。お客様の間では、卓上の酢とラー油を加え、お好みの味に調整することが定番となっています。」の記載がある。
(http://www.maruchan.co.jp/news_topics/entry/2016/06/post_1236.html)
ト 「株式会社favy」のウェブサイトにおいて、「東京西エリア発!学生から支持を集める武蔵境のご当地麺『油そば』」の見出しの下、「ごま油と醤油を効かせたタレに麺を絡めて食べる汁なしタイプのラーメン『油そば』 かつては一部のラーメンマニアの内だけで話題になっていましたが、東京各地に専門店がオープンしたり、全国チェーンの中華料理屋のレギュラーメニューに加わるなど、注目が集まっています! 今回は油そば発祥の地と言われている武蔵境の油そばをご紹介!」の記載がある。
(http://www.favy.jp/topics/11674)
そうすると、本願商標は、これをその指定役務中「油そばの提供」に使用しても、これに接する需要者は、「自分でまぜて食べるスープのないラーメン」程の意味合いのラーメンとして認識するものであって、単に提供される料理名を表示したものとして理解するにとどまるものというべきである。
したがって、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、また、これを「油そばの提供」以外の「飲食物の提供」の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当するものである。
2 商標法第3条第2項の該当性について
請求人は、甲第6号証ないし甲第35号証を提出し、「本願商標は、たとえ、その役務の質を普通に用いられる方法で表示するものにすぎないとしても、請求人の長年の使用により、請求人の役務を表示する商標として十分機能するに至っている。」旨を主張しているので、本願商標が商標法第3条第2項に該当するに至ったものであるかについて以下、検討する。
商標登録出願された商標が、商標法第3条第2項の要件を具備し、登録が認められるか否かは、使用に係る商標及び商品、使用開始時期及び使用期間、使用地域、当該商品の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願商標が使用された結果、判断時である審決時において、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるか否かによって決すべきものであり、商標法第3条第2項の要件を具備するためには、使用商標は、出願に係る商標と同一であることを要するものというべきである(知財高裁平成21年(行ケ)第10388号平成22年6月29日判決参照)。
そこで、これを本願についてみるに、請求人は、請求人の経営する店舗やそこで提供している「油そば」が紹介されている新聞記事情報、インターネット情報及び雑誌等の書籍をあげ(甲第6号証ないし甲第35号証)、「これらの媒体に紹介されることにより、提供している『油そば』や請求人の役務が提供される店舗及び商品を表示する商標として、広く需要者の間に知られるようになった。」旨を主張している。
しかしながら、提出された証拠からは、本願商標と同一の構成態様からなる「油そば」の文字のみの使用は見当たらず、「油そば」の文字と併せて「東京麺珍亭本舗」等の文字が表示されて使用されているものであるから、本願商標が、独立して自他役務の識別標識として、需要者に認識されているとする実情を証明しているとはいえないものである。
そうすると、請求人が提出した証拠によっては、本願商標が長期間にわたって、全国的に、継続的に使用されていることを確認することができず、また、これらの証拠のほかに、本願商標の、使用期間、使用地域、営業の規模、売上高並びに広告宣伝の方法及び回数等を確認することができる証拠の提出はない。
そして、上記1で認定した本願商標から生ずる意味合い及び「油そば」の文字の他人による使用状況を鑑みると、本願商標が需要者の間に広く知られているということはできないというのが相当であり、本願商標は、使用された結果、需要者が出願人の業務に係る役務であることを認識するに至っているということができない。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、「本願商標の構成は、図案化された構成であって、単に『油』と『そば』を横書きして、若干デザイン化されたフォントを使用している構成とは明らかに異なり、『普通に用いられる方法』には該当しない。」旨を主張している。
しかしながら、本願商標の構成中に大きく表された「油」の文字は、提供する飲食物で使用されている主な調理材料をわかりやすく表示しているにすぎず、本願指定役務に係る業界において、この程度のデザイン化は、店の看板等で普通に採択、使用されるものであり、その構成全体を見ても、「油そば」の文字を表現したものとして十分に理解できるものであるから、その構成が決して特殊な態様からなるものということはできないというのが相当である。
(2)請求人は、「本願商標に接する需要者は、『油そば』から直ちにその品質を想起することはないから、本願商標から、『油そばが提供される役務であること』を認識したとしても、提供される商品の具体的な内容まで理解することができない。よって、本願商標は、出願人を識別する標識として十分機能しうる商標である。」旨を主張している。
しかしながら、「油そば」の語は、上記1のとおり、「スープのないラーメン。ゆでた中華めん・具と、少量のしょうゆだれ・油が、はいっている。自分でまぜて食べる。」の意味を有する語として、一般に知られ使用されているものであるから、本願商標は、店舗等で提供される料理名を表示するものとして、需要者に認識されるにすぎないものといわざるを得ない。
(3)請求人は、甲第36号証ないし甲第41号証を提出し、「原審の拒絶査定で示したウェブサイトの商標は、全て請求人が本願商標を使用し、本願商標を周知にした後に、本願商標の態様を真似て使用を開始したことは、ウェブサイトに表示されている店舗の営業の開始時期等の記載から明らかである。このような商標の使用により需要者が、本願商標と類似する商標を用いて業務を行う他社と、請求人の業務とを混同するようになるのは、明白である。」旨を主張している。
しかしながら、本願商標の構成態様は、別掲のとおりの構成からなり、「油」の文字を大きく表し、その右横に「そば」の文字をやや小さく縦書きしてなるところ、本願指定役務に係る業界等においても、この程度のデザイン化は一般に行われている程度といえるものであって、店の看板等で普通に採択、使用されるものであり、その構成全体を見ても、「油そば」の文字を表現したものとして十分に理解できるものであるから、その構成が決して特殊な態様からなるものということはできないというのが相当である。
そして、請求人の示す本願商標と同様の構成からなる「油そば」の文字の使用に関しては、ラーメン業界において、該文字構成が定着しつつある状況として理解されるものである。
してみれば、請求人の提出した証拠による、原審の拒絶査定で示したウェブサイトの商標を使用している店舗の営業開始時期のみをもって、該商標が本願商標の構成態様を真似て使用を開始されたものとは認められない。
したがって、請求人の主張はいずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標)



審理終結日 2016-11-29 
結審通知日 2016-12-02 
審決日 2016-12-14 
出願番号 商願2015-14979(T2015-14979) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (W43)
T 1 8・ 13- Z (W43)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 藤平 良二林田 悠子中村 聖 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 中束 としえ
木住野 勝也
商標の称呼 ソバアブラ、アブラソバ 
代理人 高橋 菜穂恵 
代理人 河村 英文 
代理人 奥山 尚一 
代理人 小川 護晃 
代理人 有原 幸一 
代理人 松島 鉄男 
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