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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W0307121820212224252728 審判 一部申立て 登録を維持 W0307121820212224252728 審判 一部申立て 登録を維持 W0307121820212224252728 |
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管理番号 | 1323761 |
異議申立番号 | 異議2016-900287 |
総通号数 | 206 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2017-02-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-09-09 |
確定日 | 2017-01-13 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5856806号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5856806号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5856806号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成27年1月5日に登録出願され、第12類「自動車タイヤ専用収納ラック」並びに第3類、第7類、第18類、第20類ないし第22類、第24類、第25類、第27類及び第28類に属する商標登録原簿の記載のとおりの商品を指定商品として、同28年5月24日に登録査定、同年6月10日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由として引用する登録第4925809号商標(以下「引用商標」という。)は、「ALENZA」の欧文字を標準文字で表してなり、平成17年7月13日に登録出願され、第12類「自動車用タイヤ,チューブ,リム」を指定商品として、同18年2月3日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定商品中、第12類「全指定商品」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、上記商品の登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証(枝番を含む。)を提出した。 本件商標は太線で大きく表された円の下に「確かな選択」の文字が配置され、その下にこれよりも倍の大きさで「Alleanza」の欧文字が配置された態様からなる。本件商標は「アレンザ」と称呼されると思料する。 他方、かかる態様を考慮の上、特許庁においては本件商標の「Alleanza」の部分の称呼を参考情報として商標公報に掲載しているとおりの「アッレアンツア、アッレアンザ、アレアンザ」と認定しているものと思料する(甲1)。 「Alleanza」の語は、はイタリア語で「同盟」を意味する成語である。したがって、「アッレアンツア、アッレアンザ、アレアンザ」などのイタリア語の発音に相当する称呼が生じる場合があることは否定しない。しかし、イタリア語の日本における普及率はさほど高くないことにかんがみれば、これに接した取引者、需要者が直ちにイタリア語の発音のとおりの称呼のみを把握し認識するものではないと思料する。 日常的にまたは身近に使用されないような類いの、「同盟」を意味する「Alleanza」の場合は一般的には英語風の発音で認識されると思料する。英語の普及率が圧倒的に高いことから、欧文字で書された商標に接した者は一般には自己の有する英語の知識にしたがって、これを英語風に読もうと努めるからである。 現に、インターネットから入手した情報においても「Alleanza」をイタリア語の発音の「アッレアンツア、アッレアンザ、アレアンザ」ではなく、「アレンツア」として取り扱っている記事が散見される。甲第3号証及び甲第4号証では美容院名「ALLEANZA」を「アレンツア」、甲第5号証ではレストラン名「L’ Alleanza」を「ラレンツア」、甲第6号証ではメインディッシュ名「Insalate deir’ Alleanza」を「インサンテ デル アレンツア」としており、さらに、甲第7号証にはバンド名「ALLEANZA(読み:アレッツア)」とある。因みに、英語で「cleanser」は「クレンザー」、「mean」の過去形の「meant」は「メント」と発音されることを参酌すれば、「アレンツア」の称呼は英語風の発音であると考える。このように、「Alleanza」はイタリア語の成語であるにも関わらず当該国の言語ではない英語風の称呼が使用されている状況が窺える。 また、特許庁においても、欧文字の成語であってもあまりなじみのない語に対しては造語と捉えて、取引に際して英語風の称呼が生じると認定している(甲8?甲10)。 これらのことから、本件商標の「Alleanza」の部分の称呼は商標公報掲載の「アッレアンツア、アッレアンザ、アレアンザ」のイタリア語の発音に限定されるべき必然性は極めて乏しいと思料する。 本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)である株式会社アレンザ・ジャパンは本件商標を既に使用している。例えば、甲第11号証では、レジャーマットのパッケージの左上の隅に本件商標が付されており、右下には「株式会社アレンザ・ジャパン」の文字が記載されている。このように「株式会社アレンザ・ジャパン」と本件商標が一緒に使用されている状況にかんがみれば、これに接した取引者、需要者は「Alleanza」の部分を「株式会社アレンザ・ジャパン」と結び付けて「アレンザ」と把握し認識するのが自然であると思料する。加えて、「アレンザ」は英語風の発音で不自然な称呼ではない。甲第12号証の1及び2、甲第13号証の1及び2においても、ウェブページの上部には「アレンザ・ジャパン」の文字が認められ、商品札には本件商標が表示されている。なお、甲第12号証の1には「『アレンザ』に反応してしまったのは内緒です(笑)」とあり、本件商標を見て「アレンザ」と認識されたことが明確にわかる。 さらに、甲第14号証の1及び2のウェブページにも輸入元として「株式会社アレンザ・ジャパン」が記載され、本件商標が表示された商品写真が確認である。このような現実の使用状況は十分に考慮されるべきであると思料する。本件商標はイタリア語の「アッレアンツア、アッレアンザ、アレアンザ」ではなく本件商標権者の名称の一部に相当する「アレンザ」の称呼が生じるものと確信する。 他方、引用商標は「ALENZA」の欧文字からなり、引用商標の商標権者が創作した造語である。申立人は自動車用タイヤに「アレンザ」の称呼を使用している(甲15)。 したがって、本件商標と引用商標はともに「アレンザ」の称呼を生じることが明らかであるから、同一又は類似の商標である。 そして、本件商標の指定商品は「自動車タイヤ専用収納ラック」、他方、引用商標の指定商品は「自動車用タイヤ」である。これらは、自動車用タイヤとそれを収納するためのラックという関係にあり需要者の範囲が一致するから関連性の高い類似の商品である。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。 第4 当審の判断 申立人は、本件商標は、その指定商品中、第12類「全指定商品」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたと主張しているので、以下、本件商標と引用商標の類否について検討する。 1 本件商標について 本件商標は、別掲のとおり、上段部にドーナツ状の輪形の図形を表し、その下の中段部に「確かな選択」の文字を横書きし、さらに、その下の下段部に中段部のおよそ倍の大きさで「Alleanza」の欧文字を横書きしたものを配し、全体が茶色で着色してなるものである。 しかして、本件商標は、上段部が図形、中段部が日本語、下段部が欧文字よりなることから、各構成部分のそれぞれが、視覚的に分離され、また、独立して看取されるとみるのが相当である。 してみれば、本件商標は、その構成中の「Alleanza」の欧文字部分も独立して自他商品の識別機能を有するというべきである。 そして、この欧文字部分は、イタリア語で「同盟、協定」等の意味を有する語であるが、我が国において一般に知られている語とは認められないものであるから、これに接した需要者にとって、特定の意味を有しない一種の造語であると理解、認識されるというのが相当である。 ところで、欧文字からなる造語の場合は、我が国で一般に普及したローマ字又は英語の読みに倣って称呼されるのが自然であるから、本件商標からは、該欧文字部分に相応して「アレアンザ」の称呼が生じるというのが相当であり、また、特定の観念は生じないものである。 2 引用商標について 引用商標は、「ALENZA」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該語は辞書等に掲載されている語ではないことから、特定の意味合いを有しない一種の造語と認められる。 そうとすると、これを称呼する場合、上記1と同様にローマ字又は英語における発音に倣って称呼されるとみるのが自然であるから、引用商標からは「アレンザ」の称呼が生じるというのが相当であり、また、特定の観念は生じないものである。 3 本件商標と引用商標との類否について 本件商標構成中の「Alleanza」の欧文字部分と引用商標を構成する「ALENZA」の欧文字の外観を対比するに、前者の文字数は8文字であり、後者の文字数は6文字と構成文字数が異なり、かつ、前者は語頭が大文字である以外はすべて小文字で表されているのに対して、後者は語頭を含むすべての文字が大文字で表されているものである。 このような構成よりなる「Alleanza」の欧文字と「ALENZA」の欧文字は、その外観において、明らかな差異を有するものであるから、明確に区別できるものである。 次に、本件商標構成中の「Alleanza」の欧文字部分から生じる「アレアンザ」の称呼と引用商標から生じる「アレンザ」の称呼とは、中間部の「ア」の音の有無により、その音数及び音構成が明らかに相違するものであるから、両称呼は、互いに聞き誤るおそれはない。 また、「Alleanza」の欧文字と「ALENZA」の欧文字とは、前記のとおり特定の観念が生じないものであるから、観念において比較することができず、類似するとはいえないものである。 してみると、本件商標構成中の「Alleanza」の欧文字部分と引用商標「ALENZA」とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのないものであるから、本件商標と引用商標とは、非類似の商標というべきものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 4 申立人の主張 申立人は、本件商標の構成中の「Alleanza」の欧文字部分は、英語風に発音されている実情(甲3?甲7)及び申立人の名称とともに使用されている状況(甲11?甲14)を考慮すれば、「アレンザ」の称呼が生じるのが自然である旨主張する。 しかしながら、提出された証拠からは、「Alleanza」の語を「アレンザ」と称呼して使用されている実情は見受けられず、また、本件商標には本件商標権者の名称である「株式会社アレンザ・ジャパン」又は「アレンザ・ジャパン」の文字は含まれていないのであって、必ずしも同名称とともに使用されるものでもない。また、その他、「Alleanza」の語が「アレンザ」と称呼するものとして認識される特段の事情は見いだせないことから、本件商標から「アレンザ」の称呼が生じるとする申立人の主張は採用することができない。 5 まとめ 以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、第12類「全指定商品」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(本件商標。色彩については、原本参照。) |
異議決定日 | 2017-01-05 |
出願番号 | 商願2015-169(T2015-169) |
審決分類 |
T
1
652・
262-
Y
(W0307121820212224252728)
T 1 652・ 263- Y (W0307121820212224252728) T 1 652・ 261- Y (W0307121820212224252728) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 大島 勉 |
特許庁審判長 |
今田 三男 |
特許庁審判官 |
真鍋 伸行 田中 幸一 |
登録日 | 2016-06-10 |
登録番号 | 商標登録第5856806号(T5856806) |
権利者 | 株式会社アレンザ・ジャパン |
商標の称呼 | タシカナセンタクアッレアンツァ、タシカナセンタク、アッレアンツァ、アッレアンザ、アレアンザ |
代理人 | 脇田 真希 |
代理人 | 木戸 一彦 |
代理人 | 本多 敬子 |
代理人 | 本多 一郎 |
代理人 | 木戸 良彦 |