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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W2528
審判 全部申立て  登録を維持 W2528
管理番号 1323757 
異議申立番号 異議2016-900193 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-07-21 
確定日 2017-01-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第5841320号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5841320号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5841320号商標(以下「本件商標」という。)は、「NOITOM」の欧文字を標準文字で表してなり、平成27年11月4日に登録出願、第25類「被服」及び第28類「運動用具」を指定商品として、同28年3月14日に登録査定、同年4月15日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号又は同第19号に該当するから、同法第43条の3第2項により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証(枝番を含む。)を提出した。
1 本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)について
商標権者の「ナ オチョル」氏は、2012年(平成24年)、ゴルフ用具の輸入販売を業務とする「株式会社エスアンドピーゴルフ貿易」を大韓民国にて設立し、その代表者として現在に至っている(甲2)。
2 申立人の業務に係る商標について
(1)申立人は、申立人の業務に係る「モーションキャプチャ」商品の展示、デモ、販売などの自らの業務において、本件商標の出願前から、「Noitom」や「NOITOM」などの欧文字の商標を使用しており(甲3、甲5?甲9、甲13、甲14、甲21、甲22など)、また、「NOITOM」の「M」の一部などを省略した形の商標も使用している(甲10?甲12など)(これらをまとめて、以下「申立人商標」という場合がある。)。
(2)申立人商標「Noitom」、「NOITOM」などの語は各種の辞書、事典にも掲載されていないことからみて、独創的な造語商標といえる。なお、この申立人商標はいずれも現時点において日本では未登録である。
3 申立人について
(1)業務
ア 申立人は、2011年(平成23年)、中華人民共和国(北京)に設立された法人であり、運動者などの身体に取り付ける各種センサやそこから得られる位置信号等の処理装置からなる「モーションキャプチャシステム」(以下「申立人商品」という。)の開発を行い、各種エキスポなどで展示し、また販売などしている(甲3、甲5?甲11、甲15、甲17?甲20など)。
この展示、販売などの際、申立人は、上述のように「Noitom」や「NOITOM」などの申立人商標を使用する。
イ 位置検出用などの各種センサは後述のグローブ、ヘッドバンド、サポータやボディストラップなどを介して運動者の身体に取り付けられる(甲3、甲4、甲10、甲15、甲16、甲18?甲20など)。
(2)申立人商品の展示、広報など
ア 申立人は、2013年(平成25年)以降、本件商標の登録出願の2015年(平成27年)までの各年に、中華人民共和国で開催された、各種フェア、コンファランスなどの会場において、申立人商品を展示し、かつ、その運用デモをおこなっている(甲5?甲11)。
また、2015年(平成27年)3月2日?6日にサンフランシスコで開催された「GDC2015」においても、申立人商品を展示、紹介しており、ここでの申立人商品の仕様、動作内容などは、「ヤフー!ジャパンサイト」で詳細に掲載されている(甲15)。
イ 申立人は、2014年、ツイッターアカウント「noitomocap」を登録し、これにより申立人商品についての積極的な情報発信環境を整備している(甲12)。
ウ 申立人の業務に係る「my Swing Professional(マイスイングプロフェショナル)」の申立人商品を中国語掲載したYouTubeサイトも存在する(甲13)。
エ このような申立人商品の展示、紹介、運用デモや情報発信の際、申立人商標が目立つ形で使用されている。
(3)売上
2011年(平成23年)に設立された申立人の申立人商品の売上高は、2014年(平成26年)以降、急伸しており、2013年(平成25年)を指数「10」とした場合、2014年(平成26年)が「104」、2015年(平成27年)が「118」の各指数となる。
4 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標と申立人商標との対比
本件商標及び申立人商標は、ともに明らかな造語であり、それぞれの構成文字に相応して、冗長になることなしによどみなく連続に発音しやすい「ノイトム」の称呼を生じる。すなわち、両商標は、称呼上、同一のものである。
外観においては、それぞれの二文字目以降の大文字部分と小文字部分とが相違している。
また、両商標ともに特定の観念を生じるものではない。
この外観上の差異も単なる大文字と小文字の違いにすぎず、両商標は、互いに紛れるおそれが十分に高い「きわめて類似する」商標といえる。
また、すべて大文字からなる申立人商標「NOITOM」が本件商標「NOITOM」と同一の範囲に入ることは明らかである。
(2)日本語環境での申立人商標
ア 申立人商標は、本件商標の出願前の「ヤフー!ジャパンサイト」以外の、同じく日本語掲載によるインターネット環境においても申立人商品に係る識別標識として用いられている(甲16?甲18)。
イ ここで、甲第16号証は、2014年(平成26年)6月11日に掲載され、甲第17号証は、2015年(平成27年)9月19日に掲載され、また甲第18号証は、同年9月30日に掲載されている。
(3)出所の混同
ア 上記(2)のとおり、申立人商標は、日本でも、少なくとも申立人商品の需要者の間では、申立人を表示するものとして認識され、申立人商品の自他識別標識の作用を奏している。
イ 申立人商品の構成要素としては、動きセンサが取り付けられ、かつ、運動者の身体自体への装着要素としてのグローブ、ヘッドバンド、サポータ、ボディストラップなどがある(甲3、甲19、甲20など)。
ウ この各装着要素としての商品に接する需要者は、当該商品に対し、「(人が装着する)手袋、被服:第25類」や「サポータ:第28類」との商品関連性を想定しえる。また、装着要素を体に設定した状態での運動内容から「各種の運動用具(例えばスキー用具、ボクシング用具など):第28類」も想定しえる。
エ してみると、申立人商品の装着要素との商品関連性を持つ「被服」又は「運動用具」の商品に本件商標が使用された場合、これに接する取引者、需要者は、その商品を、申立人又は申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品と誤認し、商品の出所について混同するおそれがある。
(4)小括
このように第25類「被服」および第28類「運動用具」を指定商品とする本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であって商標法第4条第1項第15号に該当する。
5 商標法第4条第1項第19号について
(1)中華人民共和国での申立人商標
ア 前記2並びに前記3(1)及び(2)のとおり、申立人商標の「Noitom」及び「NOITOM」は、中華人民共和国において、申立人商品の識別標識として、本件商標の出願時すでに周知のものであった。その周知状況は現時点でも維持される。
イ 申立人商標の「Noitom」及び「NOITOM」と、本件商標の「NOITOM」とは、前記4(1)のとおり、「同一又はきわめて類似する商標」である。
(2)商標権者の不正の目的
ア 前記1で述べたように、商標権者は、ゴルフ用具の輸入販売する会社の経営者である。
この会社のビジネスとも密接な関係を持つはずの上記「my Swing Professional(マイスイングプロフェショナル)」のゴルフスイング修正に関する申立人商品を、商標権者が認識していないとは考え難い。
商標権者は、ゴルフ用具などの今後のビッグ市場ともいえる巨大な隣国で開催されたフェア、コンファランス等で「Noitom」及び「NOITOM」のブランドを知り、それが日本において出願、登録されていないことを奇貨として、本件商標を、不正の目的をもって申立人よりも先取り的に出願したものといわざるをえない。
イ 仮に、本件商標が、この「不正の目的」をもっての出願でないとしても、上述したように、(a)本件商標は、中華人民共和国国内において周知な申立人商標と「同一又は極めて類似する」商標であって、(b)かつ、この周知な申立人商標が造語商標といえるので、本件商標は、「不正の目的」をもって使用するものと推認される。
(3)小括
このように、本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして中華人民共和国における需要者の間に広く認識されている申立人商標と同一又は類似の商標あって、不正の目的をもって使用をするものに他ならない。
したがって本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)申立人商標の著名性
申立人の提出した証拠及び申立ての理由を総合すると、以下の事実を認めることができる。
ア 申立人は、中華人民共和国(北京)の法人であり、運動者などの身体に取り付ける各種センサやそこから得られる位置信号等の処理装置からなる申立人商品である「モーションキャプチャシステム」を各種展示会などに出展し、また販売をしている(甲15、甲17?甲20)。
イ 申立人は、2013年(平成25年)以降、本件商標の登録出願時の2015年(平成27年)までの間に、中華人民共和国で開催された、各種フェアなどの会場において、申立人商品を展示し、かつ、その運用デモを行っている。
その際、申立人は、「Noitom」、「NOITOM」並びに「N」、「T」及び「M」の文字の一部を省略するなどの図案化した「NOITOM」の標章を使用している(甲5?甲11)。
ウ 申立人は、2014年7月、ツイッターアカウント「noitomocap」を登録し、情報を発信している(甲12)。
エ イベントにおいて、申立人商品を展示、紹介したことが、日本語のウェブサイトに掲載されており、掲載記事中に「Noitom」の文字の記載がある(甲15、甲18)。
オ 日本語のウェブサイトにおいて、申立人商品が販売されており、「Noitom」、「NOITOM」及び「図案化した商標」が記載されている(甲17、甲19、甲20)。
(2)上記(1)からすると、申立人は、中華人民共和国の法人であり、2013年頃より、申立人商品である「モーションキャプチャシステム」を製造、販売し、該商品に、申立人商標を使用し、また、該商品を各種展示会に出展し、紹介していることが認められる。
しかしながら、申立人のホームページは日本語ではなく、我が国又は外国における申立人商標を使用した商品の販売及び広告の実績等は不明である。
さらに、各種展示会等へ出展しているとしても、該展示会等の主催者、出展者等の規模及び来場者の人数等を含め、各展示会等の詳細が不明である。
また、ツイッター等により情報を提供しているとしても、どのくらいの範囲の需要者の目にふれたのか不明であり、広告の実情を裏付ける証左とはならない。
そして、日本語のウェブサイトに紹介されたとしても、その回数は、個人のブログが2件、ニュースサイトが2件、申立人の代理人のウェブサイトが1件のわずか5件にすぎず、これも申立人商標が広く知られているとする事実を裏付けるものではない。
してみれば、申立人商標は、いずれも、本件商標の登録出願時ないし登録査定時はもとより現在においても、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は中華人民共和国をはじめとする外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないと判断するのが相当である。
(3)本件商標と申立人商標との類似性について
本件商標は、「NOITOM」の文字からなり、辞書等に載録がなく、一般に親しまれた語ともいえないから、本件商標からは、その構成文字に相応して「ノイトム」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
一方、申立人商標は、「Noitom」、「NOITOM」並びに「N」、「T」及び「M」の文字の一部を省略するなどの図案化した「NOITOM」の文字からなるものであるところ、本件商標と同様に、申立人商標からは、「ノイトム」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
以上によれば、本件商標と申立人商標は、その構成文字を共通にし、外観において類似し、共に「ノイトム」の称呼を生じる商標であり、また、両商標は、観念において比較できないものである。
したがって、本件商標と申立人商標は、観念において比較できないとしても、外観において類似し、称呼を共通にするものであるから、これらを総合して考慮すれば、相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(4)申立人の多角経営の可能性並びに申立人商品と本件商標の指定商品との関連性について
申立人の提出した証拠からは、申立人の多角経営の実体又は可能性は、不明である。
また、申立人商標が使用される申立人商品「モーションキャプチャシステム」は、「運動者などの身体に取り付ける各種センサやそこから得られる位置信号等の処理装置」からなるものであり、信号を送受信する電気通信機械器具及び信号を処理する電子応用機械器具等の分野の商品であって、本件商標の指定商品「被服,運動用具」とは、その生産者、販売者、商品の原材料、品質、用途、需要者の範囲等のいずれにおいても明確に異なるものであるから、その関連性を見いだせないものである。
また、申立人は、「申立人商品の構成要素として、運動者の身体自体へ装着するグローブ、ヘッドバンド、サポータ及びボディストラップなどがあり、ともに体に装着することから、本件の指定商品『被服,運動用具』と関連性を有する」旨、主張する。
しかしながら、申立人商品の構成要素である「グローブ、ヘッドバンド、サポータ及びボディストラップ」などは、申立人商品のセンサを装着するために使用するものであって、一般的な日常生活において使用するものではない。
他方、本件商標の指定商品「被服,運動用具」は、日常生活において、人が着用するもの、又は、各種スポーツをする際に使用する用具であって、その需要者も、老若男女幅広い一般的な需要者であるから、申立人商品と本件商標の指定商品は、その用途及び需要者の範囲を明確に異にするものであり、両商品の関連性を見いだすことはできず、申立人の上記主張は採用できない。
さらに、本件商標の指定商品と、申立人商品とが、関連性を有することを示す証拠の提出もない。
(5)小括
以上のとおり、本件商標と申立人商標が類似の商標であるとしても、申立人商標は、申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることができないものであるから、商標権者が本件商標を申立に係る商品について使用しても、これに接する取引者、需要者をして、申立人を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第19号該当性について
商標法は、同法第4条第1項第19号において「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用するもの」に該当する商標について、商標登録を受けることができないと規定しているところ、上記1のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時ないし登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものとは認められないから、申立人の主張は、その前提を欠くものといわざるを得ないものである。
そうすると、本件商標は、申立人商標が日本において出願、登録されていないことを奇貨として、商標権者が、申立人よりも先取り的に出願をする等の不正の目的をもって、出願されたものと認めることはできないものである。
その他、商標権者が不正の目的をもって本件商標を使用するものであることを認め得る証拠の提出はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-01-12 
出願番号 商願2015-107530(T2015-107530) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W2528)
T 1 651・ 222- Y (W2528)
最終処分 維持 
前審関与審査官 板谷 玲子 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 榎本 政実
大井手 正雄
登録日 2016-04-15 
登録番号 商標登録第5841320号(T5841320) 
権利者 ナ オチョル
商標の称呼 ノイトム 
代理人 田中 治幸 
代理人 工藤 莞司 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 黒川 朋也 
代理人 魚路 将央 
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