• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
管理番号 1323720 
異議申立番号 異議2016-900174 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-07-08 
確定日 2017-01-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5837116号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5837116号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5837116号商標(以下「本件商標」という。)は、「RAYO DEL SOL」の欧文字を標準文字で表してなり、平成27年10月19日に登録出願され、第33類「ぶどう酒,発泡性のぶどう酒,ぶどう酒ベースの飲料」を指定商品として、同28年2月22日に登録査定、同年4月1日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第10号又は同項第15号に該当するので、その登録は商標法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 引用商標
申立人が引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。
(1)登録第1305114号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(1)のとおり、「VINA SOL」(「N」の文字の上には、ティルデ「?」が付されている。以下同じ。)の欧文字を横書きしてなり、昭和49年3月5日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同52年10月12日に設定登録されたものであり、その後、平成19年12月26日に指定商品を第33類「食卓用ワイン,甘口ワイン,その他の果実酒,洋酒,日本酒,薬味酒」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)国際登録第766271号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおり、「VINA SOL」(「N」の文字の上には、ティルデ「?」が付されている。以下同じ。)の欧文字を横書きしてなり、2001年(平成13年)年9月3日に登録出願、第33類「Wines of all kinds, with the exception of extra dry, white table wines, with properties resembling those of Rhine wines, brandy.」を指定商品として、平成14年5月31日に設定登録されたものである。
2 具体的理由
(1)商標法第4条第1項第11号に該当することについて
本件商標は、3つの単語からなるが、各単語の間には、一字分の空白があり、また、商標全体としての長さも冗長であるから、これらの単語が常に一体として認識される必然性はない。
さらに、「SOL」の語が、本件商標中、視覚・聴覚上印象に残りやすい最後に位置するから、「SOL」の文字がスペイン語・ポルトガル語・ラテン語で「太陽、日光」を意味し、これら外国語の最重要単語の1つであること(甲3の1?3)及びこの「太陽、日光」が本件商標の指定商品のぶどう酒の原料たる「ぶどう」の育成・品質を決するのに重要で印象強いものであることとも相まって、本件商標の指定商品の取引者・需要者は、本件商標中の「SOL」を「RAYO DEL」から分離独立して認識しやすい。
よって、取引上、本件商標は、その構成中、「SOL」の単語によって「ソル」と称呼される場合も決して少なくないといえる。
これに対し、引用商標中の「VINA」の語は「ぶどう畑」を意味する(甲3の1)から、引用商標の指定商品の「ワイン(ぶどう酒)」の品質(生産場所)を表示するにすぎない。これは、「VINA SOL」が我が国の商品カタログ中で「太陽のワイン」と呼ばれていることからも明らかである(甲4の1?6)。
また、ぶどう酒の商標として、「VINA」(ビーニャ)の語をその商標に含めた商標が多く使用されていることからも(甲4の10)、引用商標の指定商品、ワインについて、「VINA」は、商標としての識別力が極めて弱い語であることがわかる。
さらに、申立人のワインのラベルに象徴的に太陽の図形マークが付されている(甲4の8?10)から、引用商標は、その構成中「SOL」部分を主体として認識されやすい。
よって、引用商標は、その構成中、「SOL」の語より「ソル」とも称呼され得る。
したがって、本件商標と引用商標は、「ソル」という称呼において、相紛らわしい類似の商標である。
さらに、本件商標の構成中で独立して認識し得る「SOL」の語は、引用商標中の構成の主体として認識される「SOL」と同一であるから、本件商標と引用商標は、外観及び「太陽、日光」という観念においても相紛らわしい類似の商標である。
ここで、特に、両商標の観念について言及すると、本件商標「RAYO DEL SOL」は、スペイン語で、その構成中の「RAYO」が、スペイン語の基本語(英語の「RAY」に相当する。)で、「光線」を意味し、全体の「RAYO DEL SOL」では「太陽の光線」すなわち、「日光」を意味するものであり、このことは、スペイン語の辞書の「RAYO」の語の最初の使用例に明記されている(甲3の1)(決定注:使用例は、「rayos del sol」である。)。そして、引用商標中の構成の主体として認識される「SOL」も、「日光」の意味があるから、本件商標と引用商標が意図する概念は実質的に同一である。
また、ぶどう酒の原料である「ぶどう」の生育・品質に「日光」(太陽、太陽光)が重要因子であることは明らかであるから、これらの商標によって、ワインの需要者・取引者に与えられる意味内容・コンセプト・印象・観念は極めて類似するものである。近年、我が国では、ワイン人気の高まりで、外国ワインも多く輸入・飲用されていることからすれば、ワイン生産主要国の外国言語であっても、前述したようにぶどう酒又はぶどうの品質に関連する言葉であって、しかも、本件のように、本件商標と引用商標の語がスペイン語の基本語であれば、外国ワイン、特に、スペイン産のワインの需要者・取引者であれば、我が国の者であってもこれらの商標の語の意味を認識するのにさほどの困難性はないというべきであるから、これらの商標は概念上類似するものである。
したがって、本件商標と引用商標は、称呼・外観・観念において類似し、かつ、その指定商品も引用商標の指定商品と抵触するから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号又は同項第15号に該当することについて
申立人は、スペインでも屈指の大手アルコール飲料メーカーである。例えば、甲第4号証の1として提出した事典(1984-85年版)中の記述によれば、「その会社は、バルセロナ近郊の、ヴィラフランカ・デル・パナデスにある。同地のワイン及びブランデー生産業者として、最も有名で、その名声は海外にまで響いている。ワインは、ボルドー方式の丹念な樽熟成でつくられることで高く評価されている。また、同地方の豊富なぶどうからつくられるブランデーも、スペインを代表する銘柄のひとつに数えられている。」、また、「(そのワインは)、1870年には、世界中に輸出するようになったという古い歴史をもつ。」ことがわかる。申立人のぶどう酒中、引用商標の銘柄ワインは、トーレス社(申立人)の「スタンダード・ワイン」である。
申立人が、現在提出できる証拠だけからでも、引用商標の銘柄ワインは、少なくとも、1983年(昭和58年)の古くから(甲4の1)、我が国で名の知れた外国ワイン輸入・販売各代理店を通じて、現在に至るまで長年(実に、30年以上)にわたり継続的に(甲4の1?10)、我が国で輸入・販売され、それらの酒類に付したラベル中に(又は、カタログ中の銘柄表示として)明確に「VINA SOL」の商標が使用されていることがわかる(甲4の1?10)。
以上のことから、引用商標は、多くの外国のみならず、我が国でも、ワインの需要者・取引者、少なくともその当事者の間では広く認識されている商標といえる(甲4の1?10)。
また、引用商標と本件商標の類似性については、商標法第4条第1項第11号該当に関する主張の中で既に述べたとおりである。
よって、本件商標がその指定商品に使用された場合、その商品が、上述したような需要者・取引者であって少なくともその当業者の間では広く認識されている引用商標及び申立人の商品と関連づけられて、当該商品が申立人又はこれに関連する者の業務に係る商品であるかのごとく誤認・混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号又は同項第15号にも該当する。

第3 当審の判断
1 引用商標の周知・著名性について
申立人は、引用商標は、多くの外国のみならず、我が国でもワインの需要者・取引者の間で広く認識されている商標といえる旨主張し、その証拠方法として甲第4号証の1ないし10を提出している。
そこで申立人が提出した各証拠をみると、それらは、ワイン、ブランデー、ウイスキー等の酒に関する情報を紹介した「世界の名酒事典」(「’84-’85年度版」、「’87-’88年版」、「’94年版」、「’97年版」、「2000年版」、「2006年版」、「2008-09年版」?「2013年版」)であり、そこには、「Vina Sol」の文字を記したラベルが付されたワインが掲載されていることが認められる。
しかし、該事典は、ワインに限らず世界中の酒に関する情報を紹介した専門雑誌であって、これに掲載されていることをもって、直ちに我が国のワインの需要者の間で、引用商標が広く認識されているとまでいえない。
また、申立人からは、その他に引用商標が使用されたワインについて、その売上高、市場シェアなどの事業規模、宣伝広告の程度など周知性の程度を推測できる証拠の提出はないから、申立人提出の上記証拠のみをもって、引用商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国のワインの需要者の間に広く認識されていたものということはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標は、上記第1のとおり、「RAYO DEL SOL」の欧文字を標準文字で表してなるところ、「RAYO」、「DEL」及び「SOL」の各文字の間に1文字程度のスペースを有するが、これらの文字は、同一の書体をもって、同一の大きさで、外観上まとまりよく表されているものである。
そして、その構成中「RAYO」の文字が、スペイン語で「光線」の意味を有し、「SOL」の文字が、スペイン語で「太陽、日光」の意味を有するとしても、我が国でのスペイン語の普及度を考慮すると、本件商標の指定商品の需要者がこれらの語の意味を容易に理解するとまでは認められないものである。
してみると、本件商標は、その構成文字全体をもって、特定の意味合いを想起し得ない造語を表したと理解されるものと判断するのが相当であるから、該文字全体に相応し、我が国で親しまれた英語読みの「ラヨデルソル」の一連の称呼のみを生じるものであって、単に「ソル」の称呼は生じないというべきであり、また、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標は、別掲(1)及び(2)のとおり、「VINA SOL」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は、「VINA」の文字部分と「SOL」の文字部分との間に1文字程度のスペースを有するが、同一の書体をもって、同一の大きさで、外観上まとまりよく表されているものである。
そして、その構成中の「VINA」及び「SOL」の文字が、それぞれ、「ブドウ畑」、「太陽、日光」等の意味を有するスペイン語であるとしても、我が国でのスペイン語の普及度を考慮すると、引用商標の指定商品の需要者がこれらの語の意味を容易に理解するとまでは認められないものである。
してみると、引用商標は、その構成文字全体をもって、特定の意味合いを想起し得ない造語を表したと理解されるものと判断するのが相当であるから、該文字全体に相応し、我が国で親しまれた英語読みの「ビナソル」の称呼を生じ、単に「ソル」の称呼は生じないというべきであり、また、特定の観念は生じないものである。
(3)本件商標と引用商標を比較すると、本件商標と引用商標は、構成文字数及び構成文字を異にするから、外観において相紛れるおそれはない。
そして、本件商標から生じる「ラヨデルソル」の称呼と引用商標から生じる「ビナソル」の称呼は、構成音数、構成音に明確な差異を有するものであるから、本件商標と引用商標は、称呼において相紛れるおそれはない。
さらに、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念においても相紛れるおそれはない。
以上のとおり、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について
上記2のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であって別異の商標というべきものであって、上記1のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものとはいえないものであるから、本件商標は、これをその指定商品について使用したとしても、これに接する取引者、需要者が、これから引用商標又は申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生じるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するものとはいえない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第10号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(1)引用商標1



別掲(2)引用商標2




異議決定日 2016-12-28 
出願番号 商願2015-100480(T2015-100480) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (W33)
T 1 651・ 271- Y (W33)
T 1 651・ 262- Y (W33)
T 1 651・ 261- Y (W33)
T 1 651・ 263- Y (W33)
最終処分 維持  
前審関与審査官 川崎 萌未真鍋 恵美 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 原田 信彦
土井 敬子
登録日 2016-04-01 
登録番号 商標登録第5837116号(T5837116) 
権利者 アイニッヒ-ツェンツェン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
商標の称呼 ラヨデルソール、ラヨデルソル 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 藤倉 大作 
代理人 松尾 和子 
代理人 中村 稔 
代理人 辻居 幸一 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 山崎 和香子 
代理人 熊倉 禎男 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ