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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W33
管理番号 1323709 
異議申立番号 異議2016-900008 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-01-08 
確定日 2016-12-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5799054号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5799054号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5799054号商標(以下「本件商標」という。)は、「LA PETITE ROBE NOIRE」の文字を標準文字で表してなり、平成27年6月12日に登録出願、同年9月24日に登録査定され、第33類「『シャンパーニュ』という原産地名称によって保護されているぶどう酒」を指定商品として、同年10月9日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当し、登録要件を欠くものであるから、その登録は同法第43条の3第2項によって取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標について
本件商標は、「LA PETITE ROBE NOIRE」の文字からなり、その構成文字全体に相応して、「ラプティットローブノワール」の称呼を生じ、フランス語で「小さな黒いドレス」といった観念を生じる。また、「LA PETITE ROBE NOIRE」の文字は、後述するとおり、申立人が製造販売する世界的に周知著名な「香水、オーデトワレ、オーデコロン等」に使用される「LA PETITE ROBE NOIRE」を意味する語として我が国において広く知られたものである。そうすると、該文字からなる本件商標に接する取引者・需要者は、本件商標から申立人又は申立人の「香水、オーデトワレ、オーデコロン等」を想起するというべきであり、かかる観念が本件商標からは生じるものと思料する。
(2)引用商標について
ア 我が国の登録商標
申立人は、我が国に次の登録商標(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)を有している。
(ア)国際登録第938183号商標
商標の態様 LA PETITE ROBE NOIRE
指定商品 第3類「Perfumery.」
設定登録日 平成20年10月3日
(イ)国際登録第1100330号商標
商標の態様 LA PETITE ROBE NOIRE
指定商品 第3類「Perfumery, toilet water, cosmetic products, namely make-up preparations, body and face care products, essential oils, dentifrices.」
設定登録日 平成25年4月19日
(ウ)国際登録第1205336号商標
商標の態様 別掲のとおり
指定商品 第3類「Perfumery products; perfumes; toilet water; eaux de parfums; extracts of perfumes; soaps; bath or shower gels and salts for non-medical use; cosmetics for skin, body, face, nail and hair care; creams; milks; lotions; gels and powders for the face; body and hands; essential oils; make-up products; dentifrices; shampoos; body deodorants; all those goods are made in France.」
設定登録日 平成27年6月5日
イ 引用商標の称呼及び観念
引用商標は、いずれもその構成文字又は構成中の文字に相応して「ラプティットローブノワール」の称呼を生じ、「小さな黒いドレス」の観念と共に、後述するとおり申立人の周知著名な「香水、オーデトワレ、オーデコロン等」である「LA PETITE ROBE NOIRE」を観念させるものである。
ウ 引用商標の著名性について
申立人は、フランスの世界的に著名な香水・化粧品メーカーであり、現在は、著名な高級ブランドを取り扱う企業グループとして知られる「LVMH(ルイ ヴィトン モエ ヘネシー)グループ」の傘下に入っている。
申立人は、1828年にPierre Francois(審決注:「c」の文字にはセディーユが付されている。以下同じ。) Pascal Guerlain(ピエール フランソワ パスカル ゲラン)がパリに最初のフレグランス、スキンケア製品を扱う店舗を開いたことに始まる(甲6の7)。Pierre Francois Pascal Guerlainは、複数の花の香りを用いて調香するという当時としては斬新な香水を製造したことで上流階級の顧客から支持を集めた。申立人はさらに、1842年にはベルギー王妃から御用達許可書を受ける等、ヨーロッパの王族貴族からも支持を集めた。申立人は、店舗開設以降、「Jicky」、「L’Heure Bleue」、「Mitsouko」等、次々に香水を発売し人気を博し、フランスにおける高級香水メーカーの地位を確立した。申立人は、一族の調香師が「Guerlinade」(ゲルリナーデ)(甲6の6及び甲6の7)と呼ばれる香りの調合法と処方を受け継ぎ、それにより香水の新しい歴史を刻んだ。申立人による商品は、設立以来現在に至るまで、高品質の商品を維持し続けるために地道な努力によって、「フランスの至宝」(甲6の4)として極めて高い信用が形成されている。また、申立人は、香水そのものだけでなく、香水を収納する香水瓶についても最高品質のものを使うことに徹底的にこだわり(甲6の7)、このような商品の品質・価値を大切にする姿勢によって、申立人の香水はフランス国内外で高い評価と人気を博している。申立人は、1990年のパリ万国博覧会では香水部門を主催して審査委員長を担当し、同博覧会で香水部門のグランプリを獲得した。
このようなフランスの老舗の高級香水ブランドとして180年以上君臨してきた申立人の長年の香水の歴史のなかで、まさに「申立人の香りを纏う」ことを意味する香水として、フランス語で「小さな黒いドレス」を意味する引用商標にかかる「LA PETITE ROBE NOIRE」の香水(以下「申立人商品」という。)が誕生した。
申立人商品は、2009年にオリジナルが発表され、2012年に、そのオリジナルのリニューアル・バージョンが発表された。申立人商品は、小さな黒いドレスからインスピレーションを受けており(甲6の3、甲6の12及び甲6の13)、その香りは、かわいらしいコケティッシュな女性のドレスの裾がふわっと風になびくような軽やかな香りを楽しめる調合となっており(甲6の8)、香水瓶には「小さな黒いドレス」のデザインが施されている。
申立人商品は、「香りのドレス」がコンセプトであり、2009年の発表からこれまでの間に、「ストラップレスドレス」、「ロングドレス」、「ペダルドレス」等、毎年「香りのワードローブ」を増やし(甲6の24)、それぞれのドレスデザインが香水瓶に施されている。とくに2012年のリニューアル・バージョンは、パリで絶大な人気を誇るアーティストデュオであるグンゼル&デガがデザインしたこともあいまって世界中の女の子を虜にし(甲6の2、甲6の10及び甲6の20)、「香水を付け慣れているパリジェンヌ達をも虜にしたという名品」(甲6の11)であり、発売と同時に世界的にメガ・ヒットを記録し、日本でも異例の売れ行きとなった(甲6の5、甲6の10及び甲6の13)。
申立人商品は、需要者における人気だけではなく、香水業界やファッション業界においても高い評価を受け、世界各国でグランプリや大賞など数々の賞を受賞している(甲7の1及び甲7の3?5)。日本においても、2013年にはファッション誌「25ans」で、2014年には化粧品の専門雑誌「VOCE」で、2015年には女性誌「SPUR」で、いずれもフレグランス大賞を受賞している(甲7の1及び甲7の2)。
このような申立人商品は、現在、世界中で人気となり幅広い年齢層の女性に愛され続けている。例えば、フランスでは、「2014年の香水売れ筋ランキング」で第3位にランクインしており(甲6の22及び甲6の23)、日本でも、雑誌「MAQUIA」の「2014年上半期ベストコスメ・ザ・レジェンド」でフレグランス部門の第2位を獲得し(甲6の21)、「2013年クリスマスの魅惑のオードパルファム・香水10選」のなかにも選ばれており(甲6の20)、「最強モテ香水6選」にも話題の香水として選ばれている(甲6の19)。その他にも、男性が女性に贈る香りとして紹介されている(甲6の18)。販売実績においても、申立人商品の2015年度のヨーロッパにおける販売額は77億円を超えている。
さらに、申立人は、申立人商品について、世界各国の様々な雑誌等の印刷物や地下鉄通路の広告といったメディアを通じ、あるいは、有名な建築物を利用して大々的に宣伝(パリの凱旋門の正面に巨大な広告物を設置)し、国立美術館等でイベントを行う等、積極的に広告・宣伝している(甲5?甲8)。
申立人商品は、その魅惑的な香りとボトルデザイン、徹底した生産・品質管理による高品質及び申立人による積極的な宣伝・広告活動の結果、その成功と人気は、日本を含めた世界各国で今日まで維持されているのであり、特に、我が国においては高級嗜好品として、上記のとおり人気は非常に高いものとなっている。また、日本においては、申立人商品は、ゲラン株式会社により継続的に輸入販売されている。
なお、申立人は、世界各国で「LA PETITE ROBE NOIRE」の商標登録を行っており、ブランドの保護に努めている(甲9)。
以上にかんがみれば、引用商標は、本件商標の出願当時には既に、申立人の業務に係る香水等を表示するものとして、世界的に極めて高い信用が形成され、周知著名に至っているというべきものである。
(3)商標法第4条第1項第15号該当について
本件商標は、最高裁判決(平成12年7月11日 最高裁第三小法廷判決 平成10年(行ヒ)第85号)で示された基準に照らして考察すると、商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。以下、詳述する。
ア 本件商標と引用商標の類似性の程度
「LA PETITE ROBE NOIRE」の文字からなる本件商標からは、「ラプティットローブノワール」の称呼が生じ、その構成文字は、申立人が製造販売する香水等にかかる「LA PETITE ROBE NOIRE」として我が国において広く知られたものと同一の文字構成よりなる。したがって、本件商標は、引用商標と外観、称呼、観念のいずれの要素についても同一又は類似するものであるから、商標全体としての対比においても互いに類似することは明らかであり、本件商標と引用商標の類似性の程度は極めて高いものである。
イ 引用商標の周知著名性の程度
既述のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る香水等「LA PETITE ROBE NOIRE」を表すものとして日本を含め世界的な周知著名性を獲得している商標であることは疑いようがない。
ウ 本件商標の指定商品と申立人の業務に係る香水等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度
申立人が使用する「香水、オーデトワレ、オーデコロン等」と本件商標の指定商品は、「化粧品」と「発泡性ぶどう酒」という一般的には非類似とされる商品であるが、現代は企業経営の多角化がますます進行し、申立人においても、香水メーカーとして世界的にその名を知られているが、同時にLVMHグループの一員として、フランス随一の企業の1つとしても知られており、LVMHグループの業務範囲においては、申立人の化粧品を取り扱う企業のほか、「Dom Perignon」、「Moet & Chandon」、「Klug」、「Veuve Clicquot」といったシャンパン(以下「フランス国マルヌ県産の発泡性ぶどう酒」という。)を取り扱う有名企業を擁する。また、LVMHグループは、被服の「Kenzo」、「Givenchy」、「Dior」、バッグの「Louis Vuitton」、世界初のデパート「Le Bon Marche」等、世界の一流ブランドと称される各社によって構成されており、全商品分野にわたるかのようなさまざまな商品の製造販売が行われている。さらに、一般に世界的に著名な商標は、その商標に化体した高い信用・名声・顧客吸引力により、基幹商品から派生した多種多様な商品に至るまで、厳格な品質管理のもとにライセンスされている傾向がある。
実際、申立人も、フランスのパリのシャンゼリゼ通りにある店舗を2013年に大リニューアルし、香水を販売するだけではなく、料理やパティスリーを味わうことができるスペースを設けた。ここでは、申立人商品をイメージして生まれたチョコレートのパティスリーが味わえる(甲10の5)。
このような現在の多様な分野への企業の多角化を進める経営方針については、化粧品ではないが、LVMHグループの傘下の著名なコニャックメーカーである「HENNESSY」の案件において、商品間の関連性について、企業の多角経営化を考慮した判断がなされ、刃物類について出所混同のおそれがあると判断されている(甲11)。
加えて、申立人の業務に係る香水等は、化粧品というファッションに関連した商品であるが、本件商標の指定商品は、エレガントで高級感のある嗜好品として広く一般に知られていることは顕著な事実であり、この点において、両商品に対して抱く取引者及び需要者の一般的な関連性及び共通性の認識は、相当程度高いものがある。また、申立人をはじめとしたファッション業界とフランス国マルヌ県産の発泡性ぶどう酒その他多種多様な異業種との積極的なコラボレーションによる商品開発事業が非常に活発に行われていることや、需要者への広告・宣伝媒体となっている雑誌において、フランス国マルヌ県産の発泡性ぶどう酒に関する情報を化粧品・被服・履物・バッグ等と同じくお洒落で贅沢なライフスタイルの情報として提供する女性ファッション誌等の現状(甲10の1?4及び甲10の6?34。一例である。)等にかんがみれば、両商品に対して抱く取引者及び需要者の一般的な関連性の程度並びに取引者及び需要者の共通性の認識は、非常に高いといわざるを得ないものと思料する。
また、かかる取引実情は、フランス国マルヌ県産の発泡性ぶどう酒のメーカーがファッション業界を含む多様な商品の提携先となっていることを示しており、今後もさらに、両者の提携関係がますます活発となることは明らかというべきである。
さらに、ファッション雑誌の講読者は、化粧品やファッションに敏感な女性が中心であり、フランス国マルヌ県産の発泡性ぶどう酒の消費者とも共通している。
したがって、これらの事実より、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る香水等は、ともに、高級なブランドイメージ・ファッションイメージを需要者にアピールする商品であり、また、取引者及び需要者を共通する点で、商品の関連性の程度は非常に高いと思料する。
エ まとめ
以上のとおり、本件商標は、我が国において香水、オーデトワレ、オーデコロン等の商品に関して周知著名な引用商標と類似し、これを容易に想起させるというべき商標である。また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との間には、商品の性質や需要者・取引者において密接な関連性を有する事情を考慮すると、本件商標がその指定商品に使用された際には、これに接する取引者・需要者において、この商品が申立人にかかる商品、あるいは申立人商品とコラボレーションした商品といった認識がされるおそれがあり、恰も申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務にかかる商品であるかの如くその商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
なお、過去の審決では、「洋酒」業界の著名商標「MARTELL」とほぼ同一の商標「マーテル」が、ファッション商品である「はき物」に使用された場合、商品の出所について混同を生じるおそれがあると、また、アルコール飲料の著名商標「Tiger beer」との関係で、洋服等を指定商品とする商標「Tiger Beer」が出所について混同を生ずるおそれがあると判断されている(甲12、甲13)。
こうした先例において示された判断は、本件で問題となる「香水、オーデトワレ、オーデコロン等」と「フランス国マルヌ県産の発泡性ぶどう酒」との関連性の認定についても最大限考慮されるべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するというべきである。

3 当審の判断
申立人は前記2(2)のとおり3件の国際登録商標を引用しているが、申立人の主張の全趣旨及び提出の証拠によれば、申立人は、同人が香水、オーデトワレ、オーデコロン等に使用する「LA PETITE ROBE NOIRE」(「La Petite Robe Noire」)の文字からなる商標(引用3とは異なる図形との結合商標も含む。以下「使用商標」という。)との関係で、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する旨主張しており、使用商標と類似する引用商標を国際登録している旨を主張しているものと認められるので、以下、本件商標が使用商標との関係で同号に該当するか否かを検討する。
また、申立人が掲げる前記最高裁判決(平成10年(行ヒ)第85号)において、「『混同を生ずるおそれ』の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び創造性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである。」とされており、以下、これに沿って判断する。
(1)使用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査によれば、次の事実を認めることができる。
(ア)申立人は、1828年から現在に至るまで多種の香水等を調合、販売している世界的に著名なフランスの香水・化粧品メーカーであって、現在LVMHグループに属している(甲6の6、甲6の7及び甲6の17ほか)。
(イ)LVMHグループには、申立人のほか、ワイン、被服、バッグ等の世界的に著名な企業が属している(職権調査:LVMHグループのウェブページ。http://www.lvmh.co.jp/group/organization.html)。
(ウ)申立人の香水「LA PETITE ROBE NOIRE」(申立人商品)は、2009年に発表され、2012年にリニューアル・バージョンが販売されたものであり(甲6の4)、申立人商品の容器やウェブサイトにおける申立人商品の紹介などに使用商標が使用されている(甲5、甲6(甲6の7を除く。)ほか)。
(エ)申立人商品は、我が国において、遅くとも2012年には販売され(甲6の8)、ウェブページ「RankingShare」で「2013年クリスマスコフレ 魅惑のオードパルファム・香水10選」に選ばれ(甲6の20)、雑誌「MAQUIA」の「2014年上半期ベストコスメ ザ・レジェンド」でフレグランス部門の第2位となった(甲6の21)。
イ 前記アの事実によれば、申立人商品は、遅くとも本件商標の登録出願の日前である2012年頃から我が国で販売され、いくつかのウェブページや雑誌のランキング等で上位に選ばれている(前記ア(エ))ものと認めることができる。
しかしながら、我が国における申立人商品の具体的な販売実績(販売額等)又は営業の規模(店舗数、売上高等)、市場シェア等を示す証左は、提出されていない。また、本件商標の登録出願の日前における申立人商品の広告の内容や実績(期間及び規模等)については、ヨーロッパ諸国をはじめとする世界各国で広告又は雑誌等に掲載したことが窺える(甲8)ものの、我が国での広告といい得る証左は、本件商標の登録査定後にプリントアウトしたと認められる申立人のホームページ(甲5)などごくわずかなものであるから、申立人等のウェブサイト等における広告宣伝の事実によっては、申立人商品の容器などに付され、また、その商品の紹介に使用されるなどして香水等に使用されている使用商標は、本件商標の登録出願の時及び登録査定の時において、申立人の業務に係る香水等を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることができない。
なお、前記2(2)の構成からなる引用商標についても、上記と同様に、本件商標の登録出願の時及び登録査定の時において、申立人の業務に係る香水等を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本件商標と使用商標の類似性の程度
本件商標と使用商標とは、「LA PETITE ROBE NOIRE」(「La Petite Robe Noire」)の文字については、類似するといえ、その類似性の程度は、高いものである。
一方、申立人が香水等について使用する使用商標は、複数のバリエーションをもった小ぶりの黒いドレスの図形の下部に「La petite Robe Noire」の文字を特徴ある筆記体で二段又は一段に書してなるものであるから、本件商標とこれら商標とを比較すれば、外観上、顕著に異なるものであり、その類似性の程度は、高いものということができない。
イ 使用商標の周知著名性及び独創性の程度
前記(1)のとおり、申立人提出の証拠からは、使用商標が、本件商標の登録出願の時及び登録査定の時において、申立人の業務に係る香水等を表示するものとして、香水等の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものである。
また、「LA PETITE ROBE NOIRE」の文字は、「小さな黒いドレス(リトル ブラック ドレス)」の意味を有する既成のフランス語であり、香水等にはフランス語が比較的多く使用されていることや、上記の用語が我が国においても比較的親しまれた平易なフランス語であることを考慮すると、該欧文字自体の独創性は、高いとはいえない。
一方、申立人が香水等について使用する使用商標は、複数のバリエーションをもった小ぶりの黒いドレスの図形の下部に「La petite Robe Noire」の文字を特徴ある筆記体で二段又は一段に書してなるものであるから、その図形部分を含む構成態様の独創性は、相当程度高いものと認められる。
ウ 本件商標の指定商品と申立人の業務に係る香水等との関連性の程度その他取引の実情
本件商標の指定商品と申立人の業務に係る香水等とは、商品の製造工程、取引・流通経路、用途等が全く異なるものであり、両商品の関連性の程度は極めて低いというのが相当である。また、需要者は一般消費者であるという点では共通するものの、それ以上に特定の共通のものを見いだすことはできない。
エ 出所の混同のおそれ
前記アないしウによれば、本件商標と「LA PETITE ROBE NOIRE」(「La Petite Robe Noire」)の文字からなる使用商標とが類似するものであるとしても、1)使用商標が香水等の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないこと、2)上記文字からなる使用商標は独創性が高いとはいえないこと、3)申立人が香水等に使用する独創性が高い商標(特徴的な文字及びドレスの図形からなる商標)と、本件商標とは、外観上、顕著に異なるものであること、4)本件商標の指定商品と使用商標が使用される香水等との関連性の程度は極めて低いこと、5)一般に両商品の取引者、需要者の共通性が少ないこと、を考慮すれば、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして使用商標を連想又は想起させることなく、その商品が申立人あるいは申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
なお、申立人は、申立人がその一員であるLVMHグループの業務範囲においては、全商品分野にわたるかのようなさまざまな商品の製造販売が行われていることや当該グループの多角経営化を考慮し、本件商標に関しても商品の出所混同のおそれの判断がされるべきことを主張する。
しかしながら、申立人が属するLVMHグループの業務範囲において、仮に本件商標の指定商品の製造販売が行われているとしても、本件は、本件商標がその指定商品について使用された場合、申立人の業務に係る香水等に使用されている使用商標との関係において、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるか否かを判断すべきであって、申立人の使用商標が我が国において広く認識されていたものと認めることはできないこと、本件商標の指定商品と申立人商品との関連性の程度は極めて低いことは、上記で述べたとおりである。
そうすると、申立人が属するLVMHグループの多角経営を考慮したとしても、本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用をしても、本件商標に接する取引者、需要者が、使用商標を連想、想起するものとはいえず、商品の出所の混同を生ずるおそれはないものである。
よって、申立人の主張は、採用できない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(国際登録第1205336号商標)
(色彩については、原本参照)





異議決定日 2016-12-07 
出願番号 商願2015-56223(T2015-56223) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W33)
最終処分 維持 
前審関与審査官 田崎 麻理恵 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 田中 亨子
板谷 玲子
登録日 2015-10-09 
登録番号 商標登録第5799054号(T5799054) 
権利者 シャンパーニュ アンリ ジロー
商標の称呼 ラプティットローブノワール、ラプティローブノワール、ラプティローブノアー、プティットローブノワール、プティローブノワール、プティローブノアー 
代理人 田中 克郎 
代理人 池田 万美 
代理人 宮川 美津子 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 村井 康司 
代理人 魯 佳瑛 
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