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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 W15
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 W15
管理番号 1323631 
審判番号 不服2016-1859 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-02-05 
確定日 2017-01-13 
事件の表示 商願2014-80685拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は,登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲のとおりの構成からなる立体商標であって,第15類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成26年9月24日に登録出願されたものである。
その後,本願商標の指定商品については,当審における平成28年11月16日付けの手続補正書において,第15類「電気バイオリン,電子バイオリン」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は,「本願商標は,別掲のとおりの構成からなるところ,その外観は,ボディ部分が左右対称ではなく左側が凹んでいるように見られる形状のものであるが,その指定商品との関係からすれば,全体として,「(電子・電気)バイオリン」と思しき立体形状からなるものということができる。そして,インターネット情報によれば,美観や軽量化を図るため等により,ボディ部分を左右対称とせず,一部分を凹ませたり,一部分に空洞を設ける等,各種の「(電子・電気)バイオリン」が取り扱われている実情が認められる。そうとすれば,本願商標に係る立体的形状は,「(電子・電気)バイオリン」の機能又は美観に資することを目的とした形状を有しているといえるものの,全体として,当該商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域をでないとみるのが相当であるから,本願商標をその指定商品に使用するときは,取引者・需要者は,商品の形状を表示するにすぎないものと認識するにとどまり,自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。また,出願人は,本願商標が使用の結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至った立体商標であるとして,商標法第3条第2項に該当する旨を主張しているが,提出された証拠からは,取引者・需要者等が,本願商標の立体的形状のみをもって,自他商品識別標識としての機能を有するに至っているとはいえない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は,別掲のとおりの立体的形状からなり,その形状の表面は,先端に渦巻き状の突起,その下方左右に2つずつの突起を有し,弦とおぼしき4本の線条を有する長尺体部分,これにその右側に長尺体部分と3箇所で接する曲線状のフレーム部分及び左下の楕円状部分から構成されるものである。
ところで,バイオリンは,一般に,ネックの先端にスクロールを有し,長尺体状の指板が付いた胴部の上に4本の弦が張られており,指板の先端には突起状の糸巻きを左右2つずつ,胴部の左下部分には略楕円形のあご当てを有する構成からなるものである。
そして,本願商標の立体的形状と一般的なバイオリンの形状とを比較すると,本願商標の上記形状は,先端から,スクロール,糸巻き,指板,弦,あご当ての部分と看取されるものであり,それらの配置は,一般的なバイオリンと同一であり,さらに右側のフレームの曲線がバイオリンの胴部の輪郭と同様の形状といえる。
そうすると,本願商標をその指定商品に使用するときは,これに接する取引者,需要者が,バイオリンの形状を表したものとして認識するものであって,胴部部分に配置された右側のみのフレームは,商品の美感をより優れたものとするために採用されたものとみるのが相当である。
してみれば,本願商標の立体的形状は,これに接する取引者,需要者が,商品の美感を際立たせるために選択されたものと理解するにとどまるというのが相当であるから,自他商品識別標識としての機能を果たし得るものとは認めがたいものである。
したがって,本願商標は,商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項について
請求人は,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する場合であっても,使用された結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるものである旨主張し,資料1ないし資料86(枝番号を含む。以下同じ。)を提出する。
そこで,本願商標の商標法第3条第2項適用性について検討する。
ア 使用開始時期
請求人は,本願商標と同視し得る形状の電気(電子)バイオリンを,1997年に製造及び販売を開始したものであり(以下,本願商標と同視し得る形状の電気(電子)バイオリンを「使用商品」という。),使用商品を,請求人の発行に係るカタログ及び学校用楽器・機器カタログ,請求人のウェブサイト等において掲示し,現在に至るまで継続して使用している(資料9,10,79?81)。
イ 売上高,営業地域等
使用商品の売上については,「売れ行きは好調で,年内の販売数は当初予想の二倍の六千丁を見込んでいる。」(1997年11月14日付け日本経済新聞夕刊18頁,資料51),「販売実績は年間一万本を超える。『クラシックの弦楽器としては破格のヒット商品』(大手楽器店)に育った。」(1999年9月25日付け日本経済新聞朝刊34頁,資料52),「電子楽器版バイオリンの市場が全世界で年間1万5000本程度という中,年間4000?5000本の販売数を誇る。」(「D&M日経メカニカル」2003年2月号,資料60)と報道されていることからすると,使用商品は,販売開始後の数年間で,大きく売上を伸ばし,バイオリン市場においては異例の売上げを誇る商品であるものと認められる。
そして,その後,2001年から2015年にかけて,使用商品は,毎年約1億円の売上額を保っている(資料78)。また,使用商品は,全国47都道府県の楽器店舗及び楽器店・家電量販店のオンライン店舗において販売されている(資料27?33,78,82,83)。
ウ 広告宣伝,記事掲載等
請求人は,1997年から現在においても継続して,弦楽器専門雑誌「サラサーテ」(当審の職権調査によれば,発行部数約4万部)や楽器専門業界紙「ミュージックトレード」(当審の職権調査によれば,昭和38年1月創刊)等,複数の音楽雑誌において,使用商品を表示して,広告を掲載している(資料18?22)。
また,使用商品は,その消音性・軽量性といった機能面ばかりでなく,特にデザイン面において注目され,2000年前後を中心に,使用商品の写真とともに,日本経済新聞等の全国紙や,一般雑誌の記事においても度々紹介されている(資料11?17,35?37,51?57,59?65)。
さらに,使用商品は,1997年及び2008年にグッドデザイン賞を受賞し(資料38?44),その他にも,1997年から1999年にかけて,国内外のデザイン関連の賞を複数受賞(資料45?48),2006年には,「新日本様式100選」にも選定されている(資料49,50)。また,美術専門誌や美術の学校教科書にも,プロダクトデザインの代表例などとして掲載されている(資料66?77)。
そして,近年においても,使用商品の販売促進のための懸賞キャンペーンや演奏イベントが開催され,また,使用商品の限定カラー版が年1回のペースで発売されていることが,音楽雑誌における広告や楽器店のウェブサイトから確認できる(資料18,83)。また,使用商品については,「数多くのアーティストから絶大な支持と信頼を得ている」(2015年12月11日付け「島村楽器」のウェブサイト,資料83),「いつでもどこでも演奏できる楽器として高い評価を得ている」(「GoodsPress」2015年10月号,資料84)などと紹介されており,使用商品がバイオリンの分野において定評のある商品であることがうかがえる。
エ 小括
以上のことからすれば,使用商品は,1997年の発売以降,継続して楽器専門雑誌,請求人のウェブサイト及びカタログ,全国紙,一般雑誌等に,本願商標と同視し得る電気(電子)バイオリンの形状が特徴を有するものとして掲載されたこと,各種デザイン賞を受賞していること,教科書等にデザインの代表例として掲載されたこと,業界において定評を得ている商品であることが認められるものであり,現在に至るまで請求人により継続して全国的に販売され,その売上げは,同種商品においては極めて高いものと認められる。
そうすると,請求人が本願商標と同一の立体的形状からなる使用商品を1997年から現在に至るまで継続して使用した結果,本願商標は,その指定商品「電気(電子)バイオリン」について,需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものとなったと判断するのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第2項の要件を具備するものと認められる。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであるが,同法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものであるから,原査定は取消しを免れない。
その他,本願について拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本願商標(立体商標)

審決日 2016-12-27 
出願番号 商願2014-80685(T2014-80685) 
審決分類 T 1 8・ 17- WY (W15)
T 1 8・ 13- WY (W15)
最終処分 成立 
前審関与審査官 南 めぐみ 
特許庁審判長 堀内 仁子
特許庁審判官 小林 裕子
田村 正明
代理人 森田 義則 
代理人 平山 一幸 
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