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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない(当審拒絶理由) W4345
管理番号 1323622 
審判番号 不服2016-1377 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-29 
確定日 2016-12-09 
事件の表示 商願2015-20532拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「デザイナーズウェディングホテル」の片仮名を横書きしてなり、第43類「飲食物の提供,宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,会議室の貸与,展示施設の貸与,おしぼりの貸与,タオルの貸与」及び第45類「婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供並びにこれに関する情報の提供,結婚式・結婚披露宴に関する助言,結婚式・結婚披露宴の企画・運営又は開催,ウェディングドレスの貸与その他の衣服の貸与,婚礼(結婚披露を含む。)のための身飾品又は頭飾品の貸与その他の身飾品又は頭飾品の貸与,ファッション情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,施設の警備,身辺の警備」を指定役務として、平成27年3月6日に登録出願されたものである。

2 当審における拒絶の理由
本願商標は、「デザイナーズウェディングホテル」の片仮名を普通に用いられる方法で表してなるところ、その構成文字中の「ホテル」の文字は、「旅館。特に、西洋風の宿泊施設。」の意味(「広辞苑 第六版」(岩波書店発行))を有するものであり、本願指定役務に係る飲食物の提供、宿泊施設の提供、会議室や展示施設の貸与、婚礼のための施設の提供などを行う場所を表示する語として、広く一般に親しまれているものである。
ところで、「ホテル」には「ビジネスホテル」、「モーターホテル」、「リゾートホテル」、「カプセルホテル」、「ウェディングホテル」などのように、ホテルの特徴や主たる用途を表示した「○○ホテル」と称するものがある。
一方、「デザイナーズ」の文字は、「designer」の英語に「’(アポストロフィ)」と「s」を付した「designer’s」の片仮名表記と容易に認識され、「デザイナーの」あるいは「デザイナーによる」の意味合いを認識させるとみるのが相当であり、「ウェディング」の文字は、「結婚、結婚式、婚礼」の意味合いを認識させる語として、広く一般に親しまれているものである。
そして、両語を結合させた「デザイナーズウェディング」の語が、別掲のとおり、「デザイナー(「専門スタッフ」を含む。)により企画される結婚式」を表示する語として使用されている実情がある。
そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成全体から、「デザイナー(「専門スタッフ」を含む。)により企画される結婚式ができるホテル」の意味合いを容易に認識するといえるから、本願商標は、その指定役務中、第43類「飲食物の提供,宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,会議室の貸与,展示施設の貸与」及び第45類「婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供並びにこれに関する情報の提供,結婚式・結婚披露宴に関する助言,結婚式・結婚披露宴の企画・運営又は開催,ウェディングドレスの貸与その他の衣服の貸与,婚礼(結婚披露を含む。)のための身飾品又は頭飾品の貸与その他の身飾品又は頭飾品の貸与」に使用するときは、役務の質、提供の場所を表示するにすぎないものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

3 当審における拒絶の理由に対する意見
請求人は、上記2の「拒絶の理由」に対して、平成28年8月3日付け意見書を提出し、要旨以下の主張をしている。
(1)本願商標は、本願指定役務の内容を直接的、かつ、具体的に表示するものではなく、さらに、本願商標が役務の質を表すものとして一般に使用されているものではない。
本願商標に接する需要者又は取引者は、原査定における認定及び本拒絶理由通知における認定の意味合いを看取するというよりは、請求人の創出に係る造語であるものとして捉えるものと考えるのが自然である。
(2)使用例として挙げられている情報はすべてインターネット情報であるが、そもそもインターネット上のウェブサイトは、その情報の掲載・改変・消去が恣意的に、かつ、容易に行われるものであり、その情報の信頼性は辞典・辞書類等と比べても著しく劣り、極めて不安定なものである。それ故、単にウェブサイト上に本願商標の構成の一部に関する情報が掲載されていたからといって、それのみに基づいて本願商標が自他役務の識別標識としての機能を発揮しうるか否かを判断することは法的安定性を著しく欠くものといわなければならない。
(3)したがって、本願商標を本願指定役務に使用しても自他役務識別標識としての機能を果たし得ることは明らかである。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、上記1のとおり、「デザイナーズウェディングホテル」の片仮名からなるところ、上記2の拒絶の理由のとおり、本願商標に接する取引者、需要者に、その構成全体から、「デザイナー(「専門スタッフ」を含む。)により企画される結婚式ができるホテル」の意味合いを容易に認識させるものである。
そうすると、本願商標は、これをその指定役務中、第43類「飲食物の提供,宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,会議室の貸与,展示施設の貸与」及び第45類「婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供並びにこれに関する情報の提供,結婚式・結婚披露宴に関する助言,結婚式・結婚披露宴の企画・運営又は開催,ウェディングドレスの貸与その他の衣服の貸与,婚礼(結婚披露を含む。)のための身飾品又は頭飾品の貸与その他の身飾品又は頭飾品の貸与」に使用するときは、「デザイナー(「専門スタッフ」を含む。)により企画される結婚式ができるホテル」であることを理解させるにすぎないものであるから、その役務の質、提供の場所を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、「デザイナーズウェディングホテル」の文字を同書・同大・同色・同間隔、かつ、一連一体不可分に書してなるものであるため、これに接する需要者又は取引者は、何ら特定の観念を生じ得ない造語であるものと捉えるのがごく自然である。本願商標は、一般的な辞書、辞典類はもちろん、専門的な辞書、辞典類にも掲載はされていない。また、上記2の拒絶の理由において、「デザイナーズウェディング」の語についての使用例が挙げられているが、「デザイナーズウェディングホテル」の語、すなわち、本願商標の使用例は挙げられてはいない。商標はその構成全体より自他役務識別機能等の諸機能を発揮するものであるから、本願商標の構成の一部である語の使用例をもってして、本願商標について自他役務識別力が欠如するとの判断をされるべきではない旨主張する。
しかしながら、本願商標が、本願の指定役務についての役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、本願商標の査定時又は審決時において、本願商標が本願の指定役務との関係で役務の質を表示するものとして、取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の取引者、需要者によって、本願商標が本願の指定役務に使用された場合に、将来を含め、役務の質を表示するものとして認識するものであれば足りると解されるものである(平成27年(行ケ)第10062号)。
以上を踏まえると、本願商標は、上記2のとおり、その構成全体をもって、役務の質を取引者、需要者に一般に認識させるものというのが相当である。そうすると、本願商標を構成する「デザイナーズウェディングホテル」の語が辞書類に掲載がない及び本願の指定役務において使用例がないとの請求人の主張は採用することができない。また、上記2における認定、判断は、本願商標を構成する各文字、「デザイナーズウェディング」の語の本願の指定役務における取引の実情及び「ホテル」の語の使用における実情等を総合勘案し、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとしたものであるから、本願商標の構成の一部である語「デザイナーズウェディング」の使用例をもって、本願商標について自他役務識別力が欠如するとの判断したものではない。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
イ 請求人は、上記2の拒絶の理由における使用例として挙げられている情報はすべてインターネット情報であるから、その情報の信頼性は辞典・辞書類等と比べても著しく劣り、極めて不安定なものである旨主張する。
しかしながら、別掲におけるインターネットの情報は、いずれも結婚式の役務を提供している業者が業として行っている役務に「デザイナーズウェディング」を使用しているものであるから、結婚式における取引の実情を表してなるものであり、何ら信頼性及び安定性を欠くものではない。
したがって、請求人の上記主張も、採用することができない。
(3) まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 「デザイナーズウェディング」の使用例
1「共同通信PRワイヤー」のウェブサイトにおいて、「Haute Couture Design(オートクチュールデザイン)が「ザ・リッツ・カールトン東京」との業務提携開始 ?“デザイナーズウェディング”の誕生 ?」の見出しの下、「“デザイナーズウェディング”とは、ペーパーアイテムから空間装飾、ヘアメイク、ウェディングドレスなど全てに至るまで、各分野のプロフェッショナルデザイナーが集結し、これまでにない先進的なウェディングスタイルを0(ゼロ)からオートクチュールでデザインし、創り上げていくウェディングです。」との記載がある。
(http://prw.kyodonews.jp/opn/release/201307173328/)
2「リクナビ2017」のウェブサイトにおいて、「株式会社ひしや三島プラザホテル」の見出しの下、「オンリーワンの『デザイナーズホテル』を目指して進化に挑戦し続けています。平成18年からスタートしたブライダル・ウェディングブランド「ザ・モーリス」では、年間400件ほどのデザイナーズウェディングを行っています。」との記載がある。
(https://job.rikunabi.com/2017/company/top/r756361083/)
3「フラワーメイト」のウェブサイトにおいて、「デザイナーズウェディング」の見出しの下、「マーティン・フルゥーン デザインチームがウェディングをトータルにデザインします。ウェディングのご希望をお聞かせ下さい。 こんなウェデイングにしたい、好きなお花で飾りたい・・・ 何でも大丈夫です。\ロイヤルウェディングを手がけるマーティン氏 プロデュースのセンス溢れるウェディングは 話題になること間違いなしです!」との記載がある。
(http://www.flowermate-jp.com/index.php?data=./data/l4/)
4「名古屋市千種区覚王山のフラワーギフト、ウェディング、ブライダル専門の花屋・・・GRASSY(グラッシー)」のウェブサイトにおいて、「デザイナーズウェディングとは 」の見出しの下、「ウェディング専門デザイナーたちが、お二人と結婚式のテーマを共有し、結婚式当日までのプロセス、結婚式、パーティ当日、そして、楽しんだ後の新たなスタートまでをも、プロデュースする今までなかった新しいスタイルです。\専門デザイナーが、お二人のウェディングテーマを共有し、各デザイナーが情報を提供し合い、お二人とともにプロデュースするため、ご予算に合わせてのウェディングが可能なばかりか、最大限のコストパフォーマンスを発揮できるのです。」との記載がある。
(http://www.fs-grassy.com/index.php?%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0)
5「Arkbell WEDDING」のウェブサイトにおいて、「デザイナーズウェディング」の見出しの下、「斬新なデザイン空間。多彩なライブパフォーマンスで五感を刺激。形式にとらわれない新感覚のダイニングパーティーでゲストと共に贅沢なひとときをお楽しみください。」との記載がある。
(http://www.arkbell-wedding.com/wedding/)
6「ザ・チェルシー マツノイパレス」のウェブサイトにおいて、「D.O.C. Design Of Chelsea\A world-class wedding created by the Chelsea」の見出しの下、「全国から同業他社が見学に訪れるデザイナーズウェディング『ザ・チェルシー』。その空間デザイン、プロモーション、オペレーションをコントロールしているのが、デザイナーズユニットD.O.C.(the design of chelsea)です。 D.O.C.は、大阪、神戸、福岡、島根、山梨、静岡、福島、大分をはじめ全国のホテルやレストラン、美容室、雑貨ショップなどを設計、プロデュースしています。」との記載がある。
(http://www.the-chelsea.jp/doc/)
7「FELICE&LAZO」のウェブサイトにおいて、「ホテルニューオータニの新しい結婚式」の見出しの下、「なんと!!私たちフェリーチェ&ラソのコンセプトウェディングがホテルニューオータニ博多さんより『デザイナーズウェディング』として6月よりリリースされます!!ホテルニューオータニの新しいオリジナルの結婚式として私たちが一緒に作り上げていきます。福岡にも多くのプロデュース会社がある中で弊社のウェディングに声を掛けて頂きました。さらに贅沢にデザイナーズウェディングをお申込みするとさらに特典もあります。一つの会場(披露宴会場)を時間を気にせず贅沢に自由に使える!!会場の装飾もオリジナルに自分たちらしい会場に飾り付けも可能!!私たちプロデュースチームを選んで頂いたからこそお客様にもこれまでにないウェディングをご提案いたします。こうご期待!!」との記載がある。
(http://www.felicelazo.com/#!ホテルニューオータニの新しい結婚式/ggw0s/5741c03c0cf2d0f13cec3e0f)
8「プロマガweb」のウェブサイトにおいて、「シエルヴェルトウェディング 披露宴パーティーReport」の見出しの下、「シエルヴェルトは100組100通りの個性を自由に描く『ナチュラルデザイナーズウェディング』を提案し、新郎新婦1組1組の思いを丁寧に組み取りお二人だけのオリジナルウェディングを実現してくれます。」との記載がある。
(http://www.propose-magazine.net/?p=2593)




審理終結日 2016-09-28 
結審通知日 2016-10-07 
審決日 2016-10-18 
出願番号 商願2015-20532(T2015-20532) 
審決分類 T 1 8・ 13- WZ (W4345)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 緋呂子 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 高橋 幸志
原田 信彦
商標の称呼 デザイナーズウエディングホテル、デザイナーズウエディング 
代理人 橘 哲男 

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